メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

C.C.ベーレンス

Aura / Fair Warning (2009)

0416Aura









Fair Warningの再結成後2作目、通算6枚目のオリジナル・アルバムです。前作Brother's Keeperもまあまあの出来だったわけですが、今回は前作はもちろん解散前の傑作を凌ぐような作品を期待していました。そして#1"Fighting for Your Love"も、#2"Here Comes the Heartache"も、ドラマチックで高揚感溢れるメロディが素晴らしく、Fair Warningにまた新たな名曲が加わったと大喜びしました。「これはいける!」と思ったのに、ところがどっこい3曲目でもうバラード?しかもクサさばかりが鼻につきます。ほめ言葉ではなく悪い意味で臭いのです。この後もやけにバラードが多く、なんと全12曲中6曲がバラード。悪くない曲もあるけれど、いくらなんでもアルバム半分バラードってのはないでしょう。バラード以外の曲は佳曲だと思いますが冒頭の2曲ほどではありません。前作と同じく既発曲と似たようなフレーズやメロディ展開が散見されるのも気になります。また、ヘルゲのハイ・フレットからの高音を活かしたギター・ソロはこのバンドに無くてはならない要素であることは確かですが、そろそろやり過ぎ感が出てきました。なんでもかんでもハイ・フレットに持っていかなくてもいいんじゃない?フレーズもマンネリ気味だし。まあ、そうは言っても全体として見れば、凡百のバンドには作り出すことの出来ない高品質なアルバムであることに間違いはないのです。筆者にとってFair Warningはメロハーに目覚めさせてくれたバンドの一つであり、思い入れが深いだけに求めるものが大きいのかもしれません。

なお、本作は通常盤の他に、6曲入り(4曲は収録曲の別バージョン)ボーナス・ディスク付の2枚組限定盤も発売されており、筆者はそちらを聴いています。ボーナスの"Station to Station"、"Just as She Smiles"は割りといい曲なので、本編のバラードを3曲くらい削ってこの2曲を入れたらもっと印象が良かったのになあ。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Fighting for Your Love (Ule W. Ritgen)
02. Here Comes the Heartache (Ule W. Ritgen)
03. Hey Girl (Ule W. Ritgen)
04. Don't Count on Me (Helge Engelke)
05. Falling (Ule W. Ritgen)
06. Holding On (Ule W. Ritgen)
07. Walking on Smiles (Helge Engelke)
08. Someday (Ule W. Ritgen)
09. It Takes More (Ule W. Ritgen)
10. As Snow White Found Out (Helge Engelke)
11. Just Another Perfect Day (Ule W. Ritgen)
12. Falling Reprise (Ule W. Ritgen)
[Bonus Disc]
01. Station to Station
02. Just as She Smiles
03. Hey Girl (Alternative Version)
04. Fighting for Your Love (Alternative Version)
05. Station to Station (Alternative Version)
06. Falling Reprise (Alternative Version)

■Personnel
Tommy Heart – vocals
Helge Engelke – guitars
Ule W. Ritgen – bass
C. C. Behrens – drums

Producer – Fair Warning

オーラ
フェア・ウォーニング
キングレコード
2016-08-31

AURA(初回限定盤)
フェア・ウォーニング
マーキー・インコーポレイティド
2009-06-24

Brother's Keeper / Fair Warning (2006)

0322Brother's Keeper









解散状態だったFair Warningの復活第一作。残念ながらアンディ・マレツェク(Gt)は再結成に加わっていませんが、トミー・ハート(Vo)、ヘルゲ・エンゲルケ(Gt)、ウレ・リトゲン(Ba)、C.C.ベーレンス(Ds)とオリジナル・メンバー4人が顔を揃えました。

久しぶりのFair Warningの新作ということで、期待は大きく膨らんでいましたが、#1"Don't Keep Me Waiting"を聴いた途端、その期待が裏切られなかったことを確信して嬉しかったです。今まで通りの分厚いサウンド、ドラマチックなメロディ、そして天空から降りそそぐギターの音色、全てにうっとりしてしまいます。これは文句なく名曲ですね。残りの楽曲も概ね出来が良く、アルバムを通してFair Warningらしさを十分に堪能できます。しかしながら、「あれ?なんか前に聴いたことがあるような」と感じる場面が少なからずあり、その点はちょっと失望を禁じえません。このバンドはメロディやフレーズの使い回しが以前からありました。本作ではそれがさらに増えています。過去作からか、DreamtideかはたまたZenoからか、一々確認はしていませんがあまり印象は良くありません。マンネリという声も聞かれますが、マンネリとはちょっと違うような気がします。作風や路線を大きく変えないという意味では、マンネリが必ずしも悪いとは言えないけれど、過去の楽曲のパーツのつぎはぎで曲を仕立てるのはミュージシャン・シップのレベルが低いことの表れだと思うのです。うーむ、この作品で初めてFair Warningを聴いたのなら間違いなく名盤と認定しただろうなぁ。。。なんとも複雑な感想を抱いてしまいました。

なお、本作の国内盤CDは、2006年オリジナル盤(13曲収録)が2種(ドキュメンタリー映像を収録したDVD付き初回限定盤とCDのみの通常盤)、2009年紙ジャケSHM-CD仕様(15曲収録で曲順も異なる)、2016年リマスター盤(12曲収録)が流通しています。毎度のことながら、あー、めんどくさ。。。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Don't Keep Me Waiting (Ule W. Ritgen)
02. Tell Me Lies (Helge Engelke)
03. In the Dark (Ule W. Ritgen)
04. Wasted Time (Ule W. Ritgen)
05. No Limit (Ule W. Ritgen)
06. Generation Jedi (Helge Engelke)
07. The Way (Ule W. Ritgen)
08. All of My Love (Ule W. Ritgen)
09. Once Bitten Twice Shy (Ule W. Ritgen)
10. The Cry (Ule W. Ritgen)
11. All I Wanna Do (Ule W. Ritgen)
12. Rainbow Eyes (Ule W. Ritgen)
13. Push Me On (Ule W. Ritgen)

■Personnel
Tommy Heart – vocals
Helge Engelke – guitars
Ule W. Ritgen – bass
C. C. Behrens – drums

Producer – Fair Warning

ブラザーズ・キーパー
フェア・ウォーニング
マーキー・インコーポレイティド
2006-07-26

 

Live in Japan / Fair Warning (1993)

0268Live In Japan









なんか忘れていると思ったら、Fair Warning(フェア・ウォーニング)の1993年初来日ライブ盤がまだでした。リリース順のレビューという形は崩れますが、取り上げておきたいと思います。

彼らの初来日は93年4月で、14日名古屋、16日大阪、17、18日川崎と4回の公演が行なわれており、アルバムには最終日18日クラブチッタ川崎でのライブが収録されています。また映像収録も行なわれ、VHSビデオ(後にDVD化)が発売されました。1stアルバムをリリースしたばかりで初来日公演、そしてライブ盤収録となったわけで、当初からこのバンドがいかに日本のファンに支持されていたかがよく分かります。あらためてこのライブ盤を聴いてみると、まだ若々しく溌剌としたFair Warningのライブ・パフォーマンスと、心からライブを楽しんでいる日本の観客の反応が感じ取れます。ライブDVDは更にこちらに訴えかけるものがあって、ちょっと感動的ですらあります。もう四半世紀も前のライブなんですが、良いものは何年経っても良いですね。

収録曲は当然1stアルバムからのものが大半ですが、前身バンドとも言えるZenoのレパートリーから#5"Eastern Sun"、#16"A Little More Love"、更にプレスリーの#11"In the Ghetto"、坂本九の#12"Sukiyaki"(上を向いて歩こう)、スモーキー・ロビンソンとミラクルズの#17"Mickey's Monkey"なんていうのまで演っていて楽しませてくれます。全17曲(DVDは19曲)というボリュームで、デビュー間もないFair Warningの圧巻のパフォーマンスを再体験できる貴重なライブ盤だと思います。特にまだ元気なアンディ・マレツェクの情感溢れるプレイはファンにとって涙モノです。

 評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Sunset (Intro) (U. W. Ritgen) 
02. Out on the Run (U. W. Ritgen) 
03. Longing for Love (U. W. Ritgen) 
04. When Love Fails (H. Engelke)
05. Eastern Sun (Z. Roth)
06. Take Me Up (U. W. Ritgen) 
07. Long Gone (U. W. Ritgen) 
08. The Heat of Emotion (Z. Roth)
09. Take a Look at the Future (U. W. Ritgen) 
10. The Call of the Heart (U. W. Ritgen) 
11. In fhe Ghetto (M. Davis)
12. Sukiyaki (H. Nakamura/R. Ei)
13. Hang On (U. W. Ritgen) 
14. The Eyes of Rock (U. W. Ritgen) 
15. One Step Closer (H. Engelke)
16. A Little More Love (U. W. Ritgen) 
17. Mickey's Monkey (E. Holland/L. Dozier/B. Holland)

■Personnel
Tommy Heart – Lead Vocals
Helge Engelke – Guitars, Backing Vocals
Andy Malecek – Guitars
Ule W. Ritgen – Bass, Backing Vocals
C. C. Behrens – Drums

Torsten Lüderwald - Keyboards

Producer – Fair Warning

ライヴ・イン・ジャパン
フェア・ウォーニング
WEAミュージック
1993-12-21

 

4 / Fair Warning (2000)

0221Four









ドイツのメロハー・バンド、フェア・ウォーニングの4thアルバム。世間一般的に評価の高い前作Go! は筆者にとってはモヤモヤの残る作品でしたが、本作に関しては1stに並ぶ傑作だと思っています。どんだけトラック重ねて録ったんだって言いたくなるほど緻密でブ厚いボトム、そこから立ち昇り空を駆け巡るかのようなヘルゲ・エンゲルケのギター(正確にはスカイ・ギターじゃないらしい)、そのハイ・ポジションから繰り出される音色は、もう鈴虫か小鳥の鳴き声か、はたまたオカリナかと錯覚するくらいですが、とにかく心に響きます。そして、どこまでも高く、天に届かんばかりのトミー・ハートのボーカル。やはりこのバンドのサウンドとメロディがもたらす高揚感は半端じゃないです。中でも筆者のお気に入りは#1"Heart on the Run"、#2"Through the Fire"、#4"Forever"、#7"I Fight"、#10"Find My Way"、#12"Wait"。テンション上がりまくりますね。ただ、このアルバムにも瑕疵がないわけではなく、まずスネアがポコポコ軽いのが気になります。それから、またもやウレ・リトゲンが#11"Night Falls"で2ndRainmaker 収録曲"Rain Song"のメロディを使い回しています。本作の楽曲も平均点ではヘルゲ・エンゲルケのほうが上回っていると感じるし、無理してウレ・リトゲンの曲を入れなくてもいいんじゃないかなぁ。

原因不明の全身麻痺という病で、次第に存在感希薄となったアンディ・マレツェクは、本作をもってバンドを脱退、アンディと仲の良かったトミー・ハートもバンドを離れることになります。残ったウレ・リトゲンとヘルゲ・エンゲルケはバンドの活動休止を決断、実質的にここでフェア・ウォーニングは解散状態となるわけで、本作は第一期フェア・ウォーニングの最期を飾るアルバムとなってしまいます。なお、C.C.ベーレンスは既に脱退しているため、#7を除いてドラムはサポート・メンバーだったフィリップ・カンダスが叩いています。また、バック・ボーカルのアンドリュー・マクデルモット、この人はSargant FuryやThresholdのボーカリストで、1stでもクレジットされていましたが、2011年に亡くなっています。

本作の国内盤CDは、2000年オリジナル盤の他、2009年に紙ジャケSHM-CD仕様でリリースされた再発盤が存在します。こちらは2枚組みとなっており、Disc.2には、EPHeart on the RunStill I Believe に収録されていた10曲のうち、"Still I Believe"を除く9曲が収められています。その9曲中7曲はアルバム収録曲のバージョン違いで、"For the Lonely"、"Close Your Eyes"の2曲は未収録曲と、相変わらずの面倒臭さです。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Heart on the Run (Helge Engelke)
02. Through the Fire (Ule W. Ritgen)
03. Break Free (Ule W. Ritgen)
04. Forever (Helge Engelke)
05. Tell Me I'm Wrong (Ule W. Ritgen)
06. Dream (Ule W. Ritgen)
07. I Fight (Ule W. Ritgen)
08. Time Will Tell (Ule W. Ritgen)
09. Eyes of Love (Ule W. Ritgen)
10. Find My Way (Helge Engelke)
11. Night Falls (Ule W. Ritgen)
12. Wait (Ule W. Ritgen)
13. Still I Believe [bonus track] (Helge Engelke)
14. For the Young [bonus track] (Helge Engelke)

■Personnel
Tommy Heart – vocals
Helge Engelke – guitars
Andy Malecek – guitars
Ule W. Ritgen – bass
Philip Candas – drums, percussion
C. C. Behrens – drums (Track 7)

Andrew McDermott - additional backing vocals
Anke Hansen - additional backing vocals
Jürgen Wulfes -  - additional backing vocals

Producer – Fair Warning

フォー
フェア・ウォーニング
キングレコード
2016-08-31

 

Zenology II / Zeno (2005)

0182Zenology II









ドイツのメロディアス・ハードロック・グループ、Zenoの4枚目のアルバム。タイトルを見ても分かるようにZenology の続編で、やはり過去のマテリアルに手を加えて収録した未発表曲集です。録音時期は1983~89年、ボーカルはマイケル・フレクシグ9曲、トミー・ハート2曲となっています。元V2のトミー・ハートはZenoに参加したことでウレ・リトゲンやC.C.ベーレンスと知り合い、Fair Warning結成につながったわけですが、この当時は声がまだ若くて初々しいですね。キーボードのライナー・プシュヴァーラ、バック・ボーカルのリズ・ヴァンダルは、ウレ・リトゲンらと同じくジーノ・ロートの兄ウリ・ジョン・ロートと活動してきたミュージシャン。Fair WarningやDreamtideを含めて、この辺の人たちはファミリーのように関係が深い。と思ってたら、リズ・ヴァンダルとウリの間には娘さんまでいるんですね。ほんとのファミリーだったのかと。。

さて、音のほうですが、やっぱりマイケル・フレクシグの声がトレブリーで苦手。ギターもキーボードも高い音が多い上にボーカルまでキンキンして聴き疲れします。Zenology が少し聴きやすかったのに残念です。ジーノ・ロートのギターは素晴らしいし、本作収録曲も好みなんですが、どうにも歯がゆいです。この未発表曲集のリリースに関してマイケル・フレクシグとの間でトラブルがあったらしく、ちょっと先走りますが新作Runway to the Gods のボーカルはマイケル・ボーマンにチェンジしています。多くのZenoファンとは逆に筆者は思わずニンマリした次第です。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Call of the Heart
02. Tonight
03. Hard Beat
04. Dreaming the Night Away
05. Good Game Bad Game
06. Victoria
07. On My Way
08. Keep Your Love
09. Troubled Love
10. Time
11. Free Again (Eagle of Love)
All songs written by Zeno Roth

■Personnel
Zeno Roth - guitars, keyboards
Michael Flexig - vocals, backing vocals
Tommy Heart – vocals (3, 4), backing vocals
Ule Winsomie Ritgen - bass
C. C. Behrens – drums
Rainer Przywara – keyboards, backing vocals
Karl Heinz Boesel - backing vocals
Liz Vandall - backing vocals

Producer - Zeno 

Zenology 2
Zeno
Mtm
2005-05-23

 

Dream and Deliver / Dreamtide (2008)

140Dream and Deliver









フェア・ウォーニングのギタリスト、ヘルゲ・エンゲルケ率いるドリームタイドの3rdアルバム。過去二作と同様、ドラマチックな歌メロ展開とヘルゲの緩急自在なギターが楽しめる好盤となっています。勇壮な曲からエスノ風味をまぶした曲までバラエティ豊富なのもこれまで通り。フェア・ウォーニングもそうですが、アレンジが緻密で飽きさせないんですよね。本作の特徴としては、ヘルゲのギターにこれまで以上にジミヘンの影響をストレートに感じさせる場面が多くなっていること。ジェフ・ベックへのオマージュとも取れるフレーズが出てくるのも面白い。また、オラフ・ゼンクバイルの節回しも、このバンドに無くてはならない味と感じられるまでになりました。ただし、これまでのギラつくような迫力がやや後退し、よく言えば落ち着いた、悪く言うとパワー・ダウンした印象を受けてしまいました。2005年のフェア・ウォーニング復活でモチベーションが落ちたとか?いや、復活後のフェア・ウォーニングよりドリームタイドの方が曲の出来は良いし、そんなことはないと思うのですが。いずれにしても、2014年時点でこの3rd以降もう6年もアルバムが出ていないのが寂しいところです。

このアルバムの参加メンバーは、ヘルゲ・エンゲルケ(gt)、オラフ・ゼンクバイル(vo)、C.C.ベーレンス(ds)、トーステン・リューダーヴァルト(key)とここまでは前作と同じです。ベースはオーレ・ヘンペルマンがレコーディングに参加できなかったため、フランシス・ブッフホルツ(ex-Scorpions)が代役を務めています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作 
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. A Fools Crusade
02. I Don't Wanna Wait
03. Same Star
04. Your Beat
05. Dancing When the Night Falls
06. King of Scum
07. Download a Dream
08. Tell me How it Feels
09. Stronger
10. To Everybody
11. Keep From Falling
12. The Vow
13. Help Me
14. Download a Dream (Reprise)
All songs written by Helge Engelke except track 13 by Olaf Senkbeil

■Personnel
Olaf Senkbeil – vocals
C.C. Behrens – drums
Francis Buchholz - bass
Torsten Lüderwaldt – keyboards
Helge Engelke – guitar

Oscar Lücke - additional backing vocals

producer – Dreamtide 

ドリーム・アンド・デリヴァー
ドリームタイド
キングレコード
2008-05-21

   
 

Listen to the Light / Zeno (1998)

0115Listen to the Light
1998年にリリースされたジーノのアルバム。95年リリースのZenology は録音時期がバラバラな未発表音源集なので、バンドの本格的復活作である本作を2ndと考えるのが妥当でしょう。しかし、バンドと言ってもメンバーはジーノ・ロートとボーカルのマイケル・フレクシグの2人のみになってしまいました。ジーノ・ロートが全ての楽器を担当しています。結果として、打ち込みドラムとシンセサイザーの多用で、サウンド的にはやや残念な仕上がりと言わざるを得ません。

さて本作の内容ですが、さすがジーノらしい高揚感と美しさに満ちたメロディアスなハードロック、凡人が束になっても敵わない超Aクラスのギタープレイを聴かせてくれます。しかし、どうも筆者はジーノのオリエンタリズムとか、神がかった雰囲気とかが苦手です。#1"Goddess of Sunrise"から、1stのオープニング曲"Eastern Sun"の焼き直しのような中華風メロディでガックリしました。#5"Light of the Morning"や#7"Listen to the Light"の大袈裟な荘厳さも疲れます。チープな映画音楽のようなおもしろくもなんともないインスト曲や、天然ものか合成か分かりませんが小鳥の鳴き声とか長々と挿入されているのも無駄です。#2"Love in Your Eyes"、#4"Meet Me at the Rainbow"、#6"Follow the Wind"、#10"Eden on Fire"、この4曲に関しては、ジーノがフェア・ウォーニングやドリームタイドの母胎となったことをよく示す極上メロハーだと思います。全曲この調子でやってくれたらいいのに。

#9"Some Rocks Don't Roll"は、ジミ・ヘンドリックスとボブ・ディランに捧げられている曲。この人も兄貴のウリ・ロートに負けず劣らずのジミの信奉者で、ジミの恋人で後にウリと一緒になった故モニカ・ダンネマンと共にジミに関する本まで書いています。曲のほうはジミヘン風のサウンドにディラン風のハーモニカが意外によく合っていてカッコいいです。ギターももちろん言うことなしです。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Goddess of Sunrise
02. Love in Your Eyes
03. I Would Die for You
04. Meet Me at the Rainbow
05. Light of the Morning (For the Children of This World)
06. Follow the Wind
07. Listen to the Light
08. Luna and Mercury
09. Some Rocks Don't Roll (For Jimi and Bob)
10. Eden on Fire
11. Tomorrow Arise
12. Rainforest Tears
13. Sunset in Paradise
14. Walking on a Thin Line [bonus]
all songs by Zeno Roth except lyrics "Walking on a Thin Line" by Michael Flexig

■Personnel
Zeno Roth - all guitars, all other instruments, choir & backing vocals
Michael Flexig - lead vocals, choir & backing vocals

Andrea Schwarz - choir & backing vocals
Keith Ellis - choir & backing vocals
Naoko Goto - choir & backing vocals
C. C. Behrens – drums on 14

Producer - Zeno Roth 

リッスン・トゥ・ザ・ライト
ジーノ
EMIミュージック・ジャパン
2005-07-21




Go! / Fair Warning (1997)

0093Go!
ドイツのメロハー・バンド、フェア・ウォーニングの3rdアルバム。日本では押しも押されぬメロディアスハードの第一人者であり、本作も名盤の誉れ高い作品です。しかしながら、世間での高評価とは異なり筆者のこのアルバムに対する印象は前2作より良くありません。1stや2ndで感じられた狂おしいまでの高揚感が薄れ、全体的にテンポもゆったりとして妙に落ち着いた感じになってしまっています。メイン・ソングライターで、本作でも全13曲中9曲を書いているウレ・リトゲンの曲は特にテンションが低くなっているように思います。1stの"Out on the Run"や2ndの"Burning Heart"といった彼の超名曲に匹敵するような曲がこのアルバムには1曲もありません。そして最悪なのは、#10"Eyes of a Stranger"と#13"The Love Song"、この2曲の歌いだしのメロディが過去作"Children's Eyes"(2ndRainmaker ボーナス・トラック)とあまりにも似通っていること。こんな露骨にメロディ使い回すってあんた、アルバム3枚でもう才能が枯渇したんかい!と、ツッコミ入れたくなってしまいます。一方、もう一人のソングライターであるヘルゲ・エンゲルケの曲作りはむしろ充実傾向にあるようで、シングル・カットされたのもヘルゲの書いた2曲、#1"Angels of Heaven"と#2"Save Me"となっています。#11"Sailing Home"も彼の曲ですが、いずれも後年のドリームタイドを思わせるドラマチックなメロディが冴え渡っています。

なお、このアルバムの日本国内盤は3種類のバージョンが出回っていますので、購入には注意が必要です。

(1)1997年にZero Corporationから発売されたもの。13曲入り。

(2)Zeroレーベル閉鎖後、契約の移ったAvalonから2000年に再発されたもの。オリジナル13曲に、以下の4曲のボーナス・トラックが追加されています。
Without You (Different version)
Light in the Dark (For EP only)
Angels of Heaven (Karaoke version)
Follow My Heart (Different version)

(3)2009年、同じくAvalonから紙ジャケット&SHM-CD仕様の2枚組で再発されたもの。2000年盤の4曲を含む全9曲のボーナス・トラックが収録されています。追加された5曲は以下の通りです。
Angels of Heaven (EP version)
I'll Be There (EP version)
All on Your Own (EP version)
Give in to Love (For EP only)
Come On (For EP only) 

これらのボーナス・トラックのうち、"Angels of Heaven"の2バージョン、"I'll Be There"、"Without You"、"Light in the Dark"計5曲はEPAngels of Heaven に収録されています。また、"All on Your Own"、"Give in to Love"、"Come On"の3曲はEPSave Me に収録されています。この3曲はLive and More のAvalon再発盤にも追加ボーナスとして収録されていますが、そこにはGo! の2種類の再発盤には入っていない"Rivers of Love (Different version)"も収録されています。"Follow My Heart (Different version)"は Go! の2種類の再発盤にのみ収録されています。

このグチャグチャぶりはリスナーには全くもって迷惑です。Zeroレーベルの事業撤退という事情もあるのですが、これ以降のアルバム全て同じような複雑な状況となっています。ハーレム・スキャーレムなどもそうですが、フェア・ウォーニングは特にオリジナル盤、再発盤、企画盤、ベスト盤、EPが入り乱れ、どの曲がどのディスクに収録されているかチェックするのが一苦労です。おそらくバンドのメンバーでさえ、全貌は分からないのではないでしょうか。。。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Angels of Heaven (Helge Engelke)
02. Save Me (Helge Engelke)
03. All on Your Own (Ule W. Ritgen)
04. I'll Be There (Ule W. Ritgen)
05. Man on the Moon (Helge Engelke)
06. Without You (Ule W. Ritgen)
07. Follow My Heart (Ule W. Ritgen)
08. Rivers of Love (Ule W. Ritgen)
09. Somewhere (Ule W. Ritgen)
10. Eyes of a Stranger (Ule W. Ritgen)
11. Sailing Home (Helge Engelke)
12. The Way You Want It (Ule W. Ritgen)
13. The Love Song (Ule W. Ritgen)

■Personnel
Tommy Heart – vocals
Ule W. Ritgen – bass
Helge Engelke – guitars
Andy Malecek – guitars
C. C. Behrens – drums

Philip Candas – percussion, additional drum inspiration 

Producer – Fair Warning 

ゴー!
フェア・ウォーニング
キングレコード
2016-08-31

Dreams for the Daring / Dreamtide (2003)

0069Dreams for the Daring
フェア・ウォーニングのギタリスト、ヘルゲ・エンゲルケ率いるドリームタイドの2ndアルバム。前作はヘルゲ・エンゲルケが書き溜めていた楽曲をとにかく形にするためにレコーディンクしたという経緯もあり、全体としてやや散漫な印象がありましたが、本作はドリームタイドというバンドならではのサウンドが提示されています。フェア・ウォーニングの特徴だった高揚感に加えて、勇壮なイメージを喚起する旋律・アレンジが目立つようになりました。またイントロなどに、フォーキーというのか民族音楽的というのか、ちょっと変わった味付けがされているのも印象的です。統一感あるサウンド・メロディ・曲調であるにも関わらず、金太郎飴にならずに一曲一曲を個性的に仕上げるという、中々難しい仕事を成功させていると感じました。曲にそれぞれのドラマを仕込むヘルゲのソングライティングの手腕には脱帽です。はっきり言って、やたらにバラードばかりになってしまった本家フェア・ウォーニングのアルバムより、こちらのほうがよほどいいと筆者は感じてしまいました。2作目ということでバンドの一体感は強固となり、オラフ・ゼンクバイルのボーカルも力強さと安定感を増しているのも好印象です。もちろんヘルゲ・エンゲルケのスカイ・ギターも、予定調和的と言いたくなるほど完璧に、泣きまくり飛翔しまくりです。#9"Out There"のラスト、ツェッペリンの"Stairway to Heaven"に似てるな~と思っていたら、ギターソロの最後の最後で、まんま"Stairway to Heaven"と同じフレーズが出てきてニヤリとさせられます。もちろんリスペクトの意図を込めたものだと想像します。

プロデュースは前作と同じくバンド自身がクレジットされていますが、音圧が高すぎるのが唯一難点かと思いました。特に楽器パートの低音にボリューム有り過ぎて、ヘッドホンで聴くとうるさいくらいです。元々フェア・ウォーニング時代も含めてヘルゲのギターは音量が必要以上にデカい傾向がありますが、これはちょっとやり過ぎでしょう。レコーディング・メンバーも前作と変わらず、ヘルゲ・エンゲルケ、オラフ・ゼンクバイルに加え、ドラムにフェア・ウォーニングのC.C.ベーレンス、キーボードにはフェア・ウォーニングのツアー・メンバーのトーステン・リューダーヴァルト、ベースに元サンダーヘッドのオーレ・ヘンペルマンとなっています。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。 

■Tracks
01. Dream Real
02. Live and Let Live
03. I'll Be Moving On
04. All of My Dreams
05. I'm Not With Yoiu
06. Man on a Mission
07. Eden
08. Land Without Justice
09. Out There
10. Dreams Are Free
11. Along the Way [bonus]
12. Sweet Babylon
13. You Can't Burn My Heart Out 
All songs written by Helge Engelke

■Personnel
Olaf Senkbeil – vocals
Helge Engelke – guitar
Torsten Lüderwaldt – keyboards
Ole Hempelmann – bass
C.C. Behrens – drums

Producer – Dreamtide

ドリームス・フォー・ザ・デアリング
ドリームタイド
マーキー・インコーポレイティド
2003-09-21

 

Zenology / Zeno (1995)

0063Zenology
1stアルバムZenoから9年経ってリリースされたジーノのアルバム。ただし、ジーノというバンドは1stリリース後の1989年に解散しており、Zenologyと名づけられたこのアルバムは、解散以前にレコーディングしたもの、解散後に仲間を集めてレコーディングしたもの、このアルバム製作過程で新たにレコーディングしたものを収録した、録音時期がバラバラな未発表音源集という性格のものです。そういう意味でジーノの2ndアルバムは、バンド復活後に録音されたListen to the Light(1998)まで待たなければなりません。

1stのレビューでは「神々し過ぎて疲れる」的なことを書きましたが、本作では賛美歌みたいな曲やおかしな中華風メロディもなく、オーソドックスなメロディアス・ハードロックを聴くことができ、またサウンド・プロダクションの違いのせいか、ギターやボーカルがキンキンうるさくなくて好感度はぐっとアップしました。音を隙間なく詰め込んだような印象のある1stに比較して全体的にザックリしたサウンドで、メロディの良さとジーノ・ロートのギターのエモーショナルさが素直に伝わってきて筆者としては非常に聴きやすかったです。

録音時期がバラバラなため、曲によってジーノ・ロート以外のメンバーも微妙に異なりますが、ほとんどがジーノのオリジナル・メンバーと、後継バンドであるフェア・ウォーニングのメンバーで占められています。ボーカル・パートは、1stで歌っていたマイケル・フレクシグ、フェア・ウォーニングのボーカリストのトミー・ハート、ギタリストのヘルゲ・エンゲルケの3人が担当しています。マイケル・フレクシグのボーカルは、前述したように1stよりずっと聴きやすく、そのクリスタルボイスを十分堪能できました。トミー・ハートはもちろん大好きなボーカリストなので大満足です。心なしかフェア・ウォーニングよりテンションが高いように感じるほどの熱唱です。問題はヘルゲ・エンゲルケ。リード・ボーカルやるほどの歌唱力ないでしょ、どう考えても。明らかにアルバムのクォリティを下げてますよ。なんでマイケル・フレクシグかトミー・ハートに歌わせなかったのか。謎ですね。。。ドラムは全曲C.C.ベーレンス、ベースはウレ・リトゲン、ヘルゲ・エンゲルケ、ジーノ・ロートが担当しています。一部の曲でキーボードを弾いているライナー・プシュヴァーラは、ジーノの兄ウリ・ジョン・ロート率いるエレクトリック・サンのアルバムBeyond the Astral Skies(1985)に参加していたミュージシャンです。なお、同アルバムにはジーノ・ロート、マイケル・フレクシグ、ウレ・リトゲンも参加していました。

収録されている曲のうち、#1"Heat of Emotion"は、フェア・ウォーニングのレパートリーとしておなじみだし、分派のラスト・オータムズ・ドリームの2ndにも収録されています。ただ、このアルバムとフェア・ウォーニングの1stではジーノ・ロート作曲となっているのに、ラスト・オータムズ・ドリームのアルバムではウレ・リトゲン作とされています。どっちが正しいのでしょうか??また、#7"Man on the Run"と#9"You Got Me Down"は、ドイツのバンドVictoryがアルバムで取り上げています。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Heat of Emotion
02. Is It Love
03. Together
04. Surviving the Night
05. In the Dark
06. Let There Be Heaven
07. Man on the Run
08. Out in the Night
09. You Got Me Down
10. Ticket to Nowhere
11. In Love With an Angel
12. Crystal Dreams
All songs were written by Zeno Roth, except "In Love With an Angel"(Zeno Roth, Michael Flexig)


■Personnel
Zeno Roth - guitars, bass (8, 10), keyboards (5, 11, 12), backing vocals
Tommy Heart – vocals (2, 4, 8), backing vocals
Michael Flexig - vocals (1, 3, 5, 6, 11), backing vocals
Helge Engelke – vocals (7, 9, 10), backing vocals, guitars (6, 7, 9, 11), bass (5, 6, 7, 9, 11, 12), keyboards (5, 11, 12)
Ule Winsomie Ritgen - bass (1, 2, 3, 4), backing vocals
C. C. Behrens – drums
Rainer Przywara – keyboards (1, 2, 3, 4), backing vocals
Susanne Schätzle – backing vocals
Joal – backing vocals
Susann Ohlendolf – backing vocals
 

Producer - Zeno Roth, Helge Engelke

ジーノロジー
ジーノ
EMIミュージック・ジャパン
2005-07-21

 

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