0026Gotthard

スイスの誇るハードロック・グループ、ゴットハードの記念すべきデビュー・アルバム。スイスでは彼らのアルバム全てがチャート1位を獲得するなど、国民的人気を獲得していたようです。筆者は彼らを、ツェッペリン、パープル、ユーライア・ヒープ、レインボー、ホワイトスネイクといった70年代ブリティッシュ・ハードロックの、もっとも忠実な後継者の一つと捉えています。ハードポップやAOR的要素はほとんどなく、狭義の「メロハー」にくくるのはどうかと思いますが、ハードかつメロディアスなサウンドということではどうしても取り上げたいバンドなのです。

このアルバムは1992年リリースということですから、すでに20年以上が経過しているわけですが全く古臭さを感じさせない。そして、1stアルバムにしてこの完成度というのは驚かされます。かっこいいリフ、起伏に富んだメロディアスなヒラウタ、ストップの後の待ってましたのサビ、そしてトドメのギター・ソロ、ハードロックの魅力の全てがここにはあります。1曲目の"Standing in the Light"から興奮しっぱなしになります。"Angel"、"All I Care For"なんていう、お約束のような泣かせバラードの名曲もしっかり入っています。パープルのヒット曲"Hush"のカバーも良い出来です。

故スティーヴ・リーのボーカルは、デビュー・アルバムにして既に貫禄さえ感じさせます。ロバート・プラント、デヴィッド・カヴァーデイル、ロニー・ジェイムス・ディオといったボーカリストたちの良いところを総合したような、ハードロックの最も良き歌い手の一人だと思います。2010年のバイク事故死が本当に悔やまれてなりません。レオ・レオーニのギターはオーソドックスながらハードロックのツボを心得ているし、マーク・リンとヘナ・ハーベッガーのリズム隊は手堅くゴットハードの屋台骨を支えています。いやー、実にいいバンドだと思います。ベタほめです。

プロデュースのクリス・フォン・ローアは、スイス・ハードロックの先駆者クロークスのメンバーです。ゲストの参加ミュージシャンは、まず、元ディオ、ホワイトスネイク、現デフ・レパード、シン・リジィのヴィヴィアン・キャンベルが2曲ギターを弾いています。パット・レーガンは、クワイエット・ライオットやドロ、ブラックモアズ・ナイトなど多くのセッションに参加しているキーボード奏者。もう一人のキーボード、ニール・オトゥパッカは、ゴットハード結成以前スティーヴ・リーと共にフォーセールというグループのメンバーだったプレイヤーです。

なお、2009年に再発された国内盤には、ボーナス・トラックとして"Downtown"のライヴ・バージョンが追加収録されています。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Standing in the Light (Leoni, Lee)
02. Downtown (Leoni, Lee)
03. Firedance (Leoni, Lee, von Rohr)
04. Hush (South)
05. Mean Street Rocket (Leoni, Lee, von Rohr)
06. Get Down (von Rohr, Mauser)
07. Take Me (Leoni, Lee)
08. Angel (Leoni, Lee)
09. Lonely Heartache (Leoni, Lee)
10. Hunter (Leoni, Lee)
11. All I Care For (Leoni, Lee)
12. That's It (Leoni, Habegger)

■Personnel
Steve Lee – vocals
Leo Leoni – guitars, vocals
Marc Lynn – bass
Hena Habegger – drums

Vivian Campbell - lead guitars on Tracks 03 & 06
Neil Otupacca – keyboards
Pat Regan – keyboards

Producer – Chris von Rohr

GOTTHARD
GOTTHARD
ARIOL
1998-09-07

ゴットハード
ゴットハード
マーキー・インコーポレイティド
2009-06-24