メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

ロイ・ディヴィス

Excess All Areas / SHY (1987)

0382Excess All Areas









1987年リリースされた英国産メロディアス・ハードロック・バンドSHYの3枚目の作品。メジャー・レーベルであるRCAのバックアップの下、プロデューサーにDokkenやマイケル・ボルトンを手がけた実績のあるニール・カーノンを迎え、マイケル・ボルトン、デュアン・ヒッチングス(ex-Cactus)、ドン・ドッケン、マイケル・ジェイ等の外部ソング・ライターも動員して、万全の体制で制作されたアルバムです。シングル・カットも3曲に及んでいます。しかしながらレーベル側が期待したほどにはアルバムは売れず、バンドはRCAとの契約を失ってしまうという結果に終りました。

一般の売れ行きは別にして、メロハー・ファンの間では以前からこのアルバムを名作と評する声が多いようです。スティーヴ・ハリスは2011年に、トニー・ミルズも2019年に死去しており、オリジナル・メンバーでのSHYは二度と聴くことはできなくなりました。そんなこともあって、このアルバムを聴くとつい感傷的になってしまいます。哀愁を帯びた旋律、トニー・ミルズの透明感のあるハイトーン・ボイス、スティーヴ・ハリスの華麗なギター、そしてキラキラとしたキーボードといった要素は、北欧メタルのイメージに通じるものがあって魅力的です。楽曲も粒選りで、とりわけ哀愁バラード#9"When the Love Is Over"は名曲レベルだし、#1"Emergency"、#2"Can't Fight the Nights"、#3"Young Heart"、#4"Just Love Me"、#8"Talk to Me"、#10"Telephone"と良曲がテンコ盛り。ただ、#5"Break Down the Walls"、#7"Devil Woman"(クリフ・リチャードのカバー)はイマイチかな。また、やはりトニー・ミルズのボーカルが一本調子に感じられて仕方ありません。同じハイトーンでも、たとえばトニー・ハーネルの上手さには及ばないと思ってしまいます。そして、スティーヴ・ハリスのギターはランディ・ローズを意識したかのような構築美が特徴ですが、精緻なフレーズを正確になぞるのにいっぱいいっぱいなあまり、パッションとかエモーションとかそういう要素に欠けてしまっている印象。あえてやっているのだと思いますが、ラインで録ったかのような線の細いトーンもその印象を強めており、そり辺りがどうも気になってしまいます。

なお、オリジナルLPは10曲収録でしたが、CD化にあたってシングル盤のカップリング曲3曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。#12"Only You"、#13"Don't Wanna Lose Your Love"は本編に劣らない佳曲なので、これはありがたいボーナスだと思いました。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Emergency (Michael Bolton, Duane Hitchings)
02. Can't Fight the Nights (Michael Jay, Steve Harris, Tony Mills)
03. Young Heart (Duane Hitchings, Steve Harris, Tony Mills)
04. Just Love Me (John Parker, Tony Mills)
05. Break Down the Walls (Don Dokken, SHY, Alan Kelly, Neil Kernon)
06. Under Fire (Steve Harris, Tony Mills, Alan Kelly)
07. Devil Woman (Terry Britten, Kristine Sparkle)
08. Talk to Me (Steve Harris, Paddy McKenna, Alan Kelly)
09. When the Love Is Over (Michael Jay, Steve Harris, Tony Mills)
10. Telephone (Steve Harris, Alan Kelly)
Bonus Track
11. Run for Cover (Steve Harris, Paddy McKenna, Tony Mills)
12. Only You (Steve Harris)
13. Don't Wanna Lose Your Love (Steve Harris, Tony Mills)

■Personnel
Tony Mills - Vocals
Alan Kelly - Drums
Steve Harris - Guitar
Pat McKenna - Keyboards
Roy Stephen Davis - Bass

John Sinclair - Backing Vocals
Peter Goalby - Backing Vocals

Producer - Neil Kernon
except #13 Mark Freegard

Excess All.. -Coll. ed-
Shy
Rock Candy
2019-08-16

Brave the Storm / SHY (1985)

0289Brave The Storm









英国産メロディアス・ハードロック・バンド、SHYの2ndアルバム。RCAからリリースされたメジャー・デビュー盤です。メンバーは前作と同じトニー・ミルズ(Vo)、スティーヴ・ハリス(Gt)、パット・マッケンナ(Key)、アラン・ケリー(Ds)、新加入のロイ・ディヴィス(B)の5人。インディーズで制作された1stのチープ過ぎるサウンドに比べて、さすがに格段に良好な音になっています。プロデュースはHR/HM系ではSamson、Krokus、Motörhead、Uriah Heep等を手がけた実績のあるトニー・プラット。80年代風のゴージャスなサウンドなのは間違いないけれど、逆にオーバー・プロデュース気味というか、1stで感じられた荒削りで生々しい勢いが抑えられてしまった印象です。その割りにドラムが相変わらずドタバタして落ち着きません。ウリであるトニー・ミルズのハイトーン・ボーカル、確かにすごいのですがやや一本調子なのも気になります。

一方、バンドの要のスティーヴ・ハリスは実力に磨きがかかっています。曲作りの才能、ギターを歌わせるセンスは、アマチュア然とした1stでも感じ取れましたが、本作ではその器の大きさをまざまざと示しました。特に、1st収録曲の再録音である#3"Reflections"のソロの素晴らしさはどうでしょう!フレーズはほとんど同じなので聴き比べてみるのも面白いです。泣かせてやろうと言わんばかりに力んだ1stバージョン、孤独と空虚を抱え込んで静かに涙する2ndバージョンといったところでしょうか。概して曲の出来は良く、タイトル・トラックの#6"Brave the Storm"、#8"Caught in the Act"あたりは名曲レベル。アメリカ指向のバンドとよく言われますが、歌メロといいギター・フレーズといい、ちっともカラっとしてないのはやはりブリティッシュ・ロックならではです。

なお、オリジナルLP収録は9曲でしたが、CD化にあたって"Hold On (To Your Love)"のシングル・バージョン、本作のアウトテイク(というか未完成トラック)"Strangers in Town"、ライブ(客無しなのでリハか?)曲"Two Hearts"と"Behind Closed Doors"、計4曲が収録されました。"Behind Closed Doors"はメタリックな演奏と美しいメロディが印象的で、珍しく嬉しいボーナスです。さらに日本盤には1st収録曲"Deep Water"と"Give Me a Chance"が追加で収められています。ミックス違いのような表記がありますが、実際は同じものです。2曲だけですが、入手しずらい1stの雰囲気を知る手がかりにはなります。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Hold On (To Your Love) (S. Harris/P. McKenna/A. Kelly)
02. My Apollo (S. Harris/T. Mills)
03. Reflections (S. Harris)
04. Keep the Fires Burning (S. Harris/A. Kelly)
05. The Hunter (S. Harris)
06. Brave the Storm (S. Harris/T. Mills)
07. Wild, Wild Woman (S. Harris/T. Mills)
08. Caught in the Act (S. Harris/P. McKenna)
09. Was I Wrong? (S. Harris/T. Mills/A. Kelly)
Bonus Tracks
10. Hold On (To Your Love) (Extended Version)
11. Strangers in Town (S. Harris/T. Mills)
12. Deep Water ("Once Bitten" Mix) (S. Harris)
13. Give Me a Chance ("Twice Shy" Mix) (S. Harris/A. Kelly)
14. Two Hearts (Live) (S. Harris)
15. Behind Closed Doors (Live) (A. Kelly)

■Personnel
Tony Mills - Vocals
Alan Kelly - Drums
Steve Harris - Guitar
Pat McKenna - Keyboards
Roy Stephen Davis - Bass

John Sinclair - Backing Vocals
Peter Goalby - Backing Vocals

Producer - Tony Platt


 
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