メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

ルシアン・マテウソン

Break Away / Terra Nova (1997)

0109Break Away
オランダのメロハー・グループ、テラ・ノヴァの2ndアルバム。音楽性は1stと同様、明るく爽快なハード・ポップです。このバンドはなんと言っても、そのポップでキャッチーなメロディが特色なわけですが、本作でも冒頭から#1"Break Away"、#2"Those Were the Days"、#3"Wasting Time"、#4"City Lights"と4連発でその魅力を炸裂させています。ポップス黄金時代の60~70年代初めのバブルガム・サウンドやダンヒル・サウンドを髣髴とさせるような、全くもって能天気でポジティブなメロディにメロメロにされてしまいます。フレッド・ヘンドリックスの歯切れ良い歌声、ジェスィーノ・デローザスの歌心あるギターも相変わらずの気持ち良さ。

音楽性とサウンドに大きな変化はないものの、本作ではロン・ヘンドリックスのキーボードが前作以上にフィーチャーされているのが目立ちます。特にオルガンが多用されて、その流れるようなフレーズが楽曲をより軽快なものにしています。メロハーでのキーボードの使い方は、たいていはあってもなくてもいいような装飾的なもので、むしろうるさく感じることも多いのですが、このバンドに関しては不可欠なパートとしての位置づけを持っています。ロン・ヘンドリックスは、このアルバムではソング・ライティングにも一部関与し、ストリングス・アレンジも担当するなど、存在感がぐっと増しているように思います。

プロデュースは1st同様フレッド・ヘンドリックスが自ら行っています。なお、additional musicianとして隣国ベルギーのピーター・デ・ウィント(Mystery、Affair)がクレジットされていますが、おそらくバッキング・ボーカルで参加しているのだろうと思います。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Break Away
02. Those Were the Days
03. Wasting Time
04. City Lights / The Nocturnal Silence
05. Only for You
06. Right Now
07. I Keep on Dreaming
08. Holding On
09. Losing Sleep
10. Two Days of Heaven's Paradise
11. The Real Thing
12. Not Here With Me
All tracks written by Fred Hendrix, except 4 written by Ron Hendrix, 6 Fred Hendrix & Ron Hendrix
String arrangements by Ron Hendrix

■Personnel
Fred Hendrix - lead vocal, guitar
Gesuino Derosas - lead guitar, backing vocal
Lars Beuving - drums, backing vocal
Ron Hendrix - keyboards, organ, grand piano, backing vocal
Lucien Matheeuwsen - bass guitar, backing vocal 

additional musicians - Tom Salisbury, Peter de Wint, Piet Van den Heuvel
The Galaxy String Orchestra conducted by Joris Van den Hauwe

Producer - Fred Hendrix 
 

Love of My Life / Terra Nova (1996)

0079Love of My Life
オランダのメロハー・バンド、テラ・ノヴァのミニ・アルバム。シングル用に編集された"Love of My Life"、同曲と"Livin' It Up"のアルバム・バージョン、それから1stアルバムLivin' It Upの日本国内リリースに際しカットされてしまった3曲、計6曲が収録されています。アルバム収録曲はともかく、カットされた3曲を聴きたいというファン向けアイテムですね。

さてその3曲ですが、まず"Get off My Case"はソリッドなリフとバックのオルガンがディープ・パープルを思わせるハードな曲。" On Fire"も同様のハードロックですが、さらにテンポが速い疾走系の曲。2曲ともジェスィーノ・デローザスのギター・ソロがものすごくカッコいいです。この人、そこらへんのメタル・ギタリストよりよっぽどテクニックとフィーリング両面で優れてると思います。"Like a Rock"はドゥービー・ブラザース風のコーラスが爽やかなアコースティック曲。うーむ、3曲ともすごくいい曲です。カットすることで確かにアルバムのハード・ポップ色が際立つと思いますが、逆にテラ・ノヴァの豊かな音楽性を切り縮めてしまったような気がします。もったいないな~。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Love of My Life (edit version)
02. Livin' It Up
03. Get off My Case
04. On Fire
05. Like a Rock
06. Love of My Life (album mix)
All tracks written by Fred Hendrix. Except tracks 4 written by Fred Hendrix and Gesuino Derosas

■Personnel
Fred Hendrix - lead vocal, guitar
Gesuino Derosas - guitar, backing vocal
Lars Beuving - drums, backing vocal
Ron Hendrix - keyboards, backing vocal
Lucien Matheeuwsen - bass, backing vocal

Producer - Fred Hendrix
Except tracks 1, 2, 6 produced by Fred Hendrix, Geoff Foster, André Koning
 

Livin' It Up / Terra Nova (1996)

0064Livin' It Up
オランダ産メロハー・バンド、テラ・ノヴァの1996年リリースの1stアルバムです。レコーディング・メンバーはフレッド・ヘンドリックス(vo, gt)、ジェスィーノ・デローザス(gt)、ラルス・バウヴィンク(ds)、ルシアン・マテウソン(ba)、フレッドの弟ロン・ヘンドリックス(key)の5人。


このバンドはハード・ポップという言葉がピタっとあてはまる音楽性で、サイダーみたいにすっきり爽やか青空系、アホかと思うほど明るく弾けています。中心人物でボーカリストのフレッド・ヘンドリックスの書くメロディがそもそも明るく楽しい上に、彼の声質と歌唱がまたカラっと爽快なので、メロハーと言ってもしっとり哀愁系とは対極にある音が特徴となっています。#1"Livin' It up"、#3"Hey Babe"、#5"Come on"、#7"Once Bitten Twice Shy"などは、そんな彼らの個性が遺憾なく発揮された底抜けに楽しいハード・ポップです。テラ・ノヴァはまたバラードにも定評があるのですが、このアルバムでは#6"Summernights"、#8"Children of the Shade"、#10"Love of My Life"と3曲が収録されています。それから、ジェスィーノ・デローザスのコンパクトでメロディアスなギター・ソロも聴き所。特に、ファンキーなハードロック・ナンバー#9"Only the Strong Survive"での、テクニカルでありながら歌心のあるギターはゾクゾクするほどかっこいいです。

ライナーによれば、フレッド・ヘンドリックスが自らプロデュースし自主制作したテープをあちこちのレーベルに送って、やっと日本ビクターとの契約にこぎつけリリースとなったそうです。以前ほどではないにせよ、日本は伝統的にHM/HR、特にメロハーが支持されている地域なわけですが、このバンドのスタートアップにも、日本のレーベルやリスナーのバックアップがあったというのも感慨深いものがあります。また、パフォーマンスやソング・ライティングだけにとどまらず、これだけのクォリティのアルバムを自力で制作したフレッド・ヘンドリックスの才能も凄いですね。なお、オリジナルのテープには13曲収録されており、メジャー・リリースにあたって3曲がカットされています。その3曲はEPLove of My Lifeに収められています。もちろん現在は廃盤となっていますが、中古で比較的容易に入手できます。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Livin' It up 
02. Interlude
03. Hey Babe
04. If Dreams Are Forever
05. Come on
06. Summernights
07. Once Bitten Twice Shy
08. Children of the Shade
09. Only the Strong Survive
10. Love of My Life
All tracks written by Fred Hendrix. Except tracks 7, 9 written by Fred Hendrix and Gesuino Derosas

■Personnel
Fred Hendrix - lead vocal, guitar
Gesuino Derosas - guitar, backing vocal
Lars Beuving - drums, backing vocal
Ron Hendrix - keyboards, backing vocal
Lucien Matheeuwsen - bass, backing vocal
 

Producer - Fred Hendrix
Except tracks 1, 10 produced by Fred Hendrix, Geoff Foster, André Koning

リヴィン・イット・アップ
テラ・ノヴァ
ビクターエンタテインメント
1996-10-23

 

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