メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。

リッチー・ズィトー

Don't Come Easy / Tyketto (1991)

129Don't Come Easy










ピート・ウェイ(ex-UFO)のWaystedのボーカリストに抜擢されて注目されたダニー・ヴォーン、その彼がWaysted解散後自ら結成したバンドがタイケットです。他のメンバーはジミ・ケネディ(ba.)、マイケル・クレイトン(dr.)、ブルック・セント・ジェイムス(gt.)。大手のGeffenと契約し、敏腕リッチー・ズィトーをプロデューサーに迎えて制作された1stアルバムDon't Come Easyは1991年にリリースされています。

ダニー・ヴォーンの伸びやかで溌剌としたボーカル、カラっと乾いたサウンド、これこそまさにアメリカン・ハードロックの典型でしょう。曲調はバリエーションに富んでいながらチグハグにならず、アルバム全体の統一感もしっかりあります。アコギが多用されていますが、それがシャキシャキしたドライな印象と空気感を強調しています。リード・ギタリストのブルック・セント・ジェイムスのプレイは、巧みに組み立てられたコンパクトなフレーズが非常に好印象。そしてイントロから胸をワクワクさせてくれる名曲#1"Forever Young"の素晴らしさ!サビの歌い出し「ふぉ~ればぁやーんっ!」とつい一緒に歌ってしまうカッコよさ!!シングルでヒットしたのも頷けます。これをオープニング曲にもってきたのは大正解でしょう。

ちなみに#1"Forever Young"と#7"Walk On Fire"の作者の一員としてクレジットされているDilellaとは、ジミー・ディレラ(Jimmy Dilella)のことだと思います。ジミー・ディレラは、Waystedのメンバーだったポール・チャップマンがUFO後、Waysted前にやっていたバンドD.O.Aにダニー・ヴォーンとともに参加しいてた人で、Waystedのサポート・メンバーを勤めたこともあります。それから、本作のアディショナル・ミュージシャンの中に、Giantのキーボードで知られるアラン・パスクァの名前があるのも目を引きます。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Forever Young
02. Wings
03. Burning Down Inside
04. Seasons
05. Standing Alone
06. Lay Your Body Down
07. Walk On Fire
08. Nothing But Love
09. Strip Me Down
10. Sail Away
All songs written by Tyketto except track 1 and 7 written by Tyketto and Dilella

■Personnel
Michael Clayton - drums, percussion, vocals
Jimi Kennedy - bass, vocals
Brooke St. James - electric and acoustic guitars, colal sitar, vocals
Danny Vaughn - lead vocals, acoustic guitars, harmonica

Arthur Barrows - keyboards
Alan Pasqua - keyboards
Richie Zito - various keyboards, guitar, vocal fiddlings

Producer - Richie Zito 

 

Bad English / Bad English (1989)

0061Bad English

ジャーニー(Journey)活動休止後のニール・ショーン(gt)とジョナサン・ケイン(key)、元ザ・ベイビーズ(The Babys)のジョン・ウェイト(vo)とリッキー・フィリップス(ba)、さらにニール・ショーンのソロ・アルバムで起用されていたディーン・カストロノヴォ(dr)の5人が結成したバッド・イングリッシュ(Bad English)の1stアルバム。80年代に絶大な人気を誇ったジャーニーと、70年代末に活躍した有名バンドであるベイビーズの合体ということで、スーパーグループとして鳴り物入りでのデビューでした。ジョナサン・ケインはジャーニーに引き抜かれる前はベイビーズのメンバーだったわけだし、ソング・ライティングの面でも、出来上がったサウンドの面でも、実態としてはベイビーズ組が主導するバンドだったことは明らかだと思います。著名度から見ればジャーニーのニール・ショーンの新バンドと喧伝されるだろうし、本人もそのつもりだったのでしょうが、悲しいかなニール・ショーンは脇役でしかありません。意地の悪い見方をすると、ベイビーズの再結成にニール・ショーンが利用されたと言えなくもありません。

曲調としては、ジョン・ウェイトのブルージーで渋いボーカルを前面に押し出した、ポップでメロディアスなハードロック。まさにベイビーズの延長線上にあるサウンドです。バラード好きのアメリカ市場を十分意識して、全13曲中バラードが4曲入っています。収録曲の多くがジョン・ウェイトとジョナサン・ケイン主導で書かれていますが、外部ライターが大量に起用されているのも注目です。全米1位に輝いたバラード#5"When I See You Smile"は、大ヒットを量産しているダイアン・ウォーレン(Diane Warren)の作品。彼女の他にも、マーク・スピロ(Mark Spiro)、デヴィッド・ロバーツ(David Roberts)、マーティン・ペイジ(Martin Page)、トッド・サーニー(Todd Cerney)、アンディ・ヒル&ピーター・シンフィールド(Andy Hill & Peter Sinfield)がクレジットされていますが、いずれも数多くのアーティストに楽曲を提供している名うてのソング・ライターばかりです。バラエティに富んだ水準の高い楽曲を揃えたことで、アルバム全体として非常に高品質な仕上がりとなっています。筆者のお気に入りは、ハードなサウンドとドラマチックなメロディが魅力的な#4"Forget Me Not"、隙間の多いサラッとした風合いがラストにふさわしい#13"Don't Walk Away"。この曲を書いたコンビの片割れのピーター・シンフィールドって、キング・クリムゾンの「作詞担当メンバー」だったあのピート・シンフィールドなんですよね。

プロデューサーは、チープ・トリック、ラット、ポイズンなどのプロデュースで知られるリッチー・ズィトー(Richie Zito)。シングルカットされた5曲ともBillboard Hot 100にチャート・イン、うち3曲がTop40入りし、アルバム自体もアルバム・チャート21位まで到達するヒット作品となっています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Best of What I Got (John Waite, Jonathan Cain, Neal Schon)
02. Heaven is a 4 Letter Word (Neal Schon, Jonathan Cain, John Waite, Mark Spiro)
03. Possession (John Waite, Jonathan Cain, Ricky Phillips)
04. Forget Me Not (John Waite, Jonathan Cain, Mark Spiro)
05. When I See You Smile (Diane Warren)
06. Tough Times Don't Last (Jonathan Cain, David Roberts, John Waite)
07. Ghost in Your Heart (John Waite, Martin Page, Jonathan Cain)
08. Price of Love (John Waite, Jonathan Cain)
09. Ready When You Are (Jonathan Cain, John Waite, Neal Schon, Todd Cerney)
10. Lay Down (John Waite, Neal Schon, Jonathan Cain)
11. The Restless Ones (John Waite, Jonathan Cain, Ricky Phillips)
12. Rockin' Horse (Neal Schon, John Waite, Jonathan Cain)
13. Don't Walk Away (Andy Hill, Peter Sinfield)

■Personnel
John Waite - vocals
Neal Schon - guitars, vocals
Jonathan Cain - keyboards, vocals
Ricky Phillips - bass, vocals
Deen Castronovo - drums, vocals

Producer - Richie Zito

Von Groove / Von Groove (1992)

0037Von Groove

カナダのトロントから出てきたメロディアス・ハードロック・バンド、ヴォン・グルーヴの1stアルバム。「メロハー」と言い切ってしまうより、ハードロックの中ではメロディアスな音というのしっくり来るのかな。その辺は実は微妙な感覚なわけですが。ヴォン・グルーヴは、トロント生まれのトロント育ちのマ シュー・ジェラード(Ba)、イギリスはニューキャッスル生まれのトロント育ちマイケル・ショットン(Vo, Dr)、旧ユーゴスラヴィアのクロアチア生まれでトロントに移住したムラデン(Gt)のトリオ編成。いずれもカナダのロック・シーンで数多くのスタジオ・ ワークをこなしてきたセッション・ミュージシャンです。スタジオ・ミュージシャンが集まって作ったバンドというと、ダン・ハフのジャイアントを思い浮かべますが、出てくる音に違いはあれ、音楽的な技量という面では同じく安心して聴いていられます。演奏・歌唱に不安定さのカケラもありません。

出だしが下品ですが、#1"Once Is Not Enough"から骨太なロックン・ロール全開でうれしくなります。ただし、ストレートなようでいてちょっとひねくれた感じもあり、一筋縄ではいかないバ ンドという印象です。筆者のお気に入りは#6"House Of Dreams"、一発でガツンとくる名曲です。ハードなサウンドに哀愁メロディが乗っかって、これぞメロディアス・ハード!リフが#13"Sweet Pain"と似すぎなんですが。。。切ないバラード#4"Once In A Lifetime"、これもとても良い曲です。ボーナス・トラックの#15"King Of Your World"も、ライブの熱さが伝わってきて素晴らしい。このバンド最近音沙汰ありませんが、ライブ・アルバムを出したらいいのにと思います。

なお、いくつかの曲ではマイケル・ショットンではなく、バッド・イングリッシュ~ハード・ライン~ジャーニーと、ニール・ショーンと行動をともにしているディーン・カストロノヴォがドラムを叩いています。プロデュースはバンド自身で行っていますが、ディーン・カストロノヴォが参加している曲のプロデュースには、リッチー・ズィトーの名前がクレジットされています。このアルバムの前にバッド・イングリッシュのプロデュースを担当した縁かもしれません。元々は セッション・ギタリストでしたが、バッド・イングリッシュのほかにも幅広いジャンルのアーティスト、たとえばチープ・トリック、ラット、ジョー・コッ カー、エリック・カルメンなどのアルバム制作に携わってきたベテラン・プロデューサーです。そのほか、後にマシュー・ジェラードがプロデュースするTotal Strangerのアル・ラングレイドもバッキング・ボーカルでクレジットされています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Once Is Not Enough (Von Groove)
02. Better Than Ever (Von Groove)
03. Can’t Get Too Much (Von Groove)
04. Once In A Lifetime (Von Groove)
05. Every Beat Of My Heart (Von Groove)
06. House Of Dreams (Von Groove)
07. C’mon, C’mon (Von Groove)
08. All The Way Down (Von Groove)
09. Arianne (Von Groove)
10. Slave To Sin (Von Groove)
11. Love Keeps Bringing Me Home (Von Groove)
12. Smaug (Von Groove)
13. Sweet Pain (Von Groove)
※日本盤ボーナストラック
14. Soldier Of Fortune (Von Groove)
15. King Of Your World (Live) (Von Groove)

■Personnel
Matthew Gerrard - bass guitar, backing vocals, keyboards, all programming and sequencing
Michael Shotton - lead and backing vocals, drums
Mladen - all guitars, mandolin, backing vocals

Deen Castronovo - drums on 1, 4, 5, 6
Tommy Funderburke - backing vocals
Al Langlade - backing vocals
Grant Cummings - backing vocals
John Metherell - backing vocals
Steve McPhail - backing vocals
Norm Arnold - percussion
Scott Humphrey - keyboards, digital sound editing
Ivana - girl's voice on 1
Rhonda - girl's voice on 13

Producer - Von Groove
Except Tracks 1, 4, 5, 6 Produced by Richie Zito

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