メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

ラニー・コードラ

Silk + Steel / Giuffria (1986)

0433Silk + Steel









House of Lordsの前身バンドGiuffriaの2ndにしてラスト・アルバム。リーダーのグレッグ・ジェフリア(Key)、デヴィッド・グレン・アイズレー(Vo)、アラン・クリガー(Ds)は前作と変わらず、ギターはクレイグ・ゴールディからラニー・コードラに、ベースはチャック・ライトからデヴィッド・サイクスにチェンジしています。また、プロデューサーには同じMCAレーベルでNight Rangerを成功に導いたパット・グラッサーが起用されています。

グレッグ・ジェフリアの壮麗なキーボードと、デヴィッド・グレン・アイズレーの野生的なボーカルという対照的な要素が面白かった前作を引き継いで、本作でも同様のキャッチーなアメリカン・ハードロックをやっています。ただし、前作以上にJourneyっぽくなってしまいました。おまけに、前作からのシングル・カット"Call to the Heart"がそこそこヒットしたためか、2匹目、3匹目のドジョウをねらって収録曲の半分ほどがバラードになっています。これはいかがなものか。ハードロック・バンドが変な色気を出してバラードを連発するとロクなことになりません。スピード・チューンの2曲、#6"Radio"と#7"Heartache"はリフもメロディも無茶苦茶カッコいいのですが、アルバム全体の印象はなんともヌル過ぎます。ちなみにリリース当時はLPで、A面がSilk Side、B面がSteel Side、バンドの硬軟両面を聴かせるという趣向で、Silk + Steelというタイトルもそれを示しているようですが、それほどくっきりとサウンドに違いがあるようには思えません。結果として、アルバムはチャート60位、シングル"I Must Be Dreaming"は52位、"Love You Forever"は100位以内に入ることもなく、商業的には前作に遠く及ばず失敗作と見做されることになります。

その後、MCAに見放されたGiuffriaはリズム・セクションをチャック・ライト(B)とケン・メリー(Ds)にチェンジして、なおも3枚目のアルバム制作に取り掛かりますが、結局この3作目は正式には陽の目を見ることなくお蔵入りとなってしまいます。そして、Kissのジーン・シモンズの設立したレーベルの下で、ボーカルをジェイムズ・クリスチャンに入れ替えバンド名もHouse of Lordsと変更、より純度の高いハードロック・バンドして再出発することになります。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. No Escape (G. Giuffria, D. G. Eisley)
02. Love You Forever (G. Giuffria, D. G. Eisley)
03. I Must Be Dreaming (W. Deville)
04. Girl (G. Giuffria, D. G. Eisley)
05. Change of Heart (G. Giuffria, D. G. Eisley)
06. Radio (G. Giuffria, D. G. Eisley, L. Cordola)
07. Heartache (G. Giuffria, D. G. Eisley)
08. Lethal Lover (G. Giuffria, D. G. Eisley, L. Cordola)
09. Tell It Like It Is (G. Giuffria, D. G. Eisley)
10. Dirty Secrets (G. Giuffria, D. G. Eisley)
[Bonus Track]
11. Say It Ain'T True (G. Giuffria, D. G. Eisley)

■Personnel
Gregg Giuffria - Keyboards, Vocoder
David Glen Eisley - Lead & Backing Vocals, Harmonica
Lanny Cordola - Lead Guitar, Backing Vocals
Alan Krigger - Drums
David Sikes - Bass Guitar, Backing Vocals

Producer - Pat Glasser (#1~2, #4~6, #8~10)
Gregg Giuffria & David Glen Eisley (#3, #7), Gregg Giuffria (#11)

Silk & Steel
Giuffria
Music on CD
2023-10-13

 

House of Lords / House of Lords (1988)

0152House of Lords









アメリカのハードロック・グループHouse of Lords(ハウス・オブ・ローズ)が1988年にリリースした1stアルバムです。このバンドの前身は、元Angelのキーボード奏者グレッグ・ジェフリア率いるGiuffria。1stは売れたものの2ndがコケてレコード会社から切られたGiuffriaは、Angel時代に縁のあったKissのジーン・シモンズと接触します。ジーン・シモンズは自身が立ち上げたレーベルSimmons Recordsとの契約に同意したものの、バンド名とリード・ボーカルを変えることを指示。新ボーカルには、ジェフ・カンタナのバンドJasper Wrathや、Jasper Wrathの残党が結成したEyesで歌っていたジェイムズ・クリスチャンが決定。また、Giuffriaを離れQuiet Riotでプレイしていたベーシストのチャック・ライトも再合流。ギターのラニー・コードラ、ドラムのケン・メリーはそのままGiuffriaから横すべり。こうしてGiuffriaはHouse of Lordsとして再出発することになります。録音が始まっていたGiuffriaの3rdアルバムのデモ音源は、デヴィッド・グレン・アイズレー(お払い箱になったGiuffriaのボーカリスト)が2001年にリリースしたThe Lost Tapesで聴くことができます。そこには本作収録曲"Pleasure Palace"、"Slip of the Tongue"、"Jealous Heart"のオリジナル・バージョンも含まれています。余談ですが、このデヴィッド・グレン・アイズレーという人はミュージシャンになる前はサンフランシスコ・ジャイアンツ所属の野球選手で、近年では俳優としても活躍しているらしい。それから奥さんはあのオリビア・ハッセーらしい。いや、まったく余談でした。

さて音のほうですが、いたってオーソドックスなハードロックです。威風堂々として重厚なサウンドと、デヴィッド・カヴァーデイルやロバート・プラントを思わせるジェイムズ・クリスチャンのブルージーな歌唱が相まって、まるっきりブリティッシュ・ハードロック。とてもアメリカのバンドとは思えません。そしてバンドの実力は超一流。アルバムの中では異色の曲ですが、Deep Purple風シャッフル#4"Lookin' for Strange"を聴けば一発で並のバンドではないことが分かります。ドラムとベースはパワー感とスリリングさが尋常でなく、ハードロックのリズム隊としてまさにパーフェクト。ギターはテクニカルかつエモーショナル。このラニー・コードラというギタリストは、時にジャズっぽいフレーズを交えるなど巧者でありながら、延々とテク見せびらかしに走らないのが好ましい。グレッグ・ジェフリアのキーボードも必要以上に前に出すぎず、それでいてサウンドを格調高くするのに役立っています。いや~ベタほめです。しかし、1曲だけまったくもってつまらない#8"Under Blue Skies"、これで興をそがれるのがなんとも残念です。

本作のプロデュースはアンディ・ジョンズ。2013年に亡くなっていますが、ロック・ミュージック分野のプロデューサー/エンジニアとしては最も著名な人物の一人でしょう。Humble Pie、Free、Cinderella、Van Halen、L.A. Guns、Chickenfootと枚挙に暇が無いほど多くのアルバム制作に携わっています。また、バック・ボーカルにジェフ・スコット・ソートがクレジットされているのが意外です。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Pleasure Palace (Gregg Giuffria/David Glen Eisley)
02. I Wanna be Loved (Mandy Meyer, Steve Johnstad)
03. Edge of Your Life (Lanny Cordola/Chuck Wright/Brett Alstadt)
04. Lookin' for Strange (Lanny Cordola/Chuck Wright/James Christian/Gregg Giuffria)
05. Love Don't Lie (Stan Bush)
06. Slip of the Tongue (Gregg Giuffria/David Glen Eisley/Rick Nielsen)
07. Hearts of the World (Gregg Giuffria/Lanny Cordola/Chuck Wright)
08. Under Blue Skies (Gregg Giuffria/David Glen Eisley/Johnny Warman)
09. Call My Name (Gregg Giuffria/Chuck Wright/James Christian/Lanny Cordola)
10. Jealous Heart (Gregg Giuffria/David Glen Eisley/David Roberts)

■Personnel
James Christian - lead vocals
Gregg Giuffria - keyboards
Lanny Cordola - guitars
Chuck Wright - bass
Ken Mary - drums

Jeff Scott Soto - backing vocals

Producer – Andy Johns, Gregg Giuffria
Executive Producer – Gene Simmons

House of Lords
House of Lords
Music on CD
2013-04-25

 
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