メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。

マーク・マンゴールド

Relaunch / Houston (2011)

0089Relaunch
スウェーデンのメロハー/AORユニット、ヒューストンの2作目。全9曲中、6曲がカバー、2曲が1st収録曲のアコースティック・バージョンで、新曲は1曲のみですので、実質カバー・アルバムです。カバーされているのは、ダコタ、マイケル・ボルトン、エアレース、タッチ、ニュー・イングランド、ローラ・ブラニガン。もちろん曲が悪いはずはありません。しかし、まだ若い新人なのになんで2作目がカバー・アルバム?それなりのキャリアがあり、ミュージシャンとしての個性がある程度知られていてこそ、その人たちが元曲をどう料理するか興味が湧くのではないでしょうか。その点いささか疑問です。

ヒューストンはフレディ・アレン(dr)、ハンプス・ハンク・エリックス(vo)の二人だけの編成ですので、リッキー・B・デリン、トミー・デナンダー、マッツ・オラウソン、トーマス・ヴィクストロムなどスウェーデンのミュージシャン達が全面的にバックアップしているのは前作と同じ。それに加えて、タッチの"Don't You Know What Love Is"では、マーク・マンゴールド本人までがキーボードとボーカルで参加しています。いや~、これは嬉しかったですね。また、" Brief Encounter"でもエアレースのローリー・マンズワースがギターを弾いています。

前作のレビューでは、楽曲は抜群なのにサウンドが悪すぎるという感想を書きましたが、残念ながら本作も全く同様の印象です。スーパーの店内BGMやローカルTV局のCMを思わせるチープな音、たどたどしいドラム。。。なんでこうなるのかな。YouTubeにアップされているヒューストンのライブ動画をいくつか見ましたが、ホームビデオの音というのを差し引いても、歌唱・演奏とも安心して聴ける水準ではありません。アルバム裏ジャケの写真と同じメンツなので、バンド・メンバーはほぼ固定しているようです。("Don't You Know What Love Is"の動画で、みんな若そうなメンバー中一人だけオジさんが歌っていますが、プロデューサーのリッキー・B・デリンです。)どういう大人の事情で「二人のユニット」という不完全な編成になっているのか知りませんが、やっぱりフル編成のパーマネントなバンドでリハと曲作りに精進してほしい。他力本願のアルバムを粗製乱造するのではなく、バンド一体となって心血を注いだ作品を聴かせてほしい。同郷、同世代のH.E.A.Tのように。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Runaway (Jerry Hludzic & Bill Kelly ~ originally recorded by Dakota)
02. Carrie (Michael Bolton ~ originally recorded by Michael Bolton)
03. Brief Encounter (Laurie Mansworth ~ originally recorded by Airrace)
04. Don't You Know What Love Is (Mark Mangold ~ originally recorded by Touch)
05. Don't Ever Wanna Lose Ya (John Fannon ~ originally recorded by New England) 
06. Didn't We Almost Win It All (Brian BecVar & Laura Branigan ~ originally recorded by Laura Branigan) 
07. Without Your Love (Ricky B. Delin)
08. Truth Slips [Acoustic] (Ricky B. Delin & Freddie Allen)
09. 1000 Songs [Acoustic] (Ricky B. Delin & Johan Kronlund)

■Personnel
Hampus Erix - lead and backing vocals
Freddie Allen - drums

Ricky B. Delin - keyboards, synth bass, and backing vocals, duet vocal on 4
Jay Cutter - keyboards on 4
Mats Olausson - keyboards on 3
Tommy Denander - guitars
Laurie Mansworth - guitars on 3
Mark Mangold - keyboard solo, backing vocals, and duet vocal on 4
Lasse Falck - bass on 1, 2, 6
Soufian Ma'Aoul - bass on 3, 4, 5
Tomas Vikström - backing vocals on 4, 7
Elize Ryd - backing vocals on 7

Producer - Ricky B. Delin

Tracks 8 & 9
Performed by Hampus Erix, Helena Alsterhed and Jay Cutter
Produced by Houston 

The Complete Works I & II / Touch (1979,1981)

0003Touch The Complete Works

タッチ、懐かしいです。NWOBHMの勃興を受けて始まった HR/HM系の一大イベント「モンスターズ・オブ・ロック」、1980年の第一回目の最初の出演者がタッチなんですね。この時のライブ録音がオムニバス盤としてLPレコードで発売され、筆者もリアルタイムで聴きました。そのレコードの収録曲の中で、レインボーやスコーピオンズといった名だたるアーチストよりも印象に残ったのが、無名バンドだったタッチの"Don't You Know What Love Is"でした。今回は、タッチの1stと、リリースされなかった2ndをカップリングして1998年に発売されたThe Complete Works I & II のご紹介です。便宜的に1stと2ndを別けて書いてみます。

【Disk 1 - Touch I】
■Tracks
01. Don't You Know What Love Is (M. Mangold)
02. When The Spirit Moves You (M. Mangold)
03. Love, Don't Fail Me (M. Mangold)
04. Black Star (M. Mangold)
05. There's A Light (M. Mangold)
06. So High (M. Mangold)
07. Last Chance For Love (M. Mangold)
08. Yes (You Need To Rock 'N Roll) (D. Howard, M. Mangold)
09. Listen (Can You Feel It) (M. Mangold)
※Bonus Track
10. My Life Depends On You (M. Mangold)
11. Don't You Know What Love Is [LIVE]

■Personnel
Craig Brooks - Vocals, Guitars
Mark Mangold - Vocals, Keyboards
Doug Howard - Vocals, Bass
Glenn Kithcart - Drums, Percussions

Producer - Tim Friese-Greene
Except Track 11 Produced by Roger Glover

タッチは、70年代にValhalla、American Tearsといったバンドでいわゆるプログレハード的な音楽を作ってきたマーク・マンゴールドが結成したバンドです。ライナーノートによれば、バンドはデビュー・アルバムの製作にあたって、当時クイーンやジャーニーのプロデュース、またT.レックスのエンジニアとして著名だったRoy Thomas Bakerのプロデュースを希望していたようですが、それは叶いませんでした。そこで、彼のエンジニアで、プロデュース経験もあるティム・フリース-グリーン(Tim Friese-Greene)がプロデュースを担当することになりました。ティム・フリース-グリーンはプレイング・マンティスの伝説の1stアルバムもプロデュースしています。また、シティ・ボーイのHeads Are Rollingも彼のプロデュースです。シティ・ボーイのMike Slamerは、後にStreetsやSteelhouse Laneなどのバンド活動の他に、セッション・ギタリスト、プロデューサー、コンポーザーとしても大活躍する人です。タッチのマーク・マンゴールドも、同様の道を歩むことになります。プロデューサーやエンジニア、それからコンポーザーまで含めてメロハー業界を見渡すと、地下茎のように人脈がつながっているのが分かります。

このタッチの1stアルバムは、全体としてカラフルでポップなプログレハードという印象です。中でも"Don't You Know What Love Is"の出来栄えが特に素晴らしい。クレイグ・ブルックスの高音が伸びるボーカルと、マーク・マンゴールドのハスキーな低音が掛け合いながら、美しいメロディを綴っていく進行がほんとうにワクワクさせてくれます。この曲はシングルカットされ、英メロディメーカー・チャートで1位、米ビルボード・チャートでは69位を記録しています。マーク・マンゴールド生涯の傑作だと思います。ボーナスでモンスターズ・オブ・ロックのライブ・バージョンが再録されているのもうれしい限り。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

【Disk 2 - Touch II】
■Tracks
01. Never In Love (M. Mangold)
02. Just One Step (M. Mangold)
03. Frozen On A Wire (M. Mangold)
04. Far Enough (M. Mangold)
05. Too Much In Love (M. Mangold)
06. Take It Back (M. Mangold)
07. Anything For Rock 'n Roll (C. Brooks, M. Mangold)
08. You're Not A Child Anymore (M. Mangold)
09. Between The Lines (M. Mangold)
10. Beg Me (M. Mangold)
11. Is It Really Me? (M. Mangold)
12. Feels Like Love (M. Mangold)
13. Let Me Love You (M.Mangold)
14. Tonight [Rough mix version] (M. Mangold)
15. Just Take A Beat Of My Heart [Rough mix version] (M. Mangold)
16. Look [Rough mix version] (M. Mangold)
17. I Found Someone [Rough mix version] (M. Mangold, M. Bolton)

■Personnel
Craig Brooks - Vocals, Guitars
Mark Mangold - Vocals, Keyboards
Doug Howard - Vocals, Bass
Glenn Kithcart - Drums

Producer - Todd Rundgren
Except Track 6 Produced by Roger Glover & Mark Mangold
Except Tracks 14-17 Produced by Touch

2ndアルバムは、天才トッド・ラングレンをプロデューサーに迎えて製作されました。ところが、これもライナーの情報ですが、トッドはほとんど顔を出さず、彼のエンジニアが作ったも同然だったようです。仕上がりに満足しないレコード会社がリリースを拒否、結局2ndはお蔵入りという悲運に見舞われることになりました。今回日の目を見たこの2ndアルバムのクレジットで、6曲目を除いてプロデュースはトッド・ラングレンとなっていますが、実際は1~13曲目まで全てロジャー・グローバー(ディープ・パープル~レインボー)がプロデュースし直したテイクが収められています。14~17曲目は当初はアルバムに収録されていなかったもの。

中身についてですが、基本的には1stと同じ路線です。サックスが入ったAOR風の曲などもあり、音楽性の幅が広がったとも言えますが、反面やや散漫な印象も受けてしまいます。

2ndアルバムをめぐるゴタゴタが続く中でバンドは解散状態となり、マンゴールドは、マイケル・ボルトンとの仕事を皮切りにコンポーザーとしての道を歩むことになります。また、Drive She Said~Mystic Healer~The Signとバンド(プロジェクト?)活動も継続、メロハー業界のキーマンの一人となっています。ベースのダグ・ハワードはスタン・リア(StunLeer)というグループでアルバムをリリースしています。メイン・ボーカルのクレイグ・ブルックスだけは、ロジャー・グローバーのソロ・アルバムに参加したり、マンゴールドと共にマイケル・ボルトンの曲を書いたりしている他にはその後の消息が分かりません。消えてしまうには惜しいボーカリストだと思うのですが。。。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。




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