末期Thin Lizzyでキーボードを弾いていたダレン・ウォートンが率いるDareの1stアルバムです。メンバーは、後にTenのギタリストとなるヴィニー・バーンズ、同じくTenのThe Name of the Rose に参加するベースのシェリー(マーティン・シェルトン)とキーボードのブライアン・コックス、それから前後の経歴は不明ですがドラムにジェイムス・ロス。プロデュースは、エンジニア、ミキサー、プロデューサーとして数多くのメジャー・アーティストを手がけたマイク・シプリーと、自身もミュージシャンでありジャズ系のプロデュースが多いラリー・クラインが担当しています。
本作で聴ける音楽は、ジャケットのイメージそのままの、いかにもイギリスのバンドらしいウェットで叙情的なもの。ヒースやムーアといったイギリス的な荒地、霧に包まれた森、あるいは小雨に濡れたレンガ造りの家並み、そんな情景が目に浮かぶようなサウンドです。同じメロハーでも、FireHouseやTykettoのようなカラっと乾いたアメリカン・ロックの対極にある音だと思います。モノトーンを思わせるサウンド、憂いを帯びたメロディ、ダレン・ウォートンのささやくような歌唱、それらが一体化してバンドの個性となっているのが見事。時折顔をのぞかせるケルティック・メロディも、やり過ぎない程度で実にいい塩梅です。Tenではやや過剰なまでに叫び泣きまくるヴィニー・バーンズのギターも、コンパクトかつ程よく抑制されたフレーズでこれまた好印象。全体に淡白でさらっとした楽曲が多い本作の中で、割と強烈な哀愁を放つ#8"Heartbreaker"が一番耳に残るかな。いずれにしても、血湧き肉躍るようなアルバムではありませんが、聴き飽きることの無い好盤であることは間違いありません。
評価 ★★★★☆
★★★★★ 傑作
★★★★☆ 秀作
★★★☆☆ 佳作
★★☆☆☆ 凡作
★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。■Tracks
01. Abandon (Lyrics : D. Wharton / Music : D. Wharton, V. Burns)
02. Into the Fire (Lyrics & Music : D. Wharton)
03. Nothing Is Stronger Than Love (Lyrics : D. Wharton / Music : D. Wharton, V. Burns)
04. Runaway (Lyrics & Music : D. Wharton)
05. Under the Sun (Lyrics & Music : D. Wharton)
06. The Raindance (Lyrics & Music : D. Wharton)
07. King of Spades (Lyrics & Music : D. Wharton)
08. Heartbreaker (Lyrics : D. Wharton / Music : D. Wharton, V. Burns)
09. Return the Heart (Lyrics & Music : D. Wharton)
10. Don't Let It Go (Lyrics : D. Wharton / Music : D. Wharton, V. Burns)
■Personnel
Darren Wharton - Vocals, Keyboards
Vinny Burns - Guitars
Shelley - Bass
James Ross - Drums
Brian Cox - Keyboards
Producer – Mike Shipley, Larry Klein