0086Once
アメリカのメロディアス・ハードロック・バンド、スタン・リアのおそらく唯一のアルバム。このバンドは、マーク・マンゴールド率いるタッチのメンバーだったダグ・ハワードが在籍したということで、多少話題になったような記憶があります。彼はタッチ解散からスタン・リア加入までの間、タッチの2ndのプロデュースに関わったトッド・ラングレンのユートピアで活動したり、ダン・ハートマンの後任としてエドガー・ウインター・グループに参加したりしていました。他にプロデューサーとしての仕事もこなしながら、音楽的素養を深めていったようです。タッチではベースとサイド・ボーカルを担当していましたが、スタン・リアでは専任リード・ボーカルとなっています。

スタン・リアは、元Ball and Pivotのベーシストだったポール・マイケルのメンバー募集に、マイケル・マッケイブが応募したことによって結成されます。マイケル・マッケイブは、エクストリーム結成以前のヌーノ・ベッテンコートと共にSinfulというアマチュア・バンドを組んでいた経歴の持ち主です。最後にボーカリストとしてダグ・ハワードがバンドに加わり、曲作りが本格的に開始されましたが、アメリカのメジャー・レーベルには相手にされず、ようやくドイツのメロハー・レーベルMTMと契約、アルバム・リリースに漕ぎ着けたということです。後日談ですが、実はこのバンドの2ndアルバムも制作されましたが、結局それはダグ・ハワードのソロ・アルバムとしてリリースされることになります。

スタン・リアの楽曲、サウンドは、親しみやすいメロディラインを大切にしたハードロック。まさにメロディアスハードど真ん中です。ところどころジャーニー的だったり、LAメタルを思わせる部分もあったり、それなりにバリエーションもあり飽きさせません。メジャー・キーの爽快系の曲もいいのですが、筆者は#1"Love Is a Liar"や#2"Go, Don't Go"のような、マイナー・キーでリフが印象的な正統派ハードロックっぽい曲に、彼らの持ち味が出ているように感じました。ダグ・ハワードはややハスキーな声質でちょびっとガナリ気味の歌唱、中々イイ感じです。楽曲、演奏、歌唱とも抜きん出た個性というものは感じられませんが、メロハー好きには価値のあるアルバムだと思います。

バンドはギター、ベース、ボーカルのトリオ編成ですので、ドラムなどはゲスト・ミュージシャンでまかなっています。その中で、メインのドラマー兼プロデューサーとしてクレジットされているアンソニー・レスタは、ヌーノ・ベッテンコートのソロ・アルバムのプロデュースや、エクストリームへの楽曲提供などで知られるマルチ・ミュージシャンです。また同じくプロデューサーの一人としてクレジットのあるボブ・セント・ジョンも、エクストリームのアルバムのプロデュースをしてきた人。マイケル・マッケイブから繋がるヌーノ・ベッテンコートがらみの人脈と推察できます。
 
評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Love Is a Liar
02. Go, Don't Go
03. If You Want Love
04. Eye to Eye
05. Foolin'
06. No Words Can Say
07. Come to Me
08. All the King's Horses
09. Hungry Eyes
10. Deliver
All tracks by Paul Michael, Michael McCabe, Doug Howard

■Personnel
Paul Michael - bass
Michael McCabe -  guitars, backing vocals
Doug Howard - vocals

Anthony Resta - drums, percussion
Paul Cervone - synthesizers
Derek Blevens - drums on 3, 9
Brian Rahilly - guitar solo on 4
Bobby O'Donnel - additional backing vocals
John Foster - additional backing vocals
Peter Chiklas - additional backing vocals

Producer - StunLeer with Bob St. John, Anthony Resta, Paul Cervone
Executive Producer - Paul Michael