0310Last Tiger









イギリスのメロハー・バンド、Change of Heartの4枚目のアルバム。なんと前作から11年ぶりのリリースです。もうあきらめていただけに、ネットで見かけたときは嬉しかったですね。即注文しました。日本盤ライナーノーツによると、バンドは解散状態で本作はリーダーのアラン・クラークのソロ・プロジェクトとして発表される予定でしたが、Escape Musicレーベルの親分カリル・タークからの勧めでChange of Heartの復活作としてレコーディング、リリースされたようです。また、バンド・メンバーとしてクレジットのあるミュージシャンはアルバム完成後に加入したもので、実際のレコーディングはアラン・クラークの他、ゲストとしてクレジットされたポール・ヒューム、ニール・オグデン、サム・オグデン、ジョン・テイラーで行なわれたとのことです。ポール・ヒュームとニール・オグデンはLawless、Demonのメンバーで、ポール・ヒュームは本作のプロデューサーも務めています。

アラン・クラークと言えば、スティーヴ・オーヴァーランドとクリス・ウーズィーを合わせたような声質と歌唱で、明るい歌でも悲しげに聞こえてしまうという稀有な個性が特徴でした。本作はその持ち味を全面に押し出しています。以前あったアメリカン・ロックっぽい曲は無くなり、ほぼ全曲マイナー・キーでスロー~ミドル・テンポという、過剰なまでに「哀愁」にこだわった作品となっています。いや「哀愁」とか「叙情」とかいうレベルを超えて、「悲哀」をまき散らすという感じでしょうか。この重厚さ、湿り気、哀しさは、まさにブリティッシュ・ハードロックの真髄だと強く感じます。バンドもみな上手いです。特にどっしりしたドラムは聴き応えがあります。ギターは現代風というのか、ちょっとピロピロし過ぎな感じで、もっと音数少なく泣きまくってくれたら最高なのですが、まあ贅沢言っても仕方ありません。とにかく、昔ながらのブリティッシュ・ロック好きなら絶対外すことのできないアルバムでしょう。

なお、ボーナストラックの#12"Out in the Cold"はAOR風の佳曲なので、買うならこれが聴ける日本盤をお薦めします。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Rise to the Challenge
02. Wayward Son
03. Roads of My Life
04. March of Souls
05. Holy Days
06. Touch Your Soul
07. Hold Onto Love
08. Last Tiger
09. Stone Cold (In Your Eyes)
10. Silent Rage
11. Only Tomorrow
12. Out in the Cold [Japan Bonus Track]

■Personnel
Alan Clark - lead vocals, guitar
Nick Catterick - lead guitar, vocals
John Sykes - keyboards, vocals
Jeff Hopkins - bass, vocals

Paul Hume - all guitars, backing vocals
Sam Ogden - all drums except #11, #12
Neil Ogden - drums #11, #12
John Taylor - all bass, keyboards

Producer - Paul Hume
Executive Producer - Khalil Turk

Last Tiger
CHANGE OF HEART
ルビコン・ミュージック
2016-08-24