メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

ボビー・バース

Axe / Axe (1979)

0441Axe









フロリダ出身のメロディアス・ハードロック・バンドAxeの1stアルバムです。リリース当時はLPでしたが日本盤は発売されず'(後にCD化され発売)、日本ではあまり知名度は高くないようです。1stと2ndはMCA、3rdと4thはATOCOと大手レーベルから出ていることから分かるように、本国ではそれなりに売れているし、日本人好みの音だと思われるのに、日本盤が出なかったのが不思議なくらいです。

本作時点でのラインナップは、中心人物のボビー・バース(G, Vo)、マイケル・オズボーン(G)、エドガー・ライリー・ジュニア(Key)、マイケル・タービン(B)、テディ・ミューラー(Ds)の5人。アメリカのバンドには珍しくウェットで陰りのあるハードロックをやっています。煮え切らないメロディとカラッとしないネクラなサウンドがなんとも魅力的なんです。人によっては「ダサい」で終りそうですが、これはダサカッコいいというべきでしょう。70年代の録音なので音に変な加工がされておらず、ギターはいかにもアンプが鳴っているのが分かるし、ドラムもちゃんと太鼓を叩いている音で録れていて、サウンド的にも好印象です。このバンドの代表作となる3rdOffering、4thNemesisの完成度には及びませんが、メロハー・ファンには本作も聴き逃せないアルバムだと思います。

なお、1993年にBrunetteから発売された日本盤CDの他に、1997年ニュージーランドAxepertise Entertainmentから発売されたCDがあります。こちらにはAxeの前身バンドBabyfaceが1977年にリリースした唯一作から5曲(LPのA面)がボーナスとして収録されており、同じくAxepertise Entertainmenttから出ているAxeの2ndLiving on the EdgeにはB面の5曲が収録されています。筆者が聴いているのはこのニュージーランド盤です。BabyfaceはメンバーがほとんどAxeと同じなのにサウンドはかなり違っていて、ロック、カントリー、ソウル、ファンク等様々な要素がごった煮状態。これはこれで面白いです。Babyfaceのアルバムはおそらく単体ではCD化されておらず、これは非常に貴重なボーナスでしょう。可能ならこちらを入手するのがお薦めです。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Life's Just an Illusion (Riley Jr.)
02. Hang On (Riley Jr.)
03. Sympathize (Barth)
04. How Come I Love You (Riley Jr.)
05. Forever (Barth)
06. Back on the Streets (Barth)
07. Doin' the Best That I Can (Osborne)
08. You're Out of Line (Osborne)
09. Battles (Barth)
[Bonus Tracks]
10. Never in My Life (Barth)
11. How Long Can a Rock and Roll Band Keep Carryin' On (Barth)
12. Angeline (Barth)
13. Songwriter (Barth)
14. Stone Cold (Barth, Turpin)

■Personnel
Bobby Barth - Guitar, Vocals
Michael Osborne - Guitar, Vocals
Edgar Riley Jr. - Keyboards, Vocals
Michael Turpin - Bass, Vocals
Teddy Mueller - Drums

Producer - Michael Lloyd

Babyface
Bobby Barth - Lead Guitar, Lead Vocals
Edgar Riley Jr. - Keyboards, Background Vocals
Michael Turpin - Bass, Background Vocals
Bob Miles - Drums, Percussion

Producer - Dan R. Holmes
 

Citadel / Guild of Ages (2001)

0415Citadel









改名前のCaught in the Act時代から通算して5枚目となるGuild of Agesのアルバムです。メンバーは2ndアルバムから変わらずダニー・マルティネズ(Vo, G)、アンツ・トゥルヒーヨ(G)、ジェイムズ・ローステッター(B)、スティーヴ・スタンツ(Ds)の4人、プロデュースも引き続きAxeのボビー・バースが担当しています。前作あたりからリフなどにヘヴィな要素が増してきましたが、本作でも叙情的で陰影に富んだメロディアス・ハードロックという基本路線は貫かれています。今回の注目点は、Jaded Hardなどで知られるドイツ人ボーカリストのマイケル・ボーマンが曲作りに関わっていること。欧州のミュージシャンが米国のバンドの曲を書くというのは珍しいと思います。米国産でありながら欧州的な音を出すGuild of Agesであればこそかもしれません。この人選の背景としては、少し前にボビー・バースがJaded Hardの4枚目のアルバムをプロデュースしているので、彼の仲介があったのではないかと推測できます。外部からのアイディア導入の成果もあってか、メロディのクォリティも一時期に比べて一段と回復していますが、このバンドのメロディ・ラインやアレンジの特徴みたいなものは特に変化したようには感じられません。緊張感溢れるメロディ展開が印象的な#1"Wicked Game"、横ノリのリズムとキャッチーなサビがカッコいい#2"Losing My Religion"など佳曲も多く、メロハー愛好家にはまず楽しめる内容だと思います。ただ、決定的な名曲というものが無く、やはり1stアルバムの域には達していないのが残念です。

Guild of Agesはこのアルバムを最後に解散(活動停止?)となり、ボーカルのダニー・マルティネズと旧メンバーのジョー・マローンはRelapsedというバンドを結成しますが、近年Guild of Agesとして復活し2018年に6thアルバムRiseをリリースしています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Wicked Game (Trujillo, Martinez, Stuntz, Lostetter, Bormann)
02. Losing My Religion (Trujillo, Martinez, Stuntz, Lostetter, Bormann)
03. From Now On (Trujillo, Martinez, Stuntz, Lostetter)
04. Until the End (Trujillo)
05. So This Could Be You (Trujillo, Martinez, Stuntz, Lostetter, Bormann)
06. Reaching Out (Trujillo, Martinez, Stuntz, Lostetter)
07. That's Why (Trujillo, Martinez, Stuntz, Lostetter, Bormann)
08. How Many Times (Trujillo, Martinez, Stuntz, Lostetter, Bormann)
09. Feeding the Fire (Trujillo, Martinez, Stuntz, Lostetter, Bormann)
10. How Can I Say (Trujillo, Bormann)

■Personnel
Danny Martinez - Vocals, Guitar
Anthony "Antz" Trujillo - Guitars, Background Vocals
James Lostetter - Bass
Steve Stuntz - Drums, Background Vocals

Producer - Bobby Barth

Citadel
Guild of Ages
Mtm
2004-09-27

 

Vox Dominatas / Guild of Ages (1999)

0328Vox Dominatas









アメリカのメロハー・バンドGuild of Agesの4thアルバム。バンド改名からは2作目となります。ダニー・マルティネズ(Vo, Gt)、アンツ・トゥルヒーヨ(Gt, Key)、ジェイムズ・ローステッター(Ba)、スティーヴ・スタンツ(Ds)と2ndアルバムHeat of Emotionから同じメンバーで、プロデュースもAxeのボビー・バースで変わらず。同じくAxeのボブ・ハリスがバック・ボーカルで引き続き参加しています。

アメリカン・ハードロックとしては珍しいウェットで叙情的なメロディがこのバンドの魅力。先輩バンドAxeと共通する音楽性です。本作でもその持ち味は変わっていません。時代に合わせてヘヴィな要素が加わっていますが、それも味付け程度でむしろ楽曲の幅を広げる効果が出ているようです。1作ごとに低下傾向だった楽曲のクォリティも少し持ち直したように感じます。中でも、哀愁メロディが秀逸な#2"Change (Hey You)"、#3"Bring the Revolution On"、#9"Waiting for the Dawn"、曲展開がドラマチックな#7"Set Me Free"などは、Guild of Agesの本領発揮の佳曲だと思います。なお、本作にはカバーが2曲収録されています。#6"Wish That I Was There"は、ジョナサン・ケイン(Journey, Bad English)のアルバムBack to the Innocence収録曲、#10"Hungry Like the Wolf"はDuran Duranの1982年の大ヒット曲です。他の曲と明らかにメロディラインやリズムが違っていて、最初「ん?」となりましたが、聴き慣れると意外にイイ感じで違和感は無くなりました。

ボーナス・トラックの4曲は3rdアルバムOneのヨーロッパ盤にカップリングされているLive Over Germanyからの抜粋です。Live Over Germanyそのものの入手は難しいようですが、東芝EMIから出ている国内盤1st~4thのボーナス・トラックとして全14曲が分割されて収録されているので、これらを買い揃えれば全曲を聴くことができます。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Let It Go (Martinez, Trujillo, Lostetter, Stuntz)
02. Change (Hey You) (Martinez, Trujillo, Lostetter, Stuntz)
03. Bring the Revolution On (Martinez, Trujillo, Lostetter, Stuntz)
04. Save Me Tonight (Martinez, Trujillo, Lostetter, Stuntz)
05. Jump in the Fire (Martinez, Trujillo, Lostetter, Stuntz)
06. Wish That I Was There (Cain, Waite)
07. Set Me Free (Martinez, Trujillo, Lostetter, Stuntz)
08. When You Run Away (Martinez, Trujillo, Lostetter, Stuntz)
09. Waiting for the Dawn (Martinez, Trujillo, Lostetter, Stuntz)
10. Hungry Like the Wolf  (Taylor, Taylor, Taylor, Rhodes, Le Bon)
[Bonus Tracks]
11. No Heroes (Live) (Barth, Nazarian)
12. Cold Sweat (Live) (Sykes, Lynott)
13. Life Goes On (Live) (Martinez, Trujillo, Lostetter, Stuntz)
14. Stand or Fall (Live) (Martinez, Barth, Trujillo, Marone, Benson)

■Personnel
Danny Martinez - vocals, guitar
Anthony "Antz" Trujillo - guitar, vocals, keyboards
James Lostetter - bass, vocals
Steve Stuntz - drums,  vocals

Bobby Barth - keyboards, background vocals
Gusty Christensen - keyboards
Bob Harris - background vocals

Producer - Bobby Barth

Vox Dominatas
Guild of Ages
Cargo UK
1999-06-28

 

One / Guild of Ages (1998)

0196One









アメリカのメロディアス・ハードロック・バンド、ギルド・オブ・エイジスの3rdアルバム。コートイン・ジ・アクトから改名後の初作品です。アメリカンなのにカラっとした感じがなく、湿り気と哀愁を感じさせる曲調、陰影に富んだサウンドは相変わらずです。ただし、アルバムごとに楽曲のクォリティが少しずつ低下しているような気がしてなりません。メロハーというのは、とにかくキャッチーで親しみ易い、メロディが分かりやすいというのがウリなわけですが、それは裏返せばクサい、俗っぽいというのと紙一重。元々このバンドは歌唱も演奏もそこそこレベルで、唯々メロディの良さが身上だったので、そのメロディの質が低下すればアラが目立ちクサさが鼻につくということになりかねません。アルバム全体がスローからミドルテンポの曲で占められ、しかも長尺化しているので、マッタリ感が増しているのも気になります。本作はまだまだ十分楽しめるレベルですが、筆者の好みのバンドだけにちょっと心配です。メンバーはリーダーのダニー・マルティネズ以下前作と変わらず、プロデュースもこれまでと同様にアックスのボビー・バースが担当しています。また、前作に引き続きアックスのボブ・ハリスがキーボードとバック・ボーカルで参加しています。

過去二作のレビューでも触れましたが、このアルバムもゼロ・コーポレーションからリリースされたオリジナル盤と、東芝EMI再発盤の2種類の国内盤があります。EMI再発盤には"Two Hearts"、"Silent Soldiers"、"Everytime (I Close My Eyes)"以上3曲のライブ音源が追加収録されています。ライブ音源はOne のヨーロッパ盤にカップリングされているLive Over Germany からの抜粋です。Live Over Germany そのものの入手は難しいようですが、EMIから出ている1st~4thのボーナス・トラックとして全14曲が分割されて収録されているので、これらを買い揃えれば全曲を聴くことができます。

※改名前のコートイン・ジ・アクト(Caught in the Act)と、改名後のギルド・オブ・エイジズ(Guild of Ages)を、このブログでは同じバンドとして扱っています。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Into the Night
02. Live to Fight
03. Will I Surrender
04. River of Desire
05. I Believe
06. Walk the Line
07. Something Inside
08. Heaven is Waiting
09. Looking for Love
10. On the Wire
11. Angels
All songs written by Martinez, Trujillo, Lostetter, Stuntz

■Personnel
Danny Martinez - vocals, guitar
Anthony "Antz" Trujillo - guitar, vocals, keyboards
James Lostetter - bass, vocals
Steve Stuntz - drum,  vocals

Bob Harris - keyboards, backing vocals
Rob Lowe - additional keyboards
Ian Gilchrist - additional keyboards
Bobby Barth - additional keyboards, backing vocals

Producer - Bobby Barth

One
Guild of Ages
Cargo UK
1998-05-22

Heat of Emotion / Caught in the Act (1996)

0146Heat Of Emotion









米国コロラド産のメロハー・グループ、コートイン・ジ・アクトの2ndアルバム。アメリカのバンドらしからぬウェットなサウンドが特徴だったAxeの"弟分"バンドということで、1st同様このアルバムも叙情的なメロディとハーモニーがメロハー・ファンを喜ばせる作品となっています。ただ全般的な印象としては、Axeのカヴァー2曲を含め名曲・佳曲てんこ盛りで、楽曲に関してだけはFair WarningやPraying Mantisに迫ろうかという前作と比べると曲の出来にムラがあります。編曲も前作より平凡。もともと淡白な感じのサウンドでしたが、少し薄味すぎる感じ。もうちょっと味が濃いほうがいいかなと。リード・ギターも弾きすぎないのはいいとして、今回はなんだかテンションが低いしアラが目立ちます。うーん、全体にもうひとがんばりしてほしいところです。

メンバーはリーダーのダニー・マルティネズ(Gt,Vo)とアンツ・トゥルヒーヨ(Gt, Key)は変わらず、ベースはジェイムズ・ローステッター、ドラムはスティーヴ・スタンツにチェンジしています。プロデュースには前作と同じくAxeのボビー・バースがあたり、#7"Miles Away"ではバック・ボーカルにも参加しています。また、Axeのボブ・ハリスが#9"Can't We Make It"のバック・ボーカルに入っています。

なお、このアルバムにはゼロ・コーポレーションからリリースされた1996年盤と、東芝EMIから再発された1999年盤の2種類の国内盤があります。EMI再発盤には"Cold Sweat"(Thin Lizzyのカヴァー)と、"Far Behind"、"Can't We Make It"、"Say a Prayer"のライブ音源3曲、計4曲のボーナス・トラックが追加収録されています。ライブ音源は3rdアルバムOneのヨーロッパ盤にカップリングされているLive Over Germanyからの抜粋です。Live Over Germanyそのものの入手は難しいようですが、EMIから出ている1st~4thのボーナス・トラックとして全14曲が分割されて収録されているので、これらを買い揃えれば全曲を聴くことができます。筆者は再発盤を聴いていますが、"Cold Sweat"はこのバンドにあまり似合っているとは思えないし、取り立ててライブ・パフォーマンスが凄いということもないので、現在格安で手に入るゼロ盤で十分だと思います。

※コートイン・ジ・アクト(Caught in the Act)は、3rdアルバムからギルド・オブ・エイジズ(Guild of Ages)と改名しますが、このブログでは同じバンドとして扱っています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Far Behind
02. Heat of Emotion
03. Life Goes On
04. Endless Summer
05. Livin 4 Somebody Else
06. Fly Angel Fly
07. Miles Away
08. Say a Prayer
09. Can't We Make It
10. I'll Cry No More
11. Find My Way
12. Cold Sweat [Bonus Track]
13. Far Behind [Live]
14. Can't We Make It [Live]
15. Say a Prayer [Live]
All songs written by Martinez, Trujillo, Lostetter, Stuntz
except 9 by Barth, Martinez, Trujillo, Lostetter, Stuntz 12 by Sykes, Lynott

■Personnel
Danny Martinez - lead vocals, guitar
Anthony "Antz" Trujillo - guitar, vocals, keyboards
James Lostetter - bass, vocals
Steve Stuntz - drum,  vocals

Bob Harris - keyboards, background vocals
Eddie Guion - additional keyboards
Bobby Barth - background vocals

Producer - Bobby Barth 

ヒート・オブ・エモーション
コート・イン・ジ・アクト
EMIミュージック・ジャパン
1999-11-10

 

Relapse of Reason / Caught in the Act (1995)

0096Relapse Of Reason
アメリカのメロハー・バンド、コート・イン・ジ・アクトの1stアルバムです。このバンドはコロラド州デンバーの高校生バンドが母体となって1988年に結成されたということで、1stアルバム収録時点でのメンバーは、ダニー・マルティネズ(Gt,Vo)、アンツ・トゥルヒーヨ(Gt, Key)、トロイ・ベンソン(Ds)、ジョー・マローン(Ba)の4人。ただし、アルバムのリリース前にジョー・マローンが、リリース後のツアー終了時にはトロイ・ベンソンが脱退してしまっています。ダニー・マルティネズとジョー・マローンは後にRelapsedというバンドで再合流するのですが、それはずっと先のお話。このバンドの関係者の名前や風貌からして、スペイン系かヒスパニック系のコミュニティから出てきたように思います。ま、音には直接の関係ありませんが。なお、このバンドは3rdアルバムからギルド・オブ・エイジズ(Guild of Ages)と改名しますが、煩雑なのでこのブログでは同じバンドとして扱います。

プロデュースを担当しているのはアックス(Axe)のボビー・バース(Bobby Barth)。彼は元々マネジメント面からこのバンドに関わりはじめ、プロデュースとミックスも担当、更に一部の楽曲でソング・ライティングにも関わっています。加えて、アックスのキーボードのエドガー・ライリー・ジュニアをレコーディングに参加させるという力の入れようです。本作にはアックスのレパートリーの中から#6"Steal Another Fantasy"、#12"Silent Soldiers"の2曲がカバーされています。この当時アックスはすでに解散していましたが、ボビー・バースはアックスの後継バンドとしてコート・イン・ジ・アクトをバック・アップしようとしていたのかもしれません。アックスは、アメリカのメロハー・バントとしては湿り気を帯びた影のあるサウンドが特徴でした。このコート・イン・ジ・アクトも非常に似通った持ち味があり、歌唱も演奏も特にずば抜けてハイテクとか個性的とかいうわけではないのですが、叙情的で陰影に富む楽曲の良さが際立っています。また、コーラスやキーボードの入れ方、SEの使い方など細かい部分のセンスも抜群。そのあたりはやはり手練のボビー・バースのなせる業なのでしょう。結果として聴き応えがあり、また聴き飽きることのないアルバムに仕上がっています。しかし、グランジ・オルタナ全盛の90年代のアメリカでは、当然のことのようにこのような音楽が広く受け入れられる素地はなく、リリースはスウェーデンの Empire Recordsから。ヨーロッパと日本ではそこそこ評判になったようです。

収録されている曲は、どの曲もメロディが印象的でアレンジの練り込みも秀逸なのですが、筆者はLP時代からアックスのOffering を聴きたおしていて、中でも"Steal Another Fantasy"と"Silent Soldiers"が特に好きだったので、この2曲のカバーはなんとも嬉しかったです。それにしても、このバンドのオリジナル曲とアックスのカバーがなんら違和感なく並んでいることからも、2つのバンドの近似性を感じます。

なお、このアルバムにはゼロ・コーポレーションからリリースされた1995年盤と、東芝EMIから再発された1999年盤の2種類の国内盤があります。EMI再発盤にはボーナス・トラックとして"Heat of Emotion"、"Through the Years"、"Relapse of Reason"、"These Eyes"計4曲のライブ音源が追加収録されています。この4曲はギルド・オブ・エイジズ改名後の3rdアルバムOne のヨーロッパ盤にカップリングされているLive Over Germany からの抜粋です。 Live Over Germany  そのものの入手は難しいようですが、EMIから出ている1st~4thのボーナス・トラックとして全14曲が分割されて収録されているので、これらを買い揃えれば全曲を聴くことができます。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Everytime (I Close My Eyes) (J. Marone, D. Martinez, A. Trujillo, R. Marone, G. Stowell)
02. Through the Years (J. Marone, D. Martinez, A. Trujillo, R. Marone, S. Brown)
03. These Eyes (J. Marone, D. Martinez, A. Trujillo, T. Benson)
04. Stand or Fall (J. Marone, D. Martinez, A. Trujillo, B. Barth, T. Benson)
05. Two Hearts (B. Barth, S. Bush)
06. Steal Another Fantasy (B. Barth)
07. Relapse of Reason (J. Marone, D. Martinez, A. Trujillo, R. Marone, S. Brown)
08. Fall (J. Marone, D. Martinez, A. Trujillo, R. Marone, G. Stowell)
09. No Heroes (B. Barth, B. Nazarian)
10. Who Will You Run To (B. Barth, G. Ciancimino)
11. Changes (J. Marone, D. Martinez, A. Trujillo, R. Marone, G. Stowell)
12. Silent Soldiers (B. Barth)

■Personnel
Danny Martinez - guitar, lead vocals
Antz Trujillo - guitar, keyboards, vocals
Troy Benson - drums, percussion, vocals
Joe Marone - bass, vocals

Edgar Riley, Jr. - additional keyboards
Brett Bryant - additional keyboards

Producer - Bobby Barth 

リラプス・オブ・リーズン
コート・イン・ジ・アクト
ゼロ・コーポレーション
1995-08-09

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