メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

ファブリツィオ・グロッシ

The Dream / Ramos - Hugo (2008)

0459The Dream









歌も見た目もスティーヴ・ペリー似のシンガーHugoことヒューゴ・ヴァレンティと、The StormやHardlineといったJourneyメンバー関連のバンドでギターを弾いてきたジョシュ・ラモスがタッグを組んだRamos - Hugoの唯一作。聴かなくても音が分かるような露骨なプロジェクトですが、リリースがFrontiers RecordsなのでおそらくFrontiersが企画したものなのでしょう。プロデュースはファブリツィオ・グロッシ、ミックスとマスタリングはデニス・ワード(PC 69)と、Frontiersにありがちな布陣となっています。エグゼクティヴ・プロデューサーとして経営者のセラフィーノ・ペルジーノがクレジットされているのもいつも通りです。ヒューゴとジョシュ・ラモス以外のラインナップは、ジョン・マカルーソ(Ds)、ジェイミー・ブラウン(B)、エリック・ラグノ(Key)となっています。

で、中身は予想通りJourney風のメロディアスハード。Journeyをあまり好まない筆者としてはイマイチな印象を受けてしまいます。しかし、よく聴くと曲の出来は結構いいんですね、これが。リフのカッコいいスピード・チューン#1"You’re Not Alone"、ブルージーでドラマチックなバラード#4"Fools Game"、さらっとしたポップ・ナンバー#6"I Don’t Want to Say Goodbye"、ジョシュ・ラモスがここぞとばかりに弾きまくる#10"I Can Take You"あたりは特に気に入りました。腕達者のそろったインスト・パートは十分に聴き応えがあるわけだし、Journeyに似せることに拘らず、別人のボーカルで、そしてキーボードよりギターが前に出るアンサンブルだったら、全然印象が違ってきそうです。まあ、それではこのプロジェクト企画の意味が無くなってしまいますけど。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. You’re Not Alone (Music: Josh Ramos, Lyrics: Hugo Valenti)
02. All That I Wanted (Music: Eric Ragno, Lyrics: Hugo Valenti)
03. The Dream (Music: Eric Ragno, Lyrics: Hugo Valenti)
04. Fools Game (Music: Eric Ragno, Lyrics: Hugo Valenti)
05. Bring Back This Love (Music: Josh Ramos, Lyrics: Hugo Valenti)
06. I Don’t Want to Say Goodbye (Music: Josh Ramos, Lyrics: David Elan Peterson)
07. When You Get Lonely (Music: Eric Ragno/Josh Ramos, Lyrics: Hugo Valenti)
08. In the City (Music: Eric Ragno, Lyrics: Hugo Valenti)
09. Tomorrow (Music: Eric Ragno, Lyrics: Hugo Valenti)
10. I Can Take You (Music: Eric Ragno, Lyrics: Hugo Valenti)

■Personnel
John Macaluso - Drums
Eric Ragno - Keyboards
Jamie Brown - Bass
Josh Ramos - Guitars
Hugo Valenti - Vocals

Producer - Fabrizio Grossi
Executive Producer - Serafino Perugino

ザ・ドリーム
ラモス・ヒューゴ
キングレコード
2008-12-10

 

Indigo Dying / Indigo Dying (2007)

0270Indigo Dying









チリ出身の女性ボーカリスト、ギザ・ヴァッキーを主役にすえたメロハー・プロジェクトIndigo Dying(インディゴ・ダイング)の、今のところ唯一作。楽曲はオリジナルではなく、オルタナティヴ系からポップ・ソウルまで様々なアーティストの曲をカバーしています。リリースはイタリアのメロハー・レーベルFrontiers Recordsで、同じ頃ミケーレ・ルッピをフィーチャーして制作されたLos Angelesと同様の企画です。プロデュースはFrontiersお抱えのファブリツィオ・グロッシでベースも兼任。その他バックを勤めたプレイヤーは、ジョン・マカルーソ(Ds)、モルディ・ハウザー(Gt)、トミー・デナンダー(Gt)、ジェイミー・テラモ(Key)と、これもLos Angelesとだいぶ重なっています。また、マイケル・キスク(Helloween、Unisonic etc)とマーク・ボールズ(Yngwie Malmsteen、Ring of Fire etc)がゲスト・ボーカルとして動員され、さすがに堂々とした歌いっぷりを披露しているのも注目点。

さてアルバムの中身ですが、筆者には色々と疑問符が付いてしまうものでした。静かなピアノをバックに歌い出して、歪み切ったギターと大音量のドラムとベースがいきなり入ってくるというようなパターンが多く、それが鼻につきます。ゴシック・メタル・バンドやEvanescenceを想起させるようなサウンドで、静と動を対比させるといった狙いがあるのかも知れませんが、果たして成功しているのかどうか。ギザ・ヴァッキーの歌唱自体は表情豊かで好感が持てるものです。しかし、メロディ・ラインも種々雑多なカバー曲を、同じような強烈なサウンドをバックに、それでも有無を言わせず自分の持ち歌のように聴かせるほどの歌唱力や強烈な個性はありません。むしろボーカルがバンドの爆音に埋もれがちになってしまっています。もちろんそれは、主役を振られたギザ・ヴァッキーや、スタジオで指示通り仕事をしたミュージシャンの責任ではないでしょう。選曲・アレンジからサウンド・プロダクションまで、レコーディング一切を取り仕切ったであろうファブリツィオ・グロッシを含め、レーベル側の問題です。ちょっと無理のある企画だったんじゃないかなぁ。ギザさんは以前ユーミンのアルバムにバック・ボーカルで参加したこともあるらしい。ソロ歌手として初めてのアルバムだったのに、オリジナル曲ではなくカバー企画一発でその後音沙汰なくなってしまったギザさんが、なんだか可哀相に感じてしまうのです。

 評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. All I Never Wanted (Kara DioGuardi/John Shanks)
02. Hear Me (Kelly Clarkson/Kara DioGuardi/Clif Magnes)
03. Breathe in Water (Anggun/Jean Fauque/Jean Pierre Taieb)
04. Better (Tiffany Arbuckle Lee/Shaun Shankel/Matt Bronleewe)
05. Taken (Tiffany Arbuckle Lee/Shaun Shankel/Matt Bronleewe)
06. Superman (Sahaj Ticotin)
07. Island (Debby Holiday)
08. Remember (I.O.U.) (Eric Durrance/Rick Jackson)
09. Real Life Fairytale (Matt Bronleewe/Tiffany Arbuckle Lee)
10. Far Enough (Sahaj Ticotin)
11. Shattered Life (Joseph Rojas/Josh Schwartz/Jeremy Holderfield)
12. Go (Anggun/Jean Pierre Taieb)
13. Go ( Remixed )

■Personnel
Gisa Vatcky - Lead & Backing Vocals
John Macaluso - Drums
Mordechai "Mordy" Hauser - Guitars
Jamie Teramo - Keyboards, B3, Piano
Fabrizio Grossi - Bass, Orchestrations Programming, Sitar, Acoustic Guitar
Tommy Denander - Additional Guitars
Joshua Berkowitz - Additional Guitars
Michael Kiske - Vocals on "Breathe In Water"
Mark Boals - Vocals on "Superman" and "Fair Enough"

Producer – Fabrizio Grossi

Indigo Dying
Indigo Dying
Locomotive Spain
2008-04-22

Neverland / Los Angeles (2009)

0154Neverland









ミケーレ・ルッピのメロハー/AORプロジェクト、ロサンゼルスの2ndアルバムです。前作はリチャード・マークスなどのカヴァー・アルバムでしたが、今回はミケーレ・ルッピ自身とバンド・メンバーの書いたオリジナルを中心に収録。中にはDokkenのジョージ・リンチが関わった楽曲もあります。その他、Khymera、House of Lords、From the Insideといったメロディアスハード系のバンドに楽曲提供しているジェイムズ&トム・マーティン兄弟の楽曲が2曲、リチャード・マークスのカヴァーが1曲、ボーナスでリンジー・ローハンのカヴァーが1曲。いずれも出来も良く、ミケーレ・ルッピの超人的な歌唱を存分に堪能できます。前作がバラード集だったこともあり、#1"Neverland"、#5"Wait for You"のようなアップ・テンポの曲は新鮮な印象。とにかくこの人の伸び伸びとして艶やかな声は、いつまでも聴いていたくなるほど気持ちよく、中毒になってしまいそうです。

本作もセッション・ミュージシャンの作ったオケでトップ・クラスのシンガーに歌わせるという、Frontiers Recordsの一連の企画ものの一つです。インスト・パートを受け持ったミュージシャンは、ドラムにはトニー・モーラ、ベースはプロデューサーのファブリツィオ・グロッシが兼任。ギターは前作ではトミー・デナンダーがメインで弾いていましたが、本作では加えてロベルト・プリオリとジョーイ・サイクスがクレジットされています。キーボードはエリック・ラグノがメイン、一部ファブリツィオ・グロッシとロベルト・プリオリも担当しています。インスト・パートはファブリツィオ・グロッシの統括によって録音されています。スタジオはナッシュビル、サンタクラリタ、ボローニャ、ストックホルムの4ヶ所。ボーカル・パートは全てミケーレ・ルッピ自身のプロデュースにより、ファブリコの彼のホーム・スタジオで録音されています。前作同様メンバーが一堂に会することは無く、各パートの素材を送られたファブリツィオ・グロッシがアルバムに仕立て上げたのだと思われます。筆者は「ロックはパッションだ!人と人とのぶつかり合いだ!」などと言いがちな古い人間なので、こういうシステマチックな制作スタイルに若干の違和感を覚えるのですが、黙って聴いていればとにかく最高品質の音楽であることは間違いないので、とりあえず深く考えないことにします。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。 

■Tracks
01. Neverland (M. Luppi/R. Priori/F. Grossi)
02. Nothing to Hide (Richard Marx)
03. City of Angels (M. Luppi/F. Grossi)
04. Promises (M. Luppi/R. Priori/F. Grossi)
05. Wait for You (Tom & James Martin)
06. Nowhere to Run (M. Luppi/G. Lynch/F. Grossi)
07. Tonight Tonight (Tom & James Martin)
08. Higher Love (J. Sykes/F. Grossi)
09. Living Inside (E. Ragno/M. Luppi/F. Grossi)
10. Welcome to My Life (J. Sykes/F. Grossi)
11. Paradise (M. Luppi/R. Priori/F. Grossi)
12. Confessions of a Broken Heart (G. Wells/L. Lohan/K. Dioguradi) [Japanese Bonus Track]

■Personnel
Tony "AJ" Morra – Drums
Fabrizio Grossi - Bass, Programming, Sound/Scape, Percussions, Keyboards
Roberto Priori - Guitars, Keyboards
Tommy Denander – Guitars
Joey Sykes – Guitars
Eric Ragno - Keyboards
Michele Luppi - Lead & Backing Vocals

Producer - Fabrizio Grossi
 
ネヴァーランド
ロサンゼルス
キングレコード
2010-01-27

 

Anything for You / Tommy Funderburk (2005)

143Anything For You









エアプレイ(Airplay)、キング・オブ・ハーツ(King of Hearts)のボーカリストとして、また裏方セッション・ボーカリストとして、AORの世界では名の知れたトミー・ファンダーバークの2014年現在唯一のソロ・アルバム。キーボーディストであるグレッグ・マティソンと共に進めていたアルバム作りが、AORやメロディック・ロックの旗色が悪い現在のアメリカ音楽事情ゆえに頓挫し、書き溜めた曲も発表の機会が失われそうになったところに、イタリアのFrontiers Recordsから声がかかり陽の目を見たという作品です。Frontiersはヨーロッパや日本向けにメロハー/AOR作品を数多くリリースしているレーベルで、ヴァーディゴ(ジョセフ・ウィリアムス)や、ロサンゼルス(ミケーレ・ルッピ)のような、楽曲とオケを用意してシンガーに歌わせるプロジェクト企画が得意技。ただし、本作は前述のような事情であくまでトミー・ファンダーバークのソロ・アルバムとして制作されたものです。

Frontiers御用達のファブリツィオ・グロッシがプロデュースとベース等を担当。その他のレコーディング参加ミュージシャンもFrontiersレーベルのアルバムでよく見かける面々で、キーボードにアーニー・ロススタイン、ギターにジム・スカットリン、ロブ・ヴァンニ、フィル・ブラウン、ドラムにホアキン・カンナイウオロ(?)、ビッグス・ブライス。音の方はいかにもFrontiersらしいハード系AOR。AORリスナーからはうるさいと言われそうだし、ハードロック・ファンからはヌルいと言われそう。でもメロハー好きならど真ん中です。トミー・ファンダーバークのボーカルも独特の味わいがあります。曲も高水準なのですが一撃必殺のメロディが無いのが残念。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Learning How to Love (G. Mathieson/T. Funderburk)
02. Remermber Our Love (B. Gaitsch/T. Funderburk)
03. Anything for You (G. Mathieson/T. Funderburk)
04. Only You Can Give Me (G. Mathieson/T. Funderburk)
05. To Say You Love Me (G. Mathieson/T. Funderburk)
06. You Got the Love (G. Mathieson/T. Funderburk)
07. Skin (T. Watson/T. Wild/J. Singh)
08. The Garden (G. Mathieson/T. Funderburk)
09. Second Chance (G. Merrill/S. Rubicam/K. Sultan)
10. Say a Little Prayer (M. Thompson/T. Funderburk)
11. Dig a Little Deeper [Bonus Track]

■Personnel
Tommy Funderburk - all lead and backing vocals
Fabrizio V. Zee Grossi - bass, keyboards, samples and loops
Arny Rothstein - keyboards
JM Scattolin - guitars
Rob Vanni - lead guitars
Phil Brown - additional guitars
Joachin Cannaiuolo - drums
Biggs Brice - drums

Producer - Fabrizio V. Zee Grossi 

エニシング・フォー・ユー
トミー・ファンダーバーク
キングレコード
2005-01-26

   

Music From the Fab Box / Fab Box (2009)

0039Music From The Fab Box

イタリアのロック・シーンでキャリアを積んできた二人のミュージシャン、ファブリツィオ・ウゴリーニとマッシモ・ボッジによるメロディック・ロック・デュオ、ファブ・ボックスのデビュー・アルバム。リリースはドイツのAOR/メロハー専門レーベルAvenue of Allies Musicから。ジャケットを見て想像がつくように、アコースティック・ギター主体のソフトなサウンドなんですが、肝心のメロディはこれがまた、メロハー者なら一聴して分かる「メロハー的メロディ」のオンパレード!しかも哀愁系、さわやか爽快系の両刀遣いです。いや~気持ちいいですね。部屋の外で聴くと一段と気持ちいい。草に寝転んで真夏の白い雲を追いかけながらとか、行きつけの喫茶店で街に降る雨を眺めながらとか、季節や時間帯によって色んな聴こえ方がするメロディです。二人とも声の質がさっぱりしていて、淡白だけど味わい深いサウンドとよく合っています。一番のお気に入りは、ダニー・ヴォーン(Waysted, Tyketto, Vaughn)との共作曲#14"Always"です。どこか懐かしいメロディに胸がキュンとなってしまいます。また、ジョセフ・ウィリアムズ(TOTO)と歌詞を共作した#7"Together"や、#9"Reason of the Heart"も出色のメロディ。"Together"はジョセフ・ウィリアムズ本人が歌うVertigo2にも収録されているようですが筆者は未聴です。

一応ドラム&ベース、エレクトリック・ギターの入ったバンド編成の音になっていますが、リズム・セクションはほとんど打ち込みなのが少し残念。2曲だけベースを弾いているのはファブリツィオ・グロッシ。メロディック・ロック界隈で主としてプロデューサーとして活躍していますがプレイヤーでもあるんですね。前述のVertigo2 でも、プレイとプロダクションの両方に関わっています。また、トニー・ハーネルとマグナス・カールソンのStarbreakerでもメンバーとしてベースをプレイしていたし、ミケーレ・ルッピとトミー・デナンダーのLos Angelesでもベースとプロデュースを担当と八面六臂の活躍ぶりです。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Tell Her I'm Alright (Fabrizio Ugolini, Massimo Bozzi)
02. Nobody Tonight (Fabrizio Ugolini, Massimo Bozzi)
03. Inside (Fabrizio Ugolini, Massimo Bozzi)
04. The Key (Fabrizio Ugolini, Massimo Bozzi)
05. A Matter of Time (Fabrizio Ugolini, Massimo Bozzi)
06. Let Me Try (Fabrizio Ugolini, Massimo Bozzi)
07. Together (Fabrizio Ugolini, Massimo Bozzi, Joseph Williams)
08. I Still Believe (Fabrizio Ugolini, Massimo Bozzi)
09. Reason of the Heart (Fabrizio Ugolini, Massimo Bozzi)
10. Call My Name (Fabrizio Ugolini, Massimo Bozzi)
11. You Are the One (Fabrizio Ugolini, Massimo Bozzi)
12. Always (Fabrizio Ugolini, Massimo Bozzi, Danny Vaughn)
13. Yesterday (Fabrizio Ugolini, Massimo Bozzi)

■Personnel
Fabrizio Ugolini – Lead and backing vocals, guitars, harmonica
Massimo Bozzi – Lead and backing vocals, guitars, keyboards

Paolo Pedretti – Lead guitar on 1, 2, 7, 9, 10
Tonino Landini – Lead guitar on 3, 8
Andrea Leonardi – Lead guitar on 4
Paolo Gennari – Lead guitar on 6, 10, 12
Fabrizio Grossi – Bass on 1, 10
Elyan Fernova – Drums on 1, 10
Melissa Ugolini – Backing vocals on 4, 5, 8, 11
Marco Bozzi – Backing vocals on 7

Producer - Massimo Bozzi & Fabrizio Ugolini
Executive Producer - Gregor Klee

Music from the Fab Box
Fab Box
Avenue Of Allies
2009-09-11

Los Angeles / Los Angeles (2008)

0012Los Angeles

ロサンゼルス(Los Angeles)は、Vision DivineやKilling Touchでの活動で注目されるイタリア出身のボーカリスト、ミケーレ・ルッピ(Michele Luppi)と、スウェーデン出身のメロハー/AOR界の仕事師トミー・デナンダー(Tommy Denander)が組んだAORプロジェクトです。このアルバムで初めてルッピの歌を聴いたのですが、その驚異的な声と歌唱力に一発で参りました!ベルベットのように柔らかで力強い声質、圧倒的な声量、細くならずにどこまでも伸びるハイトーンは、HR/HMの世界で文句なく最高クラスのものだと思います。このアルバムはリチャード・マークス(Richard Marx)をはじめとしたAORのカバーという企画物ですので、バラード中心で曲調やテンポのバリエーションが乏しいのはいたし方ありません。それが苦にならない方であれば、表現力豊かな歌い手が心地良い旋律を歌うのを聴くという、当たり前の音楽の快楽を、心行くまで味わうことができると思います。

トミー・デナンダー以外の参加ミュージシャンでは、Angel、Giuffria、House of Lordsのグレッグ・ジェフリア(Gregg Giuffria)が目を引きます。プロデューサー兼ベースのファブリツィオ・グロッシ(Fabrizio Grossi)、この人もメロハー/AOR界隈ではよく見かける仕事人です。たとえばIndigo Dyingの1stアルバムではベースを担当。このアルバムには、本作に参加しているトミー・デナンダー、ジェイミー・テラモ(Jamie Teramo)、モルディ・ハウザー(Mordi Hauser)もクレジットされています。また、Ambitionの1stアルバムにもトミー・デナンダーと共に関わっています。ジョン・サイクスと間違えそうなジョーイ・サイクス(Joey Sykes)ですが、この人はHugoのTime on Earthでもギターを弾いています。

ライナーを見ると、レコーディングはアメリカ、スウェーデン、イタリア三ヶ国(ニューヨーク、ストックホルム、ロサンゼルス、モデナ)で行われています。おそらくこういったプロジェクトは、ミュージシャンがそろってセッションを行うのではなく、パートごとに録音されたものをミックスしているのでしょうね。マスターはDennis Wardとクレジットされていますが、おそらくPink Cream 69のあのデニス・ワードだと思われます。リリースはイタリアのメロハー/AOR専門レーベルFrontiers Recordsで、このアルバムのエグゼクティブ・プロデューサーのセラフィーノ・ペルジーノ(Serafino Perugino)はFrontiersの社長さんです。この人の仕掛けで、ファブリツィオ・グロッシがレコーディング実務を取り仕切ってオケを作り、ミケーレ・ルッピに歌わせるという、Frontiersお得意の企画ものの一つということになります。

以下、自分自身の備忘録を兼ねて、カバー曲の概要をまとめて記しておきます。雰囲気がそれぞれ違うオリジナル曲が、本作では見事にルッピのレパートリーとして統一感ある仕上がりになっているのにはつくづく感心します。

01. I Will Carry You
TV番組「アメリカン・アイドル」出身の歌手Clay Aikenのデビュー・アルバム、Measure of a Man (2003)より。プロの作家チームの手による曲。なお、このアルバムはビルボードのチャート1位、トリプル・プラチナを獲得している。
 youtubeのClay Aikenオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=AJVvnQXhHpI&feature=related
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=Afy9fbfQYhU
02. I Must Be Blind
その筋では有名なセッション・ドラマーJohn RobinsonとAOR系ボーカリストMark Williamsonによるユニット、Bridge 2 FarのアルバムBridge 2 Far (1989)より。
 youtubeのBridge 2 Farオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=8fzWe1oeWHM
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=ELSWDIYwu5Q&feature=related
03. Thanks to You
AOR系シンガー・ソングライターとして著名なRichard Marxの作品。1999年に日本向けに再編集されたGreatest Hits にのみ収録されている曲。
 youtubeのRichard Marxオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=-1F2_YyoEpY
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=mMPTiQM4WYE
04. Edge of Forever
Richard MarxのアルバムDays in Avalon (2000)より。オリジナルは共作者のRichell "Chely" Wrightとのデュエット。
 youtubeのRichard Marxオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=KPZLTu6brHc
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=CcWXCQc_oEs
05. Last Chance
Night RangerのアルバムFeeding off the Mojo (1995)より。
 youtubeのNight Rangerオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=5rXWAEsnFNM
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=jJQ5ontz1jc
06. Run
クリスチャン・ロック・グループSelahのボーカリストTodd Smithのソロ・アルバムAlive (2004)より。
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=k5KHj3q5U8g
07. When You Think of Me
カントリー・シンガーMark Willsのシングル曲(2003)。
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=p7ulPGItAbQ
08. One More Try
Richard MarxのアルバムPaid Vacation (1994)より。
 youtubeのRichard Marxオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=ZvFUKkuuMEM
09. The Other Side
Richard MarxのアルバムMy Own Best Enemy (2004)より。
 youtubeのRichard Marxオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=6mm8imUgwYs
10. Caroline
クリスチャン・ロック・グループSeventh Day SlumberのアルバムOnce Upon a Shattered Life (2005)より。
 youtubeのSeventh Day Slumberオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=mCMgUtE56dw
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=WgoH7asfbVo&feature=related
11. Measure of Man
1曲目と同じくClay AikenのMeasure of a Man (2003)より。イギリスのシンガー・ソングライターCathy Dennisの作品。
 youtubeのClay Aikenオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=DSzQIOSnUtA&feature=related
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=2n8NjsaRPxY

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. I Will Carry You (Lindy Robbins, Dennis Matkosky, Jess Cates)
02. I Must Be Blind (Mark Williamson, Chris Eaton)
03. Thanks to You (Richard Marx)
04. Edge of Forever (Richard Marx, Richell Wright)
05. Last Chance (Brad Gillis, Kelly Keagy, Gary Moon, Jeff Paris)
06. Run (Chris Eaton, Todd Smith)
07. When You Think of Me (Brett James, Thomas Verges)
08. One More Try (Richard Marx, Bruce Gaitsch)
09. The Other Side (Richard Marx)
10. Caroline (Joseph Rojas)
11. Measure of Man (Steve Morales, Cathy Dennis, David Siege)

■Personnel
Michele Luppi – vocals
Frankie De Grasso – drums
Fabrizio Grossi – bass
Tommy Denander – guitars
Gregg Giuffria – keyboards
Jamie Teramo – keyboards

Mordi Hauser – Additional guitars
Joey Sykes – Additional guitars

Producer - Fabrizio Grossi
Executive Producer - Serafino Perugino
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