メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。

ピート・サンドベリ

Shiftin' Gear / Alien (1990)

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スウェーデンのメロディアス・ハードロック・バンドAlien(エイリアン)の2ndアルバム。1stと同じく大手のVirginからのリリースですが、メンバーはリーダーのトニー・ボルグ(Gt)と ピート・サンドべリ(Vo)の二人だけに減ってしまっています。トニー・ボルグがベースも兼任、足りないパートは助っ人ミュージシャンと打ち込みで間に合わせています。助っ人メンバーは、キーボードにベルント・アンダーソン、ドラムにイムレ・ダウン、プログラミングはプロデューサーのラース・ディドリクソン。ディドリクソンはSnowstorm、Don Patrolといったバンドのボーカリストでもありましたが、2017年の3月に亡くなっているようです。バック・ボーカルには、旧メンバーのジム・ジッドヘッド、加えて ヨラン・エドマンも参加しています。

本作は2013年にドイツのAOR Heavenによってリマスター・リイッシューされています。そのライナーを見ると、1stリリース後Virginレーベルからのツアーや新作制作へのプレッシャーに疲れてメンバーは次々離脱。トニー・ボルグはバンドを休止してソロ作品を作りたかったのに、レーベル側の強い要請でピート・サンドべリと二人だけで2ndのレコーディングを余儀なくされたらしいのです。そんな状態で制作された割には、楽曲の出来も良く聴き応えのあるアルバムとなっています。大名盤である1stに比肩するとまでは言えないものの、スロー~ミドル・テンポを主体としたマイルドな曲調、対照的にリッチー風にとんがったトニー・ボルグのギター、そしてピート・サンドべリの切なくエモーショナルな歌唱は、1stで焼き付けられたバンドのイメージを損なっていません。数々の名作を復刻しているAOR Heaven Classixシリーズのラインナップに取り上げられたのも納得です。なお、AOR Heaven盤にはデモ・バージョン4曲が追加収録されています。タイトルやアレンジが一部異なりますが3曲は本編収録曲、#13"Name Of Love"のみ本編未収録で、なんで外されたのか分からないくらい良い曲です。

オリジナルの他にカバー曲が2曲入っていますので、最後に簡単に触れておきます。#9"Don't Turn Me Away"はサザン・ロック・バンドWet WillieのアルバムManorisms (1977)収録曲。オリジナルを歌っているのはこのところジェフ・ベックと行動を共にすることの多いジミー・ホールです。#11"Hello How Are You"はオーストラリアのバンドThe Easybeatsの1968年のヒット曲。作曲はThe Easybeatsのメンバーで後に作曲チームとなるハリー・ヴァンダ&ジョージ・ヤングで、ちなみにこのジョージさんは、AC/DCのヤング兄弟のお兄さんです。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Hold On Move On (Borg, Sandberg)
02. Give It Up (Borg, Sandberg)
03. Desperate Dreams (Borg, Sandberg)
04. Angel Eyes (Borg, Sandberg)
05. In The Dead Of Night (Borg, Sandberg)
06. Intro - Midnight Jam
07. Turn On The Radio (Borg, Sandberg)
08. Strangers In A No-Man's-Land (Borg, Sandberg)
09. Don't Turn Me Away (Duke)
10. Neon Lights (Borg, Sandberg)
11. Hello How Are You (Vanda, Young)
12. Desperate Dreams (Studio Bonus Demo)
13. Name Of Love (Studio Bonus Demo)
14. Dead Of Night (Studio Bonus Demo)
15. Hold On (Studio Bonus Demo)

■Personnel
Tony Borg – All Guitars, Bass
Pete Sandberg – Lead Vocals

Berndt Andersson - Hammond, Keyboards, Melodica
Imre Daun - Drums
Göran Edman - Backing Vocals
Jim Jidhed – Backing Vocals
Lars "Dille" Diedriksson - Drums & Keyboards Programming

Producer - Tony Borg, Lars "Dille" Diedriksson
Executive-Producer – Karl Onsbacke


Push / Pete Sandberg (1999)

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このブログでまとめたピート・サンドべリのディスコグラフィを見ても分かるように、2000年をはさむ前後2~3年にこの人は様々なバンドやプロジェクトで結構な数のアルバムを発表しています。そんなピート・サンドべリの音楽活動の絶頂期に出された、彼の2枚目のソロ・アルバムが今回ご紹介するPush 。本作リリース時点ではまだMidnight Sunに在籍していたようです。

さてこのアルバム、彼のキャリアの中では異色の音となっており、モダン・ヘヴィネスの影響だとか、グランジ化したとかの評価を目にすることもあります。実際そうなのかもしれませんが、筆者には特にグランジっぽく聴こえません。むしろリズムが跳ねている点ではTalismanを思い起こさせるし、一番似てると思ったのは日本のPink Cloud(Johnny, Louis & Char)です。ギターとベースがユニゾンでグリグリ迫ってくるところなんかそっくりですし、テンション・コードの入れ方やアーミングのセンス、空間系エフェクターの使い方とか、なんとなくチャーに似てるんです、これがまた。とにかくカッコいいアルバムなので騙されたと思って聴いてみてください。ただラストの2曲、チェロとフレットレス・ベース(ヨナス・レインゴールド)によるインストと、中近東っぽい独唱曲はいらなかったなぁ。意味分かりません。

バックのプレイヤーは、ギターにスヴェン・サーンスキ(Bad Habit etc)、ドラムにハイメ・サラザール(Bad Habit etc)、ベースにイェンス・ルンダール。スヴェン・サーンスキはSnake Charmerで、ハイメ・サラザールはMidnight Sunで、それぞれピートと組んでいました。また、サーンスキ、サラザール、ルンダールの3人はかつてBlakk Totemというバンドのメンバーだった間柄。サーンスキのソロ・プロジェクトTruthでも同じメンツが揃っています。制作はBad Habitを手がけてきたビョルン・ダールベリ。ピートの1stソロ作Back In Business ではエンジニアを務めていた人です。共同制作者にはサーンスキとBad Habitの僚友ハル・ジョンストンが名を連ね、ハル・ジョンストンは本作の曲作りにも一部関与しています。また、収録全14曲中6曲がサーンスキの単独作、4曲がピートとの共作で、アレンジもほぼサーンスキの仕事。さらにブックレットでのサーンスキの扱いが別格となっており、本作での彼の存在は非常に大きいものがあります。これらを考え合わせると、ピート・サンドベリのソロ名義ではあるものの、実態としてはBad Habit側がバックアップしたサーンスキ&サンドべリのプロジェクト作品と言えるかもしれません。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作 
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Machine (S. Cirnski)
02. Save Our Souls (S. Cirnski)
03. Strong Out (P. Sandberg, S. Cirnski)
04. Believe (S. Cirnski)
05. Love Hurts (B. Bryant)
06. Enough Is Enough (P. Sandberg, S. Cirnski)
07. Taking Your Time (S. Cirnski)
08. Crying (P. Sandberg, S. Cirnski)
09. Self Control (S. Cirnski)
10. Respect (S. Cirnski)
11. Captured By Heart (P. Sandberg, S. Cirnski)
12. Dirty Dog (P. Sandberg, H. Johnston)
13. Push (P. Sandberg)
14. Love  (P. Sandberg) [Bonus Track]

■Personnel
Pete Sandberg - Vocals

Sven Cirnski - Guitars
Jaime Salazar - Drums
Jens Lundahl - Bass

Additional players
Jonas Reingold - Fretless bass
Sara Heurlin - Backing Vocals
Tommy Falk - Hammond
Berit Hessing - Cello

Producer - Björn Dahlberg
Co-producer - Sven Cirnski, Hal Johnston

ピート・サンドベリ(Pete Sandberg)のディスコグラフィ

ピート・サンドベリ(Pete Sandberg)のディスコグラフィ。原則として、実演者(客演含む)・製作者としてクレジットのあるオリジナル・スタジオ盤とライブ盤を時系列に沿ってリストアップ。場合によりEP・各種企画盤も掲載。このブログで取り上げたものはリンク表示。間違い・漏れの可能性が多分にあるので、訂正・追加のため随時更新予定。

Someone Like You / Von Rosen (Single) (1987)
Smoke And Mirrors / Snake Charmer (1993)
Agony In Despair / Keegan (1993)
In Your Face / Bewarp (1995)
Remember My Name / Sand & Gold (1997)
Best And Rare / Alien (1997)
Smile / Smile (1998)
Universe / Reingold (1999)
Pete Sandberg's Jade / Pete Sandberg's Jade (1999)
Origin / Pete Sandberg's Jade (2001)
Live In Stockholm 1990 / Alien (2001)
Silver Seraph / Silver Seraph (2001)
Opus Atlantica / Opus Atlantica (2002)
Reflections / Pete Sandberg (2004)
Heaven On Earth / Devil's Heaven (2014)

Alien / Alien (1989)

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Alien(エイリアン)のデビュー・アルバムのワールド・ワイド盤として1989年にリリースされたアルバム。USエディション、人面ジャケとか呼ばれているやつですね。。この時点でボーカルのジム・ジッドヘッドは既に脱退しており、新ボーカリストとして元Madisonのピート・サンドべリが加入しています。オリジナル盤から"Wings of Fire"、"Dying by the Golden Rule"、"Dreamer"、"Mirror"の4曲がカットされ、かわって新規に録音された2曲を収録。オリジナル盤収録曲もリミックスされて、よりすっきりした音となりました。ただ、オリジナル盤と違ってこのワールド・ワイド盤には細かなクレジットがあるのですが、"Jaimie Remember"、"Brave New Love"、"Touch My Fire"の3曲にはリミックス表記がありません。実際は表記ミスで全曲リミックスされているのか、それともリミックスは5曲のみで、音の印象が違うのはリマスターの効果なのか、そのあたりは不明です。なお、この人面ジャケにも赤盤と青(紫)盤が存在し、どうやら青盤の中身はオリジナル盤と同一で12曲入りらしいです。ややこしいですね。

ピート・サンドべリによって歌われている新曲のうち"The Air That I Breathe"は、70年代に活躍したアメリカのシンガー・ソングライター、アルバート・ハモンドの曲で、1974年にはThe Holliesにカヴァーされてヒットしています。その他にもオリビア・ニュートン・ジョンなど多くのアーティストが取り上げている曲。ゆったりした穏やかな曲調が、ピート・サンドべリの優しい歌唱にピッタリです。もう一つの"Now Love"はバンドのオリジナルで、明るめでちょっとレトロなハード・ポップ。2曲ともいい曲だし、ピート・サンドべリも大好きなボーカリストなんですが、やはりジム・ジッドヘッドが良すぎるため、どうしても印象が薄くなってしまいます。

オリジナル盤、ワールド・ワイド盤ともに中古CDにプレミア価格がついてしまい、しばらくの間入手困難でしたが、2013年に2枚をカップリングし、オリジナル盤にボーナス・トラックとして"Feel My Love"と"Touch My Fire"の別バージョンを追加したAlien -25th Anniversary Edition が発売され、2枚一度に手に入れることが比較的容易となりました。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Tears Don't Put Out The Fire (remix)
(Pam Barlow/Janet Minto)
02. Go Easy (remix)
(Brad Bailey/Patrick Regan/Pam Barlow/Janet Minto)
03. I've Been Waiting (remix)
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
04. Jaimie Remember
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
05. Feel My Love (remix)
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
06. Only One Woman (remix)
(Barry Gibb/Maurice Gigg/Robin Gibb)
07. Brave New Love
(Gary Cambra/Pam Barlow/Janet Minto)
08. The Air That I Breathe
(Albert Hammond/Mike Hazelwood)
09. Touch My Fire
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
10. Now Love
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pete Sandberg/Max Stone)

■Personnel
Tony Borg – guitars
Jimmy Wandroph - keyboards
Ken Sandin – bass
Toby Tarrach – drums
Jim Jidhed – vocals
Pete Sandberg – vocals

Producer - Chris Minto (1, 2, 3, 4, 5, 7, 9), Mark Dearnley (6), Tony Borg & Dille (8, 10) 



Nemesis / Midnight Sun (1999)

0168Nemesis










スウェーデンのメロディアスHR/HMバンド、ミッドナイト・サンの3rdアルバム。アルバムごとにメンバー・チェンジしているこのバンド、ピート・サンドベリ(vo)とヨナス・レインゴールド(ba)の双頭体制は変わっていませんが、本作では新ギタリストとしてマグナス・カールソンが迎えられています。現在では凄腕プレイヤーかつ優秀なメロディ・メイカーとしてすっかり有名になりましたが、このアルバムが彼のメジャー・デビュー作。後年ほどではないものの、その巧者ぶりは本作でもうかがえます。また、ドラムはハイメ・サラザール(Bad Habit/Reingold)にチェンジしています。

メロハー/AORとメロディック・メタルが混在していた1st、AOR色が一掃された2ndと来て、この3rdでは更にメタル寄り、ネオクラ寄りの音になりました。メロハー/AOR指向のピート・サンドベリと、メタル指向のヨナス・レインゴールドのせめぎ合いは臨界に達したようで、4th(最終作)レコーディング前にピート・サンドベリは脱退することになります。喧嘩別れではなかったようですが、それなりの確執はあったものと想像できます。そういった事情が音に反映したのか、本作は緊張感溢れる好盤に仕上がっています。特にタイトル曲#1"Nemesis"は疾走感と哀愁が両立していて、このバンドならではの味。いかにも北欧メロディック・メタルらしい名曲だと思います。また、前作でも客演していたジョン・ノーラムが再びギター・ソロを担当した#8"Dreams"は、ヘヴィなサウンドと切ない歌唱がなんとも言えない趣をかもし出しています。#14"Seven Doors Hotel"はEuropeの名曲のカヴァーですが、リード・ギターはジョン・ノーラムではなくマグナス・カールソン。思う存分弾きまくっています。というように良い曲がてんこ盛りなのですが、難を言えば曲数が多すぎるかな。筆者としては面白くなかった#12"Ave Maria"と#15"Innocent"をカットすれば、更に緩みのないアルバムになったんじゃないかと思ってしまいます。

プロデュースはヨナス・レインゴールドと初代ドラマーのアンダース・テオ・ティアンデルで、レコーディングはテオ・ティアンデルの経営するRoastinghouse Studio。なお、ゲスト・ギタリストとしてクレジットされているハル・ジョンストンは、ハイメ・サラザールと同じくBad Habitのメンバーです。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Nemesis
02. You And I
03. Mortal Man
04. Resurrection
05. King Of Broken Hearts
06. Conqueror
07. Watch Out
08. Dreams
09. I Don't Know
10. Conceal
11. Living On The Edge
12. Ave Maria
13. Nightfall
14. Seven Doors Hotel
15. Innocent
All music by Reingold and words by Pete Sandberg
except "Nightfall" by Magnus Karlsson, "Seven Doors Hotel" by Joey Tempest

■Personnel
Pete Sandberg - Lead & Backing Vocal
Magnus Karlsson - Guitars, Backing Vocal
Jaime Salazar - Drums, Percussions, Backing Vocal
Reingold - Bass, Keyboards, Additional Guitar, Backing Vocal

Berit Hessing - Cello
Hal Johnston - Guitar
Jens Friis Hansen - Backing Vocals
Inger Ohlen - Backing Vocals
Henrik Hansson - Keyboard
John Norum - Guitar Solo on "Dreams"

Producer - Jonas Reingold, Anders "Theo" Theander
Executive Producer -  Anders "Theo" Theander 

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