メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

ピート・サンドベリ

Silver Seraph / Silver Seraph (2001)

0490Silver Seraph









Alien、Midnight Sunなど数多くのメロハー系バンドでボーカリストを勤めてきたピート・サンドべリと、Majesticなどネオクラ、プログレ・メタル系のバンドを率いてきたキーボーディストのリチャード・アンダーソンがタッグを組んだプロジェクトSilver Seraphの唯一作です。他のメンバーは、Majesticにも参加していたピーター・ウィルドアー(Ds)、Pete Sandberg's JADEのメンバーだったヨルゲン・バーチ・イェンセン(G)、ピート・サンドべリのソロ2作目 Push に参加していたイェンス・ルンダール(B)という面々です。

アルバムの内容は、Deep Purple、Rainbow、Uriah Heepといったバンドを髣髴とさせる伝統的なオルガン入りハードロック。いわゆる「様式美」ってやつです。こういう音は好みなのですが、本作に関してはいささか否定的な感想を持ってしまいました。新人バンドならともかく、ピート・サンドべリとリチャード・アンダーソンという、実績と実力を兼ね備えたミュージシャンが今さらこれなのか?アラビア風の音階で「バビロぉ~ン」とか、マイケル・シェンカーの"Into the Arena"の焼き直しのようなインストとか。最悪なのは、リフもリズムも露骨にZEPの「移民の歌」で、歌詞まで"We come from the land of the ice and snow"の"We"を"I"に変えただけの曲。他にも聴いたことのあるようなフレーズやメロディばかり。くどいようですが、ピート・サンドべリともあろう人が、なんで今さらこんな手垢の付いたような曲を集めてアルバム制作しなくてはならないのか?歌唱や演奏のクォリティは申し分ないのに、心底がっかりしてしまいました。

評価 ★★☆☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作 
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Aftermath
02. 7th Day of Babylon
03. Cry From Hell
04. Desperate Heart
05. Shadowland
06. Shadow
07. Nosferatu
08. In the Dark
09. Black Rain
10. Loving You
[Bonus Track]
11. Constant Reminder

■Personnel
Pete Sandberg - Vocals
Richard Andersson - Keyboards
Peter Wildoer - Drums
Jens Lundahl - Bass
Birch (Jörgen Birch-Jensen) - Guitars

Magnus Sedenberg - Lead Guitar
Jens Friis Hansen - Harmony Vocals
Anders Waldemarsson - Bass
M. Sahlström - Guitar

Producer - Magnus Sedenberg
Executive-Producer - Per Gyllenbäck

シルヴァー・サーペント
シルヴァー・セラフ
EMIミュージック・ジャパン
2001-12-19




Origin / Pete Sandberg's JADE (2001)

0385Origin









ピート・サンドべリ率いるスウェーデンのメロハー・バンドPete Sandberg's JADEの2枚目の作品。この名義ではラスト・アルバムとなります。バンド・メンバーは前作と同じ、またMidnight Sun人脈のヨナス・レインゴールド、ハイメ・サラザール、アンダース・テオ・ティアンデルがバック・アップしているのも同様です。楽曲ごとの細かなクレジットは無いので詳細は不明ですが、フレットレス・ベースを弾いているのはヨナス・レインゴールドかなと思います。バンド形態となっているものの、やはりピートのソロ・プロジェクトということでしょう。

内容はいつもながらのピート・サンドべリらしい低刺激のソフト・メロハー路線、耳なじみのよいメロディと甘く切ない歌唱が堪能できます。今回は彼の過去のキャリアの中で書いた曲が4曲含まれており、#1"Northern Light"はMadisonが1989年にリリースしたシングル曲、#2"Time"はVon Rosenが1987年にリリースしたシングルB面曲、#4"Love in Vain"はヨナス・レインゴールドとのユニットSand & Goldの未発表曲、#11"All in Disguise"はAlien時代の未発表曲です。その他にも、胸を締め付けられるようなバラード#8"Nights in Mexico"、ちょっと変わった味のギター・インスト#12"Moods"など、佳曲がぎっしり。まさに安定の高品質で、メロディアス・ロック愛好家なら文句無しの出来栄えです。ただし、ふざけているのか何なのか中途半端な曲がまたまた入っています。ラストの#13"Me and My Piano"は、咳払いなんかが入っている曲未満のセッションで、こういうのはやめてもらいたいなぁ。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作 
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Northern Light (P. Sandberg, A. Karlsson, Müllinen, P. Fredriksson, C. Sundqvist)
02. Time (P. Sandberg, J. Jidhed, M. Olausson)
03. No Way Out (P. Sandberg, J. Birch)
04. Love in Vain (P. Sandberg, J. Reingold)
05. Power of Gold (P. Sandberg)
06. Where There Is a Will (P. Sandberg)
07. Time and Again (P. Sandberg)
08. Nights in Mexico (P. Sandberg)
09. Can't Stop Lovin' You (P. Sandberg, J. Reingold)
10. Alone (P. Sandberg)
11. All in Disguise (P. Sandberg)
12. Moods (Instrumental) (J. Birch)
13. Me and My Piano (Acoustic Jam) [Bonus Track] (P. Sandberg)

■Personnel
Pete Sandberg - Vocals
Jörgen Birch-Jensen - Guitars
Johan Helgesson - Drums
Joakim Sandin - Bass

Jonas Reingold - Bass, Backing Vocals
Jaime Salazar - Drums
Robert Uhlmann - Keyboards
Anders ”Theo” Theander - Percussion

Producer - Anders ”Theo” Theander

オリジン
ピート・サンドベリズ・ジェイド
マーキー・インコーポレイティド
2001-02-21

 

Pete Sandberg's JADE / Pete Sandberg's JADE (1999)

0315Pete Sandberg's JADE









当時まだMidnight Sunに在籍していたピート・サンドべリが、Pete Sandberg's JADEというバンド名義で発表したアルバム。Bai BangのメンバーらがやっていたJADEというバンドにそのまま乗っかったということらしいのですが、全曲ピート・サンドべリの楽曲だし、彼の趣味・嗜好が色濃く反映しているので実質ソロ3作目でしょう。ハードロックから、AORバラード、レトロ・ポップス、アーシーでブルージーなものまで、幅広い持ち味の楽曲が詰め込まれているのは1stソロ作Back in Businessと同様の趣向です。なんでこれがバンド名義で出されたのか良く分かりません。前作のPushのほうがサウンドに統一感があって、よっぽどバンド・サウンド然としています。レコーディングにはヨナス・レインゴールド、ハイメ・サラザールが加わり、プロデュースもアンダース・テオ・ティアンデルと、Midnight Sun関係者が大挙参加しています。逆にJADEのメンバーがどの程度関わっているのか気になるところです。しかし、考えてみるとこの1999年はMidnight SunのNemesis、2ndソロPush、そしてこのアルバムと3枚立て続けにリリースしてるんですよね。ピート・サンドべリ、すごいパワフルです。

前述のように、楽曲のバリエーションが豊富過ぎてまとまりが無くなりかねないところを、違和感無く聴かせてしまうのがピート・サンドべリの実力。大したものだと思います。筆者のお気に入りは、甘く切なくどこかレトロな#8"Distant Love"。こういうのを歌ってピッタリ来るのはピート・サンドべリと、あとはミカエル・アーランドソンかな。ボーナストラックのインスト曲#12"Illuision"はちっとも面白くないので無くても良かった。この人絡みのアルバムは、時間の埋め草的なつまらない曲が1曲か2曲あるのが難点です。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作 
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Badlands (P. Sandberg)
02. Restless Child (P. Sandberg)
03. Cry for You (P. Sandberg)
04. Stranger (P. Sandberg)
05. Going Down (P. Sandberg)
06. Venedigen Blind (P. Sandberg)
07. Little Bit of Lovin' (P. Sandberg, J. Svensson)
08. Distant Love (P. Sandberg)
09. House of Love (P. Sandberg)
10. Sweet, Sweet (P. Sandberg)
11. Past the Mountains (P. Sandberg)
12. Illuision (Birch, P. Sandberg) [Bonus Track] 

■Personnel
Pete Sandberg - Vocals
Birch - Guitars
Johan Helgesson - Drums
Joakim Sandin - Bass

J. Salazar - Drums
J. Reingold - Bass, Backing Vocals
A. Theander - Percussion
R. Uhlmann - Keyboard
T. Pettersson - Hammond
I. Ohlén - Backing Vocals

Producer - Anders ”Theo” Theander

Jade
Pete Sandberg
Point

 

Shiftin' Gear / Alien (1990)

0292Shiftin' Gear









スウェーデンのメロディアス・ハードロック・バンドAlien(エイリアン)の2ndアルバム。1stと同じく大手のVirginからのリリースですが、メンバーはリーダーのトニー・ボルグ(Gt)と ピート・サンドべリ(Vo)の二人だけに減ってしまっています。トニー・ボルグがベースも兼任、足りないパートは助っ人ミュージシャンと打ち込みで間に合わせています。助っ人メンバーは、キーボードにベルント・アンダーソン、ドラムにイムレ・ダウン、プログラミングはプロデューサーのラース・ディドリクソン。ディドリクソンはSnowstorm、Don Patrolといったバンドのボーカリストでもありましたが、2017年の3月に亡くなっているようです。バック・ボーカルには、旧メンバーのジム・ジッドヘッド、加えて ヨラン・エドマンも参加しています。

本作は2013年にドイツのAOR Heavenによってリマスター・リイッシューされています。そのライナーを見ると、1stリリース後Virginレーベルからのツアーや新作制作へのプレッシャーに疲れてメンバーは次々離脱。トニー・ボルグはバンドを休止してソロ作品を作りたかったのに、レーベル側の強い要請でピート・サンドべリと二人だけで2ndのレコーディングを余儀なくされたらしいのです。そんな状態で制作された割には、楽曲の出来も良く聴き応えのあるアルバムとなっています。大名盤である1stに比肩するとまでは言えないものの、スロー~ミドル・テンポを主体としたマイルドな曲調、対照的にリッチー風にとんがったトニー・ボルグのギター、そしてピート・サンドべリの切なくエモーショナルな歌唱は、1stで焼き付けられたバンドのイメージを損なっていません。数々の名作を復刻しているAOR Heaven Classixシリーズのラインナップに取り上げられたのも納得です。なお、AOR Heaven盤にはデモ・バージョン4曲が追加収録されています。タイトルやアレンジが一部異なりますが3曲は本編収録曲、#13"Name of Love"のみ本編未収録で、なんで外されたのか分からないくらい良い曲です。

オリジナルの他にカバー曲が2曲入っていますので、最後に簡単に触れておきます。#9"Don't Turn Me Away"はサザン・ロック・バンドWet WillieのアルバムManorisms (1977)収録曲。オリジナルを歌っているのはこのところジェフ・ベックと行動を共にすることの多いジミー・ホールです。#11"Hello How Are You"はオーストラリアのバンドThe Easybeatsの1968年のヒット曲。作曲はThe Easybeatsのメンバーで後に作曲チームとなるハリー・ヴァンダ&ジョージ・ヤングで、ちなみにこのジョージさんは、AC/DCのヤング兄弟のお兄さんです。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Hold On Move On (Borg, Sandberg)
02. Give It Up (Borg, Sandberg)
03. Desperate Dreams (Borg, Sandberg)
04. Angel Eyes (Borg, Sandberg)
05. In the Dead of Night (Borg, Sandberg)
06. Intro - Midnight Jam
07. Turn on the Radio (Borg, Sandberg)
08. Strangers in a No-Man's-Land (Borg, Sandberg)
09. Don't Turn Me Away (Duke)
10. Neon Lights (Borg, Sandberg)
11. Hello How Are You (Vanda, Young)
12. Desperate Dreams (Studio Bonus Demo)
13. Name of Love (Studio Bonus Demo)
14. Dead of Night (Studio Bonus Demo)
15. Hold On (Studio Bonus Demo)

■Personnel
Tony Borg - All Guitars, Bass
Pete Sandberg - Lead Vocals

Berndt Andersson - Hammond, Keyboards, Melodica
Imre Daun - Drums
Göran Edman - Backing Vocals
Jim Jidhed - Backing Vocals
Lars "Dille" Diedriksson - Drums & Keyboards Programming

Producer - Tony Borg, Lars "Dille" Diedriksson
Executive Producer - Karl Onsbacke


 

Push / Pete Sandberg (1999)

0250Push









このブログでまとめたピート・サンドべリのディスコグラフィを見ても分かるように、2000年をはさむ前後2~3年にこの人は様々なバンドやプロジェクトで結構な数のアルバムを発表しています。そんなピート・サンドべリの音楽活動の絶頂期に出された、彼の2枚目のソロ・アルバムが今回ご紹介するPush 。本作リリース時点ではまだMidnight Sunに在籍していたようです。

さてこのアルバム、彼のキャリアの中では異色の音となっており、モダン・ヘヴィネスの影響だとか、グランジ化したとかの評価を目にすることもあります。実際そうなのかもしれませんが、筆者には特にグランジっぽく聴こえません。むしろリズムが跳ねている点ではTalismanを思い起こさせるし、一番似てると思ったのは日本のPink Cloud(Johnny, Louis & Char)です。ギターとベースがユニゾンでグリグリ迫ってくるところなんかそっくりですし、テンション・コードの入れ方やアーミングのセンス、空間系エフェクターの使い方とか、なんとなくチャーに似てるんです、これがまた。とにかくカッコいいアルバムなので騙されたと思って聴いてみてください。ただラストの2曲、チェロとフレットレス・ベース(ヨナス・レインゴールド)によるインストと、中近東っぽい独唱曲はいらなかったなぁ。意味分かりません。

バックのプレイヤーは、ギターにスヴェン・サーンスキ(Bad Habit etc)、ドラムにハイメ・サラザール(Bad Habit etc)、ベースにイェンス・ルンダール。スヴェン・サーンスキはSnake Charmerで、ハイメ・サラザールはMidnight Sunで、それぞれピートと組んでいました。また、サーンスキ、サラザール、ルンダールの3人はかつてBlakk Totemというバンドのメンバーだった間柄。サーンスキのソロ・プロジェクトTruthでも同じメンツが揃っています。制作はBad Habitを手がけてきたビョルン・ダールベリ。ピートの1stソロ作Back in Business ではエンジニアを務めていた人です。共同制作者にはサーンスキとBad Habitの僚友ハル・ジョンストンが名を連ね、ハル・ジョンストンは本作の曲作りにも一部関与しています。また、収録全14曲中6曲がサーンスキの単独作、4曲がピートとの共作で、アレンジもほぼサーンスキの仕事。さらにブックレットでのサーンスキの扱いが別格となっており、本作での彼の存在は非常に大きいものがあります。これらを考え合わせると、ピート・サンドベリのソロ名義ではあるものの、実態としてはBad Habit側がバックアップしたサーンスキ&サンドべリのプロジェクト作品と言えるかもしれません。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作 
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Machine (S. Cirnski)
02. Save Our Souls (S. Cirnski)
03. Strong Out (P. Sandberg, S. Cirnski)
04. Believe (S. Cirnski)
05. Love Hurts (B. Bryant)
06. Enough Is Enough (P. Sandberg, S. Cirnski)
07. Taking Your Time (S. Cirnski)
08. Crying (P. Sandberg, S. Cirnski)
09. Self Control (S. Cirnski)
10. Respect (S. Cirnski)
11. Captured by Heart (P. Sandberg, S. Cirnski)
12. Dirty Dog (P. Sandberg, H. Johnston)
13. Push (P. Sandberg)
14. Love  (P. Sandberg) [Bonus Track]

■Personnel
Pete Sandberg - Vocals

Sven Cirnski - Guitars
Jaime Salazar - Drums
Jens Lundahl - Bass

Additional players
Jonas Reingold - Fretless bass
Sara Heurlin - Backing Vocals
Tommy Falk - Hammond
Berit Hessing - Cello

Producer - Björn Dahlberg
Co-producer - Sven Cirnski, Hal Johnston

プッシュ
ピート・サンドベリ
ビクターエンタテインメント
2000-02-23

ピート・サンドベリ(Pete Sandberg)のディスコグラフィ

ピート・サンドベリ(Pete Sandberg)のディスコグラフィ。原則として、実演者(客演含む)・製作者としてクレジットのあるオリジナル・スタジオ盤とライブ盤を時系列に沿ってリストアップ。場合によりEP・各種企画盤も掲載。このブログで取り上げたものはリンク表示。間違い・漏れの可能性が多分にあるので、訂正・追加のため随時更新予定。

Like a Dream / Von Rosen (Single) (1986)
Someone Like You / Von Rosen (Single) (1987)
Northern Light / Madison (Single)  (1989)
Smoke and Mirrors / Snake Charmer (1993)
Agony in Despair / Keegan (1993)
In Your Face / Bewarp (1995)
Remember My Name / Sand & Gold (1997)
Best and Rare / Alien (1997)
Smile / Smile (1998)
Universe / Reingold (1999)
Live in Stockholm 1990 / Alien (2001)
Opus Atlantica / Opus Atlantica (2002)
Reflections / Pete Sandberg (2004)
Heaven on Earth / Devil's Heaven (2014)

Alien / Alien (1989)

0208Alien1989









Alien(エイリアン)のデビュー・アルバムのワールド・ワイド盤として1989年にリリースされたアルバム。USエディション、人面ジャケとか呼ばれているやつですね。。この時点でボーカルのジム・ジッドヘッドは既に脱退しており、新ボーカリストとして元Madisonのピート・サンドべリが加入しています。オリジナル盤から"Wings of Fire"、"Dying by the Golden Rule"、"Dreamer"、"Mirror"の4曲がカットされ、かわって新規に録音された2曲を収録。オリジナル盤収録曲もリミックスされて、よりすっきりした音となりました。ただ、オリジナル盤と違ってこのワールド・ワイド盤には細かなクレジットがあるのですが、"Jaimie Remember"、"Brave New Love"、"Touch My Fire"の3曲にはリミックス表記がありません。実際は表記ミスで全曲リミックスされているのか、それともリミックスは5曲のみで、音の印象が違うのはリマスターの効果なのか、そのあたりは不明です。なお、この人面ジャケにも赤盤と青(紫)盤が存在し、どうやら青盤の中身はオリジナル盤と同一で12曲入りらしいです。ややこしいですね。

ピート・サンドべリによって歌われている新曲のうち"The Air That I Breathe"は、70年代に活躍したアメリカのシンガー・ソングライター、アルバート・ハモンドの曲で、1974年にはThe Holliesにカヴァーされてヒットしています。その他にもオリビア・ニュートン・ジョンなど多くのアーティストが取り上げている曲。ゆったりした穏やかな曲調が、ピート・サンドべリの優しい歌唱にピッタリです。もう一つの"Now Love"はバンドのオリジナルで、明るめでちょっとレトロなハード・ポップ。2曲ともいい曲だし、ピート・サンドべリも大好きなボーカリストなんですが、やはりジム・ジッドヘッドが良すぎるため、どうしても印象が薄くなってしまいます。

オリジナル盤、ワールド・ワイド盤ともに中古CDにプレミア価格がついてしまい、しばらくの間入手困難でしたが、2013年に2枚をカップリングし、オリジナル盤にボーナス・トラックとして"Feel My Love"と"Touch My Fire"の別バージョンを追加したAlien -25th Anniversary Edition が発売され、2枚一度に手に入れることが比較的容易となりました。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Tears Don't Put Out the Fire (remix)
(Pam Barlow/Janet Minto)
02. Go Easy (remix)
(Brad Bailey/Patrick Regan/Pam Barlow/Janet Minto)
03. I've Been Waiting (remix)
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
04. Jaimie Remember
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
05. Feel My Love (remix)
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
06. Only One Woman (remix)
(Barry Gibb/Maurice Gigg/Robin Gibb)
07. Brave New Love
(Gary Cambra/Pam Barlow/Janet Minto)
08. The Air That I Breathe
(Albert Hammond/Mike Hazelwood)
09. Touch My Fire
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pam Barlow/Janet Minto)
10. Now Love
(Tony Borg/Toby Tarrach/Jimmy Wandroph/Ken Sandin/Jim Jidhed/Pete Sandberg/Max Stone)

■Personnel
Tony Borg – guitars
Jimmy Wandroph - keyboards
Ken Sandin – bass
Toby Tarrach – drums
Jim Jidhed – vocals
Pete Sandberg – vocals

Producer - Chris Minto (1, 2, 3, 4, 5, 7, 9), Mark Dearnley (6), Tony Borg & Dille (8, 10) 

Alien
Virgin
1989-08-02






Nemesis / Midnight Sun (1999)

0168Nemesis









スウェーデンのメロディアスHR/HMバンド、ミッドナイト・サンの3rdアルバム。アルバムごとにメンバー・チェンジしているこのバンド、ピート・サンドベリ(vo)とヨナス・レインゴールド(ba)の双頭体制は変わっていませんが、本作では新ギタリストとしてマグナス・カールソンが迎えられています。現在では凄腕プレイヤーかつ優秀なメロディ・メイカーとしてすっかり有名になりましたが、このアルバムが彼のメジャー・デビュー作。後年ほどではないものの、その巧者ぶりは本作でもうかがえます。また、ドラムはハイメ・サラザール(Bad Habit/Reingold)にチェンジしています。

メロハー/AORとメロディック・メタルが混在していた1st、AOR色が一掃された2ndと来て、この3rdでは更にメタル寄り、ネオクラ寄りの音になりました。メロハー/AOR指向のピート・サンドベリと、メタル指向のヨナス・レインゴールドのせめぎ合いは臨界に達したようで、4th(最終作)レコーディング前にピート・サンドベリは脱退することになります。喧嘩別れではなかったようですが、それなりの確執はあったものと想像できます。そういった事情が音に反映したのか、本作は緊張感溢れる好盤に仕上がっています。特にタイトル曲#1"Nemesis"は疾走感と哀愁が両立していて、このバンドならではの味。いかにも北欧メロディック・メタルらしい名曲だと思います。また、前作でも客演していたジョン・ノーラムが再びギター・ソロを担当した#8"Dreams"は、ヘヴィなサウンドと切ない歌唱がなんとも言えない趣をかもし出しています。#14"Seven Doors Hotel"はEuropeの名曲のカヴァーですが、リード・ギターはジョン・ノーラムではなくマグナス・カールソン。思う存分弾きまくっています。というように良い曲がてんこ盛りなのですが、難を言えば曲数が多すぎるかな。筆者としては面白くなかった#12"Ave Maria"と#15"Innocent"をカットすれば、更に緩みのないアルバムになったんじゃないかと思ってしまいます。

プロデュースはヨナス・レインゴールドと初代ドラマーのアンダース・テオ・ティアンデルで、レコーディングはテオ・ティアンデルの経営するRoastinghouse Studio。なお、ゲスト・ギタリストとしてクレジットされているハル・ジョンストンは、ハイメ・サラザールと同じくBad Habitのメンバーです。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Nemesis
02. You and I
03. Mortal Man
04. Resurrection
05. King of Broken Hearts
06. Conqueror
07. Watch Out
08. Dreams
09. I Don't Know
10. Conceal
11. Living on the Edge
12. Ave Maria
13. Nightfall
14. Seven Doors Hotel
15. Innocent
All music by Reingold and words by Pete Sandberg
except "Nightfall" by Magnus Karlsson, "Seven Doors Hotel" by Joey Tempest

■Personnel
Pete Sandberg - Lead & Backing Vocal
Magnus Karlsson - Guitars, Backing Vocal
Jaime Salazar - Drums, Percussions, Backing Vocal
Reingold - Bass, Keyboards, Additional Guitar, Backing Vocal

Berit Hessing - Cello
Hal Johnston - Guitar
Jens Friis Hansen - Backing Vocals
Inger Ohlen - Backing Vocals
Henrik Hansson - Keyboard
John Norum - Guitar Solo on "Dreams"

Producer - Jonas Reingold, Anders "Theo" Theander
Executive Producer -  Anders "Theo" Theander 

ネメシス
ミッドナイト・サン
ビクターエンタテインメント
2000-02-23

 

Above & Beyond / Midnight Sun (1998)

0117Above & Beyond
スウェーデンのメロディアス・ハードロック・バンド、ミッドナイト・サンの2ndアルバム。ラインナップは、ピート・サンドベリ(vo)、ヨナス・レインゴールド(ba)、クリス・パルム(gt)の3人は前作と同じですが、ドラムはアンダース・テオ・ティアンデルから、ヘンポ・ヒルデン(ex-Mandrake Root, John Norum, Don Dokken)に交代しています。アンダース・テオ・ティアンデルはスタジオ経営、プロデュース業のほうを本職に選んだようで、本作も彼のRoastinghouse Studioで録音、彼自身はエグゼクティヴ・プロデューサーとしてクレジットされています。

ネオクラ風の疾走曲を頭に持ってきてド肝を抜いてから、悲哀に満ちたミッドナイト・サンの世界になだれ込むというのは前作と同じ趣向ですが、前作と違うのはピート・サンドベリお得意のAOR風味の曲がないことです。徹頭徹尾ミディアム~スロー・テンポのメロディアスなハードロックが詰まっています。インストを除いて全てヨナス・レインゴールドの作曲。この人ベース・プレイも凄まじいのですが、作曲家としても実に素晴らしいメロディ書きますね。それをハスキーで繊細なピート・サンドベリの声で歌い上げられると、ほんとに切なくなってきます。全曲にそれぞれのドラマがあり、北欧的哀愁メロハーを代表するような傑作だと思います。

特筆すべきはギターのクリス・パルム。どのトラックでもその曲の表情に合った情感豊かなメロディを紡ぎ出しています。緩急をわきまえたフレーズの組み立てに秀でていて、一本調子な速弾きばかりで退屈させるようなことがありません。本作にはギター・インスト曲#12"Eye of the Beholder"も収録されており、ここでも彼のギタリストとしての才能が遺憾なく発揮されています。さらに、スペシャルなゲストとしてヨーロッパのジョン・ノーラムが参加しているのも嬉しいポイントです。#10"Bad Blood"では全面的にリード・ギターを担当、ここぞとばかりに弾きまくり倒しています。#11"Endlessly"ではクリス・パルムとのギター・バトルを展開。元々クリス・パルムはジョン・ノーラムに似たタイプのギタリストだし、お互いを煽り立てるような激しい応酬にもう嬉しい悲鳴を上げるしかありません。このクリス・パルム、本作を最後にミッドナイト・サンを脱退、その後の活動がよく分からなくなってしまったのがなんとも残念です。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Above & Beyond (intro)
02. Reality
03. Keep on Pushing
04. Deception of Evil
05. I Believe
06. Don't Get Me Wrong
07. Tears in my Eyes
08. Kissed by an Angel
09. Scream & Shout [bonus]
10. Bad Blood
11. Endlessly
12. Eye of the Beholder
13. Hey
All music by Jonas Reingold and words by Pete Sandberg
except "Eye of the Beholder" by Chris Palm

■Personnel
Pete Sandberg - Lead Vocal
Chris Palm - Guitar, Keyboard
Jonas Reingold - Bass
Hempo Hildén - Drums

John Norum - Guitar war on "Endlessly", guitar solo on "Bad Blood"
Mike Dee - Keyboard
Anders "Theo" Theander - Drums on "Eye of the Beholder"
Thomas Wallèn - Backing vocals
Inger Ohlén - Backing vocals
Sara Hurlin - Backing vocals

Producer - Jonas Reingold
Executive Producer -  Anders "Theo" Theander 

Above and Beyond
Midnight Sun
Aor

 

Another World / Midnight Sun (1997)

0082Another World
ノルウェー出身の名ボーカリスト、ピート・サンドベリを擁するスウェーデンのミッドナイト・サンが1997年にリリースした1stアルバム。なぜか北欧にはバンドを転々とする渡り鳥ボーカリストが多いのですが、ピートもその一人で、このバンドは彼の経歴の中ではビワープ(Bewarp)の後、ピート・サンドベリズ・ジェイド(Pete Sandberg's Jade)の前ということになります。本作の出た1997年はピートの初ソロ・アルバムBack in Businessもリリースされているので、結構エネルギッシュに活動していた時期だったと思われます。

ピート・サンドベリ以外のメンバーは、ベースに元ザ・ダウン・タウン・クラウンズ(The Downtown Clowns)のヨナス・レインゴールド。スウェーデンのベーシストを集めたプロジェクトSweden Bass Orchestraのリーダーを務めるなど、数多くのセッション・ワークもこなす実力者で、ミッドナイト・サンのリーダーシップも彼が握っていたようです。ドラムはアンダース・テオ・ティアンデル。セッション活動の一方、彼もビワープに在籍していましたが、ピート・サンドベリ加入時には既に脱退していたようです。最近ではドラマーよりも、プロデューサー、スタジオ経営や音楽出版ビジネスの分野での活動が目に付く人です。ギターはクリス・パルムで、やはりセッション・ミュージシャンとして活動してきた実力派。キーボードのマイク・DはEmeraldというバンドに在籍したようですが細かい経歴は不明です。

さて、音のほうですが、イントロのSEに続く"No Way Out"がいきなりネオクラ風疾走曲で驚かされます。これがえらくカッコいい。AOR風のロマンチックなシンガーというイメージの強いピート・サンドベリにしては、かなりメタル寄りの歌唱です。闇夜を切り裂くようなクリス・パルムのギターも素晴らしい。ギターとの高速ユニゾンを難なくこなすなど、初っ端からヨナス・レインゴールドの実力も遺憾なく示されています。このオープニング曲以外は、ピートらしいAOR的な曲とヘヴィなミドル・テンポのハードロックが続きます。筆者はピートの声と歌い回しが大好きなので、お腹いっぱいになるほど彼のボーカルを堪能できて大満足です。特に、#3" Moneymaker"や#5"All I Want"などマイナー・キーの曲での、甘美な悲劇の匂いを撒き散らすような歌唱には鳥肌が立ってしまいます。また全曲にわたってブリブリとしたグルーヴを発するヨナス・レインゴールドのベース、クラシカルな早弾きとタメの効いたブルージーなフレーズ両方を繰り出すクリス・パルムのギターも聴き応えあります。

楽曲の水準は押並べて高いのですが、やや凡庸な曲がいくつかあるのが難点でしょうか。また、ヘヴィ・メタル色が強い曲とAOR風な楽曲が混在しているのは、一般的に見て散漫な印象を与えてしまうような気がします。ソング・ライティングに関するクレジットはないのですが、次作Above and Beyond収録曲のほとんどがヨナス・レインゴールド作曲、ピート・サンドベリ作詞なので、本作についてもおそらく同様だと思われます。プロデュースはアンダース・テオ・ティアンデルとヨナス・レインゴールドで、アンダース・テオ・ティアンデルの所有するRoastinghouse Studioでのレコーディング。サウンド・プロダクションがやや粗いのも気になる点です。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Another World
02. No Way Out
03. Moneymaker
04. Over and Over
05. All I Want
06. Looking for Love
07. Black Night
08. Hold Me Back
09. On'n'On
10. Power of Greed
11. Front-Page News
12. Deep in My Heart
13. Name of Love
14. Deep in My Heart (Instrumental Version) [Bonus Track for Japan]
15. Fire Still Burns  [Bonus Track for Japan]

■Personnel
Pete Sandberg - Lead Vocals
Chris Palm - Guitars, Vocals
Jonas Reingold - Bass, Vocals
Anders "Theo" Theander - Drums, Vocals
Mike D - Keyboard

Jonas Sandquist - Backing vocals
Thomas Wallèn - Backing vocals
Jonny Jacobsen - Backing vocals
Patrik Larsson - Backing vocals

Producer - Anders "Theo" Theander & Jonas Reingold 

アナザー・ワールド
ミッドナイト・サン
アルファレコード
1997-06-25

 
記事検索
カテゴリ別アーカイブ
読者登録
LINE読者登録QRコード
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ