メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

ハンク・エリックス

Relaunch II / Houston (2014)

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スウェーデンのメロハー/AORプロジェクトHouston、そのカバー企画Relaunchの第二弾。オリジナル・アルバムを含めると4作目ということになります。カバー・アルバムと言っても、全10曲中カバーは6曲、残り4曲はオリジナルという構成です。結論から言うと、カバーもオリジナルも玉石混淆。どうせなら、中途半端なカバー・アルバムではなくオリジナルで勝負して欲しいと思いました。

01. Justice for One
(John Farnham, Sue Shifrin)
オーストラリアのシンガー、ジョン・ファーナムの1984年の曲。Savage Streetsという映画のサウンド・トラックらしいです。中々ドラマチックな曲で悪くないと思いました。

02. Love Is Blind
(John O'Banion)
アメリカのAORシンガー、ジョン・オバニオンの1981年の曲。AORというより哀愁たっぷりな歌謡曲といった感じで、これはHoustonにピッタリです。本作のハイライトの一つと思います。

03. Counting Stars
(Ryan Tedder)
アメリカのロック・バンドOneRepublicのヒット曲。2013年の曲で、このアルバムと同時代ということになります。いかにも近年の英米のヒット・チャートにのりそうな曲ですが、好みじゃないな~これ。

04. Souls
(Rick Springfield)
80年代のスターの一人リック・スプリングフィールドの1983年のヒット曲。サビがカッコいいし、Houstonのレパートリーとして違和感ありません。

05. Don't Look Back
(C. Hammar, F. Allen, R. Delin)
オリジナル曲。当たり前ですが、いかにもHoustonの曲らしい哀愁メロハー/AORの佳曲です。

06. Cruise
(Brian Kelley, Chase Rice, Jesse Rice, Joey Moi, Tyler Hubbard)
アメリカのカントリー・ミュージック・デュオFlorida Georgia Lineの2012年の大ヒット・ナンバー。カントリー・ロックは大好きだし、サウンドもカッコいいんだけど、なんだかHoustonには合っていないような気がします。歌い方もちょっとわざとらしいし。

07. Do What U Want
(Martin Bresso, Paul "DJ White Shadow" Blair, Robert Kelly, Stefani Germanotta, William Grigahcine)
2013年レディ・ガガの大ヒット・ナンバーで、オリジナルはR.ケリーとのデュエット曲となっています。これは本作で最も疑問が残る選曲ですね。そんなに良い曲とは思えないし、そもそもゲストの女性ボーカルがメインでハンプス・ハンク・エリックスは脇役だし、このプロジェクトで取り上げる意味が分かりません。

08. Our Love
(M. Rubarth, R. Delin)
オリジナル曲です。Houstonらしいサビは良いのですが、ちょっと印象の薄い曲かな。

09. Downtown
(F. Allen, R. Delin)
これもオリジナル。「ダウンタウンへ繰り出そう!」というワクワク感が直に伝わってくる楽しい曲です。本作ハイライトの一曲だと思います。

10. Standing on the Moon
(D. LaRoxx, H. Erix, J. Åkerfors, R. Delin)
ラストはしっとりしたオリジナル曲です。残念ながらやはり印象が薄いと感じてしまいました。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Personnel
Hampus Erix - Lead and Backing Vocals
Ricky B. Delin - Keyboards, Backing Vocals
Freddie Allen - Drums on #9

Calle Hammar - Guitar, Additional Keyboards on #5
Andy Dawson - Guitar on #8
Pepe Reckless - Guitar on #8
Mats Rubarth - Acoustic Guitar & Bass on #8
Victor Lundberg - Keyboards, Guitar & Bass on #10, Duet Vocals on #3, Backing Vocals
Soufian Ma'Aoui - Bass
Oscar Lundström - Drums
Marcus Johansso - Drums on #8
Jimmy Åkerfors - Additional Keyboards on #10
Lizette Von Panajott - Vocals on #7

Producer - Ricky B. Delin
Co-producer - Jimmy Åkerfors on #10

II / Houston (2013)

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スウェーデンのメロハー・バンドHoustonの2枚目のオリジナル・アルバム。Relaunchと題されたカバー・アルバムはオリジナル・アルバムとは別にシリーズ化しているようです。これまではフレディ・アレン(ds)、ハンプス・ハンク・エリックス(vo)の2人組でしたが、本作では裏方だったプロデューサー兼キーボードのリッキー・B・デリンもメンバーとしてクレジットされています。ブックレット裏面には、若者2名とおっさん1名が並んでいる写真があしらわれていて、なんだか違和感ありまくり。それはそれとして、ほぼ全曲をリッキー・B・デリンとドラムのフレディ・アレンが書き、アレンジとプロデュースはリッキー・B・デリンが担当、またトミー・デナンダーがほとんどのギター・プレイに加えプロデュースとアレンジの一部を担う等、過去の作品と同様の制作体制となっています。

さて、1作目Houstonも2作目Relaunchも少しモヤモヤの残るアルバムでしたが、今回はまったくもって素晴らしい出来!何より曲が良く、名曲・佳曲がてんこ盛りの満塁ホームラン状態です。難点は相変わらず音が薄っぺらなこと。毎回こうなのは、やはり何か意図があるのでしょうか。ラジオから流れているような雰囲気の演出とか?まあ、とにかく曲が良すぎるのでこの際目をつぶることにしましょう。

#1"Glory"
印象的なキーボードに導かれてスタートする哀愁メロハー。ヴァースのメロディが特にいいですね。トミー・デナンダーのソロも冴えまくっています。
#2"I'm Coming Home"
爽快系ながらメロディには少しばかり切ない雰囲気もある佳曲。キーボードがもろに80年代風です。
#3"Return My Heart"
これも爽快系で、トミー・デナンダーが曲作り関わっています。他の曲もそうですが、厚みのあるバック・ボーカルのハーモニーが素晴らしいです。
#4"Talk to Me"
80年代風のキラキラしたサウンドと、センチメンタルでロマンチックなメロディが最高です。シンプルですがエモーショナルなギター・ソロはカーレ・ハマーによるもの。
#5"Back to the Summer of Love"
「サマー・オブ・ラブ」というと1967年のサンフランシスコをすぐに思い起こしますが、歌詞を見ると普通のラブ・ソングでした。郷愁を誘うメロディと甘酸っぱい歌詞が秀逸。本作のハイライトの1曲です。
#6"24 Hours"
ボーカルのハンク・エリックスがソング・ライティングに参加している曲。普通に良い曲なのですが、他が良すぎるためにちょっと目立たないかな。
#7"On the Radio"
哀愁たっぷりでありながらポップ、サビの切ないメロディとハーモニーが耳にこびりついて離れない!時代が時代なら、シングル・カットされて大ヒットしてもおかしくない名曲だと思います。
#8"Losing"
これまた出色の哀愁メロハー。ブリッジからサビにかけての盛り上がりにグングン惹きつけられます。
#9"Just Friends"
女性シンガーとのデュエット曲。おっさんにも「青春」なんて気恥ずかしい言葉を思い起こさせてしまうキリン・レモンのような曲ですな。何気ないけど名曲!
#10"Believe"
爽快系なのにどこか胸キュンなメロディとアンサンブルが素晴らしい。間奏のキーボード・ソロがいい雰囲気です。

楽曲もハンク・エリックス君の歌声も、今の若い世代にも十分アピールできると思うけれど、マイナーな存在に留まっているのが哀しいです。日本盤も出てないみたいだし。こういう音楽が世界中の若者に支持されて、CMや映画・ドラマに使われたり、「アリーナ・ロック」にふさわしく大会場をまわるツアーができるような状況になってもらいたいものです。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Glory (Allen, Delin)
02. I'm Coming Home (Allen, Delin)
03. Return My Heart (Delin, Denander)
04. Talk to Me (Allen, Delin)
05. Back to the Summer of Love (Allen, Delin)
06. 24 Hours (Erix, Delin)
07. On the Radio (Hammar, Delin)
08. Losing (Allen, Delin)
09. Just Friends (Allen, Delin)
10. Believe (Delin)

■Personnel
Hampus Erix - lead and backing vocals
Ricky B. Delin - keyboards, backing vocals
Freddie Allen - drums

Soufian Ma'Aoul - bass guitar
Tommy Denander - guitars (1, 2, 3, 5, 8, 9, 10)
Calle Hammar - guitars (4, 6, 7), keyboards (7)
Jay Cutter - keyboard intro loop (6)
Minnah Karlsson - duet vocal (9)
Victor Lundberg - backing vocals (4, 7)
Kristoffer Lagerström - backing vocals (3)
Geir Rønning - backing vocals (3)
Jessa Slatter - backing vocals (3)
Catharina Lindqvist - spoken voice (7)

Producer - Ricky B. Delin

II
Houston
Livewire/Cargo
2013-09-03

 

Relaunch / Houston (2011)

0089Relaunch
スウェーデンのメロハー/AORユニット、ヒューストンの2作目。全9曲中、6曲がカバー、2曲が1st収録曲のアコースティック・バージョンで、新曲は1曲のみですので、実質カバー・アルバムです。カバーされているのは、ダコタ、マイケル・ボルトン、エアレース、タッチ、ニュー・イングランド、ローラ・ブラニガン。もちろん曲が悪いはずはありません。しかし、まだ若い新人なのになんで2作目がカバー・アルバム?それなりのキャリアがあり、ミュージシャンとしての個性がある程度知られていてこそ、その人たちが元曲をどう料理するか興味が湧くのではないでしょうか。その点いささか疑問です。

ヒューストンはフレディ・アレン(ds)、ハンプス・ハンク・エリックス(vo)の二人だけの編成ですので、リッキー・B・デリン、トミー・デナンダー、マッツ・オラウソン、トーマス・ヴィクストロムなどスウェーデンのミュージシャン達が全面的にバックアップしているのは前作と同じ。それに加えて、タッチの"Don't You Know What Love Is"では、マーク・マンゴールド本人までがキーボードとボーカルで参加しています。いや~、これは嬉しかったですね。また、" Brief Encounter"でもエアレースのローリー・マンズワースがギターを弾いています。

前作のレビューでは、楽曲は抜群なのにサウンドが悪すぎるという感想を書きましたが、残念ながら本作も全く同様の印象です。スーパーの店内BGMやローカルTV局のCMを思わせるチープな音、たどたどしいドラム。。。なんでこうなるのかな。YouTubeにアップされているヒューストンのライブ動画をいくつか見ましたが、ホームビデオの音というのを差し引いても、歌唱・演奏とも安心して聴ける水準ではありません。アルバム裏ジャケの写真と同じメンツなので、バンド・メンバーはほぼ固定しているようです。("Don't You Know What Love Is"の動画で、みんな若そうなメンバー中一人だけオジさんが歌っていますが、プロデューサーのリッキー・B・デリンです。)どういう大人の事情で「二人のユニット」という不完全な編成になっているのか知りませんが、やっぱりフル編成のパーマネントなバンドでリハと曲作りに精進してほしい。他力本願のアルバムを粗製乱造するのではなく、バンド一体となって心血を注いだ作品を聴かせてほしい。同郷、同世代のH.E.A.Tのように。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Runaway (Jerry Hludzic & Bill Kelly ~ originally recorded by Dakota)
02. Carrie (Michael Bolton ~ originally recorded by Michael Bolton)
03. Brief Encounter (Laurie Mansworth ~ originally recorded by Airrace)
04. Don't You Know What Love Is (Mark Mangold ~ originally recorded by Touch)
05. Don't Ever Wanna Lose Ya (John Fannon ~ originally recorded by New England) 
06. Didn't We Almost Win It All (Brian BecVar & Laura Branigan ~ originally recorded by Laura Branigan) 
07. Without Your Love (Ricky B. Delin)
08. Truth Slips [Acoustic] (Ricky B. Delin & Freddie Allen)
09. 1000 Songs [Acoustic] (Ricky B. Delin & Johan Kronlund)

■Personnel
Hampus Erix - lead and backing vocals
Freddie Allen - drums

Ricky B. Delin - keyboards, synth bass, and backing vocals, duet vocal on 4
Jay Cutter - keyboards on 4
Mats Olausson - keyboards on 3
Tommy Denander - guitars
Laurie Mansworth - guitars on 3
Mark Mangold - keyboard solo, backing vocals, and duet vocal on 4
Lasse Falck - bass on 1, 2, 6
Soufian Ma'Aoul - bass on 3, 4, 5
Tomas Vikström - backing vocals on 4, 7
Elize Ryd - backing vocals on 7

Producer - Ricky B. Delin

Tracks 8 & 9
Performed by Hampus Erix, Helena Alsterhed and Jay Cutter
Produced by Houston 

Houston / Houston (2010)

0068Houston
スウェーデンのメロハー/AORシーン期待の新人、ヒューストンのデビュー・アルバムです。新人と言ってもずいぶん年季の入った新人も多い中、ヒューストンはピッカピカの若者ということでうれしくなります。どういう訳か、バンドの形態をとらずフレディ・アレン(ds)とハンプス・ハンク・エリックス(vo)の2人のユニットとなっています。メンツが足りない分、レコーディングにはスウェーデンの名だたるミュージシャン達が参加しているのが注目点です。

主だった参加メンバーを挙げると、ギターにトミー・デナンダー。言うまでもなく、数え切れないほどのグループ、プロジェクトに携わってきた北欧メロハー/AOR界きっての仕事人です。キーボードには、イングヴェイ・マルムスティーンのバンドを皮切りに、これまた数多くのセッションをこなしてきたマッツ・オラウソン。バッキング・ボーカルに、トミー・デナンダーとTalk of The Town、Speedy Gonzalesで共演してきたトーマス・ヴィクストロム。このアルバムの#8"She's a Mystery"ではハンプス・ハンク・エリックスとのデュエットも聴かせてくれます。そして、プロデュースとキーボード、ソングライティングのほとんどに関わっているリッキー・B・デリン(Ricky B. Delin)、彼がこのプロジェクトの中心人物のようです。ミュージシャン/コンポーザー/プロデューサー/エンジニアーとして、Sayit、Prisonerなど数多くのメロハー/AOR系のアルバムでトミー・デナンダーと一緒に仕事をしてきています。

これだけのバックアップ体制で制作されたアルバムなわけですが、まるで自主制作デモ音源のような印象を受けてしまいました。ラジオのように平板なサウンド・プロダクション、一本調子の楽器アンサンブル、生気のないドラム、これらが重なって、なんだかDTMに毛が生えた程度の音にしか聴こえません。キーボード主体のライトな80年代AORを再現しようとしている意図は窺えますが、それにしてもあまりにもサウンドに勢いがないのです。トミー・デナンダーのギターがいつも以上に歪んでいて、まるでビンテージ物のFuzzでも踏んでいるようにノイジー過ぎるのも気になります。

ただし、楽曲自体は抜群に優れています。そこはかとない哀愁を漂わせたメロディが非常に魅力的ですし、ボーカルのハンプス・ハンク・エリックスのナイーブな歌唱との相乗効果もあり、どの曲も名曲・佳曲と言って差し支えない水準です。この楽曲群を隅々まで気を配ってアレンジしなおし、リズムセクションを強化して、最高の環境で再レコーディングしたら、とんでもない傑作になりそう。そんなことばかり頭に浮かんで、聴くたびに割り切れなくてモヤモヤしてしまうアルバムです。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。 

■Tracks
01. Pride (Allen, Delin)
02. Truth Slips (Allen, Delin)
03. Hold On (Allen, Delin)
04. I'm Alive (Allen, Delin)
05. One Chance (Allen, Delin)
06. Give Me Back My Heart (Kronqvist, Delin, Denander)
07. Misery (Delin, Denander)
08. She's a Mystery (Laroxx,Sandrock)
09. Now (Delin, Kronlund)
10. 1000 Songs (Kronlund, Delin)
Bonustracks
11. Under Your Skin (Erix, Delin)
12. Chasing the Dream (Allen, Delin)

■Personnel
Freddie Allen - drums, keyboards on 3
Hampus Hank Erix - lead & backing vocals

Lasse Falck - bass (except 6)
Kristoffer Hogberg - bass on 6
Mats Olausson - keyboards on 1, 6, 7, 8, 9, 10
Ricky B. Delin - keyboards on 1, 2, 3, 5, 6, 8, 9, 10, syn-drums on 4, acoustic guitars on 9, backing vocals on 3, 4, 10
Jay Cutter - keyboards on 3, 7
Johan Kronlund - keyboards on 10, guitars on 10, backing vocals on 10
Sandrock - FX on 8
Tommy Denander - guitars on 1, 3, 4, 5, 6, 7
Martin Fogelström - guitars on 2
Michael Santunione - guitars on 8
Fabes - guitars on 4, 9
Krille Eriksson - guitars on 10
Kristoffer Langerström - backing vocals on 1, 5, 6, 9
Helena Alsterhed - lead vocals on 2
Tomas Vikström - backing vocals on 2, 4, lead vocals on 8

producer - Ricky B. Delin
executive producer – Dave Laroxx 

Houston
Houston
Spinefarm
2010-12-13

 
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