メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

トーマス・ヴィクストロム

Sayit / Sayit (1999)

0471Sayit









ポーランド出身のギタリストSayit(セイイット)ことSayit Dölenの名を冠したプロジェクトの第一作です。とは言うもののこのSayitは、実際にはRadioactive、Prisoner、Deacon Streetなど山ほどあるトミー・デナンダーのプロジェクトの一つで、作曲、プロデュース、ほとんどのパートの演奏をトミー・デナンダーが担当。主役であるはずのセイイットさん自身はいくつかの曲でリズム・ギターを弾いているだけで、なぜ彼の名前がプロジェクト名になっているのかは謎です。(もっとも、ブックレットにリード・ギターのクレジットが無いため確定的なことは言えないのですが、トミー・デナンダーっぽくないソロが何曲かあるので、セイイットもリード・ギターを担当しているのかも知れません。)それはともかく、中身はトミー・デナンダーらしいハイクォリティな北欧AORとなっており、聴き逃せないアルバムであることは間違いありません。

トミー・デナンダー作品でも一作ごとに特徴的な傾向というのがありますが、本作はフュージョン寄りAORというか、歌入りフュージョンというか、そんな感じ。曲も良く出来ているし、イエア・ロニングやピエール・ウェンスベリといった、デナンダーのプロジェクトの常連ボーカリストの歌唱がこれまた極上でため息が出るほどです。バック・ボーカルにも、トーマス・ヴィクストロム、ミカエル・アーランドソンなど一流ボーカリストが動員されており、なんとも贅沢。ただ、リズムが打ち込みで単調に感じること、後半になると曲の出来が若干落ちてくることが気になります。特にジャーニーのカバー#11"Once You Love Somebody"は曲もイマイチ、打ち込み臭さが鼻に付き聴いているのが苦痛でした。ボーナス・トラックの#12"Talk to Me"も同様にいただけません。所詮はアウトテイクということでしょうか。なお、共同プロデューサーのリッキー・B・デリンも、トミー・デナンダーのプロジェクトではお馴染みの人物。作曲のクレジットにあるBjörn Lindbomというのは彼の本名らしいです。

本作のオリジナル・リリースは1999年ですが、わずか2000枚しかプレスされておらず、市場には2009年に再発されたボーナス・トラック入りリマスター盤が出回っているようです。また、今年(2023年)になって、Sayitの1stと2ndをカップリングした ONE & AGAIN が500枚限定で発売されています。

以下、お気に入りの曲をいくつかご紹介してみます。

01. A Second Start
中低域が魅力的なイエア・ロニング、高域に張りのあるピエール・ウェンスベリ、二人のツイン・ボーカルで聴かせる極上AOR。幕開けから名曲・名唱です。高いところでイエア・ロニングが若干苦しそうですが、二人ともまあ歌のうまいことと言ったらありません!

02. House of Glass
ゆったりとしてライトなAORです。リード・ボーカルはピエール・ウェンスベリ。これも良い曲です。

03. Standing on the Outside
これも軽い感じのAORですが、イエア・ロニングの渋いボーカルが曲に深い味わいをもたらしていると思います。

04. One Unguarded Moment
イエア・ロニングが歌う少しブルージーなAOR。彼のボーカル・スタイルによく合っていて大好きな曲です。

05. Could You Love Me Again
ボーカルは再びピエール・ウェンスベリです。いわゆるハネ系リズムが心地良いフュージョン寄りのAOR。

06. Garden of Eden
これは更にフュージョンっぽい曲。ボーカルはイエア・ロニングです。何を歌わせても上手いわ、この人!

10. You
イエア・ロニングと女性ボーカリストのアニカ・ブルマンのデュエット。日本で言うところのシティ・ポップのようなちょっとオシャレな曲です。

■Tracks
01. A Second Start (Tommy Denander, Björn Lindbom)
02. House of Glass (Tommy Denander)
03. Standing on the Outside (Tommy Denander, Björn Lindbom)
04. One Unguarded Moment (Tommy Denander, Björn Lindbom)
05. Could You Love Me Again (Tommy Denander)
06. Garden of Eden (Tommy Denander, Björn Lindbom)
07. You're My Inspiration (Tommy Denander, Björn Lindbom)
08. She's the One (Tommy Denander, Björn Lindbom)
09. Hear Me Heaven (Tommy Denander, Björn Lindbom)
10. You (Tommy Denander, Björn Lindbom)
11. Once You Love Somebody (Steve Perry, Jonathan Cain)
[Unreleased Bonus Track]
12. Talk to Me (Tommy Denander)

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Personnel
Tommy Denander - Programming, Keyboards, Bass, Rhyhm Guitars (all except 4), Backing Vocals (5)
Sayit - Rhyhm Guitars (1, 2, 3)
Bruce Gaitsch - Rhyhm Guitars (acoustic on 5)
Geir Rønning  - Lead Vocals (1, 3, 4, 6, 8, 10)
Pierre Wensberg  - Lead Vocals (1, 2, 5)
Andy Eklund  - Lead & Backing Vocals (7, 9, 11)
Annika Burman  - Lead & Backing Vocals (10)
Thomas Vikström - Backing Vocals (1, 3, 6, 8)
Mikael Erlandsson - Backing Vocals (9)
Mikael Eriksson - Backing Vocals (9)
Kristoffer Lagerström - Backing Vocals (2)

Producer - Tommy Denander, Ricky B. Delin

Sayit
Sayit
911
2008-01-25


Taken / Radioactive (2005)

0458Taken









トミー・デナンダーのメロハー/AORプロジェクトRadioactiveの3rdアルバム。これまで通りTOTOの影響下にあるAORハード路線を中心に、多彩な楽曲が詰め込まれています。ただ、楽曲の平均点は前作の方が上かもしれません。今回も多数のボーカリスト、プレイヤーを動員していますが、それにしても実に豪華な顔ぶれですね~。人数が多すぎてタグ数が間に合わないので、曲順を追って簡単に記しておきます。なお、本作オリジナル盤はドイツのMTMから2005年にリリースされていますが、2013年になってRadioactiveの1st~3rdにそれぞれボーナス・トラック2曲(1曲は日本盤ボーナス・トラックだったもの、1曲は未発表曲)ずつを追加したリイッシュー3枚組Legacyが英国Escape Musicから発売されています。一部の曲のパートが差し替えられてリミックスも行なわれているようですが、レビューはこのLegacyのバージョンについてのものです。

01. C.O.W. (Tommy Denander)
オープニングのギター・インスト。曲というより景気づけにギター弾きまくってるという感じです。

02. Taken (Tommy Denander, Bobby Kimball)
タイトル曲はいかにもT.デナンダーらしいAORハード。ボーカルはボビー・キンボールです。

03. Stronger Than Yesterday (Tommy Denander)
温か味のあるしっとりしたAORナンバー。ボーカルはスウェーデン出身で現在は米国でソングライター&プロデューサーとして活躍しているアンドレアス・カールソン。他の曲と異なり、ジェフ・ポーカロ(Ds)、ディーン・パークス(G)、グレッグ・フィリンゲインズ(Key)、スティーヴ・ポーカロ(Key)がバックを固めています。ジェフ・ポーカロが92年に亡くなっていることも考え合わせると、元々の録音は相当古いと推測されます。

04. Hit Her Where It Hurts (Tommy Denander, Björn Lindbom)
キャッチーなメロディが印象的なAORナンバーで、リード・ボーカルはゲイリー・バーデン、バック・ボーカルはマイケル・ヴォス。色々言われることの多いG.バーデンですが、ここでは問題無いどころか貫禄さえ感じさせる歌いっぷりです。

05. Easy's Gettin' Harder (Tommy Denander, Björn Lindbom)
M7thコードの響きがオシャレな雰囲気を醸し出すシティ・ポップス風の曲。ボーカルはジェイムズ・クリスチャン&ロビン・ベック、夫婦で気持ち良さそうに歌っております。

06. This I Promise You (Tommy Denander, Björn Lindbom)
ミカエル・アーランドソンがボーカルを担当した甘く切ない系バラードです。

07. Forgivness (Tommy Denander, Christian Ingebrigtsen, Marjorie Maye)
ノルウェー出身のシンガー、クリスチャン・インゲブリグトセンが歌う、ポップでメロディアスな哀愁系AORナンバーです。アコースティック・ギターでブルース・ガイチが加わっています。

08. Shattered (Tommy Denander, Marjorie Maye)
跳ねるリズムがカッコいいメロハー/AORで、ボーカルはフィリップ・バードウェル。ギター・ソロはなんとイングヴェイ・マルムスティーンなんですが、無理やり入れ込んだ感が否めません。

09. Premonition (Tommy Denander, Fergie Frederiksen, Jim Peterik)
ハードロック寄りのスピーディな曲。ボーカルはファーギー・フレデリクセン、ギター・ソロはブルース・キューリックです。

10. Carry On (Frédéric Slama, Tommy Denander)
クレジットにはリード・ボーカルとしてミカエル・アーランドソンとケリー・ケイギーの2人が記されていますが、ミカエル・アーランドソンの声しか聴こえません。また、ギターにニール・ショーン(イントロのトーク・ボックス)、マイケル・ランドウ、マイケル・トンプソン、フレデリック・スラマ、他にもジョン・ロビンソン(Ds)、エイブラハム・ラボリエル(B)、トム・キーン(Key)など数多くのプレイヤーの記載があります。

11. Love Is on Your Mind (Tommy Denander, Kristoffer Lagerström)
本作の中ではもっともハードロック的な曲。メロディアスな佳曲です。これもクレジット上のリード・ボーカルがハリー・ヘス、バック・ボーカルがトーマス・ヴィクストロムとなっていますが、リード・ボーカルはトーマス・ヴィクストロムに聴こえます。うーむ、オレの耳がおかしいのか?クレジットが間違っているのか?謎です。

12. Sinner (Tommy Denander, Björn Lindbom)
ジェフ・パリスが歌うAORハードで、これも佳曲だと思います。

13. Never Gonna Let Her Go (Frédéric Slama)
典型的なウェスト・コースト風ライトAOR曲。これは元々フレデリック・スラマ(AOR)の曲でオリジナルは歌入りですが、ボーカル・パートをカットしてギター・インスト曲に仕立てています。ギターはもちろんT.デナンダー、ただし元曲の間奏部分はスティーヴ・ルカサーが弾いていてこれもそのまま残っています。他のインスト・パートは、マイケル・ランドウ(G)、デヴィッド・ディッグス(Key)、トム・サヴィアーノ(Sax)、フセイン・ジフリー(B)、ヴィニー・カリウタ(Ds)と豪華です。

14. The Darkness Inside (Tommy Denander, Björn Lindbom)
オリジナル日本盤ボーナス・トラックで、ボーカルはジェフ・パリス。タイトル通りちょっとダークな雰囲気の曲です。

15. Feel My Heart Again (Tommy Denander)
Legacyのボーナス・トラックとして収録された未発表曲。歌は上手いしナチュラルなメロディが心地良く、えらく気に入ってしまいました。ボーカルはVic Heartと表記がありますが、知らない人なので調べてみるとスウェーデンのシンガー、ヴィクトル・クロネという人でした。1992年生まれと若いので、Legacy用に録音された新曲か、はたまたお蔵入り曲のボーカルを差し替えたのかどちらかでしょう。Legacyのクレジットでは、この曲に至っては2ndYeahのボーナス・トラック"Juliet"と取り違えられています。せっかくのクレジットなのになんだか当てになりません。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Personnel
Tommy Denander - Guitars,Keyboards, Piano, Loops, Bass

Bobby Kimball - Lead Vocals (2)
Andreas Carlsson - Lead Vocals (3)
Gary Barden - Lead Vocals (4)
Robin Beck - Lead Vocals (5)
James Christian - Lead Vocals (5)
Mikael Erlandsson - Lead & Backing Vocals (6, 10)
Christian Ingebrigtsen - Lead Vocals (7)
Philip Bardowell - Lead & Backing Vocals (8)
Fergie Frederiksen - Lead Vocals (9)
Kelly Keagy - Lead Vocals (10)
Harry Hess - Lead Vocals (11)
Jeff Paris - Lead Vocals (12, 14)
Vic Heart - Lead Vocals (15)
Thomas Vikström - Backing Vocals (2, 5, 7, 9, 11, 12, 14)
Michael Voss - Backing Vocals (4)
Steve George - Backing Vocals (10)
Hank Erix - Backing Vocals (15)
Dean Parks - Guitars (3)
Bruce Gaitsch - Acoustic Guitars (7)
Yngwie Malmsteen - Guitar Solo (8)
Bruce Kulick - Guitar Solo (9)
Neal Schon - Talk Box Intro (10)
Michael Landau - Guitars (10, 13)
Michael Thompson - Guitars (10)
Frédéric Slama - Guitars (10)
Steve Lukather - Solos (13)
Steve Porcaro - Keyboards, Strings (3)
Greg Phillinganes - Keyboard Fills (3)
Tom Keane- Keyboards (10)
David Diggs- Keyboards (13)
Abraham Laboriel - Bass (10)
Husaain Jiffry - Bass (13)
Vinny Heter - Drums (2, 4, 5, 6, 7, 8, 11, 12, 14)
Jeff Porcaro - Drums (3)
John Robinson - Drums (10)
Vinnie Colaiuta - Drums (13)
Pat Thern- Drums (15)
Tom Saviano - Sax (13)

Producer - Tommy Denander
except #13 David Diggs
テイクン
レディオアクティヴ
キングレコード
2006-01-25

Taken (w/DVD)
Radioactive
Mtm
2005-11-14

 

Bad Religion / Brazen Abbot (1997)

0183Bad Religion









ブルガリア出身の凄腕ギタリスト、ニコロ・コツェフによるハードロック・プロジェクト第3作。ボーカルはヨラン・エドマン、トーマス・ヴィクストロム、ジョー・リン・ターナー、インスト・パートはジョン・レヴィン(Ba)、イアン・ホーグランド(Ds)、ミック・ミカエリ(Key)のEurope組と、全員前作Eye of the Storm と同じ布陣です。ニコロ・コツェフはギター以外にも数種の楽器を担当、また作曲・編曲、プロデュース、レコーディング作業の一切を手がけるという多能多才ぶり。このプロジェクトは、1作目から極めてクォリティの高いRainbow、Deep Purple風ハードロック一直線、本作もまた期待に違わない路線で高品質の仕上がりとなっています。楽曲の出来ばえも素晴らしく、ボーカリストは三者三様の個性的な歌唱を競い合い、バックの演奏陣もスリリングでセンスの良いプレイを聴かせてくれます。もちろん、ニコロ・コツェフのギターも折り紙つきの超一級品です。

#1"The Hole World Is Crazy"、ボーカルはジョー・リン・ターナー。Rainbow再結成か?と錯覚するメロディアスでパワフルなスピード・チューン。ミック・ミカエリのオルガンがいい雰囲気出してます。

#2"Nightmares"、立て続けのスピード・チューンですが、ジョー・リン・ターナーとは持ち味の全く異なるトーマス・ヴィクストロムのドラマチックな歌唱が印象的。

#3"Two of a Kind"、一転して落ち着いた曲調。ヨラン・エドマン登場です。渋い歌いまわしにゾクゾクするスロー・バラード。ここでも存在感あるオルガンに拍手したくなります。やっぱりハードロックにはシンセじゃなくてオルガンですよ。

#4"I Will Rise Again"、再びジョー・リン・ターナーです。タイトなリフがカッコいい曲。短いながらも起承転結のあるニコロ・コツェフのギター・ソロが素晴らしい。ややポップなメロディがJLTによく似合っています。適材適所ですな。

#5"Day of the Eagle"、Purple風の疾走感溢れる曲。ニコロさんのバイオリン・ソロが新鮮です。ボーカルはヨラン・エドマンですが、ハイ・トーンがちょい苦しいかな。この人には中低音を生かした渋めの曲が合うと思うんですけどねぇ。

#6"We Don´t Talk Anymore"、ややアーシーなメジャー・キーのバラード。トーマス・ヴィクストロムが味のあるボーカルを聴かせます。この人はほんとにオールマイティです。中間部でテンポがアップし「様式美」風になってからのギター・ソロも聴き所。

#7"Wings of a Dream"、スピーディ&パワフル&ドラマチック、典型的な「様式美」ハードロックです。こういうのは当然ジョー・リン・ターナー。いや~興奮します!

#8"Bad Religion"、タイトル・チューンを歌うのはヨラン・エドマン。ミドル・テンポの落ち着いた曲です。ヴァース部分のポール・ロジャースを思わせるコブシぐるぐるの歌いまわしが最高。カントリー・フィドルみたいなバイオリンと、「様式美」的ギター・ソロのコントラストもニコロさんの計算の内でしょう。この人の才能には脱帽です。

#9"Father to Child"、またまたスピード・チューン。なんという圧倒的な声量、音域、表現力。トーマス・ヴィクストロムの独壇場です。本作で一番リッチー・ブラックモアへのリスペクトを感じさせるニコロさんのソロに思わずガッツポーズ!いや、したことありませんけど、一度言ってみたかったんです。

#10"Love Is on Your Side"、ポップで都会的なのに哀愁を感じさせるJLTのメランコリックな歌唱が実に素晴らしいバラード。それから、またまたニコロさんのソロの構成力にも唸らずにはいられません。

#11"The Empire of the Sun"、トリを勤めるのはやっぱりヨランさん。緊張感に満ちた曲展開が素晴らしい疾走曲です。ギター・ソロも完璧です。いや~、ハードロックを聴き続けて良かったなぁ~、っていう感慨が沸いてきます。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. The Hole World Is Crazy (L: Joe Lynn Turner, Robert Held)
02. Nightmares (L: Thomas Vikström)
03. Two of a Kind (L: Göran Edman)
04. I Will Rise Again (L: Joe Lynn Turner, Robert Held)
05. Day of the Eagle (L: Göran Edman)
06. We Don´t Talk Anymore (L: Thomas Vikström)
07. Wings of a Dream (L: Joe Lynn Turner, Robert Held)
08. Bad Religion (L: Göran Edman)
09. Father to Child (L: Thomas Vikström)
10. Love Is on Your Side (L: Joe Lynn Turner)
11. The Empire of the Sun (L: Göran Edman)
All music written by Nikolo Kotzev

■Personnel
Nikolo Kotzev - guitars, violin, piano, keyboards, percussion
Joe Lynn Turner - vocals (tracks: 1, 4, 7, 10)
Thomas Vikström -  vocals (tracks: 2, 6, 9)
Göran Edman -  vocals (tracks: 3, 5, 8, 11)
Ian Haugland - drums
John Levén - bass
Mic Michaeli - organ

Producer - Nikolo Kotzev 

Bad Religion
Brazen Abbot
Steamhammer Europe
2007-02-19

 

Electric Stalker / Speedy Gonzales (2005)

0121Electric Stalker









「スウェーデンのボーカル・マスター」ことトーマス・ヴィクストロムと、「スウェーデンのルカサー」ことトミー・デナンダーが組んだスーパー・ユニット、スピーディ・ゴンザレスの唯一(2014年現在)のアルバムです。この二人は元々スウェーデンのメロディックHR/HMバンドTalk of the Townのメンバー(トミー・デナンダーは準メンバー?)でしたが、1990年のバンド解散後二人はすぐにSpeedy Gonzalesを結成。デモ音源を作成、ライブも行なっていたようですが何故か空中分解、幻のバンドとなってしまいました。その後二人は別の道を歩み、それぞれHR/HMあるいはメロディック・ロック/AORの世界で押しも押されぬ存在となったわけです。そんな彼らが再び相見え、Talismanの故マルセル・ヤコブ(b)、現Mind's Eyeのダニエル・フローレス(ds)を加えてSpeedy Gonzalesを再結成し録音したのが2005年リリースのこのアルバムです。

メンバーは全員スウェーデン人だし、Deacon Street Project、Jim Jidhed、Radioactive、Sha-Boom、それにトーマス・ヴィクストロムのソロ・アルバムなどでそれぞれ共演を繰り返している仲なので息はピッタリ、実にすばらしいメロディックHR/HMアルバムに仕上がっています。トーマス・ヴィクストロムの熱唱が100点満点なのは言うまでもないとして、たまにお仕事的に流すこともあるトミー・デナンダーもさすがに気合の入りまくったプレイです。収録された曲は、結成当時のデモのリメイクが8曲、新曲が4曲。収録曲の中には、トミー・デナンダーの関わったRadioactiveやRainmakerにタイトルを変えて再録音されているものもあるようです。特筆すべきはTalk of the Townの代表曲だった#5"Free Like an Eagle"。まるで昭和の歌謡曲のように日本人の耳になじむこの名曲が、よりハードにドラマチックに蘇りました。いやー、うれしい!!

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Flash of the Blade (T. Denander/T.Vikström )
02. Desires of the Flesh (T. Denander/M. Jacob/T.Vikström)
03. Electric Staker (T. Denander/M. Jacob/T.Vikström)
04. Do You Know Where the Kids Go (T. Denander/J.Olson)
05. Free Like an Eagle (T.Vikström/A. Saluena)
06. Men With Medals (T. Denander/A. Tengner/T.Vikström)
07. Dominator (T. Denander/A. Tengner/T.Vikström)
08. Spit in the Hand That Feeds You (T. Denander/L. Chriss/M. Jacob/T.Vikström)
09. Make Love in Red (T. Denander/T.Vikström)
10. Shock the Nation (T. Denander/T.Vikström)
11. Trial by Fire (T. Denander/M. Jacob/T.Vikström)
12. Lust and Desire (T. Denander/T.Vikström)

■Personnel
Thomas Vikström - lead & background vocals
Tommy Denander – guitars, keyboards, loops
Marcel Jacob – bass
Daniel Flores – drums

Producer - Tommy Denander 

エレクトリック・ストーカー
スピーディー・ゴンザレス
インディーズ・メーカー
2005-11-23

Electric Stalker
Speedy Gonzales
Metal Heaven
2006-02-20

 

Eye of the Storm / Brazen Abbot (1996)

0113Eye of the Storm
ブルガリア出身のギタリスト、ニコロ・コツェフの主宰するHRプロジェクトの2作目。1作目のLive and Learn(1995) では、グレン・ヒューズ、ヨラン・エドマン、トーマス・ヴィクストロムの3人のボーカリストを押し立てて素晴らしいハードロックを聴かせてくれました。本作ではヨラン・エドマン、トーマス・ヴィクストロムは引き続きの参加、そしてグレン・ヒューズに替わってジョー・リン・ターナーが新たなボーカリストに迎えられ、またまた最高レベルのハードロック・アルバムに仕上がっています。演奏陣はヨーロッパのジョン・レヴィン(Ba)、イアン・ホーグランド(Ds)、ミック・ミカエリ(Key)。みんないい仕事しています。特にイアン・ホーグランドはヨーロッパよりいいプレイなんじゃないかと思うほど。ミック・ミカエリも故ジョン・ロードが乗り移ったかのような素晴らしいオルガンを聴かせてくれます。作曲、編曲はもちろん、プロデュースからミックスまで、マスタリング以外の全ての作業をニコロ・コツェフ自身が行っています。なお、作詞はその曲を歌うボーカリストが担当しています。

前作と同じく、パープル、レインボー風のスタイルを中心に、70年代ハードロックの様々なエッセンスが凝縮されています。曲ごとにボーカルが違うこともあって、まるで70年代ロックのベスト盤を聴いているような錯覚に陥ります。そういう意味では目新しさは皆無ですが、とにかく楽曲と歌唱・演奏が極上なのでとことん楽しめる作品となっています。前作と比較しての特徴は曲調によってボーカリストを決めていること。メインのパープル、レインボー的なスピード曲は、ジョー・リン・ターナー担当。やはりこの人はこういう曲を歌わせたらピカイチですね。#8"The Road to Hell"なんかパープル以上にパープルで思わず笑ってしまいます。とにかく、出がらしみたいな今のパープルよりよっぽどエキサイティングです。リズムが跳ねる曲はトーマス・ヴィクストロム。これが意外にいいんです。この人上手い上にほんと器用だわ。ヨラン・エドマンはどうやらこのプロジェクトではポール・ロジャース役を振られたらしく、メロウな曲、アーシーな渋い曲を受け持っています。リッチーがイアン・ギランの後任にポール・ロジャースを欲しがったというのは有名な話ですが、第三期パープルにもし代用品のデビカバじゃなくポール・ロジャースが入っていたら、なんてことを想像しながら聴くのも一興です。#11"Devil's Allegro"はインスト曲ですが、ニコロ・コツェフのテクニックとフィーリングの冴えが十二分に堪能できます。アクセル・ルディ・ペルに爪の垢を煎じて飲んでもらいたい。飲まないだろうけど。

国内盤ブックレットにはニコロ・コツェフ自身によるメンバー紹介、曲紹介が掲載されていますが、頻繁に出てくるフレーズは、「70年代のハードロック」、「仕事が速い」。そうか、ミュージシャンもやっぱり仕事が速くないといけないんだなー。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Eye of the Storm (L : Joe Lynn Turner, Robert Held)
02. Twist of Fate (L : Joe Lynn Turner, Robert Held)
03. Fool in Love (L : Göran Edman)
04. Line of Fire (L : Joe Lynn Turner, Robert Held)
05. Wake Up Everybody (L : Thomas Vikström)
06. Everything's Gonna Be Allright (L : Göran Edman)
07. Common People (L : Göran Edman)
08. The Road to Hell (L : Joe Lynn Turner)
09. Restless in Seattle (L : Göran Edman)
10. Highway Cindy (L : Thomas Vikström)
11. Devil's Allegro
12. I'll Be There for You (L : Göran Edman)
All music written by Nikolo Kotzev

■Personnel
Nikolo Kotzev - guitars, keyboards, pianos, violin, percussion, bass on 11, organ on 11
Joe Lynn Turner - vocals on 1, 2, 4, 8
Thomas Vikström - vocals on 5, 10
Göran Edman - vocals on 3, 6, 7, 9, 12
Ian Haugland - drums
Mic Michaeli - organ
John Levén - bass

Producer - Nikolo Kotzev 

Eye of the Storm
Brazen Abbot
Steamhammer Europe
2007-02-19

 

Relaunch / Houston (2011)

0089Relaunch
スウェーデンのメロハー/AORユニット、ヒューストンの2作目。全9曲中、6曲がカバー、2曲が1st収録曲のアコースティック・バージョンで、新曲は1曲のみですので、実質カバー・アルバムです。カバーされているのは、ダコタ、マイケル・ボルトン、エアレース、タッチ、ニュー・イングランド、ローラ・ブラニガン。もちろん曲が悪いはずはありません。しかし、まだ若い新人なのになんで2作目がカバー・アルバム?それなりのキャリアがあり、ミュージシャンとしての個性がある程度知られていてこそ、その人たちが元曲をどう料理するか興味が湧くのではないでしょうか。その点いささか疑問です。

ヒューストンはフレディ・アレン(ds)、ハンプス・ハンク・エリックス(vo)の二人だけの編成ですので、リッキー・B・デリン、トミー・デナンダー、マッツ・オラウソン、トーマス・ヴィクストロムなどスウェーデンのミュージシャン達が全面的にバックアップしているのは前作と同じ。それに加えて、タッチの"Don't You Know What Love Is"では、マーク・マンゴールド本人までがキーボードとボーカルで参加しています。いや~、これは嬉しかったですね。また、" Brief Encounter"でもエアレースのローリー・マンズワースがギターを弾いています。

前作のレビューでは、楽曲は抜群なのにサウンドが悪すぎるという感想を書きましたが、残念ながら本作も全く同様の印象です。スーパーの店内BGMやローカルTV局のCMを思わせるチープな音、たどたどしいドラム。。。なんでこうなるのかな。YouTubeにアップされているヒューストンのライブ動画をいくつか見ましたが、ホームビデオの音というのを差し引いても、歌唱・演奏とも安心して聴ける水準ではありません。アルバム裏ジャケの写真と同じメンツなので、バンド・メンバーはほぼ固定しているようです。("Don't You Know What Love Is"の動画で、みんな若そうなメンバー中一人だけオジさんが歌っていますが、プロデューサーのリッキー・B・デリンです。)どういう大人の事情で「二人のユニット」という不完全な編成になっているのか知りませんが、やっぱりフル編成のパーマネントなバンドでリハと曲作りに精進してほしい。他力本願のアルバムを粗製乱造するのではなく、バンド一体となって心血を注いだ作品を聴かせてほしい。同郷、同世代のH.E.A.Tのように。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Runaway (Jerry Hludzic & Bill Kelly ~ originally recorded by Dakota)
02. Carrie (Michael Bolton ~ originally recorded by Michael Bolton)
03. Brief Encounter (Laurie Mansworth ~ originally recorded by Airrace)
04. Don't You Know What Love Is (Mark Mangold ~ originally recorded by Touch)
05. Don't Ever Wanna Lose Ya (John Fannon ~ originally recorded by New England) 
06. Didn't We Almost Win It All (Brian BecVar & Laura Branigan ~ originally recorded by Laura Branigan) 
07. Without Your Love (Ricky B. Delin)
08. Truth Slips [Acoustic] (Ricky B. Delin & Freddie Allen)
09. 1000 Songs [Acoustic] (Ricky B. Delin & Johan Kronlund)

■Personnel
Hampus Erix - lead and backing vocals
Freddie Allen - drums

Ricky B. Delin - keyboards, synth bass, and backing vocals, duet vocal on 4
Jay Cutter - keyboards on 4
Mats Olausson - keyboards on 3
Tommy Denander - guitars
Laurie Mansworth - guitars on 3
Mark Mangold - keyboard solo, backing vocals, and duet vocal on 4
Lasse Falck - bass on 1, 2, 6
Soufian Ma'Aoul - bass on 3, 4, 5
Tomas Vikström - backing vocals on 4, 7
Elize Ryd - backing vocals on 7

Producer - Ricky B. Delin

Tracks 8 & 9
Performed by Hampus Erix, Helena Alsterhed and Jay Cutter
Produced by Houston 

Houston / Houston (2010)

0068Houston
スウェーデンのメロハー/AORシーン期待の新人、ヒューストンのデビュー・アルバムです。新人と言ってもずいぶん年季の入った新人も多い中、ヒューストンはピッカピカの若者ということでうれしくなります。どういう訳か、バンドの形態をとらずフレディ・アレン(ds)とハンプス・ハンク・エリックス(vo)の2人のユニットとなっています。メンツが足りない分、レコーディングにはスウェーデンの名だたるミュージシャン達が参加しているのが注目点です。

主だった参加メンバーを挙げると、ギターにトミー・デナンダー。言うまでもなく、数え切れないほどのグループ、プロジェクトに携わってきた北欧メロハー/AOR界きっての仕事人です。キーボードには、イングヴェイ・マルムスティーンのバンドを皮切りに、これまた数多くのセッションをこなしてきたマッツ・オラウソン。バッキング・ボーカルに、トミー・デナンダーとTalk of The Town、Speedy Gonzalesで共演してきたトーマス・ヴィクストロム。このアルバムの#8"She's a Mystery"ではハンプス・ハンク・エリックスとのデュエットも聴かせてくれます。そして、プロデュースとキーボード、ソングライティングのほとんどに関わっているリッキー・B・デリン(Ricky B. Delin)、彼がこのプロジェクトの中心人物のようです。ミュージシャン/コンポーザー/プロデューサー/エンジニアーとして、Sayit、Prisonerなど数多くのメロハー/AOR系のアルバムでトミー・デナンダーと一緒に仕事をしてきています。

これだけのバックアップ体制で制作されたアルバムなわけですが、まるで自主制作デモ音源のような印象を受けてしまいました。ラジオのように平板なサウンド・プロダクション、一本調子の楽器アンサンブル、生気のないドラム、これらが重なって、なんだかDTMに毛が生えた程度の音にしか聴こえません。キーボード主体のライトな80年代AORを再現しようとしている意図は窺えますが、それにしてもあまりにもサウンドに勢いがないのです。トミー・デナンダーのギターがいつも以上に歪んでいて、まるでビンテージ物のFuzzでも踏んでいるようにノイジー過ぎるのも気になります。

ただし、楽曲自体は抜群に優れています。そこはかとない哀愁を漂わせたメロディが非常に魅力的ですし、ボーカルのハンプス・ハンク・エリックスのナイーブな歌唱との相乗効果もあり、どの曲も名曲・佳曲と言って差し支えない水準です。この楽曲群を隅々まで気を配ってアレンジしなおし、リズムセクションを強化して、最高の環境で再レコーディングしたら、とんでもない傑作になりそう。そんなことばかり頭に浮かんで、聴くたびに割り切れなくてモヤモヤしてしまうアルバムです。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。 

■Tracks
01. Pride (Allen, Delin)
02. Truth Slips (Allen, Delin)
03. Hold On (Allen, Delin)
04. I'm Alive (Allen, Delin)
05. One Chance (Allen, Delin)
06. Give Me Back My Heart (Kronqvist, Delin, Denander)
07. Misery (Delin, Denander)
08. She's a Mystery (Laroxx,Sandrock)
09. Now (Delin, Kronlund)
10. 1000 Songs (Kronlund, Delin)
Bonustracks
11. Under Your Skin (Erix, Delin)
12. Chasing the Dream (Allen, Delin)

■Personnel
Freddie Allen - drums, keyboards on 3
Hampus Hank Erix - lead & backing vocals

Lasse Falck - bass (except 6)
Kristoffer Hogberg - bass on 6
Mats Olausson - keyboards on 1, 6, 7, 8, 9, 10
Ricky B. Delin - keyboards on 1, 2, 3, 5, 6, 8, 9, 10, syn-drums on 4, acoustic guitars on 9, backing vocals on 3, 4, 10
Jay Cutter - keyboards on 3, 7
Johan Kronlund - keyboards on 10, guitars on 10, backing vocals on 10
Sandrock - FX on 8
Tommy Denander - guitars on 1, 3, 4, 5, 6, 7
Martin Fogelström - guitars on 2
Michael Santunione - guitars on 8
Fabes - guitars on 4, 9
Krille Eriksson - guitars on 10
Kristoffer Langerström - backing vocals on 1, 5, 6, 9
Helena Alsterhed - lead vocals on 2
Tomas Vikström - backing vocals on 2, 4, lead vocals on 8

producer - Ricky B. Delin
executive producer – Dave Laroxx 

Houston
Houston
Spinefarm
2010-12-13

 

Live and Learn / Brazen Abbot (1995)

0033Live and Learn

ブルガリア出身のギタリストであるニコロ・コツェフが、HR/HM界のスター達を集めて好きなようにアルバムを作ってしまうという夢のようなプロジェク ト、ブレイズン・アボットの第一作目。ボーカルにはグレン・ヒューズ、トーマス・ヴィクストロム、ヨラン・エドマンという名手3人が揃い踏み。脇を固めるのは、ヨーロッパのイアン・ホーグランド(Ds)とミック・ミカエリ(Key)、さらにインングヴェイ・マルムスティーンのバンドで活躍したスヴァンテ・ ヘンリソン(Ba)という豪華ラインナップです。一応、元ボルティモアという経歴はあるものの、ニコロさん本人が一番無名。。。しかし、無名な人が有名な人を集めまくるプロジェクトってたまに見かけますが、どういう風にして実現するんでしょうかね?アクセル・ルディ・ペルとかもそうだし。カネ?コネ?あ、ニコロさんはアクセルさんと違って、ギターの腕も曲作りの才能も一流なので、その点は心配いりません。ちなみに全ての曲がニコロ・コツェフの作曲で、歌詞はニコロ・コツェフの書いた数曲を除いて基本的に歌い手が書いています。また、アレンジ、プロデュース、ミックスも全部ニコロ・コツェフ自身で行っていま す。

肝心な音のほうですが、このアルバムに関して言うと「メロハー」というよりも70年代ハードロックの再現といった印象です。ニコロ・ コツェフのギターは、明らかにリッチーの影響を受けつつも、テクニックのゴジラ化には至っていないオーソドックスなものですし、パープル風、レインボー風 はもとより、もっと泥臭いブルージーなサウンドも聴かせてくれます。筆者のように60年代末から70年代の音を聴いて育った者には、思わずニヤリとさせら れる魅力があるのです。全曲とも拍手したくなるほど素晴らしい出来栄えです。ボーカルの3人は、それぞれに持ち味を発揮して唸らせますが、中でもヨラン・エドマンの歌う"Feeling Like a Rolling Stone"は、ハイトーンを抑えポール・ロジャース風の渋い歌唱を聴かせる出色の出来となっています。また、ラストの"Shadows of the Moon"はトーマス・ヴィクストロムの表現力の幅を見せ付ける曲で、リプリーズがまた70年代っぽくて泣かせます。

このアルバムが好評だったからかどうかは分かりませんが、このプロジェクトは現在に至るまで、ジョー・リン・ターナーやトニー・ハーネル、ヨルン・ランデまで動員して継続しています。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Extraordinary Child (Nikolo Kotzev, Göran Edman)
02. No Way Out of Nowhere (Nikolo Kotzev)
03. Live and Learn (Nikolo Kotzev, Glenn Hughes)
04. Russian Roulette (Nikolo Kotzev, Thomas Vikström)
05. Clean up Man (Nikolo Kotzev, Glenn Hughes)
06. When November Reigns (Nikolo Kotzev, Thomas Vikström)
07. Miracle (Nikolo Kotzev, Glenn Hughes)
08. Big Time Blues (Nikolo Kotzev)
09. Feeling Like a Rolling Stone (Nikolo Kotzev, Göran Edman)
10. Children of Today (Nikolo Kotzev, Thomas Vikström)
11. Shadows of the Moon (Nikolo Kotzev)

■Personnel
Nikolo Kotzev - Guitars, Keyboards, Pianos, Violin, Percussion

Glenn Hughes - Vocals on tracks 3, 5, 7
Thomas Vikström - Vocals on tracks 2, 4, 6, 8, 10, 11
Göran Edman - Vocals on tracks 1, 9
Ian Haugland - Drums
Mic Michaeli - Organ
Svante Henryson - Bass

Producer - Nikolo Kotzev

Live & Learn
Brazen Abbot
Steamhammer Europe
2007-02-19

 

Money Never Sleeps / Covered Call (2009)

0005Money Never Sleeps

スウェーデンのメロハーバンド、カヴァード・コールの2009年のデビュー作。カヴァード・コールはドラムのR. SvanströmerとギターのJ. Carlssonが中心となって結成されました。ボーカル探しをしていたバンドに、一番最後に加わったのは、Talk of the Town、Brazen Abbot、Stormwindなど数多くのHR/HM系グループ、プロジェクトに参加する一方、並行してオペラ歌手としても活躍してきたトーマス・ヴィクストロム(Thomas Vikström)。その圧倒的な歌唱力から、母国では「ボーカルマスター」と呼ばれているヴィクストロムですが、このアルバムでも超絶的な歌声を堪能することができます。特に、ピアノだけをバックに、切々と歌い上げる"Anything You Want"は、感動的としか言いようのない素晴らしさです。"Shine"はMr. Bigのカバーですが、本家エリック・マーティン、作者リッチー・コッツェンのセルフカバー、そしてこのヴィクストロム・バージョン、三者三様の歌唱を聴き比べるのも楽しいと思います。他の曲もメロディの出来はかなり良く、ノリノリの曲が多いので、聴いていると自然とテンションが上がります。バンドの音の方は、どちらかというとロックンロール系のざっくりしたスタイルですが、これはこれで悪くないと感じました。曲作りは、中心メンバーのSvanströmer, Carlsson(曲のクレジットではKarlssonとなっていますが同一人物だと思われます)の二人と、サポート・ミュージシャンとしてクレジットされているPalmberg, Johanssonで行っているようです。

音には関係ありませんが、日本の証券取引所のイメージのジャケットには初め「???」となりました。まあ、HR/HM系のジャケはどれも似たようなのが多いので、むしろ印象に残るかなと。「Money Never Sleeps」というタイトルや、ジャケット中面の写真でメンバーが背広にネクタイ、サングラスでキメてたり、紙幣を握り締める手があしらわれているのも、トータルコンセプトなんでしょうかね。マネーゲームに生きる空しさみたいなのがテーマなのかなと思いました。歌詞カードには記載されていませんが、タイトルチューンの"Money Never Sleeps"には、バンド名であるCovered Callという言葉が出てきます。これがそもそも「現物資産を保有したまま、コールオプションを売る戦略のこと」で、証券取引の専門用語らしいです。なんのことやらさっぱり分かりませんが...

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. All Because of Me (Svanströmer, Karlsson, Palmberg)
02. Til’ the End (Svanströmer, Karlsson, Palmberg, Johansson)
03. Shine (Richard Dale, Richie Kotzen, Richie Zito)
04. Never Again (Svanströmer, Karlsson, Palmberg, Johansson)
05. Anything You Want (Svanströmer, Karlsson, Palmberg, Johansson)
06. I Wanna Be Free (Svanströmer, Karlsson, Palmberg, Johansson)
07. Nothing at All (Svanströmer, Karlsson, Palmberg, Johansson)
08. Money Never Sleeps (Svanströmer, Karlsson, Palmberg, Johansson)
09. What About Us (Svanströmer, Johansson)
10. Let’s Make It Real (Svanströmer, Karlsson, Palmberg, Johansson)

■Personnel
Ronny Svanströmer - drums
Thomas Vikström - vocals
Joel Carlsson - guitar, vocals
Thomas Thulin - bass
Morgan Rosenquist - guitar

Johan Palmberg - piano
Ola Johansson - guitar

Producer - Ronny Svanströmer, Joel Carlsson

Money Never Sleeps
Covered Call
Blistering Records
2009-01-27

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