メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

トーステン・リューダーヴァルト

Live in Japan / Fair Warning (1993)

0268Live In Japan









なんか忘れていると思ったら、Fair Warning(フェア・ウォーニング)の1993年初来日ライブ盤がまだでした。リリース順のレビューという形は崩れますが、取り上げておきたいと思います。

彼らの初来日は93年4月で、14日名古屋、16日大阪、17、18日川崎と4回の公演が行なわれており、アルバムには最終日18日クラブチッタ川崎でのライブが収録されています。また映像収録も行なわれ、VHSビデオ(後にDVD化)が発売されました。1stアルバムをリリースしたばかりで初来日公演、そしてライブ盤収録となったわけで、当初からこのバンドがいかに日本のファンに支持されていたかがよく分かります。あらためてこのライブ盤を聴いてみると、まだ若々しく溌剌としたFair Warningのライブ・パフォーマンスと、心からライブを楽しんでいる日本の観客の反応が感じ取れます。ライブDVDは更にこちらに訴えかけるものがあって、ちょっと感動的ですらあります。もう四半世紀も前のライブなんですが、良いものは何年経っても良いですね。

収録曲は当然1stアルバムからのものが大半ですが、前身バンドとも言えるZenoのレパートリーから#5"Eastern Sun"、#16"A Little More Love"、更にプレスリーの#11"In the Ghetto"、坂本九の#12"Sukiyaki"(上を向いて歩こう)、スモーキー・ロビンソンとミラクルズの#17"Mickey's Monkey"なんていうのまで演っていて楽しませてくれます。全17曲(DVDは19曲)というボリュームで、デビュー間もないFair Warningの圧巻のパフォーマンスを再体験できる貴重なライブ盤だと思います。特にまだ元気なアンディ・マレツェクの情感溢れるプレイはファンにとって涙モノです。

 評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Sunset (Intro) (U. W. Ritgen) 
02. Out on the Run (U. W. Ritgen) 
03. Longing for Love (U. W. Ritgen) 
04. When Love Fails (H. Engelke)
05. Eastern Sun (Z. Roth)
06. Take Me Up (U. W. Ritgen) 
07. Long Gone (U. W. Ritgen) 
08. The Heat of Emotion (Z. Roth)
09. Take a Look at the Future (U. W. Ritgen) 
10. The Call of the Heart (U. W. Ritgen) 
11. In fhe Ghetto (M. Davis)
12. Sukiyaki (H. Nakamura/R. Ei)
13. Hang On (U. W. Ritgen) 
14. The Eyes of Rock (U. W. Ritgen) 
15. One Step Closer (H. Engelke)
16. A Little More Love (U. W. Ritgen) 
17. Mickey's Monkey (E. Holland/L. Dozier/B. Holland)

■Personnel
Tommy Heart – Lead Vocals
Helge Engelke – Guitars, Backing Vocals
Andy Malecek – Guitars
Ule W. Ritgen – Bass, Backing Vocals
C. C. Behrens – Drums

Torsten Lüderwald - Keyboards

Producer – Fair Warning

ライヴ・イン・ジャパン
フェア・ウォーニング
WEAミュージック
1993-12-21

 

Live and More / Fair Warning (1998)

0151Live & More









フェア・ウォーニングの1998年の来日公演(渋谷公会堂)を収録したライヴ・アルバムに、未発表曲3曲(再発盤は7曲)入りディスクをカップリングした作品。当時C・C・ベーレンスは脱退しており、Live at Home Go! でバンドをサポートしていたフィリップ・カンダスが代わりにドラムを叩いています。また、アンディ・マレツェクが病気でフルにステージをこなせないため、ショウの後半から登場するという変則的な形となり、代役としてヘニー・ウォルター(Thunderhead/Primal Fear)がサイド・ギターで参加しています。

ライブ盤収録曲は2ndアルバムRainmaker と3rdGo! からそれぞれ5曲ずつ。それから、シングルSave Meに収められていた"Come On"、新曲のギター・インスト"We Used to Be Friends"、計12曲となっています。1st収録曲は93年初来日公演を収録したLive in Japanに入っているので、本作では採られていないということです。こういうライブ盤を聴いて思うのは、やはり安定した演奏力・歌唱力にプラスして、ショウを盛り上げるパフォーマンスができるバンドは強いということ。いわゆるライブ・バンドってやつです。ライブ録音ならではの魅力がなければライブ盤を出す意味がない。その点このバンドはさすがに凄いです。特にラスト近くにアンディ・マレツェクが登場して会場を沸かせ、"Burning Heart"から"Get a Little Closer"へ怒涛のようになだれ込んでいく流れが素晴らしい。ただ、正直なところ1stの名曲を取り混ぜたほうが、このアルバム単体としてはもっと良くなったんじゃないかとは思いました。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
Disc 1
01. Angels of Heaven (Helge Engelke)
02. I'll Be There (Ule W. Ritgen)
03. Man on the Moon (Helge Engelke)
04. Don't Give Up (Helge Engelke)
05. Desert Song (Ule W. Ritgen)
06. We Used to Be Friends (Helge Engelke)
07. Follow My Heart (Ule W. Ritgen)
08. Intro Bach for More ~ Come On (Ule W. Ritgen)
09. Keyboard Solo ~ Save Me (Helge Engelke)
10. Burning Heart (Ule W. Ritgen)
11. Get a Little Closer (Ule W. Ritgen)
12. Stars and the Moon (Helge Engelke)
Disc 2
01. Like a Rock (Ule W. Ritgen)
02. Meant to Be (Ule W. Ritgen)
03. Out of the Night (Helge Engelke)
以上はオリジナルZero盤収録曲
以下は再発Avalon盤収録曲
04. All on Your Own (Different Version)  (Ule W. Ritgen)
05. Give in to Love  (Ule W. Ritgen)
06. Come On  (Ule W. Ritgen)
07. Rivers of Love (Diffrent Version)  (Ule W. Ritgen)

■Personnel
Tommy Heart – vocals
Ule W. Ritgen – bass
Helge Engelke – guitars
Andy Malecek – guitars

Philip Candas – drums
Torsten Lüderwaldt – keyboards
Henny Wolter - guitar, vocals

Producer – Fair Warning 

ライヴ・アンド・モア
フェア・ウォーニング
キングレコード
2016-08-31


Dream and Deliver / Dreamtide (2008)

140Dream and Deliver









フェア・ウォーニングのギタリスト、ヘルゲ・エンゲルケ率いるドリームタイドの3rdアルバム。過去二作と同様、ドラマチックな歌メロ展開とヘルゲの緩急自在なギターが楽しめる好盤となっています。勇壮な曲からエスノ風味をまぶした曲までバラエティ豊富なのもこれまで通り。フェア・ウォーニングもそうですが、アレンジが緻密で飽きさせないんですよね。本作の特徴としては、ヘルゲのギターにこれまで以上にジミヘンの影響をストレートに感じさせる場面が多くなっていること。ジェフ・ベックへのオマージュとも取れるフレーズが出てくるのも面白い。また、オラフ・ゼンクバイルの節回しも、このバンドに無くてはならない味と感じられるまでになりました。ただし、これまでのギラつくような迫力がやや後退し、よく言えば落ち着いた、悪く言うとパワー・ダウンした印象を受けてしまいました。2005年のフェア・ウォーニング復活でモチベーションが落ちたとか?いや、復活後のフェア・ウォーニングよりドリームタイドの方が曲の出来は良いし、そんなことはないと思うのですが。いずれにしても、2014年時点でこの3rd以降もう6年もアルバムが出ていないのが寂しいところです。

このアルバムの参加メンバーは、ヘルゲ・エンゲルケ(gt)、オラフ・ゼンクバイル(vo)、C.C.ベーレンス(ds)、トーステン・リューダーヴァルト(key)とここまでは前作と同じです。ベースはオーレ・ヘンペルマンがレコーディングに参加できなかったため、フランシス・ブッフホルツ(ex-Scorpions)が代役を務めています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作 
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. A Fools Crusade
02. I Don't Wanna Wait
03. Same Star
04. Your Beat
05. Dancing When the Night Falls
06. King of Scum
07. Download a Dream
08. Tell me How it Feels
09. Stronger
10. To Everybody
11. Keep From Falling
12. The Vow
13. Help Me
14. Download a Dream (Reprise)
All songs written by Helge Engelke except track 13 by Olaf Senkbeil

■Personnel
Olaf Senkbeil – vocals
C.C. Behrens – drums
Francis Buchholz - bass
Torsten Lüderwaldt – keyboards
Helge Engelke – guitar

Oscar Lücke - additional backing vocals

producer – Dreamtide 

ドリーム・アンド・デリヴァー
ドリームタイド
キングレコード
2008-05-21

   
 

Dreams for the Daring / Dreamtide (2003)

0069Dreams for the Daring
フェア・ウォーニングのギタリスト、ヘルゲ・エンゲルケ率いるドリームタイドの2ndアルバム。前作はヘルゲ・エンゲルケが書き溜めていた楽曲をとにかく形にするためにレコーディンクしたという経緯もあり、全体としてやや散漫な印象がありましたが、本作はドリームタイドというバンドならではのサウンドが提示されています。フェア・ウォーニングの特徴だった高揚感に加えて、勇壮なイメージを喚起する旋律・アレンジが目立つようになりました。またイントロなどに、フォーキーというのか民族音楽的というのか、ちょっと変わった味付けがされているのも印象的です。統一感あるサウンド・メロディ・曲調であるにも関わらず、金太郎飴にならずに一曲一曲を個性的に仕上げるという、中々難しい仕事を成功させていると感じました。曲にそれぞれのドラマを仕込むヘルゲのソングライティングの手腕には脱帽です。はっきり言って、やたらにバラードばかりになってしまった本家フェア・ウォーニングのアルバムより、こちらのほうがよほどいいと筆者は感じてしまいました。2作目ということでバンドの一体感は強固となり、オラフ・ゼンクバイルのボーカルも力強さと安定感を増しているのも好印象です。もちろんヘルゲ・エンゲルケのスカイ・ギターも、予定調和的と言いたくなるほど完璧に、泣きまくり飛翔しまくりです。#9"Out There"のラスト、ツェッペリンの"Stairway to Heaven"に似てるな~と思っていたら、ギターソロの最後の最後で、まんま"Stairway to Heaven"と同じフレーズが出てきてニヤリとさせられます。もちろんリスペクトの意図を込めたものだと想像します。

プロデュースは前作と同じくバンド自身がクレジットされていますが、音圧が高すぎるのが唯一難点かと思いました。特に楽器パートの低音にボリューム有り過ぎて、ヘッドホンで聴くとうるさいくらいです。元々フェア・ウォーニング時代も含めてヘルゲのギターは音量が必要以上にデカい傾向がありますが、これはちょっとやり過ぎでしょう。レコーディング・メンバーも前作と変わらず、ヘルゲ・エンゲルケ、オラフ・ゼンクバイルに加え、ドラムにフェア・ウォーニングのC.C.ベーレンス、キーボードにはフェア・ウォーニングのツアー・メンバーのトーステン・リューダーヴァルト、ベースに元サンダーヘッドのオーレ・ヘンペルマンとなっています。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。 

■Tracks
01. Dream Real
02. Live and Let Live
03. I'll Be Moving On
04. All of My Dreams
05. I'm Not With Yoiu
06. Man on a Mission
07. Eden
08. Land Without Justice
09. Out There
10. Dreams Are Free
11. Along the Way [bonus]
12. Sweet Babylon
13. You Can't Burn My Heart Out 
All songs written by Helge Engelke

■Personnel
Olaf Senkbeil – vocals
Helge Engelke – guitar
Torsten Lüderwaldt – keyboards
Ole Hempelmann – bass
C.C. Behrens – drums

Producer – Dreamtide

ドリームス・フォー・ザ・デアリング
ドリームタイド
マーキー・インコーポレイティド
2003-09-21

 

Here Comes the Flood / Dreamtide (2001)

0038Here Comes the Flood

2000年に一度解散したフェア・ウォーニング、そのギタリストだったヘルゲ・エンゲルケがリーダーとなって結成されたバンドがドリーム・タイドです。メンバーは、ボーカルに、ドイツのいくつかのバンドやスタジオ・ミュージシャンとしてのキャリアのあるオラフ・ゼンクバイル、ベースに元サンダーヘッドのオーレ・ヘンペルマン、ドラムはフェア・ウォーニングのメンバーだったC.C.ベーレンス、キーボードにはフェア・ウォーニングのツアー・メンバーのトーステン・リューダーヴァルトという布陣です。フェア・ウォーニングから派生した3つのグループ(アンディ・マレツェクのラスト・オータムズ・ドリーム、トミー・ハートのソウル・ドクター、ドリーム・タイド)の中では、もっとも色濃くフェア・ウォーニングのサウンドを継承しています。ヘルゲ・エンゲルケはフェア・ウォーニングの曲も書き、彼のスカイ・ギターがバンドのウリの一つになっていたし、メンバーのうち3人がフェア・ウォーニングの関係者ですから、まあそれは当然なわけですが。

曲とサウンドのほうは、前述の通りフェア・ウォーニングに近いメロディアスハードですが、エンゲルケのスカイ・ギターがより大きくフューチャーされ、更にウリ・ロートやジーノ・ロートを思わせるような荘厳な雰囲気を持つ曲も収められています。全体として、フェア・ウォーニングのファンの期待を裏切らない内容ではないでしょうか。ボーカルのオラフ・ゼンクバイルの鼻にかかったような声は少しクセがありますが、ドイツの田舎のオジさん風で、筆者としてはなんとなく親しみを感じました。面白かったのは、#2"Your Life"。サーフィン・サウンド(ベンチャーズを想像すると分かりやすい)に乗せて、モット・ザ・フープルの"All the Young Dudes"そっくりのメロディが歌われ、サビはアメリカン・オールディーズ・ポップスになるという、キテレツな曲です。フェア・ウォーニング・サウンドの継承ということにいつまでも捉われず、こういう変なことをどんどんやってくれたらいいなと思います。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. What You Believe In (Helge Engelke)
02. Your Life (Helge Engelke)
03. Come With Me (Helge Engelke)
04. Dreamers (Helge Engelke)
05. Fighter (Helge Engelke)
06. Ten Years Blind (Helge Engelke)
07. Sundance (Helge Engelke)
08. Moment of Truth (Helge Engelke)
09. I Take the Weight off Your Shoulders (Helge Engelke)
10. Crashed (Helge Engelke)
11. Phoenix Tears (Helge Engelke)
12. Promised Land (Helge Engelke)
13. Heaven Knows (Helge Engelke)

■Personnel
Olaf Senkbeil – vocals
Helge Engelke – guitar, backing vocals
Torsten Lüderwaldt – keyboards
Ole Hempelmann – bass
C.C. Behrens – drums

Britta Riedmiller – violin
Anja Gabriel – violin
Cornelia Schwarzenberg – viola
Katharina Bernds – cello
Karen Engelke – backing vocals
Günther Helmke – backing vocals
Anke Hansen – backing vocals

Producer – Dreamtide

Here Comes the Flood
Dreamtide
Frontiers Italy
2003-06-20

 
記事検索
カテゴリ別アーカイブ
読者登録
LINE読者登録QRコード
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ