メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

トミー・デナンダー

L.A. Concession / AOR (2000)

0280LA Concession









フレデリック・スラマの主宰するプロジェクト・バンドAORの第一作。フレデリック・スラマはフランス生まれでジャーナリスト出身という変り種、「フランスにウェストコーストAORを普及させる」ことを目的に、80年代からFM番組やクラブ・イヴェントを行ったりしてきたそうです。1992年にプロモ盤としてL.A Rendez Vousを制作、そして2000年いよいよ1stアルバムL.A. Concessionをリリース。当初はFS Recordsという彼自身のレーベルから、しかもCD-Rでのリリースでした。2006年になってドイツのメロディック・ロック・レーベルMTM Musicにより、リマスターの上ボーナス・トラック4曲を追加したプレスCDが発売され、一般にはこのリイッシュー盤が流通しています。

さて中身はというと、本場L.A.のミュージシャンを中心に豪華としか言いようのないメンツを揃え、曲といい演奏といい完全なるウェストコーストAORがぎっしり詰まったアルバムです。AORというジャンルの音楽を、AORという名のプロジェクトでやってしまうという、スラマ氏のAORオタクっぷりには全く舌を巻きます。参加プレイヤーは、トミー・デナンダー、スティーヴ・ルカサー、マイケル・ランドウ、ピーター・フリーステット、マイケル・トンプソン、トニー・フランクリン、ヴィニー・カリウタ、ジェフ・ポーカロ、カルロス・ヴェガ、グレッグ・ビソネット、レニー・カストロ、リチャード・ペイジ等々。まあ、AORやAOR寄りのメロハーが好きな方なら間違いなく気に入るアルバムだと思います。筆者ももちろん楽しめましたが難点もありました。まず、ボーカル陣が弱いこと。演奏はオールスター・キャストで、ボーカルが二軍レベルはないでしょう。AORはなんだかんだ言っても歌モノなわけで、いくらバックが良くても歌がイマイチでは陶酔できないのです。それからバラード多過ぎ、サビの繰り返しがクド過ぎでややゲンナリします。

ブックレットにはレコーディングに関するデータも、リード・ボーカル以外の曲ごとの参加ミュージシャンも記されていないので、録音年月日や録音場所などの詳細は不明です。ただ、1992年に亡くなったジェフ・ポーカロがクレジットされているということは、少なくとも一部のトラックは92年以前に録られたものと思われます。また、唯一細かいパーソネル表記のあるボーナス・トラック#16"Never Gonna Let Her Go (New Instrumental Version)"には、フレデリック・スラマ自身は参加していません。トミー・デナンダーのプロジェクトであるRadioactiveのTaken(2005)に同じトラックが収録されており、後に本作リイッシュー盤に再収録されたと推測できます。とすると、クレジットのあるスティーヴ・ルカサーやピーター・フリーステットはこの曲だけの参加なのかもしれません。もうちょっと細かいこと書いておいて欲しいです、スラマさん。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks (All songs by Frédéric Slama)
01. Never Gonna Let Her Go (Lead Vocals : John Fluker)
02. On Dangerous Ground (Lead Vocals : Doug St John)
03. Caught Inside Your Heart (Lead Vocals : David Chamberlin)
04. Worlds Away (Lead Vocals : Doug St John)
05. In My Crystal Ball (Lead Vocals : David Chamberlin)
06. The Way of the Night (Lead Vocals : Doug St John)
07. Leave Her to Heaven (Lead Vocals : John Fluker)
08. Only in My Dreams (Lead Vocals : David Chamberlin)
09. From L.A to Tokyo (Lead Vocals : David Chamberlin)
10. Lost in Your Eyes (Lead Vocals : David Chamberlin)
11. Don’t Let Her Go (Lead Vocals : Doug St John)
12. Love Has Found Its Way (Lead Vocals : Doug St John)
Bonus Tracks
13. Can One of Your Kiss Do All This? (Lead Vocals : David Chamberlin)
14. Secrets in Her Heart (Lead Vocals : David Chamberlin)
15. The Spark of My Soul (Lead Vocals : Kristoffer Lagerström)
16. Never Gonna Let Her Go (New Instrumental Version)
Tommy Denander :  Lead Guitars, Steve Lukather : Guitars (Middle & end solo), Michael Landau : Rhythm Guitar, Peter Friestedt : Guitar Fills, David Diggs : Keyboards, Hussain Jiffry : Bass, Vinnie Colaiuta : Drums, Tom Saviano : Saxophone

■Personnel
Frédéric Slama - Guitars, Keyboards
David Chamberlin - Lead Vocals, Guitars
Kristoffer Lagerström - Lead Vocals
Doug St John - Lead Vocals
John Fluker - Lead Vocals
Tommy Denander - Guitars, Keyboards
Peter Hume - Guitars, Keyboards
Steve Lukather - Guitars
Michael Landau - Guitars
Peter Friestedt - Guitars
Michael Thompson - Guitars
David Diggs - Keyboards
Tony Franklin - Bass
Hussain Jiffry - Bass
Vinnie Colaiuta - Drums
Jeff Porcaro - Drums
Carlos Vega - Drums
Gregg Bissonette - Drums
Lenny Castro - Percussion
Tom Saviano - Saxophone
Dan Higgins - Saxophone
Richard Page - Backing Vocals
Steve George - Backing Vocals

Producer - Frédéric Slama, Tommy Denander(#15), David Diggs(#16)

L.A. Concession
AOR
Mtm
2006-11-13

Indigo Dying / Indigo Dying (2007)

0270Indigo Dying









チリ出身の女性ボーカリスト、ギザ・ヴァッキーを主役にすえたメロハー・プロジェクトIndigo Dying(インディゴ・ダイング)の、今のところ唯一作。楽曲はオリジナルではなく、オルタナティヴ系からポップ・ソウルまで様々なアーティストの曲をカバーしています。リリースはイタリアのメロハー・レーベルFrontiers Recordsで、同じ頃ミケーレ・ルッピをフィーチャーして制作されたLos Angelesと同様の企画です。プロデュースはFrontiersお抱えのファブリツィオ・グロッシでベースも兼任。その他バックを勤めたプレイヤーは、ジョン・マカルーソ(Ds)、モルディ・ハウザー(Gt)、トミー・デナンダー(Gt)、ジェイミー・テラモ(Key)と、これもLos Angelesとだいぶ重なっています。また、マイケル・キスク(Helloween、Unisonic etc)とマーク・ボールズ(Yngwie Malmsteen、Ring of Fire etc)がゲスト・ボーカルとして動員され、さすがに堂々とした歌いっぷりを披露しているのも注目点。

さてアルバムの中身ですが、筆者には色々と疑問符が付いてしまうものでした。静かなピアノをバックに歌い出して、歪み切ったギターと大音量のドラムとベースがいきなり入ってくるというようなパターンが多く、それが鼻につきます。ゴシック・メタル・バンドやEvanescenceを想起させるようなサウンドで、静と動を対比させるといった狙いがあるのかも知れませんが、果たして成功しているのかどうか。ギザ・ヴァッキーの歌唱自体は表情豊かで好感が持てるものです。しかし、メロディ・ラインも種々雑多なカバー曲を、同じような強烈なサウンドをバックに、それでも有無を言わせず自分の持ち歌のように聴かせるほどの歌唱力や強烈な個性はありません。むしろボーカルがバンドの爆音に埋もれがちになってしまっています。もちろんそれは、主役を振られたギザ・ヴァッキーや、スタジオで指示通り仕事をしたミュージシャンの責任ではないでしょう。選曲・アレンジからサウンド・プロダクションまで、レコーディング一切を取り仕切ったであろうファブリツィオ・グロッシを含め、レーベル側の問題です。ちょっと無理のある企画だったんじゃないかなぁ。ギザさんは以前ユーミンのアルバムにバック・ボーカルで参加したこともあるらしい。ソロ歌手として初めてのアルバムだったのに、オリジナル曲ではなくカバー企画一発でその後音沙汰なくなってしまったギザさんが、なんだか可哀相に感じてしまうのです。

 評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. All I Never Wanted (Kara DioGuardi/John Shanks)
02. Hear Me (Kelly Clarkson/Kara DioGuardi/Clif Magnes)
03. Breathe in Water (Anggun/Jean Fauque/Jean Pierre Taieb)
04. Better (Tiffany Arbuckle Lee/Shaun Shankel/Matt Bronleewe)
05. Taken (Tiffany Arbuckle Lee/Shaun Shankel/Matt Bronleewe)
06. Superman (Sahaj Ticotin)
07. Island (Debby Holiday)
08. Remember (I.O.U.) (Eric Durrance/Rick Jackson)
09. Real Life Fairytale (Matt Bronleewe/Tiffany Arbuckle Lee)
10. Far Enough (Sahaj Ticotin)
11. Shattered Life (Joseph Rojas/Josh Schwartz/Jeremy Holderfield)
12. Go (Anggun/Jean Pierre Taieb)
13. Go ( Remixed )

■Personnel
Gisa Vatcky - Lead & Backing Vocals
John Macaluso - Drums
Mordechai "Mordy" Hauser - Guitars
Jamie Teramo - Keyboards, B3, Piano
Fabrizio Grossi - Bass, Orchestrations Programming, Sitar, Acoustic Guitar
Tommy Denander - Additional Guitars
Joshua Berkowitz - Additional Guitars
Michael Kiske - Vocals on "Breathe In Water"
Mark Boals - Vocals on "Superman" and "Fair Enough"

Producer – Fabrizio Grossi

Indigo Dying
Indigo Dying
Locomotive Spain
2008-04-22

Ceremony of Innocence / Radioactive (2001)

0188Ceremony Of Innocence









なんと来年(2015年)にまさかの4作目がリリースされるらしいトミー・デナンダーのメロハー/AORプロジェクト、レディオアクティヴの1stアルバムです。時に賞讃を込めて、時に揶揄を込めて「スウェーデンのルカサー」などと言われるトミー・デナンダーですが、本作ではルカサー以外の新旧TOTOのメンバーを総動員!他にもアメリカ、スウェーデンのミュージシャンが多数参加しています。全て紹介すると大変な字数になるので主なところだけあげておくと、まずボーカルにジェフ・パリス、ボビー・キンボール、ジョセフ・ウィリアムス、ファーギー・フレデリクセン、ジェイソン・シェフ、アレックス・リガートウッド、イエア・ロニング、フィー・ウェイビル、ジム・ジットヘッドetc、キーボードにはデヴィッド・ペイチ、デイヴィッド・フォスター、ランディー・グッドラム、マッツ・オラウソンetc、ギターにはマイケル・トンプソン、ブルース・ガイチetc、ベースはマイク・ポーカロ、デヴィッド・ハンゲイト、ニール・スチューベンハウス、エイブラハム・ラボリエルetc、ドラムはジェフ・ポーカロ、マーカス・リリィクイスト、ヴィニー・カリウタetc。数多くのプロジェクトに関わっているトミー・デナンダーですが、メンツの豪華さではこのレディオアクティヴがダントツなんではないでしょうか。

曲調はAOR寄りのメロディアスなハードロックといったものが多く、トミー・デナンダーお得意の路線だと思います。いや~、それにしても歌も演奏もため息が出るほどみんな上手い。当たり前なんですが。特に、ポーカロ兄弟がリズム・セクションを担当している曲は、ついリズムにばっかり耳が行ってしまいます。楽曲の完成度も高く、これはもう文句の付けようがないアルバムです。リリースは2001年ですが、ジェフ・ポーカロは1992年に亡くなっているので、レコーディング自体は91~92年に行なわれたようです。15ヶ所ものレコーディング場所がクレジットされていることから、顔を合わせてのレコーディング・セッションは行なわれず各地で録ったパートごとのトラックをミックスしていることが分かりますが、これも考えただけで気の遠くなるような作業です。

なお、本作オリジナル盤はドイツのMTMから2003年にリリースされていますが、2013年になってRadioactiveの1st~3rdにそれぞれボーナス・トラック2曲(1曲は日本盤ボーナス・トラックだったもの、1曲は未発表曲)ずつを追加したリイッシュー3枚組Legacy が英国Escape Musicから発売されています。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. The Story of Love (Tommy Denander)
02. Crimes of Passion (Tommy Denander, Bobby Kimball)
03. On My Own (Tommy Denander, Jonna Söderlund, Fergie Frederiksen)
04. Grace (Tommy Denander, Ricky B. Delin)
05. Waiting for a Miracle (Tommy Denander, Ricky B. Delin)
06. L. A. Movies (Tommy Denander, Ricky B. Delin)
07. Ceremony of Innocence (Tommy Denander, Fergie Frederiksen)
08. Liquid (Tommy Denander)
09. Haunt Me Tonight (Richard Marx, Bruce Gaitsch, Fee Waybill)
10. A Case of Right or Wrong (Tommy Denander, Fee Waybill)
11. Silent Cries (Tommy Denander)
12. When You're in Love (Tommy Denander, Bobby Kimball)
※日本盤&Legacyボーナス・トラック
13. Remember My Conscience (Tommy Denander, Jonna Söderlund)
Legacyボーナス・トラック
14. Shooting Stars (Tommy Denander, Robert Hart)

Producer - Tommy Denander

Ceremony of Innocence
Radioactive
Mtm Music
2009-06-01

Neverland / Los Angeles (2009)

0154Neverland









ミケーレ・ルッピのメロハー/AORプロジェクト、ロサンゼルスの2ndアルバムです。前作はリチャード・マークスなどのカヴァー・アルバムでしたが、今回はミケーレ・ルッピ自身とバンド・メンバーの書いたオリジナルを中心に収録。中にはDokkenのジョージ・リンチが関わった楽曲もあります。その他、Khymera、House of Lords、From the Insideといったメロディアスハード系のバンドに楽曲提供しているジェイムズ&トム・マーティン兄弟の楽曲が2曲、リチャード・マークスのカヴァーが1曲、ボーナスでリンジー・ローハンのカヴァーが1曲。いずれも出来も良く、ミケーレ・ルッピの超人的な歌唱を存分に堪能できます。前作がバラード集だったこともあり、#1"Neverland"、#5"Wait for You"のようなアップ・テンポの曲は新鮮な印象。とにかくこの人の伸び伸びとして艶やかな声は、いつまでも聴いていたくなるほど気持ちよく、中毒になってしまいそうです。

本作もセッション・ミュージシャンの作ったオケでトップ・クラスのシンガーに歌わせるという、Frontiers Recordsの一連の企画ものの一つです。インスト・パートを受け持ったミュージシャンは、ドラムにはトニー・モーラ、ベースはプロデューサーのファブリツィオ・グロッシが兼任。ギターは前作ではトミー・デナンダーがメインで弾いていましたが、本作では加えてロベルト・プリオリとジョーイ・サイクスがクレジットされています。キーボードはエリック・ラグノがメイン、一部ファブリツィオ・グロッシとロベルト・プリオリも担当しています。インスト・パートはファブリツィオ・グロッシの統括によって録音されています。スタジオはナッシュビル、サンタクラリタ、ボローニャ、ストックホルムの4ヶ所。ボーカル・パートは全てミケーレ・ルッピ自身のプロデュースにより、ファブリコの彼のホーム・スタジオで録音されています。前作同様メンバーが一堂に会することは無く、各パートの素材を送られたファブリツィオ・グロッシがアルバムに仕立て上げたのだと思われます。筆者は「ロックはパッションだ!人と人とのぶつかり合いだ!」などと言いがちな古い人間なので、こういうシステマチックな制作スタイルに若干の違和感を覚えるのですが、黙って聴いていればとにかく最高品質の音楽であることは間違いないので、とりあえず深く考えないことにします。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Neverland (M. Luppi/R. Priori/F. Grossi)
02. Nothing to Hide (Richard Marx)
03. City of Angels (M. Luppi/F. Grossi)
04. Promises (M. Luppi/R. Priori/F. Grossi)
05. Wait for You (Tom & James Martin)
06. Nowhere to Run (M. Luppi/G. Lynch/F. Grossi)
07. Tonight Tonight (Tom & James Martin)
08. Higher Love (J. Sykes/F. Grossi)
09. Living Inside (E. Ragno/M. Luppi/F. Grossi)
10. Welcome to My Life (J. Sykes/F. Grossi)
11. Paradise (M. Luppi/R. Priori/F. Grossi)
12. Confessions of a Broken Heart (G. Wells/L. Lohan/K. Dioguradi) [Japanese Bonus Track]

■Personnel
Tony "AJ" Morra – Drums
Fabrizio Grossi - Bass, Programming, Sound/Scape, Percussions, Keyboards
Roberto Priori - Guitars, Keyboards
Tommy Denander – Guitars
Joey Sykes – Guitars
Eric Ragno - Keyboards
Michele Luppi - Lead & Backing Vocals

Producer - Fabrizio Grossi
 
ネヴァーランド
ロサンゼルス
キングレコード
2010-01-27

 

Electric Stalker / Speedy Gonzales (2005)

0121Electric Stalker









「スウェーデンのボーカル・マスター」ことトーマス・ヴィクストロムと、「スウェーデンのルカサー」ことトミー・デナンダーが組んだスーパー・ユニット、スピーディ・ゴンザレスの唯一(2014年現在)のアルバムです。この二人は元々スウェーデンのメロディックHR/HMバンドTalk of the Townのメンバー(トミー・デナンダーは準メンバー?)でしたが、1990年のバンド解散後二人はすぐにSpeedy Gonzalesを結成。デモ音源を作成、ライブも行なっていたようですが何故か空中分解、幻のバンドとなってしまいました。その後二人は別の道を歩み、それぞれHR/HMあるいはメロディック・ロック/AORの世界で押しも押されぬ存在となったわけです。そんな彼らが再び相見え、Talismanの故マルセル・ヤコブ(b)、現Mind's Eyeのダニエル・フローレス(ds)を加えてSpeedy Gonzalesを再結成し録音したのが2005年リリースのこのアルバムです。

メンバーは全員スウェーデン人だし、Deacon Street Project、Jim Jidhed、Radioactive、Sha-Boom、それにトーマス・ヴィクストロムのソロ・アルバムなどでそれぞれ共演を繰り返している仲なので息はピッタリ、実にすばらしいメロディックHR/HMアルバムに仕上がっています。トーマス・ヴィクストロムの熱唱が100点満点なのは言うまでもないとして、たまにお仕事的に流すこともあるトミー・デナンダーもさすがに気合の入りまくったプレイです。収録された曲は、結成当時のデモのリメイクが8曲、新曲が4曲。収録曲の中には、トミー・デナンダーの関わったRadioactiveやRainmakerにタイトルを変えて再録音されているものもあるようです。特筆すべきはTalk of the Townの代表曲だった#5"Free Like an Eagle"。まるで昭和の歌謡曲のように日本人の耳になじむこの名曲が、よりハードにドラマチックに蘇りました。いやー、うれしい!!

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Flash of the Blade (T. Denander/T.Vikström )
02. Desires of the Flesh (T. Denander/M. Jacob/T.Vikström)
03. Electric Staker (T. Denander/M. Jacob/T.Vikström)
04. Do You Know Where the Kids Go (T. Denander/J.Olson)
05. Free Like an Eagle (T.Vikström/A. Saluena)
06. Men With Medals (T. Denander/A. Tengner/T.Vikström)
07. Dominator (T. Denander/A. Tengner/T.Vikström)
08. Spit in the Hand That Feeds You (T. Denander/L. Chriss/M. Jacob/T.Vikström)
09. Make Love in Red (T. Denander/T.Vikström)
10. Shock the Nation (T. Denander/T.Vikström)
11. Trial by Fire (T. Denander/M. Jacob/T.Vikström)
12. Lust and Desire (T. Denander/T.Vikström)

■Personnel
Thomas Vikström - lead & background vocals
Tommy Denander – guitars, keyboards, loops
Marcel Jacob – bass
Daniel Flores – drums

Producer - Tommy Denander 

エレクトリック・ストーカー
スピーディー・ゴンザレス
インディーズ・メーカー
2005-11-23

Electric Stalker
Speedy Gonzales
Metal Heaven
2006-02-20

 

Relaunch / Houston (2011)

0089Relaunch
スウェーデンのメロハー/AORユニット、ヒューストンの2作目。全9曲中、6曲がカバー、2曲が1st収録曲のアコースティック・バージョンで、新曲は1曲のみですので、実質カバー・アルバムです。カバーされているのは、ダコタ、マイケル・ボルトン、エアレース、タッチ、ニュー・イングランド、ローラ・ブラニガン。もちろん曲が悪いはずはありません。しかし、まだ若い新人なのになんで2作目がカバー・アルバム?それなりのキャリアがあり、ミュージシャンとしての個性がある程度知られていてこそ、その人たちが元曲をどう料理するか興味が湧くのではないでしょうか。その点いささか疑問です。

ヒューストンはフレディ・アレン(ds)、ハンプス・ハンク・エリックス(vo)の二人だけの編成ですので、リッキー・B・デリン、トミー・デナンダー、マッツ・オラウソン、トーマス・ヴィクストロムなどスウェーデンのミュージシャン達が全面的にバックアップしているのは前作と同じ。それに加えて、タッチの"Don't You Know What Love Is"では、マーク・マンゴールド本人までがキーボードとボーカルで参加しています。いや~、これは嬉しかったですね。また、" Brief Encounter"でもエアレースのローリー・マンズワースがギターを弾いています。

前作のレビューでは、楽曲は抜群なのにサウンドが悪すぎるという感想を書きましたが、残念ながら本作も全く同様の印象です。スーパーの店内BGMやローカルTV局のCMを思わせるチープな音、たどたどしいドラム。。。なんでこうなるのかな。YouTubeにアップされているヒューストンのライブ動画をいくつか見ましたが、ホームビデオの音というのを差し引いても、歌唱・演奏とも安心して聴ける水準ではありません。アルバム裏ジャケの写真と同じメンツなので、バンド・メンバーはほぼ固定しているようです。("Don't You Know What Love Is"の動画で、みんな若そうなメンバー中一人だけオジさんが歌っていますが、プロデューサーのリッキー・B・デリンです。)どういう大人の事情で「二人のユニット」という不完全な編成になっているのか知りませんが、やっぱりフル編成のパーマネントなバンドでリハと曲作りに精進してほしい。他力本願のアルバムを粗製乱造するのではなく、バンド一体となって心血を注いだ作品を聴かせてほしい。同郷、同世代のH.E.A.Tのように。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Runaway (Jerry Hludzic & Bill Kelly ~ originally recorded by Dakota)
02. Carrie (Michael Bolton ~ originally recorded by Michael Bolton)
03. Brief Encounter (Laurie Mansworth ~ originally recorded by Airrace)
04. Don't You Know What Love Is (Mark Mangold ~ originally recorded by Touch)
05. Don't Ever Wanna Lose Ya (John Fannon ~ originally recorded by New England) 
06. Didn't We Almost Win It All (Brian BecVar & Laura Branigan ~ originally recorded by Laura Branigan) 
07. Without Your Love (Ricky B. Delin)
08. Truth Slips [Acoustic] (Ricky B. Delin & Freddie Allen)
09. 1000 Songs [Acoustic] (Ricky B. Delin & Johan Kronlund)

■Personnel
Hampus Erix - lead and backing vocals
Freddie Allen - drums

Ricky B. Delin - keyboards, synth bass, and backing vocals, duet vocal on 4
Jay Cutter - keyboards on 4
Mats Olausson - keyboards on 3
Tommy Denander - guitars
Laurie Mansworth - guitars on 3
Mark Mangold - keyboard solo, backing vocals, and duet vocal on 4
Lasse Falck - bass on 1, 2, 6
Soufian Ma'Aoul - bass on 3, 4, 5
Tomas Vikström - backing vocals on 4, 7
Elize Ryd - backing vocals on 7

Producer - Ricky B. Delin

Tracks 8 & 9
Performed by Hampus Erix, Helena Alsterhed and Jay Cutter
Produced by Houston 

Houston / Houston (2010)

0068Houston
スウェーデンのメロハー/AORシーン期待の新人、ヒューストンのデビュー・アルバムです。新人と言ってもずいぶん年季の入った新人も多い中、ヒューストンはピッカピカの若者ということでうれしくなります。どういう訳か、バンドの形態をとらずフレディ・アレン(ds)とハンプス・ハンク・エリックス(vo)の2人のユニットとなっています。メンツが足りない分、レコーディングにはスウェーデンの名だたるミュージシャン達が参加しているのが注目点です。

主だった参加メンバーを挙げると、ギターにトミー・デナンダー。言うまでもなく、数え切れないほどのグループ、プロジェクトに携わってきた北欧メロハー/AOR界きっての仕事人です。キーボードには、イングヴェイ・マルムスティーンのバンドを皮切りに、これまた数多くのセッションをこなしてきたマッツ・オラウソン。バッキング・ボーカルに、トミー・デナンダーとTalk of The Town、Speedy Gonzalesで共演してきたトーマス・ヴィクストロム。このアルバムの#8"She's a Mystery"ではハンプス・ハンク・エリックスとのデュエットも聴かせてくれます。そして、プロデュースとキーボード、ソングライティングのほとんどに関わっているリッキー・B・デリン(Ricky B. Delin)、彼がこのプロジェクトの中心人物のようです。ミュージシャン/コンポーザー/プロデューサー/エンジニアーとして、Sayit、Prisonerなど数多くのメロハー/AOR系のアルバムでトミー・デナンダーと一緒に仕事をしてきています。

これだけのバックアップ体制で制作されたアルバムなわけですが、まるで自主制作デモ音源のような印象を受けてしまいました。ラジオのように平板なサウンド・プロダクション、一本調子の楽器アンサンブル、生気のないドラム、これらが重なって、なんだかDTMに毛が生えた程度の音にしか聴こえません。キーボード主体のライトな80年代AORを再現しようとしている意図は窺えますが、それにしてもあまりにもサウンドに勢いがないのです。トミー・デナンダーのギターがいつも以上に歪んでいて、まるでビンテージ物のFuzzでも踏んでいるようにノイジー過ぎるのも気になります。

ただし、楽曲自体は抜群に優れています。そこはかとない哀愁を漂わせたメロディが非常に魅力的ですし、ボーカルのハンプス・ハンク・エリックスのナイーブな歌唱との相乗効果もあり、どの曲も名曲・佳曲と言って差し支えない水準です。この楽曲群を隅々まで気を配ってアレンジしなおし、リズムセクションを強化して、最高の環境で再レコーディングしたら、とんでもない傑作になりそう。そんなことばかり頭に浮かんで、聴くたびに割り切れなくてモヤモヤしてしまうアルバムです。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。 

■Tracks
01. Pride (Allen, Delin)
02. Truth Slips (Allen, Delin)
03. Hold On (Allen, Delin)
04. I'm Alive (Allen, Delin)
05. One Chance (Allen, Delin)
06. Give Me Back My Heart (Kronqvist, Delin, Denander)
07. Misery (Delin, Denander)
08. She's a Mystery (Laroxx,Sandrock)
09. Now (Delin, Kronlund)
10. 1000 Songs (Kronlund, Delin)
Bonustracks
11. Under Your Skin (Erix, Delin)
12. Chasing the Dream (Allen, Delin)

■Personnel
Freddie Allen - drums, keyboards on 3
Hampus Hank Erix - lead & backing vocals

Lasse Falck - bass (except 6)
Kristoffer Hogberg - bass on 6
Mats Olausson - keyboards on 1, 6, 7, 8, 9, 10
Ricky B. Delin - keyboards on 1, 2, 3, 5, 6, 8, 9, 10, syn-drums on 4, acoustic guitars on 9, backing vocals on 3, 4, 10
Jay Cutter - keyboards on 3, 7
Johan Kronlund - keyboards on 10, guitars on 10, backing vocals on 10
Sandrock - FX on 8
Tommy Denander - guitars on 1, 3, 4, 5, 6, 7
Martin Fogelström - guitars on 2
Michael Santunione - guitars on 8
Fabes - guitars on 4, 9
Krille Eriksson - guitars on 10
Kristoffer Langerström - backing vocals on 1, 5, 6, 9
Helena Alsterhed - lead vocals on 2
Tomas Vikström - backing vocals on 2, 4, lead vocals on 8

producer - Ricky B. Delin
executive producer – Dave Laroxx 

Houston
Houston
Spinefarm
2010-12-13

 

Los Angeles / Los Angeles (2008)

0012Los Angeles

ロサンゼルス(Los Angeles)は、Vision DivineやKilling Touchでの活動で注目されるイタリア出身のボーカリスト、ミケーレ・ルッピ(Michele Luppi)と、スウェーデン出身のメロハー/AOR界の仕事師トミー・デナンダー(Tommy Denander)が組んだAORプロジェクトです。このアルバムで初めてルッピの歌を聴いたのですが、その驚異的な声と歌唱力に一発で参りました!ベルベットのように柔らかで力強い声質、圧倒的な声量、細くならずにどこまでも伸びるハイトーンは、HR/HMの世界で文句なく最高クラスのものだと思います。このアルバムはリチャード・マークス(Richard Marx)をはじめとしたAORのカバーという企画物ですので、バラード中心で曲調やテンポのバリエーションが乏しいのはいたし方ありません。それが苦にならない方であれば、表現力豊かな歌い手が心地良い旋律を歌うのを聴くという、当たり前の音楽の快楽を、心行くまで味わうことができると思います。

トミー・デナンダー以外の参加ミュージシャンでは、Angel、Giuffria、House of Lordsのグレッグ・ジェフリア(Gregg Giuffria)が目を引きます。プロデューサー兼ベースのファブリツィオ・グロッシ(Fabrizio Grossi)、この人もメロハー/AOR界隈ではよく見かける仕事人です。たとえばIndigo Dyingの1stアルバムではベースを担当。このアルバムには、本作に参加しているトミー・デナンダー、ジェイミー・テラモ(Jamie Teramo)、モルディ・ハウザー(Mordi Hauser)もクレジットされています。また、Ambitionの1stアルバムにもトミー・デナンダーと共に関わっています。ジョン・サイクスと間違えそうなジョーイ・サイクス(Joey Sykes)ですが、この人はHugoのTime on Earthでもギターを弾いています。

ライナーを見ると、レコーディングはアメリカ、スウェーデン、イタリア三ヶ国(ニューヨーク、ストックホルム、ロサンゼルス、モデナ)で行われています。おそらくこういったプロジェクトは、ミュージシャンがそろってセッションを行うのではなく、パートごとに録音されたものをミックスしているのでしょうね。マスターはDennis Wardとクレジットされていますが、おそらくPink Cream 69のあのデニス・ワードだと思われます。リリースはイタリアのメロハー/AOR専門レーベルFrontiers Recordsで、このアルバムのエグゼクティブ・プロデューサーのセラフィーノ・ペルジーノ(Serafino Perugino)はFrontiersの社長さんです。この人の仕掛けで、ファブリツィオ・グロッシがレコーディング実務を取り仕切ってオケを作り、ミケーレ・ルッピに歌わせるという、Frontiersお得意の企画ものの一つということになります。

以下、自分自身の備忘録を兼ねて、カバー曲の概要をまとめて記しておきます。雰囲気がそれぞれ違うオリジナル曲が、本作では見事にルッピのレパートリーとして統一感ある仕上がりになっているのにはつくづく感心します。

01. I Will Carry You
TV番組「アメリカン・アイドル」出身の歌手Clay Aikenのデビュー・アルバム、Measure of a Man (2003)より。プロの作家チームの手による曲。なお、このアルバムはビルボードのチャート1位、トリプル・プラチナを獲得している。
 youtubeのClay Aikenオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=AJVvnQXhHpI&feature=related
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=Afy9fbfQYhU
02. I Must Be Blind
その筋では有名なセッション・ドラマーJohn RobinsonとAOR系ボーカリストMark Williamsonによるユニット、Bridge 2 FarのアルバムBridge 2 Far (1989)より。
 youtubeのBridge 2 Farオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=8fzWe1oeWHM
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=ELSWDIYwu5Q&feature=related
03. Thanks to You
AOR系シンガー・ソングライターとして著名なRichard Marxの作品。1999年に日本向けに再編集されたGreatest Hits にのみ収録されている曲。
 youtubeのRichard Marxオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=-1F2_YyoEpY
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=mMPTiQM4WYE
04. Edge of Forever
Richard MarxのアルバムDays in Avalon (2000)より。オリジナルは共作者のRichell "Chely" Wrightとのデュエット。
 youtubeのRichard Marxオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=KPZLTu6brHc
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=CcWXCQc_oEs
05. Last Chance
Night RangerのアルバムFeeding off the Mojo (1995)より。
 youtubeのNight Rangerオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=5rXWAEsnFNM
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=jJQ5ontz1jc
06. Run
クリスチャン・ロック・グループSelahのボーカリストTodd Smithのソロ・アルバムAlive (2004)より。
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=k5KHj3q5U8g
07. When You Think of Me
カントリー・シンガーMark Willsのシングル曲(2003)。
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=p7ulPGItAbQ
08. One More Try
Richard MarxのアルバムPaid Vacation (1994)より。
 youtubeのRichard Marxオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=ZvFUKkuuMEM
09. The Other Side
Richard MarxのアルバムMy Own Best Enemy (2004)より。
 youtubeのRichard Marxオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=6mm8imUgwYs
10. Caroline
クリスチャン・ロック・グループSeventh Day SlumberのアルバムOnce Upon a Shattered Life (2005)より。
 youtubeのSeventh Day Slumberオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=mCMgUtE56dw
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=WgoH7asfbVo&feature=related
11. Measure of Man
1曲目と同じくClay AikenのMeasure of a Man (2003)より。イギリスのシンガー・ソングライターCathy Dennisの作品。
 youtubeのClay Aikenオリジナル・バージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=DSzQIOSnUtA&feature=related
 youtubeのLos Angelesバージョン
  http://www.youtube.com/watch?v=2n8NjsaRPxY

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. I Will Carry You (Lindy Robbins, Dennis Matkosky, Jess Cates)
02. I Must Be Blind (Mark Williamson, Chris Eaton)
03. Thanks to You (Richard Marx)
04. Edge of Forever (Richard Marx, Richell Wright)
05. Last Chance (Brad Gillis, Kelly Keagy, Gary Moon, Jeff Paris)
06. Run (Chris Eaton, Todd Smith)
07. When You Think of Me (Brett James, Thomas Verges)
08. One More Try (Richard Marx, Bruce Gaitsch)
09. The Other Side (Richard Marx)
10. Caroline (Joseph Rojas)
11. Measure of Man (Steve Morales, Cathy Dennis, David Siege)

■Personnel
Michele Luppi – vocals
Frankie De Grasso – drums
Fabrizio Grossi – bass
Tommy Denander – guitars
Gregg Giuffria – keyboards
Jamie Teramo – keyboards

Mordi Hauser – Additional guitars
Joey Sykes – Additional guitars

Producer - Fabrizio Grossi
Executive Producer - Serafino Perugino

Last Autumn's Dream / Last Autumn's Dream (2003)

0010Last Autumn's Dream

スウェーデン出身のボーカリスト、ミカエル・アーランドソンと、ドイツ出身でフェア・ウォーニングのギタリストだったアンディ・マレツェクのコラボレーション、ラスト・オータムズ・ドリーム。出来上がったのは、センチメンタルでロマンチックな極上のメロディアス・ハードロック!1曲たりとも捨て曲なんていうものはありません。特に"Again and Again"、"Guardian Angel"、"Break the Chains"、"Blink of an Eye"などは超がつくほどの名曲でしょう。かすれ気味の甘い声で切なく歌い上げるアーランドソンのボーカル、フェア・ウォーニング時代にも増して叙情的なマレツェクのギター、次から次に繰り出される美旋律にもう何も言うことはありません。二人のコラボレーションが生み出したこ音楽こそ、まさに「ケミストリー」という言葉にふさわしいものだと思います。アーランドソンの過去のレパートリーから"The One"、フェア・ウォーニングの名曲"Picture of Love"が再演されているのも興味深いです。メインの二人の脇を固めるのは、ミック・ミカエリ(キーボード)、ジョン・レヴィン(ベース)、イアン・ホーグランド(ドラムス)、言わずと知れたヨーロッパのメンバーです。またラストの1曲だけ北欧メロハー/AORのドン、トミー・デナンダーがギターで友情出演(?)しています。

ライナー・ノーツによれば、レコーディングは大雑把に言ってストックホルムでのヨーロッパ組のリズムトラックの録音(Ulf Wahlberg担当)、イェーテボリでのアーランドソンのボーカル録音(Torbjörn Wassenius担当)、ベルリンでのマレツェクのギター・パートの録音(Rick Brightman担当)と、計三ヶ所で行われています。曲作り、アレンジ、プロデュースも、アーランドソン・チーム(Mikael Erlandsson, Claes Andreasson, Torbjörn Wassenius)と、マレツェク・チーム(Andy Malecek, Rick Brightman)、別個に行われているようです。それぞれの素材をインターネットを通じて交換し合いアルバムに仕立て上げているけれど、メンバー全員が一堂に会してのレコーディング・セッションは行われていないという、なんとも現代的な制作手法ですね。なお、リリースはイタリアのメロハー/AOR専門レーベルFrontiersからとなっています。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Again and Again (M. Erlandsson, C. Andreasson, T. Wassenius)
02. Picture of Love [Bonus Track] (U. W. Ritgen)
03. Guardian Angel (T. Lassar, R. Eriksson)
04. Break the Chains (Of Destiny) (R. Brightman)
05. Blink of an Eye (R. Brightman)
06. Talk to Me (M. Erlandsson, C. Andreasson, T. Wassenius)
07. The One (M. Erlandsson)
08. I Never Let You Go (M. Erlandsson, C. Andreasson, T. Wassenius)
09. High Up (R. Brightman, A. Malecek)
10. Movin' On (R. Brightman)
11. Going Home (M. Erlandsson, C. Andreasson, T. Wassenius)

■Personnel
Mikael Erlandsson – vocals
Andy Malecek – guitars
Mic Michaeli – keyboards
John Levén – bass
Ian Haugland – drums

Tommy Denander – harmony guitars on "Going Home"
Pierre Wensberg – backing vocals
Rick Brightman – backing vocals
Magnus Weidenmo – backing vocals
Jenny Miina – backing vocals

Main Producer - Torbjörn Wassenius
Executive Producer/Coordinator - Ulf Wahlberg

ラスト・オータムズ・ドリーム
ラスト・オータムズ・ドリーム
マーキー・インコーポレイティド
2003-11-21

 
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