メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

トミー・デナンダー

Sayit / Sayit (1999)

0471Sayit









ポーランド出身のギタリストSayit(セイイット)ことSayit Dölenの名を冠したプロジェクトの第一作です。とは言うもののこのSayitは、実際にはRadioactive、Prisoner、Deacon Streetなど山ほどあるトミー・デナンダーのプロジェクトの一つで、作曲、プロデュース、ほとんどのパートの演奏をトミー・デナンダーが担当。主役であるはずのセイイットさん自身はいくつかの曲でリズム・ギターを弾いているだけで、なぜ彼の名前がプロジェクト名になっているのかは謎です。(もっとも、ブックレットにリード・ギターのクレジットが無いため確定的なことは言えないのですが、トミー・デナンダーっぽくないソロが何曲かあるので、セイイットもリード・ギターを担当しているのかも知れません。)それはともかく、中身はトミー・デナンダーらしいハイクォリティな北欧AORとなっており、聴き逃せないアルバムであることは間違いありません。

トミー・デナンダー作品でも一作ごとに特徴的な傾向というのがありますが、本作はフュージョン寄りAORというか、歌入りフュージョンというか、そんな感じ。曲も良く出来ているし、イエア・ロニングやピエール・ウェンスベリといった、デナンダーのプロジェクトの常連ボーカリストの歌唱がこれまた極上でため息が出るほどです。バック・ボーカルにも、トーマス・ヴィクストロム、ミカエル・アーランドソンなど一流ボーカリストが動員されており、なんとも贅沢。ただ、リズムが打ち込みで単調に感じること、後半になると曲の出来が若干落ちてくることが気になります。特にジャーニーのカバー#11"Once You Love Somebody"は曲もイマイチ、打ち込み臭さが鼻に付き聴いているのが苦痛でした。ボーナス・トラックの#12"Talk to Me"も同様にいただけません。所詮はアウトテイクということでしょうか。なお、共同プロデューサーのリッキー・B・デリンも、トミー・デナンダーのプロジェクトではお馴染みの人物。作曲のクレジットにあるBjörn Lindbomというのは彼の本名らしいです。

本作のオリジナル・リリースは1999年ですが、わずか2000枚しかプレスされておらず、市場には2009年に再発されたボーナス・トラック入りリマスター盤が出回っているようです。また、今年(2023年)になって、Sayitの1stと2ndをカップリングした ONE & AGAIN が500枚限定で発売されています。

以下、お気に入りの曲をいくつかご紹介してみます。

01. A Second Start
中低域が魅力的なイエア・ロニング、高域に張りのあるピエール・ウェンスベリ、二人のツイン・ボーカルで聴かせる極上AOR。幕開けから名曲・名唱です。高いところでイエア・ロニングが若干苦しそうですが、二人ともまあ歌のうまいことと言ったらありません!

02. House of Glass
ゆったりとしてライトなAORです。リード・ボーカルはピエール・ウェンスベリ。これも良い曲です。

03. Standing on the Outside
これも軽い感じのAORですが、イエア・ロニングの渋いボーカルが曲に深い味わいをもたらしていると思います。

04. One Unguarded Moment
イエア・ロニングが歌う少しブルージーなAOR。彼のボーカル・スタイルによく合っていて大好きな曲です。

05. Could You Love Me Again
ボーカルは再びピエール・ウェンスベリです。いわゆるハネ系リズムが心地良いフュージョン寄りのAOR。

06. Garden of Eden
これは更にフュージョンっぽい曲。ボーカルはイエア・ロニングです。何を歌わせても上手いわ、この人!

10. You
イエア・ロニングと女性ボーカリストのアニカ・ブルマンのデュエット。日本で言うところのシティ・ポップのようなちょっとオシャレな曲です。

■Tracks
01. A Second Start (Tommy Denander, Björn Lindbom)
02. House of Glass (Tommy Denander)
03. Standing on the Outside (Tommy Denander, Björn Lindbom)
04. One Unguarded Moment (Tommy Denander, Björn Lindbom)
05. Could You Love Me Again (Tommy Denander)
06. Garden of Eden (Tommy Denander, Björn Lindbom)
07. You're My Inspiration (Tommy Denander, Björn Lindbom)
08. She's the One (Tommy Denander, Björn Lindbom)
09. Hear Me Heaven (Tommy Denander, Björn Lindbom)
10. You (Tommy Denander, Björn Lindbom)
11. Once You Love Somebody (Steve Perry, Jonathan Cain)
[Unreleased Bonus Track]
12. Talk to Me (Tommy Denander)

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Personnel
Tommy Denander - Programming, Keyboards, Bass, Rhyhm Guitars (all except 4), Backing Vocals (5)
Sayit - Rhyhm Guitars (1, 2, 3)
Bruce Gaitsch - Rhyhm Guitars (acoustic on 5)
Geir Rønning  - Lead Vocals (1, 3, 4, 6, 8, 10)
Pierre Wensberg  - Lead Vocals (1, 2, 5)
Andy Eklund  - Lead & Backing Vocals (7, 9, 11)
Annika Burman  - Lead & Backing Vocals (10)
Thomas Vikström - Backing Vocals (1, 3, 6, 8)
Mikael Erlandsson - Backing Vocals (9)
Mikael Eriksson - Backing Vocals (9)
Kristoffer Lagerström - Backing Vocals (2)

Producer - Tommy Denander, Ricky B. Delin

Sayit
Sayit
911
2008-01-25


Ahead of Time / Frozen Rain (2012)

0467Ahead Of Time









ベルギーのキーボード奏者カート・ヴェリークのプロジェクトFrozen Rain(フローズン・レイン)の2ndアルバムです。1stのAOR寄りのソフトなメロハー路線から一転して、グッとハードな音になりました。前作では5人のボーカリストが歌っていましたが、本作ではハードな演奏に合わせて、ダミ声でパワー感のあるボーカル・スタイルのカーステン・リザード・シュルツ(Domain, Evidence One, etc)単独での起用です。また演奏陣も全曲同じメンバーで、結果的によりバンドらしい一体感のあるアルバムとなっています。ミキシングはアレッサンドロ・デル・ヴェッキオ、マスタリングはデニス・ワードと「メロハー界の要人」が関わっているのも、アルバムのクォリティ向上に一役買っているかも知れません。

というわけでサウンドのほうはは変化しましたが、通俗的というか、歌謡曲的というか、Frozen Rainの特徴的なメロディ・ラインはやはり同じです。特に#2"Forever"なんかは、80~90年代の日本のロック風歌謡曲を聴いてきた世代にはグッと来るんじゃないかと。全編通じて佳曲揃いでメロディック・ロック・ファンなら聴いて損はないと思いました。

なお、本作の日本国内盤(Rubicon Music)には6曲ものボーナス・トラックが収録されています。いずれもデモ音源で、#12~15は1st収録曲、#16は本作のタイトル曲、#17はアルバム未収録曲でトミー・デナンダーがギターを弾いています。しかしながら、デモとは言え歌唱・演奏(トミー・デナンダーは別として)・録音がお粗末で、あまり有り難味の無いボーナスです。つまらないデモ音源など入っていると逆にアルバムの品位を落とすと思うのですが、いかがなものでしょうか。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Believe It or Not (Rik Priem, Chris Swinney, Kurt Vereecke)
02. Forever (Kurt Vereecke)
03. Breakin’ Out (Rik Priem, Chris Swinney, Kurt Vereecke)
04. We’re Gonna Rock (Kurt Vereecke)
05. Too Late (Kurt Vereecke)
06. Turn It On (Rik Priem, Kurt Vereecke, Darren Whitehead)
07. Ahead of Time (Kurt Vereecke, André Vlerick)
08. The Last Dance Ain’t Over (Jurgen Vitrier, Kurt Vereecke, Darren Whitehead)
09. Not at Home (Chris Swinney, Kurt Vereecke)
10. The Way That You (Rik Priem, Kurt Vereecke, Darren Whitehead)
11. Voodoo Party (Rik Priem, Chris Swinney)
[Bonus Tracks for Japan]
12. Waiting for You (Demo) (Kurt Vereecke)
13. On the Run (Demo) (Erik Van Bers & Kurt Vereecke)
14. Park Cafe (Demo) (André Vlerick & Kurt Vereecke)
15. Never Be a Fool Again (Demo) (Erik Van Bers & Kurt Vereecke)
16. Ahead of Time (Demo)  (Kurt Vereecke, André Vlerick)
17. The Secret of My Heart (Demo) (Anders Johasson & Kurt Vereecke)

■Personnel
Kurt Vereecke - Keyboards, Bass Guitar, Acoustic Guitar, Backing Vocals

Carsten 'Lizard' Schulz - Lead & Backing Vocals
Hans Vereecke - Drums
Jurgen Vitrier - Keyboards
Vincent De Laat - Bass Guitar
Rik Priem - Rhythm & Solo Guitars, Acoustic Guitar

Chris Swinney - Backing Vocals on #1,9, Voice on #11

Producer - Frozen Rain
Executive-Producer - Gregor Klee

Ahead Of Time
FROZEN RAIN
RUBICON MUSIC
2012-05-23


Taken / Radioactive (2005)

0458Taken









トミー・デナンダーのメロハー/AORプロジェクトRadioactiveの3rdアルバム。これまで通りTOTOの影響下にあるAORハード路線を中心に、多彩な楽曲が詰め込まれています。ただ、楽曲の平均点は前作の方が上かもしれません。今回も多数のボーカリスト、プレイヤーを動員していますが、それにしても実に豪華な顔ぶれですね~。人数が多すぎてタグ数が間に合わないので、曲順を追って簡単に記しておきます。なお、本作オリジナル盤はドイツのMTMから2005年にリリースされていますが、2013年になってRadioactiveの1st~3rdにそれぞれボーナス・トラック2曲(1曲は日本盤ボーナス・トラックだったもの、1曲は未発表曲)ずつを追加したリイッシュー3枚組Legacyが英国Escape Musicから発売されています。一部の曲のパートが差し替えられてリミックスも行なわれているようですが、レビューはこのLegacyのバージョンについてのものです。

01. C.O.W. (Tommy Denander)
オープニングのギター・インスト。曲というより景気づけにギター弾きまくってるという感じです。

02. Taken (Tommy Denander, Bobby Kimball)
タイトル曲はいかにもT.デナンダーらしいAORハード。ボーカルはボビー・キンボールです。

03. Stronger Than Yesterday (Tommy Denander)
温か味のあるしっとりしたAORナンバー。ボーカルはスウェーデン出身で現在は米国でソングライター&プロデューサーとして活躍しているアンドレアス・カールソン。他の曲と異なり、ジェフ・ポーカロ(Ds)、ディーン・パークス(G)、グレッグ・フィリンゲインズ(Key)、スティーヴ・ポーカロ(Key)がバックを固めています。ジェフ・ポーカロが92年に亡くなっていることも考え合わせると、元々の録音は相当古いと推測されます。

04. Hit Her Where It Hurts (Tommy Denander, Björn Lindbom)
キャッチーなメロディが印象的なAORナンバーで、リード・ボーカルはゲイリー・バーデン、バック・ボーカルはマイケル・ヴォス。色々言われることの多いG.バーデンですが、ここでは問題無いどころか貫禄さえ感じさせる歌いっぷりです。

05. Easy's Gettin' Harder (Tommy Denander, Björn Lindbom)
M7thコードの響きがオシャレな雰囲気を醸し出すシティ・ポップス風の曲。ボーカルはジェイムズ・クリスチャン&ロビン・ベック、夫婦で気持ち良さそうに歌っております。

06. This I Promise You (Tommy Denander, Björn Lindbom)
ミカエル・アーランドソンがボーカルを担当した甘く切ない系バラードです。

07. Forgivness (Tommy Denander, Christian Ingebrigtsen, Marjorie Maye)
ノルウェー出身のシンガー、クリスチャン・インゲブリグトセンが歌う、ポップでメロディアスな哀愁系AORナンバーです。アコースティック・ギターでブルース・ガイチが加わっています。

08. Shattered (Tommy Denander, Marjorie Maye)
跳ねるリズムがカッコいいメロハー/AORで、ボーカルはフィリップ・バードウェル。ギター・ソロはなんとイングヴェイ・マルムスティーンなんですが、無理やり入れ込んだ感が否めません。

09. Premonition (Tommy Denander, Fergie Frederiksen, Jim Peterik)
ハードロック寄りのスピーディな曲。ボーカルはファーギー・フレデリクセン、ギター・ソロはブルース・キューリックです。

10. Carry On (Frédéric Slama, Tommy Denander)
クレジットにはリード・ボーカルとしてミカエル・アーランドソンとケリー・ケイギーの2人が記されていますが、ミカエル・アーランドソンの声しか聴こえません。また、ギターにニール・ショーン(イントロのトーク・ボックス)、マイケル・ランドウ、マイケル・トンプソン、フレデリック・スラマ、他にもジョン・ロビンソン(Ds)、エイブラハム・ラボリエル(B)、トム・キーン(Key)など数多くのプレイヤーの記載があります。

11. Love Is on Your Mind (Tommy Denander, Kristoffer Lagerström)
本作の中ではもっともハードロック的な曲。メロディアスな佳曲です。これもクレジット上のリード・ボーカルがハリー・ヘス、バック・ボーカルがトーマス・ヴィクストロムとなっていますが、リード・ボーカルはトーマス・ヴィクストロムに聴こえます。うーむ、オレの耳がおかしいのか?クレジットが間違っているのか?謎です。

12. Sinner (Tommy Denander, Björn Lindbom)
ジェフ・パリスが歌うAORハードで、これも佳曲だと思います。

13. Never Gonna Let Her Go (Frédéric Slama)
典型的なウェスト・コースト風ライトAOR曲。これは元々フレデリック・スラマ(AOR)の曲でオリジナルは歌入りですが、ボーカル・パートをカットしてギター・インスト曲に仕立てています。ギターはもちろんT.デナンダー、ただし元曲の間奏部分はスティーヴ・ルカサーが弾いていてこれもそのまま残っています。他のインスト・パートは、マイケル・ランドウ(G)、デヴィッド・ディッグス(Key)、トム・サヴィアーノ(Sax)、フセイン・ジフリー(B)、ヴィニー・カリウタ(Ds)と豪華です。

14. The Darkness Inside (Tommy Denander, Björn Lindbom)
オリジナル日本盤ボーナス・トラックで、ボーカルはジェフ・パリス。タイトル通りちょっとダークな雰囲気の曲です。

15. Feel My Heart Again (Tommy Denander)
Legacyのボーナス・トラックとして収録された未発表曲。歌は上手いしナチュラルなメロディが心地良く、えらく気に入ってしまいました。ボーカルはVic Heartと表記がありますが、知らない人なので調べてみるとスウェーデンのシンガー、ヴィクトル・クロネという人でした。1992年生まれと若いので、Legacy用に録音された新曲か、はたまたお蔵入り曲のボーカルを差し替えたのかどちらかでしょう。Legacyのクレジットでは、この曲に至っては2ndYeahのボーナス・トラック"Juliet"と取り違えられています。せっかくのクレジットなのになんだか当てになりません。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Personnel
Tommy Denander - Guitars,Keyboards, Piano, Loops, Bass

Bobby Kimball - Lead Vocals (2)
Andreas Carlsson - Lead Vocals (3)
Gary Barden - Lead Vocals (4)
Robin Beck - Lead Vocals (5)
James Christian - Lead Vocals (5)
Mikael Erlandsson - Lead & Backing Vocals (6, 10)
Christian Ingebrigtsen - Lead Vocals (7)
Philip Bardowell - Lead & Backing Vocals (8)
Fergie Frederiksen - Lead Vocals (9)
Kelly Keagy - Lead Vocals (10)
Harry Hess - Lead Vocals (11)
Jeff Paris - Lead Vocals (12, 14)
Vic Heart - Lead Vocals (15)
Thomas Vikström - Backing Vocals (2, 5, 7, 9, 11, 12, 14)
Michael Voss - Backing Vocals (4)
Steve George - Backing Vocals (10)
Hank Erix - Backing Vocals (15)
Dean Parks - Guitars (3)
Bruce Gaitsch - Acoustic Guitars (7)
Yngwie Malmsteen - Guitar Solo (8)
Bruce Kulick - Guitar Solo (9)
Neal Schon - Talk Box Intro (10)
Michael Landau - Guitars (10, 13)
Michael Thompson - Guitars (10)
Frédéric Slama - Guitars (10)
Steve Lukather - Solos (13)
Steve Porcaro - Keyboards, Strings (3)
Greg Phillinganes - Keyboard Fills (3)
Tom Keane- Keyboards (10)
David Diggs- Keyboards (13)
Abraham Laboriel - Bass (10)
Husaain Jiffry - Bass (13)
Vinny Heter - Drums (2, 4, 5, 6, 7, 8, 11, 12, 14)
Jeff Porcaro - Drums (3)
John Robinson - Drums (10)
Vinnie Colaiuta - Drums (13)
Pat Thern- Drums (15)
Tom Saviano - Sax (13)

Producer - Tommy Denander
except #13 David Diggs
テイクン
レディオアクティヴ
キングレコード
2006-01-25

Taken (w/DVD)
Radioactive
Mtm
2005-11-14

 

L.A Reflection / AOR (2002)

0426L.A Reflection









フレデリック・スラマの主宰するプロジェクトAORの3rdアルバム。これまで通りウェストコーストAOR一直線の作品となっています。しかしまあ、スラマさんは本当にAORという音楽が大好きなんですね。流行に振り回されることもなく、商業的成功を求めて音楽性を変えたりすることもなく、自分好みの音楽を自分好みのミュージシャン達と作っていくという、ある意味アマチュア的な姿勢は清々しいとさえ感じます。せめてせっせと購入して応援したい気持ちになるのです。

アルバム3枚目ともなると、メロディや曲展開のパターンも大体分かってきて、新鮮味という点では期待はできません。作っているほうもマンネリなんていうことは承知の上だと思うし、スラマさんの書くメロディ自体好きなので問題無しですが、1st、2ndと同様やはりボーカルの弱さはなんとかしてもらいたいところです。ただ、メインのデヴィッド・チェンバリンという人は相変わらずダメですが、今回はヨラン・エドマンその他実力派が何曲か歌っているのが一歩前進です。また、トミー・デナンダーが全面的に関与しているようで(All Instrumentsとクレジットされています)、前2作よりサウンドがグッとハードになってRadioactiveに近い感じになっています。このプロジェクトのアルバムは、参加ミュージシャンがずらっとクレジットされているのものの、ボーカルを除いて曲ごとの担当はごく一部しか記されていません。また、既発曲のバージョン違いが収録されていることも多く、その辺がちょっと分かりづらい。どうも、既発曲の一部または全パートを再録音して収録するパターンと、再発の際に既発アルバム収録曲の同一トラックをボーナスとして収録するパターンがあるようです。というわけで、自分自身の覚書も兼ねていくつかの曲について書いておきます。なお、筆者の持っているのは2012年ドイツYesterrockからの再発盤です。

#3"Never Gonna Let Her Go"
1stL.A. Concessionの本編にジョン・フルカーの歌うバージョン、ボーナス・トラックにインスト・バージョン、2ndNext Stop: L.A.ボーナス・トラックにジョン・フルカー・バージョン再収録、そして本作ではリック・リソの歌うバージョン収録。このトラックには、"Middle & End Guitar Solos by Steve Lukather"、"Rhythm Guitars by Michael Landau"という表記があります。

#14"Never Gonna Let Her Go (Michael Landau Mix)"
こちらには詳細なクレジットがあって、マイケル・ランドウ(G)、デヴィッド・ディッグス(Key)、トム・サヴィアーノ(Sax)、フセイン・ジフリー(B)、ヴィニー・カリウタ(Ds)がプレイしていることが分かります。つまり#3との違いは、ギター・ソロをスティーヴ・ルカサーが弾いているかマイケル・ランドウが弾いているかということです。1stL.A. Concessionボーナス・トラックかつRadioactiveのTakenにも収録されているインスト・バージョンは、ベーストラックはこの#14と同一で、更にトミー・デナンダーのリード&リズム・ギターが入りボーカルをカットしたものということになります。

#7"Worlds Away"
ボーカルはマイケル・ラフ。1stL.A. Concessionにダグ・セント・ジョンの歌うバージョンが入っていましたが、本作のトラックは全て新規録音だと思います。

#8"Leave Her to Heaven"
ボーカルはヨラン・エドマン。1stL.A. Concession本編と2ndNext Stop: L.A.ボーナス・トラックのジョン・フルカー・バージョンとはインスト・パートも異なっていて新規録音に聴こえます。

#12"5492 (instrumental)"
ジェフ・ポーカロ(Ds)、マイケル・ポーカロ(B)、スティーヴ・ポーカロ(Key)、デヴィッド・ペイチ(P)、トミー・デナンダー(G)のクレジットがあるインスト・ナンバー。つまりルカサー抜きのTOTOでデナンダーがギターを弾いている状態。フレデリック・スラマはプレイにも作曲にも関わっていないので、なんで収録されているのか謎。ジェフ・ポーカロは1992年に死去しているので相当古い録音だと思われます。

#13"Secrets in Her Heart"
ボーカルはデヴィッド・チェンバリン。1stL.A. Concessionのボーナスと同一トラックです。本作でも何故かボーナス・トラック。

#15"Listen to Your Heart"
#16"Mary Ann"
ボーカルはマイケル・キスール。サウンド的にも音質的にもデモ録音以下のクォリティ。おそらくスラマさんがメモ代わりに一人で制作した音源に仮ボーカルを入れただけではないかと思います。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. If No One Cared (Lead Vocals : David Chamberlin)
02. Sensation (Lead Vocals : Göran Edman)
03. Never Gonna Let Her Go (Lead Vocals : Rick Riso)
04. So Young and Innocent (Lead Vocals : David Chamberlin)
05. A Quiet Storm (Lead Vocals : Chris Antblad)
06. How Will She Find Her Way Back? (Lead Vocals : David Chamberlin)
07. Worlds Away (Lead Vocals : Michael Ruff)
08. Leave Her to Heaven (Lead Vocals : Göran Edman)
09. Dream Them Away (Lead Vocals : David Chamberlin)
10. I Know You Too Well (Lead Vocals : David Chamberlin)
11. Far Away From the Storm (Lead Vocals : David Chamberlin)
12. 5492 (instrumental)
Bonus Tracks
13. Secrets in Her Heart (Lead Vocals : David Chamberlin)
14. Never Gonna Let Her Go (Michael Landau Mix)
15. Listen to Your Heart (Lead Vocals : Michael Kisur)
16. Mary Ann (Lead Vocals : Michael Kisur)
All songs by Frédéric Slama
except #12 by Tommy Denander, Jeff Porcaro, Mike Porcaro

■Personnel
Frédéric Slama - Guitars, Keyboards
Tommy Denander - All Instruments
Göran Edman - Lead Vocals
Michael Ruff - Lead Vocals
Rick Riso - Lead Vocals
Chris Antblad - Lead Vocals
Michael Kisur - Lead Vocals
David Chamberlin - Lead Vocals
Rachel Diggs - Backing Vocals
Tom Bailey - Backing Vocals
Kristoffer Lagerström - Backing Vocals
Steve Lukather - Guitars
Michael Landau - Guitars
Bruce Gaitsch - Guitars
James Harrah - Guitars
André Harold - Guitars
David Diggs - Keyboards
Steve Porcaro - Keyboards
David Paich - Keyboards
Tom Saviano - Saxophone
David Boruff - Saxophone
Mike Porcaro - Bass
Eddie Watkins Jr. - Bass
Hussain Jiffry - Bass
Vinnie Colaiuta - Drums
Ed Greene - Drums
Jeff Porcaro - Drums

Producer - Frédéric Slama

L.A. Reflection
AOR
Yesterrock
2012-11-05

 

Legacy of Life / Impera (2012)

0419Legacy Of Life









J.K.インペラことヨハン・キールベリ(Ds)を中心としたスウェーデンのハードロック・プロジェクトImperaの1stアルバム。他のメンバーは、ギターにトミー・デナンダー(Radioactive etc)、ベースにマッツ・ヴァースフォード(Scaar etc)、ボーカルにマッティ・アルフォンゼッティ(Alfonzetti etc)というメンツで、他に一部の曲でアンディ・ルース(Glory etc)がベースを弾いています。

中身はいかにもトミー・デナンダーっぽいテクニカルかつスタイリッシュな音で、実質的には彼の音楽的主導権の下に制作されたのでしょう。ただし、AOR要素がほとんど無い純然たるハードロックを演っていて、トミー・デナンダー絡みのアルバムとしては珍しいかなと思います。本作で何と言っても素晴らしいのはマッティ・アルフォンゼッティのボーカル。北欧には、イエア・ロニング、パトリック・シモンセン、ステファン・ベルグレンといった、ポール・ロジャース~デヴィッド・カヴァーデイルの流れを汲むブルージーで渋いボーカリストが意外と多くて、筆者としては皆大好きなんですが、マッティ・アルフォンゼッティもその一人です。格闘家のような風貌はちょっと怖いですが、この人の深みとコクのある声質、引きずるような歌い回しは溜まりません。曲はそこまでブルージーではないし、トミー・デナンダーのギターはいつも通り泥臭さとは無縁。そこにマッティ・アルフォンゼッティのボーカルが乗っかると、適度にブルージーで、適度にスタイリッシュで、適度にメロディアスという絶妙のバランスが生まれるんですね。しかも、駄曲・捨て曲が無いどころか、箸休め的な曲もバラードすらも無く、最初から最後まで同じテンションで密度の濃い楽曲が詰まっているのが凄い!普通ならお腹いっぱいになりそうなところですが、テンポやリズム・パターンがバラエティ豊かなので聴き飽きることもダレることもない。いや~、大したものだと思います。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Turn My Heart to Stone (T. Denander, M. Alfonzetti, J. Kihlberg)
02. Kiss of Death (T. Denander, J. Bolmstad, M. Alfonzetti, J. Kihlberg)
03. Break the Law (T. Denander, M. Alfonzetti, J. Kihlberg)
04. Shoot Me Down (T. Denander, M. Alfonzetti, J. Kihlberg)
05. Sunset Rider (T. Denander, J. Bolmstad, J. Kihlberg)
06. Tell Me (T. Denander, M. Alfonzetti, J. Kihlberg)
07. More Than Meets the Eye (T. Denander, J. Bolmstad, M. Alfonzetti, J. Kihlberg)
08. Is This Love (T. Denander, M. Alfonzetti, J. Kihlberg)
09. Show Me the Money (T. Denander, J. Bolmstad, J. Kihlberg)
10. Dead End Streets (T. Denander, J. Bolmstad, J. Kihlberg)

■Personnel
J.K. Impera - Drums
Matti Alfonzetti - Vocals
Tommy Denander - Guitars
Mats Vassfjord - Bass

Andy Loos - Additional Bass on 2, 3, 5, 6, 7

Producer - Johan Kihlberg
Co-producer - Lars Chriss

Legacy Of Life
IMPERA
ルビコン・ミュージック
2012-10-24

 

Lionville / Lionville (2011)

0402Lionville









イタリア人ミュージシャンのステファノ・リオネッティによるメロハー/AORプロジェクトLionvilleの1stアルバム。シーンのキー・パーソンの一人であるアレッサンドロ・デル・ヴェッキオをブレーンに迎え、更にピエルパオロ・モンティとラーズ・サフサンドを加えた4人がバンドの基本ラインナップとなっています。ラーズ・サフサンドがメイン・ボーカルを担当していることもあって、Work of Artに似通った高揚感重視の明るいサウンドとキャッチーなメロディが堪能でき、メロハー愛好家なら大満足すること請け合い。Work of Artよりはメロハー色が強い印象です。名曲・佳曲がぎっしり、しかも歌唱・演奏は完璧、これは傑作間違いなしでしょう!曲ごとに数多くのミュージシャンが参加しており、ここでは紹介しきれませんが、フンフンと頷きながらクレジットを確認するのも一興です。

01. Here by My Side
(Music:S. Lionetti  Lyrics:P. Monti, L. Säfsund, A. D. Vecchio)
オープニングにふさわしく明るく高揚感に満ちた曲。本作の基本となる路線です。ヴァース~ブリッジ~コーラスと全て珠玉のメロディで、これはもちろん名曲でしょう。ギター・ソロはイントロがステファノ・リオネッティ、中間がアンドレア・マッダローネ(New Trolls)、アウトロがブルース・ガイチ。

02. With You
(Music:S. Lionetti  Lyrics:P. Monti, L. Säfsund, R. Säll, A. D. Vecchio)
#1と同傾向のナンバーで、ブレイクからサビに入るところが最高にカッコいい!これも名曲!ギター・ソロはイントロがステファノ・リオネッティで、メインはアンドレア・マッダローネです。

03. Centre of My Universe
(Music:S. Lionetti  Lyrics:P. Monti, L. Säfsund, A. D. Vecchio)
TOTOっぽいグルーヴィなリズムが心地良いライトAORナンバー。ステファノ・リオネッティとのデュエットですが、ステファノさんもソウルフルで中々にいい感じです。1stギター・ソロはステファノ・リオネッティ、2ndソロはブルース・ガイチ。

04. Thunder in Your Heart
(Music & Lyrics:L. Macaluso, G. Sklerov, J. Esposito)
ジョン・ファーナム(Little River Band)のカバー曲。数少ないマイナー・キーの曲ですが、哀愁や暗さはよりやはり高揚感を感じさせます。ギター・ソロはマリオ・ペルクダーニ(HungryHeart)。

05. The World Without Your Love
(Music:R. Marx, B. Gaitsch  Lyrics:A. Sky)
リチャード・マークスとブルース・ガイチ作のバラード。春の日差しのような暖かさが伝わってくる名曲です。ギター・ソロはイントロがステファノ・リオネッティ、アウトロはブルース・ガイチ自身が担当しています。

06. Power of My Dreams
(Music:S. Lionetti  Lyrics:P. Monti)
#1と同じ路線の爽快感溢れるナンバー。ラーズ・サフサンド&ステファノ・リオネッティのツイン・ボーカルです。ギター・ソロはメインがアンドレア・マッダローネ、アウトロがステファノ・リオネッティ。

07. No End in Sight
(Music:S. Lionetti  Lyrics:P. Monti, L. Säfsund, R. Säll, A. D. Vecchio)
穏やかな小品といった印象の曲。他に比べてややメロディが地味かな。リズム・ギターはスヴェン・ラーション(Street Talk)、リード・ギターはステファノ・リオネッティ。

08. The Chosen Ones
(Music:T. Denander, S. Putki, S. Lionetti  Lyrics:P. Monti, L. Säfsund)
これも#1と同じ路線の曲で、トミー・デナンダーがライティングとギター・ソロで参加しています。デュエット相手の女性シンガーはアラベラ・ヴィタンク(Alyson Avenue)、ツイン・ボーカルということもあって爽快感、高揚感がMaxに達してます。まあ、気持ち良いことこの上ない名曲ですな。

09. Over and Over Again
(Music:S. Lionetti  Lyrics:P. Monti, S. Lionetti)
ゆったりとしたAORバラード。ボーカルはステファノ・リオネッティ。この人も歌が上手いので、ゲスト・ボーカルなしでも十分やっていけるんじゃないかな。ギター・ソロはスヴェン・ラーションが弾いています。

10. Dreamhunter
(Music:S. Lionetti, A. D. Vecchio  Lyrics:P. Monti, L. Säfsund, R. Gazzaniga, A. D. Vecchio)
#1路線の爽快系メロハー。コーラスのメロディがえらくキャッチーで思わずウキウキ気分になります。ギター・ソロはマリオ・ペルクダーニ。

11. Say Goodbye
(Music:S. Lionetti  Lyrics:P. Monti, L. Säfsund, A. D. Vecchio)
本編のラストはアコースティカルなバラード。切々とした美しいメロディが印象的です。

12. The World Without Your Love (Avenue AOR Version)
13. No End in Sight (Alternative Version)
14. Say Goodbye (Acoustic Version)

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Personnel
Stefano Lionetti - Lead & Backing Vocals, Guitars

Lars Säfsund - Lead & Backing Vocals
Alessandro Del Vecchio - Keyboards, Backing Vocals
Pierpaolo "Zorro11" Monti - Drums, Percussion

Mario Percudani - Guitars
Andrea Maddalone - Guitars
Anna Portalupi - Bass
Amos Monti - Bass

Arabella Vitanc - Lead & Backing Vocals
Erik Mårtensson - Backing Vocals
Bruce Gaitsch - Guitars
Tommy Denander - Guitars
Sven Larsson - Guitars

Producer - Alessandro Del Vecchio
Executive Producer - Alessandro Lionetti, Gregor Klee
 

Yeah / Radioactive (2003)

0371Yeah









スウェーデンのAORマスターことトミー・デナンダー主宰のプロジェクトRadioactiveの2作目。前作はTOTO周辺のミュージシャン総動員の超豪華なアルバムでしたが、今回はボーカル陣は多彩なものの演奏はほとんどトミー・デナンダー自身が担当しており(ドラムのPat Thernはトミー・デナンダーの変名)、その点では地味な印象があります。しかし中身のほうは前作に勝るとも劣らない出来栄え。前作に比べてグッとハードになっており、極上の楽曲とプレイの詰まった北欧メロハー/AORの傑作と言えると思います。本作オリジナル盤はドイツのMTMから2003年にリリースされていますが、2013年になってRadioactiveの1st~3rdにそれぞれボーナス・トラック2曲(1曲は日本盤ボーナス・トラックだったもの、1曲は未発表曲)ずつを追加したリイッシュー3枚組Legacyが英国Escape Musicから発売されています。

01. Yeah (Tommy Denander, Ricky Delin)
重いグルーヴと分厚いギターが印象的なハードロック。歌うのはミカエル・アーランドソンで、彼の得意なポップな要素や哀愁は皆無ですが、パワフルな歌唱が素晴らしい。何を歌わせても上手いですね~この人は。

02. Demon (Tommy Denander, Ricky Delin)
故ファーギー・フレデリクセンがハリのある歌声を聴かせる、スピーディなメロディアス・ハードロック。ベースはマルセル・ヤコブ。ヴァースの哀愁とブリッジ~コーラスの高揚感への変化がドラマチックです。

03. Don't Give Up (Tommy Denander, Geir Rønning)
筆者の大好きなイエア・ロニングがボーカルを務める、ブルージーなAORハード。ポール・ロジャースやデビッド・カヴァーデイルを思わせるディープ・ボイス、引きずるような歌い回しが堪りません。

04. Lies Feed on Lies (Tommy Denander, Chris Demming)
スティーヴ・オーヴァーランド登場です。この人にピッタリなハードでブルージーな曲。さすがに渋く上手いです。この1曲だけ参加しているトニー・フランクリンのベースも聴き所。

05. I Should Have Known Better (Tommy Denander, Chris Demming)
ボーカルは再びミカエル・アーランドソン。メロディアスですが、途中でリズム・チェンジがあったり、複雑なキメがあったりして、なんとなくプログレ風味も感じさせる曲です。

06. Over You (Tommy Denander, Ricky Delin)
6/8拍子のパワー・バラード。歌うのはイエア・ロニングで、ブルージー&エモーショナルな歌唱が最高です。

07. Fire Within (Tommy Denander, Chris Demming)
イントロのギターがえらくカッコいい!これも凝った編曲が印象に残るプログレハード的なナンバーとなっています。ボーカルはミカエル・アーランドソン、ベースはマルセル・ヤコブ。

08. Not That Innocent (Tommy Denander, Kristoffer Lagerström)
ミドル・テンポで歯切れのいいAORハード。コーラス部分が気持ち良いです。ボーカルはキモ・ブロム。自分のバンドで歌っている時よりパワフルに感じるなぁ。なんだかファーギー・フレデリクセンに似てるような気もするけど。

09. Make It Mine (Tommy Denander, Chris Demming)
これもミカエル・アーランドソンが歌っています。単純なロックン・ロール調のイントロから、歌が始まるとポップでメロディアスになって、間奏はプログレ的という凝った展開。

10. Souls on Fire (Tommy Denander, Geir Rønning)
哀愁溢れるAORハード・ナンバー。イエア・ロニングのタメにタメる歌唱が粘っこくて味わい深い。本当にいいボーカリストです。

11. 7 AM (Tommy Denander, Ricky Delin)
TOTO風のAORハードで、ファーギー・フレデリクセンとキモ・ブロムの突き抜けるようなツイン・ボーカルが爽快。これもやはりアレンジが凝ってます。ベースはマルセル・ヤコブ。

12. Until I Change Your Heart (Tommy Denander, Chris Demming)
ファンキーなリズムが心地よいナンバー。これもTOTOっぽいかな。筆者のお気に入りボーカリストの一人、マッティ・アルフォンゼッティが歌っているのが嬉しいです。ベースはマルセル・ヤコブ。

13. Somewhere, Someday (Tommy Denander, Jörn Lande)
※日本盤&Legacyボーナス・トラック
ミドルテンポのしっとりしたAORナンバー。マッティ・アルフォンゼッティがソウルフルに歌い上げています。

14. Juliet (Tommy Denander, Jeff Paris)
Legacyボーナス・トラック
ファンク調のAORハード。ボーカルはジェフ・パリスです。この人もエモーショナルで上手いですね。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Personnel
Tommy Denander - Guitars,Keyboards, Programming,  Bass (1, 3, 5, 6, 8, 9, 10, 13, 14)
Mikael Erlandsson - Lead & Backing Vocals (1, 5, 7, 9)
Fergie Frederiksen - Lead Vocals (2, 11)
Geir Rønning  - Lead & Backing Vocals (3, 6, 10)
Steve Overland - Lead & Backing Vocals (4)
Kimmo Blom - Lead & Backing Vocals (8, 11)
Matti Alfonzetti - Lead Vocals (12, 13)
Jeff Paris - Lead & Backing Vocals (14)
Marcel Jacob - Bass (2, 7, 11, 12)
Tony Franklin - Bass (4)
Pat Thern - Drums(1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13)
Vinniy Heter - Drums (14)
Chris Demming - Backing Vocals (1, 2, 3, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13)
Kristoffer Lagerström - Backing Vocals (1, 5, 7, 9)
Erkka Korhonen - Backing Vocals (8, 11)

Producer - Tommy Denander

Yeah by RADIOACTIVE
RADIOACTIVE
Mtm Music & Publish
2003-05-13




 

Self Defence / Ozone (2015)

0364Self Defence









FMのスティーヴ・オーヴァーランドと、Heartlandのクリス・ウーズィーという英国メロディック・ロックを代表するボーカリスト2人と、メロディック・ロック界のキーパーソンでもあるギタリストのマイク・スラマーとトミー・デナンダー、この4人がタッグを組んだハードロック・プロジェクトOzoneのアルバム。このメンツはすごい!ウーズィー、スラマー、デナンダーの組み合せは2011年のクリス・ウーズィーのソロ作Rhyme & Reasonで実現していましたが、そこにスティーヴ・オーヴァーランドが上乗せされてツイン・ボーカルですからね。昔の言い方だと文字通りの「スーパー・グループ」です。当然リリース後すぐに手に入れましたが、一聴して「ん?」となりました。繰り返して聴いても耳に馴染んできません。何種類もの具が乗った豪華な海鮮丼より、結局単品で食ったほうが旨いということでしょうか。

日本国内盤(Rubicon Music)に入っているマイク・スラマーとクリス・ウーズィーのインタビューには、ザックリしたアルバム制作の手順が示されています。それによると、マイク・スラマーとトミー・デナンダーがそれぞれカラオケ・トラックを作成、それをクリス・ウーズィーとスティーヴ・オーヴァーランドにネット送信、それぞれが歌詞と歌メロを作ってボーカル・トラックを録音、プロデューサーのマイク・スラマーがトラックの取捨選択をして曲にまとめるというものです。いかにもレコーディングだけのためのプロジェクトという感じです。パーマネントなバンド活動が難しいメロハーの分野では、今はこういう手法は普通なのでしょう。問題は、マイク・スラマーとトミー・デナンダーの作った曲がゴージャスかつスタイリッシュで泥臭さやブルース味は皆無、一方クリス・ウーズィーとスティーヴ・オーヴァーランドはその真逆の個性が売りであること。それは分かっていて敢えてチャレンジしたのでしょう。しかしながら結局いわゆる化学反応は起きなかったみたいです。そうは言ってもそこはトップクラスの実力者が結集しているわけで、決して駄作にはなっていないのが逆に凄いと思いました。このアルバムが売れたら次があるかも的なことがインタビューに乗っていましたが、どうやら2枚目は無さそうな気配です。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Shadow on the Sun
02. Visionary Man
03. Self Defence
04. Once in a Lifetime
05. Practice What You Preach
06. How Evolved Are We
07. Smile Before You Lie
08. Save My Soul
09. Destiny
10. Tiger by the Tail
11. Let the Good Will Out
12. So Blind
Bonus Track for Japan
13. Visionary Man
All songs written by Chris Ousey, Steve Overland, Mike Slamer, Tommy Denander
except  "How Evolved Are We" by Christian Wolff, Chris Ousey

■Personnel
Chris Ousey - Lead & Backing Vocals
Steve Overland - Lead & Backing Vocals
Mike Slamer - Guitars, B3 Organ, Keyboards, Bass
Tommy Denander - Guitars, Keyboards, Bass
Ronnie Platt - Backing Vocals
Billy Greer - Backing Vocals
Billy Trudel - Backing Vocals
Kerry Denton - Drums
Christian Wolff - Guitars, Keyboards on "How Evolved Are We"
Erik Sabo - B3 Organ

Producer - Mike Slamer
Executive Producer - Khalil Turk

Self Defence
OZONE
ルビコン・ミュージック
2015-09-23

 

II / Houston (2013)

0343II









スウェーデンのメロハー・バンドHoustonの2枚目のオリジナル・アルバム。Relaunchと題されたカバー・アルバムはオリジナル・アルバムとは別にシリーズ化しているようです。これまではフレディ・アレン(ds)、ハンプス・ハンク・エリックス(vo)の2人組でしたが、本作では裏方だったプロデューサー兼キーボードのリッキー・B・デリンもメンバーとしてクレジットされています。ブックレット裏面には、若者2名とおっさん1名が並んでいる写真があしらわれていて、なんだか違和感ありまくり。それはそれとして、ほぼ全曲をリッキー・B・デリンとドラムのフレディ・アレンが書き、アレンジとプロデュースはリッキー・B・デリンが担当、またトミー・デナンダーがほとんどのギター・プレイに加えプロデュースとアレンジの一部を担う等、過去の作品と同様の制作体制となっています。

さて、1作目Houstonも2作目Relaunchも少しモヤモヤの残るアルバムでしたが、今回はまったくもって素晴らしい出来!何より曲が良く、名曲・佳曲がてんこ盛りの満塁ホームラン状態です。難点は相変わらず音が薄っぺらなこと。毎回こうなのは、やはり何か意図があるのでしょうか。ラジオから流れているような雰囲気の演出とか?まあ、とにかく曲が良すぎるのでこの際目をつぶることにしましょう。

#1"Glory"
印象的なキーボードに導かれてスタートする哀愁メロハー。ヴァースのメロディが特にいいですね。トミー・デナンダーのソロも冴えまくっています。
#2"I'm Coming Home"
爽快系ながらメロディには少しばかり切ない雰囲気もある佳曲。キーボードがもろに80年代風です。
#3"Return My Heart"
これも爽快系で、トミー・デナンダーが曲作り関わっています。他の曲もそうですが、厚みのあるバック・ボーカルのハーモニーが素晴らしいです。
#4"Talk to Me"
80年代風のキラキラしたサウンドと、センチメンタルでロマンチックなメロディが最高です。シンプルですがエモーショナルなギター・ソロはカーレ・ハマーによるもの。
#5"Back to the Summer of Love"
「サマー・オブ・ラブ」というと1967年のサンフランシスコをすぐに思い起こしますが、歌詞を見ると普通のラブ・ソングでした。郷愁を誘うメロディと甘酸っぱい歌詞が秀逸。本作のハイライトの1曲です。
#6"24 Hours"
ボーカルのハンク・エリックスがソング・ライティングに参加している曲。普通に良い曲なのですが、他が良すぎるためにちょっと目立たないかな。
#7"On the Radio"
哀愁たっぷりでありながらポップ、サビの切ないメロディとハーモニーが耳にこびりついて離れない!時代が時代なら、シングル・カットされて大ヒットしてもおかしくない名曲だと思います。
#8"Losing"
これまた出色の哀愁メロハー。ブリッジからサビにかけての盛り上がりにグングン惹きつけられます。
#9"Just Friends"
女性シンガーとのデュエット曲。おっさんにも「青春」なんて気恥ずかしい言葉を思い起こさせてしまうキリン・レモンのような曲ですな。何気ないけど名曲!
#10"Believe"
爽快系なのにどこか胸キュンなメロディとアンサンブルが素晴らしい。間奏のキーボード・ソロがいい雰囲気です。

楽曲もハンク・エリックス君の歌声も、今の若い世代にも十分アピールできると思うけれど、マイナーな存在に留まっているのが哀しいです。日本盤も出てないみたいだし。こういう音楽が世界中の若者に支持されて、CMや映画・ドラマに使われたり、「アリーナ・ロック」にふさわしく大会場をまわるツアーができるような状況になってもらいたいものです。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Glory (Allen, Delin)
02. I'm Coming Home (Allen, Delin)
03. Return My Heart (Delin, Denander)
04. Talk to Me (Allen, Delin)
05. Back to the Summer of Love (Allen, Delin)
06. 24 Hours (Erix, Delin)
07. On the Radio (Hammar, Delin)
08. Losing (Allen, Delin)
09. Just Friends (Allen, Delin)
10. Believe (Delin)

■Personnel
Hampus Erix - lead and backing vocals
Ricky B. Delin - keyboards, backing vocals
Freddie Allen - drums

Soufian Ma'Aoul - bass guitar
Tommy Denander - guitars (1, 2, 3, 5, 8, 9, 10)
Calle Hammar - guitars (4, 6, 7), keyboards (7)
Jay Cutter - keyboard intro loop (6)
Minnah Karlsson - duet vocal (9)
Victor Lundberg - backing vocals (4, 7)
Kristoffer Lagerström - backing vocals (3)
Geir Rønning - backing vocals (3)
Jessa Slatter - backing vocals (3)
Catharina Lindqvist - spoken voice (7)

Producer - Ricky B. Delin

II
Houston
Livewire/Cargo
2013-09-03

 

Frozen Rain / Frozen Rain (2008)

0338Frozen Rain









ベルギーのキーボード奏者カート・ヴェリークが主宰するメロハー/AORプロジェクトFrozen Rain(フローズン・レイン)の1stアルバム。リリースはドイツのメロディック系レーベルAvenue of Allies Musicからとなっています。内容のほうは、キャッチーなメロディ、クセのないボーカル、爽やかなハーモニー、優しげなキーボード、うるさくない程度のギターと、グループ名やジャケットの雰囲気から想像がつくように、典型的なソフト系メロディアス・ロック。1~2回聴けばすぐに耳に馴染むという意味ではかなり高品質なものだと思います。特に、#1"Waiting for You"、#2"Wire of Love"、#3"Music Keeps Me Alive"、#6"On the Run"、#7"Park Cafe"、#8"Never Be a Fool Again"、#10"Say That You Love Me"あたりは佳曲だと思いました。また、トミー・デナンダーをはじめ何人ものギタリストが参加しているのですが、ギター・ソロもそれぞれカッコいいのもポイント高いです。ただ、あまりにスムーズでマイルド、尖がったところが無さ過ぎて、正直ちょっと通俗的・類型的と感じてしまったのも確か。耳馴染みが良い反面飽きが来るのも早いかな。

さて、ずいぶんと多くのプレイヤーがクレジットされていますが、ほとんどがベルギーのミュージシャンらしくて知らない人ばっかり。トミー・デナンダー以外では、ギターのスティーヴ・ニューマン(Newman)とジム・サントス(Norway)、ドラムのダニエル・フローレス(Minds Eye)くらいしか分かりませんでした。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Waiting for You (Words & Music : Kurt Vereecke)
02. Wire of Love (Words : Andy Flash  Music : Kurt Vereecke)
03. Music Keeps Me Alive (Words & Music : Kurt Vereecke)
04. My Heart Believes It's True (Words : Andy Flash  Music : Kurt Vereecke)
05. Red Light Zone (Words & Music : Kurt Vereecke)
06. On the Run (Words & Music : Erik Van Bers & Kurt Vereecke)
07. Park Cafe (Words : André Vlerick  Music : Kurt Vereecke)
08. Never Be a Fool Again (Words & Music : Erik Van Bers & Kurt Vereecke)
09. Your Love (Words & Music : Kurt Vereecke)
10. Say That You Love Me (Words & Music : Kurt Vereecke)
11. Little Angel (Words & Music : Kurt Vereecke)
12. Tomorrow (Words & Music : Kurt Vereecke)

■Personnel
Kurt Vereecke - Keyboards, Synth Bass, Drums, Drum Loops, Rhythm Guitars, Background Vocals

Johan Waem - Lead Vocals (1, 2, 5, 11) Background Vocals 
Muarice Saelmans - Lead Vocals (3, 8) Background Vocals 
Ollie Oldenburg - Lead Vocals (4, 6, 9, 12) Background Vocals 
Dirk Cauwels - Lead Vocals (6, 10) Guitar, Background Vocals
Peter De Zutter - Lead Vocals (7) Background Vocals 
Sven Bauwens - Guitar
Tommy Denander - Guitar
Erik Van Bers - Guitar
Dan Palladino - Guitar, Bass Guitar
Steve Newman - Guitar
Ward Snauwaert - Guitar
Jim Santos - Guitar
Luc Van Thuyne - Guitar
Alan Williamson - Guitar
Jurgen Vitrier - Keyboards, Synthesizer, Hammond
Frank De Lobel - Piano
Vincent De Laat - Bass Guitar
Daniel Flores - Drums
Jo De Boeck - Background Vocals
Guido Priori - Background Vocals
Eva Vereecke - Background Vocals
Willem Verwoert - Background Vocals

Producer - Kurt Vereecke
Executive-Producer – Gregor Klee

Frozen Rain
Frozen Rain
AVENUE OF ALLIES
2010-07-15

 
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