2000年にリリースされたDanger Danger(デンジャー・デンジャー)の5thアルバム。メンバーは3rdDawn以来のブルーノ・ラヴェル(b、gt)、スティーヴ・ウエスト(ds)、ポール・レイン(vo)のトリオ編成。元メンバーのアンディ・ティモンズとトニー・ブルーノ・レイ、更に1stのプロデュースを担当したランス・クインも一部のパートを受け持っています。グランジ風サウンドからメロディアス路線に復帰した前作Four the Hard Wayの延長線上の作風で、今回も文句なしの傑作アルバムに仕上がりました。本作の特長としては、楽曲のバリエーションが一層広がったことが挙げられます。初期のパーティ・ロック調のものから、Dawnに通じるダークでヘヴィなものまで、違和感なく一枚のアルバムにまとめ上げた力量は賞讃に値するでしょう。
#01"Grind"
露骨にエロい歌詞と重心の低いヘヴィなリズムが最高にカッコいいロックン・ロール。Danger Dangerらしさ100%の名曲です。超強力曲を冒頭に持ってくるのは前作と同じ手法。ギター・ソロはアンディ・ティモンズで、微妙なニュアンスをコントロールする相変わらずの巧みさにはため息が出るほど。
#02."When She's Good She's Good (When She's Bad She's Better)"
セカンドライン風のリズムのいかにもなアメリカン・ハードロックです。この曲のソロもアンディ・ティモンズ。ファンキーでトリッキーなフレーズがたまりません。
#03"Six Million Dollar Man"
Cheap Trickをグっとヘヴィにしたような曲。ネチっこいボーカルが耳に残ります。ギター・ソロはポール・レイン。
#04"She's Gone"
どこぞのAORバンドがやってもおかしくないような、スタイリッシュな哀愁バラード。うーん、いいメロディですね~。鼻の詰まったようなコンプを効かせたAOR風ギター・ソロはトニー・ブルーノ・レイ。この人も上手いです。
#05"Dead Drunk & Wasted"
1stや2ndに入っていてもおかしくないような、いかにもDanger Dangerらしい明るいハード・ポップです。こういう曲は好きだなぁ。ギター・ソロはトニー・ブルーノ・レイ。
#06"Dead Dog"
一転してDawnを思い出させるダークでヘヴィな曲。それもそのはずでDawn制作当時のマテリアルとのこと。もはやなんちゃってグランジには聴こえず、しっかりこのバンドのレパートリーの一部になってます。ポール・レインの歌の上手さと、暗い情念が燃え盛るようなブルーノ・ラヴェルのギター・ソロが印象に残ります。
#07"I Do"
これぞ哀愁系メロディアス・ハードど真ん中の名曲!Danger Dangerの音楽性がいい方向に広がっているのが感じられます。トニー・ブルーノ・レイのソロもカッコいい。
#08"My Secret"
リリカルなメロディ、追憶をテーマにした歌詞、風が吹き抜けるようなアコースティカルなアンサンブルが好ましい小品。ここでもバンドの音楽性の幅の広がりを示しています。
#09"Cherry Cherry"
タイトルからして"Naughty Naughty"や"Bang Bang"を思わせるパーティ・ロック。おっさんになってもこういう曲をやるのがカッコいいんです。もう能天気な感じがしないのは、当たり前のような、ほろ苦いような。。。ボーカルはブルーノ・ラヴェルで、曲にあってます。ストーンズでキースが歌う曲みたいな感じかな。
#10"Get in the Ring"
ヘヴィなリフと淡々としたコーラスが不思議に興奮を誘う曲。明るさのかけらもないところはDawn的ですが、しっかりDanger Dangerの音になってます。一聴して彼と分かるアンディ・ティモンズのソロも見事の一言。
#11"Walk It Like Ya Talk It"
アップ・テンポのオーソドックスなハード・ロック。Danger Dangerは意外にこういう曲は少ないのですが、かなりいい感じです。アンディ・ティモンズのソロはもちろん素晴らしいし、こういう曲調だとあらためてリズム隊が手堅いのも認識できます。
評価 ★★★★★
★★★★★ 傑作
★★★★☆ 秀作
★★★☆☆ 佳作
★★☆☆☆ 凡作
★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。
■Tracks
01. Grind
02. When She's Good She's Good (When She's Bad She's Better)
03. Six Million Dollar Man
04. She's Gone
05. Dead Drunk & Wasted
06. Dead Dog
07. I Do
08. My Secret
09. Cherry Cherry
10. Get in the Ring
11. Walk It Like Ya Talk It
All songs written by Danger Danger
■Personnel
Paul Laine – Lead Vocals, Backing Vocals, Guitars on #8, Keyboards on #3, #6, #8, Guitar Solo on #3
Bruno Ravel – Guitars, Bass, Keyboards on #4, #6, #7, #9, Guitar Solo on #6, #9, Lead Vocals on #9, Backing Vocals on #2
Steve West – Drums, Percussion
Andy Timmons - Lead Guitars on #1, #2, #10, #11, Backing Vocals on #2
Tony Bruno - Lead Guitars on #4, #5, #7, Keyboards on #6, Guitar Synth on #8, Wah Guitar on #10
Lance Quinn - Keyboards on #1, #2, #4
Scott Brown - Backing Vocals on #1
Damien Graham - Drums & Percussion on #8
Producer - Danger Danger