メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。

デヴィッド・ソナー

Demons Down / House of Lords (1992)

0304Demons Down










アメリカのハードロック・バンドHouse of Lordsの3rdアルバム。またまたメンバー・チェンジが行なわれ、グレッグ・ジェフリア(key)とジェイムズ・クリスチャン(vo)以外は総入れ替えとなっています。リズム・セクションは元Whitesnakeのトミー・アルドリッジ(ds)と元Quiet Riotのショーン・マクナブ(b)、ギターは元V.V.S.IのChick(デニス・チック)という布陣です。他にもティム・ピアースとダニー・ジェイコブスの2人のギタリストと、Kissのポール・スタンレー、前身バンドGiuffriaのボーカリストだったデヴィッド・グレン・アイズレー、女性ボーカリストのフィオナ、アイナがバック・ボーカルでクレジットされています。プロデューサーはこれまでのアンディ・ジョンズから、前作でミックスを担当していたデヴィッド・ソナーに交代。また、レーベルもRCA, Simmons Recordsを離れてVictoryからのリリースとなっています。

さて本作は、ジェフリア&クリスチャンに加えて外部ライターを数多く起用したせいか、楽曲の充実度は前2作を上回り、文句の付けようのない傑作ハードロック・アルバムとなりました。まさに名曲のすし詰め状態。ツワモノ揃いのメンバーによるどっしりとしてスケールの大きなサウンドが素晴らしすぎます。しかしながら商業的には成功を収めることができず、2000年代に復活するまでバンドは活動停止(解散?)に追い込まれてしまいます。なんとも不運というか残念な結末です。

01. O Father (J. Christian, G. Giuffria, M. Baker, B. Marlett)
荘重なキーボードに導かれてスタートするミドル・テンポのナンバー。最高のオープニング曲です。曲作りにはマーク・ベイカーとボブ・マーレットという2人のソング・ライターが参加しています。マーク・ベイカーはSignalなどへの曲提供でも知られています。ボブ・マーレットの方はThe Stormなどに曲提供しています。


02. Demons Down (J. Christian, G. Giuffria, M. Baker)
タイトル・トラックです。乾いたアコギが印象的に残るブルージーな曲で、ギター・ソロもメチャクチャカッコいいです。これもマーク・ベイカーとの共作曲。彼は本作収録曲中8曲でクレジットされています。

03. What's Forever For (,M. Baker, J. Christian, G. Giuffria)
哀感漂うメロディとゴスペル風のコーラスが印象的なバラード。ジェイムズ・クリスチャンの上手さが光る名曲です。この曲もマーク・ベイカーとの共作となっています。

04. Talkin' 'Bout Love (G. Giuffria, J. Christian, S. Johnstad, T. Aldridge, M. Baker)
ツェッペリンの影響を感じさせるヘヴィでドラマチックなナンバー。共作者の一人スティーヴ・ジョンスタッドは1stでも"I Wanna be Loved"を書いています。

05. Spirit Of Love (M. Spiro, G. Giuffria, J. Christian, T. Pierce)
ハウス・オブ・ローズには珍しく洗練されたAORっぽい雰囲気のバラード。著名なソング・ライターであるマーク・スピロと、ゲスト・ギタリストのティム・ピアースがクレジットされています。リード・ギターはティム・ピアースかもしれませんね。

06. Down, Down, Down (J. Christian, M. Baker, G. Giuffria, B. Marlett)
ヘヴィでワイルドなロックン・ロール。ちょっとAerosmith風かな。マーク・ベイカー&ボブ・マーレットとの共作曲。

07. Metallic Blue (G. Giuffria, J. Christian, M. Baker, M. Slamer)
これもハウス・オブ・ローズには珍しいポップでちょっとオシャレなスピード・チューン。文句なしにカッコいいです。ギター・ソロも出色の出来。マーク・ベイカーとマイク・スラマーが作者としてクレジットされていますが、後にマイク・スラマーは自身のバンドSteelhouse LaneのアルバムMetallic Blueでセルフ・カバーしています。本作と同じ時期にリリースされたHardlineの1st収録曲"Dr. Love"はやはりマイク・スラマーとマーク・ベイカーの共作曲で、これも同じくMetallic Blueでカバーされています。

08. Inside You (M. Spiro, A. Pasqua, G. Giuffria, J. Christian)
ストリングスをバックに切々と歌われるバラード曲。並みのシンガーだったら冗長に感じられそうですが、さすがはジェイムズ・クリスチャンです。マーク・スピロと共に、ジャズ・ピアニストでGiantのメンバーだったアラン・パスクアが共作者に名前を連ねているのが目を引きます。そう言えばGiantのLast of the Runawaysでもこの2人の共作曲が何曲もありました。

09. Johnny's Got A Mind Of His Own (J. Christian, M. Baker, G. Giuffria)
一転してシンプルでタイトなロックン・ロール。こういう曲だとトミー・アルドリッジのドラムの凄さがよく分かりますね。

10. Can't Fight Love (M. Baker, M. Slamer, J. Christian, G. Giuffria)
ラストはいかにもこのバンドらしい、グッとテンポを落としたハードロック・ナンバーです。タメにタメたリズムがゾクゾクするほどカッコいい。マーク・ベイカーとマイク・スラマーとの共作曲です。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Personnel
James Christian - lead vocals
Gregg Giuffria - keyboards, background vocals
Tommy Aldridge - drums, background vocals
Sean McNabb - bass guitars, background vocals
Chick - guitars, background vocals

Tim Pierce - guest guitars
Danny Jacobs - guest guitars
Paul Stanley - guest background vocals
Fiona - guest background vocals
Aina - guest background vocals
David Glen Eisley - guest background vocals
Billy Trudel - guest background vocals

Producer – David Thoener, House of Lords


After the Rain / Nelson (1990)

0013After the Rain

ネルソンは、アメリカの超人気カントリー・シンガーだったリッキー・ネルソン(1985年飛行機事故により死去)を父に持つ、双子の兄弟マシュー・ネルソンとガナー・ネルソンのユニット。<i>After the Rain</i> は彼らのデビュー・アルバムです。アメリカ人なら誰でも知っているリッキー・ネルソンの遺児で、父親譲りの美貌と才能を備えた二人のスター性は申し分ありません。メジャー・レーベルであるゲフィン(Geffen)から鳴り物入りでリリースされたこのアルバムは、全米で300万枚以上売れてチャート17位を記録、またシングルカットされた"(Can't Live Without Your) Love and Affection"は全米チャート1位、"After the Rain"が6位、"More than Ever"が14位、"Only Time Will Tell"が28位といずれもヒットしています。アメリカン・ロックの王道を行く爽やかでキャッチーな楽曲は、アメリカのHR/HMバンドの一部にありがちなお下劣さが全く感じられず、聴いていてほんとうに気持ちがいい。特にタイトル曲"After the Rain"は、まさに雨上がりの青空を感じさせ、悩めるティーンのハートを鷲づかみするのも頷けます。PVもそんなイメージで気恥ずかしいまでにポジティブなんだけど、そこがまたいいなと。

プロデューサーのマーク・タナー(Marc Tanner)は、本作の曲作りにも参加したり、Hardline、Gotthardの曲を書いたり、最近ではThe Callingのアルバムのプロデュースなどをしている人です。もう一人プロデュースでクレジットされているデヴィッド・ソナー(David Thoener)は、Triumph、John Waiteといったアーティストのプロデュースの他、変わったところでは中島みゆきのアルバムのエンジニアを務めたりしています。バンド・メンバーを見ていくと、リード・ギターのブレット・ガースド(Brett Garsed)は、実はデレク・シェリニアン(Derek Sherinian)のアルバムに呼ばれたりしているテクニカル系ギタリストだったりします。キーボードのポール・マーコビッチ(Paul Mirkovich)はマーク・タナーとHardlineの2ndに楽曲を共作したり、マーク・タナーのプロデュースしたThe Callingのアルバムでプレイしたりしているので、彼とは縁の深いミュージシャンと思われます。ドラムのボビー・ロック(Bobby Rock)もまたHardlineの2ndでプレイしています。こうして見ていくと、なんとなくマーク・タナー人脈がこのネルソンの1stアルバム制作の土台を支えている感じがしますね。ギターのジョーイ・キャスカートも含め、このアルバムに顔を揃えたミュージシャンたちは、これ以降もネルソンのアルバムの常連となります。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. (Can't Live Without Your) Love and Affection (Matthew & Gunnar Nelson, Marc Tanner)
02. I Can Hardly Wait (Matthew & Gunnar Nelson, Marc Tanner)
03. After the Rain (Matthew & Gunnar Nelson, Marc Tanner, Rick Wilson)
04. Tracy's Song (Eric Hillard Nelson, Matthew & Gunnar Nelson)
      Only Time Will Tell (Matthew & Gunnar Nelson, Marc Tanner, Greg Sutton)
05. More than Ever (Matthew & Gunnar Nelson, Marc Tanner)
06. (It's Just) Desire (Matthew & Gunnar Nelson, Marc Tanner, Craig Stall)
07. Fill You Up (Matthew & Gunnar Nelson, Marc Tanner)
08. Interlude (Matthew & Gunnar Nelson)
      Everywhere I Go  (Matthew & Gunnar Nelson, Marc Tanner)
09. Bits and Pieces (Matthew & Gunnar Nelson, Marc Tanner, Rick Wilson)
10. Will You Love Me? (Matthew & Gunnar Nelson, Marc Tanner, Brad Bailey)

■Personnel
Matthew Nelson – vocals, guitars, bass
Gunnar Nelson – vocals, guitars
Brett Garsed – guitars, backing vocals
Paul Mirkovich – keyboards, piano, backing vocals
Bobby Rock – drums
Joey Cathcart – guitars, backing vocals

Producer - Marc Tanner & David Thoener


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