メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。

ティム・フリース-グリーン

Time Tells No Lies / Praying Mantis (1981)

0006Time Tells No Lies

NWOBHM勃興期にデビューしたプレイング・マンティス、その伝説の1stアルバム。筆者にとっては、LP発売当時から数え切れないほど聴き続けた思い出深いアルバムです。NWOBHMというと、アイアイ・メイデンに代表されるように荒々しいリフで押しまくるイメージがありますが、マンティスの音楽性はNWOBHMの中ではかなり異色です。叙情的な歌メロ、ツインリードギターの優美なハーモニーは、むしろウイッシュボーン・アッシュあたりのサウンドを彷彿とさせます。日本ではこういった叙情的なハードロックは一定の人気を集めるのですが、本国では苦戦したようで、やがて彼らはシーンから姿を消してしまいます。そしてなんと10年後に、日本でのコンサートをきっかけに再始動、中心メンバーのトロイ兄弟(ティノ・トロイ、クリス・トロイ)は現在でもプレイング・マンティスとしての活動を継続しています。

大好きなアルバムなので、欠点を書くのは忍びないのですが敢えて挙げれば、2曲目のキンクスのカバー"All Day And All Of The Night"が邪魔なこと。出来損ないのヴァン・ヘイレンかと言いたくなるほど下品で、プレイング・マンティスの音楽の持つ美しさと生真面目さを傷つけ、このアルバムの統一感を壊てしまっているように感じます。それから、トロイ兄弟とギターのスティーヴ・ キャロルの3人のボーカルがどうしても力不足なこと。これは痛いです。復活後の3作目からは専任ボーカリストをメンバーに入れて、格段に歌唱が安定しています。また、最近バンドの30周年を記念して発表されたEPでは、嬉しいことにこの1stに収録された曲も含めて初期の作品を最新メンバーで録音しなおしています。
なお、このアルバムのプロデュースはティム・フリース-グリーン(Tim Friese-Greene)で、Touchの1stアルバムもプロデュースしています。

※筆者が聴いているのは1998年国内盤で、ボーナス・トラックとして1981年1月リリースのアナログ・シングル盤"Cheated"カップリング曲"Thirty Pieces Of Silver"、"Flirting With Suicide [Live] "、"Panic In The Streets [Live]"の3曲入り。2012年にイギリスの再発レーベルRock Candyから、さらに1980年6月リリースのシングル曲"Praying Mantis"とB面"High Roller"を追加し、計5曲のボーナス・トラックを収録した最新リマスター盤が出ています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Cheated (S. Carroll, T. Troy)
02. All Day And All Of The Night (Ray Davies)
03. Running For Tomorrow (C. Troy, D. Potts, S. Carroll, T. Troy)
04. Rich City Kids (C. Troy, T. Troy)
05. Lovers To The Grave (C. Troy, T. Troy)
06. Panic In The Streets (S. Vermeulen, S. Carroll, T. Troy)
07. Beads Of Ebony (T. Troy)
08. Flirting With Suicide (C. Troy, D. Potts, S. Carroll, T. Troy)
09. Children Of The Earth (C. Troy, T. Troy)
※Bonus Track
10. Thirty Pieces Of Silver (C. Troy, D. Potts, T. Troy)
11. Flirting With Suicide [Live]    
12. Panic In The Streets [Live]

■Personnel
Tino Troy - guitars, vocals
Steve Carroll - guitars, vocals
Chris Troy - bass, vocals
Dave Potts - drums

Tim Friese-Greene - Piano

Producer - Tim Friese-Greene
Except Track 11, 12 Produced by Adam Sieff



The Complete Works I & II / Touch (1979,1981)

0003Touch The Complete Works

タッチ、懐かしいです。NWOBHMの勃興を受けて始まった HR/HM系の一大イベント「モンスターズ・オブ・ロック」、1980年の第一回目の最初の出演者がタッチなんですね。この時のライブ録音がオムニバス盤としてLPレコードで発売され、筆者もリアルタイムで聴きました。そのレコードの収録曲の中で、レインボーやスコーピオンズといった名だたるアーチストよりも印象に残ったのが、無名バンドだったタッチの"Don't You Know What Love Is"でした。今回は、タッチの1stと、リリースされなかった2ndをカップリングして1998年に発売されたThe Complete Works I & II のご紹介です。便宜的に1stと2ndを別けて書いてみます。

【Disk 1 - Touch I】
■Tracks
01. Don't You Know What Love Is (M. Mangold)
02. When The Spirit Moves You (M. Mangold)
03. Love, Don't Fail Me (M. Mangold)
04. Black Star (M. Mangold)
05. There's A Light (M. Mangold)
06. So High (M. Mangold)
07. Last Chance For Love (M. Mangold)
08. Yes (You Need To Rock 'N Roll) (D. Howard, M. Mangold)
09. Listen (Can You Feel It) (M. Mangold)
※Bonus Track
10. My Life Depends On You (M. Mangold)
11. Don't You Know What Love Is [LIVE]

■Personnel
Craig Brooks - Vocals, Guitars
Mark Mangold - Vocals, Keyboards
Doug Howard - Vocals, Bass
Glenn Kithcart - Drums, Percussions

Producer - Tim Friese-Greene
Except Track 11 Produced by Roger Glover

タッチは、70年代にValhalla、American Tearsといったバンドでいわゆるプログレハード的な音楽を作ってきたマーク・マンゴールドが結成したバンドです。ライナーノートによれば、バンドはデビュー・アルバムの製作にあたって、当時クイーンやジャーニーのプロデュース、またT.レックスのエンジニアとして著名だったRoy Thomas Bakerのプロデュースを希望していたようですが、それは叶いませんでした。そこで、彼のエンジニアで、プロデュース経験もあるティム・フリース-グリーン(Tim Friese-Greene)がプロデュースを担当することになりました。ティム・フリース-グリーンはプレイング・マンティスの伝説の1stアルバムもプロデュースしています。また、シティ・ボーイのHeads Are Rollingも彼のプロデュースです。シティ・ボーイのMike Slamerは、後にStreetsやSteelhouse Laneなどのバンド活動の他に、セッション・ギタリスト、プロデューサー、コンポーザーとしても大活躍する人です。タッチのマーク・マンゴールドも、同様の道を歩むことになります。プロデューサーやエンジニア、それからコンポーザーまで含めてメロハー業界を見渡すと、地下茎のように人脈がつながっているのが分かります。

このタッチの1stアルバムは、全体としてカラフルでポップなプログレハードという印象です。中でも"Don't You Know What Love Is"の出来栄えが特に素晴らしい。クレイグ・ブルックスの高音が伸びるボーカルと、マーク・マンゴールドのハスキーな低音が掛け合いながら、美しいメロディを綴っていく進行がほんとうにワクワクさせてくれます。この曲はシングルカットされ、英メロディメーカー・チャートで1位、米ビルボード・チャートでは69位を記録しています。マーク・マンゴールド生涯の傑作だと思います。ボーナスでモンスターズ・オブ・ロックのライブ・バージョンが再録されているのもうれしい限り。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

【Disk 2 - Touch II】
■Tracks
01. Never In Love (M. Mangold)
02. Just One Step (M. Mangold)
03. Frozen On A Wire (M. Mangold)
04. Far Enough (M. Mangold)
05. Too Much In Love (M. Mangold)
06. Take It Back (M. Mangold)
07. Anything For Rock 'n Roll (C. Brooks, M. Mangold)
08. You're Not A Child Anymore (M. Mangold)
09. Between The Lines (M. Mangold)
10. Beg Me (M. Mangold)
11. Is It Really Me? (M. Mangold)
12. Feels Like Love (M. Mangold)
13. Let Me Love You (M.Mangold)
14. Tonight [Rough mix version] (M. Mangold)
15. Just Take A Beat Of My Heart [Rough mix version] (M. Mangold)
16. Look [Rough mix version] (M. Mangold)
17. I Found Someone [Rough mix version] (M. Mangold, M. Bolton)

■Personnel
Craig Brooks - Vocals, Guitars
Mark Mangold - Vocals, Keyboards
Doug Howard - Vocals, Bass
Glenn Kithcart - Drums

Producer - Todd Rundgren
Except Track 6 Produced by Roger Glover & Mark Mangold
Except Tracks 14-17 Produced by Touch

2ndアルバムは、天才トッド・ラングレンをプロデューサーに迎えて製作されました。ところが、これもライナーの情報ですが、トッドはほとんど顔を出さず、彼のエンジニアが作ったも同然だったようです。仕上がりに満足しないレコード会社がリリースを拒否、結局2ndはお蔵入りという悲運に見舞われることになりました。今回日の目を見たこの2ndアルバムのクレジットで、6曲目を除いてプロデュースはトッド・ラングレンとなっていますが、実際は1~13曲目まで全てロジャー・グローバー(ディープ・パープル~レインボー)がプロデュースし直したテイクが収められています。14~17曲目は当初はアルバムに収録されていなかったもの。

中身についてですが、基本的には1stと同じ路線です。サックスが入ったAOR風の曲などもあり、音楽性の幅が広がったとも言えますが、反面やや散漫な印象も受けてしまいます。

2ndアルバムをめぐるゴタゴタが続く中でバンドは解散状態となり、マンゴールドは、マイケル・ボルトンとの仕事を皮切りにコンポーザーとしての道を歩むことになります。また、Drive She Said~Mystic Healer~The Signとバンド(プロジェクト?)活動も継続、メロハー業界のキーマンの一人となっています。ベースのダグ・ハワードはスタン・リア(StunLeer)というグループでアルバムをリリースしています。メイン・ボーカルのクレイグ・ブルックスだけは、ロジャー・グローバーのソロ・アルバムに参加したり、マンゴールドと共にマイケル・ボルトンの曲を書いたりしている他にはその後の消息が分かりません。消えてしまうには惜しいボーカリストだと思うのですが。。。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。




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