メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。

ティノ・トロイ

Forever In Time / Praying Mantis (1998)

0273Forever In Time









1998年リリースされたPraying Mantis(プレイング・マンティス)の5thアルバム。前作To The Power Of Ten は、ダミ声で歌い回しも個性的なゲイリー・バーデンを起用し、楽曲もこれまでのマンティスからするとやや異色で、ちょっと冒険的要素のあるアルバムでしたが、本作はいかにもマンティスらしい作品となっています。新ボーカルのトニー・オホーラは、癖のない伸びやかな歌唱でA Cry for the New World のコリン・ピールと同タイプ、楽曲も叙情的で哀愁に満ちた完全マンティス路線で、ファンには堪えられません。流麗なツイン・リード・ギター、分厚いハーモニー・ボーカルは、伝説の1stTime Tells No Lies を思わせ、メロディ・ラインの美しさ、クサさはA Cry for the New World に匹敵。これはもうマンティス史上屈指の名作と断言できます。ただ、あまりにプレマン度が高く、期待通りの楽曲が揃っているため、マンティス愛の深すぎる筆者としては「予定調和」という言葉が脳裏に浮かびました。マンティスらしさを保ちつつも、期待を裏切って欲しい、過去の名盤を凌駕して欲しい、このアンビバレンツな思いを共有していただける方はいるかなぁ。。。まあそんなわけで、以下はどうしてもマンティスだと力が入ってしまう各曲レビューです。

#1"Wasted Years"
柔らかなキーボードに導かれてスタートする、典型的マンティス流叙情メロハー。いいメロディだなぁ。しかし全曲そうなんですが、ドラムの音が軽く、スネアに至ってはデンデン太鼓のようで情けないことこの上ない。対照的にベースはゴリゴリし過ぎ。本作唯一の欠点です。プロデューサーのクリス・タンガリーディス、責任取れ!

#2"The Messiah"
うっとりするようなツインリードに続いて、中近東風な音階を使った暗めの歌い出し、そして明るい雰囲気のブリッジから美しく力強いコーラスへというドラマチックな展開が秀逸。終盤のギター・ソロもリリカルで美しい。作詞はゲイリー・バーデンなので、彼が在籍時に出来ていた曲と思われます。ゲイリー・バージョンがもしあるのなら、それも聴いてみたいような、みたくないような。。。

#3"Best Years"
イントロのツインリード・ギター・フレーズからしてこれでもかというくらい感傷的で、ヴァースもコーラスもメロディはあまりにクサく、あまりに歌謡曲的。これは褒め言葉です。80年代にチェッカーズとかが日本語でカバーしたら、ザ・ベストテン連続4週1位間違いなしでしょう。本作のハイライト曲であり、マンティスの数多い名曲の中でも1、2を争う出来。マジにうっすら涙ぐんでしまうことがある曲です。クレジットを見ると、デニス・ストラットンが作曲のイニシアチブをとっているんですね。過ぎ去った青春を追想するほろ苦い歌詞も彼の書いたもの。ライオンハートやPredator in Disguise の良くないイメージがあったけど、見直したぜ、デニス!!
「この曲を聴け!」というサイトで、筆者と同じようにマンティス病に罹患した人達が色々書いていますが、一々納得で思わず笑ってしまいました。

#4"Blood Of An Angels"
この曲もメロディが素晴らしいです。ブリッジ部分や、コーラスが特に印象的で、一度聴いたら忘れられません。ライブでみんなで大合唱したくなる名曲です。

#5"Valley Of The Kings"
歌詞の壮大なテーマにふさわしいスケールの大きな曲。後半テンポ・アップしてからのツイン・リード・ギターと、"ride on warrior~"と繰り返すコーラスは、曲調は違うもののツイン・リードの先輩格Wishbone Ashの"Warrior"を思い出させます。

#6"Changes"
これもジャパニーズ歌謡曲的で、耳にしっくり馴染みます。サビがちょっと弱いけれど、ヴァース部分のメロディはかなり良いです。曲の最後のほうで、ボーカルとギターが絡み合うところが哀愁も高揚感も最高潮でグッと来るなぁ。

#7"Man Behind The Mask"
#2"The Messiah"と同様、作詞がゲイリー・バーデンなので、彼が歌うのを前提に作られたのでしょう。そのせいか、なんとなくTo The Power Of Ten の作風に近いものを感じます。この曲はなんと言ってもサビの"あーい、あーい"が最高。やはりライブで大合唱したくなる曲です。リード・ギターも壮絶なプレイを聴かせるというより、楽曲のアンサンブルに組み込まれていて、そこがマンティスらしくて好ましいです。

#8"Remember My Name"
このアルバム唯一のスローなバラード曲。ここまでずっと名曲の目白押しで息もつけない展開でしたが、ちょっと一段落です。書いたのはトニー・オホーラで、やはりトロイ兄弟の楽曲とは違う感じがしますね。このアルバムは6分、7分の長尺の曲が多く、この曲も6分以上あります。悪くないメロディですが、この曲に限っては長尺ゆえの冗長感が否めないのが惜しい。

#9"The Day The Sun Turned Cold"
ムード歌謡ですかっていう甘いイントロから一気に加速して、マンティスには珍しいケルティックなメロディへ、そしてフラメンコ風のギター・パートへと、目まぐるしくドラマチックに変化する曲展開が素晴らしい。

#10"Forever In Time"
怒涛のように名曲・佳曲が続いた本作を締めくくるのはタイトル・トラックで、これまたマンティス史上に残る名曲。トロイ兄弟が亡くしたばかりの父親に捧げた曲で、美しく、哀しく、劇的で、しかもスケールが大きい。最後のサビで一度だけ歌われる、"forever, forever, forever, forever in time"というフレーズに込められた万感の思いに、魂を揺さぶられてしまいます。一生の宝物になる歌に出会えて良かった。 

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Wasted Years (music : C. Troy/T. Troy lyrics : C. Troy)
02. The Messiah (music : C. Troy/T. Troy lyrics : G. Barden)
03. Best Years (music : D. Stratton/T. Troy/C. Troy lyrics : D. Stratton)
04. Blood Of An Angels (music : C. Troy lyrics : C. Troy)
05. Valley Of The Kings (music : C. Troy/T. Troy lyrics : C. Troy)
06. Changes (music : T. Troy/C. Troy lyrics : C. Troy)
07. Man Behind The Mask (music : C. Troy/T. Troy lyrics : G. Barden)
08. Remember My Name (music : T. O'Hora lyrics : T. O'Hora)
09. The Day The Sun Turned Cold (music : C. Troy lyrics : C. Troy)
10. Forever In Time (music : C. Troy lyrics : C. Troy)

■Personnel
Tony O'Hora - Lead and Backing Vocals
Chris Troy - Bass Guitar, Backing Vocals, Keyboards
Bruce Bisland - Drums, Percussion
Dennis Stratton - Guitars, Backing Vocals
Tino Troy - Guitars, Backing Vocals, Keyboards

Jazz O'Hora - Additional Backing Vocals
Jan Parker - Additional Backing Vocals
Paul Heeren - Additional Backing Vocals

Producer - Chris Tsangarides, Praying Mantis

 

Captured Alive in Tokyo City / Praying Mantis (1996)

0166Captured Alive in Tokyo City










1995年11月プレイング・マンティス来日公演を収録したライヴ盤。4thアルバムTo The Power Of Tenリリース直後ということでリード・ボーカルはゲイリー・バーデン、またブルース・ビスランドのピンチヒッターとして今は亡きクライヴ・バーがドラムを担当しています。ゲイリー・バーデン擁護派を自認する筆者でも、ライヴ・パフォーマンスに関しては話は別です。音程がフラつく、変なところで声が裏返る、高い音が出ないのをフェイクでごまかす、サビはちょいちょいバック・ボーカルにまかせて自分は歌わない。。。ま、MSGのライヴでも同じなんですが。なんでよりによってゲイリー・バーデン期にライヴ・アルバム出したんだろう?プレマン+メイデン+MSGという、見ようによっては「スーパー・グループ」と言えなくもない編成だったからでしょうか?その元メイデン組のクライヴ・バーは、かつてストレイタスでトロイ兄弟と苦楽を共にした仲。ブルース・ビスランドより上手いドラマーだとは思います。リズムにキレはあるし、オカズなんかゾクゾクするほどカッコいいのですが、なんだか思い切り叩けてない。やはり曲に慣れていないのかな。もう一人の元メイデン組のデニス・ストラットンはすっかりプレマンに溶け込んでいます。元アイアン・メイデンという肩書きはもういらないですね。ティノ・トロイとのツイン・リードの息もぴったり。ただ、微妙に二人のピッチがあってなかったりしますが。。

そういう細かいことは映像を見れば気にならなくなります。このライヴはDVDでもリリースされているし、今はyoutubeでも見ることができます。CD聴いてブーたれるより、動画を見てライヴの臨場感を味わうほうが健全だと思います。とにかく曲は天下一品のプレイング・マンティスなんですから。特に幻と言われてきた1stの名曲には鳥肌が立ちます。アンコール鳴り止まない中メンバーが再登場し、ステージを降りて観客と握手やハイタッチする場面は、プレマンと日本のファンとの絆の深さが見て取れてなんだか妙に感動してしまいます。

なお、このアルバムは抜粋版と、2枚組の完全版とがあります。当時も今もプレイング・マンティスのCDを買うのは少数のファンしかいないだろうし、ファンなら完全版を買うだろうから、抜粋版を出す意味が分かりませんけど。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
DISC 1
01. Victory (Troy/Troy)
02. A Cry For The New World (Praying Mantis)
03. Can’t See The Angels (Troy/Troy)
04. Bring On The Night (Troy/Troy/Stratton/Barden/Bisland)
05. Only The Children Cry (Troy/Troy/Stratton)
06. To The Power Of Ten (Troy/Troy/Stratton/Barden/Bisland/Goodman)
07. The Horn (Troy/Troy/Burr/Potts/Shaw)
08. Dream On (Jackson/Dangschat/Praying Mantis)
09. Welcome To My Hollywood (Troy/Troy)
10. Turn The Tables (Troy/Troy)
11. Children Of The Earth (Troy/Troy)
DISC 2
01. Angry Man (Jackson/Troy/Troy/Stratton/Bisland/Barden)
02. Don’t Be Afraid Of The Dark (Troy/Troy)
03. Cheated (Carroll/T.Troy)
04. Letting Go (Troy/Troy)
05. Lovers To The Grave (Troy/Troy)
06. Flirting With Suicide (Troy/Carroll/Troy/Potts)
07. Rise Up Again (Jackson/Dangschat/Praying Mantis)
08. Armed And Ready (Schenker/Barden)
09. Captured City (Troy/Troy)
■Personnel
Gary Barden - Lead Vocals
Clive Burr - Drums
Dennis Stratton - Guitars, Vocals
Chris Troy - Bass Guitar, Vocals
Tino Troy - Guitars, Vocals

Michael Scherchen - Keyboards

Producer - Norman Goodman, Tino Troy 

 

Throwing Shapes / Stratus (1984)

0150Throwing Shapes










元Iron Maidenのクライヴ・バー(Dr)と、元Praying Mantisのティノ・トロイ(Gt)とクリス・トロイ(Ba)、元Grand Prixのバーニー・ショウ(Vo)、元Stampedeのアラン・ネルソン(Key)によるHR/HMグループStratusが唯一残したアルバム。本作レコーディングまでの経過を整理しておくと、Praying Mantisは1981年に1stアルバムTime Tells No Lies発表後にバーニー・ショウを専任ボーカリストに迎え、82年にはシングルTurn The Tableをリリース。それ以降もデモ・レコーディングを地道に続けるも陽の目を見ず結局83年にPraying Mantisは解散。Iron Maiden脱退直後のクライヴ・バーが、トロイ兄弟、バーニー・ショウと合流してEscapeを結成。デビューに向けてデモ・レコーディングを開始。同名のバンドが既に存在することが分かりバンド名をStratusに変更、最終的にアラン・ネルソンが加わり84年に本番レコーディング終了。プロデュースはこの後も何度かPraying Mantisを手がけるノーマン・グッドマン。なお末期Praying MantisとEscape時代のデモ音源は、Praying Mantis名義のアルバムDemorabiliaにまとめられて1999年にリリースされています。プレマン・ファンの立場からすると、本作はDemorabiliaとともに、Time Tells No Lies(1981)とPredator in Disguise(1991)の間をつなぐミッシングリンクということになります。

楽曲は全てストレイタス作となっているのですが、メロディの特徴からトロイ兄弟がメインで書いていると思われます。実質的にプレイング・マンティスのアルバムでしょう。ただ、Time Tells No Liesと比較するとかなり明るめでアメリカンハードに近い感じ。そういう意味では面白いことに再編成プレマンに合流するデニス・ストラットンのLionheartに似ています。サウンドのほうも、キーボードが全面にフィーチャーされ、おかしな効果音や女性のセリフなども入り、リバーブかけ過ぎて風呂場で録音したような音。つまり典型的な80年代バブリー・サウンド。曲によってはトロイ兄弟らしいキラリと光る旋律やハーモニーがあるのですが、アルバム全体を特徴付けるアメリカン・ロック的なメロディと装飾過多で軽薄なサウンドが、トロイ兄弟に合っているとは筆者には思えません。ところで、#9"So Tired"の出だしのリフがY&Tの"Hurricane"にクリソツ。これもいただけない。

なお、このアルバムのマスター・テープは紛失しており、CDはLPレコードからの盤起こしのようです。それが原因なのか、元からそうなのかは不明ですが音はかなりひどいです。薄っぺらで妙にこもっていたり、ところどころ音割れもあり、高音が耳障り。それでもこういう歴史に埋もれてしまったアルバムがCD化されるのは非常にうれしいことです。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Back Street Lovers
02. Gimme Something
03. Even If It Takes
04. Give Me One More Chance
05. Never Say No
06. Romancer
07. Enough Is Enough
08. Run for Your Life
09. So Tired
All songs written by Stratus

■Personnel
Tino Troy — lead guitar, vocals
Bernie Shaw - lead vocals
Clive Burr - drums, vocals
Chris Troy — bass, vocals
Alan Nelson — keyboards

Producer – Norman Goodman 



To The Power Of Ten / Praying Mantis (1995)

0110To The Power Of Ten
1995年にリリースされたプレイング・マンティスの4枚目のフルレンス・アルバム。3rdアルバムA Cry For The New World で歌ったコリン・ピールも、前作のミニ・アルバムOnly The Children Cry に起用されたマーク・トンプソン・スミスも立て続けに脱退、本作ではマイケル・シェンカー・グループのゲイリー・バーデンがボーカルを担当しています。マンティスの面々とゲイリー・バーデンは共に、ブリティッシュHR/HM系ミュージシャンが顔を揃えたTrue Brits企画に参加していること、80年代の一時期ブルース・ビスランドとゲイリー・バーデンがStatetrooperのバンド・メイトだったこと、この辺りが接点なのかなと想像します。いずれにしても、当時はゲイリー・バーデンのマンティス加入は意外に受け止められたようですが、意外に意外ではなかったのかもしれません。

さて、ゲイリー・バーデンのボーカリストとしての技量は、MSG時代から常にある種の侮蔑を伴って語られるのが当然という風潮があります。要するに下手糞だと。しかし筆者は、少なくともスタジオ録音盤で彼が並以下のボーカリストだと感じたことはありません。むしろそのねちっこい歌い回しには妙味があるし、特に叙情的な楽曲を歌わせたとき歌メロをより魅力的にする力は並以上だと思っています。なんだかんだ言ってマイケル・シェンカーが彼を度々起用するのは、マイケル・シェンカーの叙情性とゲイリー・バーデンの歌い回しの相性が良いからでしょう。ということは、叙情性がウリのトロイ兄弟とゲイリー・バーデンの組み合わせもまた良好ということ。今回も全曲レビューでいきたいと思います。

1曲目の"Don't Be Afraid Of The Dark"から哀愁と高揚感がいきなり最高潮の名曲。サビでリズムの刻みが1/2になるところが前作A Cry For The New World のオープニングを飾った名曲"Rise Up Again"を思わせます。クライマックスでまた刻みが倍になるのもたまらなくカッコいい。自然な転調で曲の表情を変える技も相変わらず見事です。本作のハイライト曲の一つでしょう。

2曲目"Bring On The Night"も哀愁メロディが秀逸。ところどころにゲイリー・バーデンならではの歌い回しが感じられて、つい初期MSGを思い出してしまいます。サビのドラマチックなメロディと呼応する力強いバッキング・ボーカルに鳥肌が立つということで、これも名曲決定。

3曲目はテンプテーションズのカバー"Ball Of Confusion"。なんでマンティスがソウルのカバー?誰でも抱く疑問だと思いますが、国内盤ライナーによると、日本市場以外では鳴かず飛ばずのバンドが新たな活路を見出そうとした試行錯誤の産物らしい。元曲そのものがロック調なのでそれほど違和感はありませんが、上出来とはやはり言い辛いかな。

4曲目"Welcome To My Hollywood"で再びマンティス節炸裂。イントロがアースシェイカー(筆者の評価ではジャパメタ随一のメロディアスハード・グループ)の誇る名曲"More"みたいです。とにかくリードギターのメロディも歌メロもただただ切なく美しい。歌詞もとても内省的で、それが哀愁のメロディに乗ることでプレイング・マンティスの際立った個性となっていると思います。

5曲目"Another Time, Another Place"はティノ・トロイお得意のスパニッシュ風ギターがフィーチャーされたスロー・テンポの佳曲。

6曲目はタイトル・ナンバー"To The Power Of Ten"。ヘヴィなリフに導かれるウォーキング・テンポのロックン・ロール曲です。なんと言ってもサビのカッコよさがピカイチ。おそらく全員でのコーラスだと思いますが、横一線に並んだメンバーがのしのし歩いてくるような迫力があります。これも間違いなく名曲。

7曲目"Little Angel"は、最初期(1981年)のボーカリストだったトム・ジャクソンがライティングに関わっている曲。悪くないのですがあまりにあっけらかんとし過ぎていて、マンティスのイメージとはちょっと違うかなと感じました。

8曲目"Victory"はトロイ兄弟のみで書かれた曲。同じメジャー・キーでも7曲目とはずいぶん違います。歌詞もそうなのですが、爽やかさや明るさの中にも消しがたい哀しみの色が混じり込んでいるのがプレイング・マンティスというバンドの持ち味なのだと思うのです。

9曲目は前作ミニ・アルバムのタイトル曲だった"Only The Children Cry"。まさにこのバンドの真骨頂の哀愁チューンです。前任ボーカルのマーク・トンプソン・スミスがバッキング・ボーカルにクレジットされているのは、リード・ボーカルのトラックのみゲイリー・バーデンに差し替えられているからでしょうか。とにかく、マンティスの名曲の一つであることは間違いありません。

10曲目"Night And Day"はトロイ兄弟が作曲に関与しておらず、おそらくデニス・ストラットンとゲイリー・バーデン主導で書かれた曲です。筆者はデニス・ストラットンの作曲センスには否定的な意見を持っているのですが、この曲に関しては全く文句無しです。本作全体を貫く特色である「哀愁メロディ+力強く分厚いバッキング・ボーカル」が鮮明に示されている曲です。

11曲目"Angry Man"は再びトム・ジャクソンとの共作曲。新しい境地を模索するバンドの意向は理解できますが、何もかも中途半端な曲です。アルバムの締めくくりを飾る曲としてはいかにもそぐわないと感じざるを得ません。

さて。。。筆者はこのブログで星をいくつにするかは割と気軽に決めているのですが、このアルバムに関してはちょっと悩みました。良い曲も多いけれど、全曲名曲と言って過言ではない最高傑作A Cry For The New World に比べれば明らかに落ちます。ん~。。。ん~。。。よし、もう贔屓の引き倒しということで星5つで勘弁してください!!

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Don't Be Afraid Of The Dark (Troy, Troy)
02. Bring On The Night (Troy, Troy, Barden, Bisland, Stratton)
03. Ball Of Confusion (Norman Whitfield, Barrett Strong)
04. Welcome To My Hollywood (Troy, Troy)
05. Another Time, Another Place (Troy, Troy)
06. To The Power Of Ten (Goodman, Troy, Troy, Barden, Bisland, Stratton)
07. Little Angel (Jackson, Troy, Troy, Barden, Bisland, Stratton)
08. Victory (Troy, Troy)
09. Only The Children Cry (Troy, Troy, Stratton)
10. Night And Day (Stratton, Bisland, Barden)
11. Angry Man (Jackson, Troy, Troy, Barden, Bisland, Stratton)

■Personnel
Gary Barden - Lead and Background Vocals
Tino Troy - Lead, Rhythm and Acoustic Guitars, Keyboards, Background Vocals
Dennis Stratton - Lead, Rhythm and Slide Guitars, Background Vocals
Chris Troy - Bass Guitar, Background Vocals
Bruce Bisland - Drums, Percussion, Background Vocals 

Ian Gibbons - Additional Keyboards
David Brant - Additional Background Vocals on 6
Mark Thompson-Smith - Additional Background Vocals on 9

Producer - Norman Goodman 

 

Only the Children Cry / Praying Mantis (1993)

0081Only the Children Cry
1993年、2度目の来日公演に合わせてリースされたプレイング・マンティスのミニ・アルバム。前作A Cry for the New World で見事にマンティスの専任ボーカリストを務めたコリン・ピールは、ミュージカルの仕事のために脱退、本作では新ボーカリストとしてマーク・トンプソン・スミスが録音に参加しています。彼はイギリスのマイナーなHR/HMバンドを転々としてきたボーカリストで、後にLionsheart(デニス・ストラットンのLionheartではない)を結成するOwers兄弟のいたFuryに在籍したこともあったようです。本作でも悪くない歌唱を披露していますが、結局来日公演後に脱退、ボーカリストが定着しないというプレイング・マンティスの歴史が繰り返されることになります。

このミニ・アルバムに収録されているのは全4曲。"Only The Children Cry"は新曲で、モロに日本人好みの甘く美しいイントロが印象的です。実質的に日本での人気がこのバンドを支えているわけですが、それにしてもチェッカーズや中森明菜が歌い出してもおかしくないような曲で、ほんとに80年代の日本の歌謡曲を研究してるのか?などと考えてしまいます。この曲はボーカルにゲイリー・バーデンを迎えた次作To The Power Of Ten でも再演されています。"Who's Life Is It Anyway"も新曲で、イントロはジューダス・プリーストの"Breaking the Law"のリフと同じメロディですが、マンティスらしい高揚感を味わえる佳曲です。"A Moment In Life"は前作にも収録されていた名曲。コリン・ピールの素直な歌唱に馴染んでしまっているせいか、このマーク・トンプソン・スミスのバージョンはやや感情表現が過剰に感じてしまいました。"Turn The Tables"は、バーニー・ショウがボーカルを担当していた1982年にリリースしたシングル曲のリメイク。マンティス・サウンドど真ん中の哀愁メロハー曲です。

全体として前作の流れをくむプレイング・マンティスならではのメロディアスさ、高揚感、哀愁がたっぷりで、ミニアルバムとはいえ彼らのファンなら外すことのできない傑作だと思います。なお、プロデュースに関わったノーマン・グッドマンは、80年代のマンティス解散後のストレイタス名義のアルバム、次作 To The Power Of Ten  のプロデューサーでもあります。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Only The Children Cry (Troy, Troy, Stratton)
02. Who's Life Is It Anyway (Troy, Troy, Stratton, Bisland, Thompson-Smith)
03. A Moment In Life (Troy, Troy, Peel)
04. Turn The Tables (Troy, Troy)

■Personnel
Chris Troy - Bass Guitar, Background Vocals
Dennis Stratton - Lead Guitar, Background Vocals
Mark Thompson-Smith - Lead & Background Vocals
Tino Troy - Lead Guitar, Acoustic Guitar, Keyboards, Background Vocals
Bruce Bisland - Drums, Background Vocals

Gary Flounders - Additional Keyboards

Producer - Norman Goodman & Praying Mantis

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