メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

ダレン・スミス

Rubber / Harem Scarem (1999)

0440Rubber









Harem Scaremの6thアルバム。メンバーは前作Big Bang Theoryから変わらず、ハリー・ヘス(vo)、ピート・レスペランス(g)、ダレン・スミス(ds)、バリー・ドナヘイ(b)というラインナップとなっています。前作でその端緒が見られたパワー・ポップ化が更に進行し、Oasisなどのブリット・ポップやCheap Trickへの接近が顕著となりました。また、カントリーの要素が取り入れられているのも特徴的です。サウンド的には特にギターの変化が目立ち、ディストーションの効いたハードなリフは影を潜め、軽く歪んだ程度のクランチ・サウンドでコードを刻むという場面が多くなっています。また、リズム・セクションもずいぶん軽快になりました。これはこれで嫌いなサウンドではないのですが、肝心の歌メロまでOasisやCheap Trickみたいになってしまったのは痛い。好みのメロディではありません。1stの楽曲こそが最高と思っている筆者にとっては愛聴盤になり得ない一枚です。

なお、この時期Harem Scaremは音楽性を変えると同時にバンド名をRubberに変更しています。Harem Scaremというバンド名が時代遅れのヘアメタル・バンドを想起させ、カナダ本国や米国市場での苦戦の原因となっていると判断したそうです。ただし、日本ではHarem Scaremというバンド名が浸透しており、また従来のサウンドへの支持が根強いため、Harem Scaremのままで活動するということになりました。このアルバムの日本盤ジャケットにはHarem Scaremの文字がありますが、本国盤はRubberのセルフ・タイトル・アルバムという体裁になっています。音楽性の変化もバンド名の変更も他に例はあるものの、地域によってバンド名が違うというのはおそらく前代未聞。Harem Scaremの迷走はまだまだ続く。。。というか、日本でのコンサートのMCで聴衆に皮肉や嫌味を言うほど1stや2ndが元々やりたい音楽じゃなかったのなら、最初から迷走しっぱなしと言えるかもしれません。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. It's Gotta Be (Hess, Lesperance)
02. Who-Buddy (Hess, Lesperance)
03. Coming Down (Hess, Lesperance)
04. Stuck With You (Hess, Lesperance)
05. Sunshine (Hess, Lesperance)
06. Face It (Hess, Lesperance)
07. Trip (Lesperance)
08. Pool Party (Hess, Lesperance)
09. Headache (Hess, Lesperance)
10. Everybody Else (Hess, Lesperance)
[Bonus Track]
11. Enemy (Hess, Lesperance)

■Personnel
Harry Hess – vocals, guitars
Pete Lesperance – guitars, vocals
Barry Donaghy – bass, vocals
Darren Smith – drums, vocals

Producer - Harry Hess, Pete Lesperance
Rubber
Harem Scarem
Wounded Bird
2011-07-26

B-Side Collection / Harem Scarem (1998)

0374B-Side Collection









カナダのハードロック・バンドHarem ScaremのシングルB面(カップリング曲)や、アルバムのボーナス・トラックを集めた企画盤。#1"So Blind (Acoustic Version)"と#10"Good Enough"の2曲はこのアルバム自体のボーナス・トラックです。当初は日本盤のみの発売でしたが、後に海外でもリリースされているようです。アルバムの性格からして、サウンドの統一感だとか、トータルなコンセプトといったものは無いものの、さらっと聴けるいいアルバムになっています。冷蔵庫の余り物で料理したら意外に旨いものが出来ちゃったという感じでしょうか。特にアコースティック・アレンジの曲は、メロディの良さをあらためて感じさせてくれます。一番良かったのは#9"Hard to Love"。なんだかんだ言って結局1stアルバムがやっぱり好きだなぁということで。結論としては、一般のリスナーが手を出すアイテムではないと思いますが、このバンドのファンなら手元に置いておきたい一枚ですね。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. So Blind (Acoustic Version)
 bonus track
02. Climb the Gate (Acoustic Live '98)
 from single "What I Do" B-side track
03. Without You (Acoustic Live '98)
 from single "What I Do" B-side track
04. Cages
 from single "Die Off Hard" B-side track
05. The Mirror
 from single "Die Off Hard" B-side track
06. Surrender (Cheap Trick cover)
 from album "Believe Special Edition" bonus track
07. Change Comes Around (Acoustic Version)
 from album "Live Ones" bonus track
08. Turn Around (Acoustic Live '98)
 from single "Turn Around" B-side track
09. Hard to Love (Acoustic Live '98)
 from single "Turn Around" B-side track
10. Good Enough
 bonus track
11. Wasted Time
 from single "So Blind" B-side track
12. Without You
 from single "So Blind" B-side track
13. Blue (Live '97)
 from single "New Religion" B-side track
14. No Justice (Live '97)
 from single "New Religion" B-side track
15. More Than You'll Ever Know
 from album "Live in Japan" bonus track
All songs written by Harry Hess & Pete Lesperance
expect track 5 written by Harry Hess
track 6 written by Rick Nielsen
track 9 written by Christopher Ward, Harry Hess, Pete Lesperance

■Personnel
Harry Hess - vocals, keyboards, guitars
Pete Lesperance - guitars, backing vocals
Barry Donaghy - bass, backing vocals
Darren Smith - drums, backing vocals

Producer - Harry Hess and Pete Lesperance

B-side Collection (2 Bonus Tracks)
Harem Scarem
Wounded Bird
2010-09-07

Live at the Siren / Harem Scarem (1998)

0335Live At The Siren









1998年リリースのHarem Scaremのライブ盤。当初は日本のみでの発売で、2010年になって米国Wounded Birdからも再発されています。全14曲中ライブ録音は12曲。4thアルバムBelieveリリース後の地元カナダでのライブということで、Believe収録曲中心のセットリストになっています。メンバーはハリー・ヘス(vo)、ピート・レスペランス(gt)、ダレン・スミス(ds)、バリー・ドナヘイ(ba)の4人で1996年のLive in Japanと同じですが、曲が被っているのは"Change Comes Around"だけ。また、Believe(Special Edition)でカバーしていたCheap Trickの"Surrender"を再度取りあげていて、この後のバンドの路線変更の伏線とも受け取れる選曲です。オマケにスタジオ録音の新曲が2曲収録されていますが、"Tables Turning"は5thアルバムBig Bang Theory日本盤、"New Religion"はカナダ本国盤の収録曲。バンドのサイトのディスコグラフィによると、本作よりBig Bang Theoryの方が先のリリースと記されていて、「New Studio Track」という表記には「ん?」となりますが、事情はよく分かりません。

さて内容ですが、このバンドのライブ・パフォーマンスの実力の高さにはぐうの根も出ません。分厚いコーラス、適度にラフで勢いのある演奏、こりゃもう最高です。冒頭から#1"Believe"、#2"Saviors Never Cry"、#3"Die Off Hard"と強烈な3連発でノックアウト。#7"Baby With a Nail Gun"のぶっ飛び具合もスタジオ盤をはるかに凌ぎます。更にスタジオ盤ではいま一つ好みでなかった曲もライブ盤の中では何の違和感もなく楽しめました。ん~む、スタジオ盤にはいつもモヤモヤさせられるけど、やっぱりHarem Scaremはいいバンドだな~。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Believe (H.Hess / P.Lesperance)
02. Saviors Never Cry (H.Hess / P.Lesperance)
03. Die Off Hard (H.Hess / P.Lesperance)
04. Morning Grey (H.Hess / P.Lesperance)
05. Staying Away (H.Hess)
06. Honestly (H.Hess)
07. Baby With a Nail Gun (P.Lesperance)
08. Cages (H.Hess / P.Lesperance)
09. Rain (H.Hess / P.Lesperance)
10. Karma Cleansing (H.Hess / P.Lesperance)
11. Surrender (R. Nielsen)
12. Change Comes Around (H.Hess / P.Lesperance)
13. Tables Turning [New Studio Track] (H.Hess / P.Lesperance)
14. New Religion [New Studio Track] (H.Hess / P.Lesperance)

■Personnel
Harry Hess – vocals, guitars, keyboards
Pete Lesperance – guitars, vocals
Darren Smith – drums, vocals
Barry Donaghy – bass, vocals

Ray Coburn - B3 on "Tables Turning"

Producer - Harry Hess, Pete Lesperance

Live at the Siren
Harem Scarem
Wounded Bird
2010-08-10


Big Bang Theory / Harem Scarem (1998)


0298Big Bang Theory









ハーレム・スキャーレム(Harem Scarem)のスタジオ・フルレンス5作目。メンバーは前作Believeと同じくハリー・ヘス(vo)、ピート・レスペランス(gt)、ダレン・スミス(ds)、バリー・ドナヘイ(ba)の4人です。本作も前作同様、日本盤とカナダ・ヨーロッパ盤とで収録曲が異なります。具体的にはカナダ・ヨーロッパ盤の"Wasted Time"、"Without You"、"What I Do"、"New Religion"の4曲が、日本盤では"Reload"、"Tables Turning"、"Seas of Dissension"、"Never Have It All"に差し替えられており、曲順もかなり違っています。しかし、全10曲中4曲も違うとなると、オリジナル・アルバムの意味ってなんなのだろうかと考えてしまう。たとえばツェッペリンの1枚目、万国共通で"Good Times Bad Times"から始まって"How Many More Times"で終らないとおかしいし、"Black Mountain Side"の後に"Communication Breakdown"が来るからカッコいいわけでしょ?違うかな?収録曲の選択から曲順・曲間時間の設定にまで気を遣って、ベストの答えを出した結果がオリジナル・アルバムなんじゃないの?それが作品というものでしょう。CDの時代だからとか、配信の時代だからとか、そんなことに関係なく、音楽の作り手としてのミュージシャンとはそういうものだと思うけど。各国でより売れそうなバージョンを作るとか、やたらにコンピ盤を作るとか、このバンドの姿勢にはどうしても首を傾げてしまいます。

以下は日本盤を基にしてのレビューですが、各曲ともポップでキャッチー、しかもコンパクトで聴きやすくなっています。ギターの歪み具合がやや浅くなったこともあり全体に軽快な印象。ただメロディの質が微妙に変わって、なんだか少しチープトリックみたいになったかな。なお、#7"Sometimes I Wish"は珍しくバリー・ドナヘイがリード・ボーカルを担当していますが、声がハリー・ヘスに近くて違和感ありません。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. So Blind (Hess / Lesperance)
02. Climb the Gate (Hess / Lesperance)
03. Reload (Hess / Lesperance)
04. Tables Turning (Hess / Lesperance)
05. Turn Around (Hess / Lesperance)
06. Seas of Dissension (Hess)
07. Sometimes I Wish (Hess / Lesperance)
08. Never Have It All (Hess / Lesperance)
09. Lying (Hess / Lesperance)
10. In My State Of Mind (Hess)

■Personnel
Harry Hess – vocals, keyboards
Pete Lesperance – guitars, keyboards, backing vocals
Barry Donaghy – bass, backing vocals, lead vocals on "Sometimes I Wish"
Darren Smith – drums, backing vocals

Producer - Harry Hess, Pete Lesperance
ビッグ・バング・セオリー
ハーレム・スキャーレム
ダブリューイーエー・ジャパン
1998-07-05




Big Bang Theory
Harem Scarem
Wounded Bird
2010-09-07

 

Believe / Harem Scarem (1997)

0199Believe









ハーレム・スキャーレムのスタジオ・フルレンス・アルバムとしては4作目となる作品。メンバーはハリー・ヘス(vo)、ピート・レスペランス(gt)、ダレン・スミス(ds)、バリー・ドナヘイ(ba)となっています。#1"Believe"、#2"Die Off Hard"、ダレン・スミスがリード・ボーカルをとった#4"Staying Away"、ピート・レスペランスのスリリングなプレイが素晴らしいインスト曲#5"Baby With a Nail Gun"と、1stHarem Scarem のキャッチーなメロディアスさ、2ndMood Swings のソリッドでハードなサウンドを併せ持つ曲が前半に集中しています。後半は前作の3rdVoice of Reason に近いかな。裏事情として伝えられているのは、グランジ/オルタナ色が強かった3rdの評判、売れ行きが日本では芳しくなく、レコード会社の意向もあって1st、2nd路線の楽曲を収録したとのこと。実は"Die Off Hard"と"Staying Away"は昔の楽曲を手直ししたもので、元曲はデビュー前のデモを集めたThe Early Years (2003)に収録されています。

本作はカナダ本国ではKarma Cleansing というタイトルで、ジャケットも異なる仕様でリリースされています。日本人が好みそうな"Staying Away"と"Baby With a Nail Gun"が外され、替わりに暗めな"Cages"と"The Mirror"が収められています。曲順も全く日本盤とは違い、一曲目は"Karma Cleansing"です。つまり、日本向けのBelieve は1st、2nd路線に戻ったように聴こえ、カナダ盤(=ワールドワイド盤)は3rdVoice of Reason の路線が続いているように聴こえるというわけです。そのような「工夫」の成果か、本作は日本でもよく売れて、ハーレム・スキャーレムの人気も再び盛り返したようです。しかし、筆者はこれを小手先の「工夫」と感じてしまいます。後のバンド名変更につながる迷走の端緒が見て取れるのです。まあ、言いたいことは色々ありますが、"Die Off Hard"、"Staying Away"、"Baby With a Nail Gun"と極上ナンバーが聴けるし、演奏も充実した好盤であることは間違いありません。

なお、本作は1997年の5月にリリースされ、同年9月にバンドは二度目の来日公演を行ないます。そして10月には"Believe"、"Hail, Hail"、"Staying Away"、"Morning Grey"、"Victim of Fate"の4曲をケヴィン・エルソンによるリミックス・バージョンに、"Rain"をフルバンド・バージョンに差し替え、さらにオリジナル日本盤でカットされていた"Cages"と"The Mirror"、ボーナス・トラックとしてチープ・トリックのカヴァー"Surrender"を収録した全13曲入りBelieve (Special Edition) がリリースされています。コアなファンはこちらを買ってね、というわけでしょう。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Believe (Hess / Lesperance)
02. Die Off Hard (Hess / Lesperance)
03. Hail, Hail (Hess)
04. Staying Away (Hess)
05. Baby With a Nail Gun (Lesperance)
06. Morning Grey (Hess / Lesperance)
07. Victim of Fate (Hess / Lesperance)
08. Rain (Hess / Lesperance)
09. I Won't Be There (Hess / Lesperance)
10. Karma Cleansing (Hess / Lesperance)

■Personnel
Harry Hess – vocals, keyboards
Pete Lesperance – guitars, keyboards, backing vocals
Barry Donaghy – bass, backing vocals
Darren Smith – drums, vocals

Producer - Harry Hess, Pete Lesperance

ビリーヴ
ハーレム・スキャーレム
ダブリューイーエー・ジャパン
1997-05-25

Believe (special Edition) (3 Bonus Tracks)
Harem Scarem
Wounded Bird
2010-09-11

Live in Japan / Harem Scarem (1996)

133Live in Japan









1995年12月ハーレム・スキャーレムの初来日公演(川崎CLUB CITTA')を収録したライブ・アルバム。彼らにとっては最初のフルレンス・ライヴ・アルバムが日本公演で録音されたあたり、このバンドの日本での人気、あるいはバンドの日本への思い入れが伺えます。メンバーはハリー・ヘス(vo)、ピート・レスペランス(gt)、ダレン・スミス(ds)、そして新ベーシストのバリー・ドナヘイの4人です。

3rdアルバムVoice of Reasonの直後とあって、収録曲のうち6曲がこのアルバムから選ばれています。2ndMood Swingsからも5曲採られていますが、1stからは"Slowly Slipping Away"だけ。しかもテンポを落としたアレンジでオリジナルの軽快さが減退してしまっています。1stの親しみやすさが大好きな筆者としては残念な選曲でした。2nd、3rd中心の選曲なので、全体としてヘヴィでソリッドなサウンドでガンガン攻めまくるライブです。どの曲もスタジオ盤よりカッコよくなっている印象。バンドはやっぱりライブが一番。というか、ライブで本領発揮できないバンドはインチキ・バンドなわけですが。それはともかく、特にピート・レスペランスは素晴らしいギタリストですね。超絶です。秒速幾らで指が動くとかそういう超絶じゃなくて、センスが常人から超絶している。TNTのロニー・ル・テクロとかもそう。ライブだとより一層そのことを感じます。

国内盤にはボーナス・トラックとして、ピート・レスペランスの超絶ギターが楽しめるインスト"Pardon My Zinger"と、しっとりしたバラード"More Than You'll Ever Know"のスタジオ録音2曲が追加されています。さらに、Live & AcousticLive in Japanをカップリングした企画盤Live Ones(邦題「カナダ技巧派集団来日記念盤」)には、"Change Comes Around"のアコースティック・バージョンも入っています。ただ、これはB-Side Collectionにも収録されています。企画盤が多いと選択肢が広がるのはいいのですが、訳分からなくなるのが悩ましい。。。
 
評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Change Comes Around (Hess/Lesperance)
02. Saviors Never Cry (Hess/Lesperance)
03. Warming a Frozen Rose (Hess/Lesperance)
04. Blue (Hess/Lesperance)
05. Candle (Hess/Lesperance)
06. Slowly Slipping Away (Hess/Ribler)
07. Breathing Sand (Hess)
08. Had Enough (Hess/Lesperance)
09. Empty Promises (Hess/Lesperance)
10. The Paint Thins (Hess/Lesperance)
11. Voice of Reason (Hess/Lesperance)
12. No Justice (Hess/Lesperance)
13. Pardon My Zinger [Instrumental/Bonus track] (Lesperance)
14. More Than You'll Ever Know [Bonus track] (Hess/Lesperance)

■Personnel
Harry Hess – lead vocals, guitar
Pete Lesperance – lead guitar, backing vocals
Barry Donaghy – bass guitar, backing vocals
Darren Smith – drums, backing vocals

Producer - Harry Hess, Pete Lesperance

ライヴ・イン・ジャパン
ハーレム・スキャーレム
ダブリューイーエー・ジャパン
1996-04-25
カナダ技巧派集団来日記念盤
ハーレム・スキャーレム
ダブリューイーエー・ジャパン
1997-08-10


Live & Acoustic / Harem Scarem (1994)

0101Live & Acoustic
日本側の企画によって作られたハーレム・スキャーレムのミニ・アルバム。リリースは1994年6月ですので、2ndアルバムMood Swings と3rdアルバムVoice of Reason の間ということになります。ただし日本では Mood Swings がデビュー盤として93年に出ており、1stのHarem Scarem は遅れて94年3月に発売されているので、1stと本作は立て続けのリリースとなっています。このバンドを日本で強力にプッシュしていこうというレーベル側の意気込みが窺われます。

目玉は1994年1月トロントでのライブを収録した3曲でしょう。後にハーレム・スキャーレムは結構な数のライブ・アルバムを出しますが、本作が最初のライブ収録盤です。演奏力が高いという定評に違わぬ、エネルギッシュでありながらどっしり安定したパフォーマンスはさすがです。筆者は特にインスト曲#4"Mandy"がお気に入り。Mood Swings では2分弱の短い曲でしたが、このミニアルバムでは3分強に延長されて、ピート・レスペランスの官能的と言ってもいいほど艶のあるギター・ソロを堪能することができます。このあたりがライブ盤ならではの楽しみでしょうね。#3"No Justice"、#5"Hard to Love"もブ厚いサウンドが見事に再現されていて、熱さと冷静さが同居するハーレム・スキャーレムの音楽を「ナマ」の姿で味わえます。"Honestly"と"Jealousy"のアコースティック・バージョンもあらためて曲の良さが伝わってきて、「聴いてよかったなー」と感じます。

なお、この作品はLive in Japan (1996)とカップリングされ、Live Ones (邦題「カナダ技巧派集団来日記念盤」)というタイトルで1997年に再発されて今でも中古で出回っていますので、そちらのほうがお買い得だと思います。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

 ■Tracks
01. Honestly (acoustic) (Harry Hess)
02. If There Was a Time (edit) (Harry Hess, Pete Lesperance)
03. No Justice (live) (Harry Hess, Pete Lesperance)
04. Mandy (live) (Pete Lesperance)
05. Hard to Love (live) (Christopher Ward, Harry Hess, Pete Lesperance) 
06. Jealousy (acoustic) (Harry Hess, Pete Lesperance)
07. Something to Say (edit) (Harry Hess, Pete Lesperance)

■Personnel
Harry Hess - vocals, guitars
Pete Lesperance - guitars, backing vocals
Mike Gionet - bass, backing vocals
Darren Smith - drums, backing vocals

Producer - Harry Hess, Pete Lesperance and Kevin Doyle
 
Live And Acoustic
ハーレム・スキャーレム
ダブリューイーエー・ジャパン
1994-06-25

カナダ技巧派集団来日記念盤
ハーレム・スキャーレム
ダブリューイーエー・ジャパン
1997-08-10

Voice of Reason / Harem Scarem (1995)

0057Voice Of Reason

1995年にリリースされたハーレム・スキャーレムの3rdアルバム。グランジ、オルタナの隆盛という状況の中、このアルバムはダークでヘヴィな傾向が強まり、発表当時から「問題作」として賛否両論を巻き起こしました。しかし、筆者としてはこのアルバムは2ndのMood Swingsの延長線上にあると感じるので、それほどの驚きは感じませんでした。Mood SwingsVoice of Reasonの差より、1stHarem ScaremMood Swingsの差のほうが大きいと思うからです。いずれにしても、サウンドは2ndより更にハードでヘヴィとなり、1stにあった親しみやすく快活なメロディはほとんど影をひそめてしまいました。客観的に出来がいいか悪いかは別として、筆者にとってはアルバムごとにつまらなくなってしまいがっかりです。

ハーレム・スキャーレムに限らず、「バンドのやりたい音楽と、ファンの求める音楽との葛藤」などということがよく言われますが、少し首をかしげたくなってしまいます。1990年代の初頭から半ばにかけて、なぜ多くのHR/HM系のバンドが「右へ倣え」したかのようにダークな方向、ヘヴィな方向に行こうとしたのか?皆が皆、本来グランジやオルタナのような音楽ががやりたかったのに、ファンのために無理してHR/HMを、メロハーやハードポップをやっていたのか?そんなことはないでしょう。流行遅れになりたくない、トレンドに乗りたい、つまり今までのリスナーを捨てるリスクを冒してでも、より多くのリスナーが獲得できると見積もって路線を調整したに過ぎないのではないでしょうか。煎じ詰めれば、「バンドのやりたい音楽」=「売れる音楽」ということになってしまう。そういう姿勢こそ、シャレでもなんでもなく「産業ロック」と揶揄されても仕方ない。レコード会社というのは文字通り産業、つまりビジネスですから売れてナンボなのは当たり前。しかし、バンドっていうのは金儲けが目的で音楽を始めたわけではないでしょう?音楽が好きだからやっているんじゃないの?経済的成功というのは後からついてくるもので、自分たちのやりたいように音楽をやるというのがロック・バンドのモチベーションなはずです。当事者にとってみれば、流行に左右されずに自分たちの内から湧き出る音楽だけを追及するというのは、「言うは易く行なうは難し」に違いないでしょう。しかしそれでも、時流に阿ってコロコロとサウンドを変えるというのは見苦しいことだと筆者は思います。ハーレム・スキャーレムの場合、この後更にサウンドが変わり、バンド名まで変えることになります。1stアルバムや、デビュー前のデモ集の音、つまり彼らの原点は、流行に合わせて服を着替えるように脱ぎ捨てられるようなものだったのか。ハーレム・スキャーレムの迷走を振り返るにつけ、複雑な心境で「バンドのやりたい音楽」ということについて考えてしまうのです。

バンド・メンバーは1st、2ndと変わらず、ハリー・ヘス、ピート・レスペランス、マイク・ジオネット、ダレン・スミスの4人です。ソング・ライティングのほとんどと、プロデュース、ミックスはハリー・ヘスとピート・レスペランス。ハリーはエンジニアとしても録音に関与しています。前作までプロデューサーとして関わっていたケヴィン・ドイルは、本作ではアソシエイト・プロダクションとミックスだけでクレジットされています。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Voice of Reason (H. Hess, P. Lesperance)
02. Blue (H. Hess, P. Lesperance)
03. Warming a Frozen Rose (H. Hess, P. Lesperance)
04. Let It Go (H. Hess, P. Lesperance)
05. And That's All (H. Hess, P. Lesperance)
06. Breathing Sand (H. Hess)
07. Candle (H. Hess, P. Lesperance)
08. The Paint Thins (H. Hess, P. Lesperance)
09. I'll Be Brief (H. Hess, P. Lesperance)
10. Untouched (H. Hess, P. Lesperance)
11. Necessary Evil (H. Hess, P. Lesperance, C. Ward)
12. Candle (Acoustic Version) [bonus track]

■Personnel
Harry Hess - vocals, keyboards
Pete Lesperance - guitar, vocals, keyboards
Mike Gionet - bass, vocals
Darren Smith - drums, vocals

Producer - Harry Hess and Pete Lesperance

Voice Of Reason (1 Bonus Track)
Harem Scarem
Wounded Bird
2010-09-11

 

Mood Swings / Harem Scarem (1993)

0036Mood Swings

カナダのメロディアス・ハードロック・バンド、ハーレム・スキャーレムの1993年リリースの2nd。ネットなどのレビューでは彼らの代表作、名盤とする評価が多いように見受けられます。いやいや、1stのほうがいいという声もありますが、日本ではこの2ndが先に発売され、1stが後になったという事情も関係しているのではないかと思われます。どうしても先に聴いたほうでバンドの音のイメージが固まり、それを基準に以降のアルバムを評価するのが自然の成 り行きだからです。ハーレム・スキャーレムに限らず、筆者はなるべくリリース順に聴くようにしているので、1stを先に聴きました。ちなみに、このブログのレビューも原則としてリリース順に書いています。そんなわけで、あくまで筆者の好みとしては、やはり1stのほうがいいかなと。

このアルバムと前作を比べると、格段に音がハードになりました。ピート・レスペランスのギターが全面に押し出され、輪郭のはっきりしたいかにもハードロック然としたサウンドが展開されています。テクニカルかつスリリングなギター・ソロも存分に聴くことができます。レスペランスがただものではないことが、このアルバムではっきり分かりました。曲の構成とコーラス・ワークもグッと複雑化し、確実にバンドのスケールが大きくなったと感じます。しかし1stでは顕著だった、自然と一緒に口ずさんでしまうようなメロディの親しみやすさが、残念ながら後退してしまいました。複雑化した曲の構成やアレンジの中にメロディが埋もれてしまった印象です。1stでは外部ライターが一部の曲作りに参加していましたが、今回は全曲がハリー・ヘスとピート・レスペランスの手によるものです。もともとは彼らはこういう曲がやりたかったのかもしれません。ただ、メロハー・バンドとしてみたとき、何よりもメロディを重視する筆者のようなリスナーにはこの変化は好ましいとは感じられませんでした。

プロデュースは、1stと同じくハリー・ヘスとピート・レスペランス、そしてケヴィン・ドイルが担当しています。へスとレスペランス以外のバンド・メンバーはマイク・ジオネット(Ba)とダレン・スミス(Dr)で、これも1stと変化はありません。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Saviors Never Cry (H. Hess, P. Lesperance)
02. No Justice (H. Hess, P. Lesperance)
03. Stranger Than Love (H. Hess, P. Lesperance)
04. Change Comes Around (H. Hess, P. Lesperance)
05. Jealousy (H. Hess, P. Lesperance)
06. Sentimental BLVD. (H. Hess)
07. Mandy (P. Lesperance)
08. Empty Promises (H. Hess, P. Lesperance)
09. If There Was a Time (H. Hess, P. Lesperance)
10. Just Like I Planned (H. Hess)
11. Had Enough (H. Hess, P. Lesperance)

■Personnel
Harry Hess - vocals, keyboards
Pete Lesperance - guitar, vocals
Mike Gionet - bass, vocals
Darren Smith - drums, vocals

Producer - Harry Hess and Pete Lesperance with Kevin Doyle

Mood Swings
Harem Scarem
Sing
2023-10-13

 

Harem Scarem / Harem Scarem (1991)

0002Harem Scarem

ハーレム・スキャーレムは、カナダで結成されたメロディアス・ハードロック・バンドです。オリジナル・メンバーのうち、ハリー・ヘス(Vo)、ピート・レスペランス(Gt)、マイク・ジオネット(Ba)はカナダ人、ダレン・スミス(Dr)のみイギリス人です。このバンドは曲・歌唱力・演奏力が三拍子そろって高水準で、この1stアルバムから既にとんでもない完成度を示しています。サウンドはハード過ぎず、ポップ過ぎず、知的でいて暖か味があり、そして収録されている曲の全てが覚えやすく、一緒に口ずさみたくなるようなメロディばかり。このバンドの大きな特徴となっている厚みのある美しいコーラスも、アルバム全曲で聴くことができます。日本盤ボーナス・トラックは、アルバムのオリジナル曲のうち3曲のアコースティック・バージョン。メロディを大切にして作られた曲は、どんなアレンジで演奏されてもそのメロディは活きるものですが、シンプルなアコースティック演奏では、メロディそのものの素晴らしさをとりわけ感じとれるように思います。

プロデューサーはケヴィン・ドイル(Kevin Doyle)、70年代から主にレコーディング・エンジニア、ミックス・エンジニアーとして数多くの仕事をこなしています。このアルバムでは、プロデュースの他にアレンジからミックスまで深く関与しています。次作のMood Swingsもケヴィン・ドイルによってプロデュースされています。また、このアルバムにはカナダの先輩バンドから、Honeymoon Suiteのレイ・コバーン、Coney Hatchのカール・ディクソン、Haywireのポール・マッコースランドなどがレコーディングに参加しています。

後のアルバムではほとんど全てボーカルのハリー・ヘスとギターのピート・レスペランスが曲を書くことになりますが、このアルバムの何曲かは外部のライターの手も借りているようです。この後、音楽性の変遷、メンバーチェンジ、そしてバンド名の変更といった、長く曲がりくねった道を歩むことになるハーレム・スキャーレム。しかし、彼らの原点となったこの1stアルバムは、永遠にその輝きを失わないでしょう。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Hard to Love (C. Ward, H. Hess, P. Lesperance)
02. Distant Memory (H. Hess, P. Lesperance, M. Ribler)
03. With a Little Love (H. Hess, P. Lesperance)
04. Honestly (H. Hes)
05. Love Reaction (H. Hess, P. Lesperance, R. Coburn)
06. Slowly Slipping Away (H. Hess, M. Ribler)
07. All Over Again (H. Hes)
08. Don't Give Your Heart Away (H. Hess, P. Lesperance)
09. How Long (H. Hess, P. Lesperance, D. McTaggart)
10. Something to Say (H. Hess, P. Lesperance)
※日本盤ボーナス・トラック
11. Slowly Slipping Away [Acoustic Session]
12. How Long [Acoustic Session]
13. Hard to Love [Acoustic Session]

■Personnel
Harry Hess - lead vocals, guitar
Pete Lesperance - lead guitar, backing vocals
Mike Gionet - bass, backing vocals
Darren Smith - drums, backing vocals

Ray Coburn - keyboards
Terry Hatty - backing vocals
Carl Dixon - backing vocals
Marc Ribler - backing vocals
Paul MacAusland - backing vocals

Producer - Kevin Doyle, Harry Hess, and Pete Lesperance

HAREM SCAREM
ハーレム・スキャーレム
ダブリューイーエー・ジャパン
1997-05-25

 
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