元Thin Lizzyのダレン・ウォートン率いる叙情派ブリティッシュ・メロハー・バンドDareの4thアルバム。前作Calm Before the Stormで確立された音楽性を踏まえ、メロディック・ロックにケルト音楽のエッセンスを入れ込んだ一種のヒーリング・ミュージックを今回も聴かせてくれます。荒野や森林や湖といった景色が目の前に浮かんでくるような、冷涼で湿った空気を感じさせるような音像は相変わらず素晴らしく、このバンドの唯一無二の個性と言えるところまで来ました。このアルバムもCalm Before the Stormに勝るとも劣らない傑作だと思います。前作との比較で言えば、更にケルト色が強くなり、アコースティカルになっています。また、前作で印象的だった雰囲気抜群のギター・ソロは本作でも聴くことができるものの、その出番が少なくなっているのは若干残念です。クレジットを見ると3人にリード・ギターの表記がありますが、おそらく前作同様アンドリュー・ムーアがメインで弾いていると思われます。そもそも、クレジットにベースの担当が記されていなかったり、前作でもドラムが2人いたりして、バンドは実質ダレン・ウォートンのソロ・プロジェクトで、メンバーの扱いがバック・ミュージシャン的に軽いのかもしれません。
さて、冒頭で「ケルト音楽」と書きましたが、白状すると実は「ケルト音楽」のことは詳しく知りません。アイリッシュ・トラッド(民謡、民俗音楽、伝統音楽)のメロディと共通点があるので、知ったかぶりをして「ケルト音楽」と言っているだけです。TenのSpellboundのレビューでも少し触れましたが、様々な民族の侵入と征服が繰り返されたブリテン島とアイルランド島の歴史・文化について、自分が知っていることはあまりにも少ないと言わざるをえません。残存するケルト文化圏とされるアイルランド、スコットランド、ウェールズ、コーンウォール、マン島、フランスのブルターニュ(ブリタニア)、スペインのガリシアなど、それぞれの音楽がどう同じでどう違うのか。ケルト系のトラッド音楽とアングロ・サクソン系のトラッド音楽がどう違うのか。全然分かりません。そもそもダレン・ウォートンはケルトにルーツがあるのでしょうか?まあ日本でも、自分のルーツやアイデンティティに関係なく琉球音楽をやる人もいたりするし。あー、よく分からない。
評価 ★★★★★
★★★★★ 傑作
★★★★☆ 秀作
★★★☆☆ 佳作
★★☆☆☆ 凡作
★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。
■Tracks
01. Silent Thunder
02. Dreams on Fire
03. White Horses (Lions Heart)
04. Belief
05. Run Wild Run Free
06. We Were Friends
07. Falling
08. Where Will You Run To
09. Take Me Away
10. Promised Land
11. Phoenix
All words & music by Darren Wharton
except #7 words by Darren Wharton, music by Darren Wharton & Richard Dews
#11 words & music by Darren Wharton & Richard Dews
11. Phoenix
All words & music by Darren Wharton
except #7 words by Darren Wharton, music by Darren Wharton & Richard Dews
#11 words & music by Darren Wharton & Richard Dews
■Personnel
Darren Wharton - Lead Vocals, Keyboards
Richie Dews - Acoustic Guitar, Lead Guitar
Andrew Moore - Electric Guitar, Lead Guitar
Julien Gardner - Drums, Percussion
Steve Ricard - Lead Guitar
Tricia Hutton - Violin
Sue Quin - Vocals
Tommy Martin - Whistle, Pipe
Richie Dews - Acoustic Guitar, Lead Guitar
Andrew Moore - Electric Guitar, Lead Guitar
Julien Gardner - Drums, Percussion
Steve Ricard - Lead Guitar
Tricia Hutton - Violin
Sue Quin - Vocals
Tommy Martin - Whistle, Pipe
Producer - Darren Wharton