メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。

セバスチャン・シッポラ

Lord of Flies / Fortune (1995)

0185Lord of Flies










1stMaking Gold の典型的スウェーデン式叙情メタルで日本のファンを前のめりにさせたあげく、2ndCalling Spirits でグランジ化して今度はのけぞらせた、あのフォーチュンの3rdにしてラストのアルバム。どうせ3rdもクソ面白くもない付け焼刃のダーク&ヘヴィ路線だろうとタカをくくっていたら、このバンドはまたまた想定外の変身を遂げていました。ライナーによるとバンドの言い分は、前作はブルース・ゴウディのプロデュースによって本来のメロディの魅力が隠れてしまったとのこと。ん?ブルース・ゴウディが悪いんだと。そう言いたいわけですね。なるほど、なるほど。

で、バンド自身とマッツ・リンドフォースによってプロデュースされた本作は、2ndのなんちっゃてグランジを脱し、かといって1stのような北欧メロディック・メタルに戻るわけでもなく、60~70年代ロックの影響を感じさせるシンプルなハードロックに仕上がっています。出だしの"Daydreamer"からして、ロッド・エヴァンスを思わせる無機質なボーカルが第一期Deep Purpleのようでもあり、ソリッドなリフがグリグリと攻めてくるところがDizzy Mizz Lizzyのようでもあり、そこにときおり叙情メロディが顔をのぞかせるという、古いような新しいような不思議な音です。特筆すべきはリズム・セクションのタイトさで、これが本作のサウンドの決め手になっていると思います。ベニー・セーデルベリの歌唱は多少力強さが増して中々いい感じ。歌いまわしはすっかりアメリカナイズされていて、「アオッ」とか叫ばれるとちょっと気恥ずかしい。ああ、ジョーイ・テンペストもそうだったなぁ。。。

本作には新たにエミル・フレッドホルムというギタリストが加わっており、ツインリード体制となっています。この人はウリ・ジョン・ロートの影響を受けているとのことですが、#4"Heartbreaking Woman"のエモーショナルなリード・ギターなどはまさにウリ・ジョン・ロート+マイケル・シェンカーという感じで、このバンドに新しい魅力を付け加えています。また、ヘンリック・ベリクヴィストのアコギ、エミル・フレッドホルムのマンドリンが、独特の空気感を醸し出していているのも好印象。ピアノなんかもそうですが、ハードロックと生楽器は意外に相性が良くて、ちんけなシンセ音よりよほどサウンドの品位を高める効果があると思います。

総じて、2ndはもちろん、ある意味類型的だった1stにも増してオリジナリティ溢れる本作が、このバンドの最高傑作だったのではないかと思います。この路線でもう1枚作っていたら、ひょっとして歴史的名盤が誕生していたかも、なんて夢想してしまいました。現実にはこのアルバムを最後にフォーチュンは解散し、ベニー・セーデルベリはClockwise、ヘンリック・ベリクヴィストはThe Poodles、エミル・フレッドホルムはPlanktonとそれぞれ別の道を歩むことになります。

★追記2017年2月
これまで国内盤ライナーノーツに従って、Benny Söderbergを「ベニー・スドベリ」と表記してきましたが、スウェーデン人名Söderbergの一般的カタカナ表記にならって「ベニー・セーデルベリ」に改めます。 

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Daydreamer (M: Söderberg, Lund, Bergqvist / L: Söderberg)
02. King Of Kings (M: Söderberg, Lund, Bergqvist / L: Söderberg)
03. Bad Days (M: Söderberg, Bergqvist / L: Söderberg)
04. Heartbreaking Woman (M: Söderberg, Lund, Bergqvist / L: Söderberg)
05. Black Circle (M: Söderberg / L: Söderberg)
06. Dusty Road (M: Söderberg / L: Söderberg)
07. Elvis Presley (M: Bergqvist, Lund, / L: Söderberg)
08. Forsaken Nation (M: Söderberg / L: Söderberg)
09. Fallen Angel (M: Söderberg, Bergqvist / L: Söderberg)
10. Lord Of Flies (M: Bergqvist / L:  Bergqvist, Söderberg)
11. Raining Stones Over Babylon (M: Fredholm / Söderberg, Fredholm)
12. Terminate (M: Söderberg / L: Söderberg)
13. Carolina (M: Bergqvist / L:  Söderberg)

■Personnel
Benny Söderberg - lead and backing vocals, keyboards
Henrik Bergqvist - electric and acoustic guitars
Emil Fredholm - electric guitars, mandolin
Janne Lund - bass, backing vocals on "Elvis Presley"
Sebastian Sippola - drums, percussion

Janne Blingegard - hammond organ

Producer - Fortune and Mats Lindfors

Calling Spirits / Fortune (1994)

130Calling Spirits










ベニー・セーデルベリ率いるスウェーデンのメロディアスHR/HMグループだったフォーチュンの2ndアルバム。1stは叙情性と田舎臭さを併せ持つ元祖北欧HR/HMを絵に描いたような秀作でした。2ndは、、、時まさに1994年、彼らもやっちまいました。見事に自分たちに似合わないい「モダン」路線に切り替えてしまっています。これは痛い。HR/HMのアンチたるオルタナ/グランジの軍門に降るとはいったい何を考えているのか。だいたいベニー・セーデルベリの歌唱でこういう音楽をやるのに無理があるだろうって本人たちが気づかないのか。ヘンリック・ベリクヴィストのギターが1stよりさらに進化を遂げて聴き応えがあるのが唯一の救いです。メンバーはドラム以外は前作と同じです。バッキング・ボーカルにヨラン・エドマン、プロデュースにStone Fury、Unruly Childのギタリスト、ブルース・ゴウディがクレジットされています。

★追記2017年2月
これまで国内盤ライナーノーツに従って、Benny Söderbergを「ベニー・スドベリ」と表記してきましたが、スウェーデン人名Söderbergの一般的カタカナ表記にならって「ベニー・セーデルベリ」に改めます。 

評価 ★★☆☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Calling Spirits (B. Söderberg/B. Gowdy/ Fortune)
02. Preacher Man (B. Söderberg/H. Bergqvist/ Fortune)
03. Freedom (B. Söderberg/ Fortune)
04. Be My Lover (B. Söderberg/ Fortune)
05. No For An Answer (B. Söderberg/ Fortune)
06. Stay (B. Söderberg/B. Gowdy/ Fortune)
07. Desperado (B. Söderberg/ Fortune)
08. Shakespear's Nightmare (J. Lund/B. Söderberg/ Fortune)
09. Trail Blazer (B. Söderberg/H. Bergqvist/ Fortune)
10. Shoot! [bonus] (B. Söderberg/H. Bergqvist/ Fortune)

■Personnel
Benny Söderberg - lead and backing vocals, keyboards
Henrik Bergqvist - guitars
Janne Lund - bass, keyboards
Sebastian Sippola - drums

Göran Edman – backing vocals
Bruce Gowdy – keyboards

Producer - Bruce Gowdy 

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