メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。

スティーヴ・ポーカロ

Because They Can / Nelson (1995)

0042Because They Can

アイドル的人気で一世を風靡したアメリカのカントリー歌手、故リッキー・ネルソンの双子の息子であるマシュー・ネルソンとガナー・ネルソンのグループ、Nelsonの2ndアルバム。このアルバムには有名な裏話があります。300万枚を売り上げた1stアルバムAfter The Rain (1990)に続く2ndアルバムは、実は1992年にImaginator というタイトルで完成していたのですが、レコード会社(Geffen Records)は1stに比べてややダークでヘヴィなサウンドに難色を示し、前作の路線を踏襲した「売れる音」を要求。一作分の契約が残っていたネルソンズは、泣く泣くまたレコーディングに入りこのBecause They Can を完成させ、1995年にリリースされることとなります。ですから、このアルバムはリリース順で言うと2作目ですが、制作順で言うと3作目ということになります。2ndのリリースまでに5年を費やしたことで、ロック・シーンの状況も変化し、美形のネルソン兄弟のアイドル的人気も加齢にともない低下、結局レーベルが目論んだようには商業的成功を収めることはできませんでした。お蔵入りとなったImaginator は、自分たちで立ち上げたStone Canyonレーベルから翌1996年に3rdアルバムとしてリリースすることになります。

そんな曰くつきの作品ですが、つまらないアルバムなのかと言えばそれは違います。確かに、ゲフィンに求められたとおり全体のカラーは前作に近い明るくキャッチーなものとなっていますが、サウンド的にはかなり大きな変化があります。ハードでエッジの立った曲も多かった前作に比して、アコースティック楽器を中心としたアンサンブル、カントリー・ミュージックの香りのする歌メロやギター・ソロに象徴的なように、かなりソフトなサウンドに仕上がっています。そういう意味では全然前作を踏襲していないとすら言えるかもしれません。いずれにしても、聴けは聴くほどこのアルバムの音楽的水準は極めて高いと筆者は感じます。何よりメロディが素晴らしい。大げさに言えばビーチ・ボーイズだとかイーグルスに匹敵するような、アメリカのロック・ミュージックの最良のメロディが詰め込まれていると思うのです。アイドル扱いして消費されるにはあまりにも惜しい才能が、この時期のネルソンズにはあると筆者は考えています。強制されて作ったアルバムとはとても思えませんよ、このアルバム。

さて、バックのメンバーですが、ブレット・ガースド、ジョーイ・キャスカート、ポール・マーコビッチ、ボビー・ロックが前作に引き続きレコーディングに参加しています。さらに、エリオット・イーストン(The Cars)、ジェフ・バクスター(Steely Dan, The Doobie Brothers)、マイケル・ボッツ(Bread)、スティーヴ・ポーカロ(TOTO)、ドン・フェルダー(Eagles)、ジェリー・ベックリー(America)、ティモシー・シュミット(Poco, Eagles)、マイク・ベアードその他、数多くの名うてのミュージシャンが参加しているのも注目されます。ブックレットに記された各曲のクレジットを見ながら聴くのもまた一興です。

プロデュサーとしてクレジットされているのは、ネルソン兄弟に加えて二人。一人はジョン・ボイランです。この人は1960年代から活躍している大ベテランで、リンダ・ロンシュタットやボストンのプロデューサーとして著名ですが、その昔ネルソンズのパパであるリッキー・ネルソンのアルバム制作も行った経歴があるのです。奇遇なのか意図した起用なのかは分かりませんが。もう一人のプロデューサー、デヴィッド・J.ホルマンは前作でミキシングを担当していた人物です。前作のプロデューサーだったマーク・タナーは、今回はバッキング・ボーカルでのみの参加となっています。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. (You Got Me) All Shook Up (Matthew & Gunnar Nelson, Marc Tanner)
02. The Great Escape (Matthew & Gunnar Nelson, Marc Tanner)
03. Five O'Clock Plane (Matthew & Gunnar Nelson, Marc Tanner)
04. Cross My Broken HeartCross My Broken Heart (Matthew & Gunnar Nelson, Danny Tate)
05. Peace on Earth (Matthew & Gunnar Nelson, Taylor Rhodes)
06. Remi
07. Won't Walk Away (Matthew & Gunnar Nelson, Jack Ponti)
08. Only a Moment Away (Matthew & Gunnar Nelson, Marc Tanner)
09. Joshua Is With Me Now
10. Love Me Today (Matthew & Gunnar Nelson)
11. Be Still (Matthew & Gunnar Nelson)
12. Right Before Your Eyes (Matthew & Gunnar Nelson, Taylor Rhodes)
13. Nobody Wins in the End (Matthew & Gunnar Nelson, Marc Tanner)
※日本盤ボーナストラック
14. After the Rain ('95 Version)
15. Nothing's Good Enough for You (Demo Version)

■Personnel
Matthew Nelson – lead & backing vocals, bass, guitars
Gunnar Nelson – lead & backing vocals, guitars, mandolin, percussions

Joey Cathcart – guitars, dobro, backing vocals
Brett Garsed – guitars, backing vocals
Elliot Easton – guitars
Jeff Baxter – pedal steel guitar
Mike Baird – drums
Michael Botts – drums
Bobby Rock – drums
Paul Mirkovich – keyboards, backing vocals
Steve Porcaro – keyboards
Kenneth Blackwell – mandolin
Don Felder – mandolin
Gerry Beckley – backing vocals
Timothy B. Schmit – backing vocals
Mark Lennon – backing vocals
Marc Tanner – backing vocals

Producer - John Boylan, Matthew & Gunnar Nelson
except 6, 7, 9, 11, 13 produced by David J. Holman, Matthew & Gunnar Nelson

Harlan Cage / Harlan Cage (1996)

0025Harlan Cage

1985年にアルバムを1枚残して消えたフォーチュンというメロハー/AORグループがいました。何故かメロハー業界には「フォーチュン」と名乗るバンド が多いのですが、アメリカのバンドで、やや有名なほうのフォーチュンです。そのフォーチュンのメンバーだったL.A.グリーンとロジャー・スコット・クレイグの2人が再び組んだユニットがハーラン・ケイジで、これは彼らの第一作のセルフタイトル・アルバム。曲調は「哀愁」一色です。誇張でもなんてもなく、 最初から最後まで全曲がセンチメンタルな声で歌われる哀愁のメロディです。哀愁のメロディ、もちろん大好きなのですが、多少のテンポやアレンジの違いはあってもここまで同じカラーの曲が詰め込まれるとさすがにお腹一杯になります。一曲一曲はいいのですが、アルバム通しはキツイ。。。全然OKという方ももちろんいるでしょうが、筆者としては、もう少しバリエーションが欲しいというのが正直なところです。

このアルバムは、ゲスト・ギタリストが参加して素晴らしいプレイで彩を添えているのがうれしい聴き所です。ネルソンやデレク・シェリニアンのアルバムでプレイしていたブレット・ガースド、それからビリー・リースギャング(ライスギャング)とマイケル・ターナー、この2人はロジャー・スコット・クレイグとともに101 Southでもプレイしています。またビリー・リースギャングとロジャー・スコット・クレイグは、80年代にNina Hagenのバックを勤めていたこともあり旧知の間柄のようです。ギタリストではありませんが、ピアノでスティーヴ・ポーカロなんていう名前もクレジットされています。ところで、ゲスト・ギタリストの一人Ron Anielloというのは、あの有名なプロデューサーのロン・アニエロ本人?同名異人?

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Pay the Devil His Due (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
02. 98 in the Shade (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
03. One Naked Kiss (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
04. Three Nights Running (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
05. Wires and Chains (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
06. Kiss of Fools (Tom Whitlock)
07. Destiny (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
08. Run Rebel Run (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
09. Too Much (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
10. Sweet Salvation (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
11. Takin' Out the Trash (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
12. Silver Wings (L. A. Greene, Roger Scott Craig)
13. Let it Rain (L. A. Greene, Steve Porcaro)

■Personnel
L. A. Greene - Lead Vocals, Guitars
Roger Scott Craig - Keyboards, Vocals

Richie Onori - Drums
Brian Peters - Bass, Vocals
Michael Langlan - Lead Guitars

Ron Aniello - Guitars on "Sweet Salvation", "Kiss of Fools"
Bobby Robles - Guitars on "Run Rebel Run"
Brett Garsed - Guitars on "Let it Rain", "Wires and Chains"
Mike Turner - Guitars on "Three Nights Running", "Takin' Out the Trash"
Billy Liesegang - Guitars on "Destiny", "Silver Wings"
Steve Porcaro - Piano on "Let it Rain"

Producer - Harlan Cage


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