LAメタル・ブームの中から頭角を現したバンドDokkenの2ndアルバム。メタル・ブームの追い風もあってか、USアルバム・チャート49位を記録し、初のプラチナ・ディスクも獲得、バンドの出世作となりました。
メンバーは、ドン・ドッケン(Vo)、ジョージ・リンチ(G)、ジェフ・ピルソン(B)、ミック・ブラウン(Ds)、プロデュースは70年代からハードロック系のバンドを手がけ、80年代にはMötley CrüeやTwisted Sisterのヒット作を制作したトム・ワーマン。プロデューサーの選任をめぐっては、1stアルバムを担当したマイケル・ワーグナーを推すドン・ドッケンの意向が実現せず、また曲作りの段階でもドン・ドッケンが排除されたりするなど、早くもドン・ドッケンとジョージ・リンチの衝突が表面化していたようです。しかし、バンド内の確執が必ずしも悪い結果ばかりをもたらすとは限らず、むしろ名曲や名演を生んだ例も数多いのも事実です。本作に関しても、前作に比べて楽曲面でも演奏面でも飛躍的に水準が上がったと感じさせる出来栄えとなっています。特に、闇夜を切り裂く閃光のようなギター・インスト#1"Without Warning"から、疾走曲#2"Tooth and Nail"へ繋がっていくオープニングの爆発力・ただならぬ緊張感は鳥肌物。また、この曲に限らず本作でのジョージ・リンチのギターは凄まじいの一言で、まさに「剃刀」の異名がふさわしいシャープでハイ・テンションな名演ばかりです。ただし、#2"Tooth and Nail"はこのバンドとしてはむしろ異色なゴリゴリのヘヴィ・メタルだし、他の曲もサビがタイトル連呼するだけの比較的単純で他のLAメタル・バンドと大差無いような曲が多く、ミドル・テンポの哀愁メロディというDokkenの典型的スタイルはまだ前面に出てきていません。やはりこのバンドが本領発揮となるのは次作以降だと思います。
評価 ★★★★☆
★★★★★ 傑作
★★★★☆ 秀作
★★★☆☆ 佳作
★★☆☆☆ 凡作
★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。■Tracks
01. Without Warning (Music : Lynch)
02. Tooth and Nail (Music : Lynch Lyrics: Lynch, Pilson, Brown)
03. Just Got Lucky (Music : Lynch Lyrics: Pilson, Lynch)
04. Heartless Heart (Music : Lynch, Pilson Lyrics: Pilson, Lynch, Brown)
05. Don't Close Your Eyes (Music : Lynch, Dokken, Pilson Lyrics: Lynch)
06. When Heaven Comes Down (Music : Lynch Lyrics: Pilson, Brown, Lynch)
07. Into the Fire (Music : Pilson, Lynch, Dokken Lyrics: Dokken)
08. Bullets to Spare (Music : Lynch Lyrics: Dokken, Pilson, Brown, Lynch)
09. Alone Againt (Music : Pilson, Dokken Lyrics: Dokken, Pilson)
10. Turn on the Action (Music : Lynch, Pilson Lyrics: Brown, Lynch, Pilson)
■Personnel
Don Dokken - Vocals
George Lynch - Guitars
Jeff Pilson - Bass, Vocals
Mick Brown - Drums