メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。

ジョン・マカルーソ

Firefly / TNT (1997)

0312Firefly










1997年に発表された再結成TNTの1作目のアルバム。オリジナル・アルバムとしては通算6枚目となります。リリース当初から「グランジ化した」「暗すぎる」とファンの間では評判の芳しくなかった作品です。時代的な背景から言ってグランジ、オルタナティヴ・ロックの影響はもちろんあったのでしょうが、ロニー・ル・テクロのVagabondに似た雰囲気もあるし、トニー・ハーネルのMorning Woodを思わせるアコースティカルな曲も収録されていて、解散中のそれぞれの音楽活動の延長線ととらえることも出来ます。また、#9thコードと特徴的なリズムから明確なジミヘンへのオマージュを感じ取れる曲もあり、どうも単純にグランジ・ブームに乗っかっただけとは言い切れないような気がします。まあ、いずれにしてもTell No TalesやIntuitionで確立したバンドのイメージからはずいぶん遠くに来てしまったのは間違いありません。ただ、これまでのサウンドに拘らなければ、結構いいアルバムなのではないかと思います。リリースから20年以上経っても古臭さが一切感じられないのが凄い。特に#9"Moonflower"の幻想的な美しさは絶品です。演奏面では、なんと言ってもロニー・ル・テクロのぶっ飛び具合が凄まじいです。HR/HMギターの類型を飛び出て、もはやアバンギャルドの域に達した感がありますね。なお、#11"Soldier Of The Light"はIntuition制作時のデモだそうで、ちょっと雰囲気が違って浮いてしまってるのがもったいない。無理してこのアルバムに入れなくても良かったんじゃないかなぁ。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Firefly (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Morty Black)
02. Angels Ride (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
03. Tripping (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
04. Daisy Jane (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
05. Somebody Told You (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
06. Month Of Sundays (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
07. Only The Thief (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
08. Heaven's Gone (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
09. Moonflower (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, MB Normann)
10. Sunless Star (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Morty Black)
11. Soldier Of The Light(Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)

■Personnel
Tony Harnell – lead & harmony vocals
Ronni Le Tekrø – all guitars, vocals
Morty Black – bassguitars

Dag Stokke - Keyboards
Frode Hansen – drums, percussion
John Macaluso – drums on #11

Producer - TNT
except #11 produced by Bob Icon
 

Indigo Dying / Indigo Dying (2007)

0270Indigo Dying









チリ出身の女性ボーカリスト、ギザ・ヴァッキーを主役にすえたメロハー・プロジェクトIndigo Dying(インディゴ・ダイング)の、今のところ唯一作。楽曲はオリジナルではなく、オルタナティヴ系からポップ・ソウルまで様々なアーティストの曲をカバーしています。リリースはイタリアのメロハー・レーベルFrontiers Recordsで、同じ頃ミケーレ・ルッピをフィーチャーして制作されたLos Angelesと同様の企画です。プロデュースはFrontiersお抱えのファブリツィオ・グロッシでベースも兼任。その他バックを勤めたプレイヤーは、ジョン・マカルーソ(Ds)、モルディ・ハウザー(Gt)、トミー・デナンダー(Gt)、ジェイミー・テラモ(Key)と、これもLos Angelesとだいぶ重なっています。また、マイケル・キスク(Helloween、Unisonic etc)とマーク・ボールズ(Yngwie Malmsteen、Ring of Fire etc)がゲスト・ボーカルとして動員され、さすがに堂々とした歌いっぷりを披露しているのも注目点。

さてアルバムの中身ですが、筆者には色々と疑問符が付いてしまうものでした。静かなピアノをバックに歌い出して、歪み切ったギターと大音量のドラムとベースがいきなり入ってくるというようなパターンが多く、それが鼻につきます。ゴシック・メタル・バンドやEvanescenceを想起させるようなサウンドで、静と動を対比させるといった狙いがあるのかも知れませんが、果たして成功しているのかどうか。ギザ・ヴァッキーの歌唱自体は表情豊かで好感が持てるものです。しかし、メロディ・ラインも種々雑多なカバー曲を、同じような強烈なサウンドをバックに、それでも有無を言わせず自分の持ち歌のように聴かせるほどの歌唱力や強烈な個性はありません。むしろボーカルがバンドの爆音に埋もれがちになってしまっています。もちろんそれは、主役を振られたギザ・ヴァッキーや、スタジオで指示通り仕事をしたミュージシャンの責任ではないでしょう。選曲・アレンジからサウンド・プロダクションまで、レコーディング一切を取り仕切ったであろうファブリツィオ・グロッシを含め、レーベル側の問題です。ちょっと無理のある企画だったんじゃないかなぁ。ギザさんは以前ユーミンのアルバムにバック・ボーカルで参加したこともあるらしい。ソロ歌手として初めてのアルバムだったのに、オリジナル曲ではなくカバー企画一発でその後音沙汰なくなってしまったギザさんが、なんだか可哀相に感じてしまうのです。

 評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. All I Never Wanted (Kara DioGuardi/John Shanks)
02. Hear Me (Kelly Clarkson/Kara DioGuardi/Clif Magnes)
03. Breathe In Water (Anggun/Jean Fauque/Jean Pierre Taieb)
04. Better (Tiffany Arbuckle Lee/Shaun Shankel/Matt Bronleewe)
05. Taken (Tiffany Arbuckle Lee/Shaun Shankel/Matt Bronleewe)
06. Superman (Sahaj Ticotin)
07. Island (Debby Holiday)
08. Remember (I.O.U.) (Eric Durrance/Rick Jackson)
09. Real Life Fairytale (Matt Bronleewe/Tiffany Arbuckle Lee)
10. Far Enough (Sahaj Ticotin)
11. Shattered Life (Joseph Rojas/Josh Schwartz/Jeremy Holderfield)
12. Go (Anggun/Jean Pierre Taieb)
13. Go ( Remixed )

■Personnel
Gisa Vatcky - Lead & Backing Vocals
John Macaluso - Drums
Mordechai "Mordy" Hauser - Guitars
Jamie Teramo - Keyboards, B3, Piano
Fabrizio Grossi - Bass, Orchestrations Programming, Sitar, Acoustic Guitar
Tommy Denander - Additional Guitars
Joshua Berkowitz - Additional Guitars
Michael Kiske - Vocals on "Breathe In Water"
Mark Boals - Vocals on "Superman" and "Fair Enough"

Producer – Fabrizio Grossi

Three Nights in Tokyo / TNT (1992)

0156Three Nights in Tokyo










1992年8月日本公演を収めたTNT初のライブ・アルバム。日本国内のみのリリースとなっています。当時すでに解散が決定しており、集金ツアーだとか悪口を言われ、公演自体も観客の盛り上がりに欠けるなど、ネガティヴな評価がつきまとうライブでしたが、アルバムを聴く限りそんなに酷いものではありません。演奏・歌唱とも非常にハイ・レベルで、特にロニー・ル・テクロのギターが冴えまくっています。「ライブなのに凄い」と考えがちですが、本物は「ライブだから凄い、ライブの方が凄い」のが当たり前ですよね。トニー・ハーネルの天を突くようなハイトーンにも圧倒されます。ボーカリストとしてはこのころがピークだったんだろうと思います。

メンバー自身が収録曲を選んだということですが、直近のアルバムRealized Fantasiesから多く採られているのは当然としても、日本で特に人気の高い4thIntuitionから1曲も選ばれていないのが不思議です。あえて外したとしか思えませんが、理由は分かりません。収録されているのは、2ndKnights of the New Thunderから1曲、3rdTell No Talesから3曲、5thRealized Fantasiesから6曲、それにロニー・ル・テクロのギター・ソロが1曲扱いで計11曲です。評判の良くない5th中心の選曲ですが、ライブだと意外に他のレパートリーともなじんでいて、違和感はまったくありません。

前述したとおり、このアルバムを最後にTNTは解散。本国ノルウェーと日本では売れたものの、アメリカでの成功に手が届かないことから、トニー・ハーネルとロニー・ル・テクロの間に確執が生じていたと伝えられています。後に再結成しますが、音楽性はかなり変わってしまいます。本作は選曲に難はあるものの、全盛期TNTの唯一のライブ盤として貴重なものでしょう。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Purple Mountain's Majesty (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Dag Stokke)
02. Hard to Say Goodbye (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)
03. Downhill Racer (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Morty Black)
04. As Far as the Eye Can See (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)
05. 10,000 Lovers (In One) (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Diesel Dahl)
06. Guitar Solo (Ronni Le Tekrø)
07. Indian Summer (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)
08. Lionheart (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Del James)
09. Seven Seas (TNT)
10. Mother Warned Me (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Del James)
11. Everyone's a Star (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)

■Personnel
Morty Black – bass
John Macaluso – drums
Ronni Le Tekrø – guitars
Tony Harnell – vocals

Dag Stokke – keyboards 

 

Realized Fantasies / TNT (1992)

0107Realized Fantasies
1992年にリリースされたノルウェーのHR/HMバンドTNTの5枚目のアルバム。1990年代初頭のグランジ・オルタナ・ブームに際して、多くのHR/HMが時流に乗り遅れまいとダーク&ヘヴィな方向に舵を切る中、TNTは何故かこのアルバムでLAメタル的な音にシフトしています。既にLAメタルも旧時代の遺物扱いされる時期なのに、どういう戦略なのか全く理解しがたい。もっとも次作Firefly (1997)でTNTも結局グランジ化するわけですが、1997年と言えばグランジ・オルタナ・ブームもとりあえず落ち着きを見せているわけで、このバンドどこかワン・テンポずれている感が否めません。

ジャケットの趣味は最悪だし、プロデューサーはホイットニー・ヒューストンやマライア・キャリーを手がけて実績はあるものの畑違いのリック・ウェイクだし、そんでもってなんで今更LAメタルなのか。謎は深まる一方ですが、筆者は世間で言われるほどこのアルバムを嫌いではありません。確かにメロディの質がモロにアメリカ指向になり、トニー・ハーネルもややガナリ気味に歌唱法を変えたことで、北欧HR/HM特有の水晶のごとく透明で美しいTell No TalesIntuition のイメージは大きく損なわれ、「汚れちまった悲しみ」を感じます。ニューヨークでのレコーディングのせいなのか、サウンドもやけにドライになりました。でも、 Firefly 以降別のバンドみたいになってしまった変化に比べたら、このバンドならではのメロディの輝きはまだまだ十分残っているし、とりわけラストの"Indian Summer"には過去の名曲に比肩しうる叙情性と美しさがあります。一般の悪評だけでこのアルバムを聴かないとしたら、それはすごくもったいないよな~。

ラインナップは、ロニー・ル・テクロ(gt)、トニー・ハーネル(vo)、モーティ・ブラック(ba)は前作と同じ。ドラムは前作に引き続きのメンバー・チェンジで、ケネス・オディーンからアメリカ人ドラマーのジョン・マカルーソに交代しています。サポート・ミュージシャンにまたジョー・リン・ターナーがクレジットされていますが、どの曲で歌っているのか今回も不明です。キーボードのダグ・ストッケは、この後レコーディングとライブの両方でTNTと行動を共にする準メンバー的な存在ですが、昨年(2011年)亡くなっています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Downhill Racer (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Morty Black)
02. Hard to Say Goodbye (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)
03. Mother Warned Me (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Del James)
04. Lionheart (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Del James)
05. Rain (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)
06. Purple Mountain's Majesty (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Dag Stokke)
07. Rock n' Roll Away (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Del James)
08. Easy Street(Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Borge Pedersen, Del James, Bobby Icon)
09. All You Need (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Morty Black)
10. Indian Summer (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)

■Personnel
Morty Black – bass
John Macaluso – drums
Ronni Le Tekrø – all guitars, additional keyboards, 1/4 stepper guitar
Tony Harnell – lead and harmony vocals

Dag Stokke – keyboards
Rich Tancredi – keyboards
T.J. Kopetic – keyboards
Peter Wood – piano on "Easy Street"
Kyf Brewer – harp on "All You Need"
Joe Lynn Turner – background vocals

Producer - Ric Wake 


記事検索
カテゴリ別アーカイブ
プロフィール

トンキチ

タグクラウド
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ