メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。

ジュリー・グロー

Humanimal [Part 1 & 2] / Talisman (1994)

0158Humanimal










1994年にリリースされたタリスマンの3rdアルバム。オリジナル国内盤と欧州盤は収録曲が一部異なり、国内盤に入っていない曲を集めたHumanimal Part 2もリリースされています。変則的なリリースで若干混乱するのですが、ここではHumanimal制作時にレコーディングされた全曲を収録したHumanimal Part 1 & 2を取り上げたいと思います。

北欧メロハーのイメージ通りの1st、ファンク要素を取り入れ変化の兆しを見せた2nd、それに続く本作ではファンキーなグルーヴが更に強調されてタリスマン独自のサウンドが完成の域に達しました。一部の曲ではミクスチャー・ロックと言って差し支えないところまできています。旧来のタリスマン・ファンの中には、ジェフ・スコット・ソートのラップに面食らい、あるいはタリスマンもオルタナ化したと失望する向きもあったかもしれません。しかし筆者は最初にこのアルバムを聴いたときから違和感はなく、ごく自然に受け入れて愛聴してきました。「HR/HMも歌えるソウル・シンガー」ジェフ・スコット・ソートと、「HR/HMにおけるベース・プレイに過剰なまでの自己主張を持ち込みたい」マルセル・ヤコブの化学反応、そういう内的要因がサウンドの変化をもたらしているのは明白です。少なくない数のHR/HMバンドが、流行に乗り遅れたくないという外的要因だけで恥も外聞もなくオルタナ/グランジ化したのとは違い、たとえオルタナ/グランジ・ブームが無かったとしても、ジェフとマルセルの共振は腰の据わった重心の低いグルーヴとなり、Humanimalを世に問うことになったに違いないと思うのです。ジェフはマルセルの自死に際して、「君がいなくなって寂しいよ、俺の『共犯者』マルセル!」と呼びかけました。そこには深い思いがあるのだろうと想像します。ロック創成期の60年代なら、ストックホルム生まれの天才変態ベーシストと、ブルックリン生まれLA育ちのプエルト・リコ系ソウル・シンガーが出会うことすらなかったかもしれません。Humanimalは二人の邂逅が生んだHR/HM史に残る名盤でしょう。

前述したようにこのHumanimal Part 1 & 2は言わば完全版で、本来ならアウトテイクとなるものまで収録されているのでしょうが、つまらないと感じる曲はありません。ファンキーな曲以外にもフォーク・ソウル風の"All + All"、"To Know Someone Deeply Is to Know Someone Softly"など不思議な味わいがあるし、アコースティカルなバラード"Since You've Gone"、サム・クックやスモーキー・ロビンソンが歌いそうなレトロなソウル"Doin' Time wit' My baby"も素晴らしい。哀愁メロハー"Lonely World"、ぬけぬけとポップな"My Best Friend's Girl"などは1stに入っていてもおかしくない曲。そして、タイトル曲"Humanimal"は攻撃的なスピード・チューンで、バンド一体となって突進する様が快感。というように、曲数は多いものの全く飽きさせません。

本作からジェイミー・ボーガーが専任ドラマーとしてレコーディングに加わっていますが、彼がタリスマン・サウンドの確立に果たした役割は大きいと思います。マルセルとの相性は抜群で、実に生々しく強靭なグルーヴを生み出しています。ギターのフレドリック・オーケソンは前作から引き続きの参加です。後にArch Enemy加入時に「タリスマンのファンキーなところが嫌だった」なんて言ってたらしいですが、その割にはいい仕事してるじゃないですか。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
Disc 1 [Humanimal Part 1]
01. 3233 + Colour My XTC
02. Fabricated War
03. Tainted Pages
04. Tv Reality
05. Seasons
06. All + All
07. D.O.A.P.S
08. Blissful Garden
09. Lonely World
10. Delusions of Grandeur
11. Since You've Gone
12. Humanimal
13. Doin' Time wit' My baby

Disc 2 [Humanimal Part 2]
01. Animal Ritual
02. You Cannot Escape the Revelation of the Identical by Seeking Refuge in the Illusion of the Multiple
03. My Best Friend's Girl
04. Dear God
05. Hypocrite
06. Wasting R Time
07. To Know Someone Deeply Is to Know Someone Softly
08. Todo y Todo
09. Colour My xtc (Video)
All songs written by Jacob/Soto
except "Blissful Garden" (Åkesson/Soto), "3233" and "Humanimal" (Jacob)

■Personnel
Jeff Scott Soto - lead and backing vocals, wurlitzer piano
Marcel Jacob - bass guitar, rhythm guitar, acoustic guitar
Fredrik Åkesson - lead and rhythm guitars
Jamie Borger - drums, percussion

Julie Greaux - backing vocals
Ronny Lahti - funky wah-guitar on "Seasons"

Producer - Marcel Jacob & Jeff Scott Soto 

 

Between the Walls / Axel Rudi Pell (1994)

0114Between the Walls
ドイツ人ギタリスト、アクセル・ルディ・ペルのソロ・プロジェクトの4枚目のアルバム。ジェフ・スコット・ソートをボーカルを迎えて2作目となります。楽曲、サウンドの傾向はこれまでのアルバムと変わらずメロハー寄りのメタルといった感じです。んー。。。オープニングのクリアー・トーンのギターがビビっていていきなり萎えます。ギターのコンディション不良か、または押さえ方が悪いのでしょう。アクセル・ルディ・ペルのギターのデタラメさには慣れたとは言え、さすがにこれは前代未聞。よくプロデューサーがOK出したなと思ったら、本人プロデュース。。。ダメだこりゃ。

相変わらず楽曲も編曲も稚拙で80年代のB級メタルを思わせますが、ジェフ・スコット・ソートとドラムのヨルグ・マイケルの力量に助けられて、なんとか聴ける音になっています。特にレインボー風の#5"Casbah"、#8"Innocent Child"はカッコよくて、ギター・ソロが出てくるまでアクセル・ルディ・ペルのアルバムだということを忘れそうになります。一方、フリーのカバー#7"Wishing Well"でのジェフ・スコット・ソートのボーカルが精彩を欠いているのが意外。ソウルフルに勢いよく歌う力は完璧なのに、引きずるようなブルージーな歌唱はちょっと苦手みたいですね。いろんな人にカバーされている曲ですが、今まで聴いた中で一番つまらないと思いました。

なお、本作からキーボードで参加しているジュリー・グロー(Julie Greaux)、タリスマンでもジェフ・スコット・ソートと共演していますが、ブックレットで見る限り結構な美人。ま、音には関係ないんですが。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. The Curse (Pell)
02. Talk of the Guns (Pell, Soto)
03. Warrior (Pell, Soto)
04. Cry of the Gypsy (Pell, Soto)
05. Casbah (Pell)
06. Outlaw (Pell)
07. Wishing Well (Rodgers, Kirke, Yamauchi, Bundrick, Kossoff)
08. Innocent Child (Pell)
09. Between the Walls (Pell, Soto)
10. Desert Fire (Pell)

■Personnel
Axel Rudi Pell - guitars
Jeff Scott Soto - vocals, choir vocals
Jörg Michael - Drums
Volker Krawczak - Bass
Julie Greaux - Keyboards, choir vocals

Producer - Axel Rudi Pell, Ulli Pösselt 

Genesis / Talisman (1993)

0052Genesis

スウェーデンのメロハー・グループ、タリスマンの2枚目のアルバム。このアルバムから、ファンキーなリズムを打ち出したタリスマン独特のグルーヴが現れてきます。ファンクといっても、マルセル・ヤコブがスラップとかするわけではありませんが、あの手数の多いグリグリベースが16ビートで跳ねる様はなんとも快感です。曲のほうは、ボーナスのバッド・カンパニーの"Run with the Pack"を除き、全てマルセル・ヤコブが書いています(詞はほとんどジェフ・スコット・ソートです)。これがまた名曲ぞろい。マルセル・ヤコブはメロディ・メイカーとしても天才だと強く感じさせられます。ただ、#9"Give Me a Sign"のリフが、ホワイトスネイクの"Fool for Your Loving"に似ているのが惜しい。超有名曲なんだから、もうちょっと別のリフを考えればいいのに。。。

そのマルセル・ヤコブのメロディを歌うのに、ジェフ・スコット・ソートはまさにうってつけ。彼の参加したどのバンド、プロジェクトより、マルセルと組んだジェフのボーカルは素晴らしい。アメリカ人であるジェフの容貌や身ごなしから、彼にはアフリカ系の血がいくらか入っているように見受けられますが、そんなこともあってか、特にファンキーな曲では歌いまわしに躍動感が溢れています。また、このアルバムには、バンドの新しいメンバーとしてフレドリック・ オーケソンが参加しています。このころまだ20歳そこそこだと思いますが、後の活躍ぶりが想像できるような、とにかく勢いのあるギターを聴くことができます。ただ速いだけではなく、歌心のあるソロが素晴らしい。

1stのころと同じように、バンドはパーマネントなものではなく、アルバム製作のためのプロジェクトで、ドラムはマルセル・ヤコブの打ち込みのようです。プロデュースもマルセル自身が行い、前作のプロデューサーだったマッツ・リンドフォースは、ミックスやマスターなど裏方としての仕事に携わっています。

なお、本作はオリジナル盤以外に、近年になって複数のレーベルからボーナス・トラックを追加したものが発売されており、ちょっと選択に困ります。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Time After Time (Jacob, Soto)
02. Comin' Home (Jacob)
03. Mysterious (This Time It's Serious) (Jacob, Soto)
04. If U Would Only Be My Friend (Jacob)
05. All or Nothing (Jacob, Soto)
06. All I Want (Jacob, Soto)
07. U Done me Wrong (Jacob, Soto)
08. I'll Set Your House on Fire (Jacob, Soto)
09. Give Me a Sign (Jacob, Soto)
10. Lovechild (Jacob, Soto)
11. Long Way 2 Go (Jacob, Soto)
12. Run with the Pack [Bonus] (Paul Rodgers)

■Personnel
Jeff Scott Soto – vocals
Fredrik Åkesson – lead & rhythm guitars
Marcel Jacob – bass, drums, rhythm guitars, backing vocals

Julie Greaux – backing vocals, ground piano on "All I Want"
Jake Samuels – backing vocals drums

Producer - Marcel Jacob



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