メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

シャイ・ベイビー

Change / Pink Cream 69 (1995)

0233Change









1995年にリリースされたPink Cream 69の4thアルバム。アンディ・デリスが脱退して、ボーカルはイギリス人のデヴィッド・リードマンに変わっています。ドイツを拠点にしているものの、ドイツ人、アメリカ人、ギリシャ人、イギリス人それぞれ1人ずつという編成で、文字通りの多国籍バンドです。音のほうは、前作で垣間見れた当時流行のグランジ/オルタナへの接近が一層顕著となり、全体に暗く澱んだようなサウンド、曲調となっています。ボーカル兼メイン・ソングライターだったアンディ・デリスが抜けてしまったわけで、当然と言えば当然ですが別のバンドの音のように感じられます。まあ、一般に評価は低いようです。

しかし、筆者としては意外にこのアルバムが好きなんです。全体にシンプルで生々しいサウンドがまず良い。暗く重いけどやっぱりこれはハードロックです。本人たちは意識していないと思いますが、このドンヨリ感はグランジというより70年代のマイナーなハードロック・バンドみたいに聴こえる。#1"Funny Words"、#3"Change"、#5"Two Hours"、#"11. New Control"あたりが典型的ですかね。アンディ・デリスと全く違う、やや泥臭いところもあるデヴィッド・リードマンのボーカルも、この音によく合っていると思います。他にも、Talismanっぽい#6"Something I Said"、#9"Queen Bee"もすごくカッコいい。ちょっと異色ですが、ジャズっぽくてアングラ・プログレみたいな#7"Only the Good"、シタールのような音が入ってる#12"Freakshow"もまるでサイケでグッと来ます。T. Rexのカヴァー#8"20th Century Boy"もこれでもかってくらい重くて、中々に面白いなぁ。

それから、今まではあまり感じなかったけど、このバンドの演奏力の高さも改めて認識することができました。リズム隊の力量はかなりのものだし、アルフレッド・コフラーのギターも地味ながらナイスです。#5"Two Hours"のソロとか、モロ好みです。結論としては、アンディ在籍時のメロディアスで一種独特の物悲しさを湛えたPink Cream 69とは違う音ですが、聴き応えのあるアルバムであることは間違いありません。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Funny Words
02. Light of Day
03. Change
04. Yesterdays
05. Two Hours
06. Something I Said
07. Only the Good
08. 20th Century Boy
09. Queen Bee
10. Stretch the Truth
11. New Control
12. Freakshow
All songs written by Pink Cream 69 except "20th Century Boy" written by Marc Bolan

■Personnel
David Readman – vocals
Alfred Koffler - guitar
Dennis Ward - bass
Kosta Zafiriou - drums

David A. – keyboards
Bateke – percussion

Producer - Shay Baby, Pink Cream 69

Change
Pink Cream 69
Epic
1995-03-12

Nothing Lasts Forever / Tribe of Gypsies (1997)

0167Nothing Lasts Forever









ロイ・Z率いるラテン・ロック・バンド、トライブ・オブ・ジプシーズの1stと2ndの間にリリースされたミニ・アルバム。タイトル曲"Nothing Lasts Forever"は、メロディアス・ラテン・ハードロックとでも名付けたい曲調で、このバンド屈指の名曲です。最初一回聴いただけでハマってしまい、中毒のように聴き続けた思い出があります。リリカルなメロディと泥臭いボーカルの対比がとにかく秀逸、ロイ・Zのギター・ソロも情感たっぷり。小刻みなベース・ラインも最高にカッコいいです。ラテンのリズムとメロハー、考えてみれば相性はピッタリかもしれません。

タイトル曲以外も1stの延長線上のハードなラテン・ロックで佳曲ぞろいです。#6"Oh Well"はピーター・グリーン在籍時のフリートウッド・マックのカヴァー。サンタナがやはりフリートウッド・マックのラテン・ブルース・ロック"Black Magic Woman"を取り上げて、彼らの初期の代表的ヒット曲となっています。ピーター・グリーンはラテン風なリズムやパーカッションの使い方が好きらしく、ずっと後年にはサンタナと共演したりしてますね。このトライブ・オブ・ジプシーズの"Oh Well"もオリジナルの雰囲気を残しつつ、完全なラテン・ロックに仕立て上げていて見事の一言です。哀愁と高揚感に満ちたギター・ソロもロイ・Zのベスト・パフォーマンスの一つだと思います。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Nothing Lasts Forever (Roy Z, Robbyn Garcia)
02. Gangland (Eddie Casillas, Roy Z, Dean Ortega, Rey Oropeza)
03. Turn Around (Roy Z, Eddie Casillas, David Ingraham, Dean Ortega)
04. I'm a Man (Steve Winwood, Jimmy Miller)
05. Melena (Roy Z, Doug Van Booven, Mario Quiroga)
06. Oh Well (Peter Green)

■Personnel
Roy Z - guitar, vocals & percussion
Edward Casillas - bass guitar, vocals & percussion
Mario Aguilar - timbales & percussion
David Ingraham - drums & percussion
Elvis Balladares - percussion
Dean Ortega - lead vocals

Doug Van Booven - congas, percussion & vocals
Richard Baker - keyboards
Greg Shultz - keyboards
Rey Oropeza - Rap on "Gangland"
Mario Quiroga - Guest vocals on "Melena"
Linda Bahia - Guest vocals on "Melena"

Producer - Roy Z
Co-Producer - Shay Baby & Tribe of Gypsies 
 

Tribe of Gypsies / Tribe of Gypsies (1996)

137Tribe of Gypsies









メキシコ系アメリカ人ギタリスト、ロイ・Z率いるトライブ・オブ・ジプシーズの1stアルバム。この作品は1993年にはすでにレコーディングを終え、Mercuryレーベルからリリース予定だったのですが何故か頓挫、危うくお蔵入りになりそうなところを日本のJVCから1996年にリリースされたものです。ロイ・Zと言えばBruce Dickinson、Judas Priest、Helloweenなどのプロデュースや楽曲提供で知られる人ですが、このトライブ・オブ・ジプシーズはメタル・バンドではありません。多少ハードさの増したサンタナといったところです。ラテン音楽のリズムやメロディはパターンがあるので、それをロックに取り入れれば、どうしたってヒスパニック・ミュージシャンの先駆者サンタナに似通ってしまうのは仕方ないですね。

筆者はサンタナ好きなので、このトライブ・オブ・ジプシーズかなり好きです。パーカッションでラテンのリズム刻まれただけで心躍ってしまいます。そこに官能的なギターがギューンと入ってこられると、もう辛抱たまりません。この1stアルバムは初期サンタナと同じくブルース色の強いラテン・ロックですが、#4"Guajira"などはそれにメロハー要素も入って、ロイ・Zの色気のあるギター・ソロが爆発します。こりゃすごい!インスト曲#6"Mero Mero Mambo"も、まさにラテン・ロックの真髄とも言うべき妙なるリズムと情念のギターで酔わせてくれます。続く#7"Party"はラテン+ファンクのエキサイティングな曲、一転して#9"Thinking of You"は静謐なサウンドとリリカルなギターが、喪失の哀しみやあきらめを歌った歌詞にぴったりの名曲です。#11"Crazy Love"も美しくセンチメンタルなメロディと歌詞に胸がキュンとなります。他の曲もつまらない曲は一曲もありません。通して聴くと、ロイ・Zのギターの腕もさることながら、その卓越したメロディ・センスにあらためて唸らされます。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. En Mi Barrio (Roy Z, M. Aguilar, E. Casillas, D. Ingraham, D. Ortega, D. Van Booven)
02. In the Middle (Roy Z, E. Casillas, D. Ortega)
03. Death Song (Roy Z, E. Casillas, D. Ortega)
04. Guajira (Roy Z, D. Ortega)
05. Walking on Water (Roy Z, E. Casillas, D. Ortega, D. Van Booven)
06. Mero Mero Mambo (Roy Z)
07. Party (Eddie's Thumb) (Roy Z, E. Casillas, D. Van Booven)
08. Firedance (Roy Z, D. Ortega)
09. Thinking of You (Roy Z, E. Casillas, D. Ortega)
10. We All Bleed Red (Roy Z, M. Aguilar, E. Casillas, D. Ingraham, D. Ortega, D. Van Booven)
11. Crazy Love (Roy Z, M. Aguilar, E. Casillas, D. Ingraham, D. Ortega, D. Van Booven)
12. I'm So Close (Roy Z, D. Ortega)
13. Conjuring of the Soul (Roy Z)

■Personnel
Roy Z - guitar, vocals & percussion
Dean Ortega - vocals, acoustic guitars & percussion
Edward Casillas - bass guitar, vocals & percussion
Mario Aguilar - timbales & percussion
David Ingraham - drums & percussion

Doug Van Booven - congas, percussion & vocals
Dee Dee Bellson - background vocals on "Firedance"
Lee Oskar - harmonica

Ray Rodriguez, Greg Shultz, Mike Baum, Richard Baker, John Nunn - additional keyboards
Sal Rodriguez, Mario Quiroga, Chino Rodriguez, Linda Bahia, Mike Stone - additional background vocals

Producer - Roy Z
Co-Producer - Shay Baby & Tribe of Gypsies

トライブ・オブ・ジプシーズ
トライブ・オブ・ジプシーズ
ビクターエンタテインメント
1996-09-21

   
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