メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。

ゲイリー・バーデン

Captured Alive in Tokyo City / Praying Mantis (1996)

0166Captured Alive in Tokyo City










1995年11月プレイング・マンティス来日公演を収録したライヴ盤。4thアルバムTo The Power Of Tenリリース直後ということでリード・ボーカルはゲイリー・バーデン、またブルース・ビスランドのピンチヒッターとして今は亡きクライヴ・バーがドラムを担当しています。ゲイリー・バーデン擁護派を自認する筆者でも、ライヴ・パフォーマンスに関しては話は別です。音程がフラつく、変なところで声が裏返る、高い音が出ないのをフェイクでごまかす、サビはちょいちょいバック・ボーカルにまかせて自分は歌わない。。。ま、MSGのライヴでも同じなんですが。なんでよりによってゲイリー・バーデン期にライヴ・アルバム出したんだろう?プレマン+メイデン+MSGという、見ようによっては「スーパー・グループ」と言えなくもない編成だったからでしょうか?その元メイデン組のクライヴ・バーは、かつてストレイタスでトロイ兄弟と苦楽を共にした仲。ブルース・ビスランドより上手いドラマーだとは思います。リズムにキレはあるし、オカズなんかゾクゾクするほどカッコいいのですが、なんだか思い切り叩けてない。やはり曲に慣れていないのかな。もう一人の元メイデン組のデニス・ストラットンはすっかりプレマンに溶け込んでいます。元アイアン・メイデンという肩書きはもういらないですね。ティノ・トロイとのツイン・リードの息もぴったり。ただ、微妙に二人のピッチがあってなかったりしますが。。

そういう細かいことは映像を見れば気にならなくなります。このライヴはDVDでもリリースされているし、今はyoutubeでも見ることができます。CD聴いてブーたれるより、動画を見てライヴの臨場感を味わうほうが健全だと思います。とにかく曲は天下一品のプレイング・マンティスなんですから。特に幻と言われてきた1stの名曲には鳥肌が立ちます。アンコール鳴り止まない中メンバーが再登場し、ステージを降りて観客と握手やハイタッチする場面は、プレマンと日本のファンとの絆の深さが見て取れてなんだか妙に感動してしまいます。

なお、このアルバムは抜粋版と、2枚組の完全版とがあります。当時も今もプレイング・マンティスのCDを買うのは少数のファンしかいないだろうし、ファンなら完全版を買うだろうから、抜粋版を出す意味が分かりませんけど。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
DISC 1
01. Victory (Troy/Troy)
02. A Cry For The New World (Praying Mantis)
03. Can’t See The Angels (Troy/Troy)
04. Bring On The Night (Troy/Troy/Stratton/Barden/Bisland)
05. Only The Children Cry (Troy/Troy/Stratton)
06. To The Power Of Ten (Troy/Troy/Stratton/Barden/Bisland/Goodman)
07. The Horn (Troy/Troy/Burr/Potts/Shaw)
08. Dream On (Jackson/Dangschat/Praying Mantis)
09. Welcome To My Hollywood (Troy/Troy)
10. Turn The Tables (Troy/Troy)
11. Children Of The Earth (Troy/Troy)
DISC 2
01. Angry Man (Jackson/Troy/Troy/Stratton/Bisland/Barden)
02. Don’t Be Afraid Of The Dark (Troy/Troy)
03. Cheated (Carroll/T.Troy)
04. Letting Go (Troy/Troy)
05. Lovers To The Grave (Troy/Troy)
06. Flirting With Suicide (Troy/Carroll/Troy/Potts)
07. Rise Up Again (Jackson/Dangschat/Praying Mantis)
08. Armed And Ready (Schenker/Barden)
09. Captured City (Troy/Troy)
■Personnel
Gary Barden - Lead Vocals
Clive Burr - Drums
Dennis Stratton - Guitars, Vocals
Chris Troy - Bass Guitar, Vocals
Tino Troy - Guitars, Vocals

Michael Scherchen - Keyboards

Producer - Norman Goodman, Tino Troy 

 

To The Power Of Ten / Praying Mantis (1995)

0110To The Power Of Ten
1995年にリリースされたプレイング・マンティスの4枚目のフルレンス・アルバム。3rdアルバムA Cry For The New World で歌ったコリン・ピールも、前作のミニ・アルバムOnly The Children Cry に起用されたマーク・トンプソン・スミスも立て続けに脱退、本作ではマイケル・シェンカー・グループのゲイリー・バーデンがボーカルを担当しています。マンティスの面々とゲイリー・バーデンは共に、ブリティッシュHR/HM系ミュージシャンが顔を揃えたTrue Brits企画に参加していること、80年代の一時期ブルース・ビスランドとゲイリー・バーデンがStatetrooperのバンド・メイトだったこと、この辺りが接点なのかなと想像します。いずれにしても、当時はゲイリー・バーデンのマンティス加入は意外に受け止められたようですが、意外に意外ではなかったのかもしれません。

さて、ゲイリー・バーデンのボーカリストとしての技量は、MSG時代から常にある種の侮蔑を伴って語られるのが当然という風潮があります。要するに下手糞だと。しかし筆者は、少なくともスタジオ録音盤で彼が並以下のボーカリストだと感じたことはありません。むしろそのねちっこい歌い回しには妙味があるし、特に叙情的な楽曲を歌わせたとき歌メロをより魅力的にする力は並以上だと思っています。なんだかんだ言ってマイケル・シェンカーが彼を度々起用するのは、マイケル・シェンカーの叙情性とゲイリー・バーデンの歌い回しの相性が良いからでしょう。ということは、叙情性がウリのトロイ兄弟とゲイリー・バーデンの組み合わせもまた良好ということ。今回も全曲レビューでいきたいと思います。

1曲目の"Don't Be Afraid Of The Dark"から哀愁と高揚感がいきなり最高潮の名曲。サビでリズムの刻みが1/2になるところが前作A Cry For The New World のオープニングを飾った名曲"Rise Up Again"を思わせます。クライマックスでまた刻みが倍になるのもたまらなくカッコいい。自然な転調で曲の表情を変える技も相変わらず見事です。本作のハイライト曲の一つでしょう。

2曲目"Bring On The Night"も哀愁メロディが秀逸。ところどころにゲイリー・バーデンならではの歌い回しが感じられて、つい初期MSGを思い出してしまいます。サビのドラマチックなメロディと呼応する力強いバッキング・ボーカルに鳥肌が立つということで、これも名曲決定。

3曲目はテンプテーションズのカバー"Ball Of Confusion"。なんでマンティスがソウルのカバー?誰でも抱く疑問だと思いますが、国内盤ライナーによると、日本市場以外では鳴かず飛ばずのバンドが新たな活路を見出そうとした試行錯誤の産物らしい。元曲そのものがロック調なのでそれほど違和感はありませんが、上出来とはやはり言い辛いかな。

4曲目"Welcome To My Hollywood"で再びマンティス節炸裂。イントロがアースシェイカー(筆者の評価ではジャパメタ随一のメロディアスハード・グループ)の誇る名曲"More"みたいです。とにかくリードギターのメロディも歌メロもただただ切なく美しい。歌詞もとても内省的で、それが哀愁のメロディに乗ることでプレイング・マンティスの際立った個性となっていると思います。

5曲目"Another Time, Another Place"はティノ・トロイお得意のスパニッシュ風ギターがフィーチャーされたスロー・テンポの佳曲。

6曲目はタイトル・ナンバー"To The Power Of Ten"。ヘヴィなリフに導かれるウォーキング・テンポのロックン・ロール曲です。なんと言ってもサビのカッコよさがピカイチ。おそらく全員でのコーラスだと思いますが、横一線に並んだメンバーがのしのし歩いてくるような迫力があります。これも間違いなく名曲。

7曲目"Little Angel"は、最初期(1981年)のボーカリストだったトム・ジャクソンがライティングに関わっている曲。悪くないのですがあまりにあっけらかんとし過ぎていて、マンティスのイメージとはちょっと違うかなと感じました。

8曲目"Victory"はトロイ兄弟のみで書かれた曲。同じメジャー・キーでも7曲目とはずいぶん違います。歌詞もそうなのですが、爽やかさや明るさの中にも消しがたい哀しみの色が混じり込んでいるのがプレイング・マンティスというバンドの持ち味なのだと思うのです。

9曲目は前作ミニ・アルバムのタイトル曲だった"Only The Children Cry"。まさにこのバンドの真骨頂の哀愁チューンです。前任ボーカルのマーク・トンプソン・スミスがバッキング・ボーカルにクレジットされているのは、リード・ボーカルのトラックのみゲイリー・バーデンに差し替えられているからでしょうか。とにかく、マンティスの名曲の一つであることは間違いありません。

10曲目"Night And Day"はトロイ兄弟が作曲に関与しておらず、おそらくデニス・ストラットンとゲイリー・バーデン主導で書かれた曲です。筆者はデニス・ストラットンの作曲センスには否定的な意見を持っているのですが、この曲に関しては全く文句無しです。本作全体を貫く特色である「哀愁メロディ+力強く分厚いバッキング・ボーカル」が鮮明に示されている曲です。

11曲目"Angry Man"は再びトム・ジャクソンとの共作曲。新しい境地を模索するバンドの意向は理解できますが、何もかも中途半端な曲です。アルバムの締めくくりを飾る曲としてはいかにもそぐわないと感じざるを得ません。

さて。。。筆者はこのブログで星をいくつにするかは割と気軽に決めているのですが、このアルバムに関してはちょっと悩みました。良い曲も多いけれど、全曲名曲と言って過言ではない最高傑作A Cry For The New World に比べれば明らかに落ちます。ん~。。。ん~。。。よし、もう贔屓の引き倒しということで星5つで勘弁してください!!

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Don't Be Afraid Of The Dark (Troy, Troy)
02. Bring On The Night (Troy, Troy, Barden, Bisland, Stratton)
03. Ball Of Confusion (Norman Whitfield, Barrett Strong)
04. Welcome To My Hollywood (Troy, Troy)
05. Another Time, Another Place (Troy, Troy)
06. To The Power Of Ten (Goodman, Troy, Troy, Barden, Bisland, Stratton)
07. Little Angel (Jackson, Troy, Troy, Barden, Bisland, Stratton)
08. Victory (Troy, Troy)
09. Only The Children Cry (Troy, Troy, Stratton)
10. Night And Day (Stratton, Bisland, Barden)
11. Angry Man (Jackson, Troy, Troy, Barden, Bisland, Stratton)

■Personnel
Gary Barden - Lead and Background Vocals
Tino Troy - Lead, Rhythm and Acoustic Guitars, Keyboards, Background Vocals
Dennis Stratton - Lead, Rhythm and Slide Guitars, Background Vocals
Chris Troy - Bass Guitar, Background Vocals
Bruce Bisland - Drums, Percussion, Background Vocals 

Ian Gibbons - Additional Keyboards
David Brant - Additional Background Vocals on 6
Mark Thompson-Smith - Additional Background Vocals on 9

Producer - Norman Goodman 

 
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