日本側の企画によって作られたハーレム・スキャーレムのミニ・アルバム。リリースは1994年6月ですので、2ndアルバムMood Swings と3rdアルバムVoice of Reason の間ということになります。ただし日本では
Mood Swings がデビュー盤として93年に出ており、1stのHarem Scarem は遅れて94年3月に発売されているので、1stと本作は立て続けのリリースとなっています。このバンドを日本で強力にプッシュしていこうというレーベル側の意気込みが窺われます。
目玉は1994年1月トロントでのライブを収録した3曲でしょう。後にハーレム・スキャーレムは結構な数のライブ・アルバムを出しますが、本作が最初のライブ収録盤です。演奏力が高いという定評に違わぬ、エネルギッシュでありながらどっしり安定したパフォーマンスはさすがです。筆者は特にインスト曲#4"Mandy"がお気に入り。Mood Swings では2分弱の短い曲でしたが、このミニアルバムでは3分強に延長されて、ピート・レスペランスの官能的と言ってもいいほど艶のあるギター・ソロを堪能することができます。このあたりがライブ盤ならではの楽しみでしょうね。#3"No Justice"、#5"Hard to Love"もブ厚いサウンドが見事に再現されていて、熱さと冷静さが同居するハーレム・スキャーレムの音楽を「ナマ」の姿で味わえます。"Honestly"と"Jealousy"のアコースティック・バージョンもあらためて曲の良さが伝わってきて、「聴いてよかったなー」と感じます。
なお、この作品はLive in Japan (1996)とカップリングされ、Live Ones (邦題「カナダ技巧派集団来日記念盤」)というタイトルで1997年に再発されて今でも中古で出回っていますので、そちらのほうがお買い得だと思います。
評価 ★★★★☆
★★★★★ 傑作
★★★★☆ 秀作
★★★☆☆ 佳作
★★☆☆☆ 凡作
★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。■Tracks
01. Honestly (acoustic) (Harry Hess)
02. If There Was a Time (edit) (Harry Hess, Pete Lesperance)
03. No Justice (live) (Harry Hess, Pete Lesperance)
04. Mandy (live) (Pete Lesperance)
05. Hard to Love (live) (Christopher Ward, Harry Hess, Pete Lesperance)
06. Jealousy (acoustic) (Harry Hess, Pete Lesperance)
07. Something to Say (edit) (Harry Hess, Pete Lesperance)
■Personnel
Harry Hess - vocals, guitars
Pete Lesperance - guitars, backing vocals
Mike Gionet - bass, backing vocals
Darren Smith - drums, backing vocals
Producer - Harry Hess, Pete Lesperance and Kevin Doyle