メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

グレッグ・モーガン

Far Beyond the World / Ten (2001)

0436Far Beyond The World









ブリティッシュ・ハードロック・バンドTenの6thアルバム。ゲイリー・ヒューズ(vo)、ヴィニー・バーンズ(g)、ジョン・ハリウェル(g)、スティーヴ・マッケンナ(b)、グレッグ・モーガン(ds)という前作と同じメンバーに、新たにポール・ホドソン(key)を加えたラインナップとなっています。

ライナー・ノーツによれば、前作Babylonは欧州ではこれまで以上に売れたものの、日本においてはセールス不振だったようです。やはりパクリ過ぎが影響したのかもしれません。あれを聴いてTenも行き詰まりかと思いましたが、本作は見事な逆転ホームランとも言うべき傑作となりました。ブルージーでありながら泥臭さとは無縁でメロディアスな楽曲、抑え気味の歌唱が逆に内なる憂愁を感じさせるゲイリー・ヒューズのボーカル、対照的にリミッターを外したかのように弾きまくり泣きまくるヴィニー・バーンズのギター、こうしたTenの個性が十二分に発揮されています。不必要な楽曲の長尺化、露骨なパクリという悪癖も封印され、名曲・佳曲が目白押しという極めて高水準のアルバムだと思います。日本盤にはゲイリー・ヒューズ自身による各曲の解説がついており、曲作り・音作りのポイントなども記されていて中々に面白いので、それなども参考にして各曲の感想を書いてみます。

01. Scarlet and the Grey
「モダン」な響きのギターから始まり、明るいのか暗いのかよく分からないヴァース、この上なく爽やかなコーラスと、印象が目まぐるしく変化します。Tenには珍しい曲調で、マンネリ打破のための意欲を感じます。

02. Strange Land
一転してTenサウンドの王道を行く哀愁メロディアスハード。コーラス部分のメロディが特に素晴らしく、本作のハイライトとなる名曲だと思います。

03. What About Me?
Tenお得意のセンチメンタルでロマンチックなバラード。解説でゲイリー・ヒューズ自身が「センチメンタル」という言葉を使っているのが興味深く、こういう曲作りは自覚的なんだと確認できました。

04. Glimmer of Evil
ブルージー&メランコリックなハードロック・ナンバー。これもTenの典型的な曲調ですが、過去の名曲と比べても遜色のない出来です。

05. Last of the Lovers
前曲と同じくブルージーな曲ですが、こちらはぐっと粘っこくヘヴィに仕上がっています。

06. Heart Like a Lion
ヴァース部分はしっとりAOR風で、コーラスはグッとハードになります。憂いを帯びたメロディがゲイリー・ヒューズの歌唱とぴったり。

07. Black Shadows
本作としてはハードなスピード・チューン。コーラスのメロディが非常にキャッチーで印象に残ります。

08. High Tide
畳み掛けるようにタイトなスピード・チューンが続きます。こちらもかなりハードでやはりコーラス部分が素晴らしいです。

09. Far Beyond the World
タイトル・トラックはドラマチックなバラードです。歌詞はずいぶんクサイけれど、ゲイリー・ヒューズが歌うと不思議に嫌味がありません。

10. Who Do You Want to Love?
本作の中ではやや異質なポップ色の強い曲。これも新たな境地を開こうとしている表れと感じました。

11. Outlawed and Notorious
サビのドラマチックなメロディが印象的なスピード・チューン。少しばかりトラッド的なメロディなので、Dareをハードにしてテンポを速くしたような感じもします。

12. The Soldier
日本盤ボーナス・トラック。トラッド風というのか、クラシカルというのか、いかにも英国のバンドらしい陰りとウェットな感性に溢れた曲です。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Personnel
Gary Hughes - vocals
Vinny Burns - guitars
John Halliwell - guitars
Steve McKenna - bass guitar
Paul Hodson - keyboards
Greg Morgan - drums

Producer - Gary Hughes 
All songs written by Gary Hughes

ファー・ビヨンド・ザ・ワールド
テン
マーキー・インコーポレイティド
2016-07-13

 

Precious Ones / Gary Hughes (1998)

0386Precious Ones









UKメロハー・バンドTenのゲイリー・ヒューズの3枚目のソロ・アルバム。リリースは1998年、既にTenの活動は始まっていて、3rdThe Robeと4thSpellboundの間の時期ということになります。音的にはややソフトでAOR色が強いものの、ほとんどTenと変わりません。全曲をゲイリー・ヒューズが書き、基本トラックの録音はTenのヴィニー・バーンズ(g)とグレッグ・モーガン(ds)とゲイリー・ヒューズによって行なわれているので、当然と言えば当然です。また、追加ミュージシャンとしてMilleniumのラルフ・サントーラとトッド・プラントの名前があって「おやっ」と思いますが、どこに参加しているのかはよく分かりません。

本作のハイライトはなんと言っても#1"In Your Eyes"でしょう。哀愁に満ちたメロディとメランコリックな歌声が聴く者の胸に迫ります。ゲイリー・ヒューズの長所が100%発揮されており、ソロ作、Tenを通じてベストの部類に入る名曲だと思います。サビの部分でモータウン風にドラムが倍になるかと思いきやそのままで、一方ベースは終始トットットットッと倍で刻んでおり、これでのっぺりしたバラードにならずに躍動感が出ているのが心憎い。弾いているのはゲイリー・ヒューズ自身です。上手いですね~。その他も、不思議な浮遊感のあるアンサンブルがカッコいい#2"Don't Ever Say Goodbye"、まるっきりTen風のハードなナンバー#4" Give My Love a Try"、#5"Divided We Fall"、ヴィニー・バーンズが泣きまくるスローなブルースロック#11"Heart of a Woman"などは申し分の無い出来だと思います。その一方でバラード曲#3"The Colours of My Life"、#6"The Night the Love Died"、#12"Precious Ones"は、ベタ過ぎと言うかありがちと言うか通俗的と言うか、あまり感心できません。加えて、予算の関係もあるでしょうが、せめてバラードでは「ピアノ音」「ストリングス音」ではなく本物のピアノとストリングスを使ってほしいと思いました。

なお、本作と2ndソロ作Gary Hughesのカップリング盤が2000年に発売され、こちらにはボーナス・トラックとして#13"The Miracle Is You"、#14"Be My Fantasy Tonight"、#15"All Fall Down"の3曲が収録されています。いずれもオリジナル盤未収録で日本盤EPIn Your Eyesだけに収録されていたものです。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. In Your Eyes
02. Don't Ever Say Goodbye
03. The Colours of My Life
04. Give My Love a Try
05. Divided We Fall
06. The Night the Love Died
07. First Light (Instrumental)
08. Wrecking Machine
09. Perfect Ten
10. This Time
11. Heart of a Woman
12. Precious Ones
13. The Miracle Is You [bonus track]
14. Be My Fantasy Tonight [bonus track]
15. All Fall Down [bonus track]
All songs written by Gary Hughes

■Personnel
Gary Hughes - Vocals. Keyboards, Bass Guitars, Guitars
Vinny Burns - Guitars
Greg Morgan - Drums

Todd Plant - Backing Vocals
Jason Thanos - Backing Vocals
Mark 'Kiske' Ashton - Backing Vocals
Ray Brophy - Backing Vocals
Aziz Ibrahm - Guitars
Ralph Santolla - Guitars

Producer - Gary Hughes
Precious Ones
Gary Hughes
Frontiers

ゲイリー・ヒューズ+プレシャス・ワンズ
ゲイリー・ヒューズ
ユニバーサル インターナショナル
2000-09-27

 

Babylon / Ten (2000)

0348Babylon









イギリスのメロディアス・ハードロック・バンドTenの5thアルバム。バンド・メンバーとしてクレジットされているのは、リーダーのゲイリー・ヒューズ(vo)の他、ヴィニー・バーンズ(gt)、ジョン・ハリウェル(gt)、スティーヴ・マッケンナ(ba)、グレッグ・モーガン(ds)の5人。キーボードのジェド・ライランズが抜け、替わりにゲストとしてドン・エイリー(!)が参加しています。本作はコンセプト・アルバムということで、内容は「世界大戦後の近未来で恋人を殺された男の復讐劇」というストーリーだそうです。ちょっとマンガチックなお話だし、ジャケットもダサ過ぎ。まあ、テーマやコンセプトがあっても別に構わないのですが、曲間のセリフ(ナレーション?)は勘弁して欲しい。音楽だけ聴きたいリスナーにとって、いちいちセリフが入るのはなんとも邪魔です。

音の方はいつもながらのTenで、そこは安定しています。ブルージーで叙情的なメロディとブリティッシュ・バンドらしいサウンドが堪能できます。ゲイリー・ヒューズの憂いを帯びた歌声、ヴィニー・バーンズのエモーショナルなギター、今回も実に素晴らしいです。楽曲も概ね佳曲揃いと言えると思います。ただし、MSG"Into the Arena"クリソツな#9"Thunder in Heaven"はいただけない。なんでよりによってあんな有名曲をパクるの。それから#10"Valentine"の出だしは「ゴッドファーザー 愛のテーマ」じゃん。暴走族か。最初聴いたとき吹き出してしまいましたよ。極めつけは、リリース直前に収録曲から外されたという"Dawn Star"。再発盤にはボーナスとして収録されているのですが、これのリフは丸っきりパープルの"Burn"です。元々Tenの曲はなんとなくどこかで聴いたことある感が漂っているのが多いとは言え、今回は度を越しているというか余りに稚拙かな。というわけで、「セリフ入り」「パクリ過ぎ」で残念ながら減点2です。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. The Stranger
02. Barricade
03. Give in This Time
04. Love Became the Law
05. The Heat
06. Silent Rain
07. Timeless
08. Black Hearted Woman
09. Thunder in Heaven
10. Valentine
All songs written by Gary Hughes

■Personnel
Gary Hughes - vocals
Vinny Burns - guitars
John Halliwell - guitars
Steve McKenna - bass guitar
Greg Morgan - drums

Don Airey - keyboards

Producer - Gary Hughes 

バビロン
テン
マーキー・インコーポレイティド
2016-07-13

 

Blood From Stone / Dare (1991)

0623Blood From Stone









イギリスのメロハー・バンドDare(デアー)の1991年にリリースされた2ndアルバムです。Dareはハードロックと呼ぶにはいささか静かでふんわりしたサウンドが特徴なわけですが、どういうわけかこのアルバムだけはギンギンのハードロックをやってます。それが災いしたのかどうか、本作リリース後DareはA&Mから切られて解散(活動休止?)となり、数年後に独立系レーベルで復活作を発表と、多くのHR/HM系バンドと同じ道を歩むことになります。

さてこのアルバムは、心に響くケルト風メロディと劇的な曲展開が印象的な#1"Wings of Fire"、#2"We Don't Need A Reason"で、まずガツンとやられます。続く、哀愁メロハーと言うには力強すぎる#3"Surrender"では、ヴィニー・バーンズのギターもマイケル・シェンカーばりに歌いまくり、泣きまくりです。ここまでハードなサウンドだと、ダレン・ウォートンのか細いボーカルではちょっとツライものがありますが、とにかく出だしの3曲は上出来です。ところが、ところが。。。その後はずっとヴァン・ヘイレン+ボン・ジョビ状態になります。アメリカン・ロック風のメロディと乾いたサウンドだったり、妙に明るく燥いだ感じだったりしてがっかりです。Dareにこういう音は求めていないんだよなぁ。なんか無理してる感じがつきまとってるし。頭3曲と残り7曲の差が有り過ぎです。

バンドのメンバーは、リーダーのダレン・ウォートン(Vo)、ヴィニー・バーンズ(Gt)、ブライアン・コックス(Key)の3人は1stと変わらず。ベースはナイジェル・クラッターバックに、ドラムはグレッグ・モーガンにチェンジしています。また、Additional musicianとして、ドラムにジェイムス・コタック、ベースにジェフ・ピルソン、バック・ボーカルにトミー・ファンダーバークとジョン・レヴェックがクレジットされています。プロデューサーはキース・オルセン、エンジニアはシャイ・ベイビー。ダレン・ウォートンは1991年Wild Horsesというバンドで、コタック、ピルソン、レヴェックと共にアルバムを1枚出しており、こちらもプロデューサーはオルセン、エンジニアはシャイ・ベイビー。まんま横すべりのメンツです。

蛇足ながら、このブログ記事を書くに当たって初めてyoutubeにある当時のビデオを見たのですが、ナリもフリもまるでヘア・メタル・バンドのようではありませんか!Dareってこうだったの?気恥ずかしいことこの上ない。今はウォートン氏をはじめ皆さんデブっちょのオッサンと化しているので、この落差に軽く眩暈がします。。。
 
評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Wings of Fire (Darren Wharton)
02. We Don't Need a Reason (Darren Wharton)
03. Surrender (Darren Wharton)
04. Chains (Darren Wharton/Vinny Burns)
05. Lies (Darren Wharton/Vinny Burns)
06. Live to Fight Another Day (Darren Wharton/Vinny Burns)
07. Cry Wolf (Darren Wharton/Vinny Burns)
08. Break Out (Darren Wharton/Vinny Burns)
09. Wild Heart (Darren Wharton/Vinny Burns)
10. Real Love (Darren Wharton)

■Personnel
Darren Wharton - Vocals
Vinny Burns - Guitars
Brian Cox - Keyboards
Nigel Clutterbuck - Bass
Greg Morgan - Drums

James Kottak - Drums
Jeff Pilson - Bass
Tommy Funderburk
John Levesque

Producer - Keith Olsen

Blood From Stone
Dare
Universal
2005-03-21


Spellbound / Ten (1999)

0160Spellbound









イギリスのメロディアス・ハードロック・バンド、Tenの4th(ライブ盤を含めると5th)アルバム。1999年リリースとなっていますが、日本国内盤は先行して1998年に発売されています。メロハー・ファンにとってTenは安心のブランド、このアルバムも期待を裏切らない作品となっています。哀愁を感じさせる適度にウェットなメロディはいつも通り、ゲイリー・ヒューズの落ち着いたボーカルとヴィニー・バーンズの泣きのギターもいつも通りです。他のメンバーも前作のライブ盤Never Say Goodbyeと変わらず、ジョン・ハリウェル(gt)、ジェド・ライランズ(key)、グレッグ・モーガン(ds)、スティーヴ・マッケンナ(ba)の4人。バッキング・ボーカルにはお馴染みのジェイソン・サノスの他、Dante Foxのスー・ウィレッツ、Magnumのボブ・カトレイも加わっています。

ゲイリー・ヒューズは歴史や叙事詩が好きらしく、これまでもそんな趣味を伺わせる曲がありましたが、本作ではその傾向は一層強まっています。勇壮でシンフォニックなオープニングから#2"Fear the Force"への流れがドラマティックで印象的です。また、#5"We Rule the Night"、#6"Remembrance for the Brave"、#7"Red"と、トラッド・ミュージックの旋律を取り入れた曲が挿入されることで、より伝統だとか歴史物語といったテーマが際立ち、あたかもコンセプト・アルバムのような統一感が生まれています。その一方で過去作で垣間見られた過剰な大作志向が抑制され、長いものでも6分程度と楽曲がコンパクト化しているのも好印象。さらに筆者としては、#9"Wonderland"に1stで見られた瑞々しいポップ・フィーリングが戻っているのも嬉しかったです。また、ミックスが1st~3rdのマイク・ストーンから、GiantやFair Warningを手がけてきたレイフ・マッケンナに変わったせいか、奥行きを感じさせるサウンドに仕上がっています。総合的にとても出来の良いアルバムだと思いました。

ただ、トラディショナルなのはいいとして、ファンタジーRPGに夢中になっている中学生みたいな歌詞は興ざめ。正直勘弁してもらいたいなと。ドラゴンが滑ったの転んだの、魔法使いがどうしたこうした、復讐だ!反逆だ!なんてのがHR/HMには何故かよく出てきますけど、もうそれだけでバカっぽく見えちゃうの。

閑話休題。本作で聴けるトラッド風メロディは、アイリッシュっぽいとは思いました。ただ、この方面の知識に乏しいので正確には不明です。同じケルト系のアイルランド、スコットランド、ウェールズ、コーンウォールの音楽にどのような差異があるのか分からないのです。イングランド(アングロサクソン)系とケルト系の違いだって怪しいものです。そもそもゲイリー・ヒューズがイギリス国内のどのようなエスニック・グループに帰属意識を持っているのかさえ分かりません。カトリックかプロテスタントかも知りません。イギリスのトラッド音楽を聴くと、ブリテン島と北アイルランドに住む人々を十把一絡げに、のっぺらぼうな「イギリス人」としてしか理解出来ていないことを痛感してしまいます。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. March of the Argonauts (Instrumental)
02. Fear the Force
03. Inside the Pyramid of Light
04. Spellbound
05. We Rule the Night
06. Remembrance for the Brave (Instrumental)
07. Red
08. The Alchemist
09. Wonderland
10. Eclipse
11. The Phantom
12. Till the End of Time
All songs written by Gary Hughes,
except " Inside the Pyramid of Light" written by Gary Hughes and Vinny Burns

■Personnel
Gary Hughes – vocals
Vinny Burns – guitars
Ged Rylands – keyboards
John Halliwell – guitars
Steve McKenna – bass guitar
Greg Morgan – drums and percussion

Francis Cummings – violin
Fiona Payne – violin
Anne Morrison – viola
Anna Frazer – cello
Mike McGoldric – uilleann pipes, low whistle, bamboo flute​
Jason Thanos – additional backing vocals
Sue Willets – additional backing vocals (Track 5)
Bob Catley – additional backing vocals (Track 5)
Rafe McKenna – additional backing vocals (Track 5)

Producer - Gary Hughes 

スペルバウンド
テン
マーキー・インコーポレイティド
2016-06-29

   

Never Say Goodbye / Ten (1998)

0103Never Say Goodbye
イギリスのメロハー・バンドTenの2枚組ライブ盤。国内盤と輸入盤、オリジナルと再発盤といくつかのバージョンがあって一部収録曲が異なるようです。ここでは1998年にゼロ・コーポーレーションから発売されたオリジナル国内盤を取り上げています。

ブックレットには日本でのコンサートの写真があしらわれていますが、1997~98年のヨーロッパ・ツアーを収録しているようです。この時点でリリースされていた1stから3rdまでのアルバムから24曲とかなりのボリューム。しかも元々どの曲も曲調やサウンドが似通っているバンドなので、1枚でもお腹一杯になるんじゃないかと思いましたが、筆者は意外にダレずに聴くことができました。曲順も妥当だし、途中にアコースティック・セットが入っているのも飽きさせない工夫かなと思いました。ちょっと曲数の多いベスト盤といった感じです。ただ、大幅にアレンジが変わるとか、アドリブがふんだんに入っているとかいうこともなく、言ってしまえばスタジオ盤を忠実に再現しているだけ、またカバー曲などもないので、ライブ盤ならではの醍醐味というものはあまり感じられません。ゲイリー・ヒューズのボーカルも、ヴィニー・バーンズのギターも、スタジオ盤と大きく変わるところなく、したがって魅力の増減もなし。一番気になるのは録音が音割れ気味なこと。もうちょっときれいに録ってほしかったなー。そんなわけで、Tenの熱心なファンでなければ、手に入れる優先順位はどうしても低くなってしまう作品だと言わざるを得ません。

ラインナップは、ゲイリー・ヒューズとヴィニー・バーンズのほか、サイド・ギターのジョン・ハリウェル、キーボードのジェド・ライランズ、ドラムのグレッグ・モーガンと従来どおり。ベースだけは新メンバーのスティーヴ・マッケンナにチェンジしています。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作 
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
Disc - 1
01. The Robe
02. Bright on the Blade
03. Wildest Dreams
04. The Torch
05. Yesterday Lies in the Flames
06. The Rainbow
07. Goodnight Saigon
08. Arcadia
09. You're in My Heart (acoustic)
10. Close Your Eyes and Dream (acoustic)
11. Turn Around (acoustic)
12. The Loneliest Place in the World

Disc - 2
01. The Crusades
02. Don't Cry
03. Ten Fathoms Deep
04. After the Love Has Gone
05. Stay With Me
06. Standing on the Edge of Time
07. Fly Like an Eagle
08. Drum Solo
09. Battlelines
10. The Pharaoh's Prelude
11. Wait for You
12. The Name of the Rose

All songs written by Gary Hughes
except "The Crusades" and "Standing on the Edge of Time" written by Gary Hughes and Vinny Burns 

■Personnel
Gary Hughes – vocals
Vinny Burns – guitars
John Halliwell – guitars, backing vocals
Ged Rylands – keyboards, backing vocals
Steve McKenna – bass guitar, backing vocals
Greg Morgan – drums

Never Say Goodbye
Ten
Frontiers

 

The Robe / Ten (1997)

0070The Robe
哀愁メロハー一直線、ブリティッシュ・ハードロック・バンドTenの3rdアルバム。1stTen、2ndThe Name of the Roseと音楽性は基本的に変化ありません。もしデビカバが菜食主義者だったら、、、みたいなゲイリー・ヒューズの優しい歌声、もしマイケル・シェンカーが赤マムシドリンクを常飲していたら、、、みたいなヴィニー・バーンズのねちっこいギター、いつも全く同じでいいじゃないですか。この手のバンドに「マンネリ」などと言ってみたって始まりません。音楽性は変えずに、アルバムごとに手を変え品を変え、Tenならではの良質なメロハーを聴かせてくれればそれでいいんです。曲が長いのだけは勘弁してほしいけど。

このアルバムでは、2ndで後退してしまったポップ・フィーリングが戻ったり、中東風なメロディが出てきたり、荘厳なアレンジを聴かせたりとそれなりに目新しさは感じられ、似通った曲調の多かった2ndに比べて、通しで聴いても飽きるということはありません。ふんわりしたAOR的サウンドにならず、あくまでハードロックとしてのゴリッとした音像を保ち続けているのは、このバンドの路線として正解だと思います。

レコーディング・メンバーは、ゲイリー・ヒューズ、ヴィニー・バーンズの他、ジェド・ライランズ(key)、グレッグ・モーガン(ds)、ジョン・ハリウェル(gt)は前作と変わらず。ベースはアンドリュー・ウェブに交代していますが、アディショナル・ミュージシャンとしてクレジットされています。なお、前作まで制作に関わっていたマイク・ストーンはミキシングのみ担当、プロデュースはゲイリー・ヒューズ単独のクレジットとなっています。

なおオリジナル盤の他、ミニアルバムFear the Force収録曲などを収めて2枚組としたリマスター再発盤もあります。 

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基 準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。 

■Tracks
01. The Robe (Gary Hughes)
02. Bright on the Blade (Gary Hughes)
03. Virtual Reality (Gary Hughes)
04. Standing on the Edge of Time (Gary Hughes, Vinny Burns)
05. You're in My Heart (Gary Hughes)
06. Fly Like an Eagle (Gary Hughes)
07. Arcadia (Gary Hughes)
08. Ten Fathoms Deep (Gary Hughes)
09. Battlelines (Gary Hughes)
10. Someday (Gary Hughes, Vinny Burns)

■Personnel
Gary Hughes – vocals
Vinny Burns – guitars
Ged Rylands – keyboards
Greg Morgan – drums
John Halliwell – guitars

Andrew Webb – bass guitar
Ed Collins – trumpet, flugelhorn
Dru Baker – tenor and alto saxophone
Jason Thanos – backing vocals
Ray Brophy – backing vocals
Dave Chadwick – Voiceovers

Producer - Gary Hughes 

ザ・ローブ
テン
マーキー・インコーポレイティド
2016-06-29

Robe: Bonus Collection
Ten
Frontiers Italy
2006-11-27





Hugo / Hugo (1997)

0066Hugo
アメリカのメロハー・ボーカリスト、ヒューゴ(Hugo)のソロ・デビュー作。Valentine(後にOpen Skyzに改名)のボーカリストとして2枚のアルバムをリリースしたものの鳴かず飛ばず、心機一転ソロ・シンガーとして彼が制作したアルバムです。この人、明らかにスティーヴ・ペリーに声質と歌唱法が似ている上に、見た目までクリソツという気持ち悪さ(失礼)。筆者はジャーニーそんなに好きじゃないし、特にスティーヴ・ペリー苦手なんですよね。。。じゃ、なんで買ったのかというと、バックが丸ごとテン(Ten)なので、それに惹かれて。もっともゲイリー・ヒューズはバック・ボーカルさえやらず、ベースとピアノ、それに共同プロデュースを担当しているだけなのですが。。テンがヒューゴのソロ・デビューに関わったのは、テンの所属するイギリスのメロハー・レーベルNow and Thenがヒューゴに食指を動かし、レコード契約を結んだという縁からのようです。

曲調はやはりジャーニーをライトにした感じですが、ただバックがテンなので、サウンドは全然ジャーニーではありません。ドラムはグレッグ・モーガン、どっしりとしてラウドな叩きっぷりはテンと同じですし、ヴィニー・バーンズも空気を読まずにいつも通りガシガシ弾きたおしています。いいな~♪ドタバタしたテンのサウンドの上に、ヒューゴのソフトな声で歌われる都会的なAOR風メロディが乗っかっているのが意外におもしろいんです。ヒューゴの歌いまわしはもちろんスティーヴ・ペリーに似ているのですが、ちょっとジョン・ウェイト風な味もあって、単なるモノマネ歌手ではないですね。筆者のお気に入りは、#8"If You're Ever Lonely"。哀愁を感じさせる導入部、一転してオシャレなコーラスで盛り上がる入るサビ、官能的なヴィニー・バーンズのギター・ソロ、うーん完璧です。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Intro (Hugo)
02. We'll Find a Way (Hugo, Valentine)
03. Walk Away (Hugo)
04. So Many Tears Ago (Hugo)
05. Crazy (Hugo, Valentine)
06. All That You Wanted (Hugo)
07. All the People You Love (Hugo)
08. If You're Ever Lonely (Hugo, Valentine)
09. Desire (Hugo)
10. Standing Alone (Hugo, Tim Sexton)
11. A Tear in L.A. (Hugo)

■Personnel
Hugo - vocals, piano, strings
Vinny Burns - guitars
Gary Hughes - bass, piano, strings
Ged Rylands - piano, keyboards
Greg Morgan - drums

Producer - Hugo, Gary Hughes

Hugo
Hugo
Mtm Music
2010-06-05

 

The Name of the Rose / Ten (1996)

0029The Name of The Rose

イギリスのメロディアス・ハードロック・バンドTenの2ndアルバム。Tenのアルバムの中でも、名盤と評価する人が多いように見受けられます。筆者も、タイトル曲"The Name of the Rose"をはじめとして好きな曲が何曲も入っているのですが、評価はちと微妙です。前作と比べるとポップス的要素が減退し、よりハードロック色が強まったこと以外は、メロディアスで湿り気のあるブリティッシュ・ハードという基本路線は変わっていません。ゲイリー・ヒューズは相変わらず覇気のないカヴァー デイル状態だし、ヴィニー・バーンズも張り切りすぎのマイケル・シェンカーよろしく弾きまくっています。むしろ、その変わらなさ過ぎが微妙です。同じシンガーですから、歌いまわしが各曲似ているのは致し方ないとしても、歌メロそのものが1stと似ていて、まるで2枚組のアルバムを分割してリリースしたような印象を受けるのです。ポップさが薄くなった分曲調がますます似通った結果、通しで聴くと正直後半ダレてしまう。前作から1年も経たずに同じ年に2ndを リリースする必要があったのでしようか。それから、前作でもその兆しが見られた大作主義が、いよいよこのバンドの特徴となったようです。全13曲中、8分台の曲が2曲、7分台が2曲、6分台が2曲あります。複雑な構成で変化を持たせる訳でもなく、ただ無駄に曲が長い。筆者のようなコンパクトな楽曲を好むリ スナーにとっては、これはキツいです。

前作では正式メンバーは、ヒューズ、バーンズ、ベースのグレッグ・モーガンの3人でしたが、このアルバムではバンドメンバーとしてジョン・ハリウェル(Gt)、ジェド・ライランズ(Key)、シェリー(Ba)の3人が付け加えてクレジットされていま す。シェリー、ゲスト・キーボード奏者のブライアン・コックスは、バーンズ、モーガンとともにデアー(Dare)の元メンバーです。バック・ボーカルで1 曲参加しているジェイソン・サノスは、このアルバムの後もテンのアルバム、ゲイリー・ヒューズのソロ作品に度々登場しています。プロデュースは前作と同じ くマイク・ストーンとゲイリー・ヒューズとなっています。なお、1stと2ndにそれぞれボーナス・トラックを加えて2枚組としたものも発売されています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. The Name of the Rose (Gary Hughes)
02. Wildest Dreams (Gary Hughes)
03. Don't Cry (Gary Hughes)
04. Turn Around (Gary Hughes)
05. Pharaoh's Prelude : Ascension to the Afterlife (Gary Hughes)
06. Wait for You (Gary Hughes)
07. The Rainbow (Gary Hughes, Zoe Hughes)
08. Through the Fire (Gary Hughes)
09. Goodnight Saigon (Gary Hughes)
10. Wings of the Storm (Gary Hughes)
11. Standing In Your Light (Gary Hughes)
12. The Quest (Gary Hughes)
13. You're My Religion (Gary Hughes)

■Personnel
Gary Hughes – vocals
Vinny Burns – guitars
John Halliwell – guitars
Ged Rylands – keyboards
Shelley – bass guitar
Greg Morgan – drums

Mark Harrison – bass guitar
Brian Cox – keyboards
Howard Smith – keyboards
Andy Thompson – keyboards
Jason Thanos – backing vocals on "Goodnight Saigon"
Jee Jacquet – backing vocals on "Standing In Your Light"
Thierey Cardinet – backing vocals on "Standing In Your Light"
Oliver Bowden – backing vocals on "Standing In Your Light"
Damien Guasp – backing vocals on "Standing In Your Light"

Producer - Gary Hughes, Mike Stone
Executive Producer - Mark Ashton, Vinny Burns

Ten/the Name of the Rose
Ten
Frontiers
2002-07-22


Ten / Ten (1996)

0009Ten

テンは、ソロ・シンガーとしてデビューしていたゲイリー・ヒューズと、元デアー(Dare)のギタリストであったヴィニー・バーンズが中心となって1995年に結成され、グループ名をタイトルとしたこの1stアルバムを1996年にリリースします。メロディアスで哀愁を帯びたブリティッシュ・ハードそのものの音楽性は、本国イギリスよりむしろ日本での評価が先行したようです。テンの音楽を特徴づけるのは何よりゲイリー・ヒューズのボーカルでしょう。中低音域を中心にして声を張り上げないスタイルは、HR/HMの世界では異色のものです。対照的にヴィニー・バーンズのギターはちょっとくどいほど派手に泣き叫んでます。曲調はホワイトスネイク的なブルージーでオーソドックスなハードロックが中心で、ゲイリー・ヒューズの歌い回しは脂っ気の抜けたデビッド・カヴァーデイルといった感じです。加えて、ハード・ポップ的要素もあり、"Can't Slow Down"などは70年代初頭のポップスを思わせるメロディが楽しめます。難点と言えば、曲が比較的長めなこと。次作以降はさらに大作主義が顕著となってくるわけですが、個人的にはもう少しコンパクトにまとまっていたらと感じてしまいます。

なお、メンバーとしてクレジットされているのはヒューズ、バーンズと、ドラムのグレッグ・モーガン(元デアー)の3人のみで、あとはサポート・メンバーのようです。また、このアルバムのプロデュースとミックスにはマイク・ストーン(1951–2002)の名前がクレジットされています。1970年代から膨大なアルバム制作にエンジニア、プロデューサーとして携わり、QueenのNews of the World、JourneyのFrontiers、Whitesnakeの1987など、数多くのメガヒット・アルバムを生み出すことに貢献してきた超大物です。なお、1stと2ndにそれぞれボーナス・トラックを加えて2枚組としたものも発売されています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. The Crusades / It's All About Love (G. Hughes, V. Burns)
02. After the Love Has Gone (G. Hughes)
03. Yesterday Lies In the Flames (G. Hughes)
04. The Torch (G. Hughes)
05. Stay With Me (G. Hughes)
06. Close Your Eyes and Dream (G. Hughes)
07. Eyes of a Child (G. Hughes)
08. Can't Slow Down (G. Hughes)
09. Lamb to the Slaughter (G. Hughes)
10. Soliloquy / The Loneliest Place in the World (G. Hughes)

■Personnel
Gary Hughes – lead and backing vocals
Vinny Burns – guitars
Greg Morgan – drums and percussion

Mark Harrison – bass guitar
Lee Goulding – keyboards
Howard Smith – keyboards
Andy Thompson – keyboards
Francis Cummings – first violin
Peter Leighton-Jones – first violin
John Wade – first violin
Fiona Payne – second violin
Julia Parsons – second violin
Jean Ambrose – viola
Anne Morrison – viola
Anna Frazer – cello

Producer - Gary Hughes, Mike Stone
Executive Producer - Mark Ashton, Vinny Burns
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