メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

クレイグ・ジョイナー

Aphrodisiac / FM (1992)

131Aphrodisiac









イギリスのハードロック・グループFMの第4作目。前作同様Music for Nationsレーベルから1992年にリリースされています。前作でR&B色の強いサウンドに路線転換を図ったFMですが、この4thアルバムではより一層その傾向を強め、もはやメロハーという枠では括りきれないところまで来ました。Free、Humble Pie、初期Whitesnake、あるいはThunderといったバンドと同じように、R&B、ブルースを英国風ロックに仕立て上げた伝統的ブリティッシュ・ハードロックの太い流れの中に位置づく音です。前作は路線転換の途中でもあり、わずかに中途半端な印象は拭えませんでしたが、今回は楽曲・歌唱・演奏が非常に高いレベルで一体化し、押しも押されもせぬ名盤の風格をそなえた作品となっています。マーヴ・ゴールズワーシー&ピート・ジャップのリズム隊はまさに鉄壁、アンディ・バーネットのギターも躍動感と渋さを兼ね備え、そしてスティーヴ・オーヴァーランドの歌いまわしはコクがあるのにキレもあるってやつで、もうため息が出るほど。同じレーベルのRomeo's Daughterのメンバーがバックに入っているのは前作同様です。プロデューサーとしてアンディ・ライリーがバンドとならんでクレジットされていますが、この後もFMのプロデュースを何度か手がけており、Romeo's Daughterのプロデュースも行なっています。

#1"Breathe Fire"はオープニングにふさわしくホーン入りの派手でノリのいいナンバー。サビ前のキメが超カッコいい!
#2"Blood and Gasoline"はミドルテンポのアーシーな曲で、シングルもリリースされています。
#3"All or Nothing"は初期FMのメロディアスさを感じさせる名曲。このアルバムの中では一番メロハーっぽいかな。
#4"Closer to Heaven"はまるでソウルのスタンダード・ナンバーかと思わせるバラード。スティーヴ・オーヴァーランドの歌が上手過ぎ。ギター・ソロまでやってるし。
#5"Ain't Too Proud"は再びアップ・テンポのR&Bでノリノリになります。曲順も良くできてますね。
#6"Take the Money"はスライド・ギターをフューチャーしたブルージーな曲。
#7"Aphrodisia"は次の曲のイントロ的な短いインスト曲。闇夜を切り裂くようなアンディ・バーネットのギターがイイ!
#8"Inside Out"はファンキーでメロディアスな曲。ヴァースのメロディがすごくカッコいいな~。
#9"Run No More"はアコギから始まる渋いスロー・ナンバー。サビなど後期Freeを聴いているのかと錯覚するほど。素晴らしい!
#10"Play Dirty"はHumble PieとBad Companyを足したような70年代風R&R。こりゃシビレますね!この曲のギター・ソロもスティーヴ・オーヴァーランド。
#11"Rivers Run Dry"はハネるリズムとアコギのカッティングが印象的な渋い曲。
#12"Hard Day in Hell"は本編ラストの曲。ピアノとサックス入りで、なんだかレイ・チャールズの持ち歌みたいなソウル・バラード。渋いギター・ソロはスティーヴ・オーヴァーランド。
以下は国内盤ボーナス・トラックです。
#13"Chinese Whispers"もメロディアスで、以前のFMの雰囲気を感じさせる曲。
#14"Some Kind of Wonderful"はライヴ音源で、Grand Funkのカヴァー。オリジナルはキャロル・キングです。
#15"I'll Be Creepin'"もライブ。出た、Free!選曲も渋い。この曲カッコよくやるの難しいと思うけど、Freeが乗り移ったみたいな名演です。そして、ポール・ロジャースの後継者はスティーヴ・オーヴァーランドしかいない!

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Breathe Fire (FM)
02. Blood and Gasoline (FM)
03. All or Nothing (FM)
04. Closer to Heaven (FM)
05. Ain't Too Proud (FM) 
06. Take the Money (FM)
07. Aphrodisia (FM/C. Olins)
08. Inside Out (FM)
09. Run No More (FM)
10. Play Dirty (FM)
11. Rivers Run Dry (FM)
12. Hard Day in Hell (FM)
13. Chinese Whispers [bonus] (FM)
14. Some Kind of Wonderful (live) [bonus] (G. Goffin/C. King)
15. I'll Be Creepin' (live) [bonus] (A. Fraser/P. Rodgers)

■Personnel
Steve Overland - Lead vocals, guitar
Merv Goldsworthy - Bass, vocals
Pete Jupp - Drums, vocals
Andy Barnett - Lead guitar, vocals

Keyboards - Tony Mitman 
Piano, Strings - Charlie Olins 
Harmonica - Mitt 
Trumpet - Martin Shaw, Mark Cumberland 
Saxophone - Adrian Revell 
Trombone - Patrick Hartley 
Backing vocals - Leigh Matty, Craig Joiner, Sonia Jones

Producer - FM/Andy Reilly 

Takin' It to the Streets / FM (1991)

0078Takin' It to the Streets
イギリスのハードロック・バンドFMの3rdアルバム。前作がレーベル側の思惑ほどには売れなかったためかメジャー契約を切られ、マイナー・レーベルからのリリースとなっています。前二作のハードAORとも言うべきサウンドから一転して、かなりブルージーでソウルフルなハードロックとなりました。この路線変更に関しては、1stと2ndのキャッチーな曲調はレーベル側から要求されたもので、3rdからは本来自分たちがやりたかった音を出せるようになったから、というように言われています。しかし、マーヴ・ゴールズワーシーとピート・ジャップがSamson解散~FM結成にあたって「コマーシャル色の強いロック」を目指したという事情を考え合わせると、初期FMのサウンドが一方的にメジャー・レーベルから強要されたものとも考えにくいのではないでしょうか。もっとも、バンドの目指した「コマーシャル色」とレーベル側の考えるそれが一致していたのかどうかは分かりませんが。いずれにしても、メジャー・レーベルを離れ、リード・ギターもクリス・オーヴァーランドから最初期に在籍したアンディ・バーネットにチェンジし、セルフ・プロデュースによるストレートなサウンドで心機一転を図った、まさにバンドにとって節目のアルバムとなっています。この手のアーシーで骨太なサウンドだと、1stと2ndで見られた「キラキラ・シンセ」による80年代的装飾は不要となり、ディジ・ディジタルはオルガンを白玉で流すことくらいしか出番がなくなりました。そのせいかどうか、彼はこのアルバムを最後にバンドを脱退することになります。

1曲目の"I'm Ready"からAC/DCを思わせるヘヴィでブルージーなロックン・ロール。新生FMの志向性が明確に示されています。続く2曲目はなんとホーン・セクション入りで、ソウルの名曲「悲しいうわさ」("I Heard It Through the Grapevine")をファンキーかつハードにブチかましてくれます。言わずと知れたグラディス・ナイト&ザ・ピップス(1967)、マーヴィン・ゲイ(1968)の大ヒット・ナンバー、このカッコよすぎるカヴァー曲が本作のハイライトだと思います。それにしても、スティーヴ・オーヴァーランドの歌の上手さには脱帽です。水を得た魚のようにコブシをぐるんぐるん回わしまくりたおしています。スティーヴ・オーヴァーランドは元々ポール・ロジャース系統のボーカリストなので、こういうサウンドがしっくり来るのは当然としても、リズム隊も出戻りギタリストもメタル畑でキャリアを積んできたにも関わらず、昔っからこんな音を演っていたかのような手馴れた演奏振りなのが驚き。曲作りに関しても、前二作より更にリズム隊の二人の重みが増し、マーヴ・ゴールズワーシーに至ってはスティーヴ・オーヴァーランドより関与した曲の数が多くなっています。このアルバム収録曲で比較的前作までの雰囲気を残している2曲、#8"Crack Alley"と#11"The Thrill of It All"を彼単独で書いているというのも興味深いです。

さて、筆者としては前二作のようなメロハーはもちろん好き、本作もまた大好きということで、路線変更そのものに否定的ではありませんが、ポップなメロディを渋く歌うという点にスティーヴ・オーヴァーランドとFMならではの魅力があったと思っているので、若干の寂しさと言うか物足りなさを感じたのも確かです。なお、本作にはゲストとしてクレイグ・ジョイナーというギタリストが参加しています。当時FMと同じMusic for Nationsレーベルに所属していたRomeo's Daughterのメンバーで、このバンドのアルバムDelectable (1993)にはマーヴ・ゴールズワーシーがゲスト参加しているようですが、筆者は未聴ですので詳しいことは分かりません。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作 
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. I'm Ready (S. Overland)
02. I Heard It Through the Grapevine (N. Whitfield/B. Strong)
03. Only the Strong Survive (M. Goldsworthy/P. Jupp/S. Overland/A. Barnett)
04. Just Can't Leave Her Alone (M. Goldsworthy)
05. She's No Angel (M. Goldsworthy/P. Jupp/S. Overland/D. Digital)
06. Dangerous Ground (M. Goldsworthy/P. Jupp)
07. Bad Blood (M. Goldsworthy/P. Jupp/S. Overland)
08. Crack Alley (M. Goldsworthy)
09. If It Feels Good (Do It) (M. Goldsworthy/P. Jupp/S. Overland)
10. The Girl's Gone Bad (M. Goldsworthy/P. Jupp/S. Overland/A. Barnett)
11. The Thrill of It All (M. Goldsworthy)
12. Hot Love (M. Goldsworthy/P. Jupp/S. Overland) [bouns]
13. Fuel to the Fire (S. Overland) [bouns]

■Personnel
Steve Overland - Lead vocals, guitar, acoustic guitar
Merv Goldsworthy - Bass, vocals
Pete Jupp - Drums, vocals
Didge Digital - Keyboards
Andy Barnett - Lead guitar, slide guitar, vocals

Backing vocals - Steve Overland, Andy Barnett, Pete Jupp, Leigh Matty, Craig Joiner, Sonia Jones
Guitar Solos - Andy Barnett, Steve Overland, Craig Joiner

The 'Raging' Horns - Martin Shaw, Dennis Rollins, 'Baps' McMillan, Kenny Wellington
Horn Arrangement - Augustus Gowalski

Producer - FM 

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