メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

クリスチャン・ウルフ

Dream Zone / On the Rise (2009)

0484Dream Zone









ノルウェーのメロハー・プロジェクトOn the Riseの2ndアルバム。前作はTerje EideとBennech Lyngboeの二人のユニットでしたが、本作はTerje Eide単独の作品となっています。ドラム以外ほとんどのインストパートはTerje Eide自身が担当しており、追加的にクリスチャン・ウルフ、エリック・ラグノがサポートしています。作風・特長は前作と全く変化無く、適度にハードで適度にポップ、メロディは極上、構成はシンプルでコンパクト。ボーカルが一人になってしまい、ハーモニーの厚みとか少し心配でしたが、そんなことを感じさせない素晴らしい仕上がりです。と言うわけでこの2ndも、傑作だった1stに勝るとも劣らない出色のメロハー作品となっています。

全曲が佳曲・名曲と言って差し支えないのですが、特に気に入ったのは、ドラマチックなスピード・チューンの#1"Lifeline"、高揚感が秀逸なタイトル曲#3"Dream Zone"、美しいメロディとハーモニーに心が洗われるようなアコースティック・バラード#4"Edellyn"といったところです。しかしまあ、作曲・歌唱・演奏のほぼ全てを一人でこなしているTerje Eideの才能の凄さには舌を巻きます。ブックレットの写真を見るとガンコなラーメン屋の大将みたいな風貌なので、爽やかで伸び伸びした歌声との落差に少し驚きますが。

On the Rise名義のアルバムは本作で打ち止めとなっており、昨年(2023年)Terje名義での新作 Recalibrate がリリースされています。これも本作と同様に実質的にはTerje Eideのソロ作らしいのでぜひ聴いてみたいと思っています。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Lifeline (T.Eide, C. Wolff)
02. Lost Your Track (C. Wolff, T. Eide, E. Gronner)
03. Dream Zone (T.Eide)
04. Edellyn (T.Eide)
05. Alive (T.Eide)
06. In the Line of Fire (T.Eide)
07. Get Out of Here (T.Eide)
08. Fly Away (T.Eide, T. Talle)
09. No Time to Lose (T.Eide)
10. Why Wait Another Day (C. Wolff, T. Eide, E. Gronner)
11. Tomorrow Never Dies (T.Eide)
12. Howling at the Moon (T.Eide, Dag Ove Nilsen)
[Bonus Track]
13. Find a Way (E. Gundersen, T.Eide)

■Personnel
Terje Eide - Lead Vocals, All Guitars, Keyboards, Bass, All Background Vocals

Erik Engebretsen - Drums
Christian Wolff - Keyboards & Bass on #1, 2, 7, 10, 12, Lead Guitar on #2, 10, Acoustic Guitars on #10
Eric Ragno - Piano & Keyboards on #1, 3, 4, 11

Producer - Terje Eide

Dream Zone
ON THE RISE
RUBICON
2010-02-17


Self Defence / Ozone (2015)

0364Self Defence









FMのスティーヴ・オーヴァーランドと、Heartlandのクリス・ウーズィーという英国メロディック・ロックを代表するボーカリスト2人と、メロディック・ロック界のキーパーソンでもあるギタリストのマイク・スラマーとトミー・デナンダー、この4人がタッグを組んだハードロック・プロジェクトOzoneのアルバム。このメンツはすごい!ウーズィー、スラマー、デナンダーの組み合せは2011年のクリス・ウーズィーのソロ作Rhyme & Reasonで実現していましたが、そこにスティーヴ・オーヴァーランドが上乗せされてツイン・ボーカルですからね。昔の言い方だと文字通りの「スーパー・グループ」です。当然リリース後すぐに手に入れましたが、一聴して「ん?」となりました。繰り返して聴いても耳に馴染んできません。何種類もの具が乗った豪華な海鮮丼より、結局単品で食ったほうが旨いということでしょうか。

日本国内盤(Rubicon Music)に入っているマイク・スラマーとクリス・ウーズィーのインタビューには、ザックリしたアルバム制作の手順が示されています。それによると、マイク・スラマーとトミー・デナンダーがそれぞれカラオケ・トラックを作成、それをクリス・ウーズィーとスティーヴ・オーヴァーランドにネット送信、それぞれが歌詞と歌メロを作ってボーカル・トラックを録音、プロデューサーのマイク・スラマーがトラックの取捨選択をして曲にまとめるというものです。いかにもレコーディングだけのためのプロジェクトという感じです。パーマネントなバンド活動が難しいメロハーの分野では、今はこういう手法は普通なのでしょう。問題は、マイク・スラマーとトミー・デナンダーの作った曲がゴージャスかつスタイリッシュで泥臭さやブルース味は皆無、一方クリス・ウーズィーとスティーヴ・オーヴァーランドはその真逆の個性が売りであること。それは分かっていて敢えてチャレンジしたのでしょう。しかしながら結局いわゆる化学反応は起きなかったみたいです。そうは言ってもそこはトップクラスの実力者が結集しているわけで、決して駄作にはなっていないのが逆に凄いと思いました。このアルバムが売れたら次があるかも的なことがインタビューに乗っていましたが、どうやら2枚目は無さそうな気配です。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Shadow on the Sun
02. Visionary Man
03. Self Defence
04. Once in a Lifetime
05. Practice What You Preach
06. How Evolved Are We
07. Smile Before You Lie
08. Save My Soul
09. Destiny
10. Tiger by the Tail
11. Let the Good Will Out
12. So Blind
Bonus Track for Japan
13. Visionary Man
All songs written by Chris Ousey, Steve Overland, Mike Slamer, Tommy Denander
except  "How Evolved Are We" by Christian Wolff, Chris Ousey

■Personnel
Chris Ousey - Lead & Backing Vocals
Steve Overland - Lead & Backing Vocals
Mike Slamer - Guitars, B3 Organ, Keyboards, Bass
Tommy Denander - Guitars, Keyboards, Bass
Ronnie Platt - Backing Vocals
Billy Greer - Backing Vocals
Billy Trudel - Backing Vocals
Kerry Denton - Drums
Christian Wolff - Guitars, Keyboards on "How Evolved Are We"
Erik Sabo - B3 Organ

Producer - Mike Slamer
Executive Producer - Khalil Turk

Self Defence
OZONE
ルビコン・ミュージック
2015-09-23

 
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