アンディ・マレツェクとミカエル・アーランドソンが組んだメロディアスハード・グループ、ラスト・オータムズ・ドリームの2nd。前作でバッキングを担当 したミック・ミカエリ(Key)、ジョン・レヴィン(Ba)、イアン・ホーグランド(Ds)のヨーロッパ組に代わり、タリスマンのマルセル・ヤコブ (Ba)とジェイミー・ボーガー(Ds)、さらに前作で名曲"Guardian Angel"を提供していたクリスタル・ブルーのトーマス・ラッサール(Key)がメンバーとして参加しています。メンバーは変わっても音楽性に変化はあ りません。相変わらずの叙情的なメロディ、アーランドソンの切ない声、マレツェクのツボをおさえたギターはこのグループならではのもので、終始メロメロのメロハーです。
曲作りは、全14曲中アーランドソン・チームで6 曲、マレツェク・チーム(実態としてはRick Brightman主導)で5曲、トーマス・ラッサール提供曲が2曲、フェア・ウォーニング時代の曲が1曲と、大体前作と同じような比率になっています。 前作でもそうでしたが、複数のソングライターが楽曲を持ち寄ったことでアルバムが金太郎飴にならず、非常にバラエティ豊かに仕上がっています。バラエティ 豊かということは散漫になるということと紙一重なわけで、これだけ幅広い楽曲を1枚のアルバムに仕立て上げたバンドとスタッフの力量は大したものだと思います。特に、ちょっとハードロック的でないような面白いメロディを、違和感を感じさせることなく自分のレパートリーとして歌いこなすアーランドソンは見事と言うほかありません。ただし、前作は名曲のオンパレードでしたが、本作にも捨て曲はないものの前作の高みには及んでいないように感じます。さらに難を言えば、意図的なものだと思いますがサウンド・プロダクションが軽くて薄い。おかげで特にマルセル・ヤコブのせっかくのベースラインの魅力が半減してしまっています。それから、ミカエル・アーランドソンのボーカルがやや粗いこと。次作のライナーなどを読むと、どうも秋ごとのリリースに拘りすぎて時間がなく、 キーの選択含め練り込みが不足していたのではないかと思われます。
前作と同じように、ストックホルムでのリズム・トラックの録音(Ulf Wahlberg担当)、ベルリンでの曲作りとギター・パート録音(Rick Brightman担当)、イェーテボリでの曲作りとボーカル録音(Torbjörn Wassenius担当)と、各作業は別々に行われています。バンド・メンバーそろってのセッションが行われず、ライブ・パフォーマンスも行われていないわけで、この時点でもラスト・オータムズ・ドリームは、バンドというよりアルバム制作のためのプロジェクトというのが実態だったようです。
評価 ★★★★☆
★★★★★ 傑作
★★★★☆ 秀作
★★★☆☆ 佳作
★★☆☆☆ 凡作
★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Fire With Fire [Bonus Track] (M. Erlandsson, C. Andreasson, T. Wassenius)
02. Up in Paradisee (R. Brightman)
03. Keep Falling (R. Brightman)
04. Running (R. Brightman)
05. (Always Be) You and I (R. Brightman)
06. Heat of Emotion (U. W. Ritgen)
07. Helpless (T. Lassar, R. Eriksson)
08. Over & Out (M. Erlandsson, C. Andreasson, T. Wassenius)
09. So Much Love in the World (M. Erlandsson, C. Andreasson, T. Wassenius)
10. Lost in You (T. Lassar, R. Eriksson)
11. This Gotta Be Love (R. Brightman, A. Malecek)
12. Round & Round (M. Erlandsson, C. Andreasson, T. Wassenius)
13. Brand New Life (M. Erlandsson, C. Andreasson, T. Wassenius)
14. A Place to Hide in Town (M. Erlandsson, A. Desombre)
■Personnel
Mikael Erlandsson – lead & backing vocals
Andy Malecek – guitars
Jamie Borger – drums
Thomas Lassar – keyboards
Marcel Jacob – bass
Pierre Wensberg – backing vocals
Ulf Wahlberg – various keyboards
Rick Brightman – backing vocals
Producer - Ulf Wahlberg, Rick Brightman, Mikael Erlandsson, Torbjörn Wassenius, Claes Andreasson
Executive Producer/coordinator - Ulf Wahlberg