メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

アル・ピトレリ

Rare Cuts / Danger Danger (2003)

0454Rare Cuts









2003年にリリースされたDanger Dangerの初期未発表音源集。1986年~91年にかけての4つのレコーディング・セッションで録音されたデモとアウトテイクが収められています。当然ボーカルはテッド・ポーリーで、中心メンバーのブルーノ・ラヴェル(B)とスティーヴ・ウエスト(Ds)、それからケイシー・スミス(Key)、ギターは殆どが最初期メンバーのアル・ピトレリ、1曲だけアンディ・ティモンズというラインナップとなっています。アル・ピトレリの入ったDanger Dangerというのはおそらくこのアルバムでしか聴けません。未発表曲に興味を惹かれるのはもちろん、既発曲もデモではアレンジが違ったりしていて、色々な意味で貴重な音源集だと思います。デモと言っても全体に音質も悪くなく、歌唱・演奏にも勢いがあってファンならぜひ入手しておきたいところですが、発売から時間が経ってレア盤化してしまっているのが残念です。

01.Lovin' a Girl Like You (Could Be Bad for My Health)
2ndアルバムScrew It!のアウトテイクで未発表曲、1991年オランダでの録音です。いかにも初期Danger Dangerらしい陽気なロックン・ロール。この曲だけアンディ・ティモンズがギターを弾いています。

02.Bang Bang
1stアルバムDanger Danger収録曲のデモ音源、1987年ニューヨークでの録音です。リード・ギターはアル・ピトレリ、リズム・ギターはブルーノ・ラヴェルが弾いています。

03.Feels Like Love
1st収録曲のデモ、1987年ニューヨークでの録音。ギターはアル・ピトレリです。

04.Little Girl's Hot Tonite
1stに収録予定だった未発表曲のデモ、1987年ニューヨークでの録音。ギターはアル・ピトレリです。この能天気さは初期Danger Dangerならでは。

05.Don't Walk Away
1st収録曲のデモ、1987年ニューヨークでの録音。ギターはブルーノ・ラヴェルが担当しています。

06.One Step From Paradise
1st収録曲のデモ、1987年ニューヨークでの録音。ギターはアル・ピトレリです。

07.Hold on Maria
1986年ニューヨークにあるアル・ピトレリの母親の家の地下室で録音されたデモ。このセッションでの録音が3曲続きますが、やや音質的には厳しいです。この曲は未発表曲で、珍しくマイナー・キーの哀愁系メロハーの佳曲です。ギターはアル・ピトレリ。

08.Rock America
1st収録曲のデモ、1986年上記地下室での録音。ギターはアル・ピトレリです。

09.Don't Blame It on Love
1st収録予定だったものの、作り直されて2ndに収録された曲のオリジナル・バージョン。1986年上記地下室で録音されたデモです。ギターはアル・ピトレリ。

10.Live It Up
1st収録曲のデモ、1987年ニューヨークでの録音。ギターはアル・ピトレリです。

11.Temptation
1986年ニューヨークのスタジオで録音されたデモ。未発表曲ですが、何故かY&Tの1987年のアルバムContagiousに収録されています。泣きのメロディが印象的なパワー・バラードで、確かにDanger DangerよりY&T向きかもしれません。ギターはアル・ピトレリです。他の曲はラヴェル&ウエスト作ですがこの曲だけラヴェル&ピトレリ作。また、ドラムもこの曲のみジョーイ・フランコとなっています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01.Lovin' a Girl Like You (Could Be Bad for My Health)
02.Bang Bang
03.Feels Like Love
04.Little Girl's Hot Tonite
05.Don't Walk Away
06.One Step From Paradise
07.Hold on Maria
08.Rock America
09.Don't Blame It on Love
10.Live It Up
11.Temptation
All songs written by Bruno Ravel & Steve West
except #11  written by Bruno Ravel & Al Pitrelli

■Personnel
Ted Poley - Vocals
Bruno Ravel - Bass, All Guitars on #5, Rhythm Guitar on #2, Keyboards on #11, Backing Vocals
Steve West – Drums on #1-10, Backing Vocals on #1
Kasey Smith - Keyboards on #2-10
Al Pitrelli - Lead Guitars on #2-4, #6-11, Rhythm Guitar on #3-4, #6-11, Keyboards on #11, Backing Vocals on #7-9, #11
Andy Timmons - Guitars & Backing Vocals on #1
Joe Franco - Drum Programming on #11
George Cintron - Backing Vocals on #7-9

Producer - Bruno Ravel, Steve West

Rare Cuts
Danger Danger
Low Dice
2003-11-14

 

Holy Man / Joe Lynn Turner (2000)

0333Holy Man









ジョー・リン・ターナー(JLT)の6枚目のソロ作。カバー企画盤を除くオリジナル・アルバムとしては4thアルバムということになります。今回はDeep PurpleやRainbowタイプのハードロックをメインとした趣向になっています。参加したギタリストは全部で7人で、それぞれ持ち味の異なるプレイが楽しめます。特に梶山章は全13曲中7曲と、初登板だった前作Under Cover 2 の3曲を上回る大抜擢に応えて素晴らしいプレイを披露しています。また、ギタリストそれぞれが担当曲の作曲にも関与しているのも興味深いポイント。他のギタリストは、ジョー・ボナマッサ、アンディ・ティモンズ、アル・ピトレリ、カール・コクラン、トム・ティーリー、アラン・シュワルツ。リズム隊はベースにエリック・ツァーとグレッグ・スミス、ドラムにケニー・クラム、それからキーボードにはポール・モリスと、JLTのアルバムではお馴染のプレイヤーが主にクレジットされています。

#1"No Salvation"
冒頭3曲は梶山章が参加したRainbowスタイルの曲。オープニングは、リフからオルガンからとにかくRainbowっぽいスピード・チューンで、JLTものっけから飛ばしまくってます。梶山章のギターソロは、トレブリーなトーンと軽やかなフレージングがリッチー・ブラックモアそのまんま。そういう評価が本人にとって本当に良いか悪いかは別にして、素晴らしい演奏であることは間違いありません。

#2"Holy Man"
タイトル・トラックは少しテンポが落ちてヘヴィになります。なんだかRainbowの未発表曲集を聴いていると錯覚してしまいそう。

#3"Anything"
"Can't Let You Go"に似たメロディアスなバラード曲。梶山章のソロが特にエモーショナルで見事だと思います。擦過音などのノイズが聴こえるのも生々しくて逆に強い印象を受けます。

#4"Honest Crime"
#5"Wolves at the Door"
#6"Angel"
ソロ・デビュー間もない頃のジョー・ボナマッサを起用してのヘヴィなブルース・ロックが3曲続きます。考えてみればこれも大抜擢だったのかもしれません。若さに似合わずコクと粘りのあるギターがいい感じです。本作でのセッションが縁となったのか、エリック・ツァーとケニー・クラムはジョー・ボナマッサのバンドのリズム隊に加わることになります。

#7"Something New"
本作の中では異色なファンキーなグルーヴを打ち出した曲。ソロはアンディ・ティモンズ。

#8"Love Is Blind"
#9"Breaking Away"
ここは残念ながら中だるみですね。捨て曲と言われても仕方のない曲が2曲続きます。歌唱・演奏はもちろん文句無しなんですが。

#10"Midnight in Tokyo"
ラスト4曲は再び梶山氏登板です。ヴァース部分でドラムがオカズ叩きまくっているのは"Burn"と同じ趣向。ギター・ソロが無茶苦茶カッコよくて鳥肌立ちます。蛇足ですがこれ、空耳じゃなく完全に「みんなのトーキヨー」って言ってますね。

#11"Babylon"
タイトルから想像がつくように、"Gates of Babylon"を思わせる中近東イメージの曲。期待に違わぬ梶山氏のアラビアン・フレーズに思わず拍手してしまいました!

#12"Closer"
優しく暖かいメロディが印象的なバラード。JLTのボーカルと梶山章のギターが共鳴している感じ。うーん、この二人は最高のコンビだと思わせますね~。

#13"Too Blue to Sing the Blues"
"Fire in the Basement"や"Lazy"を思い出させる超カッコいいシャッフル・ナンバー。ギターはバッキングもソロもとにかく絶品です。梶山章参加曲は全て出来がいいので、いっそ全曲梶山章でいってくれた方が統一感もあってよかったんじゃないかなぁ。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. No Salvation (J. L. Turner, A. Kajiyama)
02. Holy Man (J. L. Turner, B. Held, A. Kajiyama)
03. Anything (J. L. Turner, B. Held, A. Kajiyama)
04. Honest Crime (J. L. Turner, B. Held, J. Bonamassa)
05. Wolves at the Door (J. L. Turner, B. Held, J. Bonamassa)
06. Angel (J. L. Turner, B. Held, J. Bonamassa)
07. Something New (J. L. Turner, K. Cochran)
08. Love Is Blind (B. Held, T. Teeley)
09. Breaking Away (K. Cochran, R. Young)
10. Midnight in Tokyo (J. L. Turner, B. Held, A. Kajiyama)
11. Babylon (J. L. Turner, A. Kajiyama)
12. Closer (J. L. Turner, A. Kajiyama)
13. Too Blue to Sing the Blues (J. L. Turner, A. Kajiyama)

■Personnel
Joe Lynn Turner - vocals, background vocals on 2, 7, 8, 9, 12
Akira Kajiyama - guitars on 1, 2, 3, 10, 11, 12, 13
Joe Bonamassa - guitars on 4, 5, 6
Andy Timmons -  guitar end solo on 4, guitar solo on 7
Al Pitrelli - addt'l guitars on 6, guitar end solo on 13
Alan Schwartz - guitar end solo on 6, 8
Karl Cochran - guitars on 7, 9
Tom Teeley - guitars on 8, keyboards on 8, background vocals on 2, 7, 8
Paul Morris - keyboards on 1, 2, 3, 4, 5, 9, 10, 11, 12, 13
Eric Czar - bass on 1, 2, 3, 10, 11, 12, 13
Greg Smith - bass on 4, 5, 6, 7, 8, 9
Kenny Kramme - drums
Nancy Bender - background vocals on 2, 7, 8, 12
Tabitha Fair - background vocals on 2, 7, 8, 12

Producer - Bob Held, Joe Lynn Turner
Executive-Producer – Mark Wexler

Holy Man
Turner, Joe Lynn
Pony Canyon Japan
2002-12-24

 

Under Cover 2 / Joe Lynn Turner (1999)

0243Undercover 2









ジョー・リン・ターナーの5枚目のソロ作品。第3作Under Cover の続編となるカバー・アルバムです。Under Cover がR&B寄りの選曲が目立ったのと比較して、今回はハードロックど真ん中。スタンダード曲ばかりなので新鮮味は無いものの、ハードロック・ファンとしては嬉しい内容です。しかも、曲ごとに異なるゲスト・ギタリストがソロを弾くという、タマらん企画となってます。ゲスト以外のバンドはトニー・ブルーノ・レイ(Gt)、グレッグ・スミス(B)、ケニー・クラム(Ds)、ポール・モリス(Key)と、前作Hurry Up and Wait のメンツと同じです。

#1"Lady Double Dealer"、パープルのStormbringer (1974)から。JLTの歌唱はデヴィッド・カヴァーデイルと遜色なく、自分の持ち歌のように歌いこなしています。ギター・ソロは梶山章。「虹伝説 - 虹を継ぐ覇者」でJLTをゲストに迎えて共演した翌年に、今度はJLTから呼ばれたということになります。オープニングのこの曲を含め3曲でソロを任されるという大抜擢に応え、リッチーばりの軽やかでアグレッシブなプレイを披露しています。

#2"Wishing Well"、フリーのラスト・アルバムHeartbreaker (1973)から。ブラックフット、ゲイリー・ムーア、日本だとロックン・ロール・スタンダード・クラブ(松本孝弘)など数多くのバンドにカバーされた名曲。ギター・ソロは、ビリー・スクワイアやロッド・スチュワートのバンドでもプレイしていたジェフ・ゴルブで、これがまた粘っこくて結構カッコいいんです。

#3"Helter Skelter"、ビートルズのThe Beatles (1968 通称「ホワイト・アルバム」)から。ビートルズとしては異色のハードな曲でHR/HM系のバンド中心に数え切れないほどカバーされてきました。ギター・ソロはリヴィング・カラーのヴァーノン・リード。

#4"Rock Bottom"、UFOのPhenomenon (1974)から。マイケル・シェンカーが加入して最初のアルバムですね。当時のギター・キッズはマイケル・シェンカーのソロにびっくり仰天したもんです。この曲、リフとギター・ソロがキモで歌メロは大したことないのに、JLTが本作に入れたのが意外。テンポを落としてグッとヘヴィになってます。そしてソロは原曲ほど長くなく、シェンカーとは全く異なるアプローチでバンド・メンバーのトニー・ブルーノが弾いています。

#5"Waiting for a Girl Like You"、フォリナーの4 (1981)からシングルカットされて大ヒットした曲。ルー・グラムとはニュアンスは違うものの、切々とした歌唱にJLTの上手さを感じざるを得ません。

#6"Movin' On"、バッド・カンパニーのBad Company (1974)から。本作2曲目のポール・ロジャースのレパートリー。JLTの得意分野ですな。各パートとも原曲に忠実で、カバーというよりコピーといった感じ。ソロはジョン・エントウィッスル・バンドのゴッドフリー・タウンゼント、ミック・ラルフスの完コピやってます。憎いね!

#7"Rock and Roll, Hoochie Koo"、これも人気のある曲でカバーは数知れず。リック・デリンジャー作ですが、彼自身のアルバムAll American Boy (1973)に収録される以前に、ジョニー・ウィンターのJohnny Winter And (1970)、エドガー・ウィンターのライブ盤Roadwork (1972) でのジョニー・ウィンターの演奏ですでに有名曲になっていました。リック・デリンジャーはどちらにもウィンター・ファミリーの一員として参加していて、All American Boy のバージョンはいわばセルフ・カバーということになります。本作でのJLTの歌唱はジョニー・ウィンター風ですね。そしてギターはなんとご本人リック・デリンジャー!「三連の神様」らしいカッコいいソロを披露しています。

#8"The Boys Are Back in Town"、シン・リジィのJailbreak (1976)からのシングル・ヒット。シン・リジィの曲はフィル・リノットのクセの強い歌唱が特徴ですが、JLTはその雰囲気を壊さずに自分流に歌いこなしているのがさすが。ギターはトニー・ブルーノ。

#9"Born to Be Wild"、ステッペンウルフのデビュー盤Steppenwolf (1968)から。映画「イージー・ライダー」でテーマソング的に使われ世界中で大ヒット、邦題「ワイルドでいこう」で日本でもよく知られています。古今東西カバーも数知れず、永遠のロック・アンセムともいうべき曲を、本作ではオリジナルに近いアンサンブルで聴かせてくれます。ちょっと現代風で流麗なギター・ソロはトニー・ブルーノ。

#10"The Race Is On"、自身の1stソロ作Rescue You (1985)からのセルフ・カバーです。原曲はきらびやかなキーボードが耳につき、ドラムも風呂場で叩いているような音で、いかにも80年代臭かったのが、ギター中心のすっきりしたアレンジで生まれ変わりました。こちらのほうが全ての音が生々しくてロックらしい勢いがあります。改めて聴き比べると、JLTの声がドスのきいたものに変化し、歌唱もより腰が据わっています。ギターは梶山章、緩急のある実に良いソロです。

#11"Fool for Your Loving"、言わずと知れたホワイトスネイクの代表曲で、初出はReady an' Willing (1980)。Slip of the Tongue でのホワイトスネイクのセルフ・カバーを初めとして、これまた多くのバンドに取り上げられてきたスタンダード・ナンバー。オリジナルは渋めのハード・ロック、Slip of the Tongue バージョンはよりメタリックですが、本作ではそのニコイチ的なアレンジでやってます。ギター・ソロは梶山章で、オリジナルのバニー・マースデンのフレーズをリッチーが弾いてるみたいな感じ。カッコいいです。全然関係ないけど、オリジナルのニール・マーレイのベースが良すぎるので、誰のバージョン聴いてもイマイチ感がつきまとうんですよね、筆者としては。

#12"Mississippi Queen"、マウンテンのClimbing! (1970)から。シングル・ヒットもしました。カバーはブラック・ストーン・チェリーとかWASPとか、他にもあるかも。この曲ではまたまたサプライズでご本人登場!レズリー・ウェストが、独特な歌うようなギター・ソロを弾いています。筆者の好きなギタリストのベスト・テンに入る人なので嬉しいです。JLTのボーカルもレズリー・ウェストとはまた違う迫力があっていいなぁ。

#13"Lost in Hollywood"、レインボーのDown to Earth (1979) から。オリジナルはグラハム・ボネットですが、JLTも負けじと青筋立てて熱唱しております。ガナるときはガナるぞと。JLT時代のレインボーがやっても違和感なさそうですね、この曲。ギター・ソロは何故か梶山氏でなくてアル・ピトレリ。

どれもこれも、プロからアマチュアまで色々なバンドのレパートリーとなることも多く、筆者もバンドでカバーした曲がいくつもあります。耳に馴染んだ曲ばかりで大好物なアルバムですが、正直皆が皆同じように楽しめるのかは分からない。。。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Lady Double Dealer (R. Blackmore/D. Coverdale)
02. Wishing Well (P. Rodgers/S. Kirke/T. Yamauchi/J. Bundrick/P. Kossoff)
03. Helter Skelter (J. Lennon/P. McCartney)
04. Rock Bottom (M. Schenker/P. Mogg)
05. Waiting for a Girl Like You (M. Jones/L. Gramm)
06. Movin' On (M. Ralphs)
07. Rock and Roll, Hoochie Koo (R. Derringer)
08. The Boys Are Back in Town (P. Lynott)
09. Born to Be Wild (M. Bonfire)
10. The Race Is On (J. Lynn Turner/A. Greenwood)
11. Fool for Your Loving (D. Coverdale/B. Marsden/M. Moody)
12. Mississippi Queen (L. West/C. Laing/F. Pappalardi/D. Rea)
13. Lost in Hollywood (R. Blackmore/R. Glover/C. Powell)

■Personnel
Joe Lynn Turner - vocals, background vocals on 5, 7, 10
Tony Bruno - guitars, guitar solo on 4, 5, 8, 9
Greg Smith - bass
Paul Morris - keyboards
Kenny Kramme - drums

Akira Kajiyama - guitar solo on 1, 10, 11
Jeff Golub - guitar solo on 2
Vernon Reid - guitar solo on 3
Goodfrey Townsend - guitar solo on 6
Rick Derringer - guitars and guitar solo on 7
Leslie West - guitars and guitar solo on 12
Al Pitrelli - guitar solo on 13
Steve Murphy - background vocals on 3, 5
Evan Slamka - background vocals on 3, 5, 10
Eric Miranda - background vocals on 3, 5, 10
Bill Snodgrass - background vocals on 3
Nancy Bender - background vocals on 7
Dina Miller - background vocals on 7

Producer - Bob Held, Joe Lynn Turner
Executive Producer - Mark Wexler, Kaz Kojima

Under Cover 2
Turner, Joe Lynn
Mascot
2006-11-27

Hurry Up and Wait / Joe Lynn Turner (1998)

0230Hurry Up and Wait









ジョー・リン・ターナーが1998年にリリースしたソロ作。前作Under Cover (1997)はカバー・アルバムだったので、オリジナル・アルバムとしてはRescue You (1985)、Nothing's Changed (1995)に続く3番目の作品となります。バック・バンドは、これまでもJLTのアルバムに参加してきたトニー・ブルーノ・レイ(gt)、アル・ピトレリ(gt)、グレッグ・スミス(b)のおなじみのメンツに加え、ポール・モリス(key)、ケニー・クラム(ds)、この5人がメインとなっています。ポール・モリスはグレッグ・スミスとともに再結成Rainbowのメンバーだったプレイヤー。ゲストのバッキング・ボーカルにドゥギー・ホワイトが参加しているのも、やはり再結成Rainbowつながりでしょう。同じく再結成Rainbow組で、JLTの過去作でドラムを叩いていたいたジョン・オライリーは、今回はBlackmore's Nightの来日公演参加のためスケジュールの都合がつかず、ケニー・クラムという無名のドラマーが起用されています。なお、JLT、グレッグ・スミス、ポール・モリスは、リッチー・ブラックモアの息子ユルゲン・ブラックモアをギタリストに迎えたOver the Rainbowのメンバーでもあります。プロデュースは前作Under Cover を手がけたボブ・ヘルドとJLT自身となっています。

さて、ライナー・ノートによると本作収録曲の多くが過去に書かれたということです。例えば#8"Too Much Is Not Enough"は、JLTが一時在籍したDeep PurpleのSlaves and Masters (1990)収録曲のリメイク。#6"No Room for Love"と#9"Blueprint for the Blues"はSlaves and Masters の次のアルバム用に書かれ、JLTのPurple脱退により陽の目を見なかった曲。#11"Someday"は1stソロRescue You 収録予定だったもので、プロデューサーのロイ・トーマス・ベイカーの意向で外され曲、というような具合です。曲が古くても別に構わないのですが、本作に関して言えばどうもパッとしない曲が多いかな。そんな中で筆者のお気に入りは、ゆったりしたテンポで力強く明るい雰囲気の#1"We Will Survive"、トニー・ブルーノとアル・ピトレリのギター・バトルが熱い#5"Game of Rock 'n' Roll"、それからベタ過ぎるほどの泣きのバラード#10"Can't Face Another Night"。もちろん他の曲だって、何を歌っても上手いJLTの力量と、バンドの安定した演奏のおかげで聴き応えはあるし、つまらないアルバムにはなっていないんですけどね。

なお本作のアメリカ盤は、"Shine On"と"Freedom`s Wings"の2曲をボーナス・トラックに加えてリリースされる予定でしたが、結局曲順は異なるものの曲数は日本盤と同様となっています。一方ヨーロッパ盤は"Shine On"が追加されて全12曲収録。また、次作Under Cover 2 先行シングルとして日本国内で発売されたWaiting for a Girl Like You には、"Shine On"と"Freedom`s Wings"が収められています。 

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. We Will Survive (J. L. Turner/B. Held/A. Pitrelli/A. Greenwood)
02. Sex and Money (B. Held/T. Teeley)
03. Guilty Heart (J. L. Turner/B. Held/A. Pitrelli)
04. Days of Rage (J. L. Turner/B. Held/A. Pitrelli)
05. Game of Rock 'n' Roll (J. L. Turner/J. Napoli)
06. No Room for Love (J. L. Turner/B. Held/A. Pitrelli)
07. Sentimental (J. Guthrie/J. Guthrie/F. Doddy)
08. Too Much Is Not Enough (J. L. Turner/B. Held/A. Greenwood)
09. Blueprint for the Blues (J. L. Turner/J. Peterik)
10. Can't Face Another Night (J. L. Turner/B. Held/A. Pitrelli/A. Greenwood)
11. Someday (J. L. Turner/B. Held/A. Greenwood)

■Personnel
Joe Lynn Turner – lead vocals, background vocals on 1, 3, 5, 7, 8, 10, 11
Al Pitrelli – guitars on 1, 3, 4, 6, 10, guitar solos on 5 background vocals on 3, 5
Tony Bruno – guitars on 2, 5, 7, 8, 9, 11, guitar solos on 5
Paul Morris - keyboards on 1, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11
Greg Smith – bass, background vocals on 1, 3, 5, 8 
Kenny Kramme  - drums

Tom Teeley - keyboards on 2, background vocals on 2, 10, 11
Bob Held - guitar solo on 2
Chris Caffery - guitar solo on 3, background vocals on 5
Jock Guthrie - additional guitars on 7, background vocals on 2, 7, 8
Al Greenwood - keyboards on 10
Nancy Blender - background vocals on 1
Kyle Gordon - background vocals on 1
Dina Miller - background vocals on 1, 10, 11
Swan - background vocals on 1, 5
Godfrey Townsend - background vocals on 1, 5
Steve Bello - background vocals on 5
Jeb Guthrie - background vocals on 7, 8
Benny Harrison - background vocals on 8, 11
Doogie White - background vocals on 8

Producer - Bob Held & Joe Lynn Turner
Executive Producer - Mark Wexler

ハリー・アップ・アンド・ウェイト
ジョー・リン・ターナー
ポニーキャニオン
1998-05-20

Morning Wood / Morning Wood (1994)

0220Morning Wood









1992年のTNT解散後にトニー・ハーネルがリリースしたアルバム。実質ソロ作ですがMorning Woodというバンド名義になっています。メンバーはギターにアル・ピトレリ(Asia、Savatage、Megadeth etc)、ベースにダニー・ミランダ(Blue Öyster Cult 、Queen + Paul Rodgers ‎etc)、ドラムにチャック・ボンファンテ(Saraya etc)。TNTの僚友ロニー・ル・テクロは、当時アメリカ的なものが何もかも嫌になっていたようですが、トニー・ハーネルもノルウェー的なものに嫌気が差していたらしく、半分はアメリカのバンドのカバーで占められています。選曲がちっょとベタ過ぎる気がしないでもありませんが、TNTとは真逆でアルバム全体がとにかくリラックス・ムード。全編にわたってアコースティック・ギターがフィーチャーされ、聴いていると心地よくくつろいだ気分に浸れます。トニー・ハーネルの原点という意味でも興味深いし、演奏も歌唱もパーフェクトなので聴いて損はないです。

■01. Not Scared Anymore (Tony Harnell, Danny Miranda)
優しいメロディが印象的なオリジナル曲。さりげないけれどバックの演奏がめちゃくちゃ渋い!
■02. Love the One You're With (Stephen Stills)
元々はスティーヴン・スティルスのソロ・アルバム収録曲ですが、CSN&Yでもやっていた曲。典型的なアメリカン・ロックという感じ。ギター・ソロがAllman Brothersの"Jessica"だったりして、なんとも憎いアレンジです。
■03. Tonight I'm Falling (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø) / Crazy on You  (Ann Wilson, Nancy Wilson)
言わずと知れたTNTの名曲とHeartのヒット曲のメドレー。スローでアコースティカルな"Tonight I'm Falling"、美しくて切なくて泣けるなぁ。ピトレリのギターもゾクゾクするほどカッコいい。
■04. Desperado (Don Henley, Glenn Frey)
これまた知らない人はいないであろうEaglesの超名曲。当たり前にいいです。
■05. More Now Than Ever (Al Pitrelli)
アル・ピトレリのオリジナル。地味だけど、聴けば聴くほど味わいの増す曲ですね。
■06. Give a Little Bit (Richard Davies, Roger Hodgson)
これはアメリカじゃなくてブリティッシュ・ロック・バンドSupertrampのカバー。Supertrampあんまり聴いたことないし、ちょっと筆者としては印象薄いかな。
■07. What's Going On (Marvin Gaye, Alfred Cleveland)
これもあまりに有名なマーヴィン・ゲイの名曲。リズム隊の巧みさ、ピトレリの職人的ギターが際立っています。いや~素晴らしい!!
■08. Midnight Rider (Gregg Allman)
Allman Brothers Bandの渋いナンバー。Allman Brothersもいいけれど、Whitesnakeにいたミッキー・ムーディが昔やってたJuicy Lucyのカバーが気だるくて良かったな。このトニー・ハーネルのバージョンもむしろそっちに近い感じ。
■09. Silence (Tony Harnell, Danny Miranda)
TNTのアルバムの真ん中あたりに入っていてもおかしくないような、繊細で静かな曲。トニー・ハーネルならではの歌唱だと思います。
■10. One of These Nights (Don Henley, Glenn Frey)
再びEaglesの大ヒット曲。リズムが跳ねるアレンジが新鮮です。ギター・ソロがまたまた絶品。上手いな~、ピトレリ!
■11. Love Hurts (Boudleaux Bryant)
ブリティッシュ・ロック・バンドNazarethのバラードのカバー。Nazarethは70年代に何枚かアルバム買ったけど、B級イメージが抜けないバンドだったし、この曲もどこがいいのかよくわからない。
■12. Sun in Your Sky (Tony Harnell, Danny Miranda)
トニー・ハーネルの書く曲は、やっぱりどれも優しくて繊細だな。この人、いい人なんじゃないかと思います。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Personnel
Tony Harnell - All vocals
Al Pitrelli - All guitars
Danny Miranda - Bass guitar, keyboards
Chuck Bonfante - Drums,  percussion

モーニング・ウッド
トニー・ハーネル・プロジェクト
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
1994-02-10

Under Cover / Joe Lynn Turner (1997)

138Undercover









ジョー・リン・ターナーのソロ三作目はカヴァー・アルバムです。これ、選曲も中々オツだし、もちろん歌唱も演奏も磐石で大いに楽しめます。バンドは、リズム隊は前作Nothing's Changedと同じグレッグ・スミス(b)&ジョン・オライリー(ds)、キーボードも同じゲイリー・コーベット、ギターはトニー・ブルーノ・レイ(ex-Saraya/Danger Danger etc)。前作でギターを担当したアル・ピトレリ(ex-Danger Danger/Alice Cooper etc)は今回は2曲でギター・ソロを弾いています。同じく部分参加のカール・コクラン(ESP/Voodooland etc)は、この後もコンスタントにJLTのギタリストを勤めます。バック・ボーカルの一人サンディ・サラヤはトニー・ブルーノ・レイのいたSarayaの女性シンガーです。プロデュースはボブ・ヘルドで、JLTの他にもJoe Bonamassaなどのプロデュースを手がけています。

#1"We're an American Band"は1973年グランド・ファンクのヒット曲で、多くのバンドにカバーされているスタンダード。JLTもノリノリで出だしは快調です。
#2"Freedom"は1971年ジミヘンの死後リリースされたThe Cry of Loveからのシングルカット曲。ファンキーでカッコいい。リズム・ギターのガシガシした感じ、リード・ギターの甘い音色がすごく良いです。
#3"Fire and Water"は1970年フリーの3rdアルバムのタイトル曲。元々ミドル・テンポのヘヴィな曲ですが、ウィルソン・ピケットがファンキーなR&B調にアレンジしてヒットさせています。JLTのはこのバージョンのカヴァーっぽい。ウィルソン・ピケットの影響大のポール・ロジャースの曲をウィルソン・ピケットがカヴァーし、それをポール・ロジャースの影響大のJLTがカヴァーするという面白い趣向。
#4"Street of Dreams"は1983年レインボーのBent Out of Shapeからのシングル曲。つまりJLTのセルフカヴァー。テンポを落としたバラード・ナンバーになっています。いや~名曲。しかし、改めて思うけどディオ時代のレインボーからは想像つかない曲ですね。
#5"Fortunate Son"は1969年CCRのヒット曲。反戦歌として数多くのミュージシャンにカヴァーされてきた曲。勢いのあるロックン・ロールに仕上がっていてカッコいいです。
#6"Vehicle"は1970年アイズ・オブ・マーチのヒット曲。アイズ・オブ・マーチはジム・ピートリックの在籍したブラスロック・バンドですが、筆者この曲猛烈に好きなんでJLTがカヴァーしてくれて嬉しかったです。
#7"Hush"は1968年のロッド・エヴァンス在籍時の第一期ディープ・パープルのヒット曲。サイケ+ファンクですな。元曲はジョー・サウス、この曲も色んな人にカヴァーされ続けてますね。
#8"Unchained Melody"は1965年ライチャス・ブラザーズのヒット曲。元曲は1955年の映画主題歌。史上もっともカヴァー録音された曲だそうで、500以上のバージョンがあるらしい。
#9"Chained"は1968年マーヴィン・ゲイのヒット曲。元々ファンクですがJLTは更にグルーヴを効かせています。出だしのギター・ソロが#2と同じでバドカンの"Rock Steady"かと思っちゃう。
#10"Gimme Some Lovin’/I’m a Man"はスペンサー・ディヴィス・グループのメドレー。"Gimme Some Lovin’"は1966年のヒット・シングルで超有名曲、"I’m a Man"は1967年のヒット曲。
#11"Thief in the Night"はレインボー加入前にJLTが在籍したファンダンゴの1979年の曲で、これもセルフ・カヴァー。バドカンみたいですが、元曲もこんな感じです。
#12"Deal With the Preacher"はポール・ロジャース持ち歌2曲目、1975年バッド・カンパニーのStraight Shooter収録曲。以前は途中テンポ落として静かになる展開がかったるかったのですが、今はそこが好き。歌唱力のある人じゃないと歌えないですね。
#13"Sunshine of Your Love"は言わずと知れたクリームの代表曲の一つ。1967年のDisraeli Gears収録曲で、1968年にシングルカットされてヒットしています。この曲は日本盤ボーナストラックですが、日本の音楽雑誌のリクエスト投票結果からJLTが選んで録音されたとのこと。

全体を通して聴くと、意外にR&B、ファンク寄りの曲が多い印象です。JLTは歌マネも上手いのですが、このアルバムではオリジナルの歌唱を表現しながら自分の味も出すという、結構芸の細かいことをやってるな~と思いました。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. We're an American Band (Brewer)
02. Freedom (Hendrix)
03. Fire and Water (Fraser/Rodgers)
04. Street of Dreams (Blackmore/Turner)
05. Fortunate Son (Fogerty)
06. Vehicle (Peterik)
07. Hush (South)
08. Unchained Melody (Zaret/North)
09. Chained (Wilson)
10. Gimme Some Lovin’(Winwood/Winwood/Davis) / I’m a Man (Winwood/Miller)
11. Thief in the Night (Blakemore/Turner/Larue)
12. Deal With the Preacher (Rodgers/Ralphs)
13. Sunshine of Your Love (Bruce/Brown/Clapton)

■Personnel
Joe Lynn Turner – lead vocals, background vocals on 1, 2, 3, 5, 6, 7, 9, 10, 11
Tony "Bruno" Rey - guitars, 2nd guitar solo on 12, background vocals on 2, 5
Greg Smith – bass
John O'Reilly – drums
Gary Corbett – keyboards

Al Pitrelli – guitar solos on 1, 11
Karl Cochran - 1st guitar solo on 12, guitar solos on 13, background vocals on 2, 5
Katie Mac - background vocals on 1
Kaz Kojima - background vocals on 2,
Nancy Bender - background vocals on 3, 4, 10
Dina Miller - background vocals on 3, 4, 10
Sandy Saraya - background vocals on 5, 7, 9
Janet Raines - background vocals on 5, 7, 9
Steve Murphy - background vocals on 6, 10, 11
Peter Baron - background vocals on 6, 10, 11
Mark Wexler - percussion on 1, 10
Louie Appel - percussion on 4
Bob Held - percussion on 10
Don Harris - trumpet on 6
Bill Harris - saxophone on 6
John Fumalosi - trombone on 6

Producer - Bob Held, Fernando Kral, Joe Lynn Turner
Executive Producer - Mark Wexler 

Undercover
Joe Lynn Turner

 

Nothing's Changed / Joe Lynn Turner (1995)

0120Nothings Changed









ジョー・リン・ターナーのソロ・アルバム第2弾。前作Rescue YouがRainbow解散後すぐの1985年のリリースですから、10年ぶりの2ndアルバムということになります。いや~この10年の間に色々ありました。80年代後半はイングヴェイ・マルムスティーンに引っ張られ、そして89年衝撃のパープル加入とアルバム1枚での脱退(解雇)、93年にジェフ・ワトソンやカーマイン・アピスとともにスーパーグループMother's Army結成。そんな激動の10年を経て制作された2ndソロは、1stとはずいぶん色合いの異なる作品となりました。前作はいかにも80年代っぽいゴージャス感溢れるハードポップでしたが、本作は70年代回帰的とも言えるナチュラルなロック・サウンドです。#1"Promise of Love"からいきなりBad Companyみたいなざっくりしたロックン・ロールだし、#6"Satisfy Me"は引きずるボーカルとうねるオルガンが最末期Freeを思わせます。必殺のバラード#4" Imagination"の切なさ、タイトル曲#9"Nothing's Changed"の土臭さ、ジョーの幼い娘リヴィアナの声をイントロに置いた#11"The Last Thing"のなんとも言えない優しい感じ、うーんどの曲もすばらしい!ジョーの声も渋みが増して歌唱力にも磨きがかかり、聴いていて全然飽きません。下記にあるようにバンドも手堅い巧者ばかりで演奏も非常に安定しており、これは文句のつけようのない名盤ですな。

このアルバムのレコーディング・セッション参加メンバーの中核は、ジョーがパープル脱退後にJoe Lynn Turner Bandとしてライヴを行っていてた頃のバンド・メンバーであるアル・ピトレリ(gt.)、グレッグ・スミス(b.)、ジョン・オライリー(ds)、ゲイリー・コーベット(key.)です。アル・ピトレリは極初期のDanger Danger、Alice Cooper、Asia、Widowmaker、Morning Woodなどでプレイしてきたギター職人で、2000年代に入ってからはMegadethのメンバーともなっています。グレッグ・スミスも一時期Alice Cooperのバンドに在籍し、その縁でピトレリと知り合いJoe Lynn Turner Bandに合流しました。それ以前には元Rainbow組のデイヴ・ローゼンタール、チャック・バーギのRed Dawnに参加したりしています。ジョン・オライリーは元々フュージョン系のドラマーで、ピトレリとCPR(Coven, Pitrelli, Reilly)というグループでアルバムをリリースしています。また、グレッグ・スミスとジョン・オライリーは、再結成Rainbow(1994年)のリズム隊としてリッチーにスカウトされています。ゲイリー・コーベットは、ジョーの1stソロでギターを担当した元Starzのボビー・メッサーノのアルバムや、Cinderella、最近ではNelsonなどのレコーディングに参加しているプレイヤー。デレク・シェリニアンはご存知Dream Theaterのキーボーディストですが、彼も一時期Alice Cooperのバンドにいて、ピトレリ、グレッグ・スミスと接点があったようです。最後にパーカッションのジェラルド・ヴェレス、この人はジミヘンのJimi Hendrix Experienceに参加して1969年のウッドストック・フェスに出演したという古強者。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Promise of Love (Turner/Tyler/Keys)
02. I Believe (Shwersky/Midnight/Cross/Gian)
03. Bad Blood (Turner/de Carvalho/Borrelli/Kowal)
04. Imagination (de Carvalho/Borrell/Lafalce)
05. Baby's Got a Habit (Turner/Byrd/Mohawk)
06. Satisfy Me (Shwersky/Cross)
07. All or Nothing at All (Turner/Pitrelli/Cross)
08. Save a Place (Turner/Sabu/House)
09. Nothing's Changed (Turner/Pitrelli/Held)
10. Liviana's Intro (Turner)
11. The Last Thing (Turner/Shwersky/Cross)
12. Let Me Love You Again (Turner/Pitrelli/Held/Brown)
13. Knock Knock (Turner/Pitrelli/Held)

■Personnel
Joe Lynn Turner – lead & background vocals
Al Pitrelli – guitars, keyboards
Greg Smith – bass
John O'Reilly – drums

Derek Sherinian – piano, keyboards (tracks 3, 7, 8, 11, 13)
Gary Corbett – keyboards (tracks 2, 5, 11, 12)
Wayne Hammerly – keyboards (tracks 4, 6, 9)
Gerardo Velez – percussion
Kati Mac, Nancy Bender, Elaine Caswell, Brit Savage, Liviana – background vocals

Producer - Al Pitrelli, Joe Lynn Turner
Executive Producer - Mark Wexler 

NOTHING’S CHANG
ジョー・リン・ターナー
ポニーキャニオン
1995-09-21

 
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