メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。

Fortune[SWE]

Lord of Flies / Fortune (1995)

0185Lord of Flies










1stMaking Gold の典型的スウェーデン式叙情メタルで日本のファンを前のめりにさせたあげく、2ndCalling Spirits でグランジ化して今度はのけぞらせた、あのフォーチュンの3rdにしてラストのアルバム。どうせ3rdもクソ面白くもない付け焼刃のダーク&ヘヴィ路線だろうとタカをくくっていたら、このバンドはまたまた想定外の変身を遂げていました。ライナーによるとバンドの言い分は、前作はブルース・ゴウディのプロデュースによって本来のメロディの魅力が隠れてしまったとのこと。ん?ブルース・ゴウディが悪いんだと。そう言いたいわけですね。なるほど、なるほど。

で、バンド自身とマッツ・リンドフォースによってプロデュースされた本作は、2ndのなんちっゃてグランジを脱し、かといって1stのような北欧メロディック・メタルに戻るわけでもなく、60~70年代ロックの影響を感じさせるシンプルなハードロックに仕上がっています。出だしの"Daydreamer"からして、ロッド・エヴァンスを思わせる無機質なボーカルが第一期Deep Purpleのようでもあり、ソリッドなリフがグリグリと攻めてくるところがDizzy Mizz Lizzyのようでもあり、そこにときおり叙情メロディが顔をのぞかせるという、古いような新しいような不思議な音です。特筆すべきはリズム・セクションのタイトさで、これが本作のサウンドの決め手になっていると思います。ベニー・セーデルベリの歌唱は多少力強さが増して中々いい感じ。歌いまわしはすっかりアメリカナイズされていて、「アオッ」とか叫ばれるとちょっと気恥ずかしい。ああ、ジョーイ・テンペストもそうだったなぁ。。。

本作には新たにエミル・フレッドホルムというギタリストが加わっており、ツインリード体制となっています。この人はウリ・ジョン・ロートの影響を受けているとのことですが、#4"Heartbreaking Woman"のエモーショナルなリード・ギターなどはまさにウリ・ジョン・ロート+マイケル・シェンカーという感じで、このバンドに新しい魅力を付け加えています。また、ヘンリック・ベリクヴィストのアコギ、エミル・フレッドホルムのマンドリンが、独特の空気感を醸し出していているのも好印象。ピアノなんかもそうですが、ハードロックと生楽器は意外に相性が良くて、ちんけなシンセ音よりよほどサウンドの品位を高める効果があると思います。

総じて、2ndはもちろん、ある意味類型的だった1stにも増してオリジナリティ溢れる本作が、このバンドの最高傑作だったのではないかと思います。この路線でもう1枚作っていたら、ひょっとして歴史的名盤が誕生していたかも、なんて夢想してしまいました。現実にはこのアルバムを最後にフォーチュンは解散し、ベニー・セーデルベリはClockwise、ヘンリック・ベリクヴィストはThe Poodles、エミル・フレッドホルムはPlanktonとそれぞれ別の道を歩むことになります。

★追記2017年2月
これまで国内盤ライナーノーツに従って、Benny Söderbergを「ベニー・スドベリ」と表記してきましたが、スウェーデン人名Söderbergの一般的カタカナ表記にならって「ベニー・セーデルベリ」に改めます。 

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Daydreamer (M: Söderberg, Lund, Bergqvist / L: Söderberg)
02. King Of Kings (M: Söderberg, Lund, Bergqvist / L: Söderberg)
03. Bad Days (M: Söderberg, Bergqvist / L: Söderberg)
04. Heartbreaking Woman (M: Söderberg, Lund, Bergqvist / L: Söderberg)
05. Black Circle (M: Söderberg / L: Söderberg)
06. Dusty Road (M: Söderberg / L: Söderberg)
07. Elvis Presley (M: Bergqvist, Lund, / L: Söderberg)
08. Forsaken Nation (M: Söderberg / L: Söderberg)
09. Fallen Angel (M: Söderberg, Bergqvist / L: Söderberg)
10. Lord Of Flies (M: Bergqvist / L:  Bergqvist, Söderberg)
11. Raining Stones Over Babylon (M: Fredholm / Söderberg, Fredholm)
12. Terminate (M: Söderberg / L: Söderberg)
13. Carolina (M: Bergqvist / L:  Söderberg)

■Personnel
Benny Söderberg - lead and backing vocals, keyboards
Henrik Bergqvist - electric and acoustic guitars
Emil Fredholm - electric guitars, mandolin
Janne Lund - bass, backing vocals on "Elvis Presley"
Sebastian Sippola - drums, percussion

Janne Blingegard - hammond organ

Producer - Fortune and Mats Lindfors

Calling Spirits / Fortune (1994)

130Calling Spirits










ベニー・セーデルベリ率いるスウェーデンのメロディアスHR/HMグループだったフォーチュンの2ndアルバム。1stは叙情性と田舎臭さを併せ持つ元祖北欧HR/HMを絵に描いたような秀作でした。2ndは、、、時まさに1994年、彼らもやっちまいました。見事に自分たちに似合わないい「モダン」路線に切り替えてしまっています。これは痛い。HR/HMのアンチたるオルタナ/グランジの軍門に降るとはいったい何を考えているのか。だいたいベニー・セーデルベリの歌唱でこういう音楽をやるのに無理があるだろうって本人たちが気づかないのか。ヘンリック・ベリクヴィストのギターが1stよりさらに進化を遂げて聴き応えがあるのが唯一の救いです。メンバーはドラム以外は前作と同じです。バッキング・ボーカルにヨラン・エドマン、プロデュースにStone Fury、Unruly Childのギタリスト、ブルース・ゴウディがクレジットされています。

★追記2017年2月
これまで国内盤ライナーノーツに従って、Benny Söderbergを「ベニー・スドベリ」と表記してきましたが、スウェーデン人名Söderbergの一般的カタカナ表記にならって「ベニー・セーデルベリ」に改めます。 

評価 ★★☆☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Calling Spirits (B. Söderberg/B. Gowdy/ Fortune)
02. Preacher Man (B. Söderberg/H. Bergqvist/ Fortune)
03. Freedom (B. Söderberg/ Fortune)
04. Be My Lover (B. Söderberg/ Fortune)
05. No For An Answer (B. Söderberg/ Fortune)
06. Stay (B. Söderberg/B. Gowdy/ Fortune)
07. Desperado (B. Söderberg/ Fortune)
08. Shakespear's Nightmare (J. Lund/B. Söderberg/ Fortune)
09. Trail Blazer (B. Söderberg/H. Bergqvist/ Fortune)
10. Shoot! [bonus] (B. Söderberg/H. Bergqvist/ Fortune)

■Personnel
Benny Söderberg - lead and backing vocals, keyboards
Henrik Bergqvist - guitars
Janne Lund - bass, keyboards
Sebastian Sippola - drums

Göran Edman – backing vocals
Bruce Gowdy – keyboards

Producer - Bruce Gowdy 

Making Gold / Fortune (1992)

0092Making Gold
フォーチュンという名のメロハー・バンドはいくつかありますが、これは後に元Gloryのヤン・グランウィック、元Europeのジョン・レヴィン、イアン・ホーグランドと共にClockwiseを結成するベニー・セーデルベリが在籍したスウェーデンのメロディアスHR/HMグループ。そのデビュー・アルバムです。メンツは、中心メンバーのボーカルのベニー・セーデルベリとベースのジャン・ルンド、二人の友人だったヤン・グランウィックの紹介で参加したギタリストのヘンリック・ベリクヴィスト、そしてドラムのトーマス・ホークの4人。みな若くてバンド経験も少なく、レコーディングも初めてにも関わらず(しかもセルフ・プロデュース)、とても良い作品に仕上がっているのが驚き。特に、後にThe Poodlesのギタリストとなるヘンリック・ベリクヴィストは当時まだ20歳そこそこの若さですが、端正かつエネルギッシュ、いかにも北欧チックなギターをガンガン弾き倒してくれています。

音のほうはどうかと言うと、クラシカルでどことなく気品のあるサウンド、清潔な透明感と叙情性に満ちたメロディ、そこはかとなく漂う純情なイモ臭さ、モッサリとして垢抜けないボーカル、つまり初期Europeに共通する元祖「北欧メタル」な音楽性です。気味や良し!!本作がリリースされた90年代初頭と言えば、アメリカ発のオルタナ・グランジ・ブームという暗雲がロック・シーンを覆いつくさんとする勢いだったわけですが、このアルバムは見事にそして清々しいまでにそういった時代性を無視しています。メロハー者なら膝を打って快哉を叫ばずにはいられないでしょう。ただし、はっきり言ってベニー・セーデルベリは歌が下手です。時を経てClockwise時代になっても相変わらずヨタヨタした歌いぶりなので、もうしょうがないですね。歌が上手くないHR/HM系ボーカリストっていうのは、なんだコイツ下手糞だなー消えろや!とキレたくなる人と、下手さも味のうちだよね~♪と聴き手の寛容さを引き出してしまう人がいますが、筆者にとって彼は後者の典型的な人です。

蛇足ですが、#2"Anonymous Lover"のサビ、なんど聴いても「あ、成増ラバー」と聴こえてしまいます。

★追記2017年2月
これまで国内盤ライナーノーツに従って、Benny Söderbergを「ベニー・スドベリ」と表記してきましたが、スウェーデン人名Söderbergの一般的カタカナ表記にならって「ベニー・セーデルベリ」に改めます。 

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

01. Eyes of Ice
02. Anonymous Lover
03. Lucky Star
04. Renegade
05. Lfe Goes On
06. Stormy Roads
07. Trouble in Paradise
08. Mindreader
09. Sundowner
10. Make Your Move
11. Fools Gold
12. Mystified [bonus]
All songs written by Benny Söderberg and Fortune
except 9 written by Benny Söderberg, Janne Lund and Fortune

■Personnel
Henrik Bergqvist - guitars
Benny Söderberg - lead and backing vocals, keyboards
Janne Lund - bass, acoustic guitar
Thomas Hauk - drums

Producer - Benny Söderberg, Janne Lund 

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