メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

フィンランド(Finland)

Danger in the Dark / Prayer (2012)

0380Danger In The Dark









フィンランドのメロハー・バンドPrayerの2ndアルバム。1stから7年経っており、リーダーのタパニ・ティッカネン以外のメンバーは一新されています。それにも拘らず中身は前作と何ら変わっておらず、Thin Lizzyがメロハー化したような音楽です。このバンドは実質タパニ・ティッカネン主宰のプロジェクトなのでしょう。しかしながら今回は、そもそもフィル・リノットってこんなんだっけ?というかこの人、前より歌が下手になってない?というように疑問符が次々浮かんできてしまいました。楽曲は決して悪くはないし、ギター・ソロはメロディアスでハモリのフレーズもThin Lizzyっぽくて良いのですが、とにかくボーカルが気になります。このバンドは3枚目も出ているし、またタパニ・ティッカネンの別バンドTannaのアルバムもリリースされていて、聴いてみようかどうか迷うところです。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Danger in the Dark
02. Nobody Loves You
03. KP
04. Get What I Came For
05. Find Another Fool
06. Never Let Your Dreams Die
07. Heart Wants You to Rock
08. Livin' Ain't Livin'
09. I'm Back
10. It's Not the End
11. Best Times [Bonus track for Japan]
All music & lyrics by Tapani Tikkanen

■Personnel
Jukka Ihme - Lead & Rhythm Guitar
Mika Pohjola - Bass & Keyboards
Matti Torro – Drums
Tapani Tikkanen - Lead & Background vocals, Rhythm Guitar, Percussion
Valtteri Tikkanen - Rhythm Guitar, Keyboards

Producer - Tapani Tikkanen, Mika Pohjola

Danger In The Dark ※日本語解説/対訳付き
PRAYER
ルビコン・ミュージック
2012-07-18

 

Signs of Times / Urban Tale (2003)

0260Signs of Times









2003年にリリースされたフィンランドのメロハー/AORバンドUrban Tale(アーバン・テイル)の2ndアルバムです。メンバーは1stと同じく、キモ・ブロム(Vo)、エルッカ・コルホネン(Gt)、トゥオモ・コヴァライネン(Ba)、ティモ・プダス(Key)、カリ・ヴァリマキ(Ds)の5人。プロデューサーも同じくアンダース・テオ・ティアンデル。前作と同様、AOR寄りの都会的なサウンド(シティ・ポップというのか?)に、清涼感と寂寞感を漂わせたメロディが乗っかるという、このバンドのワン&オンリーというべき音楽が聴けます。前作から変わった点と言えば、プログレ風味が消えたこと、全体にメロディがやや地味目になったことがあげられます。そういう意味では前作ほどのパンチに欠けるかもしれません。でも、ベタな「泣き」を発しているわけでもなくむしろ爽快な音なのにどこか薄ら淋しい感じがする、そんな不思議な味わいは相変わらずです。ボーカリストのキモ・ブロム独特のさらっとした歌声もさることながら、見せびらかせ的なプレイは一切ないものの確かな演奏力を持つバンドも魅力的。特にリズム・セクションのピシッと引き締まったプレイは聴き所だと思います。得難い個性を持ったバンドですが、このアルバム以降音沙汰が無いのが残念。ぜひ復活して欲しいバンドの一つです。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Starship of Giants (Korhonen/Blom)
02. Hello Light! (Blom)
03. Houdini's Eyes (Kovalainen/Blom)
04. Still Strong (Pudas/Blom)
05. Son of A Gun (Hero Of The World) (Korhonen/Denander/Blom)
06. Open Your Heart (Pudas/Blom)
07. Captain of Clouds (Korhonen/Blom)
08. Don't You Know? (Blom)
09. Beggar and Thief (Pudas/Blom)
10. Morning Smoke (Kovalainen/Blom)
11. Monsters (Pudas/Blom)
12. Mary (Blom)
13. Today I'll Change My Life [bonus] (Blom)

■Personnel
Kimmo Blom - Vocals
Erkka Korhonen - Electric & Acoustic Guitars, Backing Vocals, Live Drum Loops, Soprano Recorder, Tin Whistle
Tuomo Kovalainen - Bass, Bass Synth, Live Drum Loops
Timo Pudas - Keyboards, Programming
Kari Välimäki - Drums, Percussion, Live Drum Loops

Laura Kangas - Violin
Emma Reuter - Violin
Hanna Boström - Viola
Per Tidstrand - Violoncello
Katja Aakkula - Backing Vocals
Anders ''Theo'' Theander - Live Drum Loops

Producer - Anders ''Theo'' Theander


Urban Tale / Urban Tale (2001)

0184Urban Tale









フィンランドのメロハー・バンド、Urban Tale(アーバン・テイル)の1stアルバムです。メンバーはHeartplayなどの活動でも知られるキモ・ブロム(Vo)のほか、エルッカ・コルホネン(Gt)、トゥオモ・コヴァライネン(Ba)、ティモ・プダス(Key)、カリ・ヴァリマキ(Ds)の5人。プロデューサーはMidnight Sunのドラマーだったアンダース・テオ・ティアンデル。レコーディングもマネージメントも彼の経営するスウェーデンの会社Roastinghouseが取り仕切っています。

このバンドはJourneyと似ているとよく言われるのですが、確かにキモ・ブロムはスティーヴ・ペリーからアクを抜いたようなタイプで、楽曲によってはJourneyの影響を感じさせる部分もあります。しかし、単なるファロワーというイメージはありません。まずJourneyと比較してずっとAOR寄りだし、TOTOっぽい感じや若干のプログレ風味もあり、そして何よりこのバンドとしてのオリジナリティあるメロディが印象的です。全体としてサラっと淡白なサウンドはアメリカのバンドとはやはり異質でしょう。まあ、上品で淡白なあまり、強烈な引っ掛かりがなく、うっかりすると右の耳から左の耳に抜けてしまいそうになるわけですが。そんなわけで、BGMで流しても心地良い時を過ごせることは間違いありません。

筆者のお気に入りは#2"Passion Takes Over"。16ビートの都会的でオシャレな感じの曲ですが、どこか北欧特有の清涼感、清潔感が漂っていて素敵です。続く#3"Circus"、サウンドは爽やかですが、「サーカス」という言葉から連想される懐かしさや不思議な物悲しさが、メロディにも詞にもよく表現されていています。#8"Broken Chains"、#9"On the Edge"などはアンニュイな雰囲気と爽快さが同居する独特のメロディが素晴らしい。他にも佳曲ぞろいでつまらない曲はなく、前述のように聞き流しても気持ちがいいので筆者の愛聴盤の一つとなっています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. The Devil in Me (Korhonen, Blom)
02. Passion Takes Over (Pudas, Blom)
03. Circus (Pudas, Blom)
04. King of Hearts (Kovalainen, Blom)
05. One Day (I'll Make You Mine) (Pudas, Blom)
06. Runaway Train (Korhonen, Pudas, Blom)
07. Engine (Korhonen, Blom)
08. Broken Chains (Pudas)
09. On the Edge (Korhonen, Blom, Urban Tale)
10. Doris Day (Blom)
11. Water (Blom)
12. House of Blues (Korhonen, Blom)
13. Hold On [Bonus Track] (Pudas, Blom)

■Personnel
Kimmo Blom - vocals, backing vocals
Erkka Korhonen - electric and acoustic guitars, backing vocals
Tuomo Kovalainen - bass, bass synth
Timo Pudas - piano, keyboards, programming
Kari Välimäki - drums, percussion

Anders "Theo" Theander - percussion, live percussion loops
Rickard Bengtsson - backing vocals

Producer - Anders "Theo" Theander

アーバン・テイル
アーバン・テイル
マーキー・インコーポレイティド
2001-07-25

 

Wrong Address / Prayer (2005)

0106Wrong Address
フィンランドのメロハー・バンド、プレイヤーの1stアルバム。このバンドについて全く知識がないので、国内盤のライナー・ノーツを参考にするしかありません。ボーカル&ギターを担当し、全曲のソング・ライティングとプロデュースも手がけているタパニ・ティッカネンがリーダーで、この人は80年代にはIC-Rock、90年代にはTannaというバンドで主にフィンランド国内で活動していたようです。プレイヤーはそのタパニ・ティッカネンと旧友のヤン・ヒュヴィラ(key)が中心となり、他のメンバーをオーディションで集めて結成。04年9月から地元フィンランドのオウルにあるスタジオでデビュー・アルバムのレコーディングを行い、Escapeレーベルとの契約を獲得しリリースに至ったとのこと。

音のほうはシン・リジィの影響が濃厚なメロディアスなハード・ロック。というか、ツインリードのハーモニー、リズム・ギターの刻み方、曲メロ、ボーカル・スタイル、まんまシン・リジィです。シン・リジィっぽい曲もあるというレベルではなく、アルバム丸ごとシン・リジィです。まあ、フィル・リノットの呪術的とも言うべきボーカル、一篇の詩のような歌の世界は唯一無二のものなので、あくまでサウンドの雰囲気が似ているということですが。なお、いつからかPhil Lynottを「フィル・ライノット」と表記するのが英語の発音に近いとされているようですが、筆者は古い人間なのでどうもピンと来ません。アイルランドでは「リノット」でないと通じないとか小耳に挟んだこともあるので、耳に馴染んだ「フィル・リノット」で押し通したいと思います。

閑話休題。で、プレイヤーのタパニ・ティッカネンですが、はっきり言って歌はあまり上手くありません。ただ、シン・リジィとフィル・リノットへのリスペクトと言うか、愛と言うか、そういうものがビンビン伝わってくるのです。どんなにモネマネしても本家を超えることはできないのは分かった上で、それでもやっている節があります。シン・リジィの音楽をメロハーと呼ぶのはためらいを感じますが、シン・リジィの叙情的な要素を抽出してメロハー化したような楽曲はとても魅力的です。このバンド、2005年にこの1stアルバムが出てからずっと音沙汰なかったのですが、今年(2012年)になってなんと7年ぶりに2ndがリリースされたのもうれしいニュース。まだ未聴ですが、いずれこのブログで取り上げたいと思っています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Secrets of the Night
02. I've Been Loving You
03. Back on the Road
04. Running Wild in the Night
05. Any One With a Broken Heart
06. End of Time
07. He Never Gave It All
08. I Want You
09. Who Wants to Be Free Again?
10. Main Attraction
11. Caught in the Crossfire
12. Rock'n'Roll Heart [bonus]
All music & lyrics by Tapani Tikkanen

■Personnel
Markku Keski-Mäenpää - Lead Guitar & Background vocals
Mikko “Frank” Kuusiniemi - Lead Guitar & Background vocals
Jari Huvila – Keyboards
Eki Ekfors – Drums
Jaakko Pohjola - Bass
Tapani Tikkanen - Lead Vocals & Guitar

Producer - Tapani Tikkanen 

Wrong Address
Prayer
Escape Music
2010-01-17

 

Fuel for the Fire / Ari Koivunen (2007)

0077Fuel For The Fire
タレント・オーディション番組「IDOLS」で優勝したことをきっかけにデビューした、フィンランドの「メタル・アイドル」アリ・コイヴネンの1stアルバム。「メタル・アイドル」、、、なんだよそれ?って感じもしますが、単純に音だけ聴けば普通に良質なメタルです。フィンランドはかなりHR/HMが盛んな国のようで、HR/HMが当たり前のようにチャート・インしていたり、オーディション番組からメタル・シンガーが出てきたり、かなり羨ましい状況ですね。

「メタル・アイドル」アリ・コイヴネンのデビューにあたって楽曲を提供しているのは、Leverageのトゥオマス・ヘイキネン(Tuomas Heikkinen)、Urban Taleのキモ・ブロム(Kimmo Blom)、Thunderstoneのニノ・ロウレンネ(Nino Laurenne)、Stratovariusのティモ・トルキ(Timo Tolkki)、Nightwishのマルコ・ヒエタラ(Marco Hietala)、Sonata Arcticaのトニー・カッコ(Tony Kakko)などなど。曲ごとのクレジットがないので、誰がどの曲を書いたのか詳細は不明です。また、レコーディングに参加しているのは、Thunderstoneのニノ・ロウレンネとミルカ・ランタネン(Mirka Rantanen)、Kotipeltoのトゥオマス・ワイノラ(Tuomas Wäinölä)、45 Degree Womanのパシ・ヘイッキラ(Pasi Heikkilä)、Children of Bodomのヤンネ・ウィルマン(Janne Wirman)といった面々。そして、プロデュースはニノ・ロウレンネとパシ・ヘイッキラ。まさにフィンランドのHR/HMシーンの名だたるアーティスト総がかりのバックアップ体制といった感じです。

このアルバムのサウンドと曲調は、バックアップしているミュージシャン名、バンド名である程度想像がつくようなメロディック・メタルです。ただ、筆者はSonata ArcticaやStratovariusなどが特に大好物でもないので、正直あまりピンと来ませんでした。むしろパープルやレインボーを思わせる#4" Don't Try to Break Me"が一番良かったかな。しかし、メタルやハードロックが好きなのは分かりますが、少年ぽいって言うのか、どこか中性的で繊細なアリ・コイヴネンの声質や歌い方はメタル向きかどうか。ボーナス・トラックのビリー・ジョエルのカヴァー#13" Piano Man"のような素朴な曲のほうが似合っているような気がします。今のところ、この1st以降のアルバムは聴いていないのでなんとも言えませんが。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。 

■Tracks
01. God of War
02. Hear My Call
03. Fuel for the Fire
04. Don't Try to Break Me
05. Angels Are Calling
06. I Fly
07. Our Beast
08. Losing My Insanity
09. Stay True
10. Stormwind
11. Heartstealer
※Bonus
12. Hetki Lyö
13. Piano Man
14. On the Top of the World (Radio Edit)
※Bonus (For Japan Only)
15. Don't Try to Break Me (Live)
16. Angels Are Calling (Live)

■Personnel
Ari Koivunen – lead vocals

Nino Laurenne - rhythm guitars
Mikko Kosonen - lead and additional guitars
Tuomas Wäinölä – lead and additional guitars
Pasi Heikkilä – bass
Mirka Rantanen – drums
Mikko Kaakkuriniemi – drums
Janne Wirman – keyboards
Kimmo Blom - backing vocals
Pasi Rantanen - backing vocals
Pekka Heino - backing vocals
Pessi Levanto - additional keyboards on 10
Mikko Salovaara - lead and additional guitars on 12

Producer - Nino Laurenne, Pasi Heikkilä
Executive Producer - Petri Eklund 

フュエル・フォー・ザ・ファイアー
アリ・コイヴネン
SMJ(SME)(M)
2007-10-24

 
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