メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。

デンマーク(Denmark)

Sin-Decade / Pretty Maids (1992)

0302Sin-Decade










プリティ・メイズの4枚目のフルレンス・アルバム。彼らのアメリカ進出の夢は結局叶わず、アメリカン指向・ポップ指向の前2作の音楽性から一転して、開き直ったように徹底したヘヴィ&ハード路線となっています。ロニー・アトキンス(Vo)とケン・ハマー(Gt)以外のメンバーは抜けて、二人のリーダーシップが確立したアルバムでもあります。アメリカでの成功という野心は潰えたものの、皮肉なことに本作はメタル的要素とメロハー的要素が融合したプリティ・メイズの個性が全面開花した傑作となりました。プロデュースはMetallicaなどを手がけたフレミング・ラスムッセンで、なるほどと納得する音作りですね。

突進するような疾走曲#1"Running Out"が象徴するように、どの曲も贅肉をそぎ落としたようなソリッドでストレートなアレンジが施されており、かと言って一本調子に陥ることなく曲調のバリエーションも豊富です。また歌メロはプリティ・メイズらしい覚えやすくて魅力的なもの。歌唱・演奏面でも充実しており、ロニー・アトキンスのボーカルは、「この人こんなに上手かったのか」と瞠目するほどでした。新たなリズム・セクション、ケン・ジャクソン(Ba)とマイケル・ファスト(Dr)もいい仕事をしています。また、元メンバーのアラン・オーウェン、常連のバッキング・メンバーであるドミニク・ゲイル、クヌート・リントハート(フィル・ハート)もレコーディングに参加しています。

さて、ラストに収録された#11"Please Don't Leave Me"ですが、もちろんジョン・サイクスとフィル・ライノットのあの名曲のカバーです。ほぼ完コピですね。一聴して分かるようにアルバム全体のカラーとは異なる本来オマケ的なものにも関わらず、シングル・カットされて大ヒットします。このカバー曲がプリティ・メイズの最大のヒット曲となってしまったのはなんとも皮肉なものです。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Running Out
02. Who Said Money
03. Nightmare in the Neighbourhood
04. Sin-Decade
05. Come on Tough, Come on Nasty
06. Raise Your Flag
07. Credit Card Lover
08. Know It Ain't Easy
09. Healing Touch
10. In the Flesh
11. Please Don't Leave Me
All songs written by Ronnie Atkins and Ken Hammer
except "Please Don't Leave Me" by Phil Lynott and John Sykes

■Personnel
Ronnie Atkins - vocals
Ken Hammer - guitar
Michael Fast - drums, percussion
Kenn Jackson- bass

Alan Owen - keyboards
Dominic Gale - keyboards
Knud Linhard - additional backing vocals

Producer – Flemming Rasmussen, Pretty Maids


Get Ready / Oliver Weers (2008)

0253Get Ready










デンマークを拠点に活動するドイツ人ボーカリスト、オリヴァー・ウィアーズの1stソロ・アルバム。セッション・ギタリスト、プロデューサーとして知られるセーレン・アナセンが、作曲・演奏・プロダクションの全ての面でバックアップして制作されています。リズム隊は2002年の再結成Whitesnakeのメンバー、マルコ・メンドーサとトミー・アルドリッジ。また、1曲だけギター・ソロでクレジットされているTimmy Chrisとは、Dizzy Mizz Lizzyのティム・クリステンセンじゃないかと思います。

収録曲はアップテンポのロックンロール調のものを中心に、#6"Crawling Back Again"やビョークのカバー#8"Army Of Me"などちょっとダークでヘヴィな曲や、クィーンのカバー#12"The Show Must Go On"を取り混ぜて、曲調に変化ををもたせています。バンドの演奏も当然きっちりしていて、まあ全体にオーソドックスで安定感のあるハードロック・アルバムだと思います。ただ、サウンドはボトムが弱くて、バスドラはペタンペタンと薄っぺらな音だし、ステレオのBassを思いっきりあげないとせっかくのマルコ・メンドーサのベースがあまり聴こえません。何トラックも被せたギターばっかりデカくて、リズムセクションが引っ込んでしまい、結果バンドのグルーヴが感じられない。サウンド・プロダクションの面でこれはちょっといただけないです。

オリヴァー・ウィアーズのボーカル・スタイルは、ジャケット写真のイメージに違わず男臭くてパワフル。リズム隊がWhitesnake組ということもあって、デビット・カヴァーデイルを意識した売り出し方になっているようです。声質や歌いまわしは確かにデビカバに通じるものがあるし、音圧・安定感から言ったらこの人のほうが上かもしれない。ただし、デビカバが若いときから、いやむしろ若いときの方が歌唱にコクと旨みがあったのに比べて、オリヴァーさんはちょっと大味。豪快と言えば聞えはいいのですが、パワーで押し切ってる感が否めません。ロックンロール調の楽曲だと一層それが顕著なので、#11"Get Ready"や#13."Demolition Man"のように、音に間があってややブルージーな曲調のほうが似合っているように感じました。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Calling Out For You (Andersen/Weers)
02. Hands High (Andersen/Weers)
03. Even Giants Cry (Berger/Andersen/Weers)
04. First Day Of Our Life (Andersen/Weers)
05. Will You Be Mine (Berger/Andersen/Weers)
06. Crawling Back Again (Andersen/Weers)
07. Angel (Andersen/Weers)
08. Army Of Me (Björk/Massey)
09. Pleasure Train (Andersen/Weers)
10. Coming Home (Winther-John/Andersen/Weers)
11. Get Ready (Andersen/Weers)
12. The Show Must Go On (Mercury/May/Taylor/Deacon)
13. Demolition Man [bonus track] (Weers/Jespersen/Mathiesen)

■Personnel
Oliver Weers - Vocals
Søren Andersen - Guitars
Tommy Aldridge - Drums
Marco Mendoza - Bass

Timmy Chris - Guitar Solo on 2
Henrik Berger - Rhythm Guitar &1st Guitar Solo on 3, Solo on 5
Jane Clark - Violin on 6 & 12

Producer - Søren Andersen

In Santa's Claws / Pretty Maids (1990)

0242In Santa's Claws










プリティ・メイズのクリスマス企画EP。収録されているのは5曲で、#1"In Santa's Claws"はオリジナル。メロディアスでドラマチックな普通にカッコいい曲です。#2"A Merry Jingle"は、1979年にシン・リジィとセックス・ピストルズのメンバーがグリーディーズ(The Greedies)として共演したクリスマス・ソングのカバー。何故かイアン・ギランまで参加しております。3曲目以降はライブ録音で、1990年のRoskilde Festivaでのパフォーマンスを収録しています。ちなみにこのロック・フェスは1971年から現在でもなお開催されており、北欧最大にして世界屈指のロック・フェスティバルだそうです。#3"Eye Of The Storm"は2ndアルバムFuture World に収録されていたバラード、#4"Red, Hot, and Heavy"は1stアルバムのタイトル曲、#5"Rock the House"は3rdアルバムJump The Gun からの選曲で、どれもボーカルがやや不安定ですが、当時の彼らのライブの雰囲気を伝える貴重な音源でしょう。

このEPは単体でも中古でよく出回っていますが、デビュー・ミニアルバムPretty Maids の全6曲と、Stripped の日本盤ボーナストラック"Far Far Away"を加えて、First Cuts ...And Then Some というタイトルでも発売されており、購入の際はこちらも選択肢の一つです。
 
評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. In Santa's Claws (D.Gale, K.Hammer, R.Atkins)
02. A Merry Jingle
03. Eye Of The Storm (K.Hammer, R.Atkins)
04. Red, Hot And Heavy (K.Hammer, R.Atkins)
05. Rock The House (K.Hammer, R.Atkins) 

 

Martie Peters Group / Martie Peters Group (2005)

0223Martie Peters Group










デンマークのハードロック・バンドPushのボーカリストだったマーティ・ピーターズのソロ・プロジェクト第一作。と言っても、バンドのメンツはPushとかぶってたりしてます。やってる音楽は北欧デンマークっぽさはなく、いたってアメリカンな軽い雰囲気ですが、一応メロハーの範疇に入るもの。飛びぬけて優れた楽曲はないものの、まあそこそこ楽しめます。ただ、演奏はイマイチ。躍動感というものが感じられない、ダラ~っとした演奏です。この手のBクラスのバンドは、やりたい曲にアンサンブルも含めて演奏面が追いついていないことがままありますが、この人たちもそのクチです。それから、ボーカルがダメ。舌足らずというのか、舌が長いというのか、子供っぽい声の出し方をするタイプは苦手です。筆者は甘えん坊系と名づけていますが、このマーティ・ピーターズもその系統です。White Lionのマイク・トランプとDanger Dangerのデッド・ポーリーを足して二で割ってパワー感を引いた感じ。マーティ・ピーターズは、同じデンマーク人であるマイク・トランプのアルバムにバック・ボーカルで参加するなどしており、似た声同士仲がいいようです。もちろんクォリティ的にはWhite Lionと比べられるようなレベルではありませんが、マイク・トランプやWhite Lion大好きという人なら、もしかしてこのアルバムも気に入るかもしれません。

なお、本作に参加しているのはPushがらみのミュージシャンが多いのですが、それ以外だとレネ・シェイズは2011年からベーシストとしてPretty Maidsに加入している人。また、マーティ・ピーターズとShades & Peters名義でのアルバムも出しています。それからピアノのモルテン・ウィットロックはデンマークのブルース・ピアニスト。ミキシングとマスタリング、そしてタンバリンでクレジットのあるトミー・ハンセンは、Pretty MaidsやHelloweenなどを手がけているプロデューサーです。

評価 ★★☆☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. The Beast Inside (Peters/Slott/Lledo)
02. Riot on the 5th Floor (Peters/Slott/Lledo)
03. Only Dreaming (Peters/Lledo)
04. Number 1 (Peters/Slott/Lledo)
05. Takes Some Time (Peters/Slott/Lledo)
06. Heart Is an Empty Space (Peters/Slott/Tritico)
07. A World Without You (Peters/Shades/Lledo)
08. Take Me Over the Edge (Peters/Slott/Lledo)
09. Bird on the Wire (Peters/Slott/Lledo)
10. Hard to Choose (Peters/Tritico/Shades/Lledo)
11. Dixie Toot (R. Stewart/R. Wood) 
12. The Will to Survive [Bonus Track]

■Personnel
Martie Peters - All vocals
Jesper Werner - Drums
Martin Slott - Electric Guitar
Anthony Lledo - Electric & Acoustic Guitar, Bass, Keyboards
René Shades - Electric & Acoustic Guitar
Christian Thiesen -  Guitar, Bass
Morten Wittrock - Piano
Bent Jorgensen - Bass
Tommy Hansen - Tambourine

Producer - Anthony Lledo & Martie Peters

Jump the Gun / Pretty Maids (1990)

0203Jump the Gun










デンマークのHR/HMバンド、プリティ・メイズの3rdアルバム。デンマークはスカンディナビアとドイツの間にあるので、サウンドもその中間などとよく言われますが、地理的関係がそこまでストレートにサウンドに反映するわけはありません。ただし、このプリティ・メイズに関しては、確かに北欧的叙情性とドイツ風の骨太なメロディアスさを兼ね備えていると感じます。本作のプロデューサーにはディープ・パープルのロジャー・グローバーを起用。自らのアイデンティティは保った上で、明らかにアメリカ進出を狙った音作りとなっています。メロディアスでポップな路線は前作と同じですが、出来の良かった前作をしのぐ傑作に仕上がっています。楽曲、歌唱、演奏ともに充実し、メジャー感というのか、アリーナ感というのか、貫禄すら感じさせるバンドになりました。リリース当時はオーバー・プロデュースという批判もあったようですが、むしろその作り込みにより、年月を経ても聴き続けられるスケールの大きな音になっていると感じます。特にゴスペル・コーラス隊をバックに歌い上げられる#4"Savage Heart"などは感動ものの素晴らしさです。いや~、デビュー・ミニアルバム当時のB級臭さが嘘のようです。しかし、これだけ出来の良いアルバムであるにも関わらず、商業的には成功と程遠く、予定されていたディープ・パープルとのツアーもキャンセル、本格的アメリカ進出は実現しなかったようです。

メンバーは、ロニー・アトキンス(Vo)、ケン・ハマー(Gt)、フィル・ムーアヘッド(Dr)、アラン・デロング(Ba)の4人は前作と変わらず、新たにリッキー・マークスが加入してツイン・リード体制となっています。また、アルバム・リリース前にアラン・オーウェン(Key)が脱退していますが、レコーディングには参加しています。制作途中でフィル・ムーアヘッドが怪我をしたため、"Young Blood"のみハープルのイアン・ペイスがドラムを担当、プロデューサーのロジャー・グローバーも"Dream On"でベースを弾いています。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Lethal Heroes
02. Don't Settle for Less
03. Rock the House
04. Savage Heart
05. Young Blood
06. Headlines
07. Jump the Gun
08. Partners in Crime
09. Attention
10. Hang Tough
11. Over and Out
12. Dream On
All songs written by Ronnie Atkins and Ken Hammer, except "Hang Tough" by Dan Wexler

■Personnel
Ken Hammer - guitar
Phil More - drums
Ricky Marx - guitar
Allan Delong - bass
Ronnie Atkins - vocals

Alan Owen - all keyboards
Ian Paice - drums on "Young Blood"
Roger Glover - bass on "Dream On"
Ivan Pedersen - backing vocals
Knud Linhard - backing vocals
Freddy George Jensen - harp on "Dream On"
The New Jersey Mass Choir

Producer – Roger Glover

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