メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

デンマーク(Denmark)

Acacia Avenue / Acacia Avenue (2010)

0482Acacia Avenue









Fatal Force、Section A、Decoy、Fateなど多くのバンド、プロジェクトに参加しているデンマーク出身のギタリスト、トーベン・エネヴォルドセンが主宰するプロジェクトAcacia Avenue(アカシア・アベニュー)の1stアルバム。彼が参加しているバンド/プロジェクトはメタル寄りのものが多いのですが、このAcacia Avenueは複数のボーカリストを起用したメロハー・プロジェクトとなっています。歌っているのは、トニー・ミルズ(SHY, TNT)が2曲、イエア・ロニング(Sayit, Prisoner)が3曲、ラーズ・サフサンド(Work of Art, Lionville)が1曲、トーベン・リスホルム(Pangea, Mysterell)が2曲、トーベン・エネヴォルドセン自身が2曲、そしてギター・インストが1曲となっています。

本作の特長としては、まず曲が良いこと。どの曲もメロディやアレンジが良く練られていて、しかもボーカリストを決めてから曲を作ったんじゃないかというくらい、担当ボーカリストにぴったり合っています。トニー・ミルズの歌う#1"Don't Call Me Tonight"は往年のSHYの曲みたいにキャッチーでメロディアスだし、イエア・ロニングの#2"Hold On"は彼の渋い歌唱とよく合っていて、トミー・デナンダー作品のように聴こえてしまいます。ラーズ・サフサンドの#3"An Illusion"はグッとAOR寄りで、Work of Artに近い印象です。トーベン・リスホルムという人は初めて聴いたのですが、イエア・ロニングとゲイリー・バーデンを足して二で割ったような感じで好みのタイプでした。そして、主役のトーベン・エネヴォルドセン。この人は渋い声、ちょっとぶっきらぼうな歌い方が堂にいっており、ボーカリストとしても中々に魅力的だと感じました。ギターの方は、「テクニカル系ギタリスト」という触れ込みの割には、ミュート音での高速下降上昇フレーズと振幅の大きなビブラートの繰り返しが多く、ややワンパターンかな。ただ、アンプの箱鳴りまで感じられるようなハムバッキングらしい太い音は非常に良かったです。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Don't Call Me Tonight
02. Hold On
03. An Illusion
04. Jamie's in Love
05. Can't Make You Stay
06. Mad Antenna
07. Wait No More
08. No Looking Back
09. Just Wanna Be With You
10. Let Go
11. Digging
All compositions by Torben Enevoldsen
Lyrics by Tony Mills (#1, 7), Geir Rønning (#2, 8, 11), Torben Enevoldsen (#3, 4, 5, 10), Torben Lysholm (#9)

■Personnel
Torben Enevoldsen - Guitars, Bass(except #3), Keyboards, Lead & Backing Vocals #4, 10, Backing Vocals #5, 11
Thomas Heintzelmann - Drums
Tony Mills - Lead & Backing Vocals #1, 7
Geir Rönning - Lead & Backing Vocals #2, 8, Lead Vocals #11
Lars Säfsund - Lead & Backing Vocals #3
Torben Lysholm - Lead Vocals #5, Lead & Backing Vocals #9
Carsten Neumann - Bass #3

Producer - Torben Enevoldsen



アマゾン商品ページへのリンク
Acacia Avenue

Skagarack / Skagarack (1986)

0470Skagarack









トーベン・シュミット(Vo)を中心とするデンマークのメロハー・バンドSkagarack(スカガラック)の1stアルバム。冒頭から3曲続けてメジャー・キーの明るいハード・ポップが続くので、おそらくその路線が売りのバンドなのでしょう。キラキラ・キーボードとスイートなボーカルがいかにも当時のハード・ポップです。しかしながら、ちょっとその甘さが鼻に付く感じがします。むしろマイナー・キーの曲の方が出来が良く、#5"Don't Turn Me Upside Down"、#6"Lies"などは毒気を抜いたドッケンのようで、ほんのり哀愁メロハーとして佳曲じゃないかと思います。面白いのはレインボーっぽい#7"Victim of the System"と#8"City Child"。ボーカルがいきなり声の出し方や節回しが変わってロニー・ジェイムス・ディオみたいになってます。ギターも嬉々として弾いてるし。本当はこういうのがやりたかったのかな?

なお、本国デンマークの2007年再発盤、2022年日本盤にはライブ音源など5曲が追加収録されています。特に日本盤は「生産限定盤」と銘打たれたシリーズの1枚で、お値段なんと1100円!これはお買い得ですな。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Move It in the Night
02. I'm Alone
03. Saying
04. Damned Woman
05. Don't Turn Me Upside Down
06. Lies
07. Victim of the System
08. City Child
09. Double Crossed
[Bonus Tracks]
10. Stand by Me
11. I'm Alone (Extended Version)
12. Victim of the System (Live)
13. Move It in the Night (Live)
14. City Child (Live)
Music & Words ByTorben Schmidt

■Personnel
Torben Schmidt - Lead & Backing Vocals, Additional Keyboards, Guitar
Alvin Otto - Drums
Jan Petersen  - Guitar
Tommy Rasmussen - Keyboards, Backing Vocals
Morten Munch - Bass

Jan Eliasson - Bass, Backing Vocals
Flemming Gernyx - Percussion
Lars Christensen - Backing Vocals on #6

Producer - Jan Eliasson, Torben Schmidt

スカガラック・ファースト +5 (生産限定盤)
スカガラック
Universal Music
2022-03-23


Stripped / Pretty Maids (1993)

0437Stripped









Pretty Maidsのアコースティック企画アルバムで、前年1992年にリリースされたミニ・アルバムOffsideの拡張版とも言うべき内容となっています。Offsideと同様にアコースティック・アルバムと言っても完全アンプラクドというわけではなく、一部はエレクトリック・ギターも使われています。デンマーク本国盤と日本盤とで収録曲と曲数に若干の違いがありますが、日本盤に入っていない2曲"39"と"Heartbeat From Heaven"はOffsideでも聴くことができます。日本盤の全9曲のうち#2"Please Don't Leave Me"と#3"In the Minds of the Young"の2曲はOffside収録曲、#8"Far Far Away"は日本盤ボーナス・トラックで英国グラム・ロック・バンドSladeの1974年のヒット曲のカバー、#9"Savage Heart"はJump the Gun収録曲のセルフ・カバー、残りの5曲がオリジナル新曲という構成になっています。

さて本作は、Offsideと同じくコワモテ・イメージのPretty Maidsの繊細な一面を窺い知ることのできる興味深いアルバムとなっています。Offsideにも収録されていた2曲、ジョン・サイクスとフィル・リノットのカバー#2"Please Don't Leave Me"と#3"In the Minds of the Young"の素晴らしさはOffsideのレビューで書いた通り。加えて#9"Savage Heart"は元々名曲でしたが、これがまた聴き応えのあるアレンジになっています。テンポを更に落とし、前半はピアノをバックにした独唱、後半はフルバンドと壮大な合唱を加えてドラマチックに展開します。いや~素晴らしい!これが聴けるだけでも価値のあるアルバムだと思います。また、#6"How Does It Feel"、#7"I'll Be There"はどことなくBeatlesを思わせる美しいメロディが印象的。全体に、アメリカのバンドのアコースティック盤のようにアーシーにはならずに、ウェットで陰影の深い作品になっているのがいかにもヨーロッパ的だなぁと思いました。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. If It Ain't Gonna Change (Ronnie Atkins, Ken Hammer)
02. Please Don't Leave Me (Phil Lynott, John Sykes)
03. In the Minds of the Young (Ronnie Atkins, Ken Hammer)
04. Too Late, Too Loud (Ronnie Atkins, Ken Hammer)
05. Say the Word (Ronnie Atkins, Ken Hammer)
06. How Does It Feel (Ronnie Atkins, Ken Hammer)
07. I'll Be There (Ronnie Atkins, Ken Hammer)
08. Far Far Away [For Japan Only] (Neville Holder, James Lea)
09. Savage Heart (Ronnie Atkins, Ken Hammer)

■Personnel
Ronnie Atkins - Vocals
Ken Hammer - Electric & Acoustic Guitars, Background Vocals
Kenn Jackson - Bass, Background Vocals
Michael Fast - Drums, Percussion, Background Vocals

Dominic Gale - Keyboards
Henrik Nilsson - Additional Keyboards
Knud Linhard - Background Vocals

Producer - Pretty Maids, Henrik Nilsson
Stripped
Pretty Maids
株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント
1993-10-11

 

Room With a View / Harlot (1989)

0412Room With A View









デンマークのメロハー・バンドHarlotが唯一残したアルバム。泥臭さとは無縁のキャッチーでポップなメロディ、なんとなくクリスタルなキーボード、ぶっ飛び系ギターと、北欧ハード・ポップのイメージ通りの要素が揃っています。そこに少年のような無垢な印象を受けるボーカルが乗っかっているのがこのバンドの特徴かな。ジャパメタ・ブームの頃Blizardというバンドがいて、あそこのボーカルがこんな声だったような記憶が。それはともかく、このHarlotのボーカリストのアレックス・サヴェイジことアレックス・ニューボー・マドセンは、Witch Crossというメタルバンドで歌っていた人で、Harlotの後にはSavage Affairというバンドを結成し何枚かアルバムをリリースしています。動画を見ると少年というよりおばさん風なんですが。ギターのマイク・コッホもWitch Cross出身で、この二人がHarlotの中心メンバーのようです。

1曲目の"Now I See"はスローテンポで不思議なメロディを持つ地味めな曲。良い曲なんですがアルバムのオープニング向きとは言えないですね。一転して2曲目以降は典型的な北欧ハード・ポップが全開になります。特に#2"So Much for Happy Endings"は、明るくポジティヴなメロディでワクワクさせてくれる本作随一の名曲。他にも、#2と同じ傾向のキャッチーな#3"Out All Night"、ケネディ大統領とキング牧師の演説録音を挿入したメッセージ性、シンフォニックなアレンジが印象的な#4"Spirits"など、全体に楽曲の出来は良く、北欧メロハー/ハードポップ好きならまず楽しめる内容でしょう。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Now I See (Mike Koch, Bo Brinck, Alex Savage)
02. So Much for Happy Endings (Mike Koch, Alex Savage)
03. Out All Night (Mike Koch, Alex Savage)
04. Spirits (Mike Koch, Karli Heinrich, Alex Savage)
05. Invisible Ones (Mike Koch, Alex Savage)
06. Metropolis Children (Mike Koch, Bo Brinck, Peter Warming, Alex Savage)
07. Dancing on Dynamite (Mike Koch, Alex Savage)
08. Bring Home Your Love (Bo Brinck, Mike Koch)
09. Kecia (Mike Koch, Alex Savage)

■Personnel
Alex Savage - Lead & Backing Vocals
Mike Koch - All Guitars, Backing Vocals
Bo Brinck - Keyboards, Backing Vocals
Bo Bærentsen - Bass, Backing Vocals
Peter Warming - Drums, Backing Vocals

Steve Cherry - Backing Vocals

Producer - Finn Olafsson

Room With a View
Harlot
Olafsongs
2008-08-25

 

Evil's Back / Oliver Weers (2011)

0391Evil's Back









デンマークを拠点に活動するドイツ人ボーカリスト、オリヴァー・ウィアーズの2ndアルバム。前作ではリズム隊にWhitesnakeのマルコ・メンドーサとトミー・アルドリッジを起用していましたが、今回はバンドは全員デンマーク人ミュージシャンとなっています。メンバー・チェンジはあったものの、サウンドはソリッドかつハードなもので前作から変更なし。若干メタル寄りになって、また部分的に味付け程度のダークさはありますが、良いアクセントにはなっていると思います。楽曲も概ね出来は良く、#8"Much Too Much"、#11"Demolition Man"などは特に気に入りました。ただ、やっぱりオリヴァー・ウィアーズのボーカルは一本調子で大味な感が否めません。デビット・カヴァーデイルやその系列のボーカリストの旨さを期待すると肩透かしとなってしまうでしょうね。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Intro
02. Evil's Back
03. All My Life
04. Without You
05. Hero
06. Need It Bad
07. Beautiful Rain
08. Much Too Much
09. Fighting The Mountains
10. Devil's Chain
11. Demolition Man
12. Rainbow Star

■Personnel
Oliver Weers - Vocals
Anders Bo Jespersen - Guitars
Lakis Ragazas - Guitars
Anders Borre Mathiesen - Bass, Keyboards, Guitars
Morten Hellborn - Drums

Rebecca Louise Armstrong - Vocals (track 5)
Henrik Berger - Guitars (track 5)
Bastian Schneider - Cello (tracks 2, 8, 10, 12)
Alexander Kraglund - Violin, Viola (tracks 2, 8, 10)

Producer - Anders Borre Mathiesen

Evil's Back
Oliver Weers
Metal Heaven
2011-02-25

 

Fate / Fate (1985)

0360Fate









デンマークのヘヴィ・メタル・バンドMercyful Fateに在籍していたハンク・シャーマン(g)が中心となって結成されたメロハー・バンドFateの1stアルバム。他のメンバーはジェフ・リンボ (vo)、ピート・シュタイナー(b)、ボブ・ランス(ds)、プロデューサーはMercyful Fateを手がけたヘンリック・ルンドとなっています。音楽性としては、アメリカ指向のポップ・メタル、ハードポップというもので、同時代の多くの欧州のバンドが目指した方向性ですね。アメリカ指向と言っても、サウンドやメロディには我々が「北欧らしさ」と刷り込まれているキラキラ感はあります。ところが、ボーカリストの声や歌い方がそれを台無しにしている印象。小型室内犬みたいにキャンキャンしていてどうも好きになれません。まあ、曲も名曲・佳曲と言えるようなものは無いし。おまけに、これは直接バンドのせいではありませんが、80年代にありがちなリバーブかけ過ぎでダンゴになった音も、ちょっと度を越している感じ。銭湯の中で演奏しているのを外で聴いているようです。そんなわけで少なくとも本作に関しては高評価はできませんでした。

評価 ★★☆☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Love on tHe Rox (Music : Shermann/Steiner  Lyrics : Limbo)
02. Fallen Angel (Music : Shermann/Steiner  Lyrics : Limbo)
03. Rip It Up (Music : Shermann  Lyrics : Limbo)
04. Victory (Music : Shermann  Lyrics : Limbo)
05. Danger Zone (Music : Shermann  Lyrics : Limbo)
06. (She's Got) The Devil Inside (Music : Shermann  Lyrics : Limbo)
07. Downtown Toy (Music : Shermann  Lyrics : Limbo)
08. Do You Want It (Music : Shermann  Lyrics : Limbo)
09. Backdoor Man (Music : Steiner/Shermann  Lyrics : Limbo)
10. We're Hot (Music : Shermann  Lyrics : Limbo)

■Personnel
Jeff "Lox" Limbo – Vocals, Background Vocals
Pete Steiner - Bass, Keyboards, Background Vocals
Bob Lance - Drums
Hank Shermann - Guitars

Kasper Winding - Background Vocals

Producer - Henrik Lund

Fate
Fate
Nl Distribution
2007-06-28

 

Offside / Pretty Maids (1992)

0351Offside









デンマークのハードロック・バンドPretty Maidsのアコースティック企画盤。5曲収録のミニ・アルバムで、元々は日本のファン向けに制作されたとのことです。硬派なイメージが強いPretty Maidsですが、これが意外にも穏やかで柔らかなサウンドを聴かせる中々の好盤となっています。今は中古盤が格安で手に入るし、聴いて損はないと思います。

#1"Heartbeat From Heaven"
オリジナル新曲。切なさと爽やかさが同居する不思議な味わいのある曲です。
#2"Please Don't Leave Me"
ジョン・サイクスとフィル・リノットによる名曲のカバー。アルバムSin-Decadeにも収録されていましたが、そのアコースティック・バージョンです。喪失感というニュアンスの表現ではこちらの方が上かもしれません。
#3"In the Minds of the Young"
オリジナル新曲。物悲しく美しい旋律が最高です。このバンドの隠れた名曲ではないでしょうか。
#4"'39"
QueenのA Night at the Opera収録曲のカバー。というか完コピですな。もろカントリーでバンドのカラーに全然あっていませんが、これも意外に上出来でちょっと驚かされます。
#5"Fly Away"
ブライアン・ロバートソンとジミー・ベインが結成したブリティッシュ・ロック・バンドWild Horsesの1stアルバム収録曲で、シングル・カットもされていました。これまた渋い選曲です。この曲もほとんど完コピです。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Heartbeat From Heaven (Ronnie Atkins, Ken Hammer)
02. Please Don't Leave Me (Phil Lynott, John Sykes)
03. In the Minds of the Young (Ronnie Atkins, Ken Hammer)
04. '39 (Brian May)
05. Fly Away (Phil Lynott, Jimmy Bain)

■Personnel
Ken Hammer - Guitars, Background Vocals
Ronnie Atkins - Vocals
Kenn Jackson - Bass, Background Vocals
Michael Fast - Drums, Percussion, Background Vocals

Dominic Gale - Keyboards
Knud Linhard - Background Vocals

Producer - Pretty Maids

オフサイド
プリティ・メイズ
エピックレコードジャパン
1992-09-23

 

Sin-Decade / Pretty Maids (1992)

0302Sin-Decade









プリティ・メイズの4枚目のフルレンス・アルバム。彼らのアメリカ進出の夢は結局叶わず、アメリカン指向・ポップ指向の前2作の音楽性から一転して、開き直ったように徹底したヘヴィ&ハード路線となっています。ロニー・アトキンス(Vo)とケン・ハマー(Gt)以外のメンバーは抜けて、二人のリーダーシップが確立したアルバムでもあります。アメリカでの成功という野心は潰えたものの、皮肉なことに本作はメタル的要素とメロハー的要素が融合したプリティ・メイズの個性が全面開花した傑作となりました。プロデュースはMetallicaなどを手がけたフレミング・ラスムッセンで、なるほどと納得する音作りですね。

突進するような疾走曲#1"Running Out"が象徴するように、どの曲も贅肉をそぎ落としたようなソリッドでストレートなアレンジが施されており、かと言って一本調子に陥ることなく曲調のバリエーションも豊富です。また歌メロはプリティ・メイズらしい覚えやすくて魅力的なもの。歌唱・演奏面でも充実しており、ロニー・アトキンスのボーカルは、「この人こんなに上手かったのか」と瞠目するほどでした。新たなリズム・セクション、ケン・ジャクソン(Ba)とマイケル・ファスト(Ds)もいい仕事をしています。また、元メンバーのアラン・オーウェン、常連のバッキング・メンバーであるドミニク・ゲイル、クヌート・リントハート(フィル・ハート)もレコーディングに参加しています。

さて、ラストに収録された#11"Please Don't Leave Me"ですが、もちろんジョン・サイクスとフィル・リノットのあの名曲のカバーです。ほぼ完コピですね。一聴して分かるようにアルバム全体のカラーとは異なる本来オマケ的なものにも関わらず、シングル・カットされて大ヒットします。このカバー曲がプリティ・メイズの最大のヒット曲となってしまったのはなんとも皮肉なものです。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Running Out
02. Who Said Money
03. Nightmare in the Neighbourhood
04. Sin-Decade
05. Come on Tough, Come on Nasty
06. Raise Your Flag
07. Credit Card Lover
08. Know It Ain't Easy
09. Healing Touch
10. In the Flesh
11. Please Don't Leave Me
All songs written by Ronnie Atkins and Ken Hammer
except "Please Don't Leave Me" by Phil Lynott and John Sykes

■Personnel
Ronnie Atkins - vocals
Ken Hammer - guitar
Michael Fast - drums, percussion
Kenn Jackson - bass

Alan Owen - keyboards
Dominic Gale - keyboards
Knud Linhard - additional backing vocals

Producer - Flemming Rasmussen, Pretty Maids

シン・ディケイド
プリティ・メイズ
SMJ
2018-11-14

 

Get Ready / Oliver Weers (2008)

0253Get Ready









デンマークを拠点に活動するドイツ人ボーカリスト、オリヴァー・ウィアーズの1stソロ・アルバム。セッション・ギタリスト、プロデューサーとして知られるセーレン・アンデルセンが、作曲・演奏・プロダクションの全ての面でバックアップして制作されています。リズム隊は2002年の再結成Whitesnakeのメンバー、マルコ・メンドーサとトミー・アルドリッジ。また、1曲だけギター・ソロでクレジットされているTimmy Chrisとは、Dizzy Mizz Lizzyのティム・クリステンセンじゃないかと思います。

収録曲はアップテンポのロックンロール調のものを中心に、#6"Crawling Back Again"やビョークのカバー#8"Army of Me"などちょっとダークでヘヴィな曲や、クィーンのカバー#12"The Show Must Go On"を取り混ぜて、曲調に変化ををもたせています。バンドの演奏も当然きっちりしていて、まあ全体にオーソドックスで安定感のあるハードロック・アルバムだと思います。ただ、サウンドはボトムが弱くて、バスドラはペタンペタンと薄っぺらな音だし、ステレオのBassを思いっきり上げないとせっかくのマルコ・メンドーサのベースがあまり聴こえません。何トラックも被せたギターばっかりデカくて、リズムセクションが引っ込んでしまい、結果バンドのグルーヴが感じられない。サウンド・プロダクションの面でこれはちょっといただけないです。

オリヴァー・ウィアーズのボーカル・スタイルは、ジャケット写真のイメージに違わず男臭くてパワフル。リズム隊がWhitesnake組ということもあって、デビット・カヴァーデイルを意識した売り出し方になっているようです。声質や歌いまわしは確かにデビカバに通じるものがあるし、音圧・安定感から言ったらこの人のほうが上かもしれない。ただし、デビカバが若いときから、いやむしろ若いときの方が歌唱にコクと旨みがあったのに比べて、オリヴァーさんはちょっと大味。豪快と言えば聞えはいいのですが、パワーで押し切ってる感が否めません。ロックンロール調の楽曲だと一層それが顕著なので、#11"Get Ready"や#13."Demolition Man"のように、音に間があってややブルージーな曲調のほうが似合っているように感じました。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Calling Out for You (Andersen/Weers)
02. Hands High (Andersen/Weers)
03. Even Giants Cry (Berger/Andersen/Weers)
04. First Day of Our Life (Andersen/Weers)
05. Will You Be Mine (Berger/Andersen/Weers)
06. Crawling Back Again (Andersen/Weers)
07. Angel (Andersen/Weers)
08. Army of Me (Björk/Massey)
09. Pleasure Train (Andersen/Weers)
10. Coming Home (Winther-John/Andersen/Weers)
11. Get Ready (Andersen/Weers)
12. The Show Must Go On (Mercury/May/Taylor/Deacon)
13. Demolition Man [bonus track] (Weers/Jespersen/Mathiesen)

■Personnel
Oliver Weers - Vocals
Søren Andersen - Guitars
Tommy Aldridge - Drums
Marco Mendoza - Bass

Timmy Chris - Guitar Solo on 2
Henrik Berger - Rhythm Guitar &1st Guitar Solo on 3, Solo on 5
Jane Clark - Violin on 6 & 12

Producer - Søren Andersen

Get Ready
Weers, Oliver
Target
2009-09-01

In Santa's Claws / Pretty Maids (1990)

0242In Santa's Claws









プリティ・メイズのクリスマス企画EP。収録されているのは5曲で、#1"In Santa's Claws"はオリジナル。メロディアスでドラマチックな普通にカッコいい曲です。#2"A Merry Jingle"は、1979年にシン・リジィとセックス・ピストルズのメンバーがグリーディーズ(The Greedies)として共演したクリスマス・ソングのカバー。何故かイアン・ギランまで参加しております。3曲目以降はライブ録音で、1990年のRoskilde Festivaでのパフォーマンスを収録しています。ちなみにこのロック・フェスは1971年から現在でもなお開催されており、北欧最大にして世界屈指のロック・フェスティバルだそうです。#3"Eye of the Storm"は2ndアルバムFuture World に収録されていたバラード、#4"Red, Hot, and Heavy"は1stアルバムのタイトル曲、#5"Rock the House"は3rdアルバムJump the Gun からの選曲で、どれもボーカルがやや不安定ですが、当時の彼らのライブの雰囲気を伝える貴重な音源でしょう。

このEPは単体でも中古でよく出回っていますが、デビュー・ミニアルバムPretty Maids の全6曲と、Stripped の日本盤ボーナストラック"Far Far Away"を加えて、First Cuts ...And Then Some というタイトルでも発売されており、購入の際はこちらも選択肢の一つです。
 
評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. In Santa's Claws (D.Gale, K.Hammer, R.Atkins)
02. A Merry Jingle
03. Eye of the Storm (K.Hammer, R.Atkins)
04. Red, Hot and Heavy (K.Hammer, R.Atkins)
05. Rock the House (K.Hammer, R.Atkins)   
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