メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

オランダ(Netherlands)

Heading for a Storm / Vandenberg (1983)


0447Heading for a Storm









オランダのハードロック・バンドVandenbergの2ndアルバム。邦題は「誘惑の炎」。ラインナップは、エイドリアン・ヴァンデンバーグ(G)、バート・ヒーリンク(Vo)、ディック・ケンパー(B)、ジョス・ズーマー(Ds)で1stと変更なし、プロデュースもバンド自身とスチュアート・エップスでこれも変更なしです。

基本的には前作と同様のメロディアスなハードロックなんですが、よりポップでアメリカンな方向にシフトしており、ロックン・ロール色も強くなりました。1stより少しばかり哀愁味が減じたのが気になるところです。ただ、エイドリアン・ヴァンデンバーグの作曲・編曲の能力はやはり光るものがあって、特にアコギの使い方なんかはセンスがいいと思います。一番のお気に入りは#9"Waiting for the Night"。アルバム全体の中では異色ですが、叙情的でドラマチックなメロディと流麗なギター・ソロが、同時期のEuropeを思わせる北欧メタル風スピード・チューンです。こういう曲がもっと多かったら良かったんだけどなあ。歌唱・演奏の面では、前作でも感じられた生硬さがまだ残っていて、全体にドタバタと落ち着かないのがマイナス・ポイント。特にボーカルはもうちょっとこなれて欲しいと感じました。ドラムのタム回しがうるさいのも相変わらずで、これも印象良くないです。

なお、2013年に英国Rock Candyから再発されたリマスター盤には、1983年3月3日のヒューストンでのライブ音源"Ready for You"、"Lost in a City"、"Too Late"の3曲が収録されています。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Friday Night
02. Welcome to the Club
03. Time Will Tell
04. Different Worlds
05. This Is War
06. I'm on Fire
07. Heading for a Storm
08. Rock On
09. Waiting for the Night
All music & lyrics by Adrian Vandenberg

■Personnel
Bert Heerink - Lead & Harmony Vocals
Adrian Vandenberg - Guitar, Keyboards, Harmony Vocals
Dick “Motorhome” Kemper - Bass, Bass Pedals, Harmony Vocals
Jos Zoomer - Drums, Harmony Vocals

Producer - Stuart Epps, Vandenberg


Escape / Terra Nova (2005)

0409Escape









オランダのメロハー・バンドTerra Novaの4thアルバム。Aquila名義での2枚の作品を挟んで6年ぶりのアルバム・リリースとなっています。フレッド・ヘンドリックス(Vo)、ロン・ヘンドリックス(Key)の兄弟、そとてジェスィーノ・デローザス(G)が復帰して3人がメンバーとしてクレジットされ、リズム・セクションはアディショナル・ミュージシャンとなっています。エリック・コーネンはAquilaのアルバムにも参加していたベーシスト、Hans Eijkenaarはオランダのベテラン・セッション・ドラマーです。

1曲目の"Long Live Rock 'N' Roll"からTerra Novaらしいハード・ポップ全開。Aquilaとは違う分厚いサウンド、ジェスィーノ・デローザスのスリリングで歌心のあるギター、やはりTerra Novaはこうでなくちゃと嬉しくなります。今回はキーボードによるストリングス音が多用されていているのがミソ。いかにもレトロなポップス感が感じられて好印象です。収録曲は概ね良い出来だと思いますが、やはり以前のものと比べるとやや落ちるのかな。初期の曲が80~90点とすると本作は70点前後といったところです。特にバラードがイマイチ魅力に乏しいのが痛い。それから、スネアの代わりに木魚を叩くのは勘弁してもらいたいです。ポクポクと間の抜けた音が気になって仕方ありません。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Long Live Rock 'N' Roll
02. Rock Bottom
03. Hold the Line
04. Heaven Knows
05. Escape
06. War on War
07. You Are the One
08. Sole Survivor
09. Lonely Is the Night
10. Back in the Eighties
11. Part of the Game
12. Yesterday
13. You Are the One [Bonus Track]
All songs written by Fred Hendrix except #1, #8 written by Fred Hendrix and Ron Hendrix, #11 written by Gesuino Derosas
All Lyrics written by Fred Hendrix except #11 written by Gesuino Derosas

■Personnel
Fred Hendrix - Lead Vocals
Ron Hendrix - Keyboards, Backing Vocals
Gesuino Derosas - Guitar, Backing Vocals

Hans Eijkenaar - Drums
Eric Coenen - Bass

Producer - Fred Hendrix 

Escape
Terra Nova
Melodic Symphony
2005-08-02

 

Cosmogony / Helloïse (1985)

0408Cosmogony









オランダのメロディック・メタル・バンドHelloïse(エロイーズ)の1stアルバム。オランダのHR/HMバンドとしては、Vandenbergと並んでデビューが早かったバンドだったと思います。スタン・フェルブラーク(Vo)、ベン・ブラウ(G)、アルジャン・ボーヘルト(G)、マーチェル・レメウス(B)、アーンスト・ファン・イ(Ds)の5人編成(名前の読み方があっているか不明)で、音の方はNWOBHM期のバンドや80年代のJudas Priestをよりメロディアスにしたような感じ。まあ正統派メタルの部類に入るのではないでしょうか。ボーカリストの声質や歌唱にクセがなく聴きやすいのが特徴で、逆に個性的に感じるのが面白いところ。収録曲は、タイトル曲#1"Cosmogony"のような勇壮な疾走曲にしても、リリカルなバラード#3"Run a Mile"にしても、どの曲もメロディアスでドラマチック。そして、タイトルのCosmogony(宇宙進化論)にふさわしく壮大なイメージをまとっているのが印象的です。ギター・ソロがいま一つなのと、全体にややドタバタしているのが気になりますが、80年代のメタル・アルバムとしてはかなりいい線行っているのではないかと思います。

なお、元々は8曲入りLPでのリリースで90年代になってCD化されています。CDは盤によってボーナス・トラックの収録曲数が異なりますが、筆者は4枚のオリジナル・アルバムと、シングル・バージョン、リミックス・バージョン、デモ音源などを網羅した2枚のディスクが入ったボックス・セットAnthologyを購入しました。これでおそらくこのバンドの音源はコンプリートだと思います。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Cosmogony (A. Boogerds, S. Verbraak)
02. Broken Hearts (B. Blaauw, S. Verbraak)
03. Run a Mile (A. Boogerds, S. Verbraak, M. Kaspers)
04. Die Hard (B. Blaauw, S. Verbraak)
05. Ready for the Night (B. Blaauw, S. Verbraak)
06. For a Moment (B. Blaauw, S. Verbraak)
07. Gates of Heaven (B. Blaauw, S. Verbraak)
08. Hard Life (B. Blaauw, S. Verbraak)

■Personnel
Stan Verbraak - Lead & Backing Vocals
Ben Blaauw - Lead Guitars, Backing Vocals
Arjan Boogerds - Lead Guitars, Backing Vocals
Marchell Remeeus - Bass
Ernst van Ee - Drums, Percussion, Backing Vocals

Robert Jan Stips - Keyboards on 1, 3, 5
Ron Bird - Radio Voice on 7

Producer - John Sonneveld
Co-producer - Helloïse

COSMOGONY
HELLOISE
PSEUDONYM
1996T

Anthology
Helloise
Imports
2016-11-25

 

Vandenberg / Vandenberg (1982)

0379Vandenberg









エイドリアン・ヴァンデンバーグが率いるオランダのハードロック・バンドVandenbergの1stアルバム。他のメンバーは、バート・ヒーリンク(Vo)、ディック・ケンパー(B)、ジョス・ズーマー(Ds)、プロデュースはバンド自身と、Wishbone Ashなどを手がけたスチュアート・エップスとなっています。70年代から地元オランダでTeaserというバンドで活動していたエイドリアン・ヴァンデンバーグは、81年にThin Lizzyのオーディションを受けて落選、一方Whitesnake加入の話もあったものの結局は地元で自らの名を冠したバンドVandenbergを結成し、本作の録音・リリースに至りました。この時Thin Lizzyにはジョン・サイクスが加入しており、また後年Whitesnakeにジョン・サイクスの後釜として彼が参加することになります。なんだか因縁めいていますね。それはともかく、本作はビルボード・チャートで65位、シングル"Burning Heart"も39位とそこそこのヒット作となりました。日本でも「ネザーランドの神話」という邦題でリリースされ結構売れたようです。

このアルバムは、前半4曲(LPだとA面)はスロー~ミドル・テンポ、後半5曲(B面)はスピード・チューンとはっきり分かれているのが特徴です。全曲とも佳曲で、エイドリアン・ヴァンデンバーグの作曲能力の高さを示しています。筆者としてはメロディアスな前半の方が好み。特に、哀愁メロディが秀逸な#3"Wait"、シングルカットされた#4"Burning Heart"は出色の出来だと思います。

プレイの面では、ジョン・サイクスがゲイリー・ムーアに傾倒しているのに比べ、エイドリアン・ヴァンデンバーグはマイケル・シェンカーの影響が強いようです。本作でもリリカルなフレージングや、鼻づまりトーンにそれが見て取れます。好きなタイプなんですが、まだちょっと粗い印象が否めません。バート・ヒーリンクのボーカルは、ロブ・ハルフォードを意識したような歌い方にニヤリとさせられます。しかしこちらも粗く少し線が細いかな。あと細かいことを言えば、ドラムはオカズのタム回しの音だけデカくてうっとうしい。総じて、全体に演奏がバタバタしていて落ち着かないのが難点と感じました。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Your Love Is in Vain
02. Back on My Feet
03. Wait
04. Burning Heart
05. Ready for You
06. Too Late
07. Nothing to Lose
08. Lost in a City
09. Out in the Streets
All music & lyrics by Adrian Vandenberg

■Personnel
Bert Heerink - Lead Vocals
Adrian Vandenberg - Guitar, Keyboards, Backing Vocals
Dick Kemper - Bass, Taurus Bass Pedals, Backing Vocals
Jos Zoomer - Drums, Backing Vocals

Producer - Stuart Epps, Vandenberg

Vandenberg
Vandenberg
Rock Candy
2011-09-26

 

Man With a Mission / Aquila (2004)

0332Man With A Mission









オランダのメロハー・バンドAquilaの2作目。Aquilaは1stのレビューで記したようにTerra Novaの後継バンドで、このMan With A Mission がAquila名義でのラスト・アルバムとなっています。リーダーのフレッド・ヘンドリックス(Vo)と弟のロン・ヘンドリックス(Key)は当然引き続き参加していますが、Terra Nova時代から一貫してメンバーだったジェスィーノ・デローザス(Gt)は何故か今回クレジットがありません。次作からは再びTerra Nova名義となり、ジェスィーノ・デローザスも復帰しています。

前作はアコギが多用され、Terra Novaより更に軽快なサウンドが特徴的でしたが、本作ではクランチ・サウンドがメインとなっています。ジェスィーノ・デローザスが弾いていないせいか、サウンド的にもアレンジ面でも「なんかTerra Novaと違うなぁ」という印象。アコースティカルだった前作と比べてもむしろTerra Novaから離れた感じです。ドラムもなんだか軽いし。ハード・ポップというよりパワー・ポップ的なんですね。その辺はまあ微妙な感覚なのでいいとしても、肝心のメロディまで変わってしまった印象を受けたのが気になります。Terra Novaっぽくないというか、フレッド・ヘンドリックスっぽくないというか。#1"Oh Boy"、#6"Man With a Mission"、#12"Run"あたりは従来のメロディが堪能できるのですが、アルバム全体としてはちょっと違和感を持ってしまいました。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Oh Boy
02. One in a Million
03. He Wants It (Real Life)
04. Bite Me
05. What Would I Do
06. Man With a Mission
07. Shakin' Me Babe
08. Still Standing
09. Rescue Me
10. A Thousand Rainbows
11. I'm Gonna Win
12. Run
13. Seven Days
14. All Cried Out
All songs written by Fred Hendrix

■Personnel
Fred Hendrix - Lead Vocal, Guitar
Ron Hendrix - Organ, Keyboard, Backing Vocal
Coen Pots - Guitar, Backing Vocal
Emiel Scholsberg - Guitar, Backing Vocal
Eric Derix - Drums

Eric Coenen - Bassguitar on #8

Producer - Fred Hendrix

マン・ウィズ・ア・ミッション
アクイラ
ビクターエンタテインメント
2004-04-21

 

Say Yeah / Aquila (2001)

0287Say Yeah









オランダのメロハー・バンドAquila(アクイラ)の1stアルバム。リーダーでボーカリストのフレッド・ヘンドリックス自身が書いたライナー・ノーツによれば、レコード会社との間にトラブルがあってTerra Nova(テラ・ノヴァ)の新作作りが困難となり、一旦Terra Novaは解散。フレッド・ヘンドリックスのソロ・プロジェクト的なバンドとしてAquilaを始動させたとのことです。しかし、フレッドが曲を書いて歌い、弟のロン・ヘンドリックス(Key)とジェスィーノ・デローザス(Gt)というTerra Nova中核メンバーが録音に参加しているわけで、実質的にはTerra Novaの別名義での作品です。リズム・セクションはセッション・プレイヤーとのことですが、日本盤と海外盤とで表記が異なるらしく、アディショナル・ミュージシャンにも複数のドラマー、ベーシストが記載されていて、実際に誰がどの曲でプレイしているのか不明です。

というわけで、本作もTerra Nova同様の明るいメロディが特徴のハード・ポップが詰め込まれています。Terra Nova4作目用のマテリアルも含まれており、メロディの素性は当然Terra Novaと同じ。ただ、Terra Novaのサウンドがハードロック然とした分厚いものだったのに比べて、アコースティック・ギターが多用され、エレキもクランチ・サウンド、リズム・セクションもゆったりとしており、全体としてライトでカジュアルな印象。ミカエル・アーランドソンのソロ作やNelsonに通じる心地良いサウンドです。筆者のお気に入りは、リラックス・ムードの#2"Wide Open"、#3"Forgive Me"、#8"Sometimes"、#12"I Run"、#13"The End"、溌剌とした#4"Young and Restless"、#6"Everyday"、#7"Here I Am"、#10"Say Yeah"。パンキッシュな#11"The Kids Wanna Rock"もいいですね。ほとんど全部だな。ただ、一番地味で面白みのないバラード"Cecelia"をオープニングにもってきたのはいかがなものか。これでアルバムの印象が地味になってしまったのがもったいない限りです。。。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks (All songs written by Fred Hendrix)
01. Cecelia
02. Wide Open
03. Forgive Me
04. Young and Restless
05. Nothing's Impossible Now
06. Everyday
07. Here I Am
08. Sometimes
09. I Share It With You
10. Say Yeah
11. The Kids Wanna Rock
12. I Run
13. The End
14. Where Is the Sun

■Personnel
Fred Hendrix - Lead Vocal, Guitar
Ron Hendrix - Organ, Keyboards, Backing Vocals
Gesuino Derosas - Guitar, Backing Vocals
René Creenmers -  Drums
Pieter Douma - Bass

Additional Musicians
Eric Coenen, Roiger van Wegberg, Arthur Lijten, Ad de Jong, Cor Muysers, Eric Derix, Lars Beuving,

Producer - Fred Hendrix

Say Yeah
Aquila
Starlight
2002-05-28

Two of a Kind / Two of a Kind (2007)

0191Two of a Kind









オランダの女性デュオ、Two of a Kind(トゥー・オブ・ア・カインド)のデビュー作です。Frontiers Recordsのセラフィーノ・ベルジーノがTerra Novaのフレッド・ヘンドリックスを起用して仕立てたプロジェクトで、歌っているエスター・ブロウンズとアニータ・クレインメイヤーはオーディションで選ばれたそうです。バッキングはTerra Novaのジェスィーノ・デローザス(Gt)、ロン・ヘンドリックス(Key)、そしてフレッド・ヘンドリックス自身はベースを担当しています。ドラムはハンス・ザント(Vengeance)です。ソング・ライティングとプロデュースもフレッド・ヘンドリックスで、彼もいよいよつんく化するのかと思いましたが、今のところリリースはこの1作のみとなっています。色っぽいジャケットとは対照的に、本人たちの写真はちょっとアレかも。エスターが77年、アニータは68年生まれということなので、「Terra Nova娘。」として売り出すには少々とうが立ち過ぎていたかもしれません。

楽曲・演奏のレベルにはさすがに高いものがあり、Terra Nova的ハード・ポップが聴けるのは想定の範囲内。ただ、Terra Novaがメジャー・キーの爽快系をメインにしているのに対し、このTwo of a Kindはどちらかというと哀愁系の楽曲に重きを置いているようです。哀愁と言っても強烈な「泣き」を発している訳ではなく、うっすら哀愁を感じる程度。#1"Light in the Dark"、#9"Whole Again"といった曲はその哀愁系の佳曲です。また後半部分がNelsonの"After the Rain"を思い起こさせる#7"Into the Fire"も出色の出来ばえ。ジェスィーノ・デローザスのギター・ソロもカッコいいです。全体として女性ボーカルならではの「華」があり、とても聴きやすいアルバムだと思います。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Light in the Dark
02. The Longest Night
03. Little by Little
04. Give Me a Reason
05. Heaven Can Wait
06. Unbearable
07. Into the Fire
08. In Your Arms
09. Whole Again
10. To the Top
11. I Die a Little More Everyday
12. Now I'm Complete [Japan Bonus Track]
All songs written by Fred Hendrix

■Personnel
Esther Brouns - Lead Vocal
Anita Craenmehr - Lead Vocal
Hans In't Zandt - Drums
Gesuino Derosas - Guitar
Ron Hendrix - Keyboards
Fred Hendrix - Bass Guitar

Producer - Fred Hendrix

TWO OF A KIND
TWO OF A KIND
FRONTIERS RECORDS
2009-12-31

Make My Day / Terra Nova (1999)

0149Make My Day









オランダのメロハー・グループ、テラ・ノヴァの3rdアルバム。メンバーはフレッド・ヘンドリックス(vo)、ジェスィーノ・デローザス(gt)、ラルス・バウヴィンク(ds)、ロン・ヘンドリックス(key)の4人。前作までベースを弾いていたルシアン・マテウソンが抜けて、サポート・ベーシストとしてエリック・コーネンがクレジットされています。1stから変わらず一貫して明るくキャッチーなサウンドを聴かせてくれる彼らですが、本作はこれまででベストの仕上がり。フレッド・ヘンドリックスの書くメロディは一段と流麗となり、彼の歯切れの良い歌唱と相まって一度聴いたら忘れられないほど印象が強いものとなっています。

#1"Lovesick"、#2"Make My Day"、#6"Wild Thing"、#9"Where I Stand"、#11"Promise You Wait"はこのバンドのお家芸とも言えるメジャー・キーの爽やかなハード・ポップで、気持ちがウキウキするようなメロディがとにかく素晴らしい。まさに現代の(と言っても90年代ですが)バブルガム・サウンドでしょう。「バブルガム」というレッテルは、60年代後半~70年代前半にかけて流行ったティーン向けポップ・ミュージックに対する一種の悪口でしたが、楽曲の質には高いものがありました。今現在かつて流行ったようなポップス(大衆音楽)は言葉とは裏腹にポピュラリティ(大衆性)を持っていません。かつてはアンダーグラウンドだったような音楽が今はメジャーであり、ラジオ・テレビをつければいつも流れていた音楽はマイナーな存在となっています。そういう逆転した状況を踏まえた上で、表向きのダークさやへヴィさによろめかずに、あえて「ポップ」とは何かを追求し続けるテラ・ノヴァは貴重な存在。筆者はニルヴァーナを聴きたいときはニルヴァーナを、レイジを聴きたいときにはレイジを聴きます。どのバンドも右へ倣えして同じような音を出されてしまっては、聴くほうの選択肢が減って困るんです。

このアルバムはこれまでのハード・ポップ路線から楽曲の幅を広げているのも特色です。#5"Anomaly"はジェスィーノ・デローザスのテクニカルなギターが炸裂するインスト曲。#10"I Will Be There"はなんとアコーディオン入りのレトロなワルツ。どうせならオランダ語で歌えばもっと雰囲気が出たんじゃないかな。それからアルバムの最後には短い隠しトラックがあって、見事なアカペラ・コーラスを聴かせてくれます。実に心憎い終わり方です。なお、このアルバムのリリース後、レーベルとのトラブルのためテラ・ノヴァというグループ名が使えずバンドは一度解散、アクイラ(Aquila)名義での活動を経て2005年になって再びテラ・ノヴァとしてアルバムEscapeを発表することになります。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Lovesick (Fred Hendrix)
02. Make My Day (Fred Hendrix)
03. Eye to Eye (Gesuino Derosas)
04. Here's to You (Fred Hendrix)
05. Anomaly (Gesuino Derosas)
06. Wild Thing (Fred Hendrix)
07. I Can't Wait (Fred Hendrix)
08. Nothing (Fred Hendrix)
09. Where I Stand (Fred Hendrix)
10. I Will Be There (Fred Hendrix)
11. Promise You Wait (Gesuino Derosas)
12. How (Fred Hendrix)

■Personnel
Fred Hendrix - Lead Vocals, Guitar
Gesuino Derosas - Lead Guitar, Backing Vocals
Lars Beuving - Drums, Backing Vocals
Ron Hendrix - Keyboards, Organ, Piano, Accordion, Backing Vocals

Eric Coenen - Bass Guitar
Jeroen RobRecht - Violin and Viola

Producer - Fred Hendrix 
   

Break Away / Terra Nova (1997)

0109Break Away
オランダのメロハー・グループ、テラ・ノヴァの2ndアルバム。音楽性は1stと同様、明るく爽快なハード・ポップです。このバンドはなんと言っても、そのポップでキャッチーなメロディが特色なわけですが、本作でも冒頭から#1"Break Away"、#2"Those Were the Days"、#3"Wasting Time"、#4"City Lights"と4連発でその魅力を炸裂させています。ポップス黄金時代の60~70年代初めのバブルガム・サウンドやダンヒル・サウンドを髣髴とさせるような、全くもって能天気でポジティブなメロディにメロメロにされてしまいます。フレッド・ヘンドリックスの歯切れ良い歌声、ジェスィーノ・デローザスの歌心あるギターも相変わらずの気持ち良さ。

音楽性とサウンドに大きな変化はないものの、本作ではロン・ヘンドリックスのキーボードが前作以上にフィーチャーされているのが目立ちます。特にオルガンが多用されて、その流れるようなフレーズが楽曲をより軽快なものにしています。メロハーでのキーボードの使い方は、たいていはあってもなくてもいいような装飾的なもので、むしろうるさく感じることも多いのですが、このバンドに関しては不可欠なパートとしての位置づけを持っています。ロン・ヘンドリックスは、このアルバムではソング・ライティングにも一部関与し、ストリングス・アレンジも担当するなど、存在感がぐっと増しているように思います。

プロデュースは1st同様フレッド・ヘンドリックスが自ら行っています。なお、additional musicianとして隣国ベルギーのピーター・デ・ウィント(Mystery、Affair)がクレジットされていますが、おそらくバッキング・ボーカルで参加しているのだろうと思います。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Break Away
02. Those Were the Days
03. Wasting Time
04. City Lights / The Nocturnal Silence
05. Only for You
06. Right Now
07. I Keep on Dreaming
08. Holding On
09. Losing Sleep
10. Two Days of Heaven's Paradise
11. The Real Thing
12. Not Here With Me
All tracks written by Fred Hendrix, except 4 written by Ron Hendrix, 6 Fred Hendrix & Ron Hendrix
String arrangements by Ron Hendrix

■Personnel
Fred Hendrix - lead vocal, guitar
Gesuino Derosas - lead guitar, backing vocal
Lars Beuving - drums, backing vocal
Ron Hendrix - keyboards, organ, grand piano, backing vocal
Lucien Matheeuwsen - bass guitar, backing vocal 

additional musicians - Tom Salisbury, Peter de Wint, Piet Van den Heuvel
The Galaxy String Orchestra conducted by Joris Van den Hauwe

Producer - Fred Hendrix 
 

Love of My Life / Terra Nova (1996)

0079Love of My Life
オランダのメロハー・バンド、テラ・ノヴァのミニ・アルバム。シングル用に編集された"Love of My Life"、同曲と"Livin' It Up"のアルバム・バージョン、それから1stアルバムLivin' It Upの日本国内リリースに際しカットされてしまった3曲、計6曲が収録されています。アルバム収録曲はともかく、カットされた3曲を聴きたいというファン向けアイテムですね。

さてその3曲ですが、まず"Get off My Case"はソリッドなリフとバックのオルガンがディープ・パープルを思わせるハードな曲。" On Fire"も同様のハードロックですが、さらにテンポが速い疾走系の曲。2曲ともジェスィーノ・デローザスのギター・ソロがものすごくカッコいいです。この人、そこらへんのメタル・ギタリストよりよっぽどテクニックとフィーリング両面で優れてると思います。"Like a Rock"はドゥービー・ブラザース風のコーラスが爽やかなアコースティック曲。うーむ、3曲ともすごくいい曲です。カットすることで確かにアルバムのハード・ポップ色が際立つと思いますが、逆にテラ・ノヴァの豊かな音楽性を切り縮めてしまったような気がします。もったいないな~。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Love of My Life (edit version)
02. Livin' It Up
03. Get off My Case
04. On Fire
05. Like a Rock
06. Love of My Life (album mix)
All tracks written by Fred Hendrix. Except tracks 4 written by Fred Hendrix and Gesuino Derosas

■Personnel
Fred Hendrix - lead vocal, guitar
Gesuino Derosas - guitar, backing vocal
Lars Beuving - drums, backing vocal
Ron Hendrix - keyboards, backing vocal
Lucien Matheeuwsen - bass, backing vocal

Producer - Fred Hendrix
Except tracks 1, 2, 6 produced by Fred Hendrix, Geoff Foster, André Koning
 
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