メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

スイス(Switzerland)

Dial Hard / Gotthard (1994)

0163Dial Hard









スイスのハードロック・バンド、ゴットハードの2ndアルバム。1stのレビューでは、70年代ブリティッシュ・ハードロックのもっとも忠実な後継者だとか、ハードロックの魅力の全てがここにあるとかベタほめしましたが、2ndも同じことを書きたくなる素晴らしさです。いや~、なんでこんなにカッコいいんだろう。ロックン・ロール調の曲を基本として、ややメロハー寄りの正統派ハードロックとしか呼びようのない楽曲の数々が詰め込まれています。ん?どこかで聴いたことのあるフレーズが?リフがホワイトスネイクの○○に似てるとか、歌い回しがツェッペリンの○○に似てるとか、サビがY&Tの○○に似てるとか?野暮なことは言いっこなしです。正統的というのはこの場合つまり保守的ということでもあって、ハードロックの歴史を形作ってきた典型的なリフやコード進行、歌いまわし、歌詞の乗せ方を巧みに援用・借用することで、リスナーの「ハードロックらしさ」を求める気持ちを満足させているのです。正統派と称されるバンドの中でも、意識的に、ストイックなまでに正統派たらんとしているのがゴットハードというバンドの身上で、これは中々に貴重なことだと思っています。オリジナリティの追求に重きをおく人々によってロックは革新され、同時にジャンルは細分化していきます。原点を守ろうとする人々によって細分化する前のロックが保守され、時代に即して再生されていきます。これはロックに限らないことですが、ジャンルが一定の歴史を重ねた後に、既に出来上がった「そのジャンルらしさ」を守りながら、なおかつ自分たちの色や味を出していくにはかなりの力量がいる。それに成功しているこのバンドはやはり凄いと思います。

さて、前作ではパープルの"Hush"をカヴァーしていましたが、本作でもビートルズの"Come Together"、そしてサヴァイヴァーのジミ・ジェイソンが在籍していたコブラの"I'm Your Travelin' Man"を取り上げています。コブラのギタリストのマンディ・メイヤーは後にゴットハードに加入することになります。また日本盤のボーナス・トラックではツェッペリンの"Rock and Roll"まで演ってくれちゃっています。バンド・メンバーは前作と同じく、スティーヴ・リー、レオ・レオーニ、マーク・リン、ヘナ・ハーベッガーの4人。プロデューサーも同じくクロークスのクリス・フォン・ローア。ゲスト・ミュージシャンとして、前作にも参加していたパット・レーガン(key)の他、スティーヴ・ビショップ(gt)、スティーヴ・ベイリー(ba)がクレジットされています。どうもこのスティーヴ・ベイリー、ヴィクター・ウッテンとつるんで超絶ベース・プレイを聴かせる、あのスティーヴ・ベイリーっぽい。

なお、2009年再発の国内盤には"Love for Money"と"Mountain Mama"のライヴ・バージョンがボーナス・トラックとして追加され、全15曲入りとなっています。 

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Higher (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
02. Mountain Mama (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
03. Here Comes the Heat (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
04. She Goes Down (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
05. I'm Your Travelin' Man (Tommy Andris/Jimi Jamison/Mandy Meyer)
06. Love for Money (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
07. Get It While You Can (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
08. Come Together (John Lennon/Paul McCartney)
09. Dirty Devil Rock (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
10. Open Fire (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
11. I'm on My Way (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
12. Good Time Lover (live/bonus track) (Steve Lee/Leo Leoni/Chris von Rohr)
13. Rock and Roll (live/bonus track) (Jimmy Page/Robert Plant/John Paul Jones/John Bonham)

■Personnel
Steve Lee – vocals
Leo Leoni – guitars, vocals
Hena Habegger – drums
Marc Lynn – bass

Steve Bailey – bass guitar on tracks 9, 11
Pat Regan – keyboards
Steve Bishop – lead guitar on tracks 5, 11

Producer - Chris von Rohr

ダイアル・ハード
ゴットハード
BMGビクター
1994-02-23

Gotthard / Gotthard (1992)

0026Gotthard

スイスの誇るハードロック・グループ、ゴットハードの記念すべきデビュー・アルバム。スイスでは彼らのアルバム全てがチャート1位を獲得するなど、国民的人気を獲得していたようです。筆者は彼らを、ツェッペリン、パープル、ユーライア・ヒープ、レインボー、ホワイトスネイクといった70年代ブリティッシュ・ハードロックの、もっとも忠実な後継者の一つと捉えています。ハードポップやAOR的要素はほとんどなく、狭義の「メロハー」にくくるのはどうかと思いますが、ハードかつメロディアスなサウンドということではどうしても取り上げたいバンドなのです。

このアルバムは1992年リリースということですから、すでに20年以上が経過しているわけですが全く古臭さを感じさせない。そして、1stアルバムにしてこの完成度というのは驚かされます。かっこいいリフ、起伏に富んだメロディアスなヒラウタ、ストップの後の待ってましたのサビ、そしてトドメのギター・ソロ、ハードロックの魅力の全てがここにはあります。1曲目の"Standing in the Light"から興奮しっぱなしになります。"Angel"、"All I Care For"なんていう、お約束のような泣かせバラードの名曲もしっかり入っています。パープルのヒット曲"Hush"のカバーも良い出来です。

故スティーヴ・リーのボーカルは、デビュー・アルバムにして既に貫禄さえ感じさせます。ロバート・プラント、デヴィッド・カヴァーデイル、ロニー・ジェイムス・ディオといったボーカリストたちの良いところを総合したような、ハードロックの最も良き歌い手の一人だと思います。2010年のバイク事故死が本当に悔やまれてなりません。レオ・レオーニのギターはオーソドックスながらハードロックのツボを心得ているし、マーク・リンとヘナ・ハーベッガーのリズム隊は手堅くゴットハードの屋台骨を支えています。いやー、実にいいバンドだと思います。ベタほめです。

プロデュースのクリス・フォン・ローアは、スイス・ハードロックの先駆者クロークスのメンバーです。ゲストの参加ミュージシャンは、まず、元ディオ、ホワイトスネイク、現デフ・レパード、シン・リジィのヴィヴィアン・キャンベルが2曲ギターを弾いています。パット・レーガンは、クワイエット・ライオットやドロ、ブラックモアズ・ナイトなど多くのセッションに参加しているキーボード奏者。もう一人のキーボード、ニール・オトゥパッカは、ゴットハード結成以前スティーヴ・リーと共にフォーセールというグループのメンバーだったプレイヤーです。

なお、2009年に再発された国内盤には、ボーナス・トラックとして"Downtown"のライヴ・バージョンが追加収録されています。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Standing in the Light (Leoni, Lee)
02. Downtown (Leoni, Lee)
03. Firedance (Leoni, Lee, von Rohr)
04. Hush (South)
05. Mean Street Rocket (Leoni, Lee, von Rohr)
06. Get Down (von Rohr, Mauser)
07. Take Me (Leoni, Lee)
08. Angel (Leoni, Lee)
09. Lonely Heartache (Leoni, Lee)
10. Hunter (Leoni, Lee)
11. All I Care For (Leoni, Lee)
12. That's It (Leoni, Habegger)

■Personnel
Steve Lee – vocals
Leo Leoni – guitars, vocals
Marc Lynn – bass
Hena Habegger – drums

Vivian Campbell - lead guitars on Tracks 03 & 06
Neil Otupacca – keyboards
Pat Regan – keyboards

Producer – Chris von Rohr

GOTTHARD
GOTTHARD
ARIOL
1998-09-07

ゴットハード
ゴットハード
マーキー・インコーポレイティド
2009-06-24

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