メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。

ノルウェー(Norway)

Realized Fantasies / TNT (1992)

0107Realized Fantasies
1992年にリリースされたノルウェーのHR/HMバンドTNTの5枚目のアルバム。1990年代初頭のグランジ・オルタナ・ブームに際して、多くのHR/HMが時流に乗り遅れまいとダーク&ヘヴィな方向に舵を切る中、TNTは何故かこのアルバムでLAメタル的な音にシフトしています。既にLAメタルも旧時代の遺物扱いされる時期なのに、どういう戦略なのか全く理解しがたい。もっとも次作Firefly (1997)でTNTも結局グランジ化するわけですが、1997年と言えばグランジ・オルタナ・ブームもとりあえず落ち着きを見せているわけで、このバンドどこかワン・テンポずれている感が否めません。

ジャケットの趣味は最悪だし、プロデューサーはホイットニー・ヒューストンやマライア・キャリーを手がけて実績はあるものの畑違いのリック・ウェイクだし、そんでもってなんで今更LAメタルなのか。謎は深まる一方ですが、筆者は世間で言われるほどこのアルバムを嫌いではありません。確かにメロディの質がモロにアメリカ指向になり、トニー・ハーネルもややガナリ気味に歌唱法を変えたことで、北欧HR/HM特有の水晶のごとく透明で美しいTell No TalesIntuition のイメージは大きく損なわれ、「汚れちまった悲しみ」を感じます。ニューヨークでのレコーディングのせいなのか、サウンドもやけにドライになりました。でも、 Firefly 以降別のバンドみたいになってしまった変化に比べたら、このバンドならではのメロディの輝きはまだまだ十分残っているし、とりわけラストの"Indian Summer"には過去の名曲に比肩しうる叙情性と美しさがあります。一般の悪評だけでこのアルバムを聴かないとしたら、それはすごくもったいないよな~。

ラインナップは、ロニー・ル・テクロ(gt)、トニー・ハーネル(vo)、モーティ・ブラック(ba)は前作と同じ。ドラムは前作に引き続きのメンバー・チェンジで、ケネス・オディーンからアメリカ人ドラマーのジョン・マカルーソに交代しています。サポート・ミュージシャンにまたジョー・リン・ターナーがクレジットされていますが、どの曲で歌っているのか今回も不明です。キーボードのダグ・ストッケは、この後レコーディングとライブの両方でTNTと行動を共にする準メンバー的な存在ですが、昨年(2011年)亡くなっています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Downhill Racer (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Morty Black)
02. Hard to Say Goodbye (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)
03. Mother Warned Me (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Del James)
04. Lionheart (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Del James)
05. Rain (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)
06. Purple Mountain's Majesty (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Dag Stokke)
07. Rock n' Roll Away (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Del James)
08. Easy Street(Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Borge Pedersen, Del James, Bobby Icon)
09. All You Need (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell, Morty Black)
10. Indian Summer (Ronni Le Tekrø, Tony Harnell)

■Personnel
Morty Black – bass
John Macaluso – drums
Ronni Le Tekrø – all guitars, additional keyboards, 1/4 stepper guitar
Tony Harnell – lead and harmony vocals

Dag Stokke – keyboards
Rich Tancredi – keyboards
T.J. Kopetic – keyboards
Peter Wood – piano on "Easy Street"
Kyf Brewer – harp on "All You Need"
Joe Lynn Turner – background vocals

Producer - Ric Wake 


II / Hush (2001)

0088HushII
ノルウェーのハードロック・バンド、ハッシュの2ndアルバム。1stIf You Smile から3年半後のリリースです。その間バンドをとりまく状況は相変わらず思わしくなく、解散も考えるほどだったらしいのですが、イギリスのメロディック・ロック・レーベルNow and Thenの主催するTHE GODSフェスに出演、その縁もありNow and Thenとの契約を獲得して2ndリリースに至ったようです。前作と同じく中心メンバーであるケネス"キース"クリスチャンセンのプロデュースのもと、彼の自宅スタジオでレコーディングは行われているので、やはり前作と同様の自主制作に近いものと思われます。前作では同郷の先輩TNTのロニー・ル・テクロがミキサー、エグゼクティヴ・プロデューサーとして協力していましたが、本作は同じNow and Thenレーベルに所属するカナダのメロハー・バンド、エメラルド・レインのマーレイ・デイグル(Murray Daigle)がミキシング、マイク・デミトロヴィック(Mike Dmitrovic)がマスタリングを担当しています。バンド・メンバーは、前作と同じケネス"キース"クリスチャンセン(gt)、パトリック・シモンセン(vo)、ラグナー"ロッド"ラトル(ba)、ヤンネ"スティーヴ"ティッツ(dr)の4人に加え、前作ではアディショナル・キーボード扱いだったテリエ・スメフォルトが、今回はテリー・スミスという名前でメンバーとしてクレジットされています。

If You Smile も中々の好盤でしたが、この2ndもメロハー・リスナーにとって魅力溢れる作品となっています。ブルージーでメロディアスな曲調、デヴィッド・カヴァーデイルに似たボーカル・スタイルで、ライトなホワイトスネイクと形容したくなるサウンドは前作と大きく変わりません。ただし、スロー~ミドル・テンポの曲が多く、味わい深いもののやや地味な印象もあった前作と比べ、この作品ではアップ・テンポの曲が増えて、メリハリの利いたよりハードロック色の濃い音になりました。楽曲そのもののレベルも一段と向上しているように感じます。そしてなによりパトリック・シモンセンの力強い上に渋い歌唱は、もう名ボーカリストと呼んで差し支えないほどの水準。こうなってくると、ケネス"キース"クリスチャンセンのギタリストとしての力不足がいやでも目立ってきます。リード・ギターに新メンバーを入れて、ソング・ライティングとサイド・ギターに徹したほうがバンドにとっていいのでは?なんておせっかいを言いたくなるなー。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. The Restless Ones (Patrick Simonsen, Keith Kristiansen)
02. Don't Turn Around (Keith Kristiansen, Patrick Simonsen)
03. Till We Become the Sun (Patrick Simonsen, Keith Kristiansen)
04. Don't Say Goodnight (Patrick Simonsen, Steve Titz, Keith Kristiansen)
05. Is it Good Enough ? (Keith Kristiansen, Patrick Simonsen)
06. Another Girl (Patrick Simonsen, Keith Kristiansen)
07. Forever (Patrick Simonsen, Keith Kristiansen)
08. Like Love (Patrick Simonsen, Keith Kristiansen)
09. The Real Thing (Patrick Simonsen, Keith Kristiansen)
10. In My Dreams (Patrick Simonsen, Keith Kristiansen, Jan Titz)

■Personnel
Kenneth (Keith) Kristiansen - guitars, keyboards, backing vocals
Patrick Simonsen - vocals, guitars
Rognar (Rod) Rutle - drums
Janne (Steve) Titz - bass, backing vocals
Terry Smith (Terje Smevold) - keyboards

Producer - Kenneth (Keith) Kristiansen assisted by Patrick Simonsen 

Intuition / TNT (1989)

0080Intuition
Intuition はノルウェーのHR/HMグループTNTの4thアルバム。TNTの代表作であると同時にメロディアス・ハードロックの名盤中の名盤として、リスナーの間では評価の定着している作品でしょう。リリースから四半世紀近く経過した現在の耳で聴いても、バンドのパフォーマンスはもちろん、サウンド・プロダクション(ビョルン・ネーショ)の面でも全く古さを感じさせない最高水準の仕上がりだと思います。ロニー・ル・テクロのギターの「変態度」とトニー・ハーネルのボーカルのエモーショナル度も最高潮に達しています。特にタイトル曲"Intuition"と"Tonight I'm Falling"は、楽曲・アレンジ・演奏・歌唱・プロダクションが精緻にかみ合い、奇跡的なほどの透明感とリリシズムが横溢しています。この2曲については、メロディアス・ハードロックの金字塔、不朽の名曲、どんなに賞賛の言葉を並べても追いつかない素晴らしさだと筆者も思っています。ただし、収録されている全ての曲が名曲かというとそれは疑問に感じるし、曲順ももっと工夫の余地があるのではないかと思ってしまうので、1枚のアルバムの評価としては前作Tell No Tales のほうに筆者は軍配を上げます。

アルバムは荘厳な#1"A Nation Free (Intro)"で幕を開け、続く#2"Caught Between the Tigers"はちょっと変わった雰囲気のミドル・テンポの曲。ロニーの奇妙キテレツなギター・ソロが印象的です。#3"Tonight I'm Falling"は冒頭に書いたようにこのアルバムのハイライトの一つとなっているハード・ポップ曲。気恥ずかしくなるほどロマンチックな歌詞とメロディが、いつ聴いても心を高揚させてくれます。ほんとに、ほんとにいい曲です。#4"End of the Line"は美しく切ないバラード。トニーの瑞々しい歌唱、ロニーのベック的突発性を想起させるギターが素晴らしいの一言です。#5はいよいよタイトル曲"Intuition"、ハード・ポップの名曲中の名曲。これほど心を揺さぶるメロディ、歌唱、演奏に出会えたことを音楽の神様に感謝したくなります。まさにパーフェクト!#6"Forever Shine On"はドラマチックでハードな佳曲。他のバンドでは中々こういう曲が見当たらない、非常に個性的な曲です。#7"Learn to Love"は再びロマンチックなハード・ポップ。"Tonight I'm Falling"、"Intuition"に次ぐメロディ・ラインの素晴らしさだと思います。次は問題の#8"Ordinary Lover"。何故このようなおふざけ的な曲を入れる必要があったのか。なぜ大して歌の上手くないロニーが歌っているのか。箸休め的な曲を挟むにしても、もっと他にやりようはあったのではないでしょうか。結果的にアルバムの完成度と品格を損なう、非常に残念な選曲だったと筆者は思ってしまいます。そんなこを考えてじくじくしていると、#9"Take Me Down (Fallen Angel)"は再びキャッチーなハード・ポップ。美しいボーカル・メロディと、対照的なヘンテコリンなギター・ソロ。これですよ、これ。この線でアルバム全体をまとめてほしかったな。最後は#10"Wisdom"。ドラマチックではあるけれど、やや陰鬱で心からは楽しめない曲でした。他にラストを飾る曲はなかったのかな。。。なんだか残念でなりません。

最後にレコーディング・ラインナップについて。ロニー・ル・テクロ(gt)、トニー・ハーネル(vo)、モーティ・ブラック(ba)は前作と同じですが、ドラムはディーゼル・ダールからケネス・オディーンにチェンジしています。キーボードのKjetil Bjerkestrandはシェティル・ビェルケストランと読むようです。ノルウェーでは結構有名なピアノ&オルガン奏者、作曲家らしく、ロック、ジャズから映画音楽、クラシックまで幅広く活躍しています。また、バッキング・ボーカルにジョー・リン・ターナーがクレジットされていますが、筆者にはどこで彼が歌っているのかはっきり聴き取れませんでした。。。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. A Nation Free (Intro)
02. Caught Between the Tigers
03. Tonight I'm Falling
04. End of the Line
05. Intuition
06. Forever Shine On
07. Learn to Love
08. Ordinary Lover
09. Take Me Down (Fallen Angel)
10. Wisdom
All songs written by Tony Harnell & Ronni Le Tekrø except 6 by Tony Harnell, Ronni Le Tekrø & Morty Black

■Personnel
Morty Black – bass, pedal synthesizer
Kenneth Odiin – drums, percussion
Ronni Le Tekrø – all guitars, 1/4 stepper guitar, lead vocals on "Ordinary Lover"
Tony Harnell – lead & background vocals

Kjetil Bjerkestrand – keyboards
Joe Lynn Turner – background vocals

Producer - Bjørn Nessjø

 


 

Tell No Tales / TNT (1987)

0073Tell No Tales
ノルウェーのHR/HMグループTNTの3rdアルバムTell No Tales 。これは名盤以外の何物でもありません。続く4thIntuition もまた名盤の呼び声が高く筆者も異論はありませんが、あちらは超名曲が入っている代わりに「?」な曲もまたあり、アルバムのトータルとしては、全曲名曲のTell No Tales のほうが好みです。いずれにしても、この3rdと4thがTNTの絶頂期の双璧をなす作品であることは衆目の一致するところとなっているようです。チャート的にはノルウェー本国で1位、アメリカで100位と、Intuition をしのいで彼らのアルバムの中ではもっとも上位を記録しています。レコーディング・メンバーは前作Knights Of The New Thunder と変わらず、トニー・ハーネル(vo)、ロニー・ル・テクロ(gt)、モーティ・ブラック(ba)、ディーゼル・ダール(dr)、プロデュースも1st、2ndに引き続きビョルン・ネーショ(Bjørn Nessjø 発音が正しいか不明)となっています。

同じメロハーと言っても、前作がヘヴィ・メタル色が強く、またいまだに垢抜けなかったのに比べ、本作はすっきりとしたハードポップ的な曲調がメインとなっています。サウンドを反映してジャケットもポップ。みんなどこかの王子様のようです。前作のアレとはえらい違いです。それはともかく、このアルバムは全編とにかく美しい。メロディも、トニー・ハーネルのハイトーン・ボーカルも、ロニー・ル・テクロのテクニカルなギター・ソロも、全てがうっとりするほど美しいのです。そしてビョルン・ネーショのサウンド・プロダクションも(Intuition には及ばないものの)良好で、このアルバムを北欧クリスタル・サウンドを代表する1枚たらしめるのに大きく貢献しています。

ハードなリフとキャッチーなメロディの#1"Everyone's a Star"でツカミはOK、続く#2"10,000 Lovers"はノルウェーのシングル・チャート2位となったロマンチックなポップ・ソング。#3"As Far as the Eye Can See"は歌メロもギターソロも完璧なまでに美しいスピード・チューン。ここまで一気に息をつかせぬ展開の後、驚異的なロニー・ル・テクロのギター・インストゥルメンタルの小品#4"Sapphire"を挟んで、クラシカルなメロディが美し過ぎる至高のスロー・バラード#5"Child's Play"で一息つきます。再びアコギによるインストゥルメンタル曲#6"Smooth Syncopation"に続き、爽やかなハード・ポップ#7"Listen to Your Heart"。ここでのロニーのキテレツなギター・ソロも聴き所です。#8"Desperate Night"はややヘヴィなミドル・テンポの哀愁系ナンバー。#9"Northern Lights"はタイトル通り冷涼なノルウェーの空気感を漂わせる美しいバラード。クライマックスへの緊張感を掻き立てるインスト#10"Incipits"に続いて、ラストを飾る#11"Tell No Tales"は意表をつく完璧なまでにヘヴィ・メタリックな疾走曲。トータル・タイムは30分そこそこと短いのですが、曲の配置も完璧で、ダレずに至福の時間を過ごせるアルバムに仕上がっています。 

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Everyone's a Star (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
02. 10,000 Lovers (In One) (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Morten "Diesel" Dahl)
03. As Far as the Eye Can See (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
04. Sapphire (Ronni Le Tekrø)
05. Child's Play (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
06. Smooth Syncopation (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
07. Listen to Your Heart (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
08. Desperate Night (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
09. Northern Lights (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Bjørn Nessjø)
10. Incipits (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
11. Tell No Tales (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Morten "Diesel" Dahl)

■Personnel
Tony Harnell – vocals
Ronni Le Tekrø – guitars, guitar synthesizer
Morty Black – bass guitar, pedal synthesizer
Morten "Diesel" Dahl – drums, percussion

Håkon Iversen – background vocals
Bård Svendsen – keyboards and programming
Bjørn Nessjø – keyboards and programming
Carlos Waadeland – keyboards and programming

Producer - Bjørn Nessjø


If You Smile / Hush (1998)

0059If You Smile

ノルウェーのメロディアス・ハードロック・グループ、Hushの1stアルバム。メンバーはケネス"キース"クリスチャンセン(gt)を中心に、パトリック・シモンセン(vo)、ラグナー"ロッド"ラトル(ba)、ヤンネ"スティーヴ"ティッツ(dr)の4人。ジャケットのほのぼのしたイメージから、トラディショナルな音楽を取り入れたような穏やかなサウンドをなんとなく想像していましたが、これがまたなんともかっこいいブルージーなメロディアス・ハードでした。喩えるなら、初期のホワイトスネイクをちょっとポップでメロディアスにした感じでしょうか。ボーカルのパトリック・シモンセンは、デビカバほどは濃くはないのですが、まさにあの系統のブルース・ベースの正統派ハードロック・ボーカリストとしての高い実力が感じられます。ソウルフルな歌いまわしもまるでベテランのように堂々としているし、筆者は一発で気に入りました。

曲調はバラエティに富んでいますが、マイナーキーを多用していたずらにベタな泣き路線に走らず、メジャーキーでそこはかとない哀愁を漂わせた曲が多いのも好感が持てます。作曲の中心はケネス"キース"クリスチャンセンだと思いますが、この人のメロディ・メーカーとしての才能を感じさせます。やや技量的に未熟なギターのほうも、もうちょっと頑張ってくれると完璧なんですが。。。ハードポップ的で楽しい#1"Talk to Me"、大人っぽいAORハード風の#2"Babe"、パトリック・シモンセンのソウルフルな歌唱が映えるファンキーなナンバー#4"Piece of the Action"、まるでアメリカのベテランAORグループの曲かと思わせるしっとしりしたバラード#5"Let it Rain"や#6"This Side of Love"等々、名曲・佳曲がぎっしり詰まっています。一部でパクリ説の出ている#7"Heaven Ain't"のイントロとAメロがネルソンの"After The Rain"に激しく似ているのは、筆者が想像するに、おそらくパクリではなくて無意識のうちに耳に残ってるメロディをオリジナルなメロディとして曲にしてしまったのでしょう。あんな有名な大ヒット曲を意図的にパクったらすぐに非難されるのは目に見えてますから。バンドをやっているとどうしてもそういうことはありますよ。まあいずれにしても、褒められた話ではありませんが。

これほどの高水準なアルバムですが、ノルウェーのレコード会社と契約していたにも関わらず、レーベルやマネージメント側の熱意が薄く、レコーディングはケネス"キース"クリスチャンセンの自宅スタジオで行われ、実態としては自主制作に近いのです。デモを世界中に送ってようやく日本のレーベルと契約を交わし、ノルウェーのこのジャンルでの先輩バンドTNTのロニー・ル・テクロのリミックスと監修という助力を得てアルバムを完成させ、まず日本でのリリースにこぎつけました。その後ドイツのレーベルを通じてヨーロッパでもリリースされますが、相変わらずバンドをとりまく環境は厳しく、まともなプロモーションもマネージメントもないまま、雑誌の取材からライブのブッキングまで自分たちで切り盛りしなくてはならない状況だったようです。メロディの秀逸さや歌い手の歌唱力が、当たり前に評価されない悲しむべき時代は今も続いています。メロディック・ロックを愛聴するリスナーの間でさえ「産業ロック」などという時代遅れで的外れなカテゴライズが今でもまかり通っている日本の状況にも、言いようのない悔しさと憤りを感じてしまうのです。メロディック・ロック=「産業ロック」=売れ線の音なら、このバンドだって経済的な苦労なんかしないでウハウハでしょうに。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Talk to Me (Kenneth Kristiansen, Patrick Simonsen)    
02. Babe (Kenneth Kristiansen, Glenn Kristiansen, Patrick Simonsen)     
03. Believe (Kenneth Kristiansen, Patrick Simonsen)     
04. Piece of the Action (Kenneth Kristiansen, Patrick Simonsen)     
05. Let it Rain (Kenneth Kristiansen, Patrick Simonsen)     
06. This Side of Love (Kenneth Kristiansen, Patrick Simonsen)     
07. Heaven Ain't (Kenneth Kristiansen, Patrick Simonsen)     
08. Big Times (Kenneth Kristiansen, Glenn Kristiansen, Patrick Simonsen, Rognar Rutle)     
09. Sometimes (Kenneth Kristiansen, Patrick Simonsen)     
10. G & B (Kenneth Kristiansen, Patrick Simonsen)     
11. If (Butterfly) [bonus] (Kenneth Kristiansen, Patrick Simonsen)   
12. This Side of Love (Acoustic Version) [bonus] (Kenneth Kristiansen, Patrick Simonsen)
 
■Personnel
Kenneth (Keith) Kristiansen - guitars, keyboards, backing vocals
Patrick Simonsen - vocals, guitars
Rognar (Rod) Rutle - drums
Janne (Steve) Titz - bass, backing vocals

Terje Smevold - additional keyboards, piano

Producer - Kenneth (Keith) Kristiansen
Executive Producer - Torgrim Eide, Ronni Le Tekrø

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