メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

ノルウェー(Norway)

Vagabond / Vagabond (1994)

0400Vagabond









1992年のTNT解散後にロニー・ル・テクロが結成したVagabondの1stアルバム。同時期にトニー・ハーネルはアメリカに帰ってMorning Woodのアルバムを制作しています。この作品は、アメリカ人ミュージシャンのみを起用し、音楽性もいかにもアメリカンなものでした。一方Vagabondはメンバーは全員ノルウェー人、ロニー・ル・テクロのやりたいことをやりたいままにやっているという印象です。CDにはロニー・ル・テクロ自身の解説が付いているのですが、その中で強調しているのは70年代ロックの影響についてと、アメリカのロック・シーンへの憤懣。これ、結構衝撃的でボロクソに言っています。興味ある方は一度お読みください。TNT解散当時のロニーの心境がよく分かるし、本作は自分の原点に帰って、ヨーロピアン・ロックというものをとことん追求しようという意図の下に制作されたことがはっきり示されています。

ロニー・ル・テクロ以外のバンド・メンバーは、TNTの同僚モーティ・ブラック(B)、TNTのサポート・メンバーだったダグ・ストッケ(Key)、Stage Dollsのシュタイナー・クロクスタッド(Ds)、そしてまだ無名の新人だったヨルン・ランデ(Vo)。1曲目の"Thunderblunder"のイントロで、スリリングかつスタイリッシュなリフに「おっ、カッコいいじゃん!」と思った途端、なんとラップが始まり「?」となります。2曲目以降も、実験的というか前衛的というか、ジャンル分け不能な曲が続きます。時々「おっ」となる場面はあっても基本は「?」です。前述の解説で「グランジの影響のないオルタナティヴ・ミュージックを作りたかった」とロニーが言っている意味がなんとなく分かりますが、これは評価が難しいですね。このアルバムは評価無しとします。ただ、演奏はさすがに凄い。特にロニーが好き放題弾きまくっているのが嬉しくなります。#4"Gold in the Air"のラストのデイヴ・ギルモアとかジェフ・ベックを髣髴とさせるソロとか、#9"Mrs. Hippie Blues"での珍しいブルース・ギターとか、聴くたび鳥肌が立ちます。それからヨルン・ランデ、この人最初っから鬼のように上手い!

■Tracks
01. Thunderblunder
02. Key to the Rainbow
03. Do You Like It?
04. Gold in the Air
05. I Believe in Wonders
06. Silent Woman Sheila
07. Automatic
08. Let Go, Let Go
09. Mrs. Hippie Blues
10. We Bring the Sun to You
11. Better Ask Yourself
12. Kick Big Pigs
13. Everybody's Healing [Bonus Track]
All songs written by Vagabond
except #9 written by Tekrö, Harnell, #13 by Tekrö, Lande
Lyrics by Mai Britt Normann & Vagabond

■Personnel
Jørn Lande - Lead & Backup Vocals
Dag Stokke - Keyboards, Backup Vocals
Ronnie Lé Tekrö - All Guitars, Backup Vocals
Steinar Krokstad - Drums, Backup Vocals
Morty "Black" Skaget - Bass, Backup Vocals

Producer - Vagabond, Anders Herrlin(#1, 6, 8, 9)

On the Rise / On the Rise (2003)

0355On The Rise









ノルウェーのメロハー・プロジェクトOn the Riseの1stアルバム。Terje Eide(vo, g)とBennech Lyngboe(vo)のデュオ編成で、他のパートはサポート・ミュージシャンが担当しています。何の予備知識も無く聴いたのですが、これがメロハーど真ん中の大当たりでした。適度にハードで適度にポップなサウンドと、珠玉のメロディが目いっぱい詰まっています。全曲ともサビが上出来なのはもちろん、ヴァースもブリッジもとにかくメロディが素晴らしい。Terje EideとBennech Lyngboeのそれぞれが曲を作っているせいか各曲の個性が際立ち、似たような曲が一つも無いという驚異的な仕上がりとなっています。ほとんどの曲が3~4分とコンパクトで聴きやすいの高ポイント。Terje Eideは柔らかく伸びやかな声、Bennech Lyngboeは少しハスキーな声、それぞれの持ち味を活かしたツイン・ボーカルが見事で、もちろん二人のハーモニーも極上です。全曲が名曲レベルなのですが、思わず一緒に口ずさみたくなる爽やかなコーラス部分が魅力の#2"Lift You Up"、哀愁を帯びたヴァース~ブリッジから高揚感溢れるコーラスへの展開が気持ちいい#3"The World of Change"、ウェスト・コーストAORを思わせるスコーンと突き抜けたメロディの#6"Leaps and Bounds"、ちょっとハードでドラマチックな#7"Running in the Night"や#13"Stranded"あたりが特にお気に入りです。

リーダーと思しきTerje Eideという人、曲作りは上手いし歌も上手い、おまけにギターも上手いと三拍子揃った才人です。ガンガン弾きまくる場面はありませんが、ツボをおさえたギター・ソロも聴きどころとなっています。また、バックの演奏陣も手堅いプレイで曲を盛り上げています。とにかく非の打ち所のない傑作だと感じました。聴いて良かった!

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Beat of Your Heart (T.Eide, G.Johannessen)
02. Lift You Up (B.Lyngboe)
03. The World of Change (T.Eide)
04. Memories Forever (T.Eide)
05. Pride (B.Lyngboe, F.Olsen)
06. Leaps and Bounds (T.Eide)
07. Running in the Night (T.Eide)
08. Keep Our Love Alive (T.Eide)
09. Stay Away (T.Eide)
10. Sadness Hits Like a Stone (T.Eide, D.O. Nilsen)
11. Two Young Hearts (B.Lyngboe, T.Eide)
12. Could Have Been the Last Time (B.Lyngboe, T.Eide)
13. Stranded (T.Eide)
14. The Moment (T.Eide)

■Personnel
Terje Eide - Lead Vocals, Electric Guitars, Acoustic Guitars, Background Vocals
Bennech Lyngboe - Lead Vocals, Background Vocals

Zsolt Meszaros - Drums
Jan Martin Kleveland - Bass
Asbjorn Vie - Keyboards
Roy Bjorge - Additional Keyboards

Producer - Eirik Gronner, Terje Eide
Co-producer – Bennech Lyngboe
Executive-Producer – Serafino Perugino


Amazon商品リンク

Department of Faith / Hush (2017)

0345Department of Faith









ノルウェーのハードロック・バンドHush、11年ぶりの4thアルバム。Whitesnakeをライトでポップにしたようなサウンドでデビュー、3rdアルバムMirageで「モダン」寄りに転換、そして本作はというと前作のドンヨリ感を引きずりつつも、基本的には初期の路線に戻りました。ただ、メロディ的にもアレンジ的にも楽曲の魅力はイマイチ、特に同じフレーズを繰り返す手法が鼻につき、1stや2ndのワクワク感には程遠い出来です。悪くはないのですが良くもない。うーん、なんとも中途半端な印象で歯がゆい限りです。中心メンバーのパトリック・シモンセン(vo)と相方のケネス"キース"クリスチャンセン(gt)以外のメンツは入れ替わりました。3rdアルバム以降メンバーは流動的になっており、バンドの不安定な状況を反映しているようです。

#8"Last Man Standing"のスローになる中間部分などに顕著ですが、パトリック・シモンセンのボーカリストとしての実力は極めて高いと思っています。深みのある声質、プルージーでソウルフルな歌いまわしは実に魅力的。世が世ならば、「ノルウェーのデヴィッド・カヴァーデイル」なんてキャッチフレーズでもてはやされてもおかしくない。しかし、時代に恵まれず、バンドにも恵まれなかったのがなんとも残念です。ドイツのS.I.N. に呼ばれたときは、そっちでなんとかなるかと思ったら結局ポシャっちゃったし。年齢的にもおそらく50歳前後と思われ、これからブレイクするのは現実的には厳しいでしょう。筆者としては強い思い入れがあるボーカリストだけに、なんだか空しく寂しい感情が残ります。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. I Don't Wanna (Patrick Simonsen / Kenneth E. Kristiansen)
02. Black Ice (Patrick Simonsen / Kenneth E. Kristiansen)
03. She Will Be the One (Patrick Simonsen / Kenneth E. Kristiansen)
04. Hold On (Patrick Simonsen / Kenneth E. Kristiansen)
05. Crazy (Sigsworth Guy / Samuel Henry Olusegun Adeola)
06. Mirrors (Patrick Simonsen / Kenneth E. Kristiansen)
07. Signs (Patrick Simonsen / Kenneth E. Kristiansen)
08. Last Man Standing (Patrick Simonsen / Kenneth E. Kristiansen)
09. Everything (Patrick Simonsen / Kenneth E. Kristiansen)
10. This Is It (Patrick Simonsen / Kenneth E. Kristiansen)
11. This Time (Bonus Track) (Patrick Simonsen / Kenneth E. Kristiansen)

■Personnel
Patrick Simonsen - lead vocals, backing vocals, guitars, keyboards
Kenneth E. Kristiansen - lead guitars, backing vocals, percussion, keyboards
Stein Andersen - bass
Thorleif Østmoe - keyboards
Antonio Torner - drums

Producer - Kenneth E. Kristiansen


Amazon商品リンク

Transistor / TNT (1999)

0336Transistor









1999年にリリースされたTNTの通算7作目、再結成後としてはFirefly に続く2作目のオリジナル・アルバム。前作発表後にトニー・ハーネルが一時脱退してRiotのマーク・リアリと組んだWestworldのレコーディングを行なっていたり、本作リリース後には再度活動停止(実質的に2度目の解散状態)に陥ったり、再結成はしたもののバンドは不安定な状態だったことが推測されます。

アルバムの内容としては前作同様に、大絶賛はできないけれど駄作と決め付けることもできないという感じ。#1"No Such Thing"、#2"Wide Awake"、#3"Because I Love You"とアタマ3曲はIntuition の頃を思わせる瑞々しいメロディとトニー・ハーネルの伸びやかな歌唱が堪能できます。バラードの2曲#5"Fantasía Española"、#6"Under My Pillow"は美しすぎてうっとりしてしまうほど。女性シンガーとのハイトーン・デュエットが聴ける"Under My Pillow"は特に見事で、TNTの隠れた名曲・名演と言っていいと思います。また、ラストの#11"Free Again"は、このバンドには珍しいゴスペル風のアーシーな曲で、これがまた素晴らしい出来。しかしながら他の5曲は、「ラウド」というのか「モダン」というのか、あまり好きになれないサウンドでした。がなるトニー・ハーネルというのにもイマイチ魅力が感じられません。さらに言うと、日本盤とノルウェー本国盤や米盤は曲順が異なっており、日本盤収録の"Free Again"はカットされて代わりに"Just Like God"というオルタナ風の曲が1曲目に入っています。日本盤は販売上多少でもメロディアスな印象を残したいとしいうことでしょう。どこかのバンドも同じような「小細工」してましたね。それからもう一つ残念なのは、ウリの一つであるロニー・ル・テクロのギターの変態度が下がり、ちょっと大人しくなってしまったこと。これは痛いかな。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. No Such Thing
02. Wide Awake
03. Because I Love You
04. Mousetrap
05. Fantasía Española
06. Under My Pillow
07. The Hole You're In
08. Crashing Down
09. Into Pieces
10. No Guarantees
11. Free Again
All songs written by Ronni Le Tekrø, Tony Harnell

■Personnel
Tony Harnell – vocals
Ronni Le Tekrø – guitars
Morty Black – bass

Dag Stokke - Keyboards
Frode Lamøy – drums, percussion
M.B. Normann – duet vocals on "Under My Pillow"
Eli Kristin Hagen – backing vocals on "Into Pieces"

Producer - Ken Ingwersen


Amazon商品リンク

Firefly / TNT (1997)

0312Firefly









1997年に発表された再結成TNTの1作目のアルバム。オリジナル・アルバムとしては通算6枚目となります。リリース当初から「グランジ化した」「暗すぎる」とファンの間では評判の芳しくなかった作品です。時代的な背景から言ってグランジ、オルタナティヴ・ロックの影響はもちろんあったのでしょうが、ロニー・ル・テクロのVagabondに似た雰囲気もあるし、トニー・ハーネルのMorning Woodを思わせるアコースティカルな曲も収録されていて、解散中のそれぞれの音楽活動の延長線ととらえることも出来ます。また、#9thコードと特徴的なリズムから明確なジミヘンへのオマージュを感じ取れる曲もあり、どうも単純にグランジ・ブームに乗っかっただけとは言い切れないような気がします。まあ、いずれにしてもTell No TalesやIntuitionで確立したバンドのイメージからはずいぶん遠くに来てしまったのは間違いありません。ただ、これまでのサウンドに拘らなければ、結構いいアルバムなのではないかと思います。リリースから20年以上経っても古臭さが一切感じられないのが凄い。特に#9"Moonflower"の幻想的な美しさは絶品です。演奏面では、なんと言ってもロニー・ル・テクロのぶっ飛び具合が凄まじいです。HR/HMギターの類型を飛び出て、もはやアバンギャルドの域に達した感がありますね。なお、#11"Soldier of the Light"はIntuition制作時のデモだそうで、ちょっと雰囲気が違って浮いてしまってるのがもったいない。無理してこのアルバムに入れなくても良かったんじゃないかなぁ。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Firefly (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Morty Black)
02. Angels Ride (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
03. Tripping (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
04. Daisy Jane (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
05. Somebody Told You (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
06. Month of Sundays (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
07. Only the Thief (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
08. Heaven's Gone (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)
09. Moonflower (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, MB Normann)
10. Sunless Star (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø, Morty Black)
11. Soldier of the Light (Tony Harnell, Ronni Le Tekrø)

■Personnel
Tony Harnell – lead & harmony vocals
Ronni Le Tekrø – all guitars, vocals
Morty Black – bassguitars

Dag Stokke - Keyboards
Frode Hansen – drums, percussion
John Macaluso – drums on #11

Producer - TNT
except #11 produced by Bob Icon
 

Amazon商品リンク

記事検索
カテゴリ別アーカイブ
読者登録
LINE読者登録QRコード
タグクラウド
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ