メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

スウェーデン(Sweden)

Framework / Work of Art (2014)

0449Framework









スウェーデンのメロハー/AORバンドWork of Artの3rdアルバム。バンド・メンバーはこれまでと同じでロバート・サール(G)、ラーズ・サフサンド(Vo)、ハーマン・フリン(Ds)の3人。その他に、Grand Illusionのアンダース・リドホルムやペール・スヴェンソン、Royal Huntのアンドレアス・パスマークなど多くのサポート・ミュージシャンがレコーディングに参加しているのも前作と同様です。

Work of Artというと、TOTOの影響下にあるメロハー/AORに北欧のバンドらしい透明感と涼やかさをまとわせた音楽性で、そこは今回も変わっていませんが、1作ごとにハードさが増している印象です。都会的でスタイリッシュなイメージも更に増強されています。しかし、本作の一番の特徴はメロディに更に磨きがかかったこと。これまでも、サウンドやメロディのクォリティは非常に高く心地良かったものの、右の耳から左の耳に抜けてしまう感が無きにしも非ずでした。メロディの良さでは、ラーズ・サフサンドがボーカルを務めるもう一つのプロジェクトLionvilleに一歩譲るかなと。しかし、本作では1曲1曲のメロディがそれぞれに特徴的で、特にサビのメロディは2、3回聴けば耳に残るし、一緒に口ずさめるようになります。メロハー好きにとっては、この一緒に口ずさめる、口ずさみたくなるというのが重要なポイントだと思っているので、本作には大満足。やったぜWork of Artという感じです。

なお、日本盤ボーナス・トラック"On the Edge of Time"はグッとハードでカッコいい曲ですので、入手する場合は可能なら日本盤をお薦めします。
 
評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Time to Let Go (music & lyrics: Robert Säll)
02. How Will I Know? (music & lyrics: Robert Säll/Lars Säfsund)
03. Shout Till You Wake Up (music : Robert Säll, lyrics: Hanif Sabzevari)
04. Can't Let Go (music : Robert Säll, lyrics: Robert Säll/Hanif Sabzevari)
05. How Do You Sleep at Night? (music : Robert Säll, lyrics: Vivien Searcy)
06. Over the Line (music : Robert Säll, lyrics: Vivien Searcy)
07. The Machine (music : Robert Säll, lyrics: Hanif Sabzevari)
08. Hold On to Love (music & lyrics: Robert Säll)
09. Natalie (music : Robert Säll/Lars Säfsund, lyrics: Hanif Sabzevari)
10. The Turning Point (music : Robert Säll/Anders Rydholm, lyrics: Hanif Sabzevari)
11. My Waking Dream (music : Robert Säll, lyrics: Hanif Sabzevari)
[Bonus Track]
12. On the Edge of Time

■Personnel
Lars Säfsund - Vocals, Additional Guitars, Programming & Keyboards
Robert Säll - Guitars, Programming & Keyboards
Herman Furin - Drums

Jonas Gröning - Keyboard Solo on #3, #4, #6
Andreas Passmark - Bass on #2, #3, #4, #7, #9
Urban Danielsson - Bass on #5, #8
Henrik Linder - Bass on #1
Per Björling - Bass on #6
Jehad Hammad - Bass on #11
Peter Bylin - Percussion on #6
Anders Rydholm - Bass, Programming on #10
Erik Lewander - Additional Guitars
Johan Franzon - Drums on #1, #8
Per Svensson - Background Vocals on #10

Producer – Work of Art

フレイムワーク
ワーク・オブ・アート
キングレコード
2014-09-24

 

Worlds Away / John Norum (1996)

0446Worlds Away









Europeq脱退後のジョン・ノーラムの4thソロ・アルバム。彼以外のラインナップは、ボーカルに前作から引き続いてケリー・キーリング(Baton Rouge)、ベースにピーター・バルテス(Accept)、ドラムにサイモン・ライト(AC/DC, Dio)となっています。プロデューサーにはKansas、Black Sabbath、Gary Mooreなどの作品を手がけてきたジェフ・グリックスマンが起用されています。

日本盤ライナーノーツによれば、ウケが良くなかった前作Another Destinationについて、「暗く重苦しくなってしまった」「プロデュースがお粗末だった」とジョン・ノーラム自身が語っているとのことで、本人もあまり気に入っていない様子です。では本作はどうかというと、ブルース・ロックや70年代ハードロックをベースにしたヘヴィなサウンドも、ペンタトニック主体のギター・ソロも前作と同じ趣向で、れほど前作と変わっているようには思えません。ジョン・ノーラムより抑揚のあるケリー・キーリングが今回は全曲メイン・ボーカルとなっているため、確かに重苦しさは若干軽減されていますが、基本線は同じです。1stTotal Control、2ndFace the Truthのような音を追い求める向きにはちょっとキツいかもしれません。それでも、ジョン・ノーラムのギター、ケリー・キーリングのボーカルはさすがに圧巻。特に#3"C.Y.R."、#6"Dogs Are Barking"、#11"From Outside In"といったスピード・チューンでの、バンド一体となった火の出るようなパフォーマンスは凄まじいの一言です。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Manic Distortion (Norum, Keeling, Meldrum)
02. Make a Move (Norum, Keeling, Lorber)
03. C.Y.R. (Norum, Keeling, Wright)
04. Where the Grass Is Green (Norum, Keeling)
05. Center of Balance (Norum, Keeling, Baltes, Wright)
06. Dogs Are Barking (Norum, Keeling, White)
07. Homeland (Peace of Mind) (Norum, Keeling)
08. Wasted Labor (Norum, Keeling)
09. Worlds Away (Norum, Keeling)
10. Endica (Revisited) (Norum, Baltes, Keeling)
[Bonus Track]
11. From Outside In (Baltes, Norum, Keeling)

■Personnel
John Norum - Lead & Rhythm Guitar, Vocals
Kelly Keeling - Vocals, Keyboards
Peter Baltes - Bass Guitar
Simon Wright - Drums

Producer - Jeff Glixman

Worlds Away
Norum, John
Mascot
2001-03-26

 

Secret Society / Europe (2006)

0439Secret Society









Europeの7thアルバム、再結成後としては2枚目の作品です。元々の北欧メロディアスハードに、オルタナティヴ・ロックの要素、70年代ハード・ロックやブルース・ロックの要素を混ぜ込んで、ヘヴィでソリッドなサウンドを作り上げた前作Start From the Darkの路線を踏襲しています。再出発して2作目ともなると、彼らの新しい音楽性もこなれてきたようです。浮ついたところの無い「ホンモノ」の手応え、年齢を重ねたからこその深みのある表現に感銘を受けました。美しいメロディにはそこはかとなく寂寞感が漂い、ソング・ライティングの妙を感じます。クレジットを見ると、曲作りはやはりジョーイ・テンペストが主導しているようですが、ジョン・レヴィンが1曲、ジョン・ノーラムが3曲、そしてミック・ミカエリが4曲とメンバーそれぞれが共作者となっていて、特にミック・ミカエリの関与が目を引きます。ただし、演奏面では相変わらずキーボードの比重が軽くて、存在感は希薄なままなのが気になります。

余談になりますが、再結成後のEuropeの作品を聴いて思うのは、同じスウェーデンのベニー・セーデルベリ率いるFortuneの3rdアルバムLord of Fliesのこと。北欧メロディアスハードにオルタナティヴ・ロックと70年代ハード・ロックを融合させたような路線は、再結成Europeとかなり近いものを感じます。時期が早すぎたのか、知名度が違いすぎたのか、結局Fortuneは埋もれてしまいました。しかし、このSecret Societyがハード・ロック・ファンからそれなりに高い評価を得るなら、Lord of Fliesにも再度光があたってほしいとか、またベニー・セーデルベリの復活してくれたら嬉しいとか思ってしまいます。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Secret Society (Tempest)
02. Always the Pretenders (Tempest, Levén)
03. The Getaway Plan (Tempest, Norum)
04. Wish I Could Believe (Tempest, Michaeli)
05. Let the Children Play (Tempest, Michaeli)
06. Human After All (Tempest, Norum)
07. Love Is Not the Enemy (Tempest, Norum)
08. A Mother's Son (Tempest)
09. Forever Travelling (Tempest, Michaeli)
10. Brave and Beautiful Soul (Tempest)
11. Devil Sings the Blues (Tempest, Michaeli)
[Bonus Track for Japan]
12. Start From the Dark (Live at Shibuya AX) (Tempest, Norum)

■Personnel
Joey Tempest - Vocals
John Norum - Guitars
John Levén - Bass
Mic Michaeli - Keyboards
Ian Haugland - Drums

Archie Lamprell - Guest Vocals on #5

Producer - Europe
Secret Society
Europe
T & T
2012-05-08

 

Relaunch II / Houston (2014)

0438Relaunch II









スウェーデンのメロハー/AORプロジェクトHouston、そのカバー企画Relaunchの第二弾。オリジナル・アルバムを含めると4作目ということになります。カバー・アルバムと言っても、全10曲中カバーは6曲、残り4曲はオリジナルという構成です。結論から言うと、カバーもオリジナルも玉石混淆。どうせなら、中途半端なカバー・アルバムではなくオリジナルで勝負して欲しいと思いました。

01. Justice for One
(John Farnham, Sue Shifrin)
オーストラリアのシンガー、ジョン・ファーナムの1984年の曲。Savage Streetsという映画のサウンド・トラックらしいです。中々ドラマチックな曲で悪くないと思いました。

02. Love Is Blind
(John O'Banion)
アメリカのAORシンガー、ジョン・オバニオンの1981年の曲。AORというより哀愁たっぷりな歌謡曲といった感じで、これはHoustonにピッタリです。本作のハイライトの一つと思います。

03. Counting Stars
(Ryan Tedder)
アメリカのロック・バンドOneRepublicのヒット曲。2013年の曲で、このアルバムと同時代ということになります。いかにも近年の英米のヒット・チャートにのりそうな曲ですが、好みじゃないな~これ。

04. Souls
(Rick Springfield)
80年代のスターの一人リック・スプリングフィールドの1983年のヒット曲。サビがカッコいいし、Houstonのレパートリーとして違和感ありません。

05. Don't Look Back
(C. Hammar, F. Allen, R. Delin)
オリジナル曲。当たり前ですが、いかにもHoustonの曲らしい哀愁メロハー/AORの佳曲です。

06. Cruise
(Brian Kelley, Chase Rice, Jesse Rice, Joey Moi, Tyler Hubbard)
アメリカのカントリー・ミュージック・デュオFlorida Georgia Lineの2012年の大ヒット・ナンバー。カントリー・ロックは大好きだし、サウンドもカッコいいんだけど、なんだかHoustonには合っていないような気がします。歌い方もちょっとわざとらしいし。

07. Do What U Want
(Martin Bresso, Paul "DJ White Shadow" Blair, Robert Kelly, Stefani Germanotta, William Grigahcine)
2013年レディ・ガガの大ヒット・ナンバーで、オリジナルはR.ケリーとのデュエット曲となっています。これは本作で最も疑問が残る選曲ですね。そんなに良い曲とは思えないし、そもそもゲストの女性ボーカルがメインでハンプス・ハンク・エリックスは脇役だし、このプロジェクトで取り上げる意味が分かりません。

08. Our Love
(M. Rubarth, R. Delin)
オリジナル曲です。Houstonらしいサビは良いのですが、ちょっと印象の薄い曲かな。

09. Downtown
(F. Allen, R. Delin)
これもオリジナル。「ダウンタウンへ繰り出そう!」というワクワク感が直に伝わってくる楽しい曲です。本作ハイライトの一曲だと思います。

10. Standing on the Moon
(D. LaRoxx, H. Erix, J. Åkerfors, R. Delin)
ラストはしっとりしたオリジナル曲です。残念ながらやはり印象が薄いと感じてしまいました。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Personnel
Hampus Erix - Lead and Backing Vocals
Ricky B. Delin - Keyboards, Backing Vocals
Freddie Allen - Drums on #9

Calle Hammar - Guitar, Additional Keyboards on #5
Andy Dawson - Guitar on #8
Pepe Reckless - Guitar on #8
Mats Rubarth - Acoustic Guitar & Bass on #8
Victor Lundberg - Keyboards, Guitar & Bass on #10, Duet Vocals on #3, Backing Vocals
Soufian Ma'Aoui - Bass
Oscar Lundström - Drums
Marcus Johansso - Drums on #8
Jimmy Åkerfors - Additional Keyboards on #10
Lizette Von Panajott - Vocals on #7

Producer - Ricky B. Delin
Co-producer - Jimmy Åkerfors on #10

Crash / Alien (1995)

0429Crash









トニー・ボルグ(G)率いるスウェーデンのハードロック・バンドAlienの4thアルバムです。ラインナップはドラムがTalk of the Townのスタファン・シャリンに変わった以外は前作と変わっていません。さて、本作の内容はというと、1曲目の"Searching"、これにまず驚かされます。リフがRainbowの"Spotlight Kid"そっくりだし、ギターも梶山章顔負けのリッチー・ブラックモア憑依状態。2曲目"A Smooth Operator"も、いかにもリッチー好みのシャッフルで、中でも"Long Live Rock 'n' Roll"が一番似てるかな。いや、Deep PurpleやRainbowが好きなのは分かるし、リッチーの真似したくなるのも分かるけれど、ちょっとこれはやりすぎなんじゃないの?Alienはあの大傑作1stアルバムを生んだ実績あるバンドなわけで、今さら先輩バンドのあからさまな模倣に走らなくてもいいのでは?トリビュート盤出すとか、トニー・ボルグが自身のソロ作で洒落でやるとかなら分かるけれど。

3曲目以降はAlienらしいマイルドでメロディアスな曲が並んでいるので少し安心します。ただし、やはりギターは過去作に比べてリッチーの影響がよりストレートに出ていると感じました。地味だけれど味のある#3"Hold On"、1stアルバムの"Dying by the Golden Rule"を思わせる「小娘バック・ボーカル」がイイ感じの#4"Rolling Dice"、同じく1st路線の#6"Computerized Efficiency"などは佳曲だし、Van Halenの"Jump"みたいだけど明るく楽しい感じの#8"We Can Fly"、珍しく横ノリ#の9"Winning Touch"もいいですね。一方、ボーナス・トラックの#11"Back on My Feet "、#12"Got This Great Thing Coming"、#13"With Every Little Beat of My Heart "は、カッコいいけどどこかで聴いたことある感じです。まあ全体としては決して駄作とは言えませんが、褒めちぎることも出来ないアルバムでしょうね。Alienはこの後休眠(解散?)状態となり、次のオリジナル・アルバムの発表は10年後の2005年となってしまいます。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Searching (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
02. A Smooth Operator (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
03. Hold On (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
04. Rolling Dice (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
05. Looking for Love (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
06. Computerized Efficiency (Daniel Zangger Borch/Richard André)
07. Crash (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
08. We Can Fly (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
09. Winning Touch (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
10. Where There's A Will (Tony Borg/Conny Payne)
[Bonus Tracks]
11. Back on My Feet (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
12. Got This Great Thing Coming (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
13. With Every Little Beat of My Heart (Tony Borg/Daniel Zangger Borch)
14. Message for Japan

■Personnel
Tony Borg - Guitars
Daniel Zangger Borch - Lead Vocal
Conny Payne - Bass
Richard André - Keyboards
Staffan Scharin - Drums

Producer - Alien

クラッシュ
エイリアン
ゼロ・コーポレーション
1995-06-07

 

Out From the Cold / Coldspell (2011)

0424Out From The Cold









スウェーデンのハードロック・バンドColdspellの2ndアルバム。ラインナップはミカエル・ラーション(G)、ニクラス・スウェーデントープ(Vo)、マッティ・エクルンド(Key)は変わらず、リズム隊がアンダース・リンドマーク(Ba)、ペラ・ヨハンソン(Ds)にチェンジしています。アンダース・リンドマークはDalton、更にミカエル・ラーションが在籍したR.A.W.でプレイしていたベーシスト、ペラ・ヨハンソンはCrawley、Lover Under Cover、Grand Design等でドラムを叩いています。また、1曲だけEuropeのドラマー、イアン・ホーグランドが参加しているのも注目です。プロデュースはミカエル・ラーションとGrand Designのペッレ・サエザーです。

前作と同じく本作でもメロディック・メタルとハードロックの中間的な音、メロディアスではあるもののポップな要素の無い重厚な音がぎっしり詰まっています。メンバーが在籍していたR.A.W.やDaltonとはかなり趣を異にした硬派なサウンドが特徴です。また、全体として冷ややかな印象を受けるのがこのバンドの個性かなと感じました。歌唱・演奏は水準が高いし、曲も概ね出来が良いので安心して聴いていられますが、前作よりメロディの叙情性やドラマ性が後退してしまった感が無きにしも非ず。そのせいか、またミドル・テンポが主体のせいか、サウンドの重厚さがかえって重苦しく感じられる場面もあったりして、少しばかりがっかりしてしまいました。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Heroes (Music & Lyrics: M. Larsson)
02. Run for Your Life (Music : M. Larsson  Lyrics: N. Swedentorp)
03. One in a Million (Music : M. Larsson  Lyrics: N. Swedentorp, M. Larsson)
04. Six Feet Under (Music : M. Larsson  Lyrics: M. Larsson, D. Simgren)
05. Time (Music : M. Larsson  Lyrics: D. Simgren, M. Larsson)
06. Save Our Souls (Music : M. Larsson  Lyrics: M. Larsson, M. Larsson)
07. The King (Music : M. Larsson  Lyrics: M. Larsson, M. Larsson)
08. Fate (Music : M. Larsson  Lyrics: M. Larsson, M. Larsson)
09. Seven Wonders (Music & Lyrics: M. Larsson, A. Lindmark, B. Lindmark, A. Kårsnäs)
10. Angel Eyes (Music : M. Larsson  Lyrics: M. Larsson, M. Larsson)
11. Heading for Tomorrow (Music : M. Larsson  Lyrics: M. Larsson, M. Parkstam)
12. Out From the Cold (Music : M. Larsson  Lyrics: M. Larsson, M. Larsson)

■Personnel
Niclas Swedentorp - Lead Vocals
Michael Larsson - Guitars
Anders "Kebbe" Lindmark - Bass
Perra Johansson - Drums
Matti Eklund - Keyboards, Hammond Organ

Ian Haugland - Drums on #8
Bosse Lindmark - Background Vocals

Producer - Michael Larsson
Co-producer - Pelle Saether
Executive Producer - Khalil Turk

Out From The Cold
Coldspell
Escape Music
2010-02-17

 

Impact / Covered Call (2013)

0420Impact









スウェーデンのメロハー・バンドCovered Callの2ndアルバム。中心メンバーのヨエル・カールソン(G)、ロニー・スヴァンストロマー(Ds)、モルガン・ローゼンクイスト(G)は前作と変わらず、新しくベースにアンディ・ルース(Glory, Lion's Share)が加わっています。ボーカルは実質ゲストと思われますが、前作のトーマス・ヴィクストロムからヨラン・エドマンに交代しています。失礼ながらほとんど無名のバンドにも関わらず、トーマス・ヴィクストロムやヨラン・エドマンといった大物ボーカリストが歌っているのがちょっと不思議です。更にアディショナル・ミュージシャンとして、キーボードにクリストファー・フォン・ワッケンフェルト(Seven Tears, Care of Night)、ギターにピーター・ランディン(CC-Rock)とラーズ・クリス(Lion's Share, Impera)が参加しています。

1stアルバムは、ロックン・ロール・スタイルの曲や、マイナー・キーでドラマチックな曲が多く、トーマス・ヴィクストロムの歌唱がピッタリという感じでしたが、本作はメジャー・キーのハード・ポップが中心です。メロディは明るくポジティヴ、かといって能天気なイメージは全くありません。ヨラン・エドマンは1956年生まれなので、この当時は56か57歳くらいでしょう。その歌唱は円熟味が増し、まさにいぶし銀のようです。ポップなのに弾けてない。これはいわば大人のハード・ポップですね。楽曲はそれほど似ていませんが、Blanc Facesと共通するものを感じました。聴いている自分自身も若くはないからか、おじさんの歌うハード・ポップになんだか胸が熱くなります。もっと昔に聴いていたら印象は違ったかもしれませんが、自分にとっては大事な一枚、隠れ名盤の一つです。

蛇足ですが、#5"Hold On"はブリティッシュ・ヘヴィ・メタルの代表的なバンドの一つSaxonのカヴァー。ゴリゴリの硬派イメージのSaxonですが、この曲は意外にもキャッチーでメロディアス。他のオリジナル曲との違和感はありません。最初聴いたとき、ヨラン・エドマンとエリック・モーテンソンがデュエットしているのかと思ったけど、全部ヨラン・エドマンでした。この人色んな声が出せるので実際一人でデュエットできそうです。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Lorraine
(Music & Lyrics : Svanströmer, Carlsson)
02. When The Lights Are Out
(Music : Svanströmer, Carlsson, Thulin  Lyrics : Svanströmer, Carlsson)
03. Think About Old Times
(Music : Svanströmer, Carlsson, Rosenquist  Lyrics : Svanströmer, Carlsson)
04. Look Into Your Mind
(Music : Svanströmer, Carlsson, Palmberg  Lyrics : Svanströmer, Carlsson)
05. Hold On
(Music : Saxon  Lyrics : Biff Byford, Nigel Glockler)
06. Make A Wish
(Music & Lyrics : Svanströmer, Carlsson)
07. Nothing Lasts Forever
(Music & Lyrics : Svanströmer, Carlsson)
08. Wake Up
(Music & Lyrics : Svanströmer, Carlsson)
09. When I'm Gone
(Music & Lyrics : Svanströmer, Carlsson)
10. Live It Up
(Music : Svanströmer, Carlsson, Rosenquist  Lyrics : Svanströmer, Carlsson)
11. Last Goodbye
(Music & Lyrics : Svanströmer, Carlsson)

■Personnel
Göran Edman - vocals
Joel Carlsson - guitars
Morgan Rosenquist - guitars
Andy Loos - bass
Ronny Svanströmer - drums

Kristofer Von Wachenfeldt - keyboards
Peter Lundin - guitars
Lars Chriss - guitars on #5

Producer - Covered Call
 

Legacy of Life / Impera (2012)

0419Legacy Of Life









J.K.インペラことヨハン・キールベリ(Ds)を中心としたスウェーデンのハードロック・プロジェクトImperaの1stアルバム。他のメンバーは、ギターにトミー・デナンダー(Radioactive etc)、ベースにマッツ・ヴァースフォード(Scaar etc)、ボーカルにマッティ・アルフォンゼッティ(Alfonzetti etc)というメンツで、他に一部の曲でアンディ・ルース(Glory etc)がベースを弾いています。

中身はいかにもトミー・デナンダーっぽいテクニカルかつスタイリッシュな音で、実質的には彼の音楽的主導権の下に制作されたのでしょう。ただし、AOR要素がほとんど無い純然たるハードロックを演っていて、トミー・デナンダー絡みのアルバムとしては珍しいかなと思います。本作で何と言っても素晴らしいのはマッティ・アルフォンゼッティのボーカル。北欧には、イエア・ロニング、パトリック・シモンセン、ステファン・ベルグレンといった、ポール・ロジャース~デヴィッド・カヴァーデイルの流れを汲むブルージーで渋いボーカリストが意外と多くて、筆者としては皆大好きなんですが、マッティ・アルフォンゼッティもその一人です。格闘家のような風貌はちょっと怖いですが、この人の深みとコクのある声質、引きずるような歌い回しは溜まりません。曲はそこまでブルージーではないし、トミー・デナンダーのギターはいつも通り泥臭さとは無縁。そこにマッティ・アルフォンゼッティのボーカルが乗っかると、適度にブルージーで、適度にスタイリッシュで、適度にメロディアスという絶妙のバランスが生まれるんですね。しかも、駄曲・捨て曲が無いどころか、箸休め的な曲もバラードすらも無く、最初から最後まで同じテンションで密度の濃い楽曲が詰まっているのが凄い!普通ならお腹いっぱいになりそうなところですが、テンポやリズム・パターンがバラエティ豊かなので聴き飽きることもダレることもない。いや~、大したものだと思います。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Turn My Heart to Stone (T. Denander, M. Alfonzetti, J. Kihlberg)
02. Kiss of Death (T. Denander, J. Bolmstad, M. Alfonzetti, J. Kihlberg)
03. Break the Law (T. Denander, M. Alfonzetti, J. Kihlberg)
04. Shoot Me Down (T. Denander, M. Alfonzetti, J. Kihlberg)
05. Sunset Rider (T. Denander, J. Bolmstad, J. Kihlberg)
06. Tell Me (T. Denander, M. Alfonzetti, J. Kihlberg)
07. More Than Meets the Eye (T. Denander, J. Bolmstad, M. Alfonzetti, J. Kihlberg)
08. Is This Love (T. Denander, M. Alfonzetti, J. Kihlberg)
09. Show Me the Money (T. Denander, J. Bolmstad, J. Kihlberg)
10. Dead End Streets (T. Denander, J. Bolmstad, J. Kihlberg)

■Personnel
J.K. Impera - Drums
Matti Alfonzetti - Vocals
Tommy Denander - Guitars
Mats Vassfjord - Bass

Andy Loos - Additional Bass on 2, 3, 5, 6, 7

Producer - Johan Kihlberg
Co-producer - Lars Chriss

Legacy Of Life
IMPERA
ルビコン・ミュージック
2012-10-24

 

Address the Nation / H.E.A.T (2012)

0407Address The Nation









スウェーデンのメロディアス・ハードロック・バンドH.E.A.Tの3rdアルバム。ボーカルのケニー・レクレモは脱退、替わりにTV番組「IDOL」優勝者でソロ・アルバム2枚をリリースしていたエリック・グロンウォールが加入しています。この新ボーカリストはジョン・ボン・ジョヴィとジーン・ボーヴァーを足して二で割ったようなタイプで、歌唱力は抜群、おまけにルックスも含めて華がある。おっさん臭さい(失礼)前任者と比べて、よりバンドに合っていると思います。このメンバー・チェンジによるパワー・アップに引っ張られて演奏面も更に強化され、おまけに外部ライターを動員した成果もあって楽曲もこれまで以上に充実、文句無しの傑作となりました。EuropeやHardcore Superstarを手がけてきたプロデューサーのトビアス・リンデルの手腕もあるのでしょう。アリーナやスタジアムが似つかわしいまさに超Aクラスのバンドの音です。

※最近(2020年10月)になって、エリック・グロンウォールの脱退、ケニー・レクレモ再加入が発表されました。
※本作は通常盤CDの他に、ライブ音源など5曲を収録した2枚組の「Collector's Edition」も発売されています。

1. Breaking the Silence (H.E.A.T)
アルバム全体のイントロダクション的なナンバー。単純な曲ですが景気づけにはもってこい。ワクワク感が堪りません。

2. Living on the Run (Sharon Vaughn, Fredrik Thomander, Peter Månsson, H.E.A.T)
本作のハイライトとなるアップ・テンポの超強力ナンバー。高揚感に満ちたメロディ、張りと伸びが素晴らしい歌唱、全てが最高です。シングル・カットもされたようです。

3. Falling Down (Magnus "Adde" Andreasson, Martin Sandvik, H.E.A.T)
2曲目と同傾向のハイ・テンションで強力な曲。流麗でありながら力強いメロディが印象的です。

4. The One and Only (Jakke Erixson, H.E.A.T)
ちょっと一息つくタイミングでのバラード。多人数でのバック・ボーカルの効果もあって、壮大な雰囲気のパワー・バラードになっています。ソウルフルな歌いまわしがエリック・グロンウォールの力量をまざまざと示しています。

5. Better Off Alone (H.E.A.T)
これまたテンションの高いアップ・テンポのナンバー。エッジの効いたサウンドとメロディ・ラインがEclipseを思わせます。

6. In and Out of Trouble (Sharon Vaughn, H.E.A.T)
珍しくサックス入りのAOR風の曲です。キャッチーなメロディが一発で気に入りました。特にサビが秀逸です。

7. Need Her (H.E.A.T)
明るくキラキラしたハード・ポップ。この曲もサビが最高です。昔だったら「アメリカナイズ」とか言われそうですが、今時アメリカからこんな音は聴こえてきませんね。

8. Heartbreaker (H.E.A.T)
「ウォーウォーウォー」というコーラスも、メロディもBon Joviっぽいナンバー。うーん、この曲カッコよすぎです。

9. It's All About Tonight (Per Aldeheim, H.E.A.T)
跳ねるリズムとリフが、かつてのDanger DangerやBon Joviを思わせる曲。若干の泥臭さもあって本作の中ではやや異色かな。

10. Downtown (H.E.A.T)
ふんわり、ゆったりした感じのナンバー。起伏に乏しく、他の曲に比べてやや落ちる印象。

11. Back Into Your Arms [Bonus Track] (H.E.A.T)
明るくドラマチックなメロディ展開が印象的なアップ・テンポのナンバー。この曲もEclipseに通じるテイストがあります。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Personnel
Erik Grönwall - Vocals
Dave Dalone - Guitar
Eric Rivers - Guitar
Jona Tee - Keyboards
Jimmy Jay - Bass
Crash - Drums

Tomas Jonsson - Saxophone on #6
Malin Ljungeskog - Backing Vocals on #4
Sophie Wittmeyer - Backing Vocals on #4
Fillip Williams - Backing Vocals on #4
Doreal Williams - Backing Vocals on #4
Melisha Linnell - Backing Vocals on #4
Zandile Zulu - Backing Vocals on #4

Producer – Tobias Lindell
アドレス・ザ・ネイション
H.E.A.T
マーキー・インコーポレイティド
2012-04-18

アドレス・ザ・ネイション(コレクターズ・エディション)
H.E.A.T
マーキー・インコーポレイティド
2013-09-18

 

U4ia / Human Clay (1997)

0406U4ia









Talisman活動休止にリリースされたマルセル・ヤコブとジェフ・スコット・ソートによるHuman Clay名義での2ndアルバム。前作はドラムが打ち込みでしたが、今回はジェイミー・ボーガーが生ドラムを叩いているのが大きな違いです。ギターは前作同様ソロも含めて全てマルセル・ヤコブが弾いており、ベースとの高速ユニゾンの息もピッタリ(当たり前)。しかし、いくら上手いとは言ってもやはり本職のギタリストには及ばないし、特に音色のコントロールに気を遣っていない点が残念です。全体に音響・音質的には相変わらずデモに毛が生えた程度のもので、やはり即席で作った印象が拭えません。

楽曲は前作と同じくファンク要素無しのTalismanといったもので、いかにもマルセル・ヤコブとジェフ・スコット・ソートのコンビらしく、基本的には良く出来たハードロックと言えます。ただし、どこかで聴いたことのあるような曲が多く、特に#6"Speed Demon (Dedicated 2 'The Worm')"はRainbowの"Lost in Hollywood"、#11"Boy on a Golden Hill"は同じくRainbowの"Man on the Silver Mountain"の明らかなパクリ。"Boy on a Golden Hill"に至ってはタイトル・歌詞までパロディ染みていて、ここまで来ると悪ふざけじゃないかとも思えます。ライナー・ノーツにはマルセル・ヤコブの開き直りとも取れる発言も記されていて、どうやら敢えてやっているようですが、ちょっと感心できませんね。

なお、後に1stと2ndをまとめたThe Complete Recordingsという2枚組アルバムが発売されており、コンプリートしたい向きにはこちらのほうが良いかもしれません。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Lessons of Love
02. King of the Nation
03. Salvation
04. Pain & Deception
05. The Thin Line
06. Speed Demon (Dedicated 2 'The Worm')
07. U4ia
08. Pretender
09. Stand 4 the Fall
10. Survive
11. Boy on a Golden Hill
All songs written by Marcel Jacob & Jeff Scott Soto

■Personnel
Marcel Jacob - Bass, Guitars
Jeff Scott Soto - Vocals, Keyboards

Jamie Borger - Drums

Producer - Marcel Jacob & Jeff Scott Soto

U4ia
Human Clay
Mfn
1997-07-14

The Complete Recordings
Human Clay
A Sunhill Production
2017-05-05





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