メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

ドイツ(Germany)

Knock Out / Bonfire (1991)

0317Knock Out









ドイツのハードロック・バンドBonfireの4thアルバム。一作ごとに楽曲面・演奏面で向上してきて、前作Point Blankはバンドの代表作と言って差し支えない充実振りを示していました。ところが、ところが、この大事な4作目でずっこけてしまいます。アメリカン・ハードロック路線が更に強まったのは構わないとしても、その悪いところばかり増幅したような内容にはがっかりです。馬鹿丸出しの下品なパーティ・ロック、悪ふざけというか楽屋オチ的なお遊び、歯の浮くような嘘臭いバラードばかり目立ちます。なんでこうなってしまったのか?バンドのせいなのか、Queenのプロデューサーとして名の知れたラインホルト・マックのプロデュースが裏目に出たのか、よく分かりません。何曲か佳曲もあるのに実にもったいないです。本作の出来の悪さが影響したのか、この後バンドは空中分解。自分で自分をノックアウトしたというシャレにならない状況です。オリジナル・メンバーのクラウス・レスマンとハンス・ツィラーによってバンドは数年後に復活しますが、こちらの聴く気は復活しないままです。

評価 ★★☆☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Streets of Freedom
(Music: G. Schleifer/C. Lessmann, Lyrics: C. Lessmann)
02. The Stroke
(Music & Lyrics: B. Squier)
03. Dirty Love
(Music: J. Deisinger/G. Schleifer/C. Lessmann, Lyrics: C. Lessmann)
04. Rivers of Glory
(Music: G. Schleifer/C. Lessmann, Lyrics: C. Lessmann)
05. Home Babe
(Music: G. Schleifer/C. Lessmann, Lyrics: C. Lessmann)
06. Shake Down
(Music: J. Deisinger/G. Schleifer/C. Lessmann, Lyrics: C. Lessmann)
07. Hold You
(Music: G. Schleifer/C. Lessmann, Lyrics: C. Lessmann)
08. Down and Out
(Music: G. Schleifer/C. Lessmann, Lyrics: C. Lessmann)
09. Take My Heart and Run
(Music & Lyrics: C. Lessmann/M. Voss-Schön)
10. All We Got
(Music: J. Deisinger/G. Schleifer/C. Lessmann, Lyrics: C. Lessmann)
11. Fight for Love
(Music: G. Schleifer/C. Lessmann, Lyrics: C. Lessmann)
12. Tonmeister
(Music & Lyrics: E. Patrik/J. Deisinger/G. Schleifer/C. Lessmann/R. Mack)

■Personnel
Claus Lessmann - Lead & Backing Vocals, Acoustic Guitars
Jörg Deisinger - Bass, Backing Vocals
Edgar Patrik - Drums, Percussion, Backing Vocals
Angel Schleifer - Guitars, Backing Vocals

Producer - Mack (Reinhold Mack)

Knock Out
Bonfire
Comeback
2009-03-13

 

No Substitute / Affair (2002)

0288No Substitute









ボビー・アルトヴェイター(Gt)を中心としたドイツのメロディアスHR/HMバンド、Affair(アフェアー)の5年ぶりの2ndアルバム。前作の時点では実質的にはプロジェクト的グループだったようですが、本作はバンド編成となってレコーディングされています。ボーカルは引き続きベルギー出身のピーター・デ・ウィント(ex-Mystery)。他はベースにはBonfireのウーヴェ・コーラー、ドラムにはボビー・アルトヴェイターと共にCherry Moonにも参加していたミッヒ・シュワッガー、キーボードにはEternal Flame、Bonfireのトーマス・シュトレック。彼はボビーがプロデュースしたSerumでプレイした経歴もあります。ゲストのバッキング・ボーカルの中にはBrunorockことブルーノ・クレーラーの名前もありますが、彼のアルバムにもボビーが参加。というように、ボビーと関わりのあるミュージシャンで固められたラインナップです。

このバンド、硬質なメロディック・メタル寄りのサウンドとメロディアスな楽曲が特徴ですが、本作では1stにも増して充実した内容になっています。暑苦しく男臭く、勇壮に歌い上げるピーター・デ・ウィントの歌唱と、ジョージ・リンチに通じる薄刃のカミソリのようなボビー・アルトヴェイターのギターが絡み合う様は絶品です。固定メンバーが揃って、バンドらしさが感じられるのも好印象。残念ながらこのアルバム以後新作のリリースがないので、おそらくバンドは分解したものと思われます。ボビーのほうはBrunorockやSam Alexのアルバム等で活動継続していますが、ピーター・デ・ウィントは音沙汰無しで淋しい限り。忘れられるにはもったいないボーカリストだと思います。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. No Substitute
02. Get Going
03. Inside Out
04. Return Forever
05. Life on a Wire
06. Magic Radio
07. Game of Love
08. Keep Me Alive
09. Back in the Race
10. Fire Still Burning
11. Why, Why
12. Smile on Your Face (Japanese bonus track)

■Personnel
Peter De Wint - Lead Vocals
Bobby Altvater - Guitars, Vocals
Michi Schwager - Drums
Thomas Streck - Keyboards
Uwe Köhler - Bass

Brunorock - Backing Vocals

Producer - Bobby Altvater

ノー・サブスティテュート
アフェアー
マーキー・インコーポレイティド
2002-10-23

Point Blank / Bonfire (1989)

0286Point Blank









ドイツ産HRバンドBonfire(ボンファイアー)の1989年リリースの3rdアルバム。一作ごとに同郷の先輩バンドScorpionsの影響が薄れ、Bon Jovi色というかアメリカ指向が強まってきています。前作に引き続き、ジャック・ポンティ、デズモンド・チャイルドといったBon Joviにつながるヒット・メーカーとの共作曲を入れ込み、楽曲面での充実度は更に向上。俗に言うアリーナ・ロック風なメジャー・バンド感が出てきました。メイン・ギターがハンス・ツィラーから新規加入のエンジェル・シュライファー(ex-Sinner)にチェンジしたことによって、インスト面も格段に強化されています。ただ、惜しむらくは決定的なキラー・チューンがないこと。うーん、あと一歩、あと半歩という感じです。一曲一曲はコンパクトでキャッチーなんですが、箸休め的な小品2曲を含めて全17曲収録というのも、さすがに詰め込みすぎな気がします。2009年Yesterrockの再発盤は更に7曲のライブ録音がボーナスで追加されており、嬉しいようなお腹一杯なような。。。

なお、前身バンドCacumen以来のギタリスト2人のうち、ホルスト・マイヤー・ソーンは録音前に脱退、ハンス・ツィラーはミックス中に脱退しています。ハンス・ツィラーのパートがどの程度残っているのか不明ですが、彼はAdditional Guitars、エンジェル・シュライファーはAll Guitarsとクレジットされています。ドラムは前作では助っ人のケン・メリーが叩いていましたが、本作では固定メンバーとしてエドガー・パトリック(ex-Sinner, Samson)が参加しています。クラウス・レスマン(vo)、ヨルグ・ダイジンガー(b)は変わらず、プロデュースも2ndと同じくマイケル・ワーグナーが手がけています。バッキング・ボーカルにフレディ・カーシ(ex-Sheriff, Alias)の名前があるのがちょっと意外。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Bang Down the Door
(Music & Lyrics: B. Halligan Jr./G. Schleifer/C. Lessmann/J. Ziller)
02. Waste No Time
(Music: J. Deisinger/G. Schleifer, Lyrics: C. Lessmann)
03. Hard on Me
(Music & Lyrics: J. Ponti/S. Swirsky/C. Lessmann/G. Schleifer/J. Deisinger/E. P. Witzemann/J. Ziller)
04. Why Is It Never Enough
(Music: J. Ziller, Lyrics: C. Lessmann)
05. Tony's Roulette
(Music: J. Ziller, Lyrics: C. Lessmann)
06. Minestrone
(Music & Lyrics: H. Maier-Thorn/E. P. Witzemann)
07. You're Back
(Music: J. Deisinger/G. Schleifer, Lyrics: C. Lessmann)
08. Look of Love
(Music: J. Deisinger/G. Schleifer, Lyrics: C. Lessmann)
09. The Price of Loving You
(Music: D. Child, Lyrics: D. Child/C. Lessmann/G. Schleifer/J. Ziller)
10. Freedom Is My Belief
(Music: J. Ziller, Lyrics: C. Lessmann)
11. Gimme Some
(Music & Lyrics: J. Ponti/K. Keeling/L. Bulen/M. Wagener/C. Lessmann/J. Deisinger/G. Schleifer/E. P. Witzemann/J. Ziller)
12. Say Goodbye
(Music: J. Ziller, Lyrics: C. Lessmann)
13. Never Surrender
(Music: J. Deisinger/G. Schleifer, Lyrics: C. Lessmann)
14. (20th Century) Youth Patrol
(Music: J. Ziller, Lyrics: C. Lessmann)
15. Jungle Call
(Music & Lyrics: H. Maier-Thorn)
16. Know Right Now
(Music: J. Deisinger/G. Schleifer, Lyrics: C. Lessmann)
17. Who's Foolin' Who
(Music & Lyrics: M. Ribler/C. Lessmann/G. Schleifer/J. Ziller)

■Personnel
Claus Lessmann - Lead & Backing Vocals, Acoustic Guitars
Jörg Deisinger - Bass, Backing Vocals, Mouth Drums
Edgar Patrik - Drums, Percussion, Backing Vocals
Angel Schleifer - All Guitars, Backing Vocals

Hans Ziller - Additional Guitars
Fred Curci - Additional Backing Vocals

Producer – Michael Wagener

Point Blank
Bonfire
Comeback
2009-03-13

 

Live in Japan / Fair Warning (1993)

0268Live In Japan









なんか忘れていると思ったら、Fair Warning(フェア・ウォーニング)の1993年初来日ライブ盤がまだでした。リリース順のレビューという形は崩れますが、取り上げておきたいと思います。

彼らの初来日は93年4月で、14日名古屋、16日大阪、17、18日川崎と4回の公演が行なわれており、アルバムには最終日18日クラブチッタ川崎でのライブが収録されています。また映像収録も行なわれ、VHSビデオ(後にDVD化)が発売されました。1stアルバムをリリースしたばかりで初来日公演、そしてライブ盤収録となったわけで、当初からこのバンドがいかに日本のファンに支持されていたかがよく分かります。あらためてこのライブ盤を聴いてみると、まだ若々しく溌剌としたFair Warningのライブ・パフォーマンスと、心からライブを楽しんでいる日本の観客の反応が感じ取れます。ライブDVDは更にこちらに訴えかけるものがあって、ちょっと感動的ですらあります。もう四半世紀も前のライブなんですが、良いものは何年経っても良いですね。

収録曲は当然1stアルバムからのものが大半ですが、前身バンドとも言えるZenoのレパートリーから#5"Eastern Sun"、#16"A Little More Love"、更にプレスリーの#11"In the Ghetto"、坂本九の#12"Sukiyaki"(上を向いて歩こう)、スモーキー・ロビンソンとミラクルズの#17"Mickey's Monkey"なんていうのまで演っていて楽しませてくれます。全17曲(DVDは19曲)というボリュームで、デビュー間もないFair Warningの圧巻のパフォーマンスを再体験できる貴重なライブ盤だと思います。特にまだ元気なアンディ・マレツェクの情感溢れるプレイはファンにとって涙モノです。

 評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Sunset (Intro) (U. W. Ritgen) 
02. Out on the Run (U. W. Ritgen) 
03. Longing for Love (U. W. Ritgen) 
04. When Love Fails (H. Engelke)
05. Eastern Sun (Z. Roth)
06. Take Me Up (U. W. Ritgen) 
07. Long Gone (U. W. Ritgen) 
08. The Heat of Emotion (Z. Roth)
09. Take a Look at the Future (U. W. Ritgen) 
10. The Call of the Heart (U. W. Ritgen) 
11. In fhe Ghetto (M. Davis)
12. Sukiyaki (H. Nakamura/R. Ei)
13. Hang On (U. W. Ritgen) 
14. The Eyes of Rock (U. W. Ritgen) 
15. One Step Closer (H. Engelke)
16. A Little More Love (U. W. Ritgen) 
17. Mickey's Monkey (E. Holland/L. Dozier/B. Holland)

■Personnel
Tommy Heart – Lead Vocals
Helge Engelke – Guitars, Backing Vocals
Andy Malecek – Guitars
Ule W. Ritgen – Bass, Backing Vocals
C. C. Behrens – Drums

Torsten Lüderwald - Keyboards

Producer – Fair Warning

ライヴ・イン・ジャパン
フェア・ウォーニング
WEAミュージック
1993-12-21

 

Soul Doctor / Soul Doctor (2001)

0256Soul Doctor









Fair Warning脱退後トミー・ハートが結成したSoul Doctor(ソウル・ドクター)の1stアルバム。トミーのFair Warning脱退の経緯については本作ライナーノーツに詳述されていますが、簡単に言ってスタジオ録音がメインでライブに消極的なバンドの姿勢が不満だったということらしいです。Fair Warningの主導権はウレ・リトゲンとヘルゲ・エンゲルケが握っており、曲作りも独占されていることにもフラストレーションが溜まっていたのでしょう。2000年の来日公演を前にアンディ・マレツェクが一足先に脱退しており、公演後にトミーが抜けFair Warningは解散状態に陥ることになります。

さて、このトミー・ハートの新バンドSoul Doctor、トミー以外のメンバーですが、まずギターにクリス・ライン。トミーの幼馴染だそうで、1980年代にトミーと共にHeartlyneというバンドを組んでいました。ハートとラインでハートラインなわけですね。ベースはJ.D.ことBonfireのヨルグ・ダイジンガー。ドラムはザッキーことアタナシオス・ツォウカス(Athanasios Tsoukas)、なんだかビザンツ皇帝のようなスゴイ名前のこの人はドイツのメタル・バンドAttackの出身です。そして、プロデューサーのジム・ヴォックスはドイツのHRバンドSkew Siskinのギタリスト。ついでにAdditional musiciansですが、クラッシュ・クリックはSkew Siskinのドラマー、アレクサンダー・ストローチは元Heartlyneのキーボード奏者。イゴール・フラッハは故人ですがドイツのブルース・ハープ奏者。ちなみに、Skew Siskinのベーシストであるヨギー・ラウテンベルクは元Heartlyneのメンバーで、後にSoul Doctorにも参加します。こうして見てくると、Soul Doctor、Heartlyne、Skew Siskinは相互に関係が深く、Zeno~Fair Warning系のつながりとは別のトミーの人脈が伺えます。

そういう人脈を反映して本作のサウンドも、Zeno~Fair Warningに共通した叙情的なメロディアス・ハードロックとは異なり、ロックン・ロールとブルースをベースにした、オーソドックスなハードロックとなっています。Fair Warningにはその要素が全くなかった泥臭ささえ感じられるものの、乾いた感じは受けない音、たとえて言うなら初期Gotthardに類似しているかな。そんなわけで、Soul DoctorにFair Warningの面影を見出すのは難しいでしょう。もちろん、高揚感に満ちたトミー・ハートの声と歌いまわしは変わらないので、その点ではFair Warning同様に不安なく楽しめます。ロックン・ロール調の曲だとロバート・プラントを思わせるような歌いっぷりで、これはこれでまたカッコいいです。なお、Foreignerのカバー#1"Soul Doctor"以外は、収録曲は全てバンドとスティーヴ・プランケット(Autograph)によって書かれたもの。ストレートかつシンプルですが、ライブ映えしそうな曲ぞろいです。なるほどトミーはこういう音楽がやりたかったのかと納得できます。しかしまあ、これだけのテンションとパワー感を、スタジオ録音に詰め込んだこのバンドとプロデューサーの力量は大したもんだなぁと感心しました。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Soul Doctor
02. Shake 'Em on Down
03. Goodbye
04. Before the Night Is Over
05. Unspoken Words
06. What Do U Want
07. Who Will Be There
08. You're All That I Want
09. Down the Blvd.
10. Emotion in Motion
11. Does It Feel Like Love
12. Wild and on the Run [bonus track]
All songs written by T. Heart, C. Lyne, J. Deisinger, Zacky and Steve Plunkett
except "Soul Doctor" written by M. Jones/L. Gramm

■Personnel
Tommy Heart - Vocals
Chris Lyne - Guitar
J.D. - Bass
Zacky - Drums

Additional musicians - Crash Klick, Alexander Strauch, Andreas Kemper, Igor Flach

Producer - Soul Doctor
Co-producer - Jim Voxx

ソウル・ドクター
ソウル・ドクター
マーキー・インコーポレイティド
2001-04-25

 

The 13th Apostle / S.I.N. (2007)

0240The 13th Apostle









ドイツのHR/HMグループS.I.N.の3rdアルバム。1st、2ndでボーカルを担当したジェイソン・マークスは喉の不調のために脱退、替わってノルウェーのハードロック・バンドHushのパトリック・シモンセンが参加しています。またベース専任でヤン・エバートが新メンバーとなっています。デディ・アンドラー(Gt、Key)、ウォルフガング・フランク(Gt、Key、Ba)、アレックス・フロウシェク(Ds)の3人はこれまで通りです。さらに、バッキング・ボーカルにカーステン・シュルツ(Domain、Evidence One)、コニー・アンドレスカ(Crystal Ball、Circle of Pain)、ボバン・ミロイェヴィッチ(Snake Eye)などが参加しています。

S.I.N.は、曲はメロハーでサウンドはメタルという一貫したスタイルを保っているバンドです。前作は「ドラマチック・メロハー」と名付けたくなる劇的な曲調で楽しませてくれましたが、本作はより一層メタル寄りの音となり、またコンセプト・アルバムということでナレーションが入ったり組曲風な複雑な曲展開となっており、正直「?」となりました。これは筆者にはダメです。前作までのジェイソン・マークスのボーカルが好みではなかったので、Hushでの渋めの歌唱が気に入っていたパトリック・シモンセン加入にはとても期待したのですが。。。曲の部分部分はカッコいいのに、何度聴いてもメロディが心に残らず、アルバム全体の印象が散漫。大きな会場で、ロック・オペラみたいなライブ・パフォーマンスを体験したら、それはそれで楽しいのかも知れないけれど、CDで聴いてもあんまり面白くない。なんでコンセプト・アルバムとかやりたがるのかなぁ。

S.I.N. はこのアルバムの後、今のところ新作が出ていないし、バンドのサイトも2009年から更新されておらず、もしかしたら自然消滅しちゃってるのかもしれません。2ndの路線でもっとやってくれたらいいんだけどなぁ。もったいないです。ちなみにHushのほうはバンド活動は続いているのようなので、パトリック・シモンセンのファンとしては一安心です。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。 

■Tracks
01. Prelude
02. Signs of Doubt
03. Awakening
04. Junia's Eyes
05. Chosen Are Few
06. In Your Darkest Hour
07. The Faithful Offer
08. Sealed With A Kiss
09. Tears of Gethsemane
10. Failure
11. For Eternity and Beyond
12. His 13th Apostle
13. Circuit
14. Are We Still One? [Bonus Track for Japan]
All music written by Andler, Frank, except 14 written by Andler, Hlousek
All lyrics by Ana Kugli, except 14 by Hlousek

■Personnel
Deddy Andler – guitars, keyboards
Wolfgang Frank – guitars, bass, keyboards, backing vocals
Alex Hlousek – drums, percussions
Patrick Simonsen - vocals, backing vocals
Jan Ebert - bass

Carsten "Lizard" Schulz - backing vocals, narration
Renee Walker - backing vocals
Connie Andreszka - backing vocals, guitar solo on 8
Boban Milojevic - backing vocals

Producer - Deddy Andler, Wolfgang Frank 

Runway to the Gods / Zeno (2006)

0236Runway To The Gods









ジーノ・ロート率いるメロディアス・ハードロック・グループ(プロジェクトか)、Zenoの通算5枚目のアルバム。ZenologyZenology II は未発表音源集だったので、オリジナル・アルバムとしては1998年のListen to the Light 以来8年ぶりの第3作目ということになります。そうそう、ジャケットのイラストを描いたのは、お仲間だったFair Warningのウレ・リトゲンなんだそうです。

これまでリード・ヴォーカルを勤めたマイケル・フレクシグと袂を分かち、本作では新たにマイケル・ボーマン(Jaded Heart、Charade etc)がヴォーカリストとして迎えられています。筆者はマイケル・フレクシグが苦手だったので、この交代人事は大歓迎。マイケル・フレクシグのクリアーなハイトーン・ボイスに比べて少し濁った声質のマイケル・ボーマンが歌うことにより、Zenoの過剰なまでの神々しさが抑えられて、なんかこう俗っぽくなった分聴きやすくなりました。今までは、ヴォーカルとリード・ギターに同じような調子で攻められて、自分としてはちょっと聴き疲れする音楽だったんですよね。歌メロの出来も今までで一番良いんじゃないでしょうか。一曲一曲にドラマがあります。まるっきり歌謡曲のような#1"Fanfares of Love"、#3"Land of Illusion"、#7" Refugees"なんかは、特に日本人の心ワシづかみですな。もちろん、ジーノ・ロートのギターも相変わらずの素晴らしさなのは言うまでもありません。隅々まで神経の行き届いたフレーズの洪水に息が詰まりそうになります。まさにパーフェクト。

ところで、このアルバムからすでに11年。2枚目から3枚目の間の8年のブランクをすでに大幅に越しています。4枚目はいったいいつになるのか、少しばかり心配になります。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Fanfares of Love
02. Climb the Sky
03. Land of Illusion
04. Shades of Blue
05. Runway to the Gods
06. Sogno Di Angelo
07. Refugees (Longing For Paradise)
08. I Feel - I Live
09. Purify (Pilgrims Of Remembrance)
10. Do You Feel the Time
11. Sunset Birds Flying Home (Celestial Touchdown)
all songs by Zeno Roth except  "Sogno Di Angelo" by Pietro Mascagni

■Personnel
Zeno Roth - guitars, all other instruments, harmony vocals
Michael Bormann - lead vocals, harmony vocals

Producer - Zeno

ランウェイ・トゥー・ザ・ゴッズ
ジーノ
EMIミュージック・ジャパン
2006-09-06

Change / Pink Cream 69 (1995)

0233Change









1995年にリリースされたPink Cream 69の4thアルバム。アンディ・デリスが脱退して、ボーカルはイギリス人のデヴィッド・リードマンに変わっています。ドイツを拠点にしているものの、ドイツ人、アメリカ人、ギリシャ人、イギリス人それぞれ1人ずつという編成で、文字通りの多国籍バンドです。音のほうは、前作で垣間見れた当時流行のグランジ/オルタナへの接近が一層顕著となり、全体に暗く澱んだようなサウンド、曲調となっています。ボーカル兼メイン・ソングライターだったアンディ・デリスが抜けてしまったわけで、当然と言えば当然ですが別のバンドの音のように感じられます。まあ、一般に評価は低いようです。

しかし、筆者としては意外にこのアルバムが好きなんです。全体にシンプルで生々しいサウンドがまず良い。暗く重いけどやっぱりこれはハードロックです。本人たちは意識していないと思いますが、このドンヨリ感はグランジというより70年代のマイナーなハードロック・バンドみたいに聴こえる。#1"Funny Words"、#3"Change"、#5"Two Hours"、#"11. New Control"あたりが典型的ですかね。アンディ・デリスと全く違う、やや泥臭いところもあるデヴィッド・リードマンのボーカルも、この音によく合っていると思います。他にも、Talismanっぽい#6"Something I Said"、#9"Queen Bee"もすごくカッコいい。ちょっと異色ですが、ジャズっぽくてアングラ・プログレみたいな#7"Only the Good"、シタールのような音が入ってる#12"Freakshow"もまるでサイケでグッと来ます。T. Rexのカヴァー#8"20th Century Boy"もこれでもかってくらい重くて、中々に面白いなぁ。

それから、今まではあまり感じなかったけど、このバンドの演奏力の高さも改めて認識することができました。リズム隊の力量はかなりのものだし、アルフレッド・コフラーのギターも地味ながらナイスです。#5"Two Hours"のソロとか、モロ好みです。結論としては、アンディ在籍時のメロディアスで一種独特の物悲しさを湛えたPink Cream 69とは違う音ですが、聴き応えのあるアルバムであることは間違いありません。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Funny Words
02. Light of Day
03. Change
04. Yesterdays
05. Two Hours
06. Something I Said
07. Only the Good
08. 20th Century Boy
09. Queen Bee
10. Stretch the Truth
11. New Control
12. Freakshow
All songs written by Pink Cream 69 except "20th Century Boy" written by Marc Bolan

■Personnel
David Readman – vocals
Alfred Koffler - guitar
Dennis Ward - bass
Kosta Zafiriou - drums

David A. – keyboards
Bateke – percussion

Producer - Shay Baby, Pink Cream 69

Change
Pink Cream 69
Epic
1995-03-12

Fire Works / Bonfire (1987)

0225Fire Works









ドイツのハードロック・グループ、Bonfireの2ndアルバム。Scorpionsの二番煎じ感とB級臭はずいぶん薄れました。要因の一つはDokken、Poison、White Lion、Alice CooperなどHR/HM系、特にLAメタル・バンドを数多く手がけて定評の高い、ドイツ出身のマイケル・ワーグナーによるゴージャスなプロダクション。それから、ジャック・ポンティ、ジョー・リン・ターナーなど外部ライター参加による楽曲の充実。さらに、ゲスト・ドラマーとして名手ケン・メリー(Fifth Angel、House of Lords、Impellitteri etc)が全曲プレイしていること。この人が叩くと、途端に音がイキイキと躍動するんですよね。もちろんバンドの成長もあるのでしょうが、1stに比べて全体的にクォリティは向上しています。ただ、若気の至りな感じ、どことなく軽佻浮薄な感じが抜けていないのが気になるところ。それから、リード・ギタリストの技量がイマイチなのもHR/HMバンドとしては痛いかな。

楽曲の傾向は当時の耳で聴けばアメリカ指向なのでしょうが、叙情的なメロディはそれでも十分欧州っぽさ、ドイツっぽさが濃厚。#1"Ready 4 Reaction"、#2"Never Mind"、#4"Champion"、#11"Cold Days"など、パワー感と哀愁味が両立した佳曲が目白押しです。特に#6"Sweet Obsession"はキャッチーでメロディアス、文句なしの曲だと思います。この曲、ジョー・リン・ターナーもSecond Hand Life (2007)に収録しています。本作のクレジットはBonfireの4人とジャック・ポンティ、JLTの共作ということになっていますが、Second Hand Life のほうではジャック・ポンティとJLTしかクレジットされていません。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Ready 4 Reaction (H. Maier-Thorn/J. Deisinger/C. Lessmann)
02. Never Mind (H. Ziller/J. Deisinger/C. Lessmann)
03. Sleeping All Alone (J. Ponti/H. Ziller/H. Maier-Thorn/C. Lessmann)
04. Champion (H. Ziller/C. Lessmann)
05. Don't Get Me Wrong (H. Maier-Thorn/C. Lessmann)
06. Sweet Obsession (J. Ponti/J. Lynn-Turner/H. Ziller/C. Lessmann/H. Maier-Thorn/J. Deisinger)
07. Rock Me Now (H. Ziller/C. Lessmann)
08. American Nights (H. Ziller/H. Maier-Thorn/C. Lessmann/M. Ribler)
09. Fantasy (H. Maier-Thorn/C. Lessmann)
10. Give It a Try (H. Ziller/C. Lessmann)
11. Cold Days (H. Ziller/C. Lessmann)

■Personnel
Claus Lessmann - lead and backing vocals
Hans Ziller - lead and rhythm guitar, acoustic guitar, backing vocals
Horst Maier-Thorn - rhythm guitar, backing vocals
Jörg Deisinger - bass, backing vocals

Ken Mary - drums, percussion
Martin Ernst - keyboards

Producer – Michael Wagener

Fire Works
Bonfire
Comeback
2009-03-13

4 / Fair Warning (2000)

0221Four









ドイツのメロハー・バンド、フェア・ウォーニングの4thアルバム。世間一般的に評価の高い前作Go! は筆者にとってはモヤモヤの残る作品でしたが、本作に関しては1stに並ぶ傑作だと思っています。どんだけトラック重ねて録ったんだって言いたくなるほど緻密でブ厚いボトム、そこから立ち昇り空を駆け巡るかのようなヘルゲ・エンゲルケのギター(正確にはスカイ・ギターじゃないらしい)、そのハイ・ポジションから繰り出される音色は、もう鈴虫か小鳥の鳴き声か、はたまたオカリナかと錯覚するくらいですが、とにかく心に響きます。そして、どこまでも高く、天に届かんばかりのトミー・ハートのボーカル。やはりこのバンドのサウンドとメロディがもたらす高揚感は半端じゃないです。中でも筆者のお気に入りは#1"Heart on the Run"、#2"Through the Fire"、#4"Forever"、#7"I Fight"、#10"Find My Way"、#12"Wait"。テンション上がりまくりますね。ただ、このアルバムにも瑕疵がないわけではなく、まずスネアがポコポコ軽いのが気になります。それから、またもやウレ・リトゲンが#11"Night Falls"で2ndRainmaker 収録曲"Rain Song"のメロディを使い回しています。本作の楽曲も平均点ではヘルゲ・エンゲルケのほうが上回っていると感じるし、無理してウレ・リトゲンの曲を入れなくてもいいんじゃないかなぁ。

原因不明の全身麻痺という病で、次第に存在感希薄となったアンディ・マレツェクは、本作をもってバンドを脱退、アンディと仲の良かったトミー・ハートもバンドを離れることになります。残ったウレ・リトゲンとヘルゲ・エンゲルケはバンドの活動休止を決断、実質的にここでフェア・ウォーニングは解散状態となるわけで、本作は第一期フェア・ウォーニングの最期を飾るアルバムとなってしまいます。なお、C.C.ベーレンスは既に脱退しているため、#7を除いてドラムはサポート・メンバーだったフィリップ・カンダスが叩いています。また、バック・ボーカルのアンドリュー・マクデルモット、この人はSargant FuryやThresholdのボーカリストで、1stでもクレジットされていましたが、2011年に亡くなっています。

本作の国内盤CDは、2000年オリジナル盤の他、2009年に紙ジャケSHM-CD仕様でリリースされた再発盤が存在します。こちらは2枚組みとなっており、Disc.2には、EPHeart on the RunStill I Believe に収録されていた10曲のうち、"Still I Believe"を除く9曲が収められています。その9曲中7曲はアルバム収録曲のバージョン違いで、"For the Lonely"、"Close Your Eyes"の2曲は未収録曲と、相変わらずの面倒臭さです。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Heart on the Run (Helge Engelke)
02. Through the Fire (Ule W. Ritgen)
03. Break Free (Ule W. Ritgen)
04. Forever (Helge Engelke)
05. Tell Me I'm Wrong (Ule W. Ritgen)
06. Dream (Ule W. Ritgen)
07. I Fight (Ule W. Ritgen)
08. Time Will Tell (Ule W. Ritgen)
09. Eyes of Love (Ule W. Ritgen)
10. Find My Way (Helge Engelke)
11. Night Falls (Ule W. Ritgen)
12. Wait (Ule W. Ritgen)
13. Still I Believe [bonus track] (Helge Engelke)
14. For the Young [bonus track] (Helge Engelke)

■Personnel
Tommy Heart – vocals
Helge Engelke – guitars
Andy Malecek – guitars
Ule W. Ritgen – bass
Philip Candas – drums, percussion
C. C. Behrens – drums (Track 7)

Andrew McDermott - additional backing vocals
Anke Hansen - additional backing vocals
Jürgen Wulfes -  - additional backing vocals

Producer – Fair Warning

フォー
フェア・ウォーニング
キングレコード
2016-08-31

 
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