メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。

カナダ(Canada)

Big Bang Theory / Harem Scarem (1998)


0298Big Bang Theory










ハーレム・スキャーレム(Harem Scarem)のスタジオ・フルレンス5作目。メンバーは前作Believeと同じくハリー・ヘス(vo)、ピート・レスペランス(gt)、ダレン・スミス(dr)、バリー・ドナヘイ(ba)の4人です。本作も前作同様、日本盤とカナダ・ヨーロッパ盤とで収録曲が異なります。具体的にはカナダ・ヨーロッパ盤の"Wasted Time"、"Without You"、"What I Do"、"New Religion"の4曲が、日本盤では"Reload"、"Tables Turning"、"Seas Of Dissension"、"Never Have It All"に差し替えられており、曲順もかなり違っています。しかし、全10曲中4曲も違うとなると、オリジナル・アルバムの意味ってなんなのだろうかと考えてしまう。たとえばツェッペリンの1枚目、万国共通で"Good Times Bad Times"から始まって"How Many More Times"で終らないとおかしいし、"Black Mountain Side"の後に"Communication Breakdown"が来るからカッコいいわけでしょ?違うかな?収録曲の選択から曲順・曲間時間の設定にまで気を遣って、ベストの答えを出した結果がオリジナル・アルバムなんじゃないの?それが作品というものでしょう。CDの時代だからとか、配信の時代だからとか、そんなことに関係なく、音楽の作り手としてのミュージシャンとはそういうものだと思うけど。各国でより売れそうなバージョンを作るとか、やたらにコンピ盤を作るとか、このバンドの姿勢にはどうしても首を傾げてしまいます。

以下は日本盤を基にしてのレビューですが、各曲ともポップでキャッチー、しかもコンパクトで聴きやすくなっています。ギターの歪み具合がやや浅くなったこともあり全体に軽快な印象。ただメロディの質が微妙に変わって、なんだか少しチープトリックみたいになったかな。なお、#7"Sometimes I Wish"は珍しくバリー・ドナヘイがリード・ボーカルを担当していますが、声がハリー・ヘスに近くて違和感ありません。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. So Blind (Hess / Lesperance)
02. Climb The Gate (Hess / Lesperance)
03. Reload (Hess / Lesperance)
04. Tables Turning (Hess / Lesperance)
05. Turn Around (Hess / Lesperance)
06. Seas Of Dissension (Hess)
07. Sometimes I Wish (Hess / Lesperance)
08. Never Have It All (Hess / Lesperance)
09. Lying (Hess / Lesperance)
10. In My State Of Mind (Hess)

■Personnel
Harry Hess – vocals, keyboards
Pete Lesperance – guitars, keyboards, backing vocals
Barry Donaghy – bass, backing vocals, lead vocals on "Sometimes I Wish"
Darren Smith – drums, backing vocals

Producer - Harry Hess, Pete Lesperance

Standing Alone / White Wolf (1984)

0271Standing Alone









カナダの叙情派HR/HMバンド、White Wolf(ホワイト・ウルフ)の1stアルバム。いまだにジャケットに描かれた生物は謎のままですが、中身の方はメロハー好きにとっては傑作という呼び声が高い一枚です。このバンドは80年代に2枚のアルバムを残しており、どちらもアメリカ的な乾いたイメージとは無縁で、その湿り気のあるサウンドはブリティッシュ・ハードに近いものがあります。今回取り上げる1stは、メロディ自体はキャッチーなんですが、大仰な歌唱スタイルや、硬質なリフ、全体に漂う「様式美」臭からして、かなりメタル寄りの印象。HR/HMを嫌うような人からはダサさの極みのように言われるのは間違いないでしょうが、音楽を「これはダサい」「これはイケてる」とかで判断してるような奴、流行を追って流され続けているような奴の言うことに耳を貸す必要はありません。この素晴らしさが分からないなんて可哀相ねと同情してあげましょう。収録時間は38分弱と短いですが、緊張感と叙情性に満ちた音楽世界を堪能できる名盤だと筆者は思います。

さてレコーディング・メンバーですが、ボーカルは後にドン・ウルフと名乗ることになるドン・ウィルク。鼻にかかったような声と、力みのある歌唱が田舎臭くて、好感度3割増しになりますね。ギターはカム・マクラウドで、リッチー・ブラックモア+マイケル・シェンカー÷2といったリード・ギターがたまらなくカッコいいです。この人のプレイが楽曲の叙情性を2割増しにしている感じです。この二人は2000年代に入ってWhite Wolfを再始動させることになります。他のメンバーは、リック・ネルソン(Gt)、レス・シュワルツ(B)、ロリス・ボルゾン(Ds)、プロデュースはダニー・ロウとジャック・リチャードソン。ダニー・ロウは451°やPrototypeというバンドのギタリストでもあり、その関係からかPrototypeのブラッド・ステックラー、ブライアン・アイランド、ダグ・ライリーが#4"What The War Will Bring"にバック・ボーカルで参加しています。もう一人のジャック・リチャードソンは2011年に他界していますが、カナダの著名なプロデューサーで、Guess Who、Moxy、Brighton Rockといったカナダのバンドをはじめ、世界中の数多くのアーティストの作品をプロデュースしてきた人です。

なお、本作は単独で売られているものの他に、復活後の所属レーベルであるEscapeからリリースされた2ndとのカップリング盤もありますので、それも選択肢の一つになるかと思います。

 評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Standing Alone (MacLeod/Wilk)
02. Headlines (MacLeod/Wilk)
03. Shadows In The Night (MacLeod/Wilk)
04. What The War Will Bring (MacLeod/Wilk)
05. Night Rider (Wilk)
06. Homeward Bound (MacLeod/Wilk)
07. Metal Thunder (MacLeod/Wilk)
08. Trust Me (MacLeod/Wilk)

■Personnel
Cam MacLeod - Lead Guitar, Vocals
Don Wilk - Lead Vocals, Keyboards
Rick Nelson - Guitar, Vocals
Les Schwartz - Bass
Loris Bolzon - Drums, Vocals

Brad Steckler - Backing Vocals on #4
Brian Island - Backing Vocals on #4
Doug Riley - Backing Vocals on #4
Danny Lowe - Guitar on  #4

Producer – Danny Lowe (#1, #4, #5, #6), Jack Richardson (#2, #3, #7, #8)


Live 2K / Emerald Rain (2000)

0255Live 2K










カナダのメロハー・グループ、Emerald Rain(エメラルド・レイン)のライヴ・アルバム。スタジオ盤2枚リリース後にこのライヴ盤発表ということは、彼らがライヴ・パフォーマンスに自信を持っているということでしょう。確かに歌唱・演奏ともに破綻が無いのはもちろん、スタジオ盤以上に躍動感溢れるパフォーマンスだと感じました。収録はバンドの地元オンタリオ州のオシャワ(オタワではない)、しかも曲間の観客の声やジャケット写真から比較的小さな会場と推測され、そんなこともあってバンドと観客の一体感も感じ取れる好盤だと思います。ただし、言うだけ野暮というか、当たり前というか、本家 Harem Scaremのライヴ盤はもっと凄いけど。

収録曲は1st、2ndからバランスよく選曲され、ドラム・ソロ、Alice in Chainsのカバー"Man in the Box"を含めて全15曲とボリュームたっぷりです。Alice in Chainsのカバーは、前身であるPain時代の音を考えれば意外なようで意外ではない選曲。それにしても、さすがにこれだけ曲数が多いと、各曲の出来は良好であっても曲調のバリエーションが少ないのが気になります。CD一枚通しで聴くと、起伏に乏しく一本調子の感が否めません。このあたりも、やはり本家に及ばない点かなと思います。なお、参加メンバーは前作と同様、マーレイ・デイグル(Vo)、マイク・デミトロヴィック(Gt)、ショーン・グレゴリー(B)、カイル・ラゼンカ(Ds)の4人。プロデュースもバンド自身によるものです。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Never Surrender
02. Desperate Heart
03. Heart On The Line
04. Your Disguise
05. Age Of Innocence
06. Come Clean
07. High Road To Nowhere
08. Broken Saviours
09. Endless Grey
10. Don't Tell The Rain
11. Dungeon Drums (Solo)
12. Misery Loves Company
13. Take A Stand
14. No Saviour
15. Man In The Box (Layne Staley, Jerry Cantrell) [bonus track]
All songs by Murray Daigle, Mike Dmitrovic, Sean Gregory

■Personnel
Murray Daigle
Mike Dmitrovic
Sean Gregory
Kyle Lazenka

Producer - Murray Daigle, Mike Dmitrovic, Sean Gregory

Test Of Faith / Von Groove (1999)

0252Test Of Faith










1999年にリリースされたカナダのハードロック・バンド、ヴォン・グルーヴ(Von Groove)の4thアルバム。なんとも微妙なアルバムを作ってくれました。毎回微妙っちゃ微妙なので、それがこのバンドの個性なんでしょうが、評価しづらいというか、人によって全然評価が変わってくるというか。筆者は好きですけど。ハードロックだけれど、妙にポップ。音は重厚なのに、変に軽妙な印象が残る。暑苦しい系のボーカルなのに、なんか醒めた感じがする。掴みどころがありません。それに加えて、本作ではアコギを使った穏やかな曲が多く、1stの"House Of Dreams"、3rdの"Two Nights in Tokyo"のような強力なメロディアスハード・ナンバーもないので、かなり地味な印象です。このバンドのヘンテコリンさが少し薄れてしまったのも淋しいです。

そう言えば、Von Grooveは新作が出ていないし、メンバーそれぞれ別のバンドやプロジェクトに参加しているので、もう解散したか活動停止となっているものだとばっかり思っていましたが、YouTubeに2013年のFireFestでのライブ映像があったのが嬉しかったです。再結成なのか、一回限りのライブなのかは分かりませんが。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Test Of Faith
02. It Should Have Been Me
03. I Saw The Light
04. Foolin' Yourself
05. Back In Love Again
06. Tell It To Me
07. Anything For My Baby
08. Only Love
09. The Damage Is Done
10. Rock & Roll Station
11. April May [Bonus Track]
12. Calling The World [Bonus Track]
All songs written by Von Groove

■Personnel
Mladen - guitars, vocals
Matthew Gerrard - bass, vocals, keyboards
Michael Shotton - lead vocals, drums, percussion, keyboards

Producer - Von Groove

White Vision / White Vision (1995)

0222White Vision










メロハーというのは、一発で昇天させてくれるような速効力のあるものが多いのですが、だんだん良くなる言わば遅効性のものもあります。カナダ人ギタリスト、ケニー・ケイオス・ロニー(Kennee Loney、Kenny "Kaos" Loney)は、筆者にとってその遅効性作品を連発する存在です。彼の名前はメロハー界隈でよく見かけるものの、固定バンドに籍をおかずにプロジェクトで1~2枚アルバムを作っちゃ解消するということを繰り返しており、その活動の全体像はイマイチ分かりづらい。筆者の知る限りでは、1980年代半ばにバンクーバーから登場したSimon Kaosというバンドから彼のキャリアはスタートしているようです。このバンドはデモ音源は残しているものの、おそらく正規音源はリリースされていないと思われます。Simon Kaosのメンバーは、ケニー・ケイオス・ロニー(Gt)、ダーシー・ドイチュ(Vo)、アンディ・ロリマー(Key)、リック・スラヴィック(Ba)、クレイグ・ブルックス(Ds)の5人。このうち、ダーシー・ドイチュとアンディ・ロリマーが、カナダのメジャー・バンドであるPrismに引き抜かれ、バンドはあえなく消滅してしまいます。

その後ケニー・ケイオス・ロニーは、White Wolfのドン・ウルフ(Don Wilk、Donnie K. Volk、Don Wolf)のバンドGiant(後にPoint Of Powerと改名。Simon Kaosのクレイグ・ブルックスも在籍)に曲を書いたり、ツアーに参加したり、ポール・レインのソロ作Stick It In Your Ear に参加するなどしています。そして、1995年に至ってダーシー・ドイチュと再度合流し、本作White Vision を発表することになります。

さて、ここからが疑問なのですが、本作収録12曲のうち8曲は、Simon Kaosと全く同じメンバーでレコーディングされています。しかもクレジットによるとその8曲が書かれたのは1987年ということになっていますが、youtubeではSimon Kaosの音源として本作収録曲"Fantasy"と"Girl With A Gun"の少なくとも2曲が確認でき、その年代は84年または85年です。ということで、この8曲はSimon Kaos時代のデモ音源か、87年に再録音されたものと推測できます。ダーシー・ドイチュとアンディ・ロリマーがPrismに引き抜かれたのが87年か88年なので、筆者はSimon Kaosのデモ音源そのものか、デモに手を加えたものではないかと考えています。プロデューサーの一人、ブライアン・"Too Loud"・マクラウドは1992年に亡くなっていることから、いずれにしてもこの8曲は他の4曲より前にレコーディングされているのは確実です。詳細は不明。どこかに情報ないかな~。

残りの4曲は、ケニー・ケイオス・ロニー、ダーシー・ドイチュ、アンディ・ロリマーは同じですが、ドラムはゲイリー・グレイス、ベースはデイヴ・ホピアに変わっており、曲のクレジットは1995年となっています。こちらは実際にWhite Visionとしてレコーディングされたものでしょう。なお、ゲイリー・グレイスは後にPrismに参加したり、Strandedで再度ケニー・ケイオス・ロニーと組んだりしています。また、デイヴ・ホピアもPokerface、The Distance、Heartland、Stranded、Message、Radio Silenceと、頻繁にケニー・ケイオス・ロニーと行動を共にしています。Pokerfaceなんていうのは、このWhite Visionのメンバーのうち、ケニー・ケイオス・ロニー、ダーシー・ドイチュ、アンディ・ロリマー、デイヴ・ホピアが参加しているわけで、同じようなメンバーでなんでいくつもの違う名前のグループやプロジェクトをやってるのかよく分かりません。カナダのメロディック・ロック・シーンは意外に狭いのかも知れませんが、そもそもSimon Kaos名義で押し通せば良さそうなものだと思うのですが。

肝心のアルバム・レビューが後回しになりました。サウンドは適度にハードで、適度に哀愁が漂い、地味ですが味わい深い音楽です。冒頭に述べたように、聴くほどにだんだん良くなってきます。ケニー・ケイオス・ロニーの書く楽曲は派手なところはなく、ギター・プレイも抜きん出て印象的なわけではないのですが、不思議と後を引くのです。クリス・ウーズィーとのThe Distanceは別として、Pokerface、Stranded、Project Xなど、この人のプロジェクトは大体似たような感じ。ボーカリストのダーシー・ドイチュの方は、田舎のおじさんのような鼻にかかった声だし、抜群の歌唱力を誇るようなタイプではありません。でも、しみじみと味わい深い、いいボーカリストです。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Make Your Move (Loney, Deutsch, Hopia)
02. Make Believe (Loney, Reno, Deutsch)
03. Fantasy (Loney, Deutsch, Lorimer, Brooks, Slavic)
04. Always (Loney, Deutsch, Hopia)
05. Falling In Love (Reno, Macleod)
06. The Wind And I (Loney, Deutsch, Lorimer, Brooks, Slavic)
07. Point Of No Regret (Loney, Deutsch, Hopia, Lorimer)
08. Heartbreak (Macleod, Steele)
09. Everybody Loses (Loney, Deutsch, Macleod, Brooks, Lorimer, Slavic)
10. Up All Night (Loney, Deutsch, Lorimer, Brooks, Slavic)
11. Girl With A Gun (Loney, Deutsch, Brooks, Slavic, Lorimer)
12. When You Make Love (Loney, Deutsch, Brooks, Macleod, Slavic, Lorimer)

■Personnel
Darcy Deutsch – vocals
Kennee Loney – guitars
Andy Lorimer - keyboards
Craig Brooks - drums on 3, 5, 6, 8, 9, 10, 11, 12
Gary Grace - drums on 1, 2, 4, 7
Rick Slavic - bass on 3, 5, 6, 8, 9, 10, 11, 12
Dave Hopia - bass on 1, 2, 4, 7, backing vocals
Gary Hopia - backing vocals
Tracy Masson - backing vocals

Producer – Bill Henderson, Brian Macleod, Kennee Loney (1, 2, 4, 7)



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