メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

イギリス(UK)

Nothin' but Trouble / Blue Murder (1993)

0224Nothin' But Trouble









1993年にリリースされたジョン・サイクス率いるBlue Murderの2ndアルバム。前作から4年が経過してのリリースで、その間にカーマイン・アピスとトニー・フランクリンは脱退しており、「スーパー・トリオ」としてのブルー・マーダーは既に崩壊。本作では、当時無名だったマルコ・メンドーサ(Ba)とトミー・オスティーン(Ds)がバンドの新メンバーとなっています。まあこのバンドは実質的にはジョン・サイクスのソロ・プロジェクトなわけで、リズム・セクションの交代によって路線やサウンドに大幅な変化がもたらされてはいません。しかも音を聴く限り、ほとんどの曲はカーマイン・アピスとトニー・フランクリンがプレイしているようで、少なくともリズム・トラックはかなり早い段階でレコーディングされたものと思われます。

本作も1stと同じようにThin LizzyとWhitesnakeをニコイチにしたようなサウンドが基本となっています。しかし、Small Facesのカバー#2"Itchycoo Park"や、明るめなロックン・ロール#5"Dance"、60~70年代っぽい#11"She Knows"、16ビートの#12"Bye Bye"などのため、ひたすらハードで重く暗い1stに比べるとやや印象は異なります。アメリカン過ぎるとか、散漫という声もあるようですが、ハードロックの金字塔とも言える1stと比べてしまえば、どうしても評価は厳しくなってしまいますよね。でも1曲1曲のクォリティは1stと遜色ありません。筆者としては、1stより良いとは言えないにせよ、それでもこのアルバムも十分聴き応えのある作品だと思います。特に、ジョン・サイクスのソング・ライターとしての才能を遺憾なく発揮した名曲、甘く切なく美しいソウル・バラード#7"Save My Love"の素晴らしさといったらありません。それから、1曲だけケリー・キーリング(ex-Baton Rouge)が歌っている#6"I'm on Fire"も、ハードロックのカッコよさと熱さが詰まった名曲、名パフォーマンス。いや~、いいアルバムですよ、やっぱり。中古CD屋で投売りされているのを見ると悲しくなりますが、誰でもこの名作を手に入れやすいってことでポジティヴに考えることにします。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. We All Fall Down (John Sykes)
02. Itchycoo Park (Ronnie Lane, Steve Marriott)
03. Cry for Love (John Sykes)
04. Runaway (John Sykes)
05. Dance (John Sykes)
06. I'm on Fire (John Sykes)
07. Save My Love (John Sykes)
08. Love Child (John Sykes)
09. Shouldn't Have Let You Go (John Sykes)
10. I Need an Angel (John Sykes)
11. She Knows (John Sykes)
12. Bye Bye [Japanese Bonus Track] (John Sykes)

■Personnel
John Sykes - vocals, guitars
Marco Mendoza - bass
Tommy O'Steen - drums, backing vocals
Nik Green - keyboards

Kelly Keeling - lead vocals on track 6, backing vocals
Tony Franklin - bass
Carmine Appice - drums
Jim Sitterly - violin

Producer - John Sykes

ナッシング・バット・トラブル (SHM-CD)
ブルー・マーダー
Universal Music
2012-01-18

Once Bitten...Twice Shy / SHY (1983)

0212Once Bitten Twice Shy









NWOBHM末期にデビューしたバーミンガム出身のSHYの1stアルバム。元々Trojanというバンドを組んでいたスティーヴ・ハリス(Gt)、パディ・マッケンナ(Key)、マーク・バドリック(B)、アラン・ケリー(Ds)に、トニー・ミルズ(Vo)が加わり、バンド名をSHYに変えてバンドはスタートします。メンバー脱退、活動停止、再結成などの紆余曲折を経て、2011年リーダーであるスティーヴ・ハリスの病死により、SHYが終焉を迎えたのはまだ記憶に新しいところです。オリジナルLPはEbony Recordsというインディーズ・レーベルからリリースされ、レコーディングもEbony Records所有のスタジオで行なわれています。プロデュースはEbony Recordsのオーナーであるダリル・ジョンストン。Neat Metalレーベルによって1998年に初CD化され、ボーナス・トラックとして"All on You"を追加、日本盤には加えて"Throwing It All Away"も追加収録されています。

インディーズということで、またジャケットの酷さからも想像がつくように、音質はかなり悪いです。ギリギリの予算で作られた感がモロに出ています。特にギターの音の汚さには萎えます。演奏は全体にバタバタしてせわしなく、楽曲の練り込みも不十分。ただし、それらを補って余りあるのはバンドの「勢い」です。未熟で荒削りとしか言いようのないアルバムなのですが、その若さほとばしる「勢い」に何故か感動してしまいます。NWOBHMにカテゴライズされるバンドとしては、Praying Mantisと並んでメロディアスさが際立っており、後年の完成度には程遠いものの、メロハー好きならぜひ聴いておきたい作品でしょう。ただ、現在は廃盤のため高値となってしまっており、ぜひ再発をお願いしたいところです。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Deep Water (Steve Harris)
02. Take It All the Way (Steve Harris, Paddy McKenna)
03. Give Me a Chance (Alan Kelly)
04. Think of Me (Steve Harris)
05. Tonight (Steve Harris)
06. Chained by Desire (Steve Harris, Tony Mills)
07. Reflections (Steve Harris)
08. Once Bitten, Twice Shy (Steve Harris, Tony Mills)
09. All on You [Bonus Track] (Steve Harris)
10. Throwing It All Away [Japanese Bonus Track] (Steve Harris)

■Personnel
Tony Mills - vocals
Alan Kelly - drums
Steve Harris - lead guitar
Paddy McKenna - keyboards
Mark Badrick - bass

Producer – Darryl Johnston

Once Bitten, Twice Shy
Shy
Neat Metal Nation
2001-05-29

 

Acoustical Intercourse / FM (1992)

0205Acoustical Intercourse









1992年11月14日ロンドンでの公演を収録したFMのアコースティック・ライブ・アルバム。ブックレット記載のピート・ジャップの解説によると、91年から始まったアコースティック・ライブが好評でツアーをやることになり、最終的にライブ・レコーディングにまで至ったとのこと。ブルース、R&Bのカヴァーとオリジナル曲を取り混ぜながら、渋くて熱いパフォーマンスを繰り広げています。アコースティック・ライブとは言うものの、完全生のアンプラグドではないので、ほとんど通常のライブ盤ですね、これは。フリートウッド・マックの"Need Your Love So Bad"、ウィルソン・ピケットの"Midnight Hour"、フリーの"Little Bit of Love"、Z.Z.トップの"Tush"など大好きな曲をやってくれていてうれしかったなぁ。またメロディアスな初期FMメドレーも、これまたうれしい選曲です。もちろん、名曲"Closer to Heaven"はライブでも抜群に素晴らしく、スティーヴ・オーヴァーランドのしみじみとした歌唱は感動ものです。蛇足ですが、アンディ・バーネットがリード・ボーカルを担当しているのが数曲があって、意外に歌が上手くてびっくりです。

なお本作は当初日本国内のみでのリリースでしたが、後に海外でもNo Electricity Required というタイトルで発売されました。こちらにはダン・リード・ネットワークの"Long Way to Go"が追加収録されています。また、日本企画盤Closer to Heaven に収録されていた"Burning My Heart Down ('93 version)"、"Flesh and Blood"、"Don't Stop ('93 version)"、"All or Nothing (Racket Mix)"の4曲がDisc2としてカップリングされた2枚組仕様のものもあるようです。本作リリース当時、ビデオ・LDも発売されていましたが、残念ながら現時点ではDVD化されていないようです。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Seagull (P. Rodgers, M. Ralphs)
02. Need Your Love So Bad (M. John)
03. Rocky Mountain Way (J. Walsh, R. Grace, K. Passarelli, J. Vitale) / Black Velvet (D. Tyson, C. Ward)
04. Burning My Heart Down (S. Overland, C. Overland, D. Child) /Don't Stop (M. Goldsworthy, P. Jupp, D. Digital) /Get Back (J. Lennon, P. McCartney)
05. Blood and Gasoline (FM)
06. Superstition (S. Wonder)
07. Heard It Through the Grapevine (N. Whitfield, B. Strong) / Stone Fox Chase (C. McCoy, P. Haley, K. Buttrey)
08. Some Kind of Wonderful (G. Goffin, C. King)
09. Midnight Hour (S. Cropper, W. Pickett) / Dancin' in the Street (I. J. Hunter, W. Stevenson, M. Gaye)
10. Face to Face (S. Overland, C. Overland, P. Jupp) / Enter Sandman (J. Hetfield, L. Ulrich) / American Girls (S. Overland, C. Overland) / Other Side of Midnight (M. Goldsworthy, P. Jupp)
11. Closer to Heaven (FM)
12. Only the Strong Survive (M. Goldsworthy, P. Jupp, S. Overland, A. Barnett)
13. Little Bit of Love (P. Rodgers, A. Fraser, P. Kossoff, S. Kirke)
14. Rockin' Me (S. Miller)
15. Tush (B. Gibbons, D. Hill, F. Beard)

■Personnel
Steve Overland - vocals, guitar
Merv Goldsworthy - bass, vocals
Pete Jupp - drums, vocals
Andy Barnett - guitar, vocals

Charlie Olins - keyboards
Mitt - harmonica

Producer - FM/Andy Reilly
Executive Producer - Graham Oakes

ライヴ・アコースティカル・イン
FM
アルファレコード
1994-11-30
FM
アルファレコード
1993-04-21


Bridge of Fools / Heartland (1997)

0194Bridge of Fools









イギリスのメロディック・ロック・グループ、ハートランドの4作目。ハートランドってジャケットのダサいバンドっていうイメージが、もう自分の中で定着してしまってますけど、それにしてもこのジャケット酷すぎ。国内盤はまだましですが。

2ndと3rdは実質クリス・ウーズィーのソロ作品で、しかもリズム・パートは打ち込み多用という、ほとんど宅録自主制作状態だったため、なんとも不完全燃焼の感がありました。本作では、オリジナル・メンバーだったドラムのスティーヴ・ギブソンが戻り、ベースとキーボードにも専任メンバーを加え、久しぶりにバンドらしいサウンドが展開されています。クリス・ウーズィーのボーカルも、バンドの音に乗ってようやく躍動感を取り戻しました。出だしの#1"Tomorrow Won't Wait"、#2"Castles in the Sand"とノリの良い曲が続き、この人ならではのダイナミックな歌唱にワクワクしてきます。哀愁たっぷりの#5"Elena"、#9"Hardworking Man"など楽曲も概ね出来が良いという印象です。

ただし、相変わらず音があまり良くない。ベールを被ったようにこもっていて、どうにももどかしい音です。Escapeレーベルのもとで制作環境は整っていたはずなのに、なんでこうなるのでしょうか。それから、前作でも感じたことですが、スティーヴ・モリスは確かにギターは上手いのものの、音色に魅力がないんです。それは特にディストーションをかけた音に顕著です。また、ギターのアンサンブルに精緻さはあっても、スケールの大きさが感じられない。1st、2ndのゲイリー・シャープが大自然を感じさせたのに比べて、まるで良く出来た箱庭のようなチマチマしたイメージ。申し訳ないけど、やっぱりゲイリー・シャープのほうが良かったなぁ。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Tomorrow Won't Wait
02. Castles in the Sand
03. Where the Pieces Fall
04. I Will Wait for You
05. Elena
06. Front Page News
07. Only a Heartbeat Away
08. Not Till Heaven Falls
09. Hardworking Man
10. Feels Like Magic
11. Still Got My Feet on the Ground
12. Don't Let the Fire Die
13. These Are the Days [Bonus Track]
All songs by Steve Morris/Chris Ousey

■Personnel
Chris Ousey - vocals
Steve Morris - guitars, keyboards
Chris Lloyd - keyboards
Steve Gibson - drums
Tim A Duncan - bass

Producer - Steve Morris
Executive Producer - Khalil Turk, Chris Ousey

Bridge of Fools
Heartland
Escape
1997-03-06

Truth or Dare / Change of Heart (2005)

0187Truth or Dare









イギリスのメロハー・バンド、Change of Heartの3枚目のアルバム。前作から5年ぶりのリリースとなっており、バンド・メンバーはアラン・クラーク(vo)、ジョン・フッティット(gt)、デイヴ・チャップマン(key)の3人に減っています。過去2作ではHeartlandとThe Distance絡みのミュージシャンがサポートに入っていましたが、本作ではFMのスティーヴ・オーヴァーランドとピート・ジャップが参加しています。また、1stでも関わっていたスティーヴ・モリスも再登板しています。スティーヴ・モリスはHeartlandのメンバーであると同時にスティーヴ・オーヴァーランドとShadowmanを組んでいるので、その流れで両スティーヴが顔を揃えたのかもしれません。

いかにもイギリスのバンドらしい陰りと湿り気のある曲調、サウンドはこれまで通りです。マイナー調の曲はもちろん、メジャーの曲でも爽快さより哀愁を感じさせるというこのバンドの特徴も健在。ただ、切なさが胸に迫るほどだった前作に比べて、楽曲がやや間延びしておりその点が残念です。前作があまりに良すぎたため、もっと上を期待する心理からそう聴こえるのかもしれません。また、クリス・ウーズィーを聴きやすくしたようなアラン・クラークのボーカルも、心なしか前作より不安定。このChange of Heart、本作からもう10年近く新しいアルバムのリリースがありません。まだ活動しているのかも不明ですが、ぜひ2ndを超えるような作品もう一度作ってもらいたいと切望しています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Burned
02. Farlands
03. Desperate Heart
04. Hold On
05. Falling From the World
06. Truth or Dare
07. Don't Cross the Line
08. Taking My Time
09. Keep on Believing
10. I Will Remember You
11. Never Fall
All songs are written by Alan Clark & Dave Chapman

■Personnel
Alan Clark - lead vocals, bass guitar
Dave Chapman - keyboards, backing vocals
John Footit - guitars

Pete Jupp - drums
Steve Overland - backing vocals
Steve Morris - acoustic guitars

Producer - Steve Morris, Steve Overland
Executive Producer - Khalil Turk

トゥルース・オヴ・デアー
チェンジ・オヴ・ハート
マーキー・インコーポレイティド
2005-10-21

Blue Murder / Blue Murder (1989)

0179Blue Murder









ジョン・サイクスがホワイトスネイク脱退後に結成したブルー・マーダーの1stアルバムです。このバンド、HR/HMを聴く人なら知らない人は少ないだろうし、今さら感はありますが、メンバーはジョン・サイクスの他、ヴァニラ・ファッジ、カクタス、BBA、キング・コブラなど1960年代から豊富なキャリアを持つドラマーのカーマイン・アピス、ジミー・ペイジとポール・ロジャースのザ・ファームに在籍したトニー・フランクリン。当初ドラムにはコージー・パウエルが参加予定だったものの、ボーカリスト選定に手間取っている間に離脱、結局ドラムはカーマイン・アピス、ボーカルはジョン・サイクス自身が担当し本作はレコーディングされました。アディショナル・ミュージシャンは、キーボードにニック・グリーン、ジョン・ウェブスター、バック・ボーカルに、マーク・ラフランス、デヴィッド・スティール。プロデューサーは、本作以前だとキングダム・カム、以降だとモトリー・クルー、メタリカ、スキッド・ロウなどを手がけているボブ・ロックです。

サウンドはホワイトスネイク+シン・リジィ。ジョン・サイクスのキャリアそのまんまやんけ、という感じなのですが、これは古今東西数あるハードロック・アルバムの中でも屈指の名盤だと思います。雷鳴のごときカーマイン・アピスのドラム、ウネリまくりハネまくる暴風のようなトニー・フランクリンのフレットレス・ベース、そしてジョン・サイクスの集中豪雨的ギター・ソロ。これはまさにハリケーンです。タイフーンです。大変なことになっています。当初誰もが一抹の不安を抱いたジョン・サイクスのボーカルも完璧。なによ、歌すげー上手いじゃん!曲調はどれもブルージーでメロディアス、そして男が言うのもなんですがセクシーですな。音がややこもっているのですが、聴きなれると気になりませんし、ピッキング・ハーモニクスが厚雲の中で光る稲妻みたいで逆に雰囲気いいです。ちなみに筆者が聴いているのはオリジナル盤。リマスター盤だと音は良くなっているのかもしれませんが未確認です。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Riot (John Sykes)
02. Sex Child (John Sykes)
03. Valley of the Kings (John Sykes/Tony Martin)
04. Jelly Roll (John Sykes)
05. Blue Murder (John Sykes/Tony Franklin/Carmine Appice)
06. Out of Love (John Sykes)
07. Billy (John Sykes)
08. Ptolemy (John Sykes)
09. Black-Hearted Woman (John Sykes/Tony Franklin/Carmine Appice)

■Personnel
John Sykes - guitars, lead & background vocals
Tony Franklin - bass guitar, background vocals
Carmine Appice - drums, background vocals

Nik Green - keyboards
John Webster - additional keyboard progrmming
Mark LaFrance - additional background vocals
David Steele - additional background vocals

Producer - Bob Rock

Blue Murder (reissue)
Blue Murder
Rock Candy
2013-04-19

Captured Alive in Tokyo City / Praying Mantis (1996)

0166Captured Alive in Tokyo City









1995年11月プレイング・マンティス来日公演を収録したライヴ盤。4thアルバムTo the Power of Tenリリース直後ということでリード・ボーカルはゲイリー・バーデン、またブルース・ビスランドのピンチヒッターとして今は亡きクライヴ・バーがドラムを担当しています。ゲイリー・バーデン擁護派を自認する筆者でも、ライヴ・パフォーマンスに関しては話は別です。音程がフラつく、変なところで声が裏返る、高い音が出ないのをフェイクでごまかす、サビはちょいちょいバック・ボーカルにまかせて自分は歌わない。。。ま、MSGのライヴでも同じなんですが。なんでよりによってゲイリー・バーデン期にライヴ・アルバム出したんだろう?プレマン+メイデン+MSGという、見ようによっては「スーパー・グループ」と言えなくもない編成だったからでしょうか?その元メイデン組のクライヴ・バーは、かつてストレイタスでトロイ兄弟と苦楽を共にした仲。ブルース・ビスランドより上手いドラマーだとは思います。リズムにキレはあるし、オカズなんかゾクゾクするほどカッコいいのですが、なんだか思い切り叩けてない。やはり曲に慣れていないのかな。もう一人の元メイデン組のデニス・ストラットンはすっかりプレマンに溶け込んでいます。元アイアン・メイデンという肩書きはもういらないですね。ティノ・トロイとのツイン・リードの息もぴったり。ただ、微妙に二人のピッチがあってなかったりしますが。。

そういう細かいことは映像を見れば気にならなくなります。このライヴはDVDでもリリースされているし、今はyoutubeでも見ることができます。CD聴いてブーたれるより、動画を見てライヴの臨場感を味わうほうが健全だと思います。とにかく曲は天下一品のプレイング・マンティスなんですから。特に幻と言われてきた1stの名曲には鳥肌が立ちます。アンコール鳴り止まない中メンバーが再登場し、ステージを降りて観客と握手やハイタッチする場面は、プレマンと日本のファンとの絆の深さが見て取れてなんだか妙に感動してしまいます。

なお、このアルバムは抜粋版と、2枚組の完全版とがあります。当時も今もプレイング・マンティスのCDを買うのは少数のファンしかいないだろうし、ファンなら完全版を買うだろうから、抜粋版を出す意味が分かりませんけど。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
DISC 1
01. Victory (Troy/Troy)
02. A Cry for the New World (Praying Mantis)
03. Can’t See the Angels (Troy/Troy)
04. Bring on the Night (Troy/Troy/Stratton/Barden/Bisland)
05. Only the Children Cry (Troy/Troy/Stratton)
06. To the Power of Ten (Troy/Troy/Stratton/Barden/Bisland/Goodman)
07. The Horn (Troy/Troy/Burr/Potts/Shaw)
08. Dream On (Jackson/Dangschat/Praying Mantis)
09. Welcome to My Hollywood (Troy/Troy)
10. Turn the Tables (Troy/Troy)
11. Children of the Earth (Troy/Troy)
DISC 2
01. Angry Man (Jackson/Troy/Troy/Stratton/Bisland/Barden)
02. Don’t Be Afraid of the Dark (Troy/Troy)
03. Cheated (Carroll/T.Troy)
04. Letting Go (Troy/Troy)
05. Lovers to the Grave (Troy/Troy)
06. Flirting With Suicide (Troy/Carroll/Troy/Potts)
07. Rise up Again (Jackson/Dangschat/Praying Mantis)
08. Armed and Ready (Schenker/Barden)
09. Captured City (Troy/Troy)
■Personnel
Gary Barden - Lead Vocals
Clive Burr - Drums
Dennis Stratton - Guitars, Vocals
Chris Troy - Bass Guitar, Vocals
Tino Troy - Guitars, Vocals

Michael Scherchen - Keyboards

Producer - Norman Goodman, Tino Troy 

キャプチャード~アライヴ・イン・トーキョー・シティ
プレイング・マンティス
ポニーキャニオン
1996-03-21



CAPTURED ALIVE IN TOKYO CITY(再発売)
PRAYING MANTIS
ポニーキャニオン
2013-08-28

キャプチャード アライヴ・イン・トーキョー・シティ [DVD]
プレイング・マンティス
ポニーキャニオン
2003-06-18

 

Spellbound / Ten (1999)

0160Spellbound









イギリスのメロディアス・ハードロック・バンド、Tenの4th(ライブ盤を含めると5th)アルバム。1999年リリースとなっていますが、日本国内盤は先行して1998年に発売されています。メロハー・ファンにとってTenは安心のブランド、このアルバムも期待を裏切らない作品となっています。哀愁を感じさせる適度にウェットなメロディはいつも通り、ゲイリー・ヒューズの落ち着いたボーカルとヴィニー・バーンズの泣きのギターもいつも通りです。他のメンバーも前作のライブ盤Never Say Goodbyeと変わらず、ジョン・ハリウェル(gt)、ジェド・ライランズ(key)、グレッグ・モーガン(ds)、スティーヴ・マッケンナ(ba)の4人。バッキング・ボーカルにはお馴染みのジェイソン・サノスの他、Dante Foxのスー・ウィレッツ、Magnumのボブ・カトレイも加わっています。

ゲイリー・ヒューズは歴史や叙事詩が好きらしく、これまでもそんな趣味を伺わせる曲がありましたが、本作ではその傾向は一層強まっています。勇壮でシンフォニックなオープニングから#2"Fear the Force"への流れがドラマティックで印象的です。また、#5"We Rule the Night"、#6"Remembrance for the Brave"、#7"Red"と、トラッド・ミュージックの旋律を取り入れた曲が挿入されることで、より伝統だとか歴史物語といったテーマが際立ち、あたかもコンセプト・アルバムのような統一感が生まれています。その一方で過去作で垣間見られた過剰な大作志向が抑制され、長いものでも6分程度と楽曲がコンパクト化しているのも好印象。さらに筆者としては、#9"Wonderland"に1stで見られた瑞々しいポップ・フィーリングが戻っているのも嬉しかったです。また、ミックスが1st~3rdのマイク・ストーンから、GiantやFair Warningを手がけてきたレイフ・マッケンナに変わったせいか、奥行きを感じさせるサウンドに仕上がっています。総合的にとても出来の良いアルバムだと思いました。

ただ、トラディショナルなのはいいとして、ファンタジーRPGに夢中になっている中学生みたいな歌詞は興ざめ。正直勘弁してもらいたいなと。ドラゴンが滑ったの転んだの、魔法使いがどうしたこうした、復讐だ!反逆だ!なんてのがHR/HMには何故かよく出てきますけど、もうそれだけでバカっぽく見えちゃうの。

閑話休題。本作で聴けるトラッド風メロディは、アイリッシュっぽいとは思いました。ただ、この方面の知識に乏しいので正確には不明です。同じケルト系のアイルランド、スコットランド、ウェールズ、コーンウォールの音楽にどのような差異があるのか分からないのです。イングランド(アングロサクソン)系とケルト系の違いだって怪しいものです。そもそもゲイリー・ヒューズがイギリス国内のどのようなエスニック・グループに帰属意識を持っているのかさえ分かりません。カトリックかプロテスタントかも知りません。イギリスのトラッド音楽を聴くと、ブリテン島と北アイルランドに住む人々を十把一絡げに、のっぺらぼうな「イギリス人」としてしか理解出来ていないことを痛感してしまいます。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. March of the Argonauts (Instrumental)
02. Fear the Force
03. Inside the Pyramid of Light
04. Spellbound
05. We Rule the Night
06. Remembrance for the Brave (Instrumental)
07. Red
08. The Alchemist
09. Wonderland
10. Eclipse
11. The Phantom
12. Till the End of Time
All songs written by Gary Hughes,
except " Inside the Pyramid of Light" written by Gary Hughes and Vinny Burns

■Personnel
Gary Hughes – vocals
Vinny Burns – guitars
Ged Rylands – keyboards
John Halliwell – guitars
Steve McKenna – bass guitar
Greg Morgan – drums and percussion

Francis Cummings – violin
Fiona Payne – violin
Anne Morrison – viola
Anna Frazer – cello
Mike McGoldric – uilleann pipes, low whistle, bamboo flute​
Jason Thanos – additional backing vocals
Sue Willets – additional backing vocals (Track 5)
Bob Catley – additional backing vocals (Track 5)
Rafe McKenna – additional backing vocals (Track 5)

Producer - Gary Hughes 

スペルバウンド
テン
マーキー・インコーポレイティド
2016-06-29

   

Throwing Shapes / Stratus (1984)

0150Throwing Shapes









元Iron Maidenのクライヴ・バー(Ds)と、元Praying Mantisのティノ・トロイ(Gt)とクリス・トロイ(Ba)、元Grand Prixのバーニー・ショウ(Vo)、元Stampedeのアラン・ネルソン(Key)によるHR/HMグループStratusが唯一残したアルバム。本作レコーディングまでの経過を整理しておくと、Praying Mantisは1981年に1stアルバムTime Tells No Lies発表後にバーニー・ショウを専任ボーカリストに迎え、82年にはシングルTurn the Tableをリリース。それ以降もデモ・レコーディングを地道に続けるも陽の目を見ず結局83年にPraying Mantisは解散。Iron Maiden脱退直後のクライヴ・バーが、トロイ兄弟、バーニー・ショウと合流してEscapeを結成。デビューに向けてデモ・レコーディングを開始。同名のバンドが既に存在することが分かりバンド名をStratusに変更、最終的にアラン・ネルソンが加わり84年に本番レコーディング終了。プロデュースはこの後も何度かPraying Mantisを手がけるノーマン・グッドマン。なお末期Praying MantisとEscape時代のデモ音源は、Praying Mantis名義のアルバムDemorabiliaにまとめられて1999年にリリースされています。プレマン・ファンの立場からすると、本作はDemorabiliaとともに、Time Tells No Lies(1981)とPredator in Disguise(1991)の間をつなぐミッシングリンクということになります。

楽曲は全てストレイタス作となっているのですが、メロディの特徴からトロイ兄弟がメインで書いていると思われます。実質的にプレイング・マンティスのアルバムでしょう。ただ、Time Tells No Liesと比較するとかなり明るめでアメリカンハードに近い感じ。そういう意味では面白いことに再編成プレマンに合流するデニス・ストラットンのLionheartに似ています。サウンドのほうも、キーボードが全面にフィーチャーされ、おかしな効果音や女性のセリフなども入り、リバーブかけ過ぎて風呂場で録音したような音。つまり典型的な80年代バブリー・サウンド。曲によってはトロイ兄弟らしいキラリと光る旋律やハーモニーがあるのですが、アルバム全体を特徴付けるアメリカン・ロック的なメロディと装飾過多で軽薄なサウンドが、トロイ兄弟に合っているとは筆者には思えません。ところで、#9"So Tired"の出だしのリフがY&Tの"Hurricane"にクリソツ。これもいただけない。

なお、このアルバムのマスター・テープは紛失しており、CDはLPレコードからの盤起こしのようです。それが原因なのか、元からそうなのかは不明ですが音はかなりひどいです。薄っぺらで妙にこもっていたり、ところどころ音割れもあり、高音が耳障り。それでもこういう歴史に埋もれてしまったアルバムがCD化されるのは非常にうれしいことです。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Back Street Lovers
02. Gimme Something
03. Even If It Takes
04. Give Me One More Chance
05. Never Say No
06. Romancer
07. Enough Is Enough
08. Run for Your Life
09. So Tired
All songs written by Stratus

■Personnel
Tino Troy — lead guitar, vocals
Bernie Shaw - lead vocals
Clive Burr - drums, vocals
Chris Troy — bass, vocals
Alan Nelson — keyboards

Producer – Norman Goodman 

Throwing Shapes
Stratus
Krescendo
2008-08-04

 

Please Don't Leave Me / John Sykes (1982/1992)

142Please Don't Leave Me









ジョン・サイクスがタイガース・オブ・パンタン脱退後に、シン・リジィーのフィル・リノットの協力を得て録音した1982年ソロ・シングル"Please Don't Leave Me"に、同曲のショート・バージョン、インスト・バージョン、さらにタイガース・オブ・パンタンのシングル曲やライブをオマケにつけて1992年にリリースされたアルバム。タイガース・オブ・パンタンの粗い演奏は、今となってはNWOBHMの勢いを伝える資料的価値しかありませんが、プリティ・メイズもカヴァーした珠玉の名曲"Please Don't Leave Me"1曲だけで手放せない1枚です。この曲のメロディの美しさ、フィル・リノットの哀しみを湛えたボーカル、ジョン・サイクスの情感溢れる泣きのギター、何度聴いても胸に迫るものがあります。シン・リジィーのブライアン・ダウニー(ds)とダレン・ウォートン(key)もレコーディングに参加しており、この後すぐにジョン・サイクスはシン・リジィーに加入するので、新生シン・リジィーの先駆け的な位置づけの1曲です。(星3つはアルバムとしての評価であって、"Please Don't Leave Me"そのものはもちろん星5つです)

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Please Don't Leave Me (Original Version) (J. Sykes/P. Lynott)
02. Don't Take Nothing (Tygers of Pan Tang)
03. Bad Times (Tygers of Pan Tang)
04. All or Nothing (Tygers of Pan Tang)
05. Don't Give a Damn (Tygers of Pan Tang)
06. Please Don't Leave Me (Short Version) (J. Sykes/P. Lynott)
07. Slave to Freedom (Live) (Tygers of Pan Tang)
08. Raised on Rock (Live) (Tygers of Pan Tang)
09. Paradise Drive (Tygers of Pan Tang)
10. Love Potion No.9 (Tygers of Pan Tang)
11. Please Don't Leave Me (Instrumental Version) (J. Sykes/P. Lynott)

■Personnel
John Sykes – guitars
Philip Lynott – vocals, bass guitar
Brian Downey – drums
Darren Wharton – keyboards 

プリーズ・ドント・リーヴ・ミー
フィル・ライノット
ユニバーサル ミュージック
2016-05-18

 
記事検索
カテゴリ別アーカイブ
読者登録
LINE読者登録QRコード
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ