メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

アメリカ(USA)

Citadel / Guild of Ages (2001)

0415Citadel









改名前のCaught in the Act時代から通算して5枚目となるGuild of Agesのアルバムです。メンバーは2ndアルバムから変わらずダニー・マルティネズ(Vo, G)、アンツ・トゥルヒーヨ(G)、ジェイムズ・ローステッター(B)、スティーヴ・スタンツ(Ds)の4人、プロデュースも引き続きAxeのボビー・バースが担当しています。前作あたりからリフなどにヘヴィな要素が増してきましたが、本作でも叙情的で陰影に富んだメロディアス・ハードロックという基本路線は貫かれています。今回の注目点は、Jaded Hardなどで知られるドイツ人ボーカリストのマイケル・ボーマンが曲作りに関わっていること。欧州のミュージシャンが米国のバンドの曲を書くというのは珍しいと思います。米国産でありながら欧州的な音を出すGuild of Agesであればこそかもしれません。この人選の背景としては、少し前にボビー・バースがJaded Hardの4枚目のアルバムをプロデュースしているので、彼の仲介があったのではないかと推測できます。外部からのアイディア導入の成果もあってか、メロディのクォリティも一時期に比べて一段と回復していますが、このバンドのメロディ・ラインやアレンジの特徴みたいなものは特に変化したようには感じられません。緊張感溢れるメロディ展開が印象的な#1"Wicked Game"、横ノリのリズムとキャッチーなサビがカッコいい#2"Losing My Religion"など佳曲も多く、メロハー愛好家にはまず楽しめる内容だと思います。ただ、決定的な名曲というものが無く、やはり1stアルバムの域には達していないのが残念です。

Guild of Agesはこのアルバムを最後に解散(活動停止?)となり、ボーカルのダニー・マルティネズと旧メンバーのジョー・マローンはRelapsedというバンドを結成しますが、近年Guild of Agesとして復活し2018年に6thアルバムRiseをリリースしています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Wicked Game (Trujillo, Martinez, Stuntz, Lostetter, Bormann)
02. Losing My Religion (Trujillo, Martinez, Stuntz, Lostetter, Bormann)
03. From Now On (Trujillo, Martinez, Stuntz, Lostetter)
04. Until the End (Trujillo)
05. So This Could Be You (Trujillo, Martinez, Stuntz, Lostetter, Bormann)
06. Reaching Out (Trujillo, Martinez, Stuntz, Lostetter)
07. That's Why (Trujillo, Martinez, Stuntz, Lostetter, Bormann)
08. How Many Times (Trujillo, Martinez, Stuntz, Lostetter, Bormann)
09. Feeding the Fire (Trujillo, Martinez, Stuntz, Lostetter, Bormann)
10. How Can I Say (Trujillo, Bormann)

■Personnel
Danny Martinez - Vocals, Guitar
Anthony "Antz" Trujillo - Guitars, Background Vocals
James Lostetter - Bass
Steve Stuntz - Drums, Background Vocals

Producer - Bobby Barth

Citadel
Guild of Ages
Mtm
2004-09-27

 

Black Tiger / Y&T (1982)

0414Black Tiger









サンフランシスコ出身のハードロック・バンドY&Tの4thアルバム。レコーディング・メンバーはYesterday and Today時代から変わっておらず、デイヴ・メニケッティ(Vo/G)、ジョーイ・アルヴィス(G)、フィル・ケネモア(B)、レオナード・ヘイズ(Ds)の4人です。Y&T初期三部作と言い習わされる名盤3枚の第二弾となる本作は、哀愁という表現では追いつかないクサイまでの泣きメロディ、スリルとドラマ性に拘ったアレンジ、骨太で突進力のあるサウンド、全ての要素が前作と同水準に達しています。特にデイヴ・メニケッティのギター・ソロは全曲が名演。Earthshakerを気に入った人ならこのBlack Tigerも聴きのがしてはいけません。

#1"From the Moon"
後で出てくる"Forever"のイントロを、ギター・オーケストレーション的手法でアルバム全体の序曲に仕立てた短いインスト曲。いやが上にも期待感が高まってきます。

#2"Open Fire"
本編1曲目はY&Tの魅力が全て詰まったスピード・チューン。疾走感にワクワクが止まりません。

#3"Don't Wanna Lose"
哀愁メロディが印象的なミドル・テンポのナンバーです。

#4"Hell or High Water"
横ノリのグルーヴがカッコいいナンバー。シンプルな曲ですがギター・ソロ部分で変化をつけています。

#5"Forever"
LPだとA面ラストの曲。歌メロといい、ギター・ソロといい、Y&Tお得意の「泣き」がMAXに達しています。本作のハイライトであると同時にY&Tを代表する名曲の一つでしょう。

#6"Black Tiger"
B面アタマはタイトル・トラック。スリリングでスピード感溢れる名曲です。

#7"Barroom Boogie"
なんとなく70年代のYesterday and Todayを思わせるラフなロックン・ロール・ナンバー。

#8"My Way or the Highway"
これも70年代っぽいハード・ブギー。ZZ TopとかFoghatみたいな感じかな。

#9"Winds of Change"
本編の最後を飾る哀愁バラード。前作のラストの曲"I Believe in You"に匹敵するような「泣き」の名曲です。

#10"Somebody for Me"
最近のリイッシュー盤に入れられるようになったボーナス・トラックです。曲はイマイチですが、やっぱりギターはカッコいい!
 
評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. From the Moon
02. Open Fire
03. Don't Wanna Lose
04. Hell or High Water
05. Forever
06. Black Tiger
07. Barroom Boogie
08. My Way or the Highway
09. Winds of Change
10. Somebody for Me [Bonus Track]
All songs written by Y&T

■Personnel
Joey Alves - Electric Guitar, Acoustic Guitar
Dave Meniketti - Lead Guitar, Lead Vocals
Phil Kennemore - Bass Guitar, Vocals
Leonard Haze - Drums, Percussion

Producer - Max Norman
BLACK TIGER
Y & T
ROCCA
2018-07-13

ブラック・タイガー +1(限定盤)
Y&T
Universal Music
2022-01-26

 

Angelfire / Millenium (1999)

0413Angelfire









故ラルフ・サントーラ率いるアメリカのハードロック・バンドMilleniumの2ndアルバム。と言っても、前作は前身バンドEyewitnessの未発表音源をかき集めたものだったので、実質的には本作がMillenium名義で録音した最初のアルバムということになります。メンバーは、Eyewitness以来のラルフ・サントーラ(G, Key)、トッド・プラント(Vo)、オリヴァー・ハンソン(Ds)の3人に加え、新メンバーのシェーン・フレンチ(G)、マンフレッド・ビンダー(B)という5人編成。シェーン・フレンチはハードロック・バンドTeerのメンバー、マンフレッド・ビンダーはオリヴァー・ハンソンと同じくオーストリア出身でかつては一緒にバンドをやっていた仲だそうです。他にアディショナル・ミュージシャンとして、やはりTeerのメンバーのダン・セント・マイケル、EyewitnessとMonarchでラルフ・サントーラと共演しているショーン・フィリップス、後にラルフ・サントーラも加入するIced Earthのハワード・ヘルムが一部の曲に参加しています。

紆余曲折を経て制作されたこのアルバム、これまでの作品を上回る完成度を誇っています。どこまでもメロディアスな楽曲、骨太で重厚なサウンド、細部にまで神経の行き届いたアンサンブルに圧倒されます。Eyewitness時代には上手いとは思うけれどそれ以上とは感じなかったラルフ・サントーラのギター・プレイも、マイケル・シェンカー的リリシズムとネオクラ系の構築美を併せ持つ超一級品。場面ごとの微妙なトーン・コントロールも心憎いばかり。もうひれ伏すしかありません。

典礼音楽のように荘厳な序曲に導かれてスタートするドラマチックな#2"Shaman"、流麗なメロディが素晴らしい#3"Beyond the Pain"、哀愁メロディアスハードの極めつきで本作のハイライトとなる#4"Until the End of Time"、雲間から射す陽光のように神々しいタイトル曲#5"Angelfire"、しっとりした哀愁メロディと美しいギターが印象的な#6"Heaven Sent"、クラシカルでロマンチックなバラード#7"Julia"と息をもつかせぬ展開に圧倒されます。まさに名曲・佳曲のオンパレードです。アルバム後半の楽曲はやや見劣りしますが、それはあくまで前半に比較してのこと。捨曲・駄曲などということではありません。結論として、いわば「重厚長大系メロハー」の極北を示す傑作だと思います。

評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Nations (Santolla)
02. Shaman (Plant, Santolla)
03. Beyond the Pain (Plant, Santolla, Hanson)
04. Until the End of Time (Plant, Santolla, Hanson)
05. Angelfire (Plant, Santolla)
06. Heaven Sent (Plant, Santolla, Binder, Hanson)
07. Julia (Plant, Santolla)
08. Bound for Glory (Plant, Santolla)
09. Run (Plant, Santolla)
10. Waiting for Godot (Plant, Santolla)
11. Remember (Santolla)
12. Saving Grace (Plant, Santolla, Hanson)
13. The Color of Night (Santolla)
14. Hide Behind My Face (Plant, Santolla, Hanson)
15. Dawn (Santolla)

■Personnel
J. Todd Plant - Lead & Background Vocals
Ralph Santolla - Guitars, Keyboards
Shane French - Rhythm Guitar
Manfred Binder - Bass
Oliver Hanson - Drums, Percussion

Sean Phillips - Rhythm Guitar on #5, 8
Howard Helm - Fender Rhodes on #14
Angie Campbell - Additional Vocal on #2
Dan St.Michael - Piano on  #2

Producer - Ralph Santolla, Oliver Hanson

Angelfire
Millenium
Frontiers Italy
2006-11-27

 

In a Minute All Could Change / Nuclear Valdez (2001)

0405In A Minute All Could Change









アメリカのメロディック・ロック・バンドNuclear Valdez、10年ぶり3枚目のアルバムです。メンバーはフロイラン・ソサ(vo)、ホアン・ルイス・ディアス(b)、 ロバート・スレイド・ルモン(ds)の3人はこれまで通り、リード・ギタリストのみダン・チェラテッリという人に替わっています。4人編成は変わりないのにジャケット写真には何故か3人しか写っていません。メンバーがカリブ海諸国からの移民ということで、ラテン・ロックのフレーバーが濃厚なサウンドが特徴でしたが、本作ではラテン色はいくらか薄れました。ただし、このバンドの魅力である物悲しいメロディは健在で、むしろメロディはこれまでで一番良いかもしれません。以下お気に入りの曲をピックアップしてみます。

#2"Remember"
このアルバムの中では最もラテン色が強く、マイナー・キーの哀愁メロディが胸に迫ります。

#3"Still Won't Let You Go"
フロイラン・ソサの憂いを含んだ声質と歌い方のせいか、メジャー・キーでありながら寂しさ切なさを強く感じさせ、なんだか泣きたくなってしまうほど。本作で一番好きな曲です。

#4"Goodbye Mary"
アコースティカルでフォーク・ロック調の曲。何気ない曲ですがこれもまた物悲しい。

#6"Someone to Believe In"
そこはかとなくラテン・ロックの香りと哀愁が漂う曲。寂寞感や空虚さを感じさせるギターがピーター・グリーンのようです。

#12"Only Yesterday"
これもラテン風味が感じられる曲。日本の歌謡曲を思わせる分かりやすい哀愁メロディが印象的。

このアルバムの後に2017年になって新作が出ているのですが、何故かLPのみのリリースということで今のところ聴けていません。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Wonderland (Diaz, Sosa, LeMont, Barcala)
02. Remember (Diaz, Sosa)
03. Still Won't Let You Go (Diaz, Sosa, Ceratelli, LeMont)
04. Goodbye Mary (Diaz, Sosa)
05. Save Me (Diaz, Sosa, LeMont, Barcala)
06. Someone to Believe In (Sosa)
07. Stem of Tragedy (Diaz, Sosa, LeMont, Barcala)
08. Love Is Not Enough (Diaz, Sosa)
09. In a Minute All Could Change (Diaz, Sosa, LeMont, Barcala)
10. Walk Away (Diaz, Sosa, Ceratelli, LeMont)
11. Since You've Been Leaving Me (Diaz, Sosa, LeMont, Barcala)
12. Only Yesterday (Diaz, Sosa)
13. Remember (Spanish Version)
14. Goodbye Mary (Spanish Version)
15. Save Me (Spanish Version)
16. Stem of Tragedy (Spanish Version)

■Personnel
Fro Sosa - Lead & Background Vocals, Guitars, Keyboards
Juan Diaz - Bass
Robert Slade LeMont - Drums, Percussion
Dan Ceratelli - Lead Guitars

Diane Ward - Background Vocals
Cheryl Victor - Background Vocals
Rachelle Coba - Background Vocals
Nicole Henry - Background Vocals

Producer - Fro Sosa

In a Minute All Could Change
Nuclear Valdez
One Way Records Inc
2002-08-13

 

Dweller on the Threshold / Tribe of Gypsies (2006)

0397Dweller On The Threshold









ロイ・Z(ロイ・ラミレス)率いるラテン・ロック・バンドTribe of Gypsies、前作から6年ぶりの4thアルバムです。リリースは2006年ですが、レコーディング時期は2000年から2006年にかけてと長期にわたっています。ロイ・Zはブルース・ディッキンソン、ロブ・ハルフォード、ロブ・ロックといったアーティストのアルバムのプロデュースに忙しく、中々自身のバンドのアルバム制作が進まなかったようです。

1stはハードロック色が強かったものの、2nd、3rdと徐々にハードさが薄れてきましたが、本作では一転してハードな曲が増えています。新ボーカリストのチャス・ウェスト(ex-The Jason Bonham Band)は、ポール・レインやデヴィッド・リードマンに似たハードロック向きのタイプで、本作のようなサウンドにはピッタリです。#2"Ride On"、#3"Desolate Chile"などはギンギンのラテン・ハードロックで特にカッコいいし、初期のSantanaを思わせるインスト曲#9"Flying Tigers, Crying Dragons"は、ロイ・Zの官能的なギターが最高です。それから、Van Halenのカバー#10"Ain't Talkin' 'Bout Love"は、なるほどと唸らされました。この曲は元々ラテン風なのですね。そこを強調して自分達のオリジナルみたいに演奏しています。アコースティカルな#8"After the Summer"は本作の中では異色ですが、美しく物悲しいメロディが心に迫る佳曲で、これもまた絶品です。一方で、最初から最後までワン・フレーズ、ワン・パターンで押し切る曲が何曲かあるのが気になりました。こういうのはライブだとトランス状態を生んだりしますが、スタジオ・アルバムで聴くのはちょっときついかな。

現在のところ、この後Tribe of Gypsiesのアルバムはリリースされていません。2019年にロイ・Zとチャス・ウェストが再度組んだWest Bound名義でのアルバムは出ているので、いずれ聴いてみたいと思っています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Big Sky Presence
(Ramirez, Rodriguez, Balladares, Leibundgut, Moreno, West)
02. Ride On
(West, Ramirez, Rodriguez, Balladares, Leibundgut, Moreno)
03. Desolate Chile
(West, Ramirez, Rodriguez, Balladares, Ingraham, Podolor)
04. Stop Bombing Each Other!
(Ramirez, Rodriguez, Balladares, Leibundgut, Moreno, West)
05. Halos
(West, Ramirez, Rodriguez, Balladares, Leibundgut, Moreno)
06. Zoot Suit Mardi Gras
(Ramirez, Rodriguez, Balladares, Leibundgut, Moreno, West)
07. Go Your Way
(Kia, Ramirez, Analla, Rodriguez, Balladares)
08. After the Summer
(West, Ramirez, Rodriguez, Balladares, Leibundgut, Moreno)
09. Flying Tigers, Crying Dragons
(Ramirez, Rodriguez, Balladares, Leibundgut, Moreno)
10. Ain't Talkin' 'Bout Love
(Edward Van Halen, Alex Van Halen, David Lee Roth, Michael Anthony)
11. Never Will Be Mine
(West, Ramirez, Rodriguez, Balladares, Leibundgut, Moreno)
12. La Hora
(Ramirez, Rodriguez, Balladares, Leibundgut, Moreno, West)
13. Hands to Eternity
(Daley, West, Ramirez, Rodriguez, Balladares, Leibundgut, Moreno)
14. En El Mar
(Balladares, Ramirez, Rodriguez, Leibundgut, Moreno, West)

■Personnel
Chas West - Vocals
Roy Z - Guitars, Vocals
Ray Rodriguez - Keyboards
Elvis Balladares - Percussion
David Moreno - Drums
Christian Byrne - Guitars, Bass
Juan Perez - Bass

Gregg Analla - Additional Vocals and Acoustic Guitar on #7
David Ingraham - Drums on #3, #6, #7
Penny Wanzo - Additional Vocals on #4, #5
Tetsuya 'Tex' Nakamura - Harmonica on #6
Nicol Mecerova - Vocals on #6
Sal Rodriguez - Timbales on #10
Mistheria - Additional Keyboards and Orchestration on #4
Richard Podolor - Mandolin on #5, Additional Guitar on #3, #12

Producer - Roy Z, Richard Podolor
Co-producer - Bill Cooper, Tribe of Gypsies

ドゥエラー・オン・ザ・スレショールド
トライブ・オブ・ジプシーズ
ビクターエンタテインメント
2006-07-20

 

Giuffria / Giuffria (1984)

0396Giuffria









元Angelのキーボード奏者グレッグ・ジェフリアの名を冠した、アメリカのハードロック・バンドGiuffriaの1stアルバム。後にHouse of Lordsと改名することになるバンドです。この1stアルバムの時点でのグレッグ・ジェフリア以外のメンバーは、リード・ボーカルにデヴィッド・グレン・アイズレー(ex-Sorcery)、ギターにクレイグ・ゴールディ(ex-Rough Cutt)、ベースにチャック・ライト(ex-Quiet Riot)、ドラムは後にLondonに加入するアラン・クリガー。

このバンドのサウンドの最大の特徴は、グレッグ・ジェフリアのキーボードがアンサンブルの中心になっていることでしょう。時にシンフォニックに、時にキース・エマーソン風に、華麗で大袈裟なプレイが全面的にフィーチャーされています。一方、デヴィッド・グレン・アイズレーのボーカル・スタイルは、#3"Don't Tear Me Down"や#4"Dance"に顕著なようにソウルフルで野性的なものです。オーティス・レディングとかウィルソン・ピケット大好きみたいな。グレッグ・ジェフリアが何故ボーカリストとしてデヴィッド・グレン・アイズレーを選んだのかは謎ですが、このミスマッチ感が面白い。ギターのクレイグ・ゴールディも自由奔放に弾きまくっていて、なんだかてんでバラバラな感じ。でも結果として、類型的なアメリカン・ハードロックとは違うサウンドになっていて、それがこのバンドの魅力かなと思いました。

本作からシングル・カットされた#2"Call to the Heart"は全米チャートで15位を記録、アルバム自体26位とそこそこのヒットとなったようです。しかし後が続かず、2ndアルバムのセールス不振でバンドは分解、バンド名をHouse of Lordsに変えて再出発。その際デヴィッド・グレン・アイズレーは追い出されて、代わりにジェイムズ・クリスチャンがボーカリストの座に着きます。ジェイムズ・クリスチャンは大好きなシンガーなのですが、デヴィッド・グレン・アイズレーも捨て難い魅力があるのに。なんて思っていたら、近年デヴィッド・グレン・アイズレーとクレイグ・ゴールディを中心にバンドが再結成されたようです。2017年にアルバムもリリースしたようですが、本人不在でGiuffriaを名乗るのはさすがに憚られたのか、Eisley / Goldyという名義となっています。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Do Me Right (G. Giuffria, D. G. Eisley)
02. Call to the Heart (G. Giuffria, D. G. Eisley)
03. Don't Tear Me Down (G. Giuffria, D. G. Eisley, C. Goldy)
04. Dance (G. Giuffria, D. G. Eisley, C. Goldy)
05. Lonely in Love (G. Giuffria, D. G. Eisley)
06. Trouble Again (G. Giuffria, D. G. Eisley)
07. Turn Me On (G. Giuffria, D. G. Eisley, C. Goldy)
08. Line of Fire (G. Giuffria, D. G. Eisley)
09. The Awakening (G. Giuffria, D. G. Eisley)
10. Out of Blue (G. Giuffria, D. G. Eisley)

■Personnel
Gregg Giuffria - Keyboards, Vocals on #9
David Glen Eisley - Vocals
Craig Goldy - Guitar
Alan Krigger - Drums
Chuck Wright - Bass, Vocals

Producer - Gregg Giuffria

美伝説
ジェフリア
ユニバーサル ミュージック
2016-05-18

 

Temple of Tears / Harlan Cage (2002)

0395Temple Of Tears









L.A.グリーン(Vo, G)とロジャー・スコット・クレイグ(Key, Vo)によるメロハー・プロジェクトHarlan Cageの4thアルバム。この後アルバムのリリースは無く、古巣のFortuneの活動が再開しているので、現時点では本作がラスト・アルバムということになります。

Harlan Cageと言えば哀愁メロハー、過剰なまでの哀愁路線が特徴だったわけですが、本作では哀愁がやや抑え目になっていて、ちょうどいい塩梅だと感じました。それに、これまではどのアルバムもメロディが似通っていて曲の区別がつきにくい面がありましたが、今回は曲の個性がそれぞれはっきりしているし、出来も良いと思います。どうやら最終作にして最高傑作が生まれたようです。なお、前作と同じく今回もFortune時代のセルフ・カバー曲#7"Deep in the Heart of the Night"が収録されています。

歌メロの「泣き」が控えめになった一方で、ギターが泣きまくっているのも高ポイント。ギタリストはビリー・リースギャングとマイケル・ターナーがクレジットされていますが、日本盤ライナーノートによれば、今回メインはマイケル・ターナーだそうです。HR/HM的なフラッシーなソロを弾くタイプではなく、マイケル・トンプソンなどの系統のAOR/フュージョン系ギタリストですね。柔らかな音色、伸びやかなフレーズが素晴らしいです。総じて、哀愁メロハーや泣きのギターを好む向きにはおすすめのアルバムだと思います。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Any Port in the Storm
02. Wooden Cross
03. Just a Face in the Rain
04. One New York Morning
05. On the Nickel
06. In My Neighborhood
07. Deep in the Heart of the Night
08. Sin City
09. As You Fly
10. Later Than You Know
11. We Belong
All songs by Roger Scott Craig & L. A. Greene

■Personnel
L. A. Greene - Vocals, Guitars
Roger Scott Craig - Keyboards, Vocals

Michael Turner - Guitar
Billy Liesegang - Guitar
Hans Fleder - Drums
Uri Yamato - Bass

Producer - Roger Scott Craig

Temple of Tears
Harlan Cage
Atenzia
2002-06-17

Fury / Fury (1985)

0394fury









Blanc Facesの新作が中々出ないので(もう出ないのかな?)、ロビー・ラ・ブランクとブライアン・ラ・ブランク兄弟が1985年にFuryという名義でリリースした唯一作を取り上げます。筆者が入手したのは2007年アメリカのRetrospect Recordsから再発されたもので、これが初CD化だと思われます。ただ、これは正規盤ではないらしく、その後2016年になってイタリアのSteelheart Memoriesレーベルの「The "Lost US Jewels" Collectors Series」第一弾として、500枚限定で正規CDがリリースされています。

Rascalsのフェリックス・キャヴァリエをプロデューサーに迎え、ニック・モロック、ジェフ・ボヴァといったセッション・ミュージシャンをバックに、80年代の空気が閉じ込められたような音作りがされています。メロハー/AORというよりポップ・ロックですね、これは。「ベストヒットUSA」でよく流れていたような音楽です。懐かしいような、ウンザリするような、微妙な感じ。軽いアメリカ映画のラストで日に焼けた女の子が顔の高さに肘を上げて踊っているシーンからエンドロールにいくみたいな、長髪だけど耳は出てるみたいな、シャツをケミカルウォッシュ・ジーンズの中にたくしこんでるみたいな、キーボードを立って弾きながらクネクネしている男が二人いるみたいな、誰かロマンチック止めてみたいな。普通なら右の耳から左の耳に抜けてしまうような音なんですが、そこは探しに探したCDなんで聴き込みましたよ。Blanc Facesに通じるメロディの良さはそれなりに感じられるし、ロビー・ラ・ブランクの声はまだ若くて後年のコクは無いもののやはり上手いです。ん~、でもBlanc Facesの前身じゃなかったらやっぱり聴かないだろうな、こういうのは。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Keep on Dreamin'
02. Look Out Now
03. In Her Arms
04. Hey Darlene
05. She Don't Know
06. Say What You Will
07. Sorry to Say
08. Ready or Not
09. Fast Girl
10. Take What You Want

■Personnel
Robbie La Blanc - Lead Vocals, Guitar
Brian La Blanc - Bass, Guitar, Keys
Jeff Bova - Keys
Steve Gaspar - Keys
Nick Moroch - Guitar
Nick Mangini - Drums, Percussion
Bashiri Johnson - Percussion
Frank Simms - Backing Vocals

Producer - Felix Cavaliere

The Roaring of Dreams / Pride of Lions (2007)

0393The Roaring Of Dreams









ジム・ピートリックとトビー・ヒッチコックによるメロハー・プロジェクトPride of Lionsの3rdアルバムです。1st、2ndと聴いてきて、メロディとアレンジのわざとらしさ、トビー・ヒッチコックの「歌わされてる」感、全体に感じられる通俗臭、これらが鼻についてどうも好みに合わないと感じていました。3rdまで聴いてダメならもう買うのはやめようと思っていたところ、これが意外にも中々にいい感じです。先に挙げたような点は完全に無くなってはいませんが、それほど気にならないレベルだし、何より曲の出来がいいです。トビー・ヒッチコックの文字通りの熱唱も今回はストレートに心に届きました。

気に入った曲をピックアップしてみます。

#3"Love's Eternal Flame"
ミドルテンポのメロハー/AOR。センチメンタルでロマンチックなヴァースも、力強くポジティヴなコーラスも、メロディが良く出来ているし、インスト・パートのアンサンブルも心憎い仕上がりです。

#4"Language of the Heart"
高揚感に満ちたスピード・チューン。やはりメロディがいいですね~。

#5"Let Me Let You Go"
躍動的なリズムが心地良いミドル・テンポのナンバー。マイナー・キーですが、哀愁感より力強さが前面に出ています。

#7"Defying Gravity"
ドラマチックなメロディが印象的なスピード・チューン。マイク・アキノのギター・ソロも華麗でカッコいいです。

#9"Secret of the Way"
爽やかでオシャレなAORナンバー。メロディがちょっとバート・バカラックを思わせます。文句無しにいい曲です。

#10"Astonish You"
哀愁メロディが絶品のAORナンバー。アンサンブルも素晴らしく、これはもう名曲レベル。このアルバムで一番好きな曲です。

#11"Tall Ships"
これもドラマチックで高揚感あるメロディが素晴らしく、本作のハイライトとなる一曲でしょう。珍しくホルンの音が入っていますが、これがワクワク感をかき立ててくれます。最高!

#12"Turnaround"
いわゆるパワー・バラードなんですが、トビー・ヒッチコックの熱いボーカルがとにかく凄い!途中で絡んでくる女性ボーカルは、トーリ・ヒッチコックという人で、奥さんかと思ったら妹ということでした。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
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■Tracks
01. Heaven on Earth
02. Book of Life
03. Love's Eternal Flame
04. Language of the Heart
05. Let Me Let You Go
06. Faithful Heart
07. Defying Gravity
08. The Roaring of Dreams
09. Secret of the Way
10. Astonish You
11. Tall Ships
12. Turnaround
13. I Am My Father [Bonus Track]
All songs written by Jim Peterik

■Personnel
Toby Hitchcock - Lead Vocals
Jim Peterik – Lead Vocals, Guitar, Keyboards
Ed Breckenfeld - Drums
Clem Hayes - Bass
Mike Aquino - Guitar
Christian Cullen - Keyboards

Greg Flint - French Horn on #11
Thom Griffin - All Background Vocals
Tori Hitchcock - Vocals on #12

Producer - Jim Peterik
Co-producer - Larry Millas
Executive-Producer - Serafino Perugino

ザ・ローリング・オブ・ドリームス
プライド・オブ・ライオンズ
キングレコード
2007-02-21

 

Prime Time / FireHouse (2003)

0392Prime Time









アメリカのメロディアス・ハードロック・バンドFireHouseの通算8枚目のアルバムです。前作で加入したベースのブルース・ウェイベルは脱退(間もなく死去)しており、後にGoodbye Thrill、Takara、Crown of Thornsなどでプレイするブラジル人ベーシスト、ダリオ・セイシャスがレコーディングに参加していますが、正規メンバーではなくて助っ人扱いのようです。

内容のほうは、グルーヴィなリズムの#1"Prime Time"、#6"Body Language"、メロディアスなハードロック・ナンバー#2"Crash"、#4."Perfect Lie"、柔らかなメロディに心温まる#10"Let Go"など、これまで通りのFireHouseらしい佳曲が聴ける好盤となっています。しかしながら、前作初めてビル・レヴァティ(g)が歌う曲が1曲入っていましたが、今回はビル・レヴァティが2曲、さらにマイケル・フォスター(ds)が1曲歌っているのはいかがなものか。曲は悪くないし、2人とも別に下手じゃないけれど、C.J.スネアというリード・ボーカリストがいるのに、収録曲全10曲中3曲も歌わせないのはおかしいでしょう。C.J.スネアが歌ってこそのFireHouseなんじゃないの。それから、前作同様ギターが歪み過ぎでノイジー、リフもヘヴィ過ぎなのはやはり気になります。

次作Full Circleは代表曲のリレコーディング盤なので、今のところFireHouseのオリジナル・アルバムとしては本作が最後となっています。このPrime Timeというアルバムは、決して駄作・凡作ではないけれど、バンドの行き詰まり状況が感じられて、聴いているとなんだか複雑な心境になってしまいます。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Prime Time (Foster, Leverty, Snare)
02. Crash (Foster, Leverty, Snare)
03. Door to Door (Foster, Leverty)
04. Perfect Lie (Leverty, Snare)
05. Holding On (Leverty)
06. Body Language (Leverty, Snare)
07. I'm the One (Leverty)
08. Take Me Away (Leverty, Snare)
09. Home Tonight (Foster, Leverty, Snare)
10. Let Go (Snare)

■Personnel
C.J. Snare - lead vocals, keyboards
Bill Leverty - guitars, vocals (lead vocals & keyboards on #5, #7)
Michael Foster - drums, percussion, vocals (lead vocals on #3)
Dario Seixas - bass, vocals

Preston Fulcher - additional percussion on #1

Producer - Bill Leverty

PRIME TIME
ファイアーハウス
ポニーキャニオン
2003-09-18

 
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