メロディアス・ハードロック名盤探訪 別館

哀愁・叙情・爽快...メロハー、AOR、ハード・ポップ、メロディック・メタルの傑作との出会いを求めて。 メロディック・ロックのアルバムをレビューしていくブログです。

アメリカ(USA)

Rare Cuts / Danger Danger (2003)

0454Rare Cuts









2003年にリリースされたDanger Dangerの初期未発表音源集。1986年~91年にかけての4つのレコーディング・セッションで録音されたデモとアウトテイクが収められています。当然ボーカルはテッド・ポーリーで、中心メンバーのブルーノ・ラヴェル(B)とスティーヴ・ウエスト(Ds)、それからケイシー・スミス(Key)、ギターは殆どが最初期メンバーのアル・ピトレリ、1曲だけアンディ・ティモンズというラインナップとなっています。アル・ピトレリの入ったDanger Dangerというのはおそらくこのアルバムでしか聴けません。未発表曲に興味を惹かれるのはもちろん、既発曲もデモではアレンジが違ったりしていて、色々な意味で貴重な音源集だと思います。デモと言っても全体に音質も悪くなく、歌唱・演奏にも勢いがあってファンならぜひ入手しておきたいところですが、発売から時間が経ってレア盤化してしまっているのが残念です。

01.Lovin' a Girl Like You (Could Be Bad for My Health)
2ndアルバムScrew It!のアウトテイクで未発表曲、1991年オランダでの録音です。いかにも初期Danger Dangerらしい陽気なロックン・ロール。この曲だけアンディ・ティモンズがギターを弾いています。

02.Bang Bang
1stアルバムDanger Danger収録曲のデモ音源、1987年ニューヨークでの録音です。リード・ギターはアル・ピトレリ、リズム・ギターはブルーノ・ラヴェルが弾いています。

03.Feels Like Love
1st収録曲のデモ、1987年ニューヨークでの録音。ギターはアル・ピトレリです。

04.Little Girl's Hot Tonite
1stに収録予定だった未発表曲のデモ、1987年ニューヨークでの録音。ギターはアル・ピトレリです。この能天気さは初期Danger Dangerならでは。

05.Don't Walk Away
1st収録曲のデモ、1987年ニューヨークでの録音。ギターはブルーノ・ラヴェルが担当しています。

06.One Step From Paradise
1st収録曲のデモ、1987年ニューヨークでの録音。ギターはアル・ピトレリです。

07.Hold on Maria
1986年ニューヨークにあるアル・ピトレリの母親の家の地下室で録音されたデモ。このセッションでの録音が3曲続きますが、やや音質的には厳しいです。この曲は未発表曲で、珍しくマイナー・キーの哀愁系メロハーの佳曲です。ギターはアル・ピトレリ。

08.Rock America
1st収録曲のデモ、1986年上記地下室での録音。ギターはアル・ピトレリです。

09.Don't Blame It on Love
1st収録予定だったものの、作り直されて2ndに収録された曲のオリジナル・バージョン。1986年上記地下室で録音されたデモです。ギターはアル・ピトレリ。

10.Live It Up
1st収録曲のデモ、1987年ニューヨークでの録音。ギターはアル・ピトレリです。

11.Temptation
1986年ニューヨークのスタジオで録音されたデモ。未発表曲ですが、何故かY&Tの1987年のアルバムContagiousに収録されています。泣きのメロディが印象的なパワー・バラードで、確かにDanger DangerよりY&T向きかもしれません。ギターはアル・ピトレリです。他の曲はラヴェル&ウエスト作ですがこの曲だけラヴェル&ピトレリ作。また、ドラムもこの曲のみジョーイ・フランコとなっています。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01.Lovin' a Girl Like You (Could Be Bad for My Health)
02.Bang Bang
03.Feels Like Love
04.Little Girl's Hot Tonite
05.Don't Walk Away
06.One Step From Paradise
07.Hold on Maria
08.Rock America
09.Don't Blame It on Love
10.Live It Up
11.Temptation
All songs written by Bruno Ravel & Steve West
except #11  written by Bruno Ravel & Al Pitrelli

■Personnel
Ted Poley - Vocals
Bruno Ravel - Bass, All Guitars on #5, Rhythm Guitar on #2, Keyboards on #11, Backing Vocals
Steve West – Drums on #1-10, Backing Vocals on #1
Kasey Smith - Keyboards on #2-10
Al Pitrelli - Lead Guitars on #2-4, #6-11, Rhythm Guitar on #3-4, #6-11, Keyboards on #11, Backing Vocals on #7-9, #11
Andy Timmons - Guitars & Backing Vocals on #1
Joe Franco - Drum Programming on #11
George Cintron - Backing Vocals on #7-9

Producer - Bruno Ravel, Steve West

Rare Cuts
Danger Danger
Low Dice
2003-11-14

 

Vital Signs / Survivor (1984)

0448Vital Signs









アメリカン・ハードロック・バンドSurvivorの5thアルバム。ボーカルがデイヴ・ビックラーから元Cobraのジミ・ジェイミソンにチェンジして最初の作品です。ボーカル以外のラインナップは変わらず、フランキー・サリヴァン(G)、ジム・ピートリック(Key)、ステファン・エリス(B)、マーク・ドラウベイ(Ds)、プロデュースは1stアルバムを担当したロン・ネヴィソンが再起用されています。前任者も良いボーカリストでしたが、新ボーカルのジミ・ジェイミソンもこれまた上手くて、泥臭くない程度に力強くソウルフルな歌いまわしと、中音域から高域まで張りのある声質が魅力的だと思います。このメンバー・チェンジが功を奏し、また楽曲の充実もあって、バンドは再び商業的成功を収めることになります。アルバムは100万枚を売り上げてチャートは16位に到達、シングル・カットされた4曲のうち"The Search Is Over"はチャート4位、"High on You"は8位とヒットを記録しました。

ファンの間からは名盤の呼び声が高く、全体に良く出来た作品だと思います。しかしながら筆者の好みからすると、ちょっと80年代臭というか「メインストリーム」臭が強過ぎるし、サウンドとメロディが大好きとは言いにくい。このバンドに限らず、当時バカ売れしたJourney、Foreigner、Night Ranger、Def Leppardなどもど真ん中に来ないのですが。まあ、そんなわけで相対的に評価は低めになりますが、哀愁溢れる#5"Broken Promises"あたりは良かったですね。また、この曲や#8"It's the Singer Not the Song"などでのフランキー・サリバンのギター・ソロが秀逸です。HR/HMシーンで目立つようなギター・ヒーロー・タイプではありませんが、歌心のあるエモーショナルなプレイはむしろ希少価値があるのではないかと思います。

なお、ボーナス・トラックの"The Moment of Truth"は映画「ベスト・キッド」(The Karate Kid)のサウンド・トラックで、外部ライターの作品です。メロディはそれなりに良いものの、サウンドは典型的な80年風で辟易してしまいます。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. I Can't Hold Back
02. High on You
03. First Night
04. The Search Is Over
05. Broken Promises
06. Popular Girl
07. Everlasting
08. It's the Singer Not the Song
09. I See You in Everyone
[Bonus Track]
10. The Moment of Truth
All songs written by Frankie Sullivan, Jim Peterik
except #10 by Peter Beckett, Bill Conti, Dennis Lambert

■Personnel
Jimi Jamison - Lead & Background Vocals
Frankie Sullivan - Guitars, Background Vocals
Jim Peterik - Keyboards, Background Vocals
Stephan Ellis - Bass
Marc Droubay - Drums

Mickey Thomas - Background Vocals
Peter Wolf - Synthesizer
Billy Lee Lewis - Additional Percussion

Producer - Ron Nevison

Vital Signs -Remast-
Survivor
Rock Candy
2010-11-29

 

Slam / Joe Lynn Turner (2001)

0444Slam









ジョー・リン・ターナー(JLT)の7枚目のソロ作。カバー企画盤を除くオリジナル・アルバムとしては5thアルバムとなります。ギターは梶山章のみ、楽曲も基本的に2人の共作のみ。念願だったJLTと梶山章の完全コラボレーションが実現した作品です。他のメンバーは、エリック・ツァー(B)、ケニー・クラム(Ds)、ポール・モリス(Key)、そしてプロデュースはボブ・ヘルドとお馴染みのラインナップとなっています。

JLTと梶山章ががっぷり四つに組んだ作品ということで、中身は予想通り全曲がDeep Purple、Rainbowスタイルの伝統的なオルガン入りハードロック。ただ、期待が大きすぎたのか、期待通り以上でなかったということなのか、何故か物足りなさを感じてしまいました。普通にDeep PurpleかRainbowの新作か未発表音源集を聴いているような印象なんです。ミドル・テンポの似通った曲が多いのも気になります。また、梶山章のギターも、本家リッチー・ブラックモアの特徴を抽出したような感じなんですが、バリエーションに乏しい印象です。リッチーはいわゆる「様式美」的なフレーズの他に、意外にブルージーだったり、アラビア風フレーズを入れ込んだり、はたまたボトルネックを使ったりと1枚のアルバムで色々やってるし、音色的にも変化に富んでいます。本作では一聴して分かる典型的なリッチー・スタイルではあるものの、それが逆にカリカチュアっぽい印象さえ感じさせるものになってしまっています。もちろん、歌唱・演奏面でも、楽曲面でも、その水準は非常に高いものがあります。録音も楽器や声が生々しくて好みの音です。JLTの他のアルバムや、梶山章の作品を聴かずに、いきなり本作を聴いたなら「すげー!」としか思わなかったかも知れませんが、なんだか複雑な気持ちです。

なお、日本盤ボーナス・トラックの"Challenge Them All" は、アサヒ・スーパードライのCMソングとして職業的ソングライターによって書かれた曲で、演奏もスタジオ・ミュージシャンによるもの。アルバム本編とは別に制作されたので、サウンドも音質も全く異なりますが、これがまた極上のメロディアスハードで嬉しいオマケです。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Bloodsucker (Turner, Held, Kajiyama)
02. Eye for an Eye (Turner, Held, Kajiyama)
03. Deliver Me (Turner, Kajiyama)
04. Heart of the Night (Turner, Kajiyama)
05. Slam (Turner, Held, Kajiyama)
06. Dark Days (Turner, Kajiyama)
07. Possession (Turner, Kajiyama)
08. Show Yourself (Turner, Kajiyama)
09. Hard Time (Turner, Kajiyama)
10. Evil (Turner, Held, Kajiyama)
11. Always Tomorrow (Turner, Kajiyama)
[Bonus Track]
12. Challenge Them All (Album Version) (Umeno, Himelstein)

■Personnel
Joe Lynn Turner - Vocals
Akira Kajiyama - Guitars
Eric Czar - Bass
Kenny Kramme - Drums
Paul Morris - Keyboards

"Challenge Them All" 
Joe Lynn Turner - Vocals, Background Vocals
Jerry Barnes - Bass
Steve Holley - Drums
G.E. Smith - Guitar
John Allen III - Guitar
Al Fritch - Background Vocals
Vaneese Thomas - Background Vocals

Producer - Bob Held, Joe Lynn Turner
Vocals Produced by Bob Held, Mark Wexler
"Challenge Them All" Produced by Taka Umeno
Executive-Producer - Mark Wexler

Slam
Turner, Joe Lynn
Mtm Music & Publish
2002-12-10

Live in Japan / Night Ranger (1990)

0443Live In Japan









アメリカのハードロック・バンドNight Rangerの最初のライブ・アルバムです。Night Rangerは日本公演のライブ盤を何枚も出していますが、これは1988年11月19日東京(渋谷公会堂)でのコンサートを収録したものです。ラインナップはジャック・ブレイズ(vo, b)、ブラッド・ギルス(g)、ジェフ・ワトソン(g)、ケリー・ケイギー(vo, ds)、そして脱退したアラン・フィッツジェラルドに替わってジェシー・ブラッドマンがキーボードで参加しています。5thアルバムMan in Motionリリース後のツアーにも関わらず、本作収録曲中5thからの選曲は4曲のみ、残りは1stから1曲、2ndから5曲、3rdから2曲で、何故か4thからは選ばれていません。演奏力には定評があるバンドだし、まあ当時のベスト盤的な選曲なのでそれなりに良いライブ・アルバムだと思いますが、なんとなく勢いが無いという印象が残ります。Man in Motionが商業的に成功せず、失速気味という状況が影響しているのでしょうか。元々大好きなバンドとまでは言えない筆者としては、スタジオ盤を凌ぐ圧倒的なパフォーマンスでその魅力を見せ付けてくれたらと期待したものの、可も無く不可も無くという感想しか出てきませんでした。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Touch of Madness (Blades)
02. When You Close Your Eyes (Blades, Fitzgerald, Gillis)
03. Man in Motion (Blades, Gillis)
04. Don't Start Thinking (I'm Alone Tonight) (Blades, Fitzgerald, Keagy)
05. Let Him Run (Blades, Keagy, Watson)
06. Goodbye (Watson, Blades)
07. Reason to Be (Keagy, Blades)
08. Four in the Morning (Blades)
09. Sister Christian (Keagy)
10. Don't Tell Me You Love Me (Blades)
11. Halfway to the Sun (Blades)
12. (You Can Still) Rock in America (Blades, Gillis)

■Personnel
Jack Blades - Lead Vocals, Bass
Brad Gillis - Lead & Rhythm Guitars, Background Vocals
Kelly Keagy - Lead Vocals, Drums
Jeff Watson - Lead, Rhythm & Acoustic Guitars
Jesse Bradman - Keyboards

Producer - Night Ranger
Live in Japan
Night Ranger
Mca Special Products
2003-05-20

Axe / Axe (1979)

0441Axe









フロリダ出身のメロディアス・ハードロック・バンドAxeの1stアルバムです。リリース当時はLPでしたが日本盤は発売されず'(後にCD化され発売)、日本ではあまり知名度は高くないようです。1stと2ndはMCA、3rdと4thはATOCOと大手レーベルから出ていることから分かるように、本国ではそれなりに売れているし、日本人好みの音だと思われるのに、日本盤が出なかったのが不思議なくらいです。

本作時点でのラインナップは、中心人物のボビー・バース(G, Vo)、マイケル・オズボーン(G)、エドガー・ライリー・ジュニア(Key)、マイケル・タービン(B)、テディ・ミューラー(Ds)の5人。アメリカのバンドには珍しくウェットで陰りのあるハードロックをやっています。煮え切らないメロディとカラッとしないネクラなサウンドがなんとも魅力的なんです。人によっては「ダサい」で終りそうですが、これはダサカッコいいというべきでしょう。70年代の録音なので音に変な加工がされておらず、ギターはいかにもアンプが鳴っているのが分かるし、ドラムもちゃんと太鼓を叩いている音で録れていて、サウンド的にも好印象です。このバンドの代表作となる3rdOffering、4thNemesisの完成度には及びませんが、メロハー・ファンには本作も聴き逃せないアルバムだと思います。

なお、1993年にBrunetteから発売された日本盤CDの他に、1997年ニュージーランドAxepertise Entertainmentから発売されたCDがあります。こちらにはAxeの前身バンドBabyfaceが1977年にリリースした唯一作から5曲(LPのA面)がボーナスとして収録されており、同じくAxepertise Entertainmenttから出ているAxeの2ndLiving on the EdgeにはB面の5曲が収録されています。筆者が聴いているのはこのニュージーランド盤です。BabyfaceはメンバーがほとんどAxeと同じなのにサウンドはかなり違っていて、ロック、カントリー、ソウル、ファンク等様々な要素がごった煮状態。これはこれで面白いです。Babyfaceのアルバムはおそらく単体ではCD化されておらず、これは非常に貴重なボーナスでしょう。可能ならこちらを入手するのがお薦めです。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Life's Just an Illusion (Riley Jr.)
02. Hang On (Riley Jr.)
03. Sympathize (Barth)
04. How Come I Love You (Riley Jr.)
05. Forever (Barth)
06. Back on the Streets (Barth)
07. Doin' the Best That I Can (Osborne)
08. You're Out of Line (Osborne)
09. Battles (Barth)
[Bonus Tracks]
10. Never in My Life (Barth)
11. How Long Can a Rock and Roll Band Keep Carryin' On (Barth)
12. Angeline (Barth)
13. Songwriter (Barth)
14. Stone Cold (Barth, Turpin)

■Personnel
Bobby Barth - Guitar, Vocals
Michael Osborne - Guitar, Vocals
Edgar Riley Jr. - Keyboards, Vocals
Michael Turpin - Bass, Vocals
Teddy Mueller - Drums

Producer - Michael Lloyd

Babyface
Bobby Barth - Lead Guitar, Lead Vocals
Edgar Riley Jr. - Keyboards, Background Vocals
Michael Turpin - Bass, Background Vocals
Bob Miles - Drums, Percussion

Producer - Dan R. Holmes
 

Silk + Steel / Giuffria (1986)

0433Silk + Steel









House of Lordsの前身バンドGiuffriaの2ndにしてラスト・アルバム。リーダーのグレッグ・ジェフリア(Key)、デヴィッド・グレン・アイズレー(Vo)、アラン・クリガー(Ds)は前作と変わらず、ギターはクレイグ・ゴールディからラニー・コードラに、ベースはチャック・ライトからデヴィッド・サイクスにチェンジしています。また、プロデューサーには同じMCAレーベルでNight Rangerを成功に導いたパット・グラッサーが起用されています。

グレッグ・ジェフリアの壮麗なキーボードと、デヴィッド・グレン・アイズレーの野生的なボーカルという対照的な要素が面白かった前作を引き継いで、本作でも同様のキャッチーなアメリカン・ハードロックをやっています。ただし、前作以上にJourneyっぽくなってしまいました。おまけに、前作からのシングル・カット"Call to the Heart"がそこそこヒットしたためか、2匹目、3匹目のドジョウをねらって収録曲の半分ほどがバラードになっています。これはいかがなものか。ハードロック・バンドが変な色気を出してバラードを連発するとロクなことになりません。スピード・チューンの2曲、#6"Radio"と#7"Heartache"はリフもメロディも無茶苦茶カッコいいのですが、アルバム全体の印象はなんともヌル過ぎます。ちなみにリリース当時はLPで、A面がSilk Side、B面がSteel Side、バンドの硬軟両面を聴かせるという趣向で、Silk + Steelというタイトルもそれを示しているようですが、それほどくっきりとサウンドに違いがあるようには思えません。結果として、アルバムはチャート60位、シングル"I Must Be Dreaming"は52位、"Love You Forever"は100位以内に入ることもなく、商業的には前作に遠く及ばず失敗作と見做されることになります。

その後、MCAに見放されたGiuffriaはリズム・セクションをチャック・ライト(B)とケン・メリー(Ds)にチェンジして、なおも3枚目のアルバム制作に取り掛かりますが、結局この3作目は正式には陽の目を見ることなくお蔵入りとなってしまいます。そして、Kissのジーン・シモンズの設立したレーベルの下で、ボーカルをジェイムズ・クリスチャンに入れ替えバンド名もHouse of Lordsと変更、より純度の高いハードロック・バンドして再出発することになります。

評価 ★★★☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. No Escape (G. Giuffria, D. G. Eisley)
02. Love You Forever (G. Giuffria, D. G. Eisley)
03. I Must Be Dreaming (W. Deville)
04. Girl (G. Giuffria, D. G. Eisley)
05. Change of Heart (G. Giuffria, D. G. Eisley)
06. Radio (G. Giuffria, D. G. Eisley, L. Cordola)
07. Heartache (G. Giuffria, D. G. Eisley)
08. Lethal Lover (G. Giuffria, D. G. Eisley, L. Cordola)
09. Tell It Like It Is (G. Giuffria, D. G. Eisley)
10. Dirty Secrets (G. Giuffria, D. G. Eisley)
[Bonus Track]
11. Say It Ain'T True (G. Giuffria, D. G. Eisley)

■Personnel
Gregg Giuffria - Keyboards, Vocoder
David Glen Eisley - Lead & Backing Vocals, Harmonica
Lanny Cordola - Lead Guitar, Backing Vocals
Alan Krigger - Drums
David Sikes - Bass Guitar, Backing Vocals

Producer - Pat Glasser (#1~2, #4~6, #8~10)
Gregg Giuffria & David Glen Eisley (#3, #7), Gregg Giuffria (#11)

Silk & Steel
Giuffria
Music on CD
2023-10-13

 

Leaving the End Open / Hardline (2009)

0428Leaving the End Open









USメロディアスハード・バンドHardlineの3rdアルバム。2ndアルバムから7年ぶりのリリースとなっています。実質的にはジョニー・ジョエリ(Vo)とジョシュ・ラモス(G)のプロジェクトのようで、ブックレットには2人の写真しか載っていません。他のメンバーは、2ndにも参加したマイケル・T・ロス(Key)に加えてジェイミー・ブラウン(B)、アトマ・アナー(Ds)というラインナップです。ジェイミー・ブラウンはRamos - HugoのThe Dreamでベースを弾いており、アトマ・アナーはリッチー・コッツェンやトニー・マカパインといったシュラプネル系ギタリスト御用達のドラマーですが、Two FiresのIgnitionでもドラムを叩いており、それぞれにジョシュ・ラモスとの繋がりがあるミュージシャン。また一曲だけソロを担当している瀬上純は、Crush 40でジョニー・ジョエリと共演しているギタリストです。プロデューサーは2ndと同じくボブ・バーチとなっています。

楽曲は決定的な名曲というものはないものの、概ね良い曲ばかりで平均点はかなり高いです。ヘヴィなヴァースとそこから解放されるように華麗に舞い上がるコーラスが対照的な#1"Voices"、軽やかで明るいメロディが魅力の#2"Falling Free"、畳み掛けるようなリフとボーカルがスリリングな#8"Give in to This Love"、ほのかに寂寞感漂うメロディが心に残る#9"Before This"などは特にお気に入りです。ジョニー・ジョエリのボーカルとジョシュ・ラモスのギターは相変わらず巧みで安定感抜群ですが、今回の注目はドラム。思えば、1stのディーン・カストロノヴォ、2ndのボビー・ロックと、ドラマーは腕達者が続きました。本作のアトマ・アナー、この人もツワモノですね~。グルーヴ感が凄いし、オカズなんかもフュージョンぽいのを叩き込んできたりして、思わず聴き惚れてしまいます。そんなわけで、傑作Double Eclipseには及びませんが、今回も聴き応えのアルバムであることは間違いありません。

 評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Voices
02. Falling Free
03. Start Again
04. Pieces of Puzzles
05. Bittersweet
06. She Sleeps in Madness
07. In This Moment
08. Give in to This Love
09. Before This
10. Hole in My Head
11. Leaving the End Open
All songs by Johnny Gioeli/Josh Ramos
except #7 by Johnny Gioeli, #10 by by Johnny Gioeli/Johnny Montgomery

■Personnel
Johnny Gioeli - Vocals
Josh Ramos - Guitars
Jamie Browne - Bass
Michael T. Ross - Keys
Atma Anur - Drums

Jun Senoue - Solo on #9

Producer - Bob Burch

リーヴィング・ジ・エンド・オープン
ハードライン
キングレコード
2009-05-27

Destiny Unknown / Crown of Thorns (2000)

0427Destiny Unknown









ジーン・ボーヴァー(vo, g, key)率いるCrown of Thornsの4thアルバム。他のメンバーは、トミー・ラファーティ(g)、ホーク・ロペス(ds)、マイケル・ペイジ(b)と前作と変わっていません。前作は1st路線への回帰が多少うかがえたものの、今回はラップを取り入れたミクスチャー風の曲が目立ちます。#2"Birds on a Wire"などメロディアスなハードロックも何曲かあるのですが、全体に出来は今一つという感じ。歌は上手いし骨太なサウンドは相変わらずカッコいいのですが、このバンドを聴き続けるのは1stのようなワクワクするメロハーが聴きたいから。本作では残念ながらその期待は叶えられませんでした。うーん。。。ジーン・ボーヴァーという人は、やりたいことが多過ぎるのか何なのか、アルバムごとに音楽性のブレ幅が大きくて困ります。良いメロディが聴きたい人にヒップ・ポップもどき聴かせてどうするの。

評価 ★★☆☆☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Intro
02. Birds on a Wire
03. End of the Century
04. Buried Alive
05. Missionary Remedy
06. Here She Comes
07. Lonely Is The Rose
08. Crying Game
09. Heaven Tonight
10. Time
11. Long Way Home
12. Runaway
All songs written by Jean Beauvoir

■Personnel
Jean Beauvoir - Lead & Background Vocals, Lead Rhythm & Acoustic Guitars, Keyboards
Tommy Lafferty - Lead Rhythm & Acoustic Guitars
Michael Paige - 4 & 5 String BassGuitar
Hawk Lopez - Drums, Percussion

Producer - Jean Beauvoir
Destiny Unknown
Crown of Thorns
Point
2002-07-15

 

New Jersey / Bon Jovi (1988)

0423New Jersey









Bon Joviの4thアルバム。大ヒットとなった前作Slippery When Wetに続き、プロデュースにブルース・フェアバーン、共同作曲者にデズモンド・チャイルドという前作と同じ布陣で制作されたこのアルバムも、全米チャートで4週連続1位を記録し、アメリカ本国で700万枚、世界で1800万枚を売り上げるというモンスター・アルバムとなりました。世界中で受け入れられるのが当然と思えるほど曲が良く、物語性を持った歌詞も深い余韻を残します。また、演奏もデビュー当時に比べて格段にレベルアップ。過去のロック・ミュージック全般はもとより、カントリー、フォーク、ブルース、ソウルといった様々な養分を十分に吸収して成長した巨木のような印象を受けます。故郷であるニュー・ジャージーをタイトルに持ってきたのも、自分達のルーツの再確認を象徴しているのかもしれません。総じて、もはやポップ・メタルとかハードロックといったラベリングがふさわしくないところまで来ているし、何か貫禄のようなものさえ感じさせる作品だと思います。

01. Lay Your Hands on Me (Jon Bon Jovi, Richie Sambora)
オープニングにふさわしい派手でキャッチーなハードロック・ナンバー。シングルは全米チャート7位のヒットを記録しています。

02. Bad Medicine (Jon Bon Jovi, Richie Sambora, Desmond Child)
シングル・チャート1位の大ヒットとなったバンドの代表曲の一つ。基本はシンプルなロックンロールですが、強力なサビの大合唱が印象的で一度聴いたら忘れられません。前の曲が終って間を置かず入ってくるのがカッコいい!

03. Born to Be My Baby (Jon Bon Jovi, Richie Sambora, Desmond Child)
Bon Joviとしては哀愁味が強いナンバー。冒頭のナナナ~もカッコいいし、特にサビがメロディアスで大好きです。この曲もシングルカットされてチャート3位まで上がっています。

04. Living in Sin (Jon Bon Jovi)
地味目なバラードですが、この曲もシングル・チャート9位を記録しています。

05. Blood on Blood (Jon Bon Jovi, Richie Sambora, Desmond Child)
ニュージャージーの先輩ブルース・スプリングスティーンの影響が色濃い曲。少年時代からの仲間との絆をテーマとした歌詞とメロディが感動的だし、ション・ボン・ジョヴィの熱唱も素晴らしい。演奏面では特にピアノとドラムが秀逸です。うーん、これライブで聴いたら涙出そう。Bon Joviで最も好きな曲の一つです。

06. Homebound Train (Jon Bon Jovi, Richie Sambora)
珍しく16ビートの横ノリのナンバー。曲もギターもジェフ・ベックっぽいのが面白い。リッチー・サンボラってクラプトンに憧れてたというのはよく聞きますが、ベックも好きだったんですね。ギターはもちろん、他のパートも無茶苦茶上手くてカッコいい!凄いです!

07. Wild Is the Wind (Jon Bon Jovi, Richie Sambora, Desmond Child, Diane Warren)
ほのかな哀愁が漂うバラード。ギター・ソロもいいですね~。

08. Ride Cowboy Ride (Captain Kidd, King Of Swing)
次の曲への序曲となっている箸休め的な小品。

09. Stick to Your Guns (Jon Bon Jovi, Richie Sambora, Holly Knight)
本作の中では一際アーシーなバラード。歌詞もボブ・ディランやブルース・スプリングスティーンを彷彿とさせます。

10. I'll Be There for You (Jon Bon Jovi, Richie Sambora)
シングル・チャート1位に輝くバラード。ビートルズの"Don't Let Me Down"っぽいかな?それにしても何枚シングル・カットしたのかって感じです。

11. 99 in the Shade (Jon Bon Jovi, Richie Sambora)
ハードで明るくて派手でシンプルなロックン・ロール。

12. Love for Sale (Jon Bon Jovi, Richie Sambora)
アルバムの締めくくりは、ジョンとリッチーが楽しそうにデュエットするカントリー・ブルース。ギターのフレーズがまるっきりクラプトンなのが微笑ましいです。

なお、オリジナル盤の12曲に加えて、ライブ音源とスタジオ・アウトテイク計7曲入りの2枚組「1998 Special Edition」、ボーナス・トラックとしてライブ音源2曲を収録した「2010 Special Edition」、更に当初バンド側が企画した2枚組でのリリースを実現した「2014 Deluxe Edition」も発売されています。
 
評価 ★★★★★
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

1998 Special Edition bonus CD
01. Bad Medicine (Live at Wembley Arena, 1988)
02. Bad Medicine (Live on the New Jersey Tour)
03. Blood on Blood (Live at Wembley Arena, 1988)
04. Born to Be My Baby (Acoustic version)
05. I'll Be There for You (Live at Lakeland 1989)
06. Lay Your Hands on Me (Live at Giants Stadium, 1989)
07. Love Is War (Studio outtake)

2010 Special Edition bonus tracks
01. Blood on Blood (Live Version)
02. Born to Be My Baby (Live Version)

2014 Deluxe Edition
Disc 1 bonus tracks
01. The Boys Are Back in Town (Thin Lizzy cover)
02. Love Is War
03. Born to Be My Baby (Acoustic Version)
Disc 2 The "Sons of Beaches" Demos
01. Homebound Train
02. Judgement Day
03. Full Moon High
04. Growin' Up the Hard Way
05. Let's Make It Baby
06. Love Hurts
07. Backdoor to Heaven
08. Now and Forever
09. Wild Is the Wind
10. Stick to Your Guns
11. House of Fire
12. Does Anybody Really Fall in Love Anymore?
13. Diamond Ring

■Personnel
David Bryan - All Keyboard, Backing Vocals
Richie Sambora - Electric & Acoustic Guitars, Mandolin, Backing Vocals
Alec John Such - Bass, Backing Vocals
Tico Torres - Drums, Percussion
Jon Bon Jovi - Lead & Backing Vocals, Harmonica, Backing Vocals

Producer - Bruce Fairbairn
New Jersey -Remast-
Bon Jovi
Island
2014-06-26

ニュージャージー+ライヴ・トラックス(紙ジャケット仕様)
ボン・ジョヴィ
ユニバーサルインターナショナル
2010-06-23

 

Tooth and Nail / Dokken (1984)

0421Tooth and Nail









LAメタル・ブームの中から頭角を現したバンドDokkenの2ndアルバム。メタル・ブームの追い風もあってか、USアルバム・チャート49位を記録し、初のプラチナ・ディスクも獲得、バンドの出世作となりました。

メンバーは、ドン・ドッケン(Vo)、ジョージ・リンチ(G)、ジェフ・ピルソン(B)、ミック・ブラウン(Ds)、プロデュースは70年代からハードロック系のバンドを手がけ、80年代にはMötley CrüeやTwisted Sisterのヒット作を制作したトム・ワーマン。プロデューサーの選任をめぐっては、1stアルバムを担当したマイケル・ワーグナーを推すドン・ドッケンの意向が実現せず、また曲作りの段階でもドン・ドッケンが排除されたりするなど、早くもドン・ドッケンとジョージ・リンチの衝突が表面化していたようです。しかし、バンド内の確執が必ずしも悪い結果ばかりをもたらすとは限らず、むしろ名曲や名演を生んだ例も数多いのも事実です。本作に関しても、前作に比べて楽曲面でも演奏面でも飛躍的に水準が上がったと感じさせる出来栄えとなっています。特に、闇夜を切り裂く閃光のようなギター・インスト#1"Without Warning"から、疾走曲#2"Tooth and Nail"へ繋がっていくオープニングの爆発力・ただならぬ緊張感は鳥肌物。また、この曲に限らず本作でのジョージ・リンチのギターは凄まじいの一言で、まさに「剃刀」の異名がふさわしいシャープでハイ・テンションな名演ばかりです。ただし、#2"Tooth and Nail"はこのバンドとしてはむしろ異色なゴリゴリのヘヴィ・メタルだし、他の曲もサビがタイトル連呼するだけの比較的単純で他のLAメタル・バンドと大差無いような曲が多く、ミドル・テンポの哀愁メロディというDokkenの典型的スタイルはまだ前面に出てきていません。やはりこのバンドが本領発揮となるのは次作以降だと思います。

評価 ★★★★☆
 ★★★★★ 傑作
 ★★★★☆ 秀作
 ★★★☆☆ 佳作
 ★★☆☆☆ 凡作
 ★☆☆☆☆ 駄作
評価の基準(筆者の好み)については評価の基準についてをご覧ください。

■Tracks
01. Without Warning (Music : Lynch)
02. Tooth and Nail (Music : Lynch  Lyrics: Lynch, Pilson, Brown)
03. Just Got Lucky (Music : Lynch  Lyrics: Pilson, Lynch)
04. Heartless Heart (Music : Lynch, Pilson  Lyrics: Pilson, Lynch, Brown)
05. Don't Close Your Eyes (Music : Lynch, Dokken, Pilson  Lyrics: Lynch)
06. When Heaven Comes Down (Music : Lynch  Lyrics: Pilson, Brown, Lynch)
07. Into the Fire (Music : Pilson, Lynch, Dokken  Lyrics: Dokken)
08. Bullets to Spare (Music : Lynch  Lyrics: Dokken, Pilson, Brown, Lynch)
09. Alone Againt (Music : Pilson, Dokken  Lyrics: Dokken, Pilson)
10. Turn on the Action (Music : Lynch, Pilson  Lyrics: Brown, Lynch, Pilson)

■Personnel
Don Dokken - Vocals
George Lynch - Guitars
Jeff Pilson - Bass, Vocals
Mick Brown - Drums

Producer - Tom Werman
Associate Producer - Roy Thomas Baker

Tooth and Nail
Dokken
Rock Candy
2014-01-20

 
記事検索
カテゴリ別アーカイブ
読者登録
LINE読者登録QRコード
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ